sdr受信機用プリアンプと bpfの製作 no.24...
Post on 22-May-2018
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126 No.24
えって悪化します.そこでプリアンプの前段に前述のBPFを入れるのです.このようすを写真1に示します. 本稿ではUSBワンセグ・チューナを使ったSDRの受信性能を少しでも改善すべくプリアンプとBPFを製作した例をご紹介します.
プリアンプの設計と製作
■ プリアンプ回路の設計
プリアンプの製作を考えたとき次の二つの選択肢があります. ❶トランジスタやFETで作る ❷広帯域増幅用ICで作る ❶は所望の特性を得やすい半面,部品点数が多く,パターン設計が性能を左右するなど初心者が手がけるには難しいのが欠点です.今回は作りやすく再現性の良い❷を選びました. 使用するICの性能として,利得や帯域幅と並んで重要なのがNF(雑音指数)です.NFが大きいと,いくら利得が大きくても,ノイズが増えてしまって受信感度がかえって悪化することもあります. 今回は入手が容易でNFが3 dB@1.5 GHzと,広帯域アンプにしては低雑音なGN1021(パナソニック)を選びました.製作するBPFの上限周波数は500 MHz以下であり,このときのNFは約2 dB,利得は25 dBです.入出力が50Ωに整合済みというのも使いやすそうです.高周波半導体では定番のガリウム砒素(GaAs)タイプです.表1に定格や特性の一部を示します.
受信感度と多信号特性を チョッピリ改善したい!
前号で紹介したように,USBワンセグ・チューナとパソコン用の各種SDRソフトウェアとを組み合わせると,例えば24 M〜1.85 GHzなどの広帯域にわたって放送や無線通信を受信できるようになります.しかし,この手の広帯域チューナ・ドングルの欠点として,アンテナからの信号を非同調のまま受信するので,目的外信号との相互変調や混変調により,多数の不要信号(スプリアス)が発生し受信障害となりやすいことがあります.また,目的外の強力な信号によってチューナの内蔵RFアンプが飽和して,S/N が劣化することもあります.最近でこそ高感度チューナ・チップを搭載した製品が国内に出回り始めましたが,1年ぐらい前まではワンセグ・チューナ自体の感度も,微弱電波の受信に対して十分とはいえませんでした. 相互変調や混変調などの改善策としては,目的の受信帯域だけの電波を通過させるBPF(バンドパス・フィルタ)を前置する方法があり,帯域外の不要信号による干渉を軽減できます.また,チューナの感度不足に対しては,チューナのアンテナ端子にプリアンプを挿入すれば改善できます.ただし,プリアンプによって入力レベルが上がるので,相互変調/混変調特性はか
製作&実験
漆谷 正義Masayoshi Urushidani
エア・バンド,マリン・バンド,430 MHz帯の受信性能アップを図る
SDR受信機用プリアンプと�� BPFの製作
広帯域プリアンプ
USBチューナ・ドングル
エア・バンドBPF
マリン・バンドBPF
広帯域プリアンプ
USBチューナ・ドングル
エア・バンドBPF
アンテナへ
アンテナへ
マリン・バンドBPF
〈写真1〉製作したプリアンプとBPFなど
〈表1〉広帯域低雑音GaAsアンプ GN1021の電気的定格や特性[パナソニック]
項目 記号 値など電源電圧 VDD 4〜12 V(8 Vtyp)消費電流 IDD 40 mAtyp@VDD=8 V雑音指数 F 3 dBtyp@1.5 GHz電力利得 Gp 19 dBtyp@1.5 GHzパッケージ ─ 12ピンSO−10A
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■ USBからの電源+5Vを2倍に昇圧する
まずICへの供給電圧VDDですが,データシートの電気的特性がすべて8 Vで測定されていて,これ以下の動作例が載っていないことから,8 V以下だと電気的特性が少し劣化すると思われます.ICの供給電圧は9 Vくらいが適当でしょう. 電源はパソコンのUSBコネクタから取りたいので,USBの+5 Vを9 V程度に昇圧することにします.ノイズの少ないスイッチト・キャパシタ方式の電圧コンバータが適しています.これにより5 Vを2倍した10 V弱を得ることができます.GN1021の消費電流は,表1から約40 mA(実測34 mA)なので,出力が最大50 mAのMAX860(マキシム)を使います. GN1021の周辺回路は,入出力カップリングに2個 と,VDDバイパスの合計3個のコンデンサだけです.入出力のインピーダンスは50Ωに整合されているので外付け整合回路は不要です.図1が全体の回路です.
MAX860のC5とC6は,実装しやすい面実装型積層セラミック・コンデンサを使用しました.
■ プリアンプ回路の実装
GN1021のピン配置を図2に示します.GNDのフィンを含めて全部で12ピンありますが,GND以外で実際に使用するのは入出力とVDDの合計3ピンだけです.したがって,専用の基板パターンを作るほどのことはありません.図3の寸法で写真2のように,片面銅張板(2×3 cm)の銅箔をカットすれば,寄生インダクタンスや寄生容量の小さな基板を作ることができます. 銅箔をカットするにはカッター・ナイフで線を入れて,その上を彫刻刀のV字刃でなぞるように削ると手早くできます.図2と写真2のように,切り欠きを下にして左下が1ピンです.IC表面の印刷の向きとは逆なので注意してください. スイッチト・キャパシタ電源基板は,SOICからDIPへのピッチ変換基板を利用して写真3のように組み立てました. 最後に上記2枚の基板をケース(タカチのMB−S1)へ収納します.高周波のプリアンプやBPFは外部ノイ
GN1021
10 9 8 7 6
NC NC NC OUT NC
NC
GND
GND
IN NC NC
1
12 11
2 3 4 5NC:No Connections(未接続)
VDD
〈図2〉GN1021の外形とピン配置
J1IN
J2OUT
0.1μ4
1
1234
8765
FC
GNDSHDNLVOUT
2 3 4
11, 12
2 70.1μ
C3
10μ
レセプタクルを正面から見た図
C61μC4
10μC5
C2
0.1μ
C1
GN1021IC1
MAX860IC2
(パナソニック)
(マキシム)
(a)回路図
(b)シリーズAコネクタのピン配置
+5V D-
D+
GND
C1+
C1-
DDV+5VUSBから
GND
〈図1〉SDR用広帯域プリアンプの回路
ピン1ピン1
〈写真2〉GN1021を実装した基板(ICの型名表示とピン1の位置が紛らわしいので注意)
GN1021
12 11
OUT
GND 10 6
1 5IN C1
C2
C3
VDD
単位:mm3
5
3
35 2 6.50.5
0.5
2.5
2.5
〈図3〉プリアンプ基板の銅箔パターン(片面銅張プリント基板の銅箔を削って作る)
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