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研究者:静岡大学 工学部 電気電子工学科教授 桑原義彦
説明者:桑原義彦http://kuwalab.eng.shizuoka.ac.jp/
自動車用スマートアンテナ
新技術説明会 2010年6月11日
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研究の背景・自動車のIT機器化の進行
カーナビ(ワンセグ・フルセグ受信機能つき,VICS),ETC衝突防止レーダ,インターネットサービス外部との情報のやり取りはすべてワイヤレス通信情報量も増大しつつある。
・移動体環境における大容量ワイヤレス通信フェージング・マルチパス干渉による通信品質の劣化
対策多数のアンテナを使った受信技術フェージング:ダイバーシチ受信マルチパス干渉:アダプティブアンテナ(空間フィルタ)ダイバーシチアンテナの例
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DBFとABF
DBF ABF ESPAR受信器 複数 1 1
アンテナ素子・配置の自由度
大 大 小
ビーム形成処理時間
短 長 長
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ABFに関する研究(FM-VICS用アダプティブアンテナ)
適応受信パケット誤り率(青:良,赤:否)
単素子受信フィールド試験車両・機材
実験系統
ABF方式採用
直接探索法によるロバストで高速な適応ビーム制御
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ISDB-T受信にABFを適用した場合の問題点
– ウェイト探索にブラインドアルゴリズム⇒収束に要時間.高速移動環境下に不適.
– 移相器や可変リアクタンスを複数回試行⇒試行がチャネル変動に相当.同期はずれやBER劣化に繋がる
高速移動環境に対応可能で,チャネル変化を与えにくいシステムが望まれる
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本研究の目的
• ガードインターバルを利用したアンテナ間位相差計算
簡易な位相合成ダイバーシチシステムの構築
•1系統の受信機のみで実現可能•高速移動環境下に対応可能•チャネルに変動を与えにくい
移動体におけるISDB-T放送(OFDM信号)受信
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提案システムモデル
• 基準アンテナ(#1)と被測定アンテナ(#2)で構成
• 被測定アンテナ(#2)は移相器通過後合成
• 各アンテナ信号は位相差計算のための受信機へと分岐
• 計算された位相差は被測定アンテナ(#2)の移相器で補正
• 正しいアンテナ間位相差補正が行われれば合成後,ダイバーシチ利得が得られる
• 位相差計算の受信機は本来の受像用受信機として用いられる
※アンテナ2本の場合
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各アンテナ信号のGIの読み込み
HGI: Head Guard IntervalTGI: Tail Guard Interval
GI(ガードインターバル)遅延マルチパス干渉を防止シンボル末尾の一定区間をシンボル先頭にコピー
⇒シンボル内の前半と後半で同一信号が存在
1シンボル内の前半と後半でアンテナを切り替え,位相差計算用受信機へと入力
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GIを利用した位相差計算
• 復調後,基準アンテナのHGI区間(xi)と被測定アンテナのTGI区間(yi)で
次の複素相関係数ρを計算
• 複素面での回転角を計算.移相器へと入力.
• 同相合成:
∑∑∑=
i iii ii
i ii
yyxxyx
**
*
ρ
ρφ ∠=
φjetxtxty −+= )()()( 21
アンテナ間の受信位相差
(*: 複素共役)
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本提案方式の特徴のまとめ
受信機が1系統コスト安,低消費電力
シンボル毎に直接チャネル位相差を計算探索の必要なし
1回の相関係数の演算のみで位相差が計算可演算量が少なく高速フェージングに対応可
手軽にダイバーシチ出力が得られる既存の汎用チューナの前段に追加可能
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シミュレーションによる特性評価①
• 評価指標合成後の電力,ビット誤り率(BER)
• チャネル環境– 周波数選択性フェージング– 主波と遅延時間量がGI長のδ倍の遅延波
• 想定環境– Case1(Cost207 6パスモデル)– Case2(実測値に基づく環境)
(遅延波の電力)
(主波の電力)比 =du
Cost207 6パスモデル
実測値
遅延プロファイル
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• 位相差反映間隔(PUI)– 計算した位相差を反映するまでの遅延量
– フェージングに対する追従能力を把握
– PUI = 1, 2, 3 で評価
シミュレーションによる特性評価②
※PUI: Phase Update Interval
アンテナ数 2 GI長 1/8 x [シンボル長]アンテナ間隔 0.5波長 フェージング 周波数選択性
中心周波数 473MHz ドップラ周波数 25Hzキャリア数 5617 遅延波到来角 20度FFTサイズ 8192 試行回数 20,000
(ISDB-T mode3に準拠)
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シミュレーション結果
ブランチ合成利得が得られ,BERが改善する
ケース1
ケース1
ケース2
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試作機製作(ハードウェア構成)
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ハードウェアの写真
DSP制御・データ記録用
PC
レベルメータとチューナ・モニタ
DSPボードとA/D拡張
インターフェース
RF・IF処理回路
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試作機作成(ソフトウェア構成)
• スイッチ(SW1-3)や移相器を制御
• スライディング相関で同期確立
• 相関係数を計算– 値が高い⇒位相差計算,合成
– 値が低い⇒選択ダイバーシチ
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実験車両による実環境下での走行実験
• 実走行による評価– 受信アンテナ:
• 市販のフィルムアンテナ• 素子数:2素子
– 実際のハイビジョン放送(521.143MHz)を受信
– 音声受信率で評価
• 難視聴地域2箇所で実験(相模原,浜松)
車載した提案システムと実験装置
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走行実験結果(音声受信率,相模原)
単素子受信
提案システムによる受信
選択ダイバーシチ受信
受信率の改善
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走行実験結果(音声受信率,浜松)
単素子受信
受信率の落ち込みが改善移動環境下でも安定した受信が可能
提案システムによる受信
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想定される用途
• 本技術の展開先地上デジタル放送受信機カーナビゲーション,カーテレビのほか,ポータブルテレビ(アンテナ内蔵テレビ),PC,携帯端末など地上デジタル放送移行後のVHFデータサービスの受信機
• 地上デジタル放送移行後のVHFデータサービスの受信アンテナとしてリアデフォッガを使った開口共用アダプティブアンテナも検討している
• 想定される業界、想定されるユーザーは、AV機器やPC, 携帯端末の製造メーカーのほか,部品(チューナー)メーカー
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実用化された場合の産業への影響
• 従来DBFを用いた製品があるが、本技術を用いることによって、同等の受信性能を実用しつつコスト・消費電力が半減すると予想している。
• 導入費用:1億円(デバイス開発)と想定→市場規模(国内)アンテナ 300億円,チューナー 110億円
• リアデフォッガーを使った開口共用アンテナの開発により,さらに差別化可能(デザインを損なわないアレーアンテナの実現)
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実用化されるための条件
• 現在は、地上デジタル放送のダイバーシチ受信機の事業化の可能性があるが、今後、地上デジタル放送移行後のVHF波を使ったインターネットサービス(デジタルラジオ)に関するインフラ・法令整備が行われることによって、更に本技術による製品需要の拡大が見込まれる。
• VHF波インターネットサービスに適用していく場合、その規格に合った技術を確立することが必要である。
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企業との連携• 現在,GIを超える遅延波による受信不能地域が見つかっていないが,データが十分でない可能性もあるので,引き続き電波環境を確認しながら走行実験データを蓄積する必要があると考えている。
• また、高速デジタル無線通信機器を開発中の企業、カーエレクトロニクス分野への展開を考えている企業には、本技術の導入が有効と思われる。
• チューナー開発(LSI)技術を持つ、企業との共同研究を希望。
• 本研究室では本技術のほか,以下の電波技術分野の研究に注力しています。ご興味のある方はご連絡ください。
電波イメージング:光で見えないものを見るマイクロ波マンモグラフィ高周波PWB上の不要放射源の特定(EMI対策)不審物の内容の特定(爆発物が入った小包などの検知)非破壊検査(電波が通れるもの:コンクリートなど)
ワイヤレス送電マイクロ波:通信とエネルギーの融合磁気共鳴型:移動体(自動車)への適用
パッシブRFIDタグの位置検出
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本技術に関する知的財産権
・発明の名称:ダイバーシチ受信装置(未公開)・管理番号:9021N-YK11・発明者:桑原義彦・出願人:国立大学法人静岡大学
◎共同研究および関連する特許については、静岡大学知的財産本部に
お問い合せください。コーディネータ:斎藤、出崎TEL:053-478-1706Email:shin2010@cjr.shizuoka.ac.jp
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