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第41回東京透析懇談会
人工血管内シャント(arterio venous vascular
access graft : AVG)における静的静脈圧と動的動脈圧測定によるAVG管理の試みの報告
宮城 知徳 洞内 香菜子 浅沼 輝男
古谷 瞬一 西連地 康 大山 恵子 大山 博司
諸見里 仁
医療法人社団つばさ つばさクリニック
目的
AVG閉塞の主原因の一つに流出路の狭窄がある。この狭窄状況を把握するため、当クリニックでは以前から動的静脈圧(dynamic venous pressure : DVP)測定を行っていたが、日本透析医学会では静的静脈圧測定(static venous pressure : SVP)を推奨している。当院ではDVP、SVP双方を測定、AVG管理の一指標として有効活用している。この両者の特徴や測定方法など当院のAVG患者の管理について症例を交えて検討した。
AVG狭窄症例
JSDTのVascular Accessガイドライン(VAガイドライン)ではSVPを測定することを推奨している。
「原理的に述べると透析を開始して回路内が血液に置き換わった時点で血液ポンプを停止する。その際に静脈チャンバーとダイアライザーの間をクランプする。クランプ30秒後に安定した静脈圧を静的静脈圧として記録する」
2011年 JSDTガイドラインより抜粋
ガイドラインでは原理的なことを示しているが、実際に行うとすると様々な疑問、問題点が出てくる。
VAガイドラインに沿って行った
実際的なSVP測定
日機装社製DCS-27、回路NK-D035P
以上が、JSDT推奨の方法での測定方法である。
操作が煩雑で穿刺時の繁忙期と重なるため、毎回のルーチンワークとして行うには難しい。
穿刺針と同じ高さに合わせる
当院での簡易的測定法
約60cm
ベッドの高さはそのまま
測定タイミング
終了30分前 (任意で可)
透析:「停止」に入れる
Vチャンバー、ダイアライザー間のクランプ:なし
DVP:QB200ml/min (約
30-60秒)圧が平衡に達した時の圧
SVP:QB:0ml/min (約15
-30秒)圧が平衡に達した時の圧
60cmH20≒44mmHgを測定値に加算した値が真の値となる。
各方法での測定値の相関
簡易測定法
(mmHg)
R=0.9994
100
120
140
160
180
200
220
240
260
280
300
100 120 140 160 180 200 220 240 260 280 300
JSDT推奨測定法
mmHg
グラフ1.DVP相関グラフ
簡易測定法 mmHg
y=0.9975X+44.476
R=0.9994
R=0.9983
グラフ2.SDP相関グラフ
0
20
40
60
80
100
120
140
160
180
200
-100 -80 -60 -40 -20 0 20 40 60 80 100
JSDT推奨測定法 mmHg
簡易測定法 mmHg
y=1.0122X+44.374
R=0.9983
症例報告① 78Y 女性
原疾患:巣状糸球体硬化症
2004/1/21 内シャント造設。後、閉塞し、2009/08/30、現在の人工血管内シャント造設(ソラテックとゴアテックスのコンポジットグラフト)
2011年ステント挿入
以降定期的にシャントエコー
血管造影(AG)によりフォロー、
以後4回、
2011/4/24
2011/11.24
2012/8/8
2012/11/09
PTA施行
-50
0
50
100
150
200
250
2012
/9/4
2012
/9/1
8
2012
/9/2
9
2012
/10/
13
2012
/10/
30
2012
/11/
13
2012
/11/
24
2012
/12/
8
2012
/12/
22
2013
/1/3
2013
/1/2
2
DVP
SVP
症例報告 (mmHg)
2012/11/9PTA施行
2013/1/10 AG施行 2012/10/16AG施行
結語
JSDT推奨の方法では手技が煩雑となること、測定時期が繁忙時で導入が難しいと思われるが、簡易測定法では測定時期を任意で定められ、手技も簡単である。
簡易測定法での測定値でも十分にAVG管理の指標となりうる。
DVP、SVP共にAVG管理の指標として有用である。