phpコアから読み解くphp5.5

ヤフー株式会社

蒋池東龍

（こもいけとうりゅう）

PHPコアから読み解く PHP5.5

レジュメ

• 最初に（1分）

• PHPコアとは？（3分）

• PHP5.5の主な新機能や変更点（2分）

• yield のコスト（10分）

• boolval() の可否（8分）

• zend_execute の実体化（5分）

• 終わりに（1分）

最初に

PHP5.5 以上を使っていますか？

最初に

PHPコアという言葉を

聞いたことがありますか？

最初に

Zend Engine という言葉を

聞いたことがありますか？

PHPコアとは？

PHPコアは

PHPの内部システムで

C言語によって

記述されています

PHPコアとは？

PHPコアの

言語エンジンは

Zend Engine

と呼ばれています

PHPコアとは？

Zend Engine は

PHPスクリプトを

字句解析・構文解析して

オペコードと呼ばれる

命令を作り出して実行します

PHPコアとは？

Apache

Apacheモジュール

PHPフレームワーク

zendライブラリ

phpライブラリ

モジュールスクリプト

PHPコア

php_* ライブラリ

zend_* ライブラリ

Zend Engine

字句解析構文解析実行

オペコード

PHPコアとは？

PHPコアを知れば

PHPがどのように

動いているのか

理解できます

PHP5.5の主な新機能や変更点

PHP5.5の主な

新機能や変更点は

次の通りでした

（2014/8/28 に

PHP5.6 が current stable）

• ジェネレーターの追加

• finally キーワードの追加

• 新しいパスワードハッシュAPI（password_*）追加

• foreach が list() に対応

• empty() が任意の式に対応

• array リテラルと string リテラルのデリファレンス

• OPcache 拡張モジュールの追加

• array_column() 追加

• boolval() 追加

• json_last_error_msg() 追加

• zend_execute() オーバーライド不可

• ジェネレーターの追加 ← 新構文

• finally キーワードの追加

• 新しいパスワードハッシュAPI（password_*）追加

• foreach が list() に対応

• empty() が任意の式に対応

• array リテラルと string リテラルのデリファレンス

• OPcache 拡張モジュールの追加

• array_column() 追加

• boolval() 追加 ← 新関数

• json_last_error_msg() 追加

• zend_execute() オーバーライド不可 ← 内部変更点

赤字の項目について

利用の是非や注意点を

PHPコアの観点から

ご紹介します！

yield のコスト

yield を使っている方はいますか？

yield のコスト

yield は簡単に

イテレータを

実装できる機能です

yield のコスト

イテレータは

データの要素に

アクセスするための

仕組みです

yield のコスト

3つのファイルに

それぞれ別の処理を行う

スクリプトを例にとって

みてみましょう

yield のコスト

yield を使わないスクリプト

yield のコスト

$file = fopen('./sample1.txt', 'r');

while(false !== ($line = fgets($file) ) ){

$line = trim($line);

$text = $tmp . $line . "¥n";

echo($text); $tmp = $line;

fclose($file);

現在の行に前の行を

yield のコスト

$text = strtoupper($line) . "¥n";

echo($text);

fclose($file);

現在の行を

大文字にして表示

yield のコスト

$text = $line . ':' . md5($line) . "¥n";

echo($text);

fclose($file);

現在の行と

md5 を表示

yield のコスト

ファイルをオープンして

1行ずつ読み込み

ファイルをクローズする

処理を毎回行っています

yield のコスト

yield を使ったスクリプト

yield のコスト

function file_lines($_filename){

$file = fopen($_filename, 'r');

yield $line;

fclose($file);

ファイルをオープンして

1行ずつ読み込み

yield のコスト

foreach(file_lines('./sample1.txt') as $line){

$text = $tmp . $line . "¥n";

echo($text);

$tmp = $line;

} 現在の行に前の行を

加えて表示

yield のコスト

$text = strtoupper($line) . "¥n";

echo($text);

現在の行を

大文字にして表示

yield のコスト

$text = $line . ':' . md5($line) . "¥n";

echo($text);

} 現在の行と

md5 を表示

yield のコスト

yield を使えば

共通するイテレーション処理を

1度定義するだけでよいです

yield のコスト

yield を使わない

スクリプトの

オペコードを

確認してみましょう

yield のコスト

0 SEND_VAL

1 SEND_VAL

2 DO_FCALL

3 ASSIGN

4 SEND_VAR

5 DO_FCALL

6 ASSIGN

7 IS_NOT_IDENTICAL

8 JMPZ

9 SEND_VAR

10 DO_FCALL

11 ASSIGN

12 CONCAT

13 CONCAT

14 ASSIGN

15 ECHO

16 ASSIGN

17 JMP

18 SEND_VAR

19 DO_FCALL

……

60 RETURN

オペコードは

yield のコスト

yield を使った

スクリプトの

オペコードを

確認してみましょう

yield のコスト

0 RECV

1 SEND_VAR

2 SEND_VAL

3 DO_FCALL

4 ASSIGN

5 SEND_VAR

6 DO_FCALL

7 ASSIGN

8 IS_NOT_IDENTICAL

9 JMPZ

10 SEND_VAR

11 DO_FCALL

12 ASSIGN

13 YIELD

14 JMP

15 SEND_VAR

16 DO_FCALL

17 GENERATOR_RETURN

関数の

オペコードは

yield のコスト

0 INIT_FCALL_BY_NAME

1 SEND_VAL

2 DO_FCALL_BY_NAME

3 FE_RESET

4 FE_FETCH

5 OP_DATA

6 ASSIGN

7 CONCAT

8 CONCAT

9 ASSIGN

10 ECHO

11 ASSIGN

12 JMP

13 SWITCH_FREE

……

44 NOP

45 RETURN

メイン処理の

オペコードは45個

yield のコスト

yield を使ったスクリプトと

使わないスクリプトの

処理速度を比べてみましょう

yield のコスト

……と、その前に

どちらの方が早いと

思いますか？

yield のコスト

yield を使うスクリプト

0.0034639835357666 usec

yield を使わないスクリプト

0.004425048828125 usec

yield のコスト

yield を使うと……

• コードがすっきりする

• 処理が速くなる（遅くならない）

• オペコードは短くならない（共通部分に依存する）

yield のコスト

簡単にイテレータを

実装できるので

積極的に使いましょう！

結論

boolval() の可否

boolval() を使っている方はいますか？

boolval() の可否

boolval() は

boolean として

値を取得できる

関数です

boolval() の可否

値の型を変換する

cast と

同じ機能です

boolval() の可否

様々な型の値を

変換するスクリプトを

例にとってみてみましょう

boolval() の可否

cast を使ったスクリプト

$max = 1000; $arr = array('aaa', 'bbb' , 'ccc'); class A{}; $ca = new A(); for($i = 0; $i < $max; $i++){ $ret = (bool)(1000); $ret = (bool)('abc'); $ret = (bool)($arr); $ret = (bool)($ca); }

boolval() の可否

色々な値を

boolval() の可否

boolval() を使ったスクリプト

$max = 1000; $arr = array('aaa', 'bbb' , 'ccc'); class A{}; $ca = new A(); for($i = 0; $i < $max; $i++){ $ret = boolval(1000); $ret = boolval('abc'); $ret = boolval($arr); $ret = boolval($ca); }

boolval() の可否

色々な値を

boolval()

boolval() の可否

cast を使った

スクリプトの

オペコードを

boolval() の可否

……

16 CAST

17 ASSIGN

18 CAST

19 ASSIGN

20 CAST

21 ASSIGN

22 CAST

23 ASSIGN

24 JMP

25 RETURN

オペコードは

boolval() の可否

boolval() を

使ったスクリプトの

オペコードを

boolval() の可否

……

16 SEND_VAL

17 DO_FCALL

18 ASSIGN

19 SEND_VAL

20 DO_FCALL

21 ASSIGN

22 SEND_VAR

23 DO_FCALL

24 ASSIGN

25 SEND_VAR

26 DO_FCALL

27 ASSIGN

28 JMP

29 RETURN

オペコードは

boolval() の可否

cast を使ったスクリプトと

boolval() を使ったスクリプトの

処理速度を比べてみましょう

boolval() の可否

……と、その前に

どちらの方が早いと

思いますか？

boolval() の可否

boolval() を使ったスクリプト

0.0013551712036133 usec

cast を使ったスクリプト

0.0006558895111084 usec

boolval() の可否

boolval() を使うと……

• コールバックとして渡せる

• 処理が遅くなる

• オペコードが多くなる

boolval() の可否

できる限り

cast を使いましょう！

結論

zend_execute の実体化

execute 系関数は

オペコードを実行する

非常に重要な関数です

実行処理を

オーバーライドする時に

熟知が必要です

PHP5.5 以前と以後では

扱い方が異なるので

PHP5.5 以前

// execute は関数 ZEND_API void execute( zend_op_array *op_array TSRMLS_DC); // zend_execute は関数ポインタ ZEND_API void (*zend_execute)( zend_op_array *op_array TSRMLS_DC);

// zend_execute に execute を代入 zend_execute = execute; // zend_execute を実行 zend_execute(...);

PHP5.5 以後

// execute_ex は関数 ZEND_API void execute_ex( zend_execute_data *execute_data TSRMLS_DC) // zend_execute_ex は関数ポインタ ZEND_API void (*zend_execute_ex)( zend_execute_data *execute_data TSRMLS_DC);

// zend_execute_ex に execute_ex を代入 zend_execute_ex = execute_ex; // zend_execute は zend_execute_exを実行する関数 ZEND_API void zend_execute( zend_op_array *op_array TSRMLS_DC); // zend_execute を実行 zend_execute(...);

PHP5.5 以前と以後の

execute 系関数を

比べてみましょう

シンボル説明 PHP5.5 以前

PHP5.5 以後

execute_ex 関数の実体 × ○

zend_execute_ex execute_ex を代入 × △

execute 関数の実体 ○ ×

zend_execute PHP5.5 以前と以後で存在するが扱いは異なる

△ ○

○：関数 △：関数ポインタ ×：なし

役割 PHP5.5 以前 PHP5.5 以後

実行関数 execute execute_ex

関数ポインタ zend_execute zend_execute_ex

ラッパー関数 - zend_execute

内部的な _ex 系関数に移行したが

zend_execute は健在

zend_execute()

(*zend_execute_ex)() ＝ execute_ex()

実行処理を

オーバーライド

したければ……

• zend_execute_ex に関数のポインタを代入する

execute 系関数の

取り扱いに

気を付けましょう！

結論

終わりに

構文や関数について

新しい気付きや興味は

得られましたか？

終わりに

PHP に対する

理解が深まるので

PHPコアについて

是非興味をもってください！

ありがとうございました

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