ブエノスアイレスの河川汚染および ウルグアイとの...

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ブエノスアイレスの河川汚染およびウルグアイとの国境を流れる河川の汚染による国際紛争

ブエノスアイレスの河川汚染およびウルグアイとの国境を流れる河川の汚染による国際紛争

産業技術総合研究所 研究顧問厨川 道雄

SumgayitAzerbaijan

Liften中国

Norliskロシア

La Oroyaペルー

Kwabeザンビア

Dzerzhinskロシア

Chernobylウクライナ

Tianying中国

Sukindaインド

Vapiインド 大気汚染

採鉱、精錬

鉛、銅、他

クロム鉛、他

鉛、カドミウム

Nickel

兵器工場原子力発電所

世界で最も汚染されている地域(2007年)-トップ 10 -

世界で最も汚染されている地域(2007年)-トップ 10 -

by Blacksmith Institute2

工業団地

化学物質

石油化学品

Mailuu-suu

Bratsk

Matanza-Riachuelo

Dandora

Magnitogorsk RudnayaPristan

Huaxi

Mahad

Lanzhou

Wanshan

Haina

Oriente

Hazaribagh

Ranipet

Ust-KamenogorskUrumqi

Mexico city

Chita

Huancavelia

Marilao

by Blacksmith Institute3

世界で最も汚染されている地域(2007年)-11位から30位まで -

世界で最も汚染されている地域(2007年)-11位から30位まで -

アルゼンチンとは

どんなところでしょうか?

アルゼンチンはここです

東京から地球の中心に向かって穴を掘ると

ブエノスアイレスの近くに出てきます

アルゼンチンは日本から見て地球の裏側にあります

マルコは、イタリアのジェノバからアルゼンチンまでの「母を訪ねて3000里」

1928年6月14日、アルゼンチン第二の都市ロサリオで裕福な家庭に生まれる1948年ブエノスアイレス大学医学部に入学、アレルギーの研究を志す1956年キューバに上陸(12月2日)、以後3年間におよぶゲリラ戦に従軍1967年10月7日バイテグランデ村の近くで捕えられ、10月9日バリエントス大統領の命令で殺害(銃殺)、享年39

チェゲバラはアルゼンチン生まれ

カラファテ(氷河)

イグアス(滝)

カラファテ(氷河)

イグアス(滝)

南極の旅南極の旅

Cuverville島

Half Moon島

Half Moon島(アルゼンチン基地)

Half Moon島ヒゲペンギン

Half Moon島

Paradise Harbour

Paradise Harbour (チリ基地)

Port Lockroy

第2次世界大戦中にイギリスの秘密基地があった

Port Lockroy

いろんなところで、環境調査を行いました。

次の写真は、ブエノスアイレス郊外にあるごみの埋立

地です。

現アルゼンチン大統領・キルチネルの出身地リオガジェゴス市でも環境調査を行いました。

リオガジェゴス

生活排水(一カ所食肉工場排水の混入あり)

廃棄物埋立場

石炭・石油積出港

ガジェゴス川

リオガジェゴス市内

羊肉工場排水

リオガジェゴス市では、工場排水、生活排水、廃棄物埋立地による汚染が問題となっていま

す。

リオガジェゴス市のごみ置き場(写真左は市長)リオガジェゴス市のごみ置き場(写真左は市長)

工場や家庭からの排水は、地下のパイプを通って流れ、そのまま川岸で放流されています

黒い線が地下のパイプラインです

羊肉工場

これが羊肉工場からの廃水ですー血と肉片が混ざっていますー

血はそのまま川に向かって流れていきます

羊肉工場が操業しているときには、血で染まった真っ赤な排水が放出されていました

アルゼンチンの提案は、パイプラインを1本の太いパイプで結び、すべての排水を集めて、そのまま川底で放流するというアイデアです

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国際河川(ウルグアイ川)の汚染問題アルゼンチンvsウルグアイ

Gualeguaychu

アルゼンチン

ウルグアイ

ウルグアイ川

ラプラタ川

ラプラタ川第二の支流で、全長約1500kmの川。ブラジルの海岸山脈の西斜面を水源とし、アルゼンチンとウルグアイの国境を流れる。

ウルグアイ川

アルゼンチン

ウルグアイ

ウルグアイ川

ラプラタ川ブエノスアイレス

フライベントス

2005年2月:・フィンランドの合弁パルプメーカーのメッツァボトニア社は、製紙工場建設をウルグアイ国フライ・ベントス市のウルグアイ川岸に建設することを正式に決定。・投資額は11億ドルで、生産量は年間100万トン、・このパルプ工場はウルグアイ最大の工業投資で、ウルグアイのGDPを1.6%増大。・同時に、スペインの製紙企業ENCE社も、ウルグアイ工場に6億ドルを投資。年間50万トンの生産を目指す。・なお、工場誘致について、フライ・ベントス市の対岸に位置するアルゼンチン国エントレ・リオ(Entre Rios)州との誘致合戦の末、フライ・ベントス市に建設することになったと言われている。・これ以降、エントレ・リオ州グァレグァイチュ(Gualeguaychu)市住民が中心となって河川の環境悪化を理由に工場建設の抗議活動が開始された。

メッツァボトニア社の製紙工場建設現場

2005年5月:・アルゼンチンが政府として本問題に関与するようになったため、アルゼンチンとウルグアイの政治外交問題化に。・アルゼンチン国キルチネル大統領とウルグアイ国バスケス大統領は、工場建設が環境を与える影響を調査するため両国の関係者で共同調査を行う合同委員会を設置することで合意・実際には、同委員会は開催されず。

2005年10月14日:・イベロアメリカ・首脳サミット(スペイン国サラマンカ)に出席したアルゼンチン国キルチネル大統領とウルグアイ国バスケス大統領が問題解決のための会談を実施。進展なし。

2005年12月:・アルゼンチンのグァレグァイチュ市住人は、環境が破壊されるとしてウルグアイの製紙工場建設認可に反対し、ウルグアイ川にかかる橋を封鎖・この橋は、グァレグァイチュとウルグアイのフレイ・ベントス市を結び、ウルグアイとアルゼンチン、ボリビア、チリ、パラグアイ、ペルーを結ぶ主要道路にかかっている。

2006年1月17日:・製紙工場建設計画に対し、グリーンピースが反対抗議。・ドイツ、アルゼンチン、ブラジル、チリ、フィンランド、イタリア、メキシコ、ウルグアイから活動家が参加。

2006年2月:・2005年12月の道路封鎖により、観光、二国間貿易だけでなくチリなどの国との貿易にも影響が出始めた。・ウルグアイ国のトラック輸送業者団体は、橋の封鎖による加盟企業の損失賠償を求めアルゼンチン政府の告訴を決定。・これに対し、キルチネル政権は、「ウルグアイ政府は、アルゼンチンに事前の相談もなくフィンランド、スペインの製紙企業に工場建設を認め、ウルグアイ川協同管理協約に違反した」と抗議。・2月23日に同問題をハーグ国際司法裁判所に提訴することをアルゼンチン政府が正式に決定。

2006年5月12日:第4回EU-中南米カリブ諸国首脳会議が行われたウィーンで12日、会場のリード・メッセで首脳たちの記念撮影中に、ビキニ姿のグリーンピース活動家が乱入する騒ぎがあった。この女性活動家は、アルゼンチン人のEvangelina Carrozoさんで、アルゼンチンとウルグアイの国境を流れるウルグアイ川の河岸の街フライ・ベントスに計画中の製紙工場に建設反対するプラカードを掲げた。

2006年8月29日:・ウルグアイ政府がメルコスールの紛争裁判所へ、「アルゼンチン政府は70日間の道路の封鎖(国境橋前)したことはメルコスールの規定に違反している」として提訴。

2006年7月13日:・建設中止を求めていた裁判で、ハーグ(Hague)の国際司法裁判所のロザリン・ヒギンス所長は13日朝、アルゼンチンの訴えを退けた(14-1でウルグアイの勝訴)。

以上のような過程の中で、ウルグアイからアルゼンチンの河川は汚染されているのに、よくウルグアイからの汚染に対して、文句が言えるという指摘あり。

これが、マタンサ・リアチエロ川の汚染対策実施の一因となった。

2006年9月6日:・メルコスール紛争裁判所の判決がでたが、判決事項は不明瞭であったため、各国とも都合のよく解釈。

2009年10月:・アルゼンチンとウルグアイに架かっている橋の封鎖は、現在も続いている。・スペインは工場建設を断念したが、フィンランドの工場は、生産を始めている。

それでは、ブエノスアイレス市内を流れるマタンサ・リアチエロ川の話に入りま

2006年6月20日:・マタンサ・リアチエロ川の浄化計画について、アルゼンチンの最高裁判所が計画をすすめるように指示を出す。・これは、製紙工場の問題に絡んで、アルゼンチン政府自身も環境政策に注視していくことを余儀なくされたためとみられる。

マタンサ・リアチエロ川流域マタンサ・リアチエロ川流域

全面積全面積::

2,2402,240 KmKm22

全長全長:: 70 Km70 Km

幅幅:: 35 Km35 Km

上流部上流部::マタンサ川マタンサ川

下流・中流部下流・中流部:: リアチエロ川リアチエロ川

人口:約人口:約4.64.6百万人百万人

下水施設の普及率:下水施設の普及率:4545%%

上水施設の普及率:上水施設の普及率:6565%%

関連機関(関連機関(3434))

国の機関:9国の機関:9

ブエノスアイレス州の機関:ブエノスアイレス州の機関:88

ブエノスアイレス市の機関:ブエノスアイレス市の機関:88

市町村:市町村:1414

ごみたい積場ごみたい積場

100100ヶ所(ヶ所(400400ha)ha)

4040不法投棄所不法投棄所

マタンサ・リアチエロ川流域マタンサ・リアチエロ川流域

OBRAS REGULACION HIDRAULICA Y DRENAJE PLUVIAL

AREAS INUNDADAS 下流・中流部下流・中流部::2,7462,746工場工場(89%)(89%)

上流部:上流部:350350工場工場 (11%)(11%)

工場総数工場総数::3,0963,096

約約1,0001,000工場が工場がBODBODのの5151%に貢献している%に貢献している

流域における工場流域における工場

Location of Industries in the BasinLocation of Industries in the BasinLocation of Industries in the BasinLocation of Industries in the Basin

主な業種(最も公害を伴う業種)食品加工(食肉加工)機械金属(めっき)化学・石油化学皮革(皮なめし)

流域における工場流域における工場

下流部に存在するDock下流部に存在するDock Sud地区Sud地区石油化学コンビナートとスラムの共存石油化学コンビナートとスラムの共存

面積:約面積:約40 40 kmkm22

人口:約4万人人口:約4万人

工場:工場:5050

石油精製所:石油精製所:22

石油貯蔵庫:石油貯蔵庫:88

化学物貯蔵庫:化学物貯蔵庫:44

火力発電所:火力発電所:11

石油積出港:石油積出港:11

マタンサ・リアチエロ川流域管理機構(ACUMAR)ピコロッテ総裁(環境庁長官)ロッシ事務局長

中央政府環境庁水資源局

ブエノスアイレス州政府 ブエノスアイレス市

マタンサ・リアチエロ川を浄化するための組織マタンサ・リアチエロ川を浄化するための組織

内径0.8~2m、長さ12km

内径4.7m、長さ11.5km

マタンサ・リアチエロ川の浄化に対する日本の協力について

1.昨年9月、ピコロッテ環境庁長官(ACUMAR総裁)から日本大使館石田大使へ、日本の協力を依頼2.石田大使から「具体的にどのような協力が考える」かという相談有り。3.ACUMARロッシ事務局長と面談。「マタンサ・リアチエロ川浄化に関する具体的な取組と日本に何を期待するのか」の説明を受ける。4.日本には技術的な協力を期待している旨、説明を受ける。5.具体的な協力分野を検討し、JICAと大使館に説明。

資金的な援助は、IDB(米州開発銀行)が実施

対象分野・食品加工(食肉加工)・機械金属(めっき)・化学・石油化学(プラスチック)・皮革(皮なめし)

クリーナープロダクションの導入クリーナープロダクションの導入

各分野の代表的企業を抽出・クリーナープロダクション導入に向けて指導・4~5年間

それぞれの分野で対象となった企業を中心に技術の普及・4~5年間

問題点・成果が出るのは、10年間後アルゼンチンは成果を急いでい

る・成果が上がらないのを日本のせいにされない

・工場の生産フローチャートなどが必要となるため、アルゼンチン政府

の協力が前提

汚染源 ・工場排水・家庭

排水・不法

投棄

当面は、積極的に動かない・その後、具体的な要請なし・ピコロッテ長官が更迭・ロッシ事務局長も交替

不法投棄のほとんどは、貧民街から不法投棄のほとんどは、貧民街から

対策:貧民街の移転

ご静聴、ありがとうございました。

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