ほどよし衛星の成果と その将来展望 -...
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ほどよし衛星の成果とその将来展望
© 2014, The University of Tokyo, Hodoyoshi-3&4 Project
東京大学航空宇宙工学専攻
超小型衛星戦略研究センター
青柳賢英
平成28年度名古屋大学宇宙地球環境研究所研究集会小型飛翔体による海象観測- データの即時性はどこまで保証できるか -2016年8月25日(木),名古屋大学
超小型衛星 ほどよし3号, 4号
ほどよし4号(重量64kg) ほどよし3号
重量(56kg)
2014年 ほどよし3, 4号打ち上げ前ロシア射場にて
ほどよし4号機の観測画像
Swath width: 25km(approx.)
2014-12-19T01:20:34Z
6.3m / pixel
重量100kg以下の超小型衛星では,世界最高クラスの空間分解能
内容
• ほどよしプロジェクトの紹介
• ほどよし3, 4号のミッション成果
• ほどよしプロジェクトの成果展開
• 超小型衛星による地球観測の利用例
• 超小型衛星のデータの即時性について
ほどよしプロジェクトの目標
・世界トップ水準の超小型衛星(50kgクラス)を低コスト(3億円以下),短期間(2年以内)で開発・運用できる土台を構築し,世界に先駆けてその効果的な利用を開拓すること
・内閣府・【最先端研究開発支援プログラム】に採択(2010 - 2014)
1. 超小型衛星に適した「ほどよし信頼性工学」や試験手法を含めた開発プロセスの構築
2. 開発を支える国内のサプライチェーンネットワークの構築と人材育成
3. サイズ比の性能が世界レベルの要素機器や先進的地上局の研究開発
4. 従来にない新しい宇宙利用方法と利用コミュニティを開拓し,衛星開発・利用産業につなげる
中・大型衛星の問題点と小型化
1975 1980 1985 1990 1995 2000 2010
衛星重量[ton]
4.0
3.5
3.0
2.5
2.0
1.5
1.0
0.50
ALOS(4t)
SELENE(3t)
超小型衛星
50kg
・1機数百億円の莫大なコスト・5~10年の長期開発が必要・失敗を許さない高信頼性設計・顧客は国・技術革新のスピードが乏しい
『ほどよし信頼性』・信頼度で最高水準を狙わずに,実現しやすい適切な信頼度を設定し,部品選定・試験等を行う
・信頼度を適切に設定することにより,低コスト化,開発期間短縮・新規技術導入を目指す
ほどよしプロジェクトによる超小型衛星開発
・地球観測(6m/pixel GSD, 4bands)・60kg・Axelspace, 東京大学, NESTRA・ 2014年11月6日打ち上げ・運用中
・国際科学ミッション・50kg・2018年打ち上げ予定・東北大学
Hodoyoshi-1 Hodoyoshi-2 (RISESAT)
• 4機の超小型衛星の開発・打ち上げ・利用実証
– 技術実証,低コスト・サプライチェーンネットワーク構築
– 地球観測,新しい宇宙利用方法の開拓,国際協力による宇宙科学ミッション
・地球観測(40m/pixel GSD, 3bands)・56kg・東京大学,NESTRA・2014年6月20日, 打ち上げ・運用中
Hodoyoshi-3 Hodoyoshi-4・地球観測(6m/pixel GSD, 4bands)・64kg・東京大学,NESTRA・2014年6月20日, 打ち上げ・運用中
ほどよし3号, 4号の概要
衛星 ほどよし3号機 ほどよし4号機
重量 56kg 64kg
軌道投入日時2014/06/2004:27:05.302(JST)
2014/06/20 04:27:03.801(JST)
運用軌道
太陽同期軌道,
地方時10:30 (LTAN)離心率 0.0037674傾斜角 97.969deg高度 612km×665km
太陽同期軌道,地方時10:30 (LTAN)離心率 0.0027148傾斜角 97.969deg高度 612km×650km
ロケット Dnepr LV
射場 ロシア,ヤスネ
• 『ほどよし信頼性工学』を導入した2機のマルチミッション超小型衛星
• 信頼度で最高水準を狙わずに,実現しやすい適切な信頼度を設定し,部品選定・試験等を行う
• 信頼度を適切に設定することにより,低コスト化,開発期間短縮を目指す
• 地球観測,通信,新規材料実証,エンターテイメント等の多種多様なミッション
• 開発: 東京大学/次世代宇宙システム技術研究組合
ほどよし3号, 4号 多様なミッション
衛星 ほどよし3号機 ほどよし4号機
地球観測
ミッション
地球観測カメラ
・低分解能カメラ
・中分解能カメラ
サブ観測カメラ
・ワイドアングルカメラ
ジンバル駆動機構
地球観測カメラ
・高分解能
サブ観測カメラ
・超広角カメラSRSU-LCAM
・ワイドアングルカメラ
宇宙利用実験
アウトリーチ
機器搭載スペース
10cm角BOXの中で宇宙空間実証
企業・研究機関等から公募
付帯
ミッション
技術実証モジュール
・新規OBC実証
・PLC実験
・新規超小型カメラ実証
・新規電池実証
帯電計測器
蓄熱材
電波透過OSR
通信ミッション N/A X帯高速通信(100 Msps級)
地上信号受信 Store & Forward (データ蓄積中継システム)
中・低分解能カメラ
高分解能カメラ
Small Wide angle Camera
レンタルスペース
データ蓄積中継装置
地球観測,通信,新規材料実証,エンターテイメント等の多種多様なミッション
小型カメラモジュール
ほどよし3号, 4号 仕様
衛星 ほどよし3号機 ほどよし4号機
寸法0.5×0.5×H0.7mパドル展開後長さ:1.4m
0.5×0.6×H0.8mパドル展開後長さ:1.4m
重量 56kg 64kg
姿勢制御
・3軸姿勢制御 (太陽指向 ⇔ 地球指向)GPS, 太陽センサ, 地磁気センサ, 光ファイバージャイロ, スターセンサ
アクチュエータ: 磁気トルカ(MTQ), リアクションホイール (RW)
電源
展開パドル2翼+ボディイマウント5面発生電力:130W(最大)消費電力:50W (観測時定常平均)28V非安定バス,一部安定5V供給
太陽電池セル:GaInP2/GaAs/Ge三接合(効率30%)二次電池:Li-Ionバッテリ (2並8直)
通信
テレメトリ/コマンド:S-band, コマンド: 4 kbps CCSDS,テレメトリ: 32/64 kbps CCSDS
ミッションデータ : X-band (10 Mbps)
CDH SOI-SOC 技術による放射線耐性の高いOBCほどよしSDK + 再利用性の高いアプリケーションソフト
推進 H2O2スラスタ イオンエンジン
ほどよし3号機
ほどよし4号機
※バス部は両衛星でほぼ共通
ほどよし3号, 4号 地上管制局
JAXA / ISAS れいめい運用室(uplink and downlink by S-band, Downlink by X-band)
東海大学宇宙情報センター(熊本)
ミッションデータ (X帯)
(1) ISAS/JAXA
(2) TAIKI
(3) TSIC
東京大学運用室• 衛星運用• スケジューリング• ミッション計画• 受信データ解析
…etc
衛星運用センター
大樹町 (北海道帯広)
テレメトリ / コマンド (S帯)
ほどよし3, 4号 (1) 主地上局
(2) X帯受信局
(3) X帯受信局
RFリンク 地上ネットワーク
テレメトリ受信コマンド送信
ミッションデータのダウンロード
ミッションデータのダウンロード(インターネット回線)
ミッションデータのダウンロード(インターネット回線)
SINET回線
初期・緊急運用時には海外局使用
ほどよし3, 4号初期運用概要
2014年 イベント
6/20 打上げ
6/201st AOS – 4th AOS初期信号受信,太陽電池パドル展開姿勢モード移行,スピン太陽指向確立バス系基本機器チェックアウト
6/22 1st Light試験撮像(H4小型ワイドアングルカメラ)
7/02 三軸姿勢制御(太陽指向)達成
7/04 三軸姿勢制御(粗地球指向)達成
7/05 地球観測カメラ試験撮像(H3中分解能カメラ第1回画像取得)
7/07 H3, H4姿勢喪失トラブル発生,復旧運用
7/08 H3復旧運用終了,通常運用を再開
7/14 H4復旧運用終了,通常運用を再開
8/01 地球観測カメラ試験撮像(H4高分解能カメラ第1回画像取得)
初期運用@東大局
超小型衛星ほどよし3, 4号地球観測ミッション
Middle East area, 2014-08-19Sri Lanka, 2014-07-30
Greece, 2014-08-25Japan, 2014-09-13
New York 2014-09-17T15:00:09Z
2014-10-28, Goto Islands, JapanR:G:B = R: NIR: G
2014-08-20, Portuguese Republic R:G:B = R: NIR: G
Tokyo, 2014-10-17
ほどよし3号, 4号 地球観測ミッション
項目(高度630km)
Hodoyoshi-3 Hodoyoshi-4
中分解能カメラMCAMMedium-resolutioncamera
低分解能カメラLCAMLow-resolutioncamera
高分解能カメラHCAMHigh-resolution camera
GSD 40.3m/pixel 252m/pixel 6.3m/pixel
センサタイプ 2次元センサ 2次元センサ ラインセンサ
観測エリア 82.5km x 61.9km 516km x 387km 26.8km
観測波長
3 バンドB1: 550-580 (green)B2: 650-690 (red)B3: 890-930 (NIR)
RGB
4 バンドB1: 450 – 520nm (blue)B2: 520 – 600nm (green)B3: 630 – 690nm (red)B4: 730 – 900nm (NIR)
ビット深度 10bit 10bit 12bit
Hodoyoshi-3
Hodoyoshi-4
© 2014, The University of Tokyo, Hodoyoshi-3&4 Project約520km
約390km
GSD:約250m/Pixel
ほどよし3号LCAM: 観測画像
日本, 本州2014-08-20T00:47:59Z
2 – 3日程度で同箇所の画像が撮影できるため,高頻度で日本のカラー画像を配信することが可能な性能を持つ
Sri Lanka
Brazil
(LCAM 240m GSD)
Afghanistan
Africa
ほどよし3号MCAM: 観測画像「九州,鹿児島周辺」
鹿児島, 2014-10-24T01:38:00Z九州, 2014-10-24T01:38:00Z 82.5km
61.9
km
GSD:約40m/Pixel
桜島R:G:B = R: NIR: G
0.6
0.7
0.8
0.9
1
450 550 650 750 850 950Wavelength [nm]
NIR
RG
ほどよし3号MCAM: 観測画像,近赤外観測
オーストラリア,アデレード大農業地帯, 2014-09-18
R:G:B = R: NIR: G R:G:B = R: NIR: G NDVI = (NIR - R) / (NIR + R)
© 2014, The University of Tokyo, Hodoyoshi-3&4 Project
© 2014, The University of Tokyo, Hodoyoshi-3&4 Project
• NIR, Rバンドを利用することにより植生指数算出が可能
• 手のひらサイズ・COTSの小型ベイヤータイプのカメラにより,
– 広範囲撮像・近赤外観測カメラの開発・軌道上実証に成功
30km© 2014, The University of Tokyo, Hodoyoshi-3&4 Project
High vegetationLow vegetation
ほどよし4号 HCAM: 広島市撮影画像
Swath width: 25km
2014-12-19T01:20:34Z
60km
Hiroshima Hatsukaichi bridge: 10m width
市街地の中から幅10 m程度
の橋を判別することができており,十分な空間分解能を有していると判断した.市街地の詳細も分かるため,災害時の状況把握等にも利用ができるものと考えられる.
GSD: 6.3m / pixel
重量100kg以下の超小型衛星では,世界最高クラスの空間分解能
ほどよし4号 HCAM:撮像時の姿勢安定度
• ほどよし4号高分解能カメラ(6.3mGSD)の撮影方式はプッシュブルーム(地表スキャニング)のため高い姿勢安定度を要求している
• ジャイロの計測値から要求姿勢安定度(0.08deg/s)は十分に満足していることを確認するとともに,実際の撮影画像から撮影時のブレが無いことを確認
• 姿勢制御機能及び姿勢安定度に関しては目標値を達成
01:20:21 01:20:29 01:20:38 01:20:47 01:20:55 01:21:04-0.08
-0.06
-0.04
-0.02
0
0.02
0.04
0.06
0.08
Raw
sens
eor d
ata[
deg/
s]
gyro-body-x gyro-body-y gyro-body-z
HCAM撮影区間
ほどよし4号 HCAM: 千葉勝浦(2014/12/13)
2014-12-13T00:54:38Z
© 2014, The University of Tokyo, Hodoyoshi-3&4 Project
圃場の識別も可能なため,圃場ごとの農作物の生育状況の把握,収穫適期予測等の農業利用への活用も期待できる
RGB color image False color image
1. バンド間レジストレーション2. HCAM画像とテンプレート画像
(Landsat)のGSDを揃える3. GCP (Ground Control Point)を
選択する
4. 正規化相関係数を用いたマッチング処理により画像間の対応関係を求める
5. HCAM画像に緯度経度情報を付加する
6. HCAM画像を地図座標に変換する
超小型衛星画像の精密幾何補正
• 衛星画像の時系列解析を行う場合には,精密な地図投影が必要となる• 地図投影を行うには,一般的には,衛星の位置・姿勢情報が必要となる
が,その精度は衛星の姿勢決定系の精度に依存してしまう• ほどよし4号はLandsat等の他衛星の画像をテンプレートとして,マッチ
ング処理し,地図投影画像生成– 衛星の姿勢決定系に高精度を求めずに,地上処理の手法・アイ
ディアで精度を補い,成果物の精度を維持する「ほどよし」運用
(a) (b)
(d)(c)
Comparison result of Geometric correction of HCAM image(a, b) HCAM image, (c, d) Landsat-8 image
ほどよし3, 4号Sotre & Forwardミッション○ Store & Forwardは,地上で計測したデータを衛星に向けて送るシステムブイや車などの移動体、あるいは地上の観測点にセンサを おいて、そこで計測したデータを電波で人工衛星
に送信し,衛星が上空を通過するときに受信してまわり,それをまとめて地上局にダウンリングする .水質や大気をはじめとする各種環境の調査,移動体の位置や履歴の把握など様々な用途が期待され,また,世界中で同じ方式でデータ収集ができるというメリットがある.
データ収集センター
地上のセンサからデータを収集
ユーザーへ配布
固定センサ・移動体センサ海上ブイ等に取り付けたセンサと無線機
収集したデータを地上局にまとめて送信
・画像・温度,風速・水質・土壌情報・災害情報
etc…
ほどよし3号によるS&Fミッション成果
撮影: 2015/09/30
• 軌道上実験として地上送信機から試験データをほどよし3号に送信
– 無指向性パッチアンテナ, 通信速度: 320bps, 送信出力: 1W• 試験データ: JPEG画像
• 1日に約10kByte程度の中継に成功
パッチアンテナ
カメラ
送信機ボックス(バッテリー等含)
受信画像
千葉県銚子市役所屋上
• データ量は少ないが,一般ネットワーク回線が存在しない地域や,立ち入り制限区域等でのデータ取得が可能
• 今後,さらに微弱電波(特定小電力)でのS&Fを実現し,手軽なセンサネットワークの構築を検討する予定
ほどよし3, 4号メッセージ&カメラモジュール
• ほどよし3,4号にはそれぞれ2台の「メッセージディスプレイ&カメラモジュール」が機器搭載スペースに載っている
• 任意のメッセージと地球を同時に撮影することができる.• 表示するメッセージは,地上局からのアップリンクにより自由に作成することができる
• 御祝いの電報や送り物への使用等,新しい宇宙利用のアプリケーションの可能性を示せた
• 「機器搭載スペース」は、公募等で採択された利用者が自由に利用できる人工衛星内に設けられた10cm立方の空間
• 新規材料・技術の宇宙空間内での実証実験や,広報・メディアツール等への利用など幅広く利用
ハローキティ40周年キャンペーンでの活用 御祝いの電報や贈り物
ほどよし衛星の成果展開
熱赤外観測衛星: UNIFORM-1
開発: 和歌山大学
超小型深宇宙探査機 PROCYON
2
超小型深宇宙探査機 PROCYON• 2014年12月3日に打ち上げ• ノミナルミッションである超小型深宇宙探査機バス技術の軌道上実証に成功• 地球最接近での地球撮像に成功
PROCYON Facebookより抜粋
ベトナム教育衛星: MicroDragon• VNSC(Vietnam National Satellite Center)に勤めている若
手エンジニアが、日本の各大学(北大、東北大、東大、慶応大、九工大)に修士の学生として派遣されてきており,この教育プログラム内で,50kg級超小型衛星の開発を行う.
• 革新衛星技術実証プログラムに選定されており,イプシロンロケットで2018年打上げ予定
• 「ほどよし/UNIFORM」で実証されたバス機器を使用
【ミッション】
• 海色リモートセンシング
– 波長可変フィルタ搭載カメラによる波長選択型のマルチスペクトル観測
• エアロゾル偏光リモートセンシング
• Store & Forward – サブミッションとしてほどよし3, 4号と同等のS&Fも搭載
する
• ミッションデータを活用し、ベトナムにおける持続可能な漁業・養殖業への貢献をめざす
S&F衛星 “TriCom-1”
寸法 116×116×H346 mm3
重量 < 3.0kg (衛星本体)
姿勢制御
・姿勢センサ: 軸地磁気センサ, 3軸MEMSジャイロ3軸高精度地磁気センサ, GNSS受信機
・アクチュエータ: 3軸磁気トルカ(MTQ),デスパン用ホイール(1軸RW)
電源
ボディイマウント4面発生電力:8 W(最大)消費電力:1.2W (Safeモード)安定5.0V, 3.3V供給
太陽電池セル:GalnP2/GaAs/Ge三接合(効率30%)二次電池(メイン):Li-Ionバッテリ (2並2直)
通信
通信周波数: UHF帯コマンド: 1.2 kbps (GFSK), テレメトリ: 1.2kbps – 76.8kbps(GFSK)
CDH・ ほどよし3,4号で実証されたソフトウェアアーキティク
チャを採用
• 特定小電力(< 20mW)によるS&Fを実証する3U-CubeSat• IoT機器への利用に向けた最新型変調方式であるLoRaを
採用した低電力小型無線モジュールを使用
• 世界に先駆けた未軌道上実証の最新型デバイスによる技術実証
• 現在開発中, 2016年度打ち上げ予定
50kg級超小型衛星で実証されたバス技術を更に小型化
>電源システム,通信機,ソフトウェア等
超小型衛星による地球観測の利用例
超小型衛星と中・大型衛星の利用~福島避難指示区域の長期環境変化モニタリング
• 文部科学省『地球観測調査等調査研究委託事業(H24 – H26)』• 福島避難指示区域の長期的モニタリング
– 避難指示区域の環境変化の把握
– 2010年(震災前) ~ 震災後で,植生増加が見られる.– 避難による人間活動の低下に起因して,田畑が荒れ(放棄され), その結果として雑草が著しく繁茂したと考えられる.– 雑草は冬季には枯れ,発火の危険性がある.
(2015年3月)
福島県浪江町周辺の高分解能画像 (WorldView-2, パンGSD0.5m)+1-1
NDVI (Normalized Difference Vegetation Index)
2012/08/21
2010/09/10
超小型衛星と中・大型衛星の利用~福島避難指示区域の長期環境変化モニタリング~ほどよし衛星による観測
Hodoyoshi-3, Fukushima2014-10-25T00:29:32Z
RGB=R-IR-G Vegetation Index
• ほどよし3号は40mGSDのため解像度は粗いものの,一度に撮影できる範囲が広く,高頻度観測が可能
• 近赤外観測による植生指数算出が可能なため,広域的に植生の増減を監視することが可能
Namie Futaba
Okuma
Tomioka
Fukushima Daiichi
超小型衛星と中・大型衛星の利用~福島避難指示区域の長期環境変化モニタリング~ほどよし衛星による観測
• ほどよし1号,4号は6m程度の地表サンプ
リング間隔を持っており、建屋や田畑の状態等を把握することが可能
HODOYOSHI-1, Fukushima, 2015-7-14
Namie-town
Fukushima NPP#1
超小型衛星と中・大型衛星の利用~福島避難指示区域の長期環境変化モニタリング~ほどよし衛星画像と既存衛星の比較
福島県浪江町周辺(2014/03/15, RapidEye)
福島県浪江町周辺(2015/03/15, ほどよし1号)
• 既存衛星 (ex. RapidEye 6.5mGSD, 150kg マルチスペクトル衛星)との比較
• 観測頻度を高め,時系列解析をすることにより環境変化が分かる
• 超小型衛星は,既存の高分解能衛星と比較しても,遜色無く実利用に使える
地球観測衛星の問題例とその解決~災害監視への利用
• 2014年9月27日に噴火した御嶽山
• 噴火直後の観測には間に合わず,その後も雲に遮られたが,10月10日に初観測
• 噴火前後の纏まったデータ取得はできなかったが,定期観測ポイントに設定し,観測を続けた
Hodoyoshi-3-MCAM2014-10-10T01:10:02Z
• 広島・安佐南区を中心とする土砂災害警戒区域・特別警戒区域
• 2014年8月から土砂崩れ後の様子をモニタするために定期的に撮像を行った.晴天画像取得は10月19日から.
• 災害直後は雲に阻まれ撮像失敗,被雲が多く,災害前後のまとまったデータの入手はできなかった
Hodoyoshi-3- MCAM: 2014-10-19T01:24:02Z
広島土砂災害後の観測
御嶽山噴火後の観測
地球観測衛星の問題例とその解決~衛星による環境観測の課題点
• 環境変化の観測や災害観測は即時性かつ長期的に継続することが重要
• 光学衛星画像の天敵は雲・・・,晴天画像を如何に撮るかが重要– 1機のみでは観測頻度が不十分(雲の影響により撮れない場合が多い)– より多くの衛星でコンステレーションを組み,監視し続けることが重要
– 大型衛星を超小型衛星で補完し,晴天観測頻度を増やす
Landsat-8/OLI: 2014/08/19-2014/11/23Hodoyoshi-3, Fukushima (2014-10-25T00:29:32Z)RGB=R-IR-G
Namie Futaba
Okuma
Tomioka
Fukushima Daiichi
地球観測衛星の問題例とその解決データの即時性~Planet Labsの例
• サンフランシスコ拠点ベンチャー
• 100機以上の超小型衛星群による地球観測により,24時間以内の再訪時間(Revisit Time)を実現
• 3U-CubeSat, 5kg• 分解能: 約3m/pixel, 画像サイズ: 22kmx14 km• 4バンド(NIR含む),
Niagara Falls (26 October 2015)Image credit: Planet Labs
機数 Revisit Time [Day]
20 28
30 15
50 2
150 1
Planet Labs社公表資料から抜粋 (緯度 40°の場合)
地球観測衛星の問題例とその解決~リアルタイム画像を利用した地球観測
• 広域撮像画像 (ファインダー) を使用して,自律 or オペレータが見ながらリアルタイムで晴天地域がどこにあるかを判断
• 姿勢制御系と連携することにより,高分解能カメラで晴天地域を狙って撮像する→ 画像取得成功頻度の向上
東京大学運用室
衛星運用センター
高分解能撮影
ネットワーク回線リアルタイムモニター
リアルタイムモニターアプリケーション
複数種類の衛星データの利用・融合
合成開口レーダ中分解能マルチスペクトル高頻度取得画像
高分解能マルチスペクトル短波長赤外画像熱赤外画像
「多数の衛星」による観測の実施• 観測頻度の向上• 空間分解能やスペクトル等が異なる様々な情報を取得• ハイパースペクトルによる有効な観測波長帯の確認・連続スペクトルの利用
光学画像,レーダ等の多様なデータを取り入れた融合技術の開発
ハイパースペクトル
まとめ
• ほどよし衛星により超小型衛星(50kgクラス)を低コスト,短期間で開発・運用できる土台を構築した
• 地球観測・S&F技術の利用実証を行い,超小型であっても既存衛星と遜色無く利用できる可能性を示した
• ほどよし衛星の成果は現在,多数の超小型衛星の発展に貢献している
ほどよし衛星の成果
• 多くの衛星でコンステレーションを組み,監視し続けることが重要
• 大型衛星・超小型衛星問わずデータの融合が可能なシステム・サービスが必要
• 互いに補完し合うことにより,データ取得頻度・即時性向上につながる
超小型衛星による地球観測の将来
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