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2014年8月31日O.:.
魅惑の切断女性の美の世界~アーティスト・片山真理さん~
はるな愛:はーい、バリアフリーバラエティ「バリバラ R」の時間です。パーソナリティのはるな愛です。
よろしくピース。バリバラ R は、E テレで放送している障害者情報バラエティ「バリバラ」のラジオ
バージョンです。今回のテーマは、「アート」。今日はですね、「魅惑の切断女性の美の世界」と題し
てお送りしたいと思います。今回取材をした河合理香(かわい・りか)ディレクターとともに進めて
いきたいと思います。よろしくお願いします。
河合D :よろしくお願いします。早速なんですけど、はるなさん、私、今日、是非ご覧いただきたい作品が
ここにあるんです。見てください。
はるな愛:ちょっと目の前に・・おーすごい!ハート型のいろんな、これは雑貨?いろんな小物があって、そ
の中に義足が1、2・・2つかな?
河合D :実はいろいろ・・・
はるな愛:ほんとだ。いっぱいある、よく見れば。額の中の写真もいろんな、これはマネキン?面白い・・・
なんともいえないこの・・えー?
河合D :ちょっと不思議な感じですよね?実は、この作品、オブジェと2枚のセルフポートレートなんです。
全体で一つの作品なんですけど、セルフポートレートっていうので、モデルさん自身が、作者なん
ですよ。
はるな愛:作者?
河合D :その作者を今日お迎えしています。片山真理さんです。
はるな愛:片山真理さんですか。こんにちは。はるな愛です。
片山 :よろしくお願いします。
河合D :片山さんの紹介をちょっといたしますと、今、国内外で注目を集めている若手のアーティストさん
なんですね。障害としては、片山さんは、先天性脛骨(けいこつ)欠損症で、膝からくるぶしまで
の間の脛(すね)の部分の骨が生まれつきなくて、それで今、両足義足という障害です。
はるな愛:膝からくるぶしまでっていうことは、その下の足の部分は?
スタジオ出演 ◆片山真理(かたやま・まり)・・・・・アーティスト/先天性脛骨欠損症・両足義足
河合理香(かわい・りか)・・・・・・NHKディレクター
ナレーション ◆神戸 浩(かんべ・ひろし)・・・ ・・俳優
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片山 :あったんですけど、細い骨だけしかついてなくて、どんどん湾曲して、すごい内反足になっちゃって。
はるな愛:変形しちゃったんだ。
片山 :そう。9歳までは、それで歩いてたんですけど、体重を支えきれないってことで、9才の時に両足離
断をして、それから義足を。
河合D :片山さんの義足ちょっとご覧になっていただいていいですか?
片山 :こんな感じです。外して持っていただいて・・・
はるな愛:初めて見た。こういう・・ちょっと待って、なんかアートされている。
河合D :はるなさん、冷静ですね(笑)外して今、持っておられて・・
はるな愛:義足は、バリバラで、大西瞳ちゃんとかやっているの見たことあるけど。これは、どいういうあれな
んですか?柄というか、ペイントでアートされてるの?これ、かわいい。
片山 :自分の家族とか恋人とか、お友達の星座を書いていて。
はるな愛:すごい、ちょっとなんていうんですかね、カラフルなんですよ。それで濃い色もあるけど、すごくパ
ステルな色もあって、色彩がすごい綺麗なかわいらしい。義足っていうよりもアートですよね。この
足の部分がね。
片山 :そうですね。作品を持ち歩いてるっていう感覚に近いですね。
河合D :ちょっと片山さんの経歴をご紹介しますと、片山さんは、東京芸術大学大学院を卒業されて、
2012年に若手芸術家の登竜門といわれている「アートアワードトーキョー丸の内」という
美術展でグランプリを受賞されていて。
はるな愛:若手芸術家の登竜門でグランプリとったんですか。すごい。
片山 :いただきました、賞を。
河合D :まさにその作品が、今見て頂いてるこれで、ほんとに生活というか不思議な感じしません?
はるな愛:これは、タイトルはなんですか?
片山 :写真は、こちらの方が、「子供の足の私」。
はるな愛:足の義足の部分がピンクになってるんですよ。片山さんが棚の上の出窓みたいなとこに足を乗せ
てるんですね。その足の部分がピンクになってる。ピンクの足は?
片山 :これは、私、すごく年の離れた妹がいて、ちょうど妹が9才の時だったんですね、これを撮った
ときに・・・
はるな愛:この足の型を?
片山 :そう。私が足を切った時が9才で、足を切断した時に、成長をとめる手術も一緒にしていて、足
の膝から下の。
はるな愛:そうなの?切るだけじゃないんだ。
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片山 :骨の奇形も併発していて、それで、どんどんと膝がとがってきちゃうような。それで、膝から下
は、残ってる部分がすごく短いんですね。本当に9才のままの細さと小ささで。それで妹の足の
型をとってみようと思って、とってみたら、ピッタリだったっていう。
河合D :石こうなんですよね。
はるな愛:石こうでとったんだ、妹さんの足を。じゃあ、自分の9才の時を思い出すような。もう一つのほ
うが?
片山 :これが「小さなハイヒールを履く私」。
はるな愛:同じ場所ですね。窓際のカーテンを、いろんな生地を組み合わせて作ったところに、すごいセク
シーな黒の下着に、ガーターが黒で、悩ましいよね。そしてピンクのタイツに、黄色の小さいハ
イヒール?
片山 :金色の。実はね、切断した足にぴったりなハイヒールを作りたいなと思って、切った部分の足っ
て、こんもりしてるというか、そのままなんですよね、肉の塊みたいな。それに合うハイヒール
を作ろうと思って。
はるな愛:そっかー。いや、私、9才の時ね、自分の体を切断するって、やっぱり理解しがたいと思うんで
すけど、どういう気持ちだったんですか?その自分の・・・
片山 :私自身は、切断することに関しては、歩くために切ったので、すごく希望に満ちてた・・・
はるな愛:受け入れられた?正直どうでした?
片山 :元々すごい湾曲した足をもってたので、曲がっちゃってる。だから普通の健康的な足の裏が地面
につく足っていうのが欲しくて手術したはずなのに、くっついてきた足は、人形みたいな固いあ
しが既にささってて、ギプスに。
はるな愛:目が覚めたときには?
片山 :はい。「あれ?これじゃないぞ」みたいな。そこからずっと自分の理想の足とか、理想の体みた
いなのをずっと求めてるような感覚はありますね。
はるな愛:やあ、でもこうやってアートにするまでにも、自分でいろいろ葛藤とかあったと思うけど、
河合D :この作品って、全体のタイトルもちゃんとあるですよね。全体に含めた思いもあるんで、ちょっ
とそのことを・・
はるな愛:ぜひ。
片山 :作品自体は全体的な空間も含めて、「ハイヒール」っていうタイトルをつけてて、
はるな愛:「ハイヒール」っていう作品名。どういう思いで、このハイヒールと絡めて、雑貨とか集めたん
ですか?
片山 :実はね、作品っていうか、この手前にあるワーッってある雑貨は、全部私の手作りなんですよ。
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はるな愛:えっ、ほんと?手作り?
片山 :そうなんです。写真に写ってる物も全部手作りで。
はるな愛:えっ、ほんとに?この人形みたいなんは?
片山 :これは、元々ドレスを作って・・自分で寝てたベッドカバーをちぎって、体に沿わせながら全部
パッチワークしていったんですね。
はるな愛:えっ、着ながら?
片山 :そう(笑)。
はるな愛:すごいね。なんか面白い。ちょっと独特な、小物は全てすごく女の子なんだけども、ちょっとね、
女の子であるものを素直に、レースとかそのまんま使いたくないっていう。例えば、人形にパッ
チワークみたいに作ってるとこ、レースって普通は、おリボンしたりとか、メルヘンで可愛いの
にするけど、人形の一部に皮膚のようにするとか、でも女の子でいたいという表現が伝わってく
るというか、なんともいえないね。
片山 :いやあ、すごい、はるなさん。
はるな愛:ほんと?そういう感じですか?
片山 :いやぁーもう、そのとおり。買ったものとかをそのまま使うのもいやだし、自分に合わせて作ら
ないと使えないっていう、なんか変なモットーというか、なにかこじれてるものがあって。
はるな愛:でも、すごい女性で乙女だと思いますよ、ほんとに。
片山 :嬉しい。
河合D :これ、すごい憧れが入った作品なんですよね?
片山 :そうなんです。母が元々モデルをやってた人だったので。母の写真を子供の頃、盗み見しちゃっ
て、ハイヒール履いて、ステージに立って、ポージングしてたんですよ。それで、「わあ、なん
てかっこいいんだ」と思って、でもその当時まだ足があったんだけど、すごく形の変わった足を
していて、こんな足をママのハイヒールに入れたら、ママが悲しむんじゃないかって。
はるな愛:へぇー、子供のころに?その時は?
片山 :んー、すごくそれが恥ずかしいというか、履けないってわかってることを、ママがどう説明すれ
ばいいって、悩むんじゃないかとか、すごく・・・
はるな愛:全部それはママに対しての思いだったんですね。
片山 :そう。でも母みたいになりたいってずっと思ってて、それで多分、大人になってからジャズバー
で働いて、歌を歌ってステージに立つ、みたいな方向に。
はるな愛:歌も歌ってるんですよね。
片山 :はい。・・なったのかなって。
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はるな愛:そうなんだ。ちょっと憧れもあって。
録音① <片山真理 足をテーマにセルフポートレートを撮り続ける>
(東京都内)
ナレ) 2年前、群馬から上京した片山真理。
創作活動の拠点に選んだのは、築30年のレトロなアパート。
片山 :どうぞ。
河合D:お邪魔します。
片山 :「どうぞ自由に座って下さい」って言いたんですけど、全部一応作品なので。
人形とかありますけど。
ナレ) 広さ6畳の部屋は、日常生活の場所であり、作品そのものでもある。
(窓辺にハートの飾り)
部屋の飾りや小物は、すべて一つ一つ、片山の手作りだ。
(薄い布を縫い合わせた天がい)
子どもの頃の自分の足を描いたクッションもある。
義足に描かれているのは、赤いアザミと黄色いタンポポの花。
この義足を見せて高校に通うのが、片山のオシャレだったという。
片山は、作品で、自分の周りを、愛すべき品々で埋め尽くした。
ナレ) ここは、過去の自分と現在の自分が出会える居心地のいい空間。
(両足の義足をはずす)
片山 :これで自由の身になった。
河合D:真理ちゃんきれいだね。
片山 :きれいですか?何が?
河合D:お足のプロポーションと言いますか。
片山 :(笑)
ナレ) 片山は、家ではいつも義足を脱いで生活している。
片山 :常にシリコンでここまで覆われているので(太ももまで)、いつもクリームをぬってケアしてるんで
すけど、脱いだ後のこのシルキーな肌はたまらないですね(笑)
ツルツル。
ナレ) 小・中学生の頃、家にこもりがちだった片山が、アートに目覚めたのは16の時。
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自分の足をテーマにした作品が美術展で入賞したのだ。
以来、片山は、足にこだわった作品を作り続けてきた。
21歳の時、セルフポートレートを撮り始め、それは、今も日記のように続けている。
片山 :あららららら。これかっこいいな。スミマセン。1人で盛り上がってる(笑)。
ナレ) 義足を脱ぐと身長は130センチ。外では決して見せることのない自分の素足と向き合う。
(シャッターの音)
はるな愛:なぜ、セルフポートレートっていうのを撮ることにしたの?
片山 :そうですね。自分のことが、ものすごくコンプレックスだったんですけど、撮っていくうちにど
んどん自分を確かめる行為につながっていって。
はるな愛:そういうのも、どういうこと?
片山 :なんていうんだろうな、実際、写真に写ってる自分っていうのはすごい作り込んでいるので、
普段の自分とは、全く違うんですけど。でも、自分ってこういう人間なんだな、とか、こういう
ものを理想としてるんだな、っていうのが、作ったあと冷静になると考えられる。
はるな愛:見えてくるんだ。
片山 :自分が理解できると、自分のことを理解してると、人のことも、人を理解するのにつながってい
くというか。
はるな愛:すごい。でも自分の両足とか、義足も入れ込んで写すっていうのは、どうして?なんかあるんで
すか?メッセージとかなんか。
片山 :そうですね。ほんとうに、どの作品も全て義足も同一で、自分の生活に必要丌可欠なものなので、
だから結局、義足といつも一緒っていう感じで。ただ、義足をあえて写してるっていうよりは、
自然と写っちゃってるような。
はるな愛:義足にして、なるべく義足って気付かれないように、生きる方法もあるじゃないですか。
で、すごいスタイルいいから、今日なんかも花柄のワンピースに、また義足にアートしているイ
ラストもすごい色目あわせて、ファッションとして義足をすごい出してるじゃないですか。
それは、最初から出せたんですか?
片山 :実は、今も出せてないんです。
はるな愛:え?今、出せてるじゃん。
片山 :なにかこう、アピールとか、アーティストとして出ている時とか、ステージに立つ時は、ものす
ごく作り込んで、ハイヒールを履いて、みたいな、お化粧してっていう感じなんですけも、普段
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はなるべく人ごみに紛れこめるようにジーンズをはいて、Tシャツ着て・・・っていうような生
活してます。
河合D :でもね、見せたくないのに作品では、逆に義足も足も見せてるっていうのは、どうして?
片山 :うん、そうですね、多分自分のやってることとか、足とか、作ってるもの作品だって理解できる
ようになったからなのかもしれないですね。あとは、自分自身が、歌手として外に出たり、ステ
ージに立つときに、スイッチの切り替えみたいなのを覚えたから。
はるな愛:一緒です、私も。
片山 :(笑)
♪インターミッション
はるな愛:はるな愛の「バリバラR」、今日はアーティスト片山真理さんと河合ディレクターと共にお送り
しています。 さあ、ちょっとここに写真集があるんですよね。
河合D :そうなんです。
はるな愛:「切断ヴィーナス」だって。これは、義足の人の足をアップに表紙になっていて。
河合D :そうなんですよ。これ、今年5月末に出版されて、ちょっと話題になった「切断ヴィーナス」っ
ていう写真集なんですけども、モデルが全員義足の女性なんですね。この写真集、すごくユニー
クなところは、写真ってカメラマンが「こういうふうに撮りましょう」っていうことが多いんで
すけども、今回はモデルの11人の皆さんが、「自分はこういうところを撮ってほしいんだ」っ
て、「こういう輝いている自分を撮りたい」っていう、モデルさん主導で、写真1枚1枚を、カ
メラマンさんと相談して撮っていったっていう、ちょっと珍しい写真集なんですよ。
はるな愛:面白い。ある人はね、水着でちょうど切断した部分を見せて、義足を前に立たせて見てる人とか、
これはバイオリンみたいにして義足を弾いてるの?演奏してるんですか?
河合D :楽器にしちゃってるんですよね。
はるな愛:いろんなのあるー。
河合D :こんなセクシーな写真を撮られた方もいらっしゃるんですけど。
はるな愛:ほんとだ。ヌードで、生まれたままの姿で、義足を抱きしめて目を閉じてるっていうね。
河合D :そうなんです。ふわっと白いベールで、ちょっとセクシーな写真なんですけど、小林久枝(こば
やし・ひさえ)さんっていう51才の方がお撮りになられていて、切断ヴィーナスのお一人なん
ですけど、全然違うお祭りの写真とかも撮っていらっしゃって・・・
はるな愛:おみこしを担いでる。
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河合D :全然違ういろんな写真を撮ってらっしゃるんですけど、この方、小林さんは、右足が変形してし
まうっていう先天性のご病気で、手術を繰り返してきた方なんですけど、4年前に、自分で右足
を切断するって、47才の時に決断なさった方なんですよ。実は、この出版記念の時にインタビ
ューを聞いていたのでお聞きください。
録音② <小林久枝さんインタビュー>
小林:この写真集のお話をいただいて、『小林さんらしさ、小林さんが一番輝ける写真』ってなった時
に、いろいろ考えて、足がある時には諦めていた夢が、義足になって叶ったものがたくさんある
ので、それを撮ってもらおうと思って、小さい時から下町育ちだったので、おみこし担いでたん
ですが、それがいつの頃からかの痛みとの闘いで担げなくなった。サーフィンもやったけど、
痛みでできなくなった。着物も好きだったけれど草履すら履けなくなってしまった。
そうやって一つ一つ、できなくなっていったものを義足で取り戻したので、全部写真に撮って
もらいました。
河合D :こちらの黒いドレスは、ハイヒールをずっと履けなかったので、ヒールを履いたとか。
サーフィンもなさったり。これもそうなんですよ、実は。ほんとにいろんなことをやってらっ
しゃって。
はるな愛:義足にしてからほんとにいろんな行動力もついたし、範囲も広がったし、っていう。
片山さんなんか、気持ちわかる?どうです?
片山 :すごい分かるし、この小林さん、私も知ってるんですけど、チャキチャキなすごい元気なお姉
様で。
はるな愛:へえー、江戸っ子なんだ。
片山 :江戸っ子ですね。彼女が今思っているってことを、今インタビューをきいて、やっぱ本当に何
かやりたいことっていうのは、渇望から生まれてくる希望ってすごい面白いなって、素敵だな
って思いましたね。
河合D :もう1人ご紹介したいんですが、この方は、切断ヴィーナスの中で一番若い19才。藤井美穂
(ふじい・みほ)ちゃんっていう方で、双子で生まれたんですけど、お腹の中で双子の方が亡
くなったちゃったんです。彼女は生を受けて、ただ、足がやっぱり影響を受けて、切断なさっ
たって方なんですけど、彼女もこんな噴水の前で生き生きした写真を撮ってらっしゃって、イ
ンタビューもちょっと聞いてきてるのでお聞きください。
はるな愛:ほんと笑顔が素敵。
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録音③<藤井美穂さんインタビュー>
藤井 :噴水の前の撮影の時が、初めてこのヒールを履いたんですけど、「歩けてる!歩けてる!」って。
もう幸せいっぱいで、すごい楽しかった!お母さんにすごく電話したくなりました。
私、今、ヒール履けてるんだって!
はるな愛:へえーお母さんに電話したくなったんだってね。すごいやっぱり女性って、ヒールって、やっ
ぱりね、履きたいね。
片山 :憧れのすごく象徴的ですもんね。女性っていうイメージな何か。
河合D :気持ちわかるんじゃないですか?
片山 :めっちゃわかりますよ。義足をつくる時にハイヒールコーナーにいったら、これ、なんか、開
かれた場所に見えたというか。ヒールコーナーが、すごく。
はるな愛:そうなんだ。
河合D :片山さん、ハイヒールを初めて履いたのは、3年前のですよね・・・
片山 :はい、3年前のイベントで、「切断女の夜」っていう。
はるな愛:タイトルだけ聞いたらすごいこわいのよ。
片山 :そうなんですよ。義足をつかってる人を「切断者」っていうんですよ、医学用語で。
じゃあ、「切断女」でいいんじゃないのって。
はるな愛:女ってつけると・・へえー。どういうイベントですか?
片山 :これは、タイトル通り、切断女が、切断女好きの人たちをもてなすという義足のイベントで、義
足を使っている美女たちが、男たちをはべらして、お酒をおごらせて、好き勝手にトークをして、
好き勝手に、歌って、酒を・・
はるな愛:女王さまね、この日は女王さま。
片山 :そうそうそう。そういうイベントでした。
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録音④ <切断女の夜>
ナレ)3年前、新宿で「切断女の夜」という前代未聞のイベントが開かれた。
片山をはじめ足を切断した美女4人が義足を惜しげもなくアピールするライブショー。
(ステージで歌う片山さん)
片山は、この日、生まれて初めて憧れのハイヒールを履いた。
実は、普段使っている義足では、バランスが取れず、ハイヒールを履くことは出来なかった。
そこで、海外から専用の義足を取り寄せ、さらに、ハイヒールもオーダーで作って
もらったのだ
はるな愛:お客さんもどういう人がくるんですか?このイベントは。
片山 :丌思議だったのは、意外と女性が多かったってことですね。すごくマニアな人が来るのかなと思
ってたんですけど、ほんとに純粋に義足を勉強している学生さんだったり、勿論義足を使ってる
人、義足使用者の当事者だったり、あとは、変わったイベントがちょっと好きな人とか、いろん
な方が来てくださって。キャバクラっていうか、キャバレーみたいな形でやったんですけど、
ステージには、ほんとにいろんなイラストレーターとして活躍されている方だったり、モデルだ
ったり、歌手の方もミュージシャンの方もいれて。
はるな愛:出演者の方がですね。
河合D :どういうことを伝えたくてこれやったんですか?
片山 :そうですね。義足の女の人たちっていうメインでドーンってきていて、「義足を見ろ」って感じ
っぽいんですけど、実は、義足がいいんじゃなくて、彼女たちが魅力的なんだよっていう。勿論
最初のとっかかりというか、スタートは、どんな興味でもいいから知ってもらって、そこから、
もっと奥の方にひっぱってこれたらいいなと思って。
録音⑤ <ハイヒールプロジェクト~渋谷の街を闊歩する片山真理~>
ナレ)新宿のライブショーでハイヒールの虜になった片山は、その後、講演会やイベントで、義足のハイヒ
ール姿を披露する「ハイヒールプロジェクト」を始めた。
この日、向かったのは東京・渋谷。
片山:チョー緊張する(笑)。
ナレ)週末、人で溢れかえる繁華街を歩き、義足の自分を見せつけようというのだ。
(車の中でハイヒールに履き換える)
ハイヒールを履くと身長2メートルにもなる片山が、渋谷の街に降り立った。
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片山:いっぱい福祉番組とかそういうシンポジウムだったり交流会だったりって、いっぱ
いあるし。今どんどん当事者の人達が出てきてるけど、解決にならないんですよ。
で、なんでだろう?って思ったら、やっぱり当事者は当事者でしかなくて、それを
面白がって楽しむ相手がいるだけで、忘れちゃうんですよ。消費されちゃう。
それに一番ベストなのは、忘れさせないことだなと思って。
ナレ)いざ本番!
(義足にハイヒールの片山さんがスクランブル交差点を渡る)
♪
(渡り終えて交差点でポーズをとる)
女性:すごいスタイルが良くてびっくりしたんで、思わず写真撮っちゃいました。
男性(3人):思わず見とれちゃいました。綺麗、綺麗だった。
でもよく見てたら義足だったから、すごいなと。
義足をデザインというか、アートがすごく綺麗で。
片山:私のステージは、ハイヒールの上にあるんだなって思いました。
堂々と撮って貰えるようなオブジェクトになったっていうか、このステージ、この作品になれたって
いう感覚があります。
はるな愛:どうでした?ここ歩いてみて。実際。
片山 :そうですね。スクランブル交差点って大嫌いな場所だったんです。ほんとは普段は嫌で嫌でし
ょうがなかったんですけど、2メートルになっちゃうと、大きくて人が避けて通っているのか
もしれないけど、ぶつかってこようとしなくて。
はるな愛:目立つからね。
片山 :そうそう、目立つからですね。それで歩けてて、とにかく視界が広がって。
はるな愛:ハイヒールはいて、高さもでて。みんなの反応どうでした?周りの人は。
片山 :みんな写真撮ってました。
はるな愛:あーそう!
片山 :記念撮影みたいな感じで。
はるな愛:撮られることは、アピールの一つの成功ですよね。
片山 :もう大成功でしたね。
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はるな愛:歩き方も難しいんじゃない?
片山 :そうですね。多分スイッチが入っちゃってるから、スッてこう、スッスッて勝手に足が入って
きちゃうんですよね。普段よりもどんどん歩きたくなるし、前に前に。
はるな愛:疲れない?
片山 :気持ちがすごく高ぶって疲れない。
はるな愛:あ、そうー。
河合D :今日の格好も、まさにその時のドレスなんですけど。その形で本当に堂々と歩いて、アピール
したことはなんだったですか?
片山 :何か憧れをもつとか、こうなりたいとか、そうならなきゃいけないわけはないと思うんですけ
ど、それを思っていいんだよ、というか、ああゆうハイヒール履いてる人がいいなって思う自
由を伝えたいって思いますね。
はるな愛:いやあ、ちょっとね、話、もうねいっぱい聞きたいこといっぱいあるんですけどもね、
これから片山さんが「ハイヒールプロジェクト」でやってみたいことってあります?
片山 :世界中をこのハイヒールで歩きつくそうかな、と思ってます。
はるな愛:んー(拍手)いやあ、素敵。やってほしい。英語は喋れるんですか?
片山 :ちょっとだけですけど。
はるな愛:英語やってー。
片山 :はい、ちゃんと勉強します。
河合D :世界中歩いてどんな思いを?
片山 :そうですね。義足もハイヒールも別に私の専売特許じゃないので、どんどん皆にみてもらって、
義足の人も義足じゃない人も、どんどんおしゃれをして外に出ていってほしいなって。
:義足を出せってわけじゃないんだけど、どんどんおしゃれに外にでていける勇気というか、何で
もやりたいなって思えることを許せるようにしてほしいなと思います。
はるな愛:そっかあ。「ハイヒールプロジェクト」で表現するっていう、絶対にね、私もっともっと世界中
で活躍するのをほんとに応援したいし、願ってますので、頑張ってください。
また是非、番組に遊びにきてください。
片山 :はい、おじゃまします。
はるな愛:はい、ということで、片山さんと河合ディレクター、どうもありがとうございました。
片・河 :ありがとうございました。
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はるな愛:さて、はるな愛の「バリバラ R」いかがでしたか? 感想やメッセージをお待ちしています。
宛先は、郵便番号540−8501。NHK 大阪放送局バリバラの係です。
メールは番組ホームページから送っていただけます。
ホームページのアドレスは、nhk.jp/baribara。スペルは、baribara です。
来週の「バリバラ R」もどうぞお楽しみに。はるな愛でした。バイバーイ。
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