当院における在宅支援の取り組み · リフォームの必要性 有/無 階段...
Post on 09-Aug-2020
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当院における在宅支援の取り組み
-小児在宅支援移行委員会の活動報告-
亀田総合病院 NICU看護師 高梨美智代
委員会の概要
委員会の目的: 小児在宅療養に向けて、
医療系部署の他に医事課、物流部署を
含めた院内での連携強化を図り、在宅移行
における導入、移行後の支援を継続する。
委員会の開催: 月に1回
全部署から平均80~90%の参加
委員会参加メンバー:小児科医師(新生児経験あり)、 NICU・小児病棟・小児外来・訪問看護の看護師、 ME、理学療法、システム管理室、医事課
委員会の取り組み:
1.小児在宅導入テンプレート
2.小児在宅物品管理料表
3.家族説明用医療的ケアパンフレット
評価:
PDCAサイクル
(Plan計画、Do実施、Check評価、Action改善)を基本に、繰り返し実践
1.小児在宅医療導入テンプレート
委員会発足前:
・ 必要時のみ、他部署・多部門・地域での
カンファレンス開催
・ NICUから外来や小児病棟・訪問看護
への申し送りは、退院時に担当看護師が
その都度、情報提供用紙を作成し、申し送り
委員会発足後、知り得た事・・・
経験のある看護師は詳細に、
経験の少ない看護師は情報が不足
しているなど、各個人により、
申し送り内容に差が生じており、
申し送りを受ける側が困惑していた。
委員会発足後:
・ 各部門で、小児在宅移行時に不文律となっていた内容を抽出
・ 共通の言語を使用し、申し送り内容を統一
・ 院内の各部門で使用ができる
電子カルテへ導入
小児在宅医療導入テンプレート
作成
統一された申し送り内容
全関係部署で閲覧可能
院内共通電子カルテによる情報共有
① チームメンバー表
小児科医 主治医: 担当医:
相談支援専門員
在宅/往診医 保健所
歯科医 行政( 市町村)
病棟看護師 師長: プライマリ:
訪問看護師
病棟リハスタッフ 訪問リハ
ME ヘルパー
医事課 教育関係者
K MC(物品)
ソーシャルワーカー
他科医師 (小児外科・耳鼻科など)
≪小児在宅医療導入テンプレート≫
① 在宅導入児
病名 □アレルギー 無/有:
#1. #2. #3.
□特定疾患 □小児慢性特定疾患 □特定疾患 □小児慢性特定疾患 □特定疾患 □小児慢性特定疾患
予後と説明
必要な医療ケア 使用物品 定期受診/他 抜去時の対応/注意事項
□気管切開 種類: ;サイズ 交換の間隔: 実施者:
最終交換日
□在宅酸素 ( )L/min
□在宅呼吸器 種類 加湿器:有/無 回路交換: おき 回路交換最終日: 実施者:
呼吸器設定: 指導:ME(初回)済み/未 病棟(自立)済み/未
業者: 担当者: 連絡先: バッテリ駆動時間:
□経腸栄養 ○胃ろう ○経鼻胃管/十二指腸チューブ
種類: ;サイズ 挿入長: ( )cm固定 最終交換日:
食事: 処方/購入 済み/未 1回量: ポンプ 有/無 回数(時間):
ポンプ導入日: 指導:ME(初回)済み/未 病棟(自立)済み/未
□吸引 吸引器: 吸引チューブ:
低圧持続吸引器(自費) 有/無
□移動手段 □バギー+福祉車両 有/無 □自家用車+チャイルドシート有/無
練習:済み/未 介助者:
□蘇生 アンビューバッグ 有/無 練習:済み/未 購入元: 付属品:
□その他(自己導尿など)
□予防接種
必要な消耗品
管理料内の物品: 自費購入物品:
① 家族・家庭状況
1)家族構成とキーパーソン
2)経済状況
3)Home Evaluation
□リフォームの必要性 有/無 □階段 □物品の置き場所 □車から居室までの移動
□電気工事の必要性 有/無 □居室 ○日常医療ケア物品 □インバーター発電機(当院)有/無
□その他 □浴室 ○緊急時必要物品 □
4)医療ケアの習得状況
□注入 □吸引 □アラーム対応 □蘇生
5)生活スケジュール
6)家族の希望
① 社会的事項
1)福祉サービス
□身体障害者手帳( )( )( ):( )級 □小児慢性特定疾患 □特定疾患治療研究
特別児童扶養手当 □産科医療保障制度
2)退院後のフォロー
□KMC 小児科 耳鼻科 小児外科
その他
□往診 KFCT/外房/ARMEC 在宅医療部 有/無
□評価入院の利用
□レスパイト施設
□急変時の病院受診
□訪問看護 回/週
□ヘルパー 市町村への申請 済み/未 病院訪問 済み/未 回/週
3)事前指示書
□取得済み □特記事項
4)緊急時情報用紙
□準備済み: □特記事項:
5)地域との調整
□ 東京電力:連絡 済み/未 □ ( )消防署:連絡 済み/未 非常時連絡先番号:
2.小児在宅物品管理料表
委員会発足前:
NICUにおける家族指導は、感染防止を目的にした院内での清潔概念が強く反映していた。
例)吸引チューブのアルコールによる清拭、
経管栄養に必要なシリンジの使い捨て・
胃チューブ交換は1週間に1回など。
委員会発足後、知り得た事・・・
外来・訪問看護師が助言・指導する
在宅での簡易的な物品の取り扱い方法に
対し、家族は受け入れ困難となっていた。
結果、消耗物品において、
在宅物品管理料内でおさまらず、
自費購入していた。
委員会発足後;
・ 訪問看護で実施している方法の取り入れ
例)吸引チューブは、自費購入だが、吸引後
のチューブは、外側をティッシュで拭き、
水道水でチューブの内腔を洗浄
・ 在宅で使用する妥当な数の決定
例)経管栄養
経管ボトル( 2個)
シリンジ (10本) 管理料内
胃チューブ( 2本) (1ヶ月)
小 児 在 宅 物 品 管 理 料 表 作成
物品管理料表の院内共通理解
統一した物品渡し
家族の受け入れ
自費購入の減少
3.家族説明用医療的ケア パンフレット
委員会発足前: 在宅での医療的ケアの手技に、NICU・ 小児科・外来・訪問看護で、家族に異なる 指導を行っていた。また、病院と在宅での 違いに焦点をあてる事が少なかった。 例)胃チューブ計画外抜去の居宅での再挿入時 の位置確認方法 ① 聴診器での気泡音確認 ② 外来受診をし、レントゲン撮影
委員会発足後、知り得た事・・・
移動の困難さなどから、
胃チューブの位置確認を目的とした
レントゲン撮影の受診は、家族の判断で、
継続されていなかった。
結果、
児の安全が確保されていなかった。
委員会発足後:
・ 病院と在宅での医療的ケアの違いに
ついての把握
・ 在宅での安全と利便性に焦点をあてた
ケア方法の検討
・ レントゲン以外での胃チューブ誤挿入の
確認方法の検討
① 聴診器での気泡音確認
② 胃内容の逆流物確認として
pHチェッカーの活用
家族説明用医療的ケアパンフレット
作成
例)気管切開児の吸引、経管栄養、胃瘻ケア
家族へNICU入院中から統一した指導
統一した物品渡し
児の安全と家族の安心確保
ま と め ・ 在宅移行期における物品準備から医療的ケアの家族指導を院内の各部署間で共有
・ 家族と最初に関わるNICUスタッフによる、在宅での生活を見据えた家族指導の実施
退院後、児とその家族が安全に過ごせ、
生活の質を高めることへつながる。
今後の課題 現在取り組んでいること
DVDによる医療的ケア申し送り方法
医療機器(人工呼吸器やポンプ)貸出 フローチャートの作成
NICU→小児病棟→外来→訪問看護→
地域間の看護における申し送り表
参考文献:
1.前田浩利,岡野恵里香(2013):NICUから始める退院調整&在宅ケア ガイドブック,メディカ出版
2.前田浩利(2013):小児在宅医療ナビ,南山堂
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