surviving sepsis campaign guidelines 2012
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高度救命救急センター 多田祐介
SURVIVING SEPSIS CAMPAIGN GUIDELINES 2012
光希
CONTENTS• SSCG2012 の要約• J. Corticosteroids
• K. Blood product administration
• L. Immunoglobulins
根拠となった論文の紹介 SSCG2008 ・日本版敗血症診療ガイドラインとの相違
要約• J. CORTICOSTEROIDS
1. 適切な輸液と昇圧剤によって血行動態が安定した成人の敗血症性ショック患者ではヒドロコルチゾンを静脈内投与すべきではない。 逆に血行動態が安定しない場合には、ヒドロコルチゾン 200mg/ 日の 静脈内投与を推奨する (grade 2C) 。
• 2. 成人の敗血症性ショック患者にヒドロコルチゾンを投与すべきか どうか判断するために ACTH 負荷試験を行うべきではない (grade 2B) 。
• 3. 昇圧剤が不要となればヒドロコルチゾンは減量すべきである (grade 2D) 。
• 4. ショックではない敗血症の治療のためにステロイドを投与すべき ではない (grade 1D) 。
• 5. ヒドロコルチゾンの投与を行う場合、持続投与で行う (grade 2D) 。
敗血症性ショックの患者で血行動態が安定しない患者に対してはヒドロコルチゾン 200mg/day を投与してもよい
要約• K. BLOOD PRODUCTS ADMINISTRATION
1. 組織低灌流が改善し重度の低酸素、出血、虚血性心疾患などがなければ、赤血球輸血は Hb:7.0g/dL 未満にのみ行い、 Hb は 7.0-9.0g/dL を目標値とする (grade 1B) 。
• 2. 重症敗血症に関連した貧血の特異的治療としてエリスロポエチンを使用すべき ではない (grade 1B) 。
• 3. 出血や侵襲的な処置の予定がなければ、凝固異常補正を目的とした新鮮凍結血漿の投与は行うべきでない (grade 2D) 。
• 4. 重症敗血症や敗血症性ショックの患者の治療にアンチトロンビン製剤を使用 すべきではない (grade 1B) 。
• 5. 重症敗血症の患者では、明らかな出血がない患者では血小板 1 万 /mm3 未満の場合に血小板輸血をおこなう。出血のリスクがある患者では血小板 2 万 /mm3 未満で 血小板輸血を推奨する。活動性出血のある患者、外科的処置や侵襲的処置を行う 患者では血小板数が 5 万 /mm3 以上あることが望ましい (grade 2D) 。
RCC の輸血は Hb:7-9g/dL を目標に行うFFP 、 PC は出血傾向や外科的処置がなければ投与すべきではない
要約• L. IMMUNOGLOBULINS
1. 重症敗血症や敗血症性ショックの患者の 治療に免疫グロブリンの静脈内投与を行う べきではない (grade 2B) 。
敗血症性ショックの患者で血行動態が安定しない患者に対してはヒドロコルチゾン 200mg/day を投与してもよい
RCC の輸血は Hb:7-9g/dL を目標に行うFFP 、 PC は出血傾向や外科的処置がなければ投与すべきではない
CORTICOSTEROIDS
• 1.適切な輸液と昇圧剤によって血行動態が安定した成人の敗血症性ショック患者では ヒドロコルチゾンを静脈内投与すべきでは ない。逆に血行動態が安定しない場合には、ヒドロコルチゾン 200mg/ 日の静脈内投与を 推奨する。 (grade 2C)
CORTICOSTEROIDS• 1990 年代当時アメリカでの全死亡のうち
敗血症は約 10 %占めた。• Cytokine-cascade に影響する薬が多々試された。
CORTICOSTEROIDS• ステロイドは効果がある?• 相対的副腎不全や全身性炎症関連グルココルチコイド
受容体抵抗性が関係していることが分かった。
• High-dose は効果がなかった、 Low-dose は効果あり?
• Small RCT が2つあり、それはいずれも low-dose 使用することで昇圧剤使用期間を減らせた。
• P : ICU に入室した 18 歳以上の敗血症患者 299 人• I : hydrocortisone50mg/6h + fludrocortisone50mg/day
• C : Placebo
• O : 28 日後の生存率
• P : ICU に入室した 18 歳以上の敗血症患者 499 人• I : hydrocortisone50mg/6h
• C : Placebo
• O : 28 日後の生存率
• CORTICUSstudy を受けて SSCG2008 年ではやや控え目な推奨であった。
• しかし、 Frenchi trial は重症患者が多く、 CORTICUS study は 軽症患者が多い。
• その後に報告された study では、 Low risk patients(placebo mortality rate of less than 50%) ではヒドロコルチゾンの有意差は示し難いが、 High risk patients ではその効果は期待できるのではないか。
• Grade に変化はない (Grade2C) ものの印象としてはSSCG2008 よりやや推奨度が高い
CORTICOSTEROIDS
CORTICOSTEROIDS• 2. 成人の敗血症性ショック患者に
ヒドロコルチゾンを投与すべきか どうか判断するために ACTH 負荷 試験を行うべきではない (grade 2B) 。
CORTICOSTEROIDS• ACTH 試験に responder と nonresponder の違いで死亡率
に差が生じたのは one study( French trial)のみであり、 その他は ACTH 試験に関わらず cortisol の効果はある。
• CORTICUS study でも responder と nonresponder では効果に差がないと結論付けている。
• 敗血症患者におけるコルチゾール量測定は有用ではなく、 responder または nonresponderへの患者割り付けに影響が出てしまう。( SSCG2008 より)
CORTICOSTEROIDS• 3. 昇圧剤が不要となればヒドロコル
チゾンは減量すべきである (grade 2D) 。
徐々に減量した RCT4つ、突然中止した RCT 2つ突然中止しても大きな副作用が生じたとの記載は特にない
40 人の敗血症性ショック患者を対象100mg bolus して loading 、その後 10mg/h で3日間持続投与3日後に交差させる
CORTICOSTEROIDS• 4. ショックではない敗血症の治療の
ためにステロイドを投与すべきではない (grade 1D) 。
CORTICOSTEROIDS• Sepsis 、 Severe Sepsis では使用して
はならない• 意外と根拠は少ない• むしろ、髄膜炎・肺炎における
ステロイド投与は有効であるとするRCT は多い
SSCG としては「 Sepsis in absence of shock において投与するメリットを示す報告はなく、現時点で 副作用を上回る利益を得る可能性は低い」としている
原因如何によっては投与も考慮されうるべきか
CORTICOSTEROIDS• 5. ヒドロコルチゾンの投与を行う
場合、持続投与で行う (grade 2D) 。
観察研究詳細な背景不明敗血症性ショックを呈した16人の患者
BLOOD PRODUCT ADMINISTRATION
• 1. 組織低灌流が改善し心筋虚血や 重度の低酸素、急性出血、虚血性 心疾患などがなければ、赤血球輸血はヘモグロビン 7.0g/dL 未満にのみ 行い、ヘモグロビンは 7.0-9.0g/dLを目標値とする (grade 1B) 。
• P : ICU 入院 72 時間以内で Hb:9g/dL 以下の重症患者838 人
• I : 7g/dL を目標に輸血制限をする 418 人• C : 9g/dL を目標に輸血制限をしない 420 人• O : 30 日後の死亡率
• P :人工心肺装置を要した CABG 、弁置換術・修復術 502 人• I : Ht 24≧ %を目標に輸血制限をする 249 人• C : Ht 30≧ %を目標に輸血制限をしない 257 人• O : 30 日後の死亡率と入院中の重篤な合併症
TRACSstudy :単施設 RCT in Brazil Cardiac surgery → sepsis ではない
RCC単位数が増えると死亡率が上昇する →重症患者を見ているだけ?
Leukodepletion RCC が不足している →合併症も多い?
BLOOD PRODUCT ADMINISTRATION
• あまり過剰な輸血は死亡率を高める可能性がある
• では7 g/dL の根拠はあるのか?
健常者32人450-900m L の血液を瀉血、 Hb を 5.0g/dL まで低下させる
Hb : 7g/dL ?
• これらはあくまで healthy population が対象
• Sepsis という重症病態において適応 できるかについては明言なし
BLOOD PRODUCT ADMINISTRATION• 2. 重症敗血症に関連した貧血の特異的治
療としてエリスロポエチンを使用すべきではない (grade 1B) 。
• 3. 出血や侵襲的な処置の予定がなければ、凝固異常補正を目的とした新鮮凍結血漿の投与は行うべきでない (grade 2D) 。
BLOOD PRODUCT ADMINISTRATION• 5. 重症敗血症の患者では、明らかな出血
がない患者では血小板 10,000/mm3 未満の場合に血小板輸血をおこなう。出血のリスクがある患者では血小板 20,000/mm3 未満で血小板輸血を推奨する。活動性出血のある患者、外科的処置や侵襲的処置を行う患者では血小板数が 50,000/mm3 以上あることが望ましい (grade 2D) 。
BLOOD PRODUCT ADMINISTRATION• 4. 重症敗血症や敗血症性ショックの患者
の治療にアンチトロンビン製剤を使用 すべきではない (grade 1B) 。
• P :重症敗血症患者 2314 人• I : ATⅢ 製剤 30000IU を 4 日間以上投与した 1517 人• C : 1% ヒトアルブミン製剤を投与した 1517 人• O : 28 日間の死亡率
•KyberSept trial
BLOOD PRODUCT ADMINISTRATION• 日本版敗血症診療ガイドラインでは「本邦ではエキスパートコンセンサス として DIC を合併した敗血症患者において、ヘパリンを併用しない AT の単独使用を 弱いながらも推奨している」としている。
• DIC の診断基準が異なる
• 30000E でヘパリン併用すれば出血 risk が上がる
• low-dose(= 1500E)で予後は改善するのか?
• ATIII何%を目指すべき?
BLOOD PRODUCT ADMINISTRATION
IMMUNOGLOBULINS• 1. 重症敗血症や敗血症性ショッ
クの患者の治療に免疫グロブリンの静脈内投与を行うべきではない (grade 2B) 。
• P :敗血症と診断され APACHEⅡ で 20-35点の患者 653 人• I :初日に 0.6g/kg 、翌日に 0.3g/kg の ivIgG 投与 • C : Placebo
• O :生存率
• P :広域抗生剤を 72 時間以上使用しても改善しない感染症患者 682 人
• I : IVIG5g/day を 3 日間投与 265 人• C :抗生剤のみ 239 人• O :解熱に要した日数、臨床症状の消失した日数、
検査所見、有効度
まとめ• ガイドラインは所詮ガイドライン
• ガイドライン通りにできることなど無い
• 医学は単なる 1 つの Science ではなく、 治療者の個性と患者の個性とを 混じり合わせていく Art でもあるAlbert Schweitzer
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