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●● はじめに

 厚生労働省院内感染サーベイランス(Japan Nosocomial Infections Surveillance;JANIS)は,参加医療機関における院内感染の発生状況や,薬剤耐性菌の分離状況および薬剤耐性菌による感染症の発生状況を調査し,医療現場へ院内感染対策に有用な情報の還元などを行うことを目的として実施されている.

 検査部門,全入院患者部門,手術部位感染(SSI)部門,集中治療室(ICU)部門,新生児集中治療室(NICU)部門の 5 部門からなり,検査部門と全入院患者部門は薬剤耐性菌のサーベイランスに焦点を当てたもので,その他の 3 部門は院内感染症に関するサーベイランスになっている1).本稿では,JANIS 検査部門のデータの活用法について概説する.

1154 Medical Technology Vol. 47 No. 11

テーマ

JANIS データを活用しよう

講 師

国立感染症研究所 薬剤耐性研究センター*1/同 細菌第二部*2

川上小夜子*1・矢原耕史*1・菅井基行*1・柴山恵吾*1,2

読んで,見て,深める臨床検査技師のための誌上講義

要 点

●ㅡJANIS では還元情報として月報,四半期報,年報を作成し,参加医療機関ごとに集計結果を返却している.これらでは入院患者から分離されたサーベイランス対象の主要菌および特定の耐性菌について全国での分離率を箱ひげ図にし,自施設の分離率をその上に赤丸でプロットしている.月報では感染制御に必要な「どのような耐性菌が」「いつから」「どの病棟で」「何の検体から」分離されているかを知ることができる.年報では,分離率の箱ひげ図に加え,医療機関ごとに主要菌の抗菌薬感受性図(アンチバイオグラム)を作成しており,自施設の専用ウェブサイトから閲覧できる.

●ㅡ公開情報は,入院患者検体から得られたデータを全入院検体,病床数200床以上,200床未満,都道府県別に分けて,特定の耐性菌の分離状況がわかる資料やアンチバイオグラムを作成しており,ホームページ上から誰でも閲覧できる.2017年以降は外来検体についてもアンチバイオグラムの作成を開始した.

●ㅡ地域や自施設で感染対策に応用できるツール・資料として,箱ひげ図作成ツール,2DCM-web,重複処理確認ツール,JANIS 通信などを用意しており,アンチバイオグラム作成ツールも現在開発中である.

●● 還元情報と公開情報

 JANIS では参加医療機関から提出されたデータを集計し,2 種類の情報を発信している.一つは還元情報であり,参加医療機関から提出されたデータを集計し,自施設での院内感染対策に資するための情報として返却しており,自施設の専用ウェブサイトで閲覧できる.もう一つは公開情報で,わが国における薬剤耐性菌・院内感染対策に関するナショナルデータとして集計対象医療機関の全集計データを公開しており,ホームページ上から誰でも閲覧できる.

●● 月報還元情報

 月報還元情報は,参加医療機関からJANISに提出されたデータのうち,入院患者検体について集計し資料を作成している.データ提出後,通常 48時間以内に自動作成され,自施設の専用サイトから閲覧できる.月報還元情報では 6 種類の資料を作成し,感染制御に重要な情報である「どのような耐性菌が」「いつから」「どの病棟で」「何の検体から」分離されているかを検索できる. 集計は30日単位で重複処理を行っており,同一患者から 30 日以内に同一の耐性菌が複数分離された場合には,検査材料を問わず 1 人として算出している. 最初のページには,提出されたデータの精度を

確認する指標として,エラー件数(入力必須項目が未設定などで受け付けられていないデータ件数),注意・警告件数(誤ったデータである可能性が高い件数),さらに直近4カ月間および前年同月での検体提出数と検体提出患者数などを表示している.2 ページ目からは以下の内容を表示している.1)特定の耐性菌の分離患者数と分離率 自施設での特定の耐性菌の分離患者数と分離率を直近の 4 カ月間分示し,前年の全集計対象医療機関での分離率分布を示した箱ひげ図上に,データ提出月の分離率が赤丸でプロットされる(図1).赤丸の位置により,全国的にみた自施設での分離率を客観的に評価できる.分離率は特定の耐性菌分離患者数を分子に,検体提出患者数を分母にして算出している. 特定の耐性菌は,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA),バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌

(VRSA),バンコマイシン耐性腸球菌(VRE),ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP),多剤耐性緑膿菌

(MDRP),多剤耐性アシネトバクター属菌(MDRA),カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE),カルバペネム耐性緑膿菌,第三世代セファロスポリン耐性肺炎桿菌,第三世代セファロスポリン耐性大腸菌,フルオロキノロン耐性大腸菌である.MRSA~CRE の判定基準は,感染症法2)に準拠した JANIS の判定基準を使用してお

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図 1 還元情報の箱ひげ図

2019 年8月

集計対象医療機関の分離率(2018 年)の分布と自施設の分離率(当月)

検体提出患者数* 28 人

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)

6 人(21.43%)

自施設の分離率 21.43%最小値:0 中央値:8.96 最大値:44.41

り,それ以外の耐性菌は,2012 年の Clinical and Laboratory Standards Institute ガイドライン

(CLSI M100-S22)の判定基準3)に準じた JANISの判定基準を使用している(表 1).2)主要菌の分離患者数と分離率 主要菌としてStaphylococcus aureus,S. epider-midis,Streptococcus pneumoniae,Enterococcus faecalis,E. faecium,Escherichia coli,Klebsiella pneumoniae,Enterobacter spp.,Enterobacteria-

ceae(腸内細菌科細菌),Pseudomonas aerugi-nosa,Acinetobacter spp. について,1)と同様に自施設での分離患者数と分離率を直近の 4 カ月間分示し,分離率を前年の箱ひげ図に赤丸でプロットしている.Enterobacteriaceae については,CRE を集計する際の分母とするために,2018 年より Serratia marcescens に代わって追加された.3)特定の耐性菌の月別分離患者数推移 特定の耐性菌分離患者数の月別推移を 3 年間分

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表 1 JANIS における特定の耐性菌の判定基準

菌名 概要 微量液体希釈法(MIC値)

MRSA* MPIPC または CFX が“R”の S. aureusまたは選択培地で MRSA と確認された菌

MPIPC≧4μg/mLCFX≧8μg/mL

VRSA* VCM が微量液体希釈法で“R”の S. aureus VCM≧16μg/mL

VRE*下記のいずれかの条件を満たす Enterococcus spp.・VCM が微量液体希釈法で耐性・選択培地で VRE と確認された菌注)種の同定が行われていない Enterococcus spp. は除く

VCM≧16μg/mL

PRSP* PCG が微量液体希釈法で耐性の S. pneumoniae PCG≧0.125μg/mL

MDRP*

下記すべてに該当する P. aeruginosa1. カルバペネム系(IPM,MEPM の何れか)が微量液体

希釈法で耐性2.アミノグリコシド系の AMK が微量液体希釈法で耐性3. フルオロキノロン系(NFLX,OFLX,LVFX,CPFX,

LFLX のいずれか)が“R”

1. IPM≧16μg/mL,MEPM≧16μg/mL

2.AMK≧32μg/mL3. NFLX≧16μg/mL,OFLX≧8μg/

mL,LVFX≧8μg/mL,LFLX≧8μg/mL,CPFX≧4μg/mL

MDRA*

下記すべてに該当する Acinetobacter spp.1.カルバペネム系(IPM,MEPM のいずれか)が“R”2.アミノグリコシド系の AMK が微量液体希釈法で耐性3. フルオロキノロン系(LVFX,CPFX のいずれか)が

“R”

1. IPM≧16μg/mL,MEPM≧16μg/mL

2.AMK≧32μg/mL3. LVFX≧8μg/mL,CPFX≧4μg/

mL

CRE*下記のいずれかの条件を満たす腸内細菌科1.MEPM が耐性2.IPM が耐性,かつ CMZ が“R”

1.MEPM≧2μg/mL2. IPM≧2μg/mLかつCMZ≧64μg/

mLカルバペネム耐性緑膿菌 IPM または MEPM が耐性の P. aeruginosa IPM≧16μg/mL

MEPM≧16μg/mL第三世代セファロスポリン耐性肺炎桿菌

CTX または CTRX または CAZ が“R”の K. pneumoniaeCTX≧4μg/mLCTRX≧4μg/mLCAZ≧16μg/mL

第三世代セファロスポリン耐性大腸菌

CTX または CTRX または CAZ が“R”の E. coliCTX≧4μg/mLCTRX≧4μg/mLCAZ≧16μg/mL

フルオロキノロン耐性大腸菌

フルオロキノロン系(NFLX,OFLX,LVFX,LFLX,CPFXのいずれか)が“R”の E. coli

NFLX≧16μg/mL,OFLX≧8μg/mL,LVFX≧8μg/mL,LFLX≧8μg/mL,CPFX≧4μg/mL

*:感染症法の届出基準に準拠.

折れ線グラフで示し,増減や傾向を把握しやすくしている(図 2).4)主要菌の月別分離患者数推移 3)と同様に主要菌の月別推移を折れ線グラフで示している.5)病棟別,特定の耐性菌・主要菌の分離患者数 各医療機関で登録された病棟別に,毎月特定の耐性菌と主要菌の分離患者数を表示している(表2).

6)検査材料別,特定の耐性菌・主要菌の●分離患者数

 検査材料別に,毎月特定の耐性菌と主要菌の分離患者数を表示している.

●● 年報還元情報

 入院患者検体から下記の 6 種類の集計資料を作成し,還元している.最初のページには,提出されたデータの精度を確認する指標として,自施設における年間のデータエラー件数,注意・警告件数,直近 4 年間の検体提出数および検体提出患者

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図 2 MRSAの月別分離患者数推移

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45(人)

12月11月10月9月8月7月6月5月4月3月2月1月

2017

2018

2019

表 2 病棟別,特定の耐性菌・主要菌の分離患者数

病院全体 病棟A 病棟 B 病棟C検体提出患者数 588 50 16 10MRSA 26 2 7 2VRSA 0 0 0 0VRE 0 0 0 0PRSP 4 0 0 0MDRP 0 0 0 0MDRA 0 0 0 0CRE 0 2 0 0カルバペネム耐性緑膿菌 8 2 1 0第三世代セファロスポリン耐性肺炎桿菌 0 0 0 0第三世代セファロスポリン耐性大腸菌 15 2 5 0フルオロキノロン耐性大腸菌 20 3 5 1

数,全参加医療機関における 100 床あたりの平均検体提出数と平均検体提出患者数などを表示している.2 ページ目以降には以下の内容を掲示している.1)特定の耐性菌の分離患者数と分離率 月報と同様に,自施設での入院患者検体における特定の耐性菌の年間分離患者数と分離率を,当年の全集計対象医療機関の分離率分布を示した箱ひげ図上に赤丸でプロットしている.年報還元情報は,年間を通して30日単位で重複処理して作成している.2)主要菌の分離患者数と分離率 1)と同様に,自施設での入院患者検体における主要菌の分離患者数と分離率を確認できる.3)検査材料別分離菌数割合 2017 年までは自施設の入院患者の血液検体と髄液検体について,2018 年以降からは呼吸器検体と尿検体を追加して,年間分離菌数と割合を示している(図 3).この集計では重複処理を行っておらず,繰り返し同一菌が分離された場合には複数

の株として集計される.4)主要菌の抗菌薬感受性 自施設の入院患者検体から分離された主要菌の抗菌薬感受性について,2017 年までは 22 種類,2018 年以降は 23 種類のアンチバイオグラムを作成している.2017 年からは外来患者検体由来株についても作成している. 2018 年の年報から追加されたアンチバイオグラムは S. aureus(ALL)であり,MRSA と MSSAを区別せずに集計している.他に S. aureus

(MSSA),S. aureus(MRSA),S. epidermidis,Coagulase-negative staphylococci(CNS),E. faecalis,E. faecium,S. pneumoniae(髄液検体),S. pneumoniae(髄液検体以外),Streptococcus pyogenes,S. agalactiae,E. coli,K. pneumoniae,Enterobacter cloacae,Klebsiella(旧 Enterobac-ter)aerogenes,Citrobacter freundii,C. koseri,Proteus mirabilis,P. vulgaris,S. marcescens,P. aeruginosa,Acinetobacter spp.,Haemophilus influenzae に対し 4~13 薬剤の感受性集計結果を

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図 3 検査材料別分離菌数割合(血液検体分離菌)

Staphylococcus aureus

Escherichia coli

Staphylococcus epidermidisCoagulase-negative

staphylococci(CNS)*

Klebsiella pneumoniae

Candida albicans

Enterobacter cloacae

Pseudomonas aeruginosa

Klebsiella oxytoca

Enterococcus faecalis

Serratia marcescens

Enterococcus faecium

Enterobacter aerogenes

Corynebacterium sp.

Acinetobacter spp.* 29(1.3%)

32(1.4%)

40(1.8%)

59(2.7%)

63(2.9%)

64(2.9%)

73(3.3%)

82(3.7%)

87(3.9%)

92(4.2%)

97(4.4%)

126(5.7%)

281(12.7%)

296(13.4%)

341(15.4%)

400(人)350300250200150100500

その他447(20.2%)

感性(S)/中間(I)/耐性(R)で図示している(図4). アンチバイオグラムは,年間を通して30日単位で重複処理して作成している.ただし,薬剤感受性試験結果における重複処理法として,同一患者から分離された同一菌種に対する同一薬剤の最小発育阻止濃度(minimum inhibitory concentra-tion;MIC)値が 2 管以上異なる場合には,異なる薬剤感受性を示す菌として別々に集計される.5)病棟別,特定の耐性菌・主要菌の分離患者数 月報と同形式で年報を作成している.6)検査材料別,特定の耐性菌・主要菌の●分離患者数

 月報と同形式で年報を作成している.

●● 公開情報

 2015 年より,入院患者検体から得られたデータを全入院検体,病床数 200 床以上,200 床未満,都道府県別に分けて,年報公開情報として特定の耐性菌の分離状況がわかる資料やアンチバイオグラムを作成している.また 2017 年からは,全外来検体においても 23 種類のアンチバイオグラム作成を開始した(入院検体の集計とは異なる重複処理を実施している).年報公開情報は,参加医療機関から提出されたデータの精度管理を実施した後に集計し資料を作成するため,公開まで数カ月を要している.2018 年年報公開情報は 2019 年 7 月に公開され,以下の内容についてホームページから誰でも閲覧が可能になっている.

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図 4 Escherichia coli の抗菌薬感受性入院検体で,かつ検査法が微量液体希釈法または Etest と設定され MIC 値が報告されている検体を集計.抗菌薬感受性結果の重複処理が行われている.S,I,R の判定は CLSI 2012(M100-S22)に準拠している.Escherichia coli は菌名コード:2001~2007 と報告された菌.

777(99.2%)

512(64.3%)

788(99.5%)

789(100.0%)

783(100.0%)

594(74.8%)

590(75.4%)

638(81.1%)

579(73.5%)

774(97.5%)

371(46.4%)

343(42.8%)

527(65.6%)

I:4(0.5%)

I:16(2.0%)

I:3(0.4%)

I:20(2.5%)

I:4(0.5%)

I:32(4.1%)

I:1(0.1%)

I:12(1.5%)

I:19(2.4%)

I:1(0.1%)

R:2(0.3%)268(33.7%)

R:1(0.1%)

180(22.7%)

189(24.1%)

R:117(14.9%)208(26.4%)

276(34.4%)

R:8(1.0%)409(51.2%)

458(57.1%)

100%90%80%70%60%50%40%30%20%10%0%

ABPC(N=802)

PIPC(N=799)

TAZ/PIPC(N=794)

CEZ(N=803)

CTX(N=788)

CAZ(N=787)

CFPM(N=783)

AZT(N=794)

IPM(N=783)

MEPM(N=789)

AMK(N=792)

LVFX(N=796)

CMZ(N=783)

感性(S) S or I 中間(I) I or R 耐性(R) 判定不能

1)データ提出医療機関数 データが提出される参加医療機関の規模を 900床以上,500~899 床,200~499 床,200 床未満に分けて集計している.2018 年には 200~499 床が最多で,集計対象全医療機関 1,947 施設中 996 施設であった.2)データ提出検体数,培養陽性検体数,●分離菌数

 入院患者検体を呼吸器検体,尿検体,便検体,血液検体,髄液検体,その他に分け,検体数,陽性検体数,分離菌数を示している.3)検査材料別分離菌数割合 年報還元情報の 3)と同形式で表示している.4)主要菌分離患者数と集計対象全医療機関の●分離率分布

 年報還元情報 2)の元になる集計対象全医療機関での分離率分布の箱ひげ図を作成している.5)特定の耐性菌分離患者数と集計対象全医療機関の分離率分布

 年報還元情報 1)の元になる集計対象全医療機関での分離率分布の箱ひげ図を作成している.6)特定の耐性菌が分離された医療機関の割合 特定の耐性菌が分離された割合を,直近の 5 年間分表示している.7)主要菌の抗菌薬感受性 入院患者だけでなく外来患者由来株についても,年報還元情報と同形式で23種類のアンチバイオグラムを公開している.

 都道府県別公開情報では,地域での情報を全国や他の都道府県と比較して問題点を把握し,感染対策に活用していただきたい.その観点から,ある都道府県における特定の耐性菌の分離率を,他の都道府県におけるその分布と比較した「47 都道府県別特定の耐性菌箱ひげ図」も作成し,公開している.

●● 箱ひげ図作成ツール

 感染防止対策地域連携や複数施設での同一機能

ユニット(ICU など)の感染対策に活用できるように,箱ひげ図作成ツールを用意している.各医療機関の月報・四半期報・年報で作成される「病棟別」CSV ファイルを集め,専用フォルダーに入れると,数秒でCSVファイルを共有した全医療機関の特定の耐性菌 11 種と主要菌 11 種の箱ひげ図が作成される.

●● 2DCM-web ツール,重複処理確認ツール

 各医療機関の「還元情報ダウンロード」から,院内での同一菌の拡散を確認できる 2DCM-webツールを利用できる.また還元情報のCSVファイルを,期間を指定して一括ダウンロードし,そのなかで重複処理の結果を確認できるツールも利用できる.これらは Internet Explorer と Microsoft Edge での使用に限定される.

●● アンチバイオグラム作成ツール

 重複処理確認ツールで一括ダウンロードしたファイルをドラッグ&ドロップするだけで自施設のアンチバイオグラムを作成するツールも開発中である.

●● JANIS 通信

 JANIS についてわかりやすく解説したニュースレターを発信している.従来は参加医療機関専用サイトでのみダウンロード可能であったが,2016 年から 2018 年にかけて 5 本の増刊号を作成し,JANIS のホームページ(https://janis.mhlw.go.jp/newsletter/index.html)で一般公開している.特に,検査部門の還元情報の見方に関する増刊号(入門編と応用編)は,JANIS データの活用に直結する内容であり,ぜひ一読されたい.

●● おわりに

 2014 年の診療報酬改定で,病院の感染防止対策加算1の算定要件にJANIS検査部門への参加が設定され,参加医療機関数は2015年以降急増している.JANIS 事務局では,データ提出後に作成され

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た還元情報や公開情報を,感染対策に十分に活用していただけるよう願っている.

文献/URL 1) 厚生労働省 院内感染対策サーベイランス事業

(JANIS):https://janis.mhlw.go.jp/(2019 年 9 月10 日アクセス)

2) 厚生労働省:感染症法に基づく医師の届出のお願

い.https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansen-shou/kekkaku-kansenshou11/01.html(2019 年 9月 10 日アクセス)

3) Clinical and Laboratory Standards Institute:Performance Standards for Antimicrobial Sus-ceptibility Testing.;22th ed. informational sup-plement. Document M100S-S22. CLSI, Wayne, PA USA, 2012.

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