22 北村 霞ヶ浦底泥の脱窒(配布資料用) - ホーム/茨 … · 2017-01-19 ·...

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霞ヶ浦底泥の脱窒による窒素負荷削減の寄与について

茨城県霞ケ浦環境科学センター湖沼環境研究室北村立実

平成24年12月19日平成24年度 茨城県霞ケ浦環境科学センター成果発表会

1

霞ケ浦環境科学センターH22モニタリング結果から

N

脱窒現象によって低下しているのではないか?

霞ヶ浦湖水中のT-N濃度の分布背景

2

脱窒現象とは?

湖内のある種の菌(脱窒菌)が水中に酸素が無い時に,窒素の汚濁要因の一つである硝酸(NO3

-)の酸素を代わりに使って呼吸し,窒素ガス(N2)として大気中に放出される現象

霞ヶ浦

大気

NO3-

N2

河川

窒素(NO3-等)

地下水

窒素は家庭,工場,畜産,農地等から

地下水や河川を経て霞ヶ浦に流入する。

NO2- NO N2O N2NO3

脱窒反応

3

底泥の脱窒が霞ヶ浦のどこで起きていて,どのくらい霞ヶ浦の窒素を除去しているかを詳細に調査した例はない。

霞ヶ浦全域を対象として霞ヶ浦底泥の脱窒速度を1年間調査し,脱窒による窒素負荷削減の寄与について検討した。

霞ヶ浦

大気

NO3-

N2 どのくらい??どこで??

4

調査方法

【調査期間】2011年8月~2012年7月の隔月

【調査地点】北浦:5箇所西浦:6箇所

【分析項目】底泥:脱窒速度

【分析方法】脱窒速度:アセチレン阻害法

N1

N2

N3

N4

N5

N6

K1

K2

K3

K4

K5

霞ヶ浦

5

N1

15.6

N2

6.3

N5

0.4

N6

0.0

N3

16.2

N4

13.6

K1

19.2

K2

10.5

K3

14.4

K4

3.8

K5

0.6

底泥の脱窒速度の分布(2011年8月)

・底泥の脱窒速度の分布は霞ヶ浦上流で大きく、下流で小さかった。

単位:mgN/m2/d

6

0

10

20

30

40

50

60

70

8月 10月 1月 3月 5月 7月

脱窒速度

(mgN

/m2 /

d)N1

N2

N3

N4

N5

N6

K1

K2

K3

K4

K5

(25℃) (20℃) (5℃) (10℃) (20℃) (25℃)

底泥の脱窒速度の1年間の変動

25℃ 20℃ 5℃ 10℃ 20℃ 25℃8~9月 10~11月 12~2月 3~4月 5~6月 7月

1年間の脱窒量

・冬季に小さく,秋季や春季に大きくなる傾向がみられた。 7

11.3 km2

③ ④

①+②+③+④+⑤+⑥=169.8 km2 ⑦+⑧+⑨+⑩+⑪=35.8 km2

32.9 km2 76.4 km2

4.3 km2

19.8 km2

25.1 km2

1.6 km2

3.4 km2

8.3 km2

12.4 km2

10.1 km2

西浦 北浦

脱窒調査地点毎の面積(GISにより算出)インフォマティクス社製SIS Map Modeller ver6.2

8

西浦の脱窒量=638 kg/d北浦の脱窒量=325 kg/d

0

100

1,000

2,500

5,000

10,000

3,233

1,752

4,894

2,465

889

36

10,673

5,378

5,758

2,053

995

霞ヶ浦底泥における年間の脱窒量の分布

( kg/km2 )

・霞ヶ浦上流域で脱窒量が大きかった。

9

H17~H21の現況計算

5年間の平均

本調査の結果

霞ヶ浦底泥における脱窒による窒素除去の寄与

10

*1

*1

*1

*1

*1第6期霞ヶ浦湖沼水質保全計画策定調査業務委託報告書,pp257(2012)

これまでの脱窒による窒素除去率(平成12年)

西浦

北浦

流入負荷=13.2 t/日脱窒による除去=3.7 t/日

脱窒による窒素除去率28%

流入負荷=2.63 t/日脱窒による除去=1.01 t/日

脱窒による窒素除去率38%

11

*1

*1第4期の霞ヶ浦に係る湖沼水質保全計画策定関係資料集,206-207(2004)

12

これまで脱窒量の分布の実態は不明であった。

平成12年当時と本研究の脱窒による窒素負荷削減の寄与の比較

平成12年当時 本研究

ある地域の脱窒量を湖沼全体で一様として算出

*1第4期の霞ヶ浦に係る湖沼水質保全計画策定関係資料集,206-207(2004)

*1

*1

地域ごとの脱窒量を算出脱窒量の算出方法

*1

*1

第6期霞ヶ浦湖沼水質保全計画策定調査業務委託報告書,pp257(2012)

*2

*2 *2

底泥の脱窒による窒素除去の寄与(他の湖沼との比較)

*1 Limnology,5,33-39(2004)「Seasonal variation of denitrification rate in Lake Suwa sediment 」より

*2

*3

陸水学会,50,1,15-24(1989)「手賀沼における底泥の脱窒活性と沼の浄化に果たす役割」より

Limnology and Oceanography,42,7, 1530-1543(1997)「Nitrogen elimination in two deep eutrophic lakes 」より

13

まとめ

・底泥の脱窒速度の分布は霞ヶ浦上流で大きく、下流で小さかった。

・底泥の脱窒速度の変動は冬季に小さく,秋季や春季に大きくなる傾向がみられた。

・底泥の脱窒による窒素除去率は西浦で5 %、北浦で6 %であった。

・これまでの脱窒による窒素負荷削減効果は過大評価されている可能性がある。

今後、霞ヶ浦の水質をシミュレーションするために重要

14

ご清聴ありがとうございました。

15

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