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発達障害を対象としたソーシャルスキルトレーニング

進路指導

新潟大学教育学部

長澤正樹

このスライドの構成

1. ソーシャルスキルの定義2. 問題行動の過程とSSTの必要性3. SSTの手続き4. SST:さまざまな指導方法5. ライフスキル6. 進路指導と個別移行計画7. 中高校生支援活動

1.ソーシャルスキルとは?

• 社会生活を送る上で人との関係を確立し、円滑な人間関係を維持するスキル(技能)

• そのための訓練をソーシャルスキルトレーニング(SST)という

意義社会生活を送るために必要なスキルとスキルの使用を学ぶことで、人との

関係を築き、円滑な社会生活を送ることができる

ソーシャルスキルの例(Caldarella & Merrell,1997)

領域 具体例

仲間との関係を保つスキル

遊びに誘う

手助けを申し出る

自分をコントロールするスキル

感情を抑える

葛藤場面で妥協する

授業を受けるためのスキル

先生の話をよく聞く

一人で作業を続ける

相手に合わせるスキル 指示に従う

学級のきまりを守る

話すスキル 会話を続ける

相手の話題に合わせる

人とかかわる具体的な技能(スキル)

2.社会生活上のつまづきの過程

発達障害(一次障害)

認知の特異性 自己管理の未発達経験の少なさ誤った対応

ソーシャルスキルの欠如・使用困難

対人トラブル・問題行動(二次障害)

3.SSTの手続き

1. 実態把握、ニーズの把握2. 目標設定3. 個別の指導計画作成4. 指導の手続き

– 説明を聞く、スキルを学ぶ、ロールプレイ

– スキルを考える、スキルを選ぶ、ロールプレイ

5. 評価

3-1実態把握• 社会性のアセスメント

–社会性チェックリスト–身につけさせたい社会的スキル

• 行動観察– ABC分析、日常生活場面の分析

• 知能検査– WISC:認知の特異性–ビネー式知能検査:精神年齢

社会性アセスメント、行動観察、知能検査

「LD,ADHDへのソーシャルスキルトレーニング」より

行動分析とSST(例)子どもの実態

– ADHD。気に入らないことがあると、暴言や暴力が見られる

先行条件 問題行動 結果への対応

うっかりミスをした

相手に迷惑をかけた

暴言・暴力 説教する(効果なし)

「すみませんでした」と言う

問題行動に代わるソーシャルスキル

問題行動を分析し、問題行動にかわる行動をきめましょう

3-1 ニーズの把握• ニーズの把握

• 方法、手段

• ポイント

困っていること、悩み現状の認識、まわりの認識とのずれ

カウンセリング、ビデオ記録、チェックリスト

問題の過程の視覚化

本人の認識をくわしく聴くことが最も重要

3-2 指導目標の選択

• チェックリストから、必要な項目を目標化

• 本人の願いを目標に–願う姿を聴く–願う姿を具体化する–獲得したいスキルを目標化する

ねがい → 目標 → 行動目標

社会性チェックリストなど

行動目標:観察可能な目標例)1メートル離れて話す

短期目標 指導方法 指導場面 指導者

・間違ったときは「すみませんでした」と言う

・謝罪が必要な場面を一緒に考える

・謝るシナリオを作成する

・「ごめんなさい」をロールプレイ

・失敗した場面で言い方を考えるよう促す

・相談室

・通常学級

相談員

担任

3-3個別の指導計画にまとめる

スキルの選択

特別な指導方法

関係者で指導計画を共有する

計画作成で、関係者の連携を

通常学級でも指導する

獲得が期待される能力例:おもいやり

傷ついた友達を慰めるお年寄りに席を譲る落とし物を届ける

いじめられている友達を助ける

ソーシャルスキルトレーニング説明を聞く

練習する(ロールプレイ)評価(いいところを見つける)日常場面で実行する

スキルをきめて具体的に教え、社会性を育てる

3-4 SSTの基本的な手続き

スキルトレーニング:2つのパターン

1. 「型」を教えて繰り返し、定着をはかる– 広汎性発達障害に適した方法

– 無難な対応の仕方を徹底的に教える

2. スキルを考え、選択する– 場面設定し、必要なスキルを考える

– 自分にあったスキルを選択し、実践する

– 自分なりの表現方法を身につける

– ADHDに向いている

型を教える方法、スキルを自分で選ぶ方法

アスペルガー障害とSST• 会話の基本的なパターンを練習する

• 不適切な行動の実例を示し、適切行動のリハーサル

• 今までの経験を振り返り、適切な行動を教える

• 非言語行動を教える• 感情の読み方を教える

会話の始め方終わり方、頷き、「ところで・・・」

自分を客観視できる場合。共感することを忘れずに

視線、姿勢、体の向きなど

表情の理解、理由を推測、対応方法

人とのかかわり方を具体的に教えること

他者理解の工夫

• 自分と他人の気持ちの違いと対応を図に示す

• 空気の読み方を教える

• 共通体験の重要性人と同じ体験をすることで相手の気持ちが理解

できるようになる

他者理解の困難さは障害特性によるもの苦手なことを認めて理解できる工夫を

書いて対比させ、違いに気づかせる

メンバーの態度、表情、話題などを具体的に

ADHDとSST(自己解決法)

• 4-5でくわしく説明いたします。

3-5評価

• スキルの獲得、スキル使用を評価する• チェックリストによるアセスメント• 自己評価法

–自己評価+第三者評価–ビデオモニタリング

• 日常生活場面の観察:学校、家庭

教師による評価も大事だが、本人による記録・評価が最も重要

チェックリスト(例)

月 日 月 日 月 日 月 日

相手を見て話す

「すみませんが」と言う

相手の話を聞く

◎:ひとりでできた○:手伝ってできた△:できなかったチェックリスト

月 日 月 日 月 日 月 日

相手を見て話す ○ ◎

「すみませんが」と言う

△ △

相手の話を聞く △ ○

手軽にできる客観的評価をしましょう

評価の本当の意義

• 目標が達成できた、約束が守れた!

• 「自分はできる」

• 「自分は○○は得意。でも◎◎は苦手」

自己肯定感

自己理解将来の進路を考える元

評価で自信がつき、前向きな自己理解ができる

4.さまざまな指導方法(テクニック)

様々な指導方法

• スクリプトによるSST• ロールプレイ• 文章によるSST:ソーシャルストーリー• 視覚的支援• 自己解決法

–自己選択を促す方法(ADHDとSSTのスライド)

生徒にあった指導方法や教材を選びましょう

4-1スクリプト(シナリオ)によるSST

• コミュニケーション場面を特定化する

• 場面にあった台詞を考える

• ロールプレイ(場面設定、繰り返し練習)• 自己評価

設定の例:友達をゲームに誘う

「おはよう」「昼休み、ゲームしよう」「約束だよ」

「きょうはうまくさそえたぞ!」

家庭、学校両方で実施慣れてきたらパターンを少しずつかえる(アドリブ)

同じような場面でも実行する

例:上手に断る

• 皿とコップを準備する• 指導者が、生徒があまり好きではないおやつをすすめる

• 生徒:「ゼリーは苦手なので、プリンをください」• 指導者はプリンをあたえる。• 生徒:「ありがとうございました」

場面を設定してスクリプト(シナリオ)を作成する繰り返し練習、実際場面での実行

評価 → できたことを確認 → つぎに生かす

4-2ロールプレイの実際(少年院の実践から)

• 趣旨説明と設定–例)悪い仲間からの誘い。断り方を学ぶ

• ロールプレイ–例)「ちょっとつきあえよ、○○先輩がおごってくれるってさ」

• 評価、話し合い– もっと良い言い方–再度ロールプレイ

ちょっと用事が・・・、少しだったらいいけど・・・

すみません。7時に弟を迎えにいくので。これからバイトにいかなければならないので失礼します。

より効果的な言い方:アサーション

• さわやかな自己表現、自己主張• 自分も、相手も大切にした自己表現• 例)列に割り込まれたとき

–×「後ろに並べよ!」 ×ぶつぶつ不満を言う–○「ここはみんなが並んでいますので、後ろに並んでいただけませんか?」

どのような言い方が、自分にとっても相手にとっても良いのかを考え、表現できるように教える(練習する)

4-3文章で教える(ソーシャルストーリー)

• 私は 中学校 年 組の です。毎日元気に登校して、勉強しています。一番好きな教科は 、苦手な教科は です。勉強は難しいときもあるけれど、私はこの中学校が好きです。

• しかし、今日イヤなことがありました。携帯電話を学校に持っていったところ、 先生に見つかり、叱られました。その理由を考えてみたいと思います。

• 携帯電話は大変便利な道具です。たとえば、 できます。 できます。とても便利だと思いますし、私にとって必要なものです。

• しかし、携帯電話を中学校に持ってくると、都合が悪いことがあります。まず、学校の規則では携帯電話を持ってくることが認められていません。携帯電話をみんなが持ってくると、授業に身が入らず、勉強が遅れます。また、持っていない人がうらやましがって、盗ってしまうかもしれません。

• ですから、中学校に携帯電話を持って来ないこと、家庭で使うこと、休日には持って行ってもいいことを守りたいと思います。これは社会のルールであり、中学校のルールです。私は社会のルールを守れますし、中学生なので中学校のルールも守れます。

• 社会や中学校のルールを守り、楽しい中学生活を送りたいと思います。

ソーシャルストーリーの構成

• 私は 中学校 年 組の です。毎日元気に登校して、勉強しています。一番好きな教科は 、苦手な教科は です。勉強は難しいときもあるけれど、私はこの中学校が好きです。

• しかし、今日イヤなことがありました。携帯電話を学校に持っていったところ、 先生に見つかり、叱られました。その理由を考えてみたいと思います。

• 携帯電話は大変便利な道具です。たとえば、 できます。 できます。とても便利だと思いますし、私にとって必要なものです。

• しかし、携帯電話を中学校に持ってくると、都合が悪いことがあります。まず、学校の規則では携帯電話を持ってくることが認められていません。携帯電話をみんなが持ってくると、授業に身が入らず、勉強が遅れます。また、持っていない人がうらやましがって、盗ってしまうかもしれません。

• ですから、中学校に携帯電話を持って来ないこと、家庭で使うこと、休日には持って行ってもいいことを守りたいと思います。これは社会のルールであり、中学校のルールです。私は社会のルールを守れますし、中学生なので中学校のルールも守れます。

• 社会や中学校のルールを守り、楽しい中学生活を送りたいと思います。

自己プロフィール

トラブル(事実)

自分の立場に立った見解(事実)

守らねばならぬ理由(事実)

約束・周囲の支援など

心の状態と対応の仕方を学ぶ4-4SST視覚教材の例

レベル1 レベル2 レベル3

心の状態

気持ち 余裕

まだまだがんばれる

少しイライラ

少ししかがんばれない

爆発寸前

もうダメ

適切な言い方、対処の仕方

「だいじょうぶだよ」

課題を続ける

「少し休ませてください」

先生に助けを求める

・・・・

保健室に行く

自分の状態を知り、対処の仕方を学ぶ

解決方法を視覚化する(認知行動療法)

問題

気分

行動

結果

守ってくれる人、方法

対処

解決方法を視覚化する(認知行動療法)

問題

悪口を言われる

気分いらいらする

何も考えられない

行動叩く

大声を出す泣く

結果喧嘩になる

教室にいられない

守ってくれる人、方法

先生:話を聞いてくれる○○くん:先生を呼んでくれる

○○さん:保健室につれていってくれる

対処

先生に相談する

問題の過程と今後の約束を確認できる工夫

約束の意味と具体例を示すこと約束表

・約束:親の目が届くようなバイトは認めます。

・意味:家の近くのコンビニやファーストフード店などで、昼10時から夜8時までなら認めます。

• 認めるバイト– コンビニ– 新聞配達

• 認めないバイト– バーテン– ゲームセンター

約束、意味、具体例をわかりやすく示しながら、対応を教えること

4-5 自己解決法

話を聴くための基本原則

話を聴く基本原則(1)• 積極的に話に耳を傾ける

• 相手の感情や気持ちを受け止める

• 相手の感情や気持ちを理解する

相手の話に関心を持ち、ひたすら相手の話を聴く「もう少しくわしく」「どういうこと」など、質問する

相手の感情に近づき、ともに感じること「悲しかったのですね」など、受け止めること

相手の考えを尊重し、理解すること「あなたは○○と考えているのですね」

時間をかけてよく聴き、気持ちを受け入れ理解する

話を聴く基本原則(2)• 困っていること、願いを聞き取る

• そのための方法を一緒に考える

• 継続的支援を約束する

今までの経験から今できることや必要な支援を一緒に考える「まずなにができそう?」「先生にできることは?」

現状をどのように感じ、どうなることを望んでいるか「どうなってほしい?」「どうなると安心できる?」など、質問する

取り組む方法を確認し、次の話し合いの日にちをきめる「まず○○してみよう」「次は○日に結果を聞かせて」

本人と考え、本人にきめさせ、できたことを評価する

問題行動の対応事例

1.困っていることはどんなことですか?

2.今の状態から、どうなることが望ましいと思いますか?

3.問題以外で認めて欲しいことは何ですか?

4.教師に支援して欲しいことは?

授業がわからない

数学の問題が解けるようになりたい

課題ができたら、図鑑を見ていいことにして欲しい

課題の量を減らして欲しい

そうなんだ、わからないといやになるよね。

問題行動の場合、子どもの気持ちを受け止め、必要な支援と代替行動をきめる

自己解決法(まとめ)

問題が起きる過程・事実事実の確認

自己認識

行動目標

手だて・支援

自己評価

自己の認識とのずれずれの修正の意識

現実的に受け入れられる行動に気づく

うまくいくための手だてと周囲の支援

実行「できる」という前向きな

自己理解

5.ソーシャルスキルからライフスキルへ

ライフステージに応じた支援プログラム

自立生活

ライフスキル対人システム理解、対人関係調整生活管理、事故理解、余暇活用

アカデミックスキル ソーシャルスキル

小貫(2009)一部修正

就労

就労スキル

学力とSSを元に、生きるために必要なスキルの獲得を

ライフスキルの領域(小貫,2009)

• 社会システム理解–社会資源を有効に利用できるスキル群

• 対人関係調整–社会で出会うさまざまな人との対人スキル群

• 生活管理–生活全般を健康に送るスキル群

• 自己理解–自分を知り、自分を生かせるスキル群

• 余暇活用日常生活で生じる様々な問題や要求に対して、建設的かつ効果的に対処するために必要な能力

自立生活に必要なこととは

食生活栄養管理、料理、買い物、外食、会食マナー、調理器具など

衣生活着替え、購入、TPO、アイロン、洗濯、収納、入れ替えなど

住生活戸締まり、掃除、家具の購入・管理・維持、アパート探しなど

身だしなみ洗顔、整髪、歯磨き、入浴、化粧、公衆浴場利用、生理、洗髪など

移動公共交通機関、通勤、時刻表、旅行、ホテルの予約、自転車、自動車など

生活一般家計管理、預貯金、税金、公共料金、銀行・郵便局、役所、スケジュール管理など

つき合いつき合い、うまくつきあう、友人、職場、年上・年下、異性、デート、冠婚葬祭など

健康と性健康管理、通院、健康診断、医療保険、体、異性とつきあう、犯罪、結婚など

危機管理災害、危険の察知、状況判断、保険、契約のトラブル、緊急連絡(警察、消防、救急)

職業生活仕事の基本、就労の維持、キャリアアップ、退職、ハローワークの利用、支援機関の利用

情報/通信(携帯)電話、インターネット、職場への連絡、回覧板、新聞など

娯楽/趣味スポーツ(観戦)、音楽、テレビ、ダンス、ゲーム、ビデオ、趣味など

生きがい仕事、自立生活、ボランティア、自己決定、仲間、財産など

調整能力優先順位、複数の課題処理、修正・モニター、援助を求める、自己決定など

個別計画作成と評価への本人参加

• 当事者と支援者との協働作業–当事者の思いを理解し、共感すること–当事者が自分できめられるように支援すること

• 自己評価から自己理解へ–できることとできないことを知る–自分の特性を知る–自分にあった進路を決める

本人の参加 → 問題解決の意識、自信へ

手続き

• 目標をきめる

• 必要な支援をきめる

• 計画作成• 定期的に評価する

困っていることを聞き、どうなりたいのかを一緒に考える

そのために必要な支援、して欲しくないことを考える

できたこと、がんばったことを言わせるできたこと、がんばったことをほめる

本人の参加 → 問題解決の意識、自信へ

1.困っていることはどんなことですか?

2.この一年で、どうなりたいですか?

3.教師、親にして欲しいことは?

4.して欲しくないことは?

自分のことが自分でできない

一人で洗濯機が使えるようになりたい

洗剤の分量を見て欲しい

他は口出ししないで欲しい

状況を具体的に質問し、問題の過程や本質を分析する

短期目標 して欲しいこと・して欲しくないこと

結果・がんばったこと

長期目標 自分はどうなりたいのか(自立生活を送る)

次の目標

教師・親に手伝って欲しいこと、して欲しくないこと

(洗剤の分量を見てほしい。ほかは口出しをしないで

ほしい)

できるようになったことがんばったこと(洗濯機の使い方をマスターした)

洗濯物を干す

今できることは何か

(週2回洗濯する)

ライフスキルを計画的、系統的に指導することが求められます

6.進路について

卒業後の進路について

• 高校卒業後– 68%が進学(専門学校、短大、大学)

• 就職–一般就労:38%–障害者枠就労:12%

• 手帳の取得:36.8%• 進路指導上の悩み• 利用した相談機関

全国LD親の会(2005)

全国LD親の会(2007)

適性がわからない、とりあえず進学

教育相談センター発達障害者支援センター

ハローワーク、障害者職業センター

卒業したけれど就職できない(していない)現状

進路指導の基本

• 自己理解を促す–興味・関心、適性(障害特性)、学力–興味・関心に結びつく職業調べ

• さまざまなスキルトレーニング– ソーシャルスキル、パソコン、資格、免許

• 社会体験(就労体験)–インターンシップ、ボランティア、アルバイト(?)

自己決定の尊重、具体的できめ細かなプログラムをハローワーク等との連携、

職業リハビリテーションサービスの活用

客観的で前向きな自己理解を

自分の特性にあった大学、専門学校を選択

個別の移行計画

• 将来の「就労」「生活」「余暇」について目標をきめ、目標達成のために獲得すべきことがらを整理した計画書

• 個別の教育支援計画の一種• (例)http://www.ed.niigata-u.ac.jp/~nagasawa/IESP.pdf

就労、卒業後の生活のビジョンを具体化し、高校で学ぶことを具体化すること

入学後、できるだけ早期に作成することが望ましい本人、保護者の参画

①入学時の実態

②卒業時の姿

③3年間の中で取り組む学習内容

④自己評価

卒業後の目標と達成のための学習を計画し、継続的に評価する。高校生活に見通しを持たせる

事例:アスペルガー障害の高校生

• 問題:家庭生活で自分勝手な行動が多い• 支援チームによる話し合い

–両親、本人双方の要求や願いを聞く–仲介者が妥協案を提案–双方の間で意見調整

• 支援計画作成と実行• 定期的に報告会と次回計画の作成

起床就寝時間携帯の使用料ゲームの時間

できていることを評価し、本人の自己管理をうながす約束を守り、自信を深めた。信頼されるようになった

7.中高校生への支援

長澤研究室の支援活動:

チャレンジルーム

チャレンジルームとは

• 特別な教育的ニーズのある中高生に対して、居場所を提供するとともに、仲間とのかかわりを通した余暇スキルやソーシャルスキルの獲得を目的とした活動

チャレンジルーム公式サイトhttp://www.ed.niigata-u.ac.jp/~nagasawa/challenge(2009).htm

チャレンジルーム

チャレンジクラブ

(中学生対象)

チャレンジユース

(高校生対象)

チャレンジレディース

(女の子対象)

一人で通ってくることが条件です(意欲が大事)

活動場所

新潟大学 プレイルーム

演習室・小会議室・心理面接室

大学の構内

市内娯楽施設(ボーリング場など)

活動日

・月1回(原則として第3土曜日)

・10:00~12:00

スタッフ:合計26名(H20年度)• 大学院生・・・6名

–現職教員3名、学生3名• 内地留学生・・・4名

–現職教員(新潟県・市派遣教員)• 学部4年生・・・3名

–長澤研究室所属。卒論のため• 学部3年生・・・12名

–授業:「障害児指導学演習」• ボランティア・・・1名:特別支援学校講師

かかわるスタッフがたくさんいます

スタッフの役割役割 内容

MT(メイントレーナー)

・活動のリーダー:活動の進行や活動の指示

・問題行動に対し、状況に応じて指導する

ST(サブトレーナー)

・活動のサブリーダー

・MTの指示を個別に補足、MTの補佐

・活動の様子を記録する(連絡帳記入)

・問題行動に対し、状況に応じて指導する

F(フレンド)

・参加者の仲間。理想的な中学生

活動を盛り上げたり、ふさわしい行動のモデル

を示す

・直接子どもへの指導はしないこの存在がウリです

年間活動計画(20年度)チャレンジユース活動計画案チャレンジクラブ活動計画案

日程 活動内容 担当

4/26 自己紹介・ゲーム C・D

5/17 クレープ作り C・D

6/28 工作 A・C

7/19 校外活動計画・ゲーム C・D

8/未定 1日校外活動(ユースと合同) C・D

9/13 野外活動 B・D

10/18 調理 A・C

11/15 工作 C・D

12/20 クリスマス会(ユースと合同) C・D

1/17 ボーリング(ユースと合同) C・D

2/21 調理 B・D

3/14 卒業・進級を祝う会 C・D

日程 活動内容 担当

4/26 自己紹介・ゲーム A・B

5/17 フリー A・B

6/28 フリー B・D

7/19 校外活動計画・フリー A・B

8/未定 1日校外活動(クラブと合同) A・B

9/13 フリー A・C

10/18 フリー B・D

11/15 フリー A・B

12/20 クリスマス会(クラブと合同) A・B

1/17 ボーリング(クラブと合同) A・B

2/21 フリー A・C

3/14 卒業生を送る会 A・B

調理活動:4回ゲーム活動:3回学校外での活動

3回もの造り活動:2回

ゲーム活動:3回学校外での活動

2回フリー活動:6回

チャレンジルーム活動の流れ

時間(分) 活動内容

10 1.始めの会

①あいさつ

②活動の流れの確認

③評価カードの記入

80 2.メイン活動

15 3.茶話会

15 4.終わりの会

①評価カードの記入

②感想発表

③あいさつ

参加の約束を一緒に確認してから活動に入ります

ユースはこのとき主にフリー活動を行います

次回の活動内容の話し合いをしたり、レディースだけ別室で茶話会をしたりします

チャレンジルームの参加約束チャレンジルームは、みなさんが楽しく活動するところです。みなさんと楽しく活動するために、次のことを守ってください。

1.チャレンジルームでは、優しいことばを遣う。

×「おまえ」「ふざけるな」「~しろ!(命令口調)」 ○「~君、~さん(名前を呼ぶとき)」「~してください」

2.いやなことを言われたときや、して欲しくないことをされたときは、叩いたりせず

に、言葉で「やめてください。」と反論する。

3.友達、スタッフから「やめてください。」と言われたときは、すぐにやめる。

4.スタッフからの指示があるときは、しゃべらない。

5.スタッフの言うことは絶対に聞く。

※1~5のどれかを守れなかった場合は、約束を一緒に確認します。

場合によっては、別室で確認することもあります。

3回注意された場合は、活動参加をやめてもらいます。

以上5つのことを一人ひとりが守ったら、とても楽しい活動になると思います。

5つの約束を守れる人は署名をして、みなさんで楽しい活動にしましょう。

署名

チャレンジルームの基本方針(1)• できるだけ子どもの発言や行動を受け入れる

• 活動前に約束表でルールを確認

• めあてカードで目標設定、反省

• 年齢相応で子どもの好きな活動を

子どもたちの居場所

行動契約法:ルールを守ることの徹底化

自己解決法(目標設定→実行→自己評価)

活動への意欲料理、製作、ゲーム、校外活動

基本方針(2)• わかりやすい流れ• 指導者の役割分担

• 適切なモデルと活動の中での自然な指導

• 茶話会の設定–感想発表–感想を聞く

会話の援助(質問、うながし、気づき)注目(子どもをほめる、認める)活動の中でさりげなく、自然に

MT、ST、フレンド(模範的な中高生)

自己主張の場

他者理解の場

SST:まとめ• 問題行動の指導からSSTへ

• 楽しく、役立つ指導を

• 指導が実際場面に生きるように

~してはいけません → ○○しましょう(ソーシャルスキル)

いやな場面より楽しめる設定、使うことで自分の利益になるスキル

相談室と通常学級、家庭との連携個別の指導計画の作成を

適切な言い方を楽しく学び、実際場面で使えるように

長澤研究室

http://www.ed.niigata-u.ac.jp/~nagasawa/メールマガジン、特別支援教育・発達障害の情報、資料

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