高分子化学第二...
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高分子化学第二田中 敬二、高原 淳、長村 利彦
(共通第8:学生支援2F)
4/16 高分子とは(テキスト1章)高原4/23 分子量・分子量分布(テキスト2章)田中4/30 立体規則性、コンフォメーション、高分子鎖の拡がり(テキスト2,3章) 田中
5/7 排除体積効果、Θ状態(テキスト3章)田中5/14 相溶性、粘度、拡散(テキスト3章)田中5/21 高分子の結晶構造(テキスト4章)高原5/28 高分子に特徴的な集合体の階層構造(テキスト4章)高原6/4 高分子の融解現象と結晶化(テキスト4、5章)高原6/11 ガラス転移(テキスト5章)高原
6/18 田中先生(補講)6/25 高分子の力学的性質・ゴム弾性(テキスト5章)長村7/2 高分子の粘弾性・緩和(テキスト5章)長村
7/9 高分子の電気的性質(テキスト5章)長村7/16 高分子の光学的性質(テキスト5章)長村
セラミクス材料陶器、ファインセラミクスBC8000年 土器メソポタミア20世紀後半からファインセラミクス
金属材料BC1567年青銅器エジプト産業革命の主体(鉄鋼)
1.高分子とは硬い材料(ハードマテリアル)
高分子材料小さな分子がひも状につながった分子(プラスチック、ゲル,ゴム、生体高分子(たんぱく質、糖質、DNA))などを高分子と呼びます。
コンニャク
DNA
チーズ
高分子溶液
低分子と高分子との違い:小さな分子が化学反応で結合(重合)して長いひも状の分子になったものが高分子です。高分子になると同じ化学組成でも性質が全く異なる。
台所でみつけた高分子:高分子が無かったら、私たちの生活はどうなるでしょう?食べ物も私たちの身体も高分子です。(斎藤、渥美「高分子化学(わかる化学シリーズ7)」東京化学同人(2006).より)
携帯電話に使われている様々な高分子:高分子材料はいろんなところで活躍しています。高分子材料が無かったら携帯電話はこんなに小さく、軽つくることはできないでしょう。(荒木、明石、高原、工藤、有機機能材料、東京化学同人(2006)より)
高分子科学の歴史
• 自然界における高分子化合物は、おもに有機高分子の生体物質である糖鎖、タンパク質、核酸などとして多種多様なものが見出される。したがって研究対象である高分子自体は有史以前より人類の営みのなかに存在していた。
• ニトロセルロースやポリスチレンは19世紀に、レーヨンは20世紀初頭に発明・発見されているが、学問対象としての高分子化学が確立するのは20世紀に入ってからであるである。
• 高分子という概念は1926年にStaudingerによって提唱された。彼はセルロースやタンパク質といったものは似たような性質を持つモノマーが多数結合した鎖状の巨大分子(ポリマー)であり、これによって高分子の性質が導かれると提唱した。当初は相手にされなかったこの考え方もやがて広く認められることとなる。(1953年ノーベル化学賞)
• 石油化学工業の発展とともに、初期はウォーレス・カロザースのナイロン66(1930年)などが合成繊維に応用され、今日では衣類のみではなく自動車部品まで利用されている。
• 1950年頃Floryによる高分子の物理化学の学問体系化(1974年ノーベル化学賞)
• ZieglarとNattaが開発したチーグラー・ナッタ触媒(1953年)で合成されるポリプロピレン等に代表される合成樹脂(プラスチック)(1963年ノーベル化学賞)
• Lehnによる超分子科学創設(1987年ノーベル化学賞)
• deGennesによるスケーリング則、ソフトマテリアルの概念(1991年ノーベル物理学賞)
• 白川英樹らが発見した導電性高分子(2000年ノーベル化学賞)
• Grubbsのメタセシス反応(2005年ノーベル化学賞)
樹脂・材料名生産量(2001)
千トン価格 備考
熱硬化性樹脂 1,288 エポキシ 330円/kg低密度ポリエチレン 1,852高密度ポリエチレン 1,240 129円/kgポリプロピレン 2,696 131円/kgポリスチレン 1,053塩化ビニル樹脂 2,195熱可塑性樹脂全体 12,1495大汎用樹脂合計 9,035生分解性樹脂 6 400-500円/kg PLA 40%汎用エンプラ 843 PET 250円/kg特殊エンプラ 33 PPS 23合成ゴム 1,466 SBR 641合成繊維 1,368 PET 628特殊繊維 パラ系アラミド
化学経済、2002年7月臨時増刊号
日本の主な高分子の生産量
セラミクス材料原子間は共有結合・イオン結合結晶性非晶性(ガラス)
金属材料原子の積み重なりにより比較的単純な
結晶構造を形成金属イオンの周りを電子が飛び回る
高分子材料炭素・水素原子が主成分で、主として炭素
原子が骨格となり共有結合で長くつながった分子鎖からなる分子鎖同士は絡み合う100%結晶化することは困難(単結晶でも非晶部分が存在)分子量分布の存在粘弾性を示す(力学物性が温度、時間、周波数に依存)
非晶部分
結晶部分
高分子材料の特徴
NaO-CaO-SiO2ガラス
ワイゼンベルグ効果
バラス効果
高分子溶液が示す性質
液体でも分子が長いので弾性を示す
ワイゼンベルグ効果高分子液体に回転によりずり変形を与える
と、ずり応力以外に、法線応力が発生し、回転軸に高分子の溶液が巻き付いてくる。(法線応力効果)→高分子液体の弾性に起因
バラス効果高分子濃厚溶液や融液を細い孔から押
し出すと、分子鎖が完全に緩和せず、弾性変形としてせん断エネルギーが一部蓄えられる。孔から出たとたんに緩和
紡糸、フィルム形成で重要(孔の寸法と成型体の寸法)
高分子に特徴的な性質ー粘弾性弾性率が温度、時間、周波数に依存
分子の中のどの大きさの部分が運動しているか
結晶性高分子(ポリエチレン、PET、ナイロ
ン)
非晶性高分子(PS,PMMA)
貯蔵弾性率
力学的損失正接、δは応力と歪みの位相差
G=数GPa
G=数MPa
シリパテの例
S
S
S
S
S
S
高分子は固体の中でどのような構造をとっているか?
(a) 非晶状態ーランダムコイル(b)折り畳み結晶→球晶
(c ) 繊維構造配向した結晶組織
(d) ゴム
透明な非晶性高分子PMMA,PS
白く濁るポリエチレンポリプロピレンナイロンポリエステル
加硫ゴムシリコンゴムウレタンゴム
ポリエステル繊維ナイロン繊維
おなじ高分子でもいろんな性質のものがあります。
ゴム(ひも状の高分子は液体のように運動しているがところどころでつなぎ止められている)
ポリエチレン(ひも状の高分子が結晶をつくる)
ポリスチレン(ひも状の高分子が動きにくい)
CH2CH CH2CH CH2CH CH2CH
高分子鎖は固体中で絡み合っている。結晶化しないので均一である。非晶性(ガラス状)高分子光の波長のオーダーで不均一性が無いので透明性が高い
食品用トレーなどへ利用
スチレンモノマー(室温で液体)
ポリスチレン(室温で固体)
非晶性(ガラス状)高分子
ポリカーボネート(PC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)もガラス状高分子
ポリ袋柔らかくて透明(結晶の割合が少ない)
食品容器、洗剤のボトル硬くて強靱 不透明(結晶の割合が多い)
同じポリエチレンでも分子の形状によって性質が異なります
まっすぐに分子がならぶと結晶を作りやすい
分子の骨組みを硬くすると鉄よりも強い材料ができる:アラミド繊維ポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)Kevlar
剛直な分子構造(欠点は溶媒に溶けにくい)硫酸溶液から膜や繊維を作る
CC N N
O O H H n
融点560℃高い強度と弾性率
○応用 防弾チョッキ、タイヤベルトの強化材、航空機材料用複合材料の強化材
1mm2の繊維が支えることの出来る重量
発酵
重合
水と二酸化炭素(植物の光合成)
微生物により分解
植物を原料とする高分子ーポリ乳酸
乳酸D,L体の比率によって結晶性が
異なり、大きく性質が異なる
脂肪族ポリエステルーポリ乳酸
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