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頭数 上から、合計、死産、先天異常、流産、早産の順
アカバネ病( Akabane disease )対象家畜: 牛、水牛、めん羊、山羊病原体: アカバネウイルス( Akabane virus)。エンベロープを持ち、単鎖のマイナス RNAで、 3本の分節で構成。疫学: ウシヌカカ( Culicoides oxystoma)が主要なベクター。九州以北では、夏から秋にかけてウイルスの伝播が起こり、冬期には終息する。胎子感染による死産や先天異常を持った子牛の分娩は、伝播が起こった年の冬から翌年の春にかけてみられる。臨床: 妊娠動物が感染すると、流産、早産、死産または、四肢の関節彎曲や脊柱彎曲などの体形異常や、水無脳症(大脳欠損症)などの中枢神経異常を伴う先天的な奇形がみられる。流行株によっては、生後感染により子牛や育成牛に脳脊髄炎を起こし、後肢や前肢の麻痺を伴う起立不能や運動失調などの神経症状を示す。予防・治療: 市販されている生または不活化ワクチンを媒介昆虫の活動が活発になる夏前に接種する。治療法はない。
上:受精 3 ヶ月の流産胎児右上:妊娠 9 ヶ月での早産胎児右下:異常仔牛の間接湾曲
母牛はほとんど無症状
異常仔牛の大脳欠損大脳欠損による脳幹部露出
眼球振盪、前肢の回転運動、起立不能胎児筋繊維の断裂・変性
ヌカカとは?
日本では約 80種が既知で、哺乳類動物と鳥類嗜好種が明確に区別される。前者にはミヤマ、ホシ、ニッポン、ウシヌカカなど、後者にはニワトリヌカカ、その他数種が普通種。成虫の多くは夜間活動性で、小数の種類が藻暮、昼間活動性。吸血・卵形成のサ
イクルを 2, 3回繰り返し、一部の種では未吸血産卵が可能。未成熟期の生息環境は、常時湿度が保たれた場所から水中へと多岐にわたってい
る。水田、湿地などの水域を選ぶ群と、腐食、糞などを選ぶ群に分かれる。蚊幼虫と相違し、水が干上がっても生存は十分可能。卵は黒いバナナ型で、 1~ 2日で幼虫に孵化する。幼虫の発育日数は温度に依存し、ニワトリヌカカでは 16℃で 40日、 25℃で
12日、 30℃では発育不可能となり、 22.5℃の発育率が最高である。低温では大型、高温で小型の成虫が羽化する。
ヌカカ科は双翅目(ハエ目)の中では60 余属、 4000 種が存在する大きな群で、数属が混血動物吸血性である。「糠粒のように小さい蚊」という意味からヌカカと命名された。
畜舎・鶏舎に飛来するヌカカの生態とその防除について
25℃で約 1月
ヌカカの1種から体液を吸われるモンシロチョウの幼虫
ウシガエルから吸血しているヌカカ
4000種が存在するヌカカ科の仲間には、家畜と無関係の種が大半である。家畜伝染病を媒介するヌカカは、それらとは生態を異にすることから、媒介昆虫を制御する際の工夫が必要となる。
昆虫写真図鑑
手首に取り付いたヌカカ
蚊 ( 左 ) とヌカカ ( 右、小さい
方 )
アルボウイルスによる牛異常産の流行監視技術の開発
(動衛研 九州支所)
体長 1 ~ 3mm
1997 年頃から一晩に採取されるヌカカの数が大きく増え、そのほとんどがウシヌカカであった。
アルボウイルスによる牛異常産の流行監視技術の開発
(九州)
ヌカカから分離された牛のアルボウイルス株数
ウイルス分離結果: アカバネ、アイノ、イバラキ、チュウザンおよびディアギュラの各ウイルスがウシヌカカから最も高率に分離された。
ヌカカの吸血源と発生源(北海道)
捕獲ヌカカの吸血源を ELISA
法で調べたところ、2種がウシとヒツジから、4種がウシから、2種がニワトリから吸血していた。堆肥場やドックの牛糞が混じった土壌からミヤマヌカカが発生していた。
2011 年2010 年2009 年
2008 年 2007 年2006 年
おとり牛を用いた抗体調査
牛異常産 3 種混合不活化ワクチン(アカバネ、アイノ、チュウザン)
化学及血清療法研究所: 牛異常産 AK ・ KB ・ AN 不活化ワクチン日生研 ( 株 ) : 牛異常産 3 種混合不活化ワクチン京都微研: 牛異常産 3 種混合不活化ワクチン共立製薬株: ボビバック ACA
製造用ウイルス株: アカバネ OBEh1 株、チュウザンKh47 株、アイノ JaNAr28 株牛の筋肉内に 3 ml ずつを 4 週間隔で 2 回注射
アイノウイルス感染症( Aino virus infection )対象家畜: 牛、水牛病原体: アイノウイルス( Aino virus)。エンベロープを持ち、マイナス 1本鎖 RNAで 3分節で構成。アカバネウイルスと同じブニヤウイルス科、オルソブニヤウイルス属のシンブ群に属する。疫学:臨床:予防・治療: は同じ
左:コガタアカイエカ、右:ウシヌカカ
椎湾曲による頭部のねじれ、前肢湾曲
チュウザン病( Chuzan disease )対象家畜: 牛、水牛、山羊病原体: レオウイルス科、オルビウイルス属、パリアムウイルス群に属するチュウザンウイルス。疫学: 発生はわが国のみで、主に九州地方に限局している。
和牛で多発し、乳用牛での発生は少ない。ヌカカが媒介。
臨床:異常子牛の出産を主徴とし、流産や死産、早産は少ない。感染母牛には異常はみられない。異常子牛にみられる症状は、虚弱、自力哺乳不能および起立不能などの運動障害、間欠的なてんかん様発作、後弓反張等の神経症状である。眼球の混濁や盲目等がみられることもある。関節彎曲等の体型異常は認められない。水無脳症、小脳形成不全症候群を伴うことから、小脳病変を示さないアカバネ病との鑑別が可能である予防・治療: 市販されている生または不活化ワクチンを媒介昆虫の活動が活発になる夏前に接種する。治療法はない。
下: チュウザン病自然感染例。起立不能、頭頚部の後弓反張、連続的な四肢の回転運動や屈折などの神経症状を示す。
上: 起立不能を呈する生後2日齢の仔牛。
1985~ 86年にかけ九州地方を中心に約2400 頭の発生。その後、 1999年に鹿児島県で発生した。
イバラキ病( Ibaraki disease )対象家畜: 牛、水牛病原体: レオウイルス科 オルビウイルス属 流行性出血熱ウイルス血清群疫学: 発生地域は関東地方以南に限られている。 1959~
1960年に大流行があり、関東以南で約 43,800 頭が発病した。 1997年には 242 頭の発病牛がみられ、さらにこのウイルスが原因と考えられる流死産が約 1,000 頭発生した。ヌカカが媒介。臨床症状: 軽度の発熱とともに、食欲不振、流涙、結膜充血・浮腫、泡沫性流涎、鼻腔・口腔粘膜の充血・鬱血・潰瘍、蹄冠部の腫脹・潰瘍、跛行等がみられる。発症牛の致死率は約20 %。これらに加えて死流産もみられている。予防・治療: 生ワクチンを適期に接種して予防します。対症療法として補液および誤嚥性肺炎の防止が効果的である。
右: 嚥下障害にともなう飲水の逆流
下: 舌麻痺による舌の先端部の持続的突出
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