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NG tubeの雑学

目次

1. 歴史

2. 留置の目的 -そもそも周術期にルーチンで必要?-

3. 合併症は?

4. 挿入困難時には?

5. どうしたら辛くない?

6. 確認法はやっぱりXp?

7. tubeを詰まらせないためには?

8. Appendix -変わった機能のtube-

9. まとめ

目次

1. 歴史

2. 留置の目的 -そもそも周術期にルーチンで必要?-

3. 合併症は?

4. 挿入困難時には?

5. どうしたら辛くない?

6. 確認法はやっぱりXp?

7. tubeを詰まらせないためには?

8. Appendix -変わった機能のtube-

9. まとめ

A historical review of the nasogastric tube

・ 1744年、Boerhaaveが、ツガ(毒ニンジン)を食べてしまい痙攣を起こした小児に対して解毒剤を投与する目的で、軟らかい金属製のtubeを胃に留置。

・ 1790年、John Hunterがウナギの皮とクジラの骨で出来たtubeを用いて胃に食物や薬剤を投与。

・ 1797年、Alexander Monroe Ⅲがcoiled wireを皮革で覆ったtubeを用いて、毒物を摂取してしまった患者から胃の内容物を吸引。

・ 1812年、Philip Syng Physickがゴム製の尿道カテーテルを用いて胃洗浄。

・ 1822年、Jukesがゴム製のnasogastric tubeを報告。

Surgery.1962 Mar;51:407-14

目次

1. 歴史

2. 留置の目的 -そもそも周術期にルーチンで必要?-

3. 合併症は?

4. 挿入困難時には?

5. どうしたら辛くない?

6. 確認法はやっぱりXp?

7. tubeを詰まらせないためには?

8. Appendix -変わった機能のtube-

9. まとめ

1790年代から経管栄養や薬物の投与目的で使用され始めた。

1930年代から術後の胃の減圧目的にルーチン使用されるようになった。

外科医は吻合部のリークや術後イレウスが減ると信じて、、、

麻酔科医はPONVが減ると信じて、、、

本当に減るの?

Critical Care 2007, 11:201 (doi:10.1186/cc5118)

Meta-analysis of the need for nasogastric or nasojejunal decompression after

gastrectomy for gastric cancer

Design:メタ解析

Methods: Medline, Embase, The Cochrane Libraryで胃癌に対する胃切除術後にNGもしくはNJ tubeで減圧したか否かを比較したRCTsを検索(1920年1月〜2007年12月)

→5RCTs, 717patients

British Journal of Surgery 2008; 95: 809–81

〜腹部手術における胃の減圧の意義(Meta-analysis)〜

排ガスまでの期間に有意差なし。

経口摂取開始までの期間はNG (or NJ) tubeを留置されなかった群で有意に短かった。

胃部分切除・胃全摘ともに、吻合部のリークに有意差なし。

入院期間に有意差なし。

合併症の頻度に有意差なし。

死亡率に有意差なし。

腹部手術ではルーチンで使用してもよいことはなさそう、、、

Omission of Nasogastric Tube Application in Postoperative Care of Esophagectomy

Design: RCT Setting: the Cancer Institute of Imam Khomeini Hospital, Tehran

Patients:食道癌の手術を受けた40名の患者(2005〜2006年) Methods: NG tubeを留置する群としない群(metoclopramide

10mgを8時間おきに投与)に乱数表で割り付け。

Result:

NG tube group n=20

without NG tube+metoclopramide n=18 (58.4 ±10.3 years vs. 60.1 ± 8.1 years)

World J Surg (2009) 33:773–777

〜胸部手術における胃の減圧の意義(RCT)〜

NG tube群で吻合部リークが有意に高かった。

nが少ないstudyだが、胸部手術でもルーチン使用はよいことなさそう、、、

Routine Use of Nasogastric Tubes Does Not Reduce

Postoperative Nausea and Vomiting

Design:後ろ向き、比較試験

Patients:IMPACT trial(制吐薬とPONVの関連についてのRCT)の患者(n:4055)からintraoperative NG tube群とperioperative NG tube群を抽出し、propensty scoreを用いて、それぞれNG tubeを留置しなかった群にmatching。

(516 intraoperative NG tube vs 516 intraoperative non NG tube,

83 perioperative NG tube vs 83 perioperative non NG tube)

Methods:それぞれの群の術後24時間以内の嘔気・嘔吐の頻度・程度を比較

Anesth Analg 2009;109:768 –73

〜胃の減圧とPONVの関連(比較試験)〜

intraoperative NG tube群 vs non NG tube群 propensity scoreを用いてPONVのリスクスコア、性別、 ラパロ手術、制吐薬の使用、 麻酔法など全て有意差なくmatching。

peritraoperative NG tube群 vs non NG tube群 propensity scoreを用いてPONVのリスクスコア、性別、 ラパロ手術、制吐薬の使用、 麻酔法など全て有意差なくmatching。

intraoperative・perioperativeともにNG tubeはPONVのリスクを軽減しない。

周術期に胃の減圧目的にNG tubeをルーチンに使用すべきではなく、適応を考えるべきであると思われるが、、、 周術期の適応について検証したstudyはない。 教科書的には、 1.イレウス患者の減圧 2.嚥下困難患者の薬剤投与経路 3.EN 4.胃洗浄 周術期に当てはめると、 1. 術後イレウスが必発と思われる症例(イレウスの予防目的では

なく治療目的) 2. 術後早期に内服薬を投与したい症例 3. 術後早期にENを開始したい症例 といったところでしょうか。

Up To Date 19.3

目次

1. 歴史

2. 留置の目的 -そもそも周術期にルーチンで必要?-

3. 合併症は?

4. 挿入困難時には?

5. どうしたら辛くない?

6. 確認法はやっぱりXp?

7. tubeを詰まらせないためには?

8. Appendix -変わった機能のtube-

9. まとめ

ⅰ. Gastrointestinal

胃炎・胃粘膜出血、GERD

ⅱ. Pulmonary

副鼻腔炎、誤讌性肺炎

ⅲ. Nasal ulceration or necrosis

ⅳ. Perforation

呼吸器系、消化器系、頭蓋内etc.

Up To Date 19.3

Recommended method of attachment of nasogastric tubes

鼻孔や軟口蓋の潰瘍を予防するにはNT tubeは強く固定せず、嚥下の度に動く「遊び」を作って固定することが重要である。

10cm程度の長さのテープの一端を鼻に縦に貼り、「つがい」を作ってもう一端をtubeに貼る。更に5cm程度の長さのテープでtube側を補強する。

テープの固定は皮脂で粘着力が落ちるため、2,3日毎に交換するのがよい。

Ann R Coll Surg Engl 2007; 89: 529–537

こう ならない

ために、、、

〜鼻孔の潰瘍予防のための固定法〜

ⅰ. Gastrointestinal

胃炎・胃粘膜出血、GERD

ⅱ. Pulmonary

副鼻腔炎、誤讌性肺炎

ⅲ. Nasal ulceration or necrosis

ⅳ. Perforation

呼吸器系、消化器系、頭蓋内etc.

Up To Date 19.3

入れ直したら、、、

夕方になって SpO2が80台に。

ドレーンを入れて事なきを得た。

J R Soc Med Sh Rep 2011;2:28

Pneumothorax after nasogastric tube insertion

Inadvertent intracranial insertion of a nasogastric tube in a non-trauma patient

Accid Emerg Med 1997;14:45-47

59歳女性。既往に髄膜炎がありその後12年間てんかんを繰り返している。頭部外傷や開頭術等の既往はない。今回もてんかんにて救急搬送。 NG tubeの挿入は3回トライされ、そのいずれも血液混じりの液体が吸引された。 リトマス紙にて変色が認められなかったが鼻汁に血液が混入したものが引けているのであろうと、そのまま留置された。 遷延する意識障害があり、髄膜炎の既往を考慮しCTを撮影したところ、、、

NG tubeは透視下に抜去されたが、続発するコントロールの全くつかないsepsisで亡くなられた。

A painful and knotted nasogastric tube CMAJ 2008;5:568

A rare but serious entity: Nasogastric tube syndrome

Nasogastric tube syndromeとは、、、

NG tube挿入後に咽頭痛、(通常両側)の声帯麻痺、声帯上浮腫を発症する症候群で稀ではあるが重篤な合併症。

1990年にSoffermanが初めて報告した。

Methods: メタ解析

Data: 17例(7reports): Men 12, women 5

Otolaryngology–Head and Neck Surgery (2006) 135, 677-679

Laryngoscope 1990;100:962– 8.

症状としては痛みが13例(62%)と最も多く、Stridor, Dysphagiaが続く。 特異的な予兆なく発症し、そのタイミングもNG tube挿入後12時間から抜去後2週間まで幅が広いことが問題。

〜NG tube syndromeについて(Meta-analysis)〜

ファイバー所見としては声帯麻痺が全例に認められた他は、輪状軟骨の潰瘍や肉芽形成、膿瘍など。

コンセンサスを得られている治療はなく、抗生剤やステロイド、epinephrine が用いられている。気切は全ての症例で考慮に入れられるべき。

最終的に全ての症例で声帯機能は完全に回復した。 回復までの期間は1日〜2ヶ月(平均2週間)だった。

NG tube syndromeの原因としては可動性のある喉頭と固定されたNG tubeとの摩擦や、仰臥位での輪状軟骨によるtubeの脊椎方向への圧迫などが考えられている。局所的な炎症や浮腫が起こり、組織の潰瘍形成、声帯の機能不全へと至るとされている。

NG tube syndromeは稀ではあるが重篤な合併症である。予測することは困難なため、遷延する咽頭部の痛みなどがある時には積極的に疑い、ファイバーで声帯の動きをチェックすることが推奨される。またtubeは可能な限り細いものを用いるべきである。

目次

1. 歴史

2. 留置の目的 -そもそも周術期にルーチンで必要?-

3. 合併症は?

4. 挿入困難時には?

5. どうしたら辛くない?

6. 確認法はやっぱりXp?

7. tubeを詰まらせないためには?

8. Appendix -変わった機能のtube-

9. まとめ

意識のない患者にNG tubeを挿入するのはしばしば困難であり、仰臥位での1度目のトライで成功する確立は約50%程度である。

Anesthesiology 2004; 101:266

なんで難しい?

より確実性の高い挿入法は?

Oro- and Nasogastric Tube Passage in Intubated Patients

Design: nonrandomized intervention study

Setting: -

Patients: 予定手術で全身麻酔下に挿管された60名

(鼻孔や咽頭、頸部、食道、胃に何らかの病変がある者、妊婦、18歳未満の者は除外)

Methods: 挿管後、両鼻腔の血管を0.05%oxymetazolineで収縮させ、左の鼻孔に気管支ファイバーを挿入しtubeを挿入している間ずっと画面でモニタリング。

60例のうち最初の30例は、18Frのtubeを口から挿入し、ファイバーにて観察した後抜去。次いで右の鼻孔よりtubeを挿入。後半の30例は逆の順序(NG→OG)で挿入。

Anesthesiology 1999; 91:137-143

1.初回で容易に食道まで通過した場合、tubeと喉頭の位置関係の写真と披裂軟骨を通過するときの深さを記録。 胃内容物の吸引で留置を確認し、初回で成功として記録。 2.初回で抵抗を感じtubeがよじれた場合失敗とみなし、喉頭レベルでどの組織にぶつかっているのか写真を記録。 3.初回が失敗とみなされた場合、tubeを1cm引き抜き、当たっている側の甲状舌骨膜外縁から指で正中に圧迫(一側頸部圧迫法)。これで挿入出来れば2回目で成功として記録。

〜NG tube挿入成功、不成功の様子〜

喉頭蓋

声帯

披裂軟骨

梨状窩

下咽頭

咽頭側壁

120例(60 NG, 60 OG)

初回成功: 92例(77%) 初回失敗: 28例(23%)

披裂軟骨のすぐ隣の 下咽頭を通過 :85例(92%)

後方正中の 下咽頭を通過

: 7例(8%)

梨状窩 に衝突

: 13例(46%)

披裂軟骨 に衝突

: 7例(25%)

気管に迷入 : 6例(21%)

中咽頭 に衝突

: 2例(7%)

一側頸部圧迫法 : 20例

2回目成功: 17例(85%) 2回目失敗: 3例(15%)

120例(60 NG, 60 OG)

初回成功: 92例(77%) 初回失敗: 28例(23%)

披裂軟骨のすぐ隣の 下咽頭を通過 :85例(92%)

後方正中の 下咽頭を通過

: 7例(8%)

梨状窩 に衝突

: 13例(46%)

披裂軟骨 に衝突

: 7例(25%)

気管に迷入 : 6例(21%)

中咽頭 に衝突

: 2例(7%)

一側頸部圧迫法 : 20例

2回目成功: 17例(85%) 2回目失敗: 3例(15%)

120例(60 NG, 60 OG)

初回成功: 92例(77%) 初回失敗: 28例(23%)

披裂軟骨のすぐ隣の 下咽頭を通過 :85例(92%)

後方正中の 下咽頭を通過

: 7例(8%)

梨状窩 に衝突

: 13例(46%)

披裂軟骨 に衝突

: 7例(25%)

気管に迷入 : 6例(21%)

中咽頭 に衝突

: 2例(7%)

一側頸部圧迫法 : 20例

2回目成功: 17例(85%) 2回目失敗: 3例(15%)

120例(60 NG, 60 OG)

初回成功: 92例(77%) 初回失敗: 28例(23%)

披裂軟骨のすぐ隣の 下咽頭を通過 :85例(92%)

後方正中の 下咽頭を通過

: 7例(8%)

梨状窩 に衝突

: 13例(46%)

披裂軟骨 に衝突

: 7例(25%)

気管に迷入 : 6例(21%)

中咽頭 に衝突

: 2例(7%)

一側頸部圧迫法 : 20例

2回目成功: 17例(85%) 2回目失敗: 3例(15%)

120例(60 NG, 60 OG)

初回成功: 92例(77%) 初回失敗: 28例(23%)

披裂軟骨のすぐ隣の 下咽頭を通過 :85例(92%)

後方正中の 下咽頭を通過

: 7例(8%)

梨状窩 に衝突

: 13例(46%)

披裂軟骨 に衝突

: 7例(25%)

気管に迷入 : 6例(21%)

中咽頭 に衝突

: 2例(7%)

一側頸部圧迫法 : 20例

2回目成功: 17例(85%) 2回目失敗: 3例(15%)

120例(60 NG, 60 OG)

初回成功: 92例(77%) 初回失敗: 28例(23%)

披裂軟骨のすぐ隣の 下咽頭を通過 :85例(92%)

後方正中の 下咽頭を通過

: 7例(8%)

梨状窩 に衝突

: 13例(46%)

披裂軟骨 に衝突

: 7例(25%)

気管に迷入 : 6例(21%)

中咽頭 に衝突

: 2例(7%)

一側頸部圧迫法 : 20例

2回目成功: 17例(85%) 2回目失敗: 3例(15%)

意識のない患者においてNG tubeが喉頭レベルで最もよく通過するのは披裂軟骨のすぐ隣の下咽頭である。

喉頭レベルで最もよく突っかかるのは梨状窩と披裂軟骨である。

一側頸部圧迫法は梨状窩を圧排し披裂軟骨を正中にシフトさせることでtubeの通過を促す。

実際の臨床においてはtubeが左右どちらによっているかわからないため両側頸部圧迫法がよいと思われる。

Design:RCT

Setting:-

Patients:全身麻酔下に挿管された患者200名

Methods:コンピュータの乱数計算にて以下の4群にrandomization

・Group C:control group(ゼリーをつけたNG tube、neutral position)

・Group W:guidewaire group(尿道カテーテルをガイドワイヤーとして先端まで通したNG tube、他はcontrol groupと同様)

・Group S:slit tracheal tube group(カットされた7.0mmの挿管tubeの中を通す、他はcontrol groupと同様)

・Group F:neck flexion with lateral pressure group(頸部を屈曲し、側面から圧迫する、他はcontrol groupと同様)

Anesth Analg 2009;109:832–5

Nasogastric Tube Insertion Using Different Techniques in Anesthetized Patients:

A Prospective, Randomized Study

鼻孔に挿入してから成功するまで(胃泡音で確認)もしくは同様の方法で2回失敗するまでの時間を測定

〜さまざまな挿入法の有効性(RCT)〜

初回成功率は全てのGroupでGroup C(control)と比して有意差を持って上昇したが、 その中でも、Group SとGroup Fが82%と最も高かった。 失敗率はGroup Fで6%と最も低かった。

[挿入に要した時間] Group WはGroup Cと比し有意差は認められなかった(P=0.166)。 Group FはGroup Cと比し有意に短くなった(P=0.001)が、 Group Sは逆にGroup Cと比し有意に長くなった(P=0.0003)。 [合併症] 合併症の総数は32でそのうち最も多かったのはKinking(18/32)で56%。 次いでBleeding(11/32)で22%であったが、その全てがGroup Sであった。

頸部を屈曲し、側面から圧迫しながらの挿入法が最も簡便であり、成功率が高く、合併症も少ないため、推奨される。

A Randomized, Clinical Trial of Frozen Versus Standard Nasogastric Tube Placement

Design:RCT

Setting:single center(a university hospital)

Patients:予定手術の全身麻酔下に挿管されている、ASA PS Ⅰ もしくはⅡの20〜80歳の患者100名

(出血傾向や気道の解剖学的異常、頭頸部の放射線治療歴のある者は除外)

Methods:封筒法にてcontrol群とfrozen群にrandomization。

control群、frozen群ともに16Frのシリコン製tubeを使用するが、frozen群は予め蒸留水を注入し凍らせておいたものを使用。

World J Surg (2009) 33:1789–1792

鼻孔より挿入してから成功するまで(胃泡音で確認)の時間を測定。成功は2回以内の施行回数で成功した場合とし、失敗の場合Magill鉗子等を用いて挿入。

〜凍らせたtubeの有効性(RCT)〜

予め蒸留水を注入し凍らせたNG tubeを用いると有意に成功率は上昇する。 ※clinical limitation 1.tube内の氷が挿入時に患者の体温で直ちに解けるため、挿管されているとはいえ気管内へのたれ込みを予防するために口腔内の吸引を行う必要がある。 2.凍らせることで先端が鋭利になることがあるため、パッケージの中のカーブを維持した状態で凍らせることが重要。 3.今回のstudyはパワー解析されているが、出血など合併症の頻度を評価するにはより大きなnのstudyが必要。

←年齢・性別・体格に有意差なし

←成功率はcontrol群29/50に対し、 frozen群で44/50と有意(p=0.001)に高かった

←出血性合併症の頻度は有意差なし

←挿入時間に有意差はなかった

目次

1. 歴史

2. 留置の目的 -そもそも周術期にルーチンで必要?-

3. 合併症は?

4. 挿入困難時には?

5. どうしたら辛くない?

6. 確認法はやっぱりXp?

7. tubeを詰まらせないためには?

8. Appendix -変わった機能のtube-

9. まとめ

NG tubeの挿入は救急外来における手技の中で最も痛い手技である。

Ann Emerg Med 1999;33:652-8.

過去にNG tube挿入時の鎮痛に関するいくつかの報告があり、その有効性が示されているものもあるが、血管収縮薬の添加などプロトコールが煩雑であり、またICUに常駐されていない薬剤を含んでおりICUでのルーチン使用には向かないものばかりであった。

Design:Double-blind, RCT

Setting:single center(大学病院の救急外来)

Patients:2007年10月〜2008年3月の間の、①NG留置を必要とした、②18歳以上、③インフォームドコンセントがとれる精神状態、④循環動態の安定した62名

(妊娠女性や抗凝固療法中の患者、リドカイン過敏性のある患者、外傷患者は除外)

Methods:封筒法にて2%Lidocaine群とcontrol群(K-Y gel)にrandomization。

半座位にて、鼻腔(より通気性のよい方)に2%Lidocaine gel(or K-Y gel) 5mlを注入、嚥下してもらい5分待った後16Fr NG-tubeを挿入。留置の確認は胃泡音と胃内容の吸引。

American Journal of Emergency Medicine (2011) 29, 386–390

Lidocaine gel as an anesthetic protocol for nasogastric tube insertion in the ED

挿入直後、患者の手技全体としての痛みの程度や鼻の痛み、息苦しさ、嘔気などを100mmのVAS(visual analog scale)で評価。 挿入の難易度を5段階で評価。

〜Lidocaine gel の有効性(RCT)〜

←患者の年齢、性別、NG tubeの適応理由に

有意差なし

←手技全体の痛みや鼻の痛みはLidocaine群

で有意に低かった

←嘔気・嘔吐、息苦しさは両群で有意差なかったが

咽頭の感覚はLidocaine群で有意に低かった

←Lidocaine群で有意に挿入の難易度が高かった

施行回数は有意差なかった

2%Lidocaine gelによって痛みは改善軽減することが出来たが、挿入の難易度は上がってしまった。

理由としてはLidocaineによって咽頭反射も抑えられたことによると考えられた。

しかし逆に、挿入が困難であるのにも関わらず痛みが少ないという結果を得たところにLidocaine gelの臨床的意義がある。

Chest 1992;102:704-7

Should lidocaine spray be used to ease nasogastric tube insertion?

A double-blind, randomised controlled trial

Design:Double-blind, RCT

Setting:Single center(市中病院の救急外来)

Patients:2005年5月30日〜2005年10月20日の間の18歳以上、イレウスもしくは上部消化管出血の患者224名(うち6名drop out、20名データを完全に採取できず除外)

(重症外傷、顔面の外傷、頭蓋底骨折、sBP≦100mmHg、lidocaineアレルギー、咽頭反射の障害、reactive airway disease、妊婦、授乳中の患者は除外)

Methods:computerのprogramを用いてLidocaine群とcontrol群にrandomization。

10%Lidocaine(or 生食)スプレーを両鼻腔に1push(1ml)ずつ、咽頭に2push(2ml)散布し16FrのNG tube(KY-gel 1ml塗布)を挿入。挿入時間はスプレーから5分間のみ。

Hong Kong Med J 2010;16:282-6

挿入後、不快さを10mmのVASで評価。 挿入の困難度を5段階で評価。

〜Lidocaine sprayの有効性(RCT)〜

患者背景に有意差なし

挿入後のBPはsystolic,diastolic,meanの全てがLidocaine群で低かった

VAS、難易度、時間、施行回数、失敗率全てにおいてLidocaine群の方がよい結果を得た

合併症としては、咳嗽、嘔吐、鼻出血、胸痛、めまい、頻呼吸、上腹部痛、顔の点状出血がLidocaine群で有意に減少。

10%LidocaineスプレーはNG tube挿入時の不快感を有意に軽減し、挿入の難易度や時間、施行回数も減少させた。

目次

1. 歴史

2. 留置の目的 -そもそも周術期にルーチンで必要?-

3. 合併症は?

4. 挿入困難時には?

5. どうしたら辛くない?

6. 確認法はやっぱりXp?

7. tubeを詰まらせないためには?

8. Appendix -変わった機能のtube-

9. まとめ

NG tubeの留置確認にはXpが推奨されているが、やはり時間がかかってしまう(1時間、場合によってはそれ以上)。

何かもっと早く確認出来る方法は?

Intensive Care Med 24:848–859

Sonography as an alternative to radiography for nasogastric feeding tube location

Design: double blind, prospective pilot study

Setting: single center (780床のteaching hospital のICU)

Patients: EN目的にNG tubeを留置された33名のICU患者

Methods: NG tube留置後、エコーとXpでカテ先を確認。

・エコー: 放射線科医より2時間のトレーニング受けたICUドクターが施行。

まず上腹部に十二指腸を描出。もしカテ先および十二指腸が描出出来なければ左上腹部に傾け胃を描出。これでもカテ先および胃が描出出来なければ、5mlの生食5mlの空気をシリンジで注入し、高エコ−な「霧」を同定しその中にカテ先を探す。

・Xp: 放射線科医に依頼。

Intensive Care Med (2005) 31:1570–1572

エコー群、Xp群それぞれのNG tube検出率、検出までの時間を測定。

〜Echoによる確認法の有効性(pilot study)〜

35例のうちエコーで確認出来たのは34例(うち8例は生食+空気の注入を要した)で、1例はガスの干渉で確認出来ず。

Xpでは全例確認出来た。

確認に要した時間はエコーで24分、Xpで3時間であった。

NG tubeのチップが高エコー域として描出され、acoustic shadowを引いている。

このstudyにおいてXpの確認に3時間と、極端に長い時間かかっている理由としてはこの施設ではXpの画像保管通信システム(PACS)がないことと、画像の確認を放射線科医に依頼していることによる。

我々のICUにおいてはPACSが導入されており、画像の確認も自分たちで行っているため、かかってもせいぜい30分から1時間といったところでしょうか。

したがって実際にはこのstudyほどの時間差はないかと思われますが、気胸もエコーで診断するような時代ですし、エコーで確認してみませんか?

目次

1. 歴史

2. 留置の目的 -そもそも周術期にルーチンで必要?-

3. 合併症は?

4. 挿入困難時には?

5. どうしたら辛くない?

6. 確認法はやっぱりXp?

7. tubeを詰まらせないためには?

8. Appendix -変わった機能のtube-

9. まとめ

Gastrointestinal tubeの閉塞は20〜45%の頻度で起こる。

予防策は?

Surg Endosc 1999;13:403–405.

Prophylactic Locking of Enteral Feeding Tubes With Pancreatic Enzymes

Design: nonrandomized, prospective

Setting: -

Patients: ENを必要とする(適応疾患は様々)57名の患者。

control群 1992-1993, 24名: 34データ

study群 1994-1995, 34名: 38データ

Methods: ENの投与経路はnasogastric, nasoenteral, gastrostomy,

jejunostomy のいずれかで、ENの投与方法は間歇投与・自然滴下で統一。

全てのtubeを4時間毎に50mlの水でフラッシュ。

study群ではlipase 6000U, amylase 4500U, protease 300U (FIP units)

を含んだタブレットとNaHCO3 260mgのタブレットの粉末を15mlの滅菌水で溶

き、EN後に5ml注入。

Journal of Parenteral and Enteral Nutrition 21:353-356, 1997

〜膵酵素Lockの有効性〜

EN投与経路の内訳

tube閉塞率は、 control群8/34(23.5 %) study群1/38(2.6%)と 有意にstudy群で低かった(p=0.01)。

ICUにいると、「どうしてもこのtubeだけは詰まらせたくない!」というtubeをお持ちの患者さんもよくいらっしゃるため、そういった方には試してみる価値もあるのでは?

control群の閉塞までの平均期間 : 26.6日

study群は平均観察期間48日間で閉塞例は10日間の1例のみ。

目次

1. 歴史

2. 留置の目的 -そもそも周術期にルーチンで必要?-

3. 合併症は?

4. 挿入困難時には?

5. どうしたら辛くない?

6. 確認法はやっぱりXp?

7. tubeを詰まらせないためには?

8. Appendix -変わった機能のtube-

9. まとめ

Comparison of a new unguided self-advancing jejunal tube with the endoscopic guided technique:

a prospective, randomized study

a

Intensive Care Med (2009) 35:1614–1618

Tiger-tube: 繊毛の様なフラップの付いたlong tubeで、消化管内を蠕動運動に乗って自動的に空腸まで進んで行くtube。

24時間後の空腸への留置率を内視鏡ガイドと比較したところ、内視鏡ガイド100%に対しTiger-tube 67%と有意に低かった(p=0.0086)が、、、

67%は低い? 試してみる価値はある?

Use of surface acoustic waves to reduce pain and discomfort related to indwelling nasogastric tube*

NG-Shield system:

NG tube 表面に20〜50 kHzの振動を発生させ、tubeと組織の摩擦を軽減することでtubeの挿入、留置に伴う痛み、不快感を軽減する。

Endoscopy 2010; 42: 1045–1048

・挿入時と抜去時の痛み、不快感のNRSはNG-Shieldの使用、不使用で有意差なし、、、

留置中の不快感のNRSはNG-Shieldを使用している

時間帯の方が鼻腔、咽頭ともに低かった。

NG-Shieldをonにするタイミングを真逆にした2群間での不快感のNRSはミラーイメージを示した。

・留置中は?

NG tube留置中の痛み、不快感の軽減には役立ちそう。

まとめ

1. 周術期のルーチンでの使用はいいことなさそう。適応を考えて使うべき。

2. 意識のない患者さんにNG-tubeを挿入する際は、両側頸部圧迫法が簡便かつ成功率が高い。何本か冷凍しておくのもいかかでしょうか。

3. 意識のある患者さんにはLidocaineゼリーでもスプレーでもよいのでしっかり鎮痛してあげましょう。投与後の数分を惜しまずに。

4. 確認法はXpが確実ですが、エコーでより早く確認するという選択肢も。

5. どうしても詰まらせたくないtubeの時には蒸留水のフラッシュだけでなく予防的に膵酵素でlockするなどの手段も検討するべき。

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