csclを活用した協働学習における 批判的思考力育成場面の検討

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20140912 日本科学教育学会 Examination of critical thinking skills training scene in collaboration learning utilizing CSCL.

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CSCL を活用した協働学習における批判的思考力育成場面の検討

Examination of critical thinking skills training scene in collaboration learning utilizing CSCL.

佐藤 和紀 東京都北区立豊川小学校   久保田善彦 宇都宮大学 舟生日出男 創価大学 鈴木 栄幸 茨城大学日本科学教育学会 1G3-G2

研究の概要Ennis の批判的思考力育成の教授法を基に , 集団と個を往復しながら検討を進める協働学習プログラムを開発した .

集散的学習の支援を目指した CSCL システム (XingBoard) を用いて授業実践を行った .

批判的思考態度尺度平均点は , 事前調査よりも事後調査のほうが有意に向上した .

協働学習場面においては , グループでの議論を体験することで公平性や友達の意見を参考にして意見を構築しようという態度の向上が示唆された .

1. 問題の所在• 21 世紀型スキル ( 山内 2013,ACT21s)• 思考の方法

• 1.  創造性とイノベーション 2. 批判的思考、問題解決、意思決定 3. 学び方の学習• 働く方法

• 4.  コミュニケーション 5. コラボレーション(チームワーク)• 働くためのツール

• 6. 情報リテラシー 7.ICT リテラシー• 世界の中で生きる

• 8.  シチズンシップ 9.  人生とキャリア発達 10. 個人の責任と社会的責任

1. 問題の所在

• 批判的思考力が協働学習場面においてどのように変容したかについて示した研究はない .

• 協働学習の効果について具体的に示す実践はない .

2.研究の目的

• 協働学習において批判的思考力がどのような場面で何が育成されるかについて明らかにすること

3.1. 批判的思考力を育成する協働学習プログラムの開発

• Ennis(1987) の批判的思考力の教授法

• a. 学習者の方向づけ ( 目標の提示 , 推論方略の概説 )

• b. 指導 ( モデリング , 説明 , 例示 )

• c. 練習 ( サポートのある訓練とない訓練 )

• d. フィードバック ( ディスカッションなど )

3.1. 批判的思考力を育成する協働学習プログラムの開発

• 協働学習については , 小集団や教室全体などの様々な集団による学習が提案されている .

• 「交流活動の社会的な場面のみに注目せず,個人が社会的なものを内化する過程にも目を向けるべきではないだろうか」 ( 久保田 2014)

3.1. 批判的思考力を育成する協働学習プログラムの開発

• 「集団で構築されたアイデアや , これまでの自分にはない他者のアイデアを自己の観点から意味づけ ,自分の言葉や行為として具体化する過程が必要である」久保田 (2004)

• グループ活動後の個人活動にも注目すべき点

3.1. 批判的思考力を育成する協働学習プログラムの開発

Ennis(1986) 批判的思考力の教授法久保田 (2004,2014) 集団と個を往復する学習形態

小学校 6年生 総合的な学習の時間「総理大臣としてエネルギー政策を考えよう」 7時間

国語科「未来に生かす自然のエネルギー」理科「人の暮らしと環境」社会科「世界の中の日本(環境問題)」 ジグソー学習法 CSCL の活用

3.2.Xing Borad を活用した協働学習

協働学習における個と集団の往復を目指した CSCL システム• タブレット端末上に付箋のようなカードを作成することができる• 4枚のタブレット端末を合体させ ,端末を越えたカードのやり取りが可能

ジグソー学習を取り入れていること多くの情報を集約・分類しさらに自分の意見をまとめあげること複数端末が接続可能でデータを往復できる仕組みであること

http://xb.umegumi.net/

• エネルギーのメリットデメリットを挙げる。

• エネルギー政策を考える上で必要なことを考える。

二酸化炭素が排出されない

風がないと発電できない

多くの電力をつくることができる

二酸化炭素が多く出る

自宅でも発電できる

曇りだと発電できない

効率的に発電できる

放射能汚染等の危険

A君 B君

C君 D君

個人活動

活用例

二酸化炭素が排出されない

風がないと発電できない

多くの電力をつくることができる

二酸化炭素が多く出る

自宅でも発電できる

曇りだと発電できない

効率的に発電できる

放射能汚染等の危険

A君 B君

C君 D君

グループ活動

活用例

二酸化炭素が排出されない

風がないと発電できない

多くの電力をつくることができる

二酸化炭素が多く出る

自宅でも発電できる

曇りだと発電できない

効率的に発電できる

放射能汚染等の危険

個人活動2回目

活用例

二酸化炭素が排出されない

風がないと発電できない

多くの電力をつくることができる

二酸化炭素が多く出る

自宅でも発電できる

曇りだと発電できない

効率的に発電できる

放射能汚染等の危険

個人活動2回目

危険性・環境 発電の限界

理想的な発電環境

活用例

https://www.youtube.com/watch?v=JNoHfE1QaHkxing board デモ

3.1. 批判的思考力を育成する協働学習プログラム第一次「日本のエネルギー政策を調べよう」2時間

• 理科や社会で学習した環境問題を振り返り、日本の環境問題や電力需要やエネルギー政策について調べ、日本の実態を知る。

3.1. 批判的思考力を育成する協働学習プログラム第二次「諸外国のエネルギー政策を調べよう」3時間

• それぞれのグループが日本と関係性の深い外国のエネルギー事情や政策について調べて(グループ間のジグソー学習)、ポスターセッションで発表する。

3.1. 批判的思考力を育成する協働学習プログラム第三次「総理大臣としてエネルギー政策を考えよう」2時間

• 1時間目• ①個人活動• ②グループ(小集団)• ③個人活動• ④議論

• 2時間目• 個人活動

3.1. 批判的思考力を育成する協働学習プログラム第三次「総理大臣としてエネルギー政策を考えよう」2時間

• ①個人活動( 1/2時間)ジグソー学習

• 8つのエネルギー(火力(石油、石炭)、水力、バイオマス、原子力、風力、太陽光、天然ガス)について1人2つのエネルギーのメリットとデメリットを XB で整理する。

3.1. 批判的思考力を育成する協働学習プログラム第三次「総理大臣としてエネルギー政策を考えよう」2時間

• ②グループ(小集団)活動• XB で持ち寄った意見を 4 人で整理分類する。

3.1. 批判的思考力を育成する協働学習プログラム第三次「総理大臣としてエネルギー政策を考えよう」2時間

• ③個人活動2

• 4 人で整理分類したものを分配して、制作としてのエネルギー優先準備をピラミッドチャート等の思考ツールを用いて表現する。

3.1. 批判的思考力を育成する協働学習プログラム第三次「総理大臣としてエネルギー政策を考えよう」2時間

• ④議論(小集団→全体)• 考えたエネルギー政策について理由を述べながら議論する。

3.1. 批判的思考力を育成する協働学習プログラム第三次「総理大臣としてエネルギー政策を考えよう」2時間

• ⑤個人活動3( 2/2時間)

• 議論した内容と現在の状況を踏まえ、現実的なエネルギー政策と未来のエネルギー政策を考える。

太陽光

児童 A

児童 A

児童 B

児童 B

児童 C

児童 D

児童 D

3.3.評価の方法3.3.1. 批判的思考態度尺度を用いた評価の方法

• 批判的思考態度尺度 ( 平山・楠見 2004)4因子

• 小学生が理解できるように文言等を調整、研究者 3名と妥当性の検討

• 質問 33項目、 5件法

• 単元前 (H26.3.5) 、単元終了後 (H26.3.20) に調査

3.3.評価の方法3.3.2. 協働学習場面の評価の方法

小学生用に開発した批判的思考態度尺度から因子を考慮して 8項目を作成。

個人活動 (ジグソー学習 )→ グループ学習→個人活動 ( 意志決定 )→ 議論それぞれの場面終了後に質問紙調査

批判的思考尺度プレ 33項目

批判的思考尺度ポスト 33項目

批判的思考尺度 8項目

単元開始

第三次(1時間)

① ② ③ ④

評価計画

単元終了

4.結果と考察4.1. 批判的思考尺度 33項目による学習プログラムの評価

4.結果と考察4.2. 批判的思考尺度 8項目による協働学習場面の評価

5%水準で有意

質問2と5以外有意差無し

• 5%水準で有意• 物事を公平に考える• 友達の意見を取り入れて思考する

5%水準で有意

まとめと今後の課題

1. 批判的思考態度尺度平均点は , 事前調査よりも事後調査のほうが有意に向上した .

2. グループ活動後の個人活動においては公平性や友達の意見を参考にして意見を構築しようという態度の向上が示唆された .

3. グループ活動においては批判的思考態度は向上が示唆された

A. 質的データからの考察B. 批判的思考態度尺度から作成した 8項目の検討と実践の再検証

CSCL を活用した協働学習における批判的思考力育成場面の検討

Examination of critical thinking skills training scene in collaboration learning utilizing CSCL.

本研究の一部はJSPS(23300295)(24300286) の助成を受けて行った.

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