自宅で出来る簡単リハビリ !決定版!...~脊髄小脳変性症・pt編~...
Post on 07-Aug-2020
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~脊髄小脳変性症・PT編~
吉野内科・神経内科医院
理学療法士 江田真紀
自宅で出来る簡単リハビリ!決定版!
バランスがとれない正確な運動ができない筋緊張の低下
支持基底面を広げる自由度を下げる(固くする)不安による過剰な筋緊張筋緊張のアンバランス
小脳性運動失調による一次性機能障害
適応的変化・代償動作
頸部、肩甲帯周囲の過緊張手を広げたりする
体幹部(腹部)の低緊張体幹部の動揺
ワイドベース・酩酊歩行下肢の過緊張
下肢関節の動きの減少(棒足様)
SCD患者さんへのリハビリテーション
二次的な機能低下の予防・改善 代償動作の偏りの修正
身体機能に適した機能的な動作方法の再学習
自助具や補装具の使用や環境整備
患者さんの持っている身体機能を有効に用いて、起居移動動作能力やADLの自立度を維持・改善し、少しでも活動的で豊かな生活に結びつけること
関節可動域運動、筋力増強運動、静的・動的バランス運動、協調性課題、ステッピング練習、歩行練習などを1日2時間、4週間行ったところ、運動失調、ADL、歩行速度などに介入効果があり、フォローアップで運動を継続した結果、6か月後も持続効果がみられた
Miyai I,Ito M,et al:Cerebellar ataxia rehabilitation trial in degenerative Cerebellardiseases.Neurorehabil Neural Repair.2012;26:515-22
⇒改善は四肢の失調よりも体幹の失調により認められた⇒より軽症者で効果が持続していた
1回1時間、週3回、バランス練習、協調運動練習などで構成されたリハ介入を4週間施行したところ、SARAが平均5.2ポイント改善し、8週間効果が持続した。また介入終了後も家庭での自主練習を継続したところ、1年後の評価でもSARAは介入前よりも改善していたIlg W,et al:Intensive coordinative training improves motor performance in degenerative cerebellar
dis-ease.Neurology 2009;73:1823-1830
短期集中リハビリのエビデンス
1日20分間のバランス練習を中心とした自主練習を6週間実施したところ、歩行速度や重複歩調などが改善し、その効果は1か月続き、さらに、患者の主観的な難易度が高いほど歩行速度の改善も大きかった
Keller JL,Bastian AJ:A home balance exercise program improves walking in people withcerebel-lar ataxia.Neurorehabil Neural Repair 2014;28:770-778
自宅での自主練習に関するエビデンス
※重複歩調=ストライド:片足の踵から同じ足の踵がつくまでの距離
SCD患者さんの代償動作の特徴
バランスがとれない正確な運動ができない筋緊張の低下
支持基底面を広げる自由度を下げる(固くする)不安による過剰な筋緊張筋緊張のアンバランス
小脳性運動失調による一次性機能障害
適応的変化・代償動作
頸部、肩甲帯周囲の過緊張手を広げたりする
体幹部(腹部)の低緊張体幹部の動揺
ワイドベース・酩酊歩行下肢の過緊張
下肢関節の動きの減少(棒足様)
バランス安定のためには体幹安定化の促通と体幹強化が必要不可欠です
体幹安定化の基本⇒ドローイン(腹部引き込み)
左右に手を当てておくと、お腹の動きがよく分かります。
① 仰向けに寝て膝を立てます。
② 何度か腹式呼吸をしてお腹を動かします。
③ 息をゆっくり吐きながらお腹をへこませていきます。
④ 息を吐ききってこれ以上はお腹がへこまないというところまでいったら、その状態をキープしながら浅い呼吸を繰り返します。
⑤ 10~30秒キープしたら元に戻します。
トレーニング①座位での左右への重心移動とバランス練習
1. バスタオルを丸めてタオルロールを作ります
2. お尻の下に入れて座ります
3. 身体は横に曲がらないように、できるだけまっすぐのまま行います
4. 座った姿勢で左右への重心移動の練習を行います
左右5回ずつ合計10回
トレーニング②フロントブリッジ
肘とつま先で体を支えます。つま先で支えるのが難しい場合は膝で支えても大丈夫です。身体が一直線になるように意識しましょう。
10秒×3回長くできればできるだけでも呼吸は止めずにやりましょう!
トレーニング③バードドッグ
四つ這い姿勢から、片方の手と反対側の足を一緒にあげます。そのまま、姿勢が崩れないように5秒間維持します。
トレーニング⑦バードドッグで上下肢屈伸
四つ這い姿勢で、片方の手と反対側の足を上げた状態から、手足を一緒におなかに近づけるように曲げ、またしっかり伸ばします。姿勢が崩れないように注意しながら行います。
5回
トレーニング④スイングアーム
膝立ち位で姿勢を保ちながら、両手を大きくスイングします。
10回
トレーニング⑤膝立ちでの前後左右移動
膝立ち位で姿勢を保ちながら、前へ5歩、後ろへ5歩同様に、右へ5歩、左へ5歩
トレーニング⑥膝立ちからのフロントステップ
膝立ち位から、片膝立ちになります。片膝立ちになったら5秒間維持します。バランスが崩れやすい場合、壁に手をつくと安全です。
トレーニング⑧立った姿勢での屈伸運動
1. 壁に背中をつけて立ちます。
2. 肩幅くらいに足を開きます。
3. 背中は壁につけたまま、膝の屈伸をします。
5回
トレーニング⑨フロントランジ
立位姿勢から一歩前へ踏み出します。そのまま3秒間維持。足を戻し、反対側も行います。
トレーニング⑩多方面へのリーチ
1. 足を肩幅より少し広げて立ちます。
2. 右手を左足の外側につくイメージで手を伸ばします。
3. 反対も同じように行います。
左右5回ずつ合計10回
転倒の特徴
ヒトとのすれ違いで転倒することがある歩行中、突然バランスを崩すことがある自分の足でひっかかることがある何かの動作を始める時や方向転換時によく転ぶ寝起きは四肢・体幹の不安定さが強くなる
転倒予防
①転倒しない身体を作る
②転倒しにくい環境を作る
③転倒しても大事に至らないようにする
②転倒しにくい環境を作る
生活動線を考慮
不用意に床にものを置かない
手すりの設置
支持物として利用しても倒れない家具の配置
標準的な高さ(大転子)より少し高めに!
補装具として杖や歩行器、車いすを使用する杖はT字杖よりもロフストランド杖のほうが安定する。
T字杖よりもストック型がよい。
少し長めに杖を調整する。
歩行器は抑制ブレーキ付き歩行器がおすすめ。
もしくは、歩行器自体に重りをつけて、より安定性を高めて使用する。
③転倒しても大事に至らないようにする
ベッド柵の保護には保温カバー(ホームセンターの配管パイプコーナーなど)
家具の角やへりには、コーナークッション/セーフティテープ 保護帽子
まとめ
リハビリの目標は安心して動ける状態をつくること!自ら開始した運動が、いつでも自在に制御できる状態をつくることです。体幹を安定させることが重要です!自宅での自主練習はバランス能力の向上や歩行能力の向上につながり、継続することで効果は持続する!無理のない範囲で、難易度の高いトレーニングに挑戦し、継続してください!
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