低ノイズ,低ひずみ出力を実現する 超多レベルインバータ回路 ·...

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Chiba University Power System Laboratory

平成24年2月21日

千葉大学大学院工学研究科

人工システム科学専攻 電気電子系コース 教授

佐藤 之彦

ysato@faculty.chiba-u.jp

大学連携新技術説明会

低ノイズ,低ひずみ出力を実現する超多レベルインバータ回路

1

Chiba University Power System Laboratory

研究の背景

次世代電力応用システムへの要求

• 電気エネルギー利用の高効率化

• 持続可能なエネルギー源による発電の拡大

• 電気エネルギー蓄積要素の本格的導入

2

半導体電力変換器,その中でもインバータの適用範囲・導入数が飛躍的に拡大する

適用範囲拡大技術の確立が必須

• 高調波の低減,電磁ノイズの低減

• 小型化,高効率化(発熱の低減)

Chiba University Power System Laboratory

従来のインバータの回路構成

dE

1aQ 1bQ

2aQ 2bQ

a

b abv

2bD

1bD1aD

2aD

di

ai

bi

LoadL

LoadR

1cQ

2cQ

c

2cD

1cD

ci

電圧の基準

avbvcv

nv各相の上下のスイッチ素子のいずれかをオン,他方をオフすることにより,2値的な電圧(Edまたは0)出力を得る。

Chiba University Power System Laboratory

従来のインバータの出力電圧

出力電圧

単相電圧形PWMインバータの出力電圧波形の例

問題点 •出力電圧/電流にスイッチングによる高調波を含む

→交流側に接続されるモータや電力システムの特性悪化,損失増加

•出力電圧の急峻で大きな電圧変化を伴う

→電磁ノイズや交流側回路の漏れ電流の発生

• スイッチ素子に印加される電圧が高い

→スイッチング損失の発生,素子耐圧確保のため導通損の低減困難

Chiba University Power System Laboratory

マルチレベルインバータへの期待

2レベル

3レベル

9レベル

高調波低減

電圧変化幅縮小

通常のインバータ

現状の実用技術

将来技術

Chiba University Power System Laboratory

代表的なマルチレベルインバータ方式

カスケード方式 ダイオードクランプ方式 フライングキャパシタ方式

Chiba University Power System Laboratory

マルチレベルインバータの現状

dE

1aQ

ai

bi

ci

2aQ

3aQ

4aQ

1bQ

2bQ

3bQ

4bQ

1cQ

2cQ

3cQ

4cQ2

dE

2

dE

3aD

2aD

1aD

4aD

1bD

2bD

3bD

4bD

1cD

2cD

3cD

4cD

電圧の基準

ab

c

va

vb

vc

ダイオードクランプ方式の3レベルインバータ

現状での適用例

・産業ドライブシステム

・新幹線駆動システム

Chiba University Power System Laboratory

マルチレベルインバータの基本原理

V

V

V

V

V

V

outv

どうやって実現するかが重要課題

直列数の異なる電圧端子をスイッチ素子で切り替えることにより,多レベルの電圧が出力可能

この例では,0,V,2V,3V,4V,5V,6V,7V,8Vの9レベルが出力可能

出力電圧

多段直列の

電圧源

1相分の回路

Chiba University Power System Laboratory

V

V

V

V

V

V

outv

8V

多段直列電圧源の実現法

出力電圧

1個の直流電源を直列コンデンサで分圧して多段の直流電圧源を実現

分圧した電位のバランスをいかにして保つかが課題

Chiba University Power System Laboratory

分圧点電位の安定化の必要性

1相分の回路 (ダイオードクランプ方式)

分圧点からインバータに

流れ込む電流は等しくない

分圧点電位を安定化するための電圧バランス回路が不可欠

Chiba University Power System Laboratory

1C

2CV

S

PS

S

rL

rC

PS

R vout

i r

v r

電圧バランス回路の原理

•スイッチ素子によりLC共振電流が流れ,C1とC2の電圧が一致するように電圧不均一分が補償される

• C1とC2の電圧の大小関係により共振電流の向きが自動的に決定されるため,特別な制御が不要

RSCC (Resonant Switched Capacitor Converter)

Chiba University Power System Laboratory

RSCCを適用したマルチレベルインバータ

•直流電源電圧を直列コンデンサで分圧する

•上下に隣接する分圧コンデンサをRSCCで相互に接続し,両者の電圧を均一化する

•すべての分圧コンデンサをRSCCで接続することによ

り,全ての分圧コンデンサの電圧をバランスさせる

Chiba University Power System Laboratory

•電圧バランス回路は,全ての分圧コンデンサの電圧を均一化する

•電圧の均一化作用は,直流電源の接続箇所によらない

電圧バランス回路を利用した昇圧動作

分圧コンデンサの中間点に直流電源の接続すれば,昇圧動作が可能

Chiba University Power System Laboratory

昇圧率の選択方法

電圧の昇圧率は,電源を接続する端子によって決定できる

理論昇圧比

A-A’ : 4倍

B-B’: 2倍

C-C’: 1.33倍

Chiba University Power System Laboratory

検証装置の外観

RSCCによる電圧バランス回路

直流リンクコンデンサ

5 レベルダイオードクランプマルチレベルインバータ

Chiba University Power System Laboratory

検証装置における実験波形

出力相電圧

出力電流

RSCC 電流

RSCC 電流

Chiba University Power System Laboratory

昇圧比の負荷電流依存性

•設計昇圧比2の接続時の結果

•負荷電流によらず,設計昇圧比を実現

Chiba University Power System Laboratory

新技術の概要

• 多数の電圧レベルを出力でき、低ノイズ化、出力の低ひずみ化に有効なマルチレベルインバータを実現するための基盤技術として、直流電源を多段に分圧した回路の電圧を安定化する回路として,昇圧機能をも備えた新しい方式を考案した。

18

Chiba University Power System Laboratory

従来技術・競合技術との比較

• 従来の2レベルのインバータや、一部で実用化が進められている3レベルのインバータに比較して、飛躍的な低ノイズ化,低ひずみ化が実現できる超多レベル数のマルチレベルインバータを実現することができる。

• 電圧バランス回路が昇圧機能をも具備することから、新エネルギーによる電源など,電圧の低い直流電源の利用を可能とする。

19

Chiba University Power System Laboratory

新技術の特徴

飛躍的にクリーンなインバータの実現 • 放射ノイズ,伝導ノイズの低減

• 出力電圧,出力電流の低ひずみ化

損失低減による効率改善 • スイッチング損失低減による高効率化

• 所要素子耐圧低減によるオン損失低減

低電圧直流電源への対応 • 電圧バランス回路を利用した昇圧機能の実現

20

Chiba University Power System Laboratory

想定される用途

• 太陽光発電,燃料電池などの系統連系装置

• 高速モータ駆動装置

• 高品質無停電電源装置

21

Chiba University Power System Laboratory

本技術に関する知的財産権

• 発明の名称:マルチレベルインバータ回路

• 出願番号:特願2011-193412号(2011/9/5)

• 発明者:佐藤之彦,伊藤拓巳,川崎将裕

• 出願人:国立大学法人 千葉大学

Chiba University Power System Laboratory

お問合せ先

産学官連携コーディネーター

千葉大学産学連携・知的財産機構

産学官連携コーディネーター 阿草一男

TEL 043-290-3565

FAX 043-290-3519

e-mail agusa@faculty.chiba-u.jp

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