一分子で出来た回転モーター、F1-ATPaseの動作機構...
Post on 12-Jan-2016
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一分子で出来た回転モーター、F1-ATPaseの動作機
構
ーたんぱく質の物理ー
安田 涼平コールドスプリングハーバー研究所(アメリカ合衆国ニューヨーク州)
たんぱく質=分子機械• 直径10 nm(10万分の一ミリメーター)
• アミノ酸が連なってでできたひもが、立体構造をとることによって機能をもつ
• 種類によって個別の、複雑な働きをする – 例:物質運搬(モーター、チャンネル) 生合成 分解
たんぱく質が働く環境
水分子が時速 1000kmくらいでぶつかってくる。
今日のたんぱく質
• ATP合成酵素とF1-ATPase• 電位依存性カルシウムチャンネル
ATPは、生体エネルギーの通貨
モーターたんぱく質イオン輸送生合成(DNA,たんぱく質などの合成)
ミトコンドリアのATP合成
ATP合成酵素の働きATP合成酵 (ADP→ATP)
呼吸鎖たんぱく質複合体
ATP合成酵素はどう働く?
膜
外側
内側
(F1-ATPase)
F1-ATPaseは回転モーター?
アビジン
アクチンフィラメント
ガラス面F1-ATPase
ビオチン
ヒスチジンタグ
F1-ATPaseは回転モーター!
(アクチンフィラメントの長さ=1.3 μm)
Noji,H., Yasuda, R., Yoshida, M. Kinosita, K. (1997) Nature
F1-ATPaseは回転モーター!
(アクチンフィラメントの長さ=2 μm)
1個のATPで120度回転する
Yasuda, R. et al. (1998) Cell
エネルギー変換効率を求める
エネルギー変換効率=120度回転で水の粘性に対してする仕事
ATPを分解するときのエネルギー
エネルギー変換効率を求める
3 μm 2 μm 1 μm
エネルギー変換効率を求める
3 μm 2 μm 1 μm
エネルギー変換効率を求める
3 μm 2 μm 1 μm
エネルギー変換効率を求める
エネルギー変換効率=120度回転で水の粘性に対してする仕事
ATPを分解するときのエネルギー
=
Yasuda, R. et al. (1998) Cell
最高速度は?
最高速度=毎分1万回転
レーザー暗視野顕微鏡高速カメラ(毎秒8000フレーム)
高ATPでも120度ステップ
267倍スローYasuda, R. et al. (2001) Nature
もっとよくステップを見る
120度ステップは、90度ステップ+30度ステップ
(1000倍スロー)
回転のメカニズム
Yasuda, R. et al. (2001) Nature
ATP結合 ADP解離
ATP分解90度
120度
0度
ATP 待ち時間
ATP 待ち時間
神経の電位動作性Ca2+チャンネルの制御
1. 膜の電位の変化で開く
2. カルシウムのみを通す
3. 脳の学習、記憶に重要
外側:高カルシウム
内側:低カルシウム
シナプスにある Ca2+チャンネルの機能を測る
カルシウム
感受性蛍光色素
電気刺激
神経細胞
シナプス
1分子レベルでのCa2+チャンネルの機能の可視
化
高神経活動によるCa2+チャンネルの抑制
シナプスのカルシウム濃度
活動電位
Ca2+チャンネルの共同的抑制
抑制
Ca2+CaMKII
Ca2+チャンネルの抑制はシナプスの可塑性を阻害する
増強前
増強後Ca2+チャンネルの抑制がある場合神経の電位
シナプスの刺激
働きすぎると、記憶力が低下する?
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