artis pheno 導入...artis pheno 導入 より安全・正確な脊椎手術を追求...

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eno 04 81 ARTIS ph eno ARTIS pheno ARTIS pheno 14 ARTIS ph ARTIS ze ego 使ARTIS ph eno ARTIS zeego ARTIS zeego 13 95 10 ARTIS zeego ARTIS pheno 高砂西部病院(兵庫県)は高砂市総合運動公園で実施されたNBC災 害対策合同訓練に参加した。これは核物質(N)、生物兵器(B)、化学兵 器(C)による特殊災害への対応能力の向上を目的とした訓練で、同院 が立地する高砂市や明石市、加古川市など東播地区7消防本部が毎 年もち回りで開催。消防や医療機関、警察(機動隊含む)関係者など 100人以上が参加する大規模な訓練となった。同院がこのNBC災害対 策合同訓練に参加するのは初。 同院からは新保雅也院長、後藤裕磨看護師、新崎康平看護師の3人 が参加。2月12日に行った訓練は、競技場2階の観客席で猛毒のサリン が何者かによって撒かれたという想定の下で実施。3人は防護服を着用 したうえで、消防隊員らによってシャワーで除染された負傷者5〜6人の トリアージ(緊急度・重症度選別)を行った。警察がドローンを 活用し上空から状況を確認するひと幕も見られた。 新保院長は「NBC災害では、目に見えない汚染物質があるた めゾーニング(区域分け)が肝要です。また、他の自然災害など と異なり、支援者が防護服を着用したり、まず負傷者の除染を 行ったりするなどの特徴があります」と指摘。そのうえで「今回 の訓練参加は、NBC災害が発生した時の消防・警察の動きや医 療者側が注意すべきポイントなどを 認識する貴重な機会となりました」 と振り返った。後藤看護師は「目に 見えない脅威から自分の身を守りな がら負傷者のケアを行う重要性など、 とても勉強になりました」と手応えを 感じた様子。 NBC災害訓練に初参加 高砂西部病院 名古屋徳洲会総合病院は第7回春日井心臓血管 セミナーを開催した。今回のテーマは「糖尿病、 高血圧と心臓血管病」で、120人以上が参加した。 同セミナーは地域の循環器 医療の発展を目的に、情報の 公平性にこだわり、企業協賛 をせずに開催している。2月16 日に開いた今回のセミナーで は大橋壯樹総長の挨拶の後、 名古屋大学医学部附属病院 循環器内科の石井秀樹講師が 「冠危険因子と心臓血管病について〜高血圧を 中心に〜」と題し講演した。 超高齢社会での高血圧のリスクを解説した後、 血圧コントロールのポイントとして、抗血栓薬服 用中は血圧管理が大切、高齢者は血圧を下げ すぎないなど説明。家庭血圧測定の重要性にも 触れ、問題点や最新機器を紹介した。次に順天 堂大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学の 綿田裕孝教授が「1000万通りの糖尿病個別化医 療構築の必要性」をテーマに講演した。糖尿病の成因や治療、 かかりつけ医から専門医療機関への紹介基準など解説。日本 糖尿病学会のアクションプラン2010(DREAMS)として、1,000万 とおりの個別化医療の構築に向けた取り組みを紹介した。 続いて、同セミナー初の試みとして「糖尿病、高血圧の管理 について、クリニックとの合同シンポジウム」を実施。名古屋病 院の亀谷良介副院長兼循環器内科部長の司会の下、シンポジ ストには石井講師、綿田教授に加え、石川内科クリニックの石 川進医師、岡島内科の岡島智志医師が登壇した。 開業医から病院へ冠動脈疾患や糖尿病の患者さんを紹介す るタイミングや注意点、病診連携の重要性など、それぞれの立 場で私見を披露し、参加者も交 え議論を深めた。司会の亀谷副 院長も「ここでしか聞けない貴重 なシンポジウムになりました」と まとめた。次回第8回は「心臓弁 膜症に対する低侵襲治療」をテー マに9月21日に開催予定。 ARTIS pheno を導入したハイブリッド手術室 ARTIS pheno で患者さんを撮影する様子 モニターに映し出された画像を確認しながら慎 重に手術 ↑脊柱側彎症の前方矯正固定術の症例画像。手 術前(左)と手術後。↓同症の後方矯正固定術 の手術前(左)と手術後の症例画像 「ひとりでも多くの患者 さんのために貢献してい きたい」と江原副院長 診療所と専門医療機関の医師による シンポジウム 脊椎手術の総件数(2004年 8月以降) ARTIS pheno 導入 より安全・正確な脊椎手術を追求 湘南藤沢病院 負傷者役を待つ新保院長(黄色 の防護服を着用した中央の人物) 全体の司会進行を務 める大橋総長 尿7 名古屋 命だけは平等だ 平成 31 4 1 日 月曜日│No. 1178 41 月曜日 発行:一般社団法人徳洲会 〒102-0074 東京都千代田区九段南1-3-1 東京堂千代田ビル14階 TEL:03-3262-3133 制作:一般社団法人徳洲会 広報部 〒102-0074 東京都千代田区九段南1-3-1 東京堂千代田ビル14階 TEL:03-3288-5580 FAX:03-3263-8125  Email:news@tokushukai.jp No. 1178 1/APR. 2019 TOKUSHUKAI MEDICAL GROUP NEWS ALL LIVING BEINGS ARE CREATED EQUAL

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Page 1: ARTIS pheno 導入...ARTIS pheno 導入 より安全・正確な脊椎手術を追求 湘南藤沢病院 猛毒のサリン被害を想定 見せている。は意気込みをと江原副院長ていきたい」ために貢献しの患者さんのとりでも多くています。ひ術件数となっ

eno

を用いた脊柱側彎症

手術の1例目も行ってい

る。同センターが手術を

開始した04年8月以降、

今年2月末時点で、手術

総数は3948例に到達。

部位別では頚椎672例、

胸椎113例、腰椎22

48例、脊柱側彎症など

834例、その他81例と

なっている。現在、江原

副院長と同センターの岡

本弘史部長のふたりが執

刀している。

脊柱側彎症に対する手

術は、前方矯正固定術と

後方矯正固定術に加え、

江原副院長が考案した傷

痕の目立たない内視鏡を

用いた小切開前方矯正固

定術も数多く行っている。

「当院では若い方から年

配の方まで難度の高い脊

柱側彎症の手術を行って

おり、全国でも有数の手

で拡大。これにより、大

柄な患者さんの場合でも

容易に撮影できます。こ

のように基本性能のアッ

プに加え、将来的なAI

(人工知能)による脊椎

手術のロボット化への対

応も見据えてA

RTIS ph eno

の導入に踏みきりま

した」(江原副院長)。

ARTIS pheno

と連動す

る手術台とナビゲーショ

ンシステムも入れ替えを

行った。

ARTIS pheno

を用いた初

症例は2月8日に施行、

腰椎の手術だった。また

同月14日にはA

RTIS ph

中心に、連動する手術台

とリアルタイムナビゲー

ションシステムからなる

当時、世界でも類のない

脊椎手術システムを構築。

この間、三次元(立体)

の鮮明なデジタル画像と

ナビゲーションシステム

を組み合わせることで、

脊髄の近くにスクリュー

を打ち込む場合にも、ミ

リ単位で位置を正確に特

定しながら安全な手術を

行ってきた。

江原宗平・副院長兼脊

椎センター・脊柱側彎症

センター長は「ARTIS ze

ego

を使用してきた6年

半の間に約1万8000

本のスクリューを患者さ

んの体内に埋め込んでき

ましたが、あとから位置

を修正したのは0・00

2%にとどまります。こ

れは本分野では驚異的な

精度です」と話す。

今回導入したARTIS ph

eno

はARTIS zeego

の進

化版。「より高精細・高

画質な画像の撮影が可能

であり、被ばくの低減化

も図られています。さら

に、Cアームの内径が

ARTIS zeegoより13㎝広

くなり、アーム内のフリ

ースペースは95・5㎝ま

矯正固定術などによる手

術を行い、背骨がまっす

ぐになるようスクリュー

(医療用ねじ)やフック、

ロッド(金属の棒)を連

結し、ねじれやカーブを

矯正する。

より安全で正確な手術

を行うため、同院は20

12年10月の新築移転時

に、多軸型CT様画像撮

影装置A

RTIS zeego

ウマチなどの疾患がある。

湘南藤沢病院が治療に

力を入れている脊柱側彎

症は、背骨がねじれなが

ら大きくカーブする疾患。

さまざまな疾患が起因と

なり合併発症する症候性

側彎症と、成長期に発症

する特発性側彎症があり、

重症化すると心肺機能障

害を引き起こす。重度変

形の場合、手術には高度

な技術が必要。前方矯正

固定術(小切開)や後方

頚けいつい椎

や胸

きょう

椎つい

、腰よ

うつい椎

など

で構成される脊椎の疾患

は、腫瘍や炎症、変性、

外傷、代謝異常、先天性

形態形成異常、脊柱変形

など多岐にわたる。具体

的には脊柱側彎症、椎つ

いかん間

板ばん

ヘルニア、変形性脊椎

症、脊椎脊せ

きずい髄

損傷、転移

性脊椎腫瘍や慢性関節リ

湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)は多軸型CT(コンピュータ断層撮影)様画像

撮影装置「ARTIS pheno

(アーティス・フィノ)」を導入した。同院脊せ

きつい椎

センター・

脊せき

柱ちゅう

側そくわん彎症センターの脊椎専用ハイブリッド手術室に設置、これと連動する手術

台やリアルタイムナビゲーションシステムと組み合わせ、正確で安全な手術の施

行に寄与する。今後も脊柱側彎症をはじめ脊椎疾患に対する手術に積極的に取り

組み、患者さんのQOL(生活の質)やADL(日常生活動作)の向上に貢献し

ていく考え。

高砂西部病院(兵庫県)は高砂市総合運動公園で実施されたNBC災害対策合同訓練に参加した。これは核物質(N)、生物兵器(B)、化学兵器(C)による特殊災害への対応能力の向上を目的とした訓練で、同院が立地する高砂市や明石市、加古川市など東播地区7消防本部が毎年もち回りで開催。消防や医療機関、警察(機動隊含む)関係者など100人以上が参加する大規模な訓練となった。同院がこのNBC災害対策合同訓練に参加するのは初。同院からは新保雅也院長、後藤裕磨看護師、新崎康平看護師の3人

が参加。2月12日に行った訓練は、競技場2階の観客席で猛毒のサリンが何者かによって撒かれたという想定の下で実施。3人は防護服を着用したうえで、消防隊員らによってシャワーで除染された負傷者5〜6人のトリアージ(緊急度・重症度選別)を行った。警察がドローンを活用し上空から状況を確認するひと幕も見られた。新保院長は「NBC災害では、目に見えない汚染物質があるた

めゾーニング(区域分け)が肝要です。また、他の自然災害などと異なり、支援者が防護服を着用したり、まず負傷者の除染を行ったりするなどの特徴があります」と指摘。そのうえで「今回の訓練参加は、NBC災害が発生した時の消防・警察の動きや医療者側が注意すべきポイントなどを認識する貴重な機会となりました」と振り返った。後藤看護師は「目に見えない脅威から自分の身を守りながら負傷者のケアを行う重要性など、とても勉強になりました」と手応えを感じた様子。

NBC災害訓練に初参加高砂西部病院

名古屋徳洲会総合病院は第7回春日井心臓血管セミナーを開催した。今回のテーマは「糖尿病、高血圧と心臓血管病」で、120人以上が参加した。

同セミナーは地域の循環器医療の発展を目的に、情報の公平性にこだわり、企業協賛をせずに開催している。2月16日に開いた今回のセミナーでは大橋壯樹総長の挨拶の後、名古屋大学医学部附属病院循環器内科の石井秀樹講師が「冠危険因子と心臓血管病について〜高血圧を中心に〜」と題し講演した。超高齢社会での高血圧のリスクを解説した後、血圧コントロールのポイントとして、抗血栓薬服用中は血圧管理が大切、高齢者は血圧を下げすぎないなど説明。家庭血圧測定の重要性にも触れ、問題点や最新機器を紹介した。次に順天堂大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学の綿田裕孝教授が「1000万通りの糖尿病個別化医療構築の必要性」をテーマに講演した。糖尿病の成因や治療、かかりつけ医から専門医療機関への紹介基準など解説。日本糖尿病学会のアクションプラン2010(DREAMS)として、1,000万とおりの個別化医療の構築に向けた取り組みを紹介した。続いて、同セミナー初の試みとして「糖尿病、高血圧の管理について、クリニックとの合同シンポジウム」を実施。名古屋病院の亀谷良介副院長兼循環器内科部長の司会の下、シンポジストには石井講師、綿田教授に加え、石川内科クリニックの石川進医師、岡島内科の岡島智志医師が登壇した。開業医から病院へ冠動脈疾患や糖尿病の患者さんを紹介す

るタイミングや注意点、病診連携の重要性など、それぞれの立場で私見を披露し、参加者も交え議論を深めた。司会の亀谷副院長も「ここでしか聞けない貴重なシンポジウムになりました」とまとめた。次回第8回は「心臓弁膜症に対する低侵襲治療」をテーマに9月21日に開催予定。

ARTIS pheno を導入したハイブリッド手術室

ARTIS phenoで患者さんを撮影する様子

モニターに映し出された画像を確認しながら慎重に手術

↑脊柱側彎症の前方矯正固定術の症例画像。手術前(左)と手術後。↓同症の後方矯正固定術の手術前(左)と手術後の症例画像

「ひとりでも多くの患者さんのために貢献していきたい」と江原副院長

診療所と専門医療機関の医師によるシンポジウム

脊柱側彎症の手術で実績豊富

脊椎手術の総件数(2004 年 8月以降)

ARTIS pheno 導入より安全・正確な脊椎手術を追求

湘南藤沢病院

猛毒のサリン被害を想定

術件数となっ

ています。ひ

とりでも多く

の患者さんの

ために貢献し

ていきたい」

と江原副院長

は意気込みを

見せている。

負傷者役を待つ新保院長(黄色の防護服を着用した中央の人物)

全体の司会進行を務める大橋総長

糖尿病や高血圧をテーマに

第7回春日井心臓血管セミ

名古屋病 院

徳 洲 新 聞徳 洲 新 聞 生い の ち

命だけは平等だ❶ 平成 31年 4 月1日 月曜日 │ No.1178

4月1日 月 曜 日

発行:一般社団法人徳洲会  〒102-0074 東京都千代田区九段南1-3-1 東京堂千代田ビル14階

TEL:03-3262-3133制作:一般社団法人徳洲会 広報部 〒102-0074 東京都千代田区九段南1-3-1 東京堂千代田ビル14階 TEL:03-3288-5580 FAX:03-3263-8125  Email:[email protected]

No.11781/APR. 2019

TOKUSHUKAI MEDICAL GROUP NEWS

ALL LIVING

BEINGS ARE CREATED EQUAL

Page 2: ARTIS pheno 導入...ARTIS pheno 導入 より安全・正確な脊椎手術を追求 湘南藤沢病院 猛毒のサリン被害を想定 見せている。は意気込みをと江原副院長ていきたい」ために貢献しの患者さんのとりでも多くています。ひ術件数となっ

中川麗・副院長兼プラ

イマリセンター長は、同

プロジェクトを受けた理

由を「当院はさまざまな

国籍の職員が働いていま

す。外国人医師の見学を

受け入れることで、お互

いの違いを尊重しながら、

当院の国際化にもアドバ

イスをもらえると考えま

した」と明かす。

まずは西條正二・後期

研修医3年目(プライマ

リセンター医師)と國本

尚彦・専攻医1年目(同)

が英語でオリエンテーシ

ョンを実施。同院の概要

や研修システム、日本の

医療事情や保険制度など

を説明した。

続いて、中川副院長ら

が病棟、集中治療室、手

術室、救急センターなど

案内した。その際、海外

からのもち込み感染予防

のため、外国人医師は日

本で用意した白衣やマス

クを着用。撮影した写真

のチェックも行った。

視察で外国人医師は、

同院の研修システムや日

札幌徳洲会病院はDELVER JAPAN

社(訪日旅行事業

会社)の企画する「訪日外国人医師病院訪問プロジェ

クト」に参画、フィリピンからの医師を2月7日に

23人、3月7日に25人それぞれ受け入れた。これは

外国人医師が日本の近代的な病院を訪れ、交流や見

学を通じて日本の医療を学ぶのが目的。

本の超高齢社会への対策

などに高い関心を示した。

また、救急センターの見

学では、効率良く患者さ

んを診ながらプライバシ

ーにも配慮している様子

に感嘆の声を上げていた。

2月と3月の見学は、

それぞれトライアルとし

て実施。今後、シンガポ

ール、台湾、中国、ベト

ナムからの視察にも対応

する考えだ。中川副院長

は「もっと徳洲会グルー

プ内の連携や院内の多職

種連携についても伝えら

れるようにしたいです。

そのために職員の英語力、

プレゼン能力の向上も図

っていければ良いと思い

ます」と展望する。

72病院を含む340以上の医

療・介護・福祉施設を展開。医

業収益4500億円超の民間最

大の非営利法人グループに成長

しました。4月には研修医14

9人を含む約3000人が新た

に入職し、職員数は計3万30

00人超となります。

離島・へき地医療と救急医療

を原点とする徳洲会は「生い

のち命だ

けは平等だ」の理念の下、「い

つでも、どこでも、誰でもが最

善の医療を受けられる社会」の

実現を目指しています。

2020年4月には学校法人

徳洲会

湘南鎌倉医療大学(仮

称)開学を目標に掲げ、準備を

進めています。そこでは徳洲会

の理念と哲学を、人種、国境、

宗教を超え、将来の医療を担う

若者たちと共有したい。また、

徳洲会の職員が同大学で最先端

の技術や病院経営学などを学べ

るようサポートしたいと考えて

います。

ここまで私たちが成長できた

原動力は、医療は自分自身のた

めではなく、「患者さんのため」

にあるという信念です。その信

念がある限り、私たちの進化は

止まりません。社会的な責任も

大きくなってきています。

私たちは肌の色も宗教も違う

はるか彼方にある国で、不可能

とも思えた腎移植を、皆の力を

結集し実現しました。現地医療

者だけの力で実践できる日もす

ぐ目の前に来ています。

隣国のコンゴでも、徳洲会と

日本の外務省の支援により、病

院での透析医療が3月25日に始

まりました。04年のMOU(覚

書)締結に端を発し、内戦やエ

「Yes, We did it !

この言葉が添えられた一枚の

写真が昨年、私の執務室に掲げ

られました。手術室から溢れん

ばかりのアフリカ人と日本人の

医療者たちの顔には、一様に手

術をやり遂げた笑顔と誇りが漲

みなぎ

り、その写真を眺めるたびに、

私も誇らしい気持ちになります。

昨年3月、徳洲会グループと

東京女子医科大学病院の合同チ

ームは、アフリカのタンザニア

で現地医療スタッフによる初の

腎移植をサポートしました。約

1万2000㎞離れた日本にい

る私に、知らせが届いたのは深

夜の1時。手術の成功を意味す

る「先生、おしっこが出ました!」

という安あ

堵ど

と喜びが入り混じっ

た涙ながらの報告に、私もまた

目頭が熱くなりました。

ここに至るまでには長い道程

がありました。現地の内科・外

科医師、看護師、臨床検査技師

らが来日し研修を受ける一方、

日本からも多職種がチームを組

んで現地を訪れ、医療技術の指

導のみならず法整備、物品調達、

環境整備まで尽力しました。来

日研修や現地指導は継続して実

施し、昨年8月には2度目、今

年3月には3度目となる腎移植

を行い、これまでに計7組の移

植が成功しています。先日、駐

日タンザニア大使が、移植した

患者さんの元気な姿が映った写

真を見せに来られました。

人種や国境・宗教・世代超え

徳洲会の理念と哲学の共有を

徳洲会は今年、創立46年目を

迎えました。大阪で、ひとつの

病院から始まり、現在は全国に

ボラ出血熱の蔓延など想像もで

きなかった困難を乗り越えなが

ら、15年に日本で研修を実施し、

17年には透析機器を寄贈しまし

た。その病院の透析医療支援に

は徳洲会で育ったカメルーンの

医師、ガゼル先生も協力してい

ます。これからも「最善の医療

を提供したい」という徳洲会の

信念が、アフリカの仲間を通じ、

アフリカ大陸に広がることを願

ってやみません。こうしたプロ

ジェクトはアフリカのみならず

日本国内からも高く評価される

ようになりました。

願いは日本全国で質の高い

専門医療を受けられること

タンザニアの腎移植プロジェ

クトは「なぜアフリカまで行っ

て腎移植をしているのに、日本

では限られた施設でしかできな

いのか」と、自らに問うきっか

けになりました。日本各地の徳

洲会の病院に腎移植を望む患者

さんがおり、移植技術をもった

専門チームもありながら、ドナ

ー(臓器提供者)不足により腎

移植ができないのが現状です。

ドナーは、生体腎移植であれ

ば家族や親戚などですから、地

元の病院で手術を受けたいと考

えます。

腎移植に限らず徳洲会がもつ

質の高い専門医療が、日本中で

受けられるようになることを強

く希求しています。「いつでも、

どこでも、誰でもが最善の医療

を受けられる社会」の実現に向

け、あくなき追求を行うことは、

私たちの誇りであり、存在をか

けるに足ることは間違いありま

せん。皆で頑張りましょう。

養生活を継続できるよう、

ステーション化を機に訪

問看護の取り組みを一層

強化していく考え。

大河治子・看護部長は

「地域の診療所や介護事

業所との連携を深めなが

ら地域の方々のニーズに

応えていくと同時に、大

規模病院の後方病院とし

ての役割も担い、梶原正

章院長の目指す当地の在

宅医療を支えていきた

い」と意欲的だ。

ケア病棟)、慢性期(医

療療養病棟)までをカバ

ーする医療機能の提供に

加え、訪問診療に力を入

れる地域の診療所と連携

しながら、24時間対応の

在宅医療を実施する機能

強化型の在宅療養支援病

院を目指す方針を策定。

退院後も患者さんが自宅

や介護施設で安心して療

近江草津徳洲会病院(滋

賀県)は、地域密着型ケ

アミックス病院としての

機能強化の一環で、7月

を目標に訪問看護ステー

ション(訪看ST)の開

設を計画。訪問看護その

ものは、みなし指定によ

り従来から実施している。

同院は急性期(一般病

棟)、回復期(地域包括

武蔵野徳洲会病院(東京都)は事務職のインターンシップを実施した。関東の徳洲会グループ病院は、2020年卒業見込みの学生を対象に事務職の説明会を合同で実施、その後、病院ごとにインターンシップを行い、同院には7人の学生が参加した。2月22日から2日間行った同院のインターンシップでは、

自己紹介の後、徳洲会グループのプロモーションビデオを視聴。職員がグループの概要や求人内容、総務課や医事課の仕事内容について説明し、参加者の質問に答えた。続いて、院内見学と医事課の職場体験を実施。職場体験では受け付けの流れ、保険証の確認、レセプトの仕組みなど学んだ。インターンシップを終えた参加者は「実際の雰囲気や仕事内容を体験することができ、理解が深まりました」、「多くの職種が働いている現場を目にすることができたので、とてもわかりやすく感じました」、「入職した際に、どう働いていくのか想像することができました」など感想を語っていた。新井秀樹事務長は「病院の事

務職で活躍したいと考えている学生に、早い段階で徳洲会の理念や方向性を知ってもらう機会になりました。徳洲会の未来を担う若人が、たくさん応募してくれることを願います」と期待を寄せた。

武蔵野病院

未来担う若人に期待事務職インターンシップ

英語でオリエンテーション

中川副院長(左)らが院内を案内

近江草津病 院

病院の受け付け業務に興味津々の参加者

不可能に思えたアフリカでの腎移植を達成

成長の原動力は「患者さんのため」この信念がある限り進化は止まらず

在宅療養支援病院も計画

訪看ST今夏開設

救急センターに高い関心

外国人医師が視察

札幌病院

鈴す ず

木き

隆た か

夫お

一般社団法人徳洲会理事長

徳 洲 新 聞生い の ち

命だけは平等だ 平成 31年 4 月1日 月曜日 │ No.1178 ❷

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今回は透析と呼吸器を

メインテーマとし、羽生

総合病院(埼玉県)の渋

谷一・臨床工学技士が大

会長を務めた。メインプ

ログラムの演題発表は18

病院が計20演題を発表。

投票の結果、湘南鎌倉総

合病院(神奈川県)の栗

林裕芽子・臨床工学技士

が発表した「当院におけ

る在宅血液透析の初導入

を経験して」が最優秀演

題賞に選ばれた。

栗林・臨床工学技士は

自院をはじめ周辺地区で

も初となる在宅透析の導

入例を報告。院内でのチ

ーム結成、書面の整備、

機器の導入、介助者

への教育、水質管理、

緊急時対応など、導

入に至るまでの取り

組みや、現在も患者

さんの状態は良好で

あることを紹介した。

栗林・臨床工学技士は

「在宅透析は全国的に少

ないのが現状。知ってい

ただき、かつ評価された

ことは嬉しいです」と笑

顔。臨床工学部会長の本

間久統・庄内余目病院(山

形県)臨床工学科技士長

をはじめ、関係者に謝意

を示した。

最優秀演題に次ぐ得票

数を獲得したとして、古

河総合病院(茨城県)の

相澤菜摘・臨床工学技士

が発表した「穿せ

刺し

業務に

おけるエコーの有用性に

ついて」に北関東ブロッ

ク長賞、湘南藤沢徳洲会

病院(神奈川県)の新田

真司・臨床工学技士が発

表した「開放式保育器の

空気・酸素混合装置を介

して~呼吸器の酸素濃度

が上昇した1例~」に南

関東ブロック長賞が贈ら

れた。相澤・臨床工学技

士の発表は教育委員長賞

のひとつにも選ばれた。

演題発表のほかには、

東京医療学院大学の南雲

秀子・保健医療学部看護

学科助教が「看護師目線

での臨床でME(臨床工

学技士)に望む事」と題

する特別講演を行ったり、

本間部会長が徳洲会臨床

工学部会の現状について

説明したりした。一般社

団法人徳洲会医療安全事

務局の野口幸洋係長がハ

ラスメントをテーマにし

た講義も行った。

湘南鎌倉総合病院(神

奈川県)は3月14日、「腎

臓を守って元気で長生

き!」というテーマで、

“世界腎臓デー記念拡大

医療講演”を初開催した。

会場は鎌倉芸術館。約3

00人に上る地域の方々

が足を運び、熱心に聴講

する姿が見られた。

世界腎臓デーは国際腎

臓学会などの提案により

徳洲会グループ臨床工学部会は都内で第8回関東臨

床工学セミナーを開催した。北関東・南関東ブロッ

クの臨床工学技士ら約200人超が集結し、演題発

表で業務改善のヒントを得たり、講演で他職種との

連携に関するポイントを学んだりした。

透析・呼吸器がテーマ

徳洲会グループ

臨床工学部会

関東臨床工学セミ

世界腎臓デーに合わせ

拡大医療講演を初開催

北関東・南関東ブロックとも所属する病院・介護施設が多いこともあり、コンテストの参加施設数は10を超えた。また、ほかのブロックでは地域色の強いメニューが見られたが、関東では鶏肉や豆腐など一般

的な食材を用いたり、ハンバーグなどなじみの深い料理にひと工夫を加

えたりするメニューが多かった。北関東ブロックは11施設がエントリー。

千葉西総合病院を会場に、同院の厨房 で3施設ずつ調理した。審査員は南関東ブロックの調理師や管理栄養士らが務めた。病院部門では、タンドリーチキンなどを提供した古河総

合病院(茨城県)が優勝。2位は四街道徳洲会病院(千葉県)(親子煮など)、3位は千葉西病院(サーモンフライのオレン

ジソース冷製仕立てなど)が入賞した。介護部門では介護老人保健施設(老健)まつど徳洲苑(肉団子の黒酢酢豚風など)が優勝し、2位に老健千葉徳洲苑(信田煮など)、3位に老健シルバーケア鎌ヶ谷(松風焼きなど)と、両部門で千葉県勢が奮闘した。南関東ブロックは16施設が参加。鎌倉女子大学を会場とし、北関東ブロックの調理師や管理栄養士、同

大学の講師らが審査した。病院部門では静岡県勢

が健闘。優勝した榛原総合病院(中華おこわなど)のほか、3位に静岡徳洲会病院(凍り豆腐のはさみ煮など)が食い込んだ。2位はタラの香草パン粉焼きなどを提供した湘南厚木病院(神奈川県)。介護部門では、優勝した特別養護老人ホームかまくら愛の郷(ピザ風ハンバーグなど)をはじめ、2位に特養つるみね(鮭の混ぜご飯など)、3位に老健茅ヶ崎浜之郷(豆腐のミートローフなど)と神奈川県

勢が独占した。榛原病院栄養科の宮川史乃・管理栄養士は「20年以上続いている当院の人気メニューが評価され嬉しいです」。

賞状と記念の盾を手に笑顔の古河病院

かまくら愛の郷の菱田朋子・管理栄養士(左)と一柳恵一・栄養室副主任(調理師)

大学を会場に、コンテストの説明を受ける南関東ブロック参加者

「今後も精進を」と、まつど徳洲苑のスタッフは謙虚な姿勢を崩さない

「素直に嬉しいです」と榛葉啓美調理師(右)と宮川・管理栄養士

徳洲会 料理コンテスト〜北関東・南関東編〜 ③

名瀬徳洲会病院(鹿児島県)は第16回コメディカル研究発表会を開催した。日々の業務で取り組んでいることをテーマに、今回は事務職を含め6部署が演題を発表した。リハビリテーション科の幸田

康宏副主任(理学療法士)は、外来リハビリテーション患者さんへのロコモーショントレーニング(転倒や骨折を予防するための訓練)指導の効果を検証。高齢者でも継続することで姿勢制御や運動学習の効果が得られる可能性を示唆した。健康管理室の大久保亜砂美副主任は、昨年12月の徳洲会グループ第1回健診部会に触れ、健診や人間ドックでグループ統一のシステム構築や多様な情報共有が可能になった点をアピールした。地域医療連携室の下町勝幸係長は、介護職員の不足解消や資質の向上を目的に、2015年から実施している「介護職員初任者研修」の成果を紹介。栄養科の長谷茜・管理栄養士は、喜界徳洲会病院(鹿児島県)で学んだBDHQ(簡易型自記式食事歴法質問票)について概要を説明するとともに課題を指摘した。検査室の郡一美・臨床検査技師は、人間ドックで肺機能検査を行った20代以上の男女2万2,037人の検査結果を検証。「喫煙者は非喫煙者に比べCOPD(慢性閉塞性肺疾患)になる可能性が高い結果が得られた」と説明した。医療情報部の竹直久職員は、地域連携コーディネーターとして地元の医療機関や学校、企業を精力的に訪問し、その成果を紹介。終了後、松浦甲彰院長が各演題に対する意見を述べ、牧主芳忠事務長が「この会も今年で16年目。相互に取り組んでいることを理解したうえで多職種が連携できる点や、業務を見つめ直し、成長につながる点が良いところ」と今後も継続する意向を明かした。

日々の取り組み相互に発表コメディカル研究発表会

湘南鎌倉病  院

2006年にスタート。

3月第二木曜日と定め、

日頃から腎臓の大切さを

意識するための国際的な

記念日となっており、各

国で啓発イベントが行わ

れている。

同院腎臓病総合医療セ

ンターの守矢英和部長が

「腎臓はふだんあまり意

識することがない臓器だ

と思います。心臓に疾患

があれば胸が痛むことが

ありますが、腎臓は腎不

全になって透析導入とい

う段階になっても、ほと

んど症状はありません。

このため“沈黙の臓器”

と言われています。だか

らこそ、ふだんから腎臓

を気にかけていただきた

いと思います」と開会の

挨拶。

今回の拡大医療講演で

は医師2人、管理栄養士

と作業療法士が各1人、

講師を務めた。

はじめに守矢部長が登

壇し「腎臓を長持ちさせ

るための秘訣」と題し講

演。透析導入の原因疾患

や腎機能の評価法、慢性

腎臓病(CKD)の治療

法などを解説したうえで

「検診や人間ドックを受

け、定期的に腎機能や尿

のチェックを受けてくだ

さい。すでに加療中の方

は血圧管理や肥満予防な

ど生活習慣の見直しを行

い、動脈硬化のチェック

もあわせて行い健康管理

に留意してください」と

呼びかけた。

次に、糖尿病内分泌内

科の小見理恵子部長が

「知らなきゃ損々

糖尿病

性腎症」をテーマに、透

析導入の原疾患の第1位

である糖尿病性腎症の予

防と治療のポイントなど

を説明。この後、栄養管

理センターの伊藤典子副

主任(管理栄養士)が「腎

臓に良いお食事教えま

す」、リハビリテーショ

ン科の西村彰紀主任(作

業療法士)が「腎臓リハ

ビリの新しい治療法」と

題し、腎臓に優しい食事

のポイントや運動療法を

紹介した。

名瀬病院

 

ほかの演題発表と演者は

次のとおり(職種はすべて臨

床工学技士)。▼鈴木健太・

千葉西総合病院「ツインシー

ルド導入についての評価」▼

寒郡ちなみ鎌ケ谷総合病院

(千葉県)「アフェレーシス

治療用システムの導入と自動

記録化を目指して」▼山口

稜・榛原総合病院(静岡県)

「透析患者におけるplasm

a refilling rate

の検討」▼堤文

香・四街道徳洲会病院(千葉

県)「当院透析室の災害対策

の見直しと変更」▼芹田陽・

葉山ハートセンター(神奈川

県)「透析業務における環境

の違いについて」▼藤巻美

穂・湘南藤沢病院臨床工学科

主任「透析コンソール入れ替

えに伴う業務効率化と費用

効果の検討」▼渡邊紗希・東

京西徳洲会病院「人工心肺中

の血液透析における透析剤の

検討」▼永橋和隆・千葉徳洲

会病院「エコーガイド下穿刺

をはじめるにあたって」▼五

嶋庫人・茅ヶ崎徳洲会病院(神

奈川県)臨床工学科主任「I

HDF補液中における末梢血

管拡張作用の確認と除去効

率の変化について」▼小浦方

美穂・皆野病院(埼玉県)臨

床工学科副主任「皆野病院透

析室の災害対策」▼吉田大

史・武蔵野徳洲会病院(東京

都)「シャントマップの改善」

▼森田悠作・大和徳洲会病院

(神奈川県)「ソフトウェア・

サービス社製透析管理システ

ム導入による使用報告」▼大

内将人・成田富里徳洲会病院

(千葉県)「当院におけるシ

ャント管理への取り組み」▼

秋本梨沙・静岡徳洲会病院

「血液透析治療中の自己抜

針事故防止への取り組み」

▼久保田祐樹・館山病院(千

葉県)「感染対策への取り組

み」▼北村唯・湘南厚木病

院(神奈川県)「当院におけ

る臨床工学技士とSAS外

来のかかわり」▼村上怜太・

千葉西病院「NPPVとN

HFでの入院日数・ICU滞

在日数の比較」

かかと上げ体操など、その場でできる運動も

今回も170人超の臨床工学技士が参加

最優秀演題賞の栗林・臨床工学技士

訪問活動の成果を発表する竹職員

多数の施設がエントリー

一般的な料理にひと工夫

徳 洲 新 聞 生い の ち

命だけは平等だ❸ 平成 31年 4 月1日 月曜日 │ No.1178

Page 4: ARTIS pheno 導入...ARTIS pheno 導入 より安全・正確な脊椎手術を追求 湘南藤沢病院 猛毒のサリン被害を想定 見せている。は意気込みをと江原副院長ていきたい」ために貢献しの患者さんのとりでも多くています。ひ術件数となっ

湘南鎌倉人工関節センター(神奈川県)は3月25日、第4回SKJRCドクター体験セミナーを開催した。地域の中学校に通う9人の生徒が参加、人工股

関節置換術の手術を見学し、大

だいたいこつ

腿骨の模擬骨を使ってインプラント(人工股関節)を打ち込む体験を行った。心臓マッサージやAED(自動体外式除細動器)の操作法など

を身に付ける1次救命処置(BLS)の講習・実演や、豚肉を用いた縫合・結紮体験、検査科や放射線科、リハビリテーション科など院内を見学しながら各職種の業務内容について説明も受けた。生徒たちは一つひとつのプログラムに真剣なまなざしで取り組んだ。インプラントの打ち込み体験では、ガウンと手袋を着用し、ボーンソーという骨切り専用の道具で模擬骨の損傷部を切断、インプラントの部品を金属ハンマーで大腿骨髄

ずいくう

腔に打ち込む工程などを体験した。参加した中学2年生の女子生徒は「股関節の痛みや動

きの制限が手術で良くなり、日常生活を取り戻せるのはすばらしい。自分も医療の道に進みたいと考えており、とてもためになりました」と喜んでいた。平川和男センター長は「医療機関には、さまざまな職

種が働いていることを知ってもらい、将来の進路として医療に興味をもち、生徒たちが、その道に進むきっかけになれば嬉しい」と話している。

総務課副主任)と今回、

かながわベスト介護セレ

クト20に応募した。書類

選考と県職員による検証

調査の結果、20事業所の

ひとつに選定。

ICF(国際生活機能

分類)を用いた個別支援

計画の作成や看取りの件

数増加と質の向上などが

評価された。阿部伸子施

設長は「取り組んできた

ことが評価されて嬉しい

です」と笑顔。磯野雅彦・

介護主任(介護福祉士)

も「職員の励みになりま

す」と顔をほころばせた。

改善、リハビリテーショ

ンの改善、中重度介護者

や認知症高齢者の対応、

②人材育成・処遇改善(職

員の離職率、職員が有し

ている資格、研修の実施

状況など)、③その他―

―の3つの側面から評価。

項目ごとに点数が決めら

れ、合計140点満点中

6割以上で「かながわ認

証」が取得できる。

かまくら愛の郷は17年

度に、かながわ認証を取

得。「グループ外で当施

設がどのレベルにあるの

か知りたい」(三澤隆介・

年からスタートした「か

ながわ認証」を取得して

いなければならない。

かながわ認証は「開設

3年以上」など一定の要

件を満たす事業所が対象

となり、①サービスの質

の向上(要介護度の維持・

反映されにくい仕組みに

なっているため、介護職

員のモチベーションアッ

プや介護業界そのものの

活性化を狙い、2016

年に開始した。県内の優

れた20の介護事業所を表

彰し、選ばれた事業所に

は奨励金として1事業所

あたり100万円を交付。

訪問系、通所系、居住

系、入所系と各種サービ

スが対象だが、同じく16

特別養護老人ホーム(特

養)かまくら愛の郷(神

奈川県)は2018年度

かながわベスト介護セレ

クト20に選出された。徳

洲会グループで初めて。

かながわベスト介護セ

レクト20は、神奈川県独

自の取り組み。現行の介

護保険制度では、利用者

さんの要介護度が改善す

ると介護報酬が減額する

など、介護現場の努力が

あり、まだ対象者も少な

く、HALでのリハビリ

がもたらす効果について

は未知の部分が多くあり

ます」と説明。しかし、「治

療前後の運動機能評価を

蓄積し続けることによっ

て、効果をより現実的な

ものとしていくことで、

患者さんに希望をもたら

す治療のひとつとして提

供していけるのではない

かと思います」と期待を

寄せている。

間半を要し、H

ALでのリハビ

リを行う患者さ

んへの身体的負

担など課題は残

る。

リハビリ室に入室する。

ベッドに腰かけ、専用機

器で体を持ち上げHAL

を装着後、歩行訓練を実

施。この間、PT2人が

付きっきりで対応する。

HALを用いたリハビ

リテーションを開始して

から、初めの数日はアシ

ストの設定を微調整して

は歩行練習を繰り返し、

徐々に滑らかな動きとな

ってきた。左下肢への重

心移動、荷重も促され、

自己評価も向上した。

HALを用いた1回の

歩行練習にかかる時間は、

休憩も含め20~30分程度

であるが、着脱や前後の

歩行評価など一連の工程

を含めると1時間~1時

仙台徳洲会病院はロボットスーツ「HAL(Hybrid Assistive Lim

b

)医療用下肢タ

イプ」を導入、1月に1例目の患者さんに対しHALを用いたリハビリテーショ

ン入院を実施した。徳洲会グループでは湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)、和泉市

立総合医療センター(大阪府)、南部徳洲会病院(沖縄県)に次ぎ4施設目の導入。

HALは身体機能を改

善・補助・拡張・再生す

ることができるサイボー

グ型ロボットスーツ。人

が体を動かそうとする時、

脳は神経をとおして動作

に関する信号を筋肉に送

り出す。健常者の体では、

この信号を受け取ること

により、動作に必要な分

者がどのような動作をし

たいと考えているのか認

識。これに合わせてパワ

ーユニットをコントロー

ルする。

コントロールには生体

電位信号を検出し、装着

者の思いどおりに動作す

る「サイバニック随意制

御システム」と、生体電

位信号を検出できなくて

も動作を実現する「サイ

バニック自律制御システ

ム」のふたつを混在させ

ることで、装着者の動き

をアシストする先進技術

を用いている。

脳・神経系への運動学

習を促すことができるシ

ステムも搭載。体が動い

た時、脳は実際に体がど

ういう信号で、どのよう

に動作したか確認を行う。

たとえばHALを用いて

「歩く」動作をアシスト

した場合は、「歩けた」

という感覚が脳にフィー

ドバックされる。これに

より脳は「歩く」ために

必要な信号の出し方を少

しずつ学

習してい

く。こう

したメカ

ニズムを

脳に覚え

させるこ

とも、足

の不自由

な方がHALを装着せず

に歩けるようになること

につながる。

HALは2016年1

月に保険適用。筋萎縮性

側索硬化症(ALS)、

脊せきずい髄性筋萎縮症、球脊髄

性筋萎縮症、シャルコー・

マリー・トゥース病、封

入体筋炎、遠位型ミオパ

チー、筋ジストロフィー、

先天性ミオパチーの8疾

患が対象だ。同院はAL

Sをはじめとする神経難

病患者さんの受け入れに

積極的であり、約2年半

後に控えた新築移転を見

据え、HALの導入に踏

みきった。

HALを使用するため

には、メーカーが企画す

る安全使用講習を受講し、

修了する必要がある。同

院では神経内科医師1人、

理学療法士(PT)5人

が同講習を受講。さらに

修了したPTのうち2人

がメーカー提携病院で1

週間ほど研修し、実際の

装着手順や治療の実際に

ついて学んだ。

患者さんに希望もたらす

治療として期待を寄せる

1例目は同院へ入退院

を繰り返し、HALの使

用が適用・推奨されるA

LSの患者さん。ALS

は脳や脊髄からの命令を

筋肉に伝える運動神経が

侵され、筋肉が萎縮して

いく進行性の難病だ。患

者さんは歩行器での歩行

が見守りで可能だが、下

肢筋力低下・支持性低下

により上肢支持に頼った

歩行となっている。下肢

筋力の左右差もあり、左

下肢の低下が目立つため

転倒の危険性がある。

入院期間は1クール約

2週間。患者さんは病室

共愛会病院(北海道)の長太一・歯科口

こうくう

腔外科医長は3月9日から2日間、札幌市内で開催された北海道形成歯科研究会スプリングセミナー2019に参加、発表した演題が奨励賞を受賞した。テーマは「分子標的薬の関与が疑われたインプラント周囲炎から顎

がくこつ

骨壊え し

死に至った1例から考える」。分子標的薬スニチニブは、根治切除不能または転移性の腎細胞がんおよびイマチニブ抵抗性腫瘍の治療薬として無増悪生存率を延長。一方、同薬による血管新生の阻害は、創傷治癒に影響を及ぼし、創傷治癒遅延や創哆

開かい

(手術後に縫合創が開く)、出血など創傷治癒不全が生じることを指摘した。また、同薬による血管内皮増殖因子(VEGF)シグナル経路の阻害は、顎骨壊死を生じさせるとの報告があるが、インプラント周囲炎から薬剤関連性顎骨壊死(MRONJ)を生じた症例は報告されていない。発表では、スニチニブ使用患者さんに発症したインプラント周囲炎から生じたMRONJについて、対応策と今後の課題について発表した。長医長は「奨励賞をいただき大変光栄です。今後ますま

す増加すると思われる本症例に対して注意喚起できた意義は大きく、これに弾みをつけて論文などの形にしていけたらと思います」と意気込みを語った。

長・共愛会病院医長

北海道形成歯科研究会で奨励賞

「論文を作成していきたい」と長医長

「医療の道に進みたい」

ドクター体験セミ地元の中学生が参加

湘南鎌倉人工関節センター

神経難病リハビリを強化

ロボットスーツ「HAL」導入

仙台病院

HALを用いたリハビリの様子

HAL の設定を患者さんに合わせ微調整

患者さんに話しかけながらリハビリを行う谷藤副主任(右)

の力で筋肉を動か

すことができる。

一方、HALは

独自に開発したセ

ンサーを皮膚に貼

り付けることで、

皮膚表面から漏れ

出る微弱な信号

(生体電位信号)

を読み取り、装着

で生体電位信号を

感知するセンサー

を皮膚表面(大だ

いたい腿

部前面・後面、鼠そ

径けい

部、臀で

部)に貼

り付けたうえで、

リハビリを担当する谷

藤慶幸リハビリテーショ

ン室副主任(PT)は、「H

ALは新たな治療手技で

徳洲会グループのHAL 導入施設湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)和泉市立総合医療センター(大阪府)南部徳洲会病院(沖縄県)仙台徳洲会病院

徳洲会グループで初

ベスト介護セレクト20

黒岩祐治・神奈川県知事から表彰を受ける阿部施設長(右)

模擬骨を用いインプラントの打ち込みなど体験

特養かまくら愛の郷が選出

かながわ

徳 洲 新 聞生い の ち

命だけは平等だ 平成 31年 4 月1日 月曜日 │ No.1178 ❹