asean経済における 経済成長の諸要因に 関する一...
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ASEAN経済における経済成長の諸要因に関する一考察
南山大学 太田代幸雄ゼミナールⅢ
目次
1. 研究の動機
2. ASEAN経済の現状
3. ASEAN経済成長の要因
3-1. 労働力人口とGDP
3-2. ASEANの中の先発国
3-3. 重回帰分析
4. 考察
5. 参考文献
2016/12/2 1
2016/12/2 2
1. 研究の動機
近年、マレーシアやシンガポール等の
東南アジア諸国の経済成長が著しい。
2016/12/2 3出典:世界銀行
0
2000000
4000000
6000000
8000000
10000000
12000000
14000000
16000000
18000000
20000000
地域別GDP推移
ASEAN EU アメリカ 日本 中国
100万ドル
年-10.0
-5.0
0.0
5.0
10.0
15.0
国・共同体のGDP成長率
ASEAN United States China Japan Euro area
%
年
ASEAN全体のGDPも成長
2016/12/2 4
そこで、ASEANに的を絞り、ASEANの発展要因を分析し、そこからASEANの未来について考察する
ASEANの今後は世界経済にも大きな影響を与えると考える
概要ASEAN経済においての成長要因と考えられる要因を
データより分析し、対外直接投資、対内直接投資、
労働人口について単回帰分析を行う。
また、重回帰分析も行い、複数の要因の中で、どの要因が大きな影響を与えているのか、対外直接投資、対内直接投資、労働人口、実質実効為替レートから導出し、ASEANの成長に大きな影響を与えている要因を述べる。
最後に、ASEANの中での後発国の未来について先発国の要因から考察する。
2016/12/2 5
結果単回帰分析から
GDPと労働力人口
GDPと対内外直接投資額
との間に強い相関関係があることが分かった。
また、重回帰分析より
国ごとに多少の違いはあるが、経済成長の要因として、
対外直接投資、対内直接投資、
労働人口、実質為替レート
が相互に関わっていることが分かった。
2016/12/2 6
2. ASEAN経済の現状
2016/12/2 7
ASEAN (東南アジア諸国連合)とは
【目的】(1)地域の経済成長、社会・文化的発展の促進(2)地域の政治・経済的安定の確保(3)地域諸問題に関する協力
【背景】1961年 東南アジア連合(ASA)が発足
→政治的問題により機能せず(タイ・フィリピン・マラヤ連邦)
1965年 ベトナム戦争開始 →地域協力の動き活発化
東南アジア連合、シンガポール・インドネシアを含めた新機構設立の機運
2016/12/2 8出典:外務省
現在のASEAN(2014年)
面積 433万㎢人口 6億2,329万人
名目GDP 2兆4,780億ドル貿易(輸出+輸入) 2兆5,518億ドル
2016/12/2 9
加盟国:ブルネイ・カンボジア・インドネシア・ラオス・マレーシア・ミャンマー・フィリピン・タイ・
シンガポール・ベトナム
全10カ国
(出所)面積、人口、GDP:世界銀行 貿易:IMF
面積は日本の12倍人口は4.9倍GDPは約0.54倍貿易額は1.7倍である。しかしこれは10カ国合わせた数値であるので、1カ国ずつ見るとまだまだ成長途中であるといえる。
他の共同体との比較(2014年)
2.55
11.82
5.79
0.8
0
2
4
6
8
10
12
14
(ASEAN) (EU) (NAFTA) (MERCOSUR)
貿易(輸出+輸入)(兆ドル)
2016/12/2 10
6.23
5.084.8
2.97
0
1
2
3
4
5
6
7
(ASEAN) (EU) (NAFTA) (MERCOSUR)
人口(億人)
2.48
18.4620.49
3.52
0
5
10
15
20
25
(ASEAN) (EU) (NAFTA) (MERCOSUR)
名目GDP(兆ドル)
ASEANは人口において他の地域経済共同体を上回るものの、経済規模ではEU及びNAFTAを大きく下回る。
(出所)面積,人口,GDP:世界銀行 貿易:IMF
0
500000
1000000
1500000
2000000
2500000
-200
0
200
400
600
800
1,000
1,200
1,400
10億米ドル
年
輸出
輸入
貿易収支
GDP
100万ドル
ASEAN貿易の推移
2016/12/2 11出典:経済産業省 通商白書
貿易収支は1998年以降黒字を記録している
ASEANの貿易(2014年)
2016/12/2 12
ASEANの輸出1兆2979億米ドル
ASEANの輸入1兆2539億米ドル
輸入と輸出どちらも約25%がASEAN域内
アジア大洋州局地域政策課 「目で見るASEAN-経済統計基礎指標-」より引用
域外貿易では輸出入ともに日本,中国,
EU,米国が大きな割合を占めている
ASEAN諸国(2012年12月)
先発ASEAN
• タイ
• マレーシア
• シンガポール
• インドネシア
• フィリピン
• ブルネイ
• ベトナム
後発ASEAN
• ラオス
• カンボジア
• ミャンマー
2016/12/2 13出典:外務省分類より
後発開発途上国とは国連開発計画委員会(CDP)が認定した基準に基づき、国連経済社会理事会の審議を経て、国連総会の決議により認定された特に開発の遅れた国々。3年に一度後発開発途上国リストの見直しが行われる。
3. ASEAN経済成長の要因
2016/12/2 14
3-1. 労働力人口とGDP
2016/12/2 15
0
500000
1000000
1500000
2000000
2500000
3000000
0
50000
100000
150000
200000
250000
300000
350000
400000
450000
100万ドルASEAN全体の労働力人口とGDP
労働力人口(万人) GDP
万人
年
労働力人口は緩やかに上昇GDPも概ね増加傾向にある
両者の間に相関関係があるのでは…??
単回帰分析単回帰分析とは
被説明変数を一つの説明変数で予測・説明するために用いる統計手法
回帰分析の式
𝒀 = 𝜶 + 𝜷𝟏𝝌𝟏+𝝊
*被説明変数 :名目GDP(USドル)【Y】
*説明変数 :対内直接投資額 【𝛽1】
対外直接投資額 【𝛽1】
労働人口 【𝛽1】(労働人口…15歳から65歳までの人口)
2016/12/2 16実質実効為替レート:IMFより
具体的には…
回帰分析結果について
自由度決定済み係数自由度というデータの散らばり度を修正して、計算された決定係数の数値のこと
0~1の範囲で表され、1に近いほど説明力が強い
今回の回帰分析で用いるデータは
時系列データのため、0.8以上で説明力が強い
2016/12/2 17
2016/12/2 18
国 係数自由度修正済み
決定係数
先発A
SEAN
タイ 28.019 0.5668880
マレーシア 31.163 0.8729071
インドネシア 16.737 0.7936606
シンガポール 112.144 0.8827846
フィリピン 9.317 0.8667100
ベトナム 9.640 0.8858436
ブルネイ 118.254 0.8848635
後発国
ラオス 6.489 0.8794319
カンボジア 3.019 0.8497335
労働力人口とGDPの関係
先発ASEANでは・マレーシア・シンガポール・フィリピン・ベトナム・ブルネイ後発ASEANでは・ラオス・カンボジア
→労働力人口とGDPとの
相関関係が高い
※自由度修正済み決定係数が0.8以上のものを望ましいものとする
3. ASEAN経済成長の要因
2016/12/2 19
3-2. ASEANの中の先発国
0
50,000
100,000
150,000
200,000
250,000
300,000
350,000
400,000
450,000
-4000
0
4000
8000
12000
16000
100万USドル
百万
100万USドルタイ対内外直接投資
対内直接投資 対外直接投資 名目GDP
直接投資 … 初期コストが高い
・経済成長や株価上昇→企業規模拡大
→直接投資による事業展開を行える企業増加
&
・AEC創設に向けた規制緩和や制度の一元化に向けた取り組みも後押し
⇒初期コストを低下させ直接投資による事業展開へのハードルを引き下げ
2016/12/2 20
(右軸)
AECとは…アセアン経済共同体(ASEAN Economic Communityの略)
ヒト・モノ・カネの動きの自由化2015年12月31日発足
(出典)対内外直接投資:UNCTAD 名目GDP:世界銀行
アジア通貨危機
2011年・2012年対内<対外⇒流出超過
年
輸送機械器具などの製品が国外で作られるようになったことが原因として考えられる
0
5
10
15
20
25
30
35
40
タイのハイテク輸出10億ドル
投資国になってからは輸出の伸びはなくなる
金融・保険業が対外直接投資の23.3%を占めた2013年には財サービスの輸出は落ち込む
10億ドル
2016/12/2 21
ハイテク輸出ハイテク輸出は、航空宇宙、コンピュータ、医薬品、科学機器、及び電気機械などの高R&D強度の生成物
財サービス輸出入商品、運賃、保険、輸送、旅行、ロイヤルティー、ライセンス料、通信、建設、金融、情報、ビジネス、個人的および行政サービスなどの他のサービスの値
年
年
出典:WDI
0
50,000
100,000
150,000
200,000
250,000
300,000
350,000
400,000
0
4000
8000
12000
16000
100万USドル100万USドル マレーシアの対内外直接投資
対内直接投資 対外直接投資 名目GDP (右軸)
2005年 マレーシア通貨(リンギット)が固定相場制から管理変動相場制に移行した
→リンギット高になる(=輸出不利→直接投資の利潤が大きくなる)
→自国で生産するよりも他国で生産
→対外直接投資が対内直接投資が上回った ⇒受入国から投資国へ
2016/12/2 22
(出典)対内外直接投資:UNCTAD 名目GDP:世界銀行
固定相場制→管理変動相場制
2007年以降8年連続で対内<対外⇒流出超過
年
投資国になった後、化学医薬品などのハイテク製品が国外で作られるようになったことが原因だと考えられる0
10
20
30
40
50
60
70
マレーシアのハイテク輸出10億ドル
投資国になる
タイと同様、金融・保険業が対外直接投資の17.4%を占めた2013年に向けて、財サービスの輸出は落ち込む
10億ドル
2016/12/2 23
年
年
出典:WDI
0
50,000
100,000
150,000
200,000
250,000
300,000
350,000
0
10000
20000
30000
40000
50000
60000
70000
80000
100万USドル100万USドル シンガポールの対内外直接投資
対内直接投資 対外直接投資 名目GDP
*2001年・2009年を除き
対内直接投資額>対外直接投資額
*法人税の実効税率が他のアジア諸国と
比較しても低い
→シンガポールへ進出する企業が増加
→対内直接投資の増加
26.0025
25.5025
24.502
22.002120.0019
18.0017
17.0016
0
5
10
15
20
25
30
%シンガポールの法人税率の推移
2016/12/2 24(出典)対内外直接投資:UNCTAD 名目GDP:世界銀行法人税率: Asset Macro
年
年
対内直接投資額>対外直接投資額
法人税率の国際比較
2016/12/2 25ASEAN各国法人税:JETRO ASEAN国以外との比較:財務省 より引用
他国と比較すると低いことがわかる
2016年現在(カンボジアのみ2014年)2016年2月
17%
20%
20%
20%
24%
24%
25%
25%
30%
0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35%
シンガポール
タイ
ベトナム
カンボジア
マレーシア
ラオス
ミャンマー
インドネシア
フィリピン
ASEAN各国の法人税率
0
50000
100000
150000
200000
250000
0
4000
8000
12000
16000
100万USドル100万USドル
ベトナムの対内外直接投資
対内直接投資 対外直接投資 名目GDP
年
2007年に対内が急増2011年以降3年連続で増加
2007年初頭WTO加盟実現
・1992年アメリカの経済制裁解除→対内直接投資増加→1996年ピークに
→1997年アジア通貨危機により減少
・政府による法制度の整備、見直し
・工業団地建設等 流入額増加基調
・ベトナム側の外国企業受け入れ態勢の整備 →リーマンショックにより減少
・投資家による中国一極集中回避のための
リスクヘッジ先として注目を浴びたこと
2016/12/2 26
+WTO加盟2007年
(右軸)
(出典)対内外直接投資:UNCTAD 名目GDP:世界銀行
アジア通貨危機
10億ドル
2007年からWTO加盟後、外国企業受け入れ数年後から大幅に伸びる
2016/12/2 27出典:WDI
0
100,000
200,000
300,000
400,000
500,000
600,000
700,000
800,000
900,000
1,000,000
-10000
-5000
0
5000
10000
15000
20000
25000
100万USドル100万USドルインドネシアの対内外直接投資
対内直接投資 対外直接投資 名目GDP
年
アジア通貨危機~民主化以降(1998~2004年)にわたり、直接投資 低迷
・政治の安定化しかし→ ・堅調な経済成長 自動車や電気電子分野を中心に増加
・対外経済関係の発展への期待反映
その後リーマン・ショックにより減少したものの、(2010)には対外直接投資が過去最高を記録し、以降も高水準を保つ
2016/12/2 28(出典)対内外直接投資:UNCTAD 名目GDP:世界銀行
アジア通貨危機
2010年は前年の約3倍に
低迷
10億ドル
・アジア通貨危機の影響で対外投資が減少したため国内での生産が伸び輸出が増える
・リーマンショック後、対外経済関係の発展を機に自動車や電気電子部品の生産を強化したことによって、対外投資が増加→輸出が減る。
2016/12/2 29出典:WDI
投資国
• タイ
• マレーシア
受入国
• インドネシア
• シンガポール
• ベトナム
2016/12/2 30
投資国→対内直接投資<対外直接投資受入国→対内直接投資>対外直接投資
対外直接投資とGDPとの関係
2016/12/2 31
国 係数自由度修正済み
決定係数
先発A
SEA
N
タイ 28.93993 0.864813895
マレーシア 14.94019 0.929228165
インドネシア 96.08357 0.737764467
シンガポール 5.538595 0.617850882
フィリピン 32.16964 0.479567985
ベトナム 94.45604 0.840641755
ブルネイ -26.5432 0.283181749
後発国
ラオス 325.32 0.040234746
カンボジア -45.9004 0.757563867
先発ASEANでは
・タイ
・マレーシア
・ベトナム
→対外直接投資とGDP
との相関関係が高い
※自由度修正済み決定係数が0.8以上のものを望ましいものとする
対内直接投資とGDPとの関係
2016/12/2 32
先発ASEANでは
・インドネシア
・シンガポール
・ベトナム
後発ASEANでは
・ラオス
・カンボジア
→対内直接投資とGDP
との相関関係が高い
国 係数自由度修正済み
決定係数
先発A
SEA
N
タイ 18.74331 0.407291622
マレーシア 23.01609 0.592709482
インドネシア 35.62646 0.871250138
シンガポール 3.794068 0.846920288
フィリピン 42.14755 0.486321408
ベトナム 15.01688 0.843341551
ブルネイ 0.63054 -0.036049655
後発国
ラオス 17.52985 0.822076187
カンボジア 7024803 0.943512145
※自由度修正済み決定係数が0.8以上のものを望ましいものとする
2016/12/2 33
単回帰分析の結果より
対内直接投資の成長がGDPの成長につながる
対外直接投資の成長がGDPの成長につながる
・投資国(タイ・マレーシア)
GDPと対外直接投資の相関関係が強い
・受入国(インドネシア・シンガポール・ベトナム)
GDPと対内直接投資の相関関係が強い注)ベトナムの対外直接投資額とGDPとの相関係数は高かったが、
対外投資額が他国と比べて少なかったため受入国に分類
3. ASEAN経済成長の要因
2016/12/2 34
3-3. 重回帰分析
重回帰分析重回帰分析とは
被説明変数を複数の説明変数で予測・説明するために用いる統計手法
回帰分析の式
𝒀 = 𝜶 + 𝜷𝟏𝝌𝟏+𝜷𝟐𝝌𝟐+𝜷𝟑𝝌𝟑+𝜷𝟒𝝌𝟒+𝜺
*被説明変数 :名目GDP(USドル)【Y】
*説明変数 :対内直接投資額 【𝛽1】
対外直接投資額 【𝛽2】
労働人口 【𝛽3】
実質実効為替レート【𝛽4】
2016/12/2 35実質実効為替レート:IMFより
・タイ
回帰統計
重相関 R 0.976676
重決定 R2 0.953896
補正 R2 0.94237
標準誤差 25.19188
観測数 21
係数 標準誤差 t P-値 下限 95% 上限 95% 下限 99.0% 上限 99.0%
切片 -586.112 177.803 -3.29641 0.004554 -963.037 -209.186 -1105.44 -66.7878
対内直接投資 -1.45645 2.162034 -0.67365 0.51015 -6.03976 3.126858 -7.77128 4.85838
対外直接投資 18.39334 2.566541 7.166586 2.24E-06 12.95251 23.83416 10.89703 25.88964
労働人口 14108.76 3074.259 4.58932 0.000302 7591.62 20625.89 5129.519 23088
実質実効為替レート -3.80464 1.080848 -3.52005 0.002841 -6.09594 -1.51335 -6.96156 -0.64772
補正R2・・・自由度修正済み決定係数
t値・・・説明変数の係数(β)や定数項(α)の確からしさの度合いを表す値
P値・・・たまたまその値である確率
自由度修正済み決定係数≥0.8⇒望ましい
|t|≥2⇒有意P≤0.05⇒有意
⇒名目GDPの変動要因
2016/12/2 36
回帰統計
重相関 R 0.990206
重決定 R2 0.980507
補正 R2 0.975634
標準誤差 14.28352
観測数 21
係数 標準誤差 t P-値 下限 95% 上限 95%下限
99.0%上限
99.0%
切片 -164.043 38.0001 -4.3169 0.000532 -244.599 -83.4862 -275.033 -53.0528
対内直接投資 4.66169 1.839079 2.534796 0.022071 0.763018 8.560363 -0.70986 10.03324
対外直接投資 4.646379 1.813114 2.562652 0.020862 0.80275 8.490009 -0.64933 9.942089
労働人口 19.47558 3.214549 6.058571 1.66E-05 12.66104 26.29012 10.08658 28.86457
実質実効為替レート
-14.2516 10.27992 -1.38635 0.184655 -36.0441 7.540847 -44.277 15.77379
・マレーシア
2016/12/2 37
回帰統計
重相関 R 0.981775
重決定 R2 0.963883
補正 R2 0.954854
標準誤差 17.21131
観測数 21
係数 標準誤差 t P-値 下限 95% 上限 95%下限
99.0%上限
99.0%
切片 24.08325 64.95944 0.370743 0.715692 -113.625 161.7911 -165.649 213.8156
対内直接投資 1.094566 0.5104 2.144527 0.047692 0.012567 2.176564 -0.3962 2.585331
対外直接投資 -0.41442 0.611341 -0.67789 0.507529 -1.71041 0.881565 -2.20001 1.371174
労働人口 67.97077 10.83881 6.271057 1.12E-05 44.99353 90.94801 36.31298 99.62856
実質実効為替レート
-126.679 29.31952 -4.32063 0.000528 -188.833 -64.5241 -212.315 -41.0428
・シンガポール
2016/12/2 38
・タイ
⇒労働人口数が増加すると共にその質が向上し、国内企業による海外企業への直接投資が意欲的に行われたことで経済成長を遂げた。
・マレーシア⇒労働人口が増加すると共にその質が向上し、1990年代の対内直接投資額の水準を保ったまま2007年以降に対外直接投資額が増加したことで経済成長を遂げた。
・シンガポール⇒物価が下がったことにより、海外企業が国内企業へ進出することで多くの雇用が生み出され、労働人口の質が向上したことで経済成長を遂げた。
回帰統計
重相関 R 0.980485
重決定 R2 0.96135
補正 R2 0.951688
標準誤差 64.10655
観測数 21
係数 標準誤差 t P-値 下限 95% 上限 95%下限
99.0%上限
99.0%
切片 -1590.25 397.1012 -4.00465 0.001022 -2432.07 -748.435 -2750.1 -430.406
対内直接投資 16.84506 4.985069 3.379102 0.003825 6.27718 27.41293 2.284756 31.40535
対外直接投資 -0.20223 11.41832 -0.01771 0.986088 -24.408 24.00353 -33.5527 33.1482
労働人口 14.49299 3.546334 4.086752 0.00086 6.975096 22.01088 4.134921 24.85106
実質実効為替レート
-0.02648 0.012894 -2.05322 0.056775 -0.05381 0.00086 -0.06414 0.011187
・インドネシア
2016/12/2 39注)ダミー変数 民主化(2005年)前:0 民主化後:1とする
回帰統計
重相関 R 0.987834
重決定 R2 0.975816
補正 R2 0.967754
標準誤差 9.610094
観測数 21
係数 標準誤差 t P-値 下限 95% 上限 95%下限
99.0%上限
99.0%
切片 -232.482 166.4902 -1.39637 0.182925 -587.347 122.3835 -723.081 258.1169
対内直接投資 3.82629 1.559436 2.453637 0.026849 0.502431 7.150149 -0.76892 8.4215
対外直接投資 35.06996 9.128253 3.841913 0.0016 15.61355 54.52637 8.171616 61.9683
労働人口 2.812384 2.816607 0.9985 0.333873 -3.19107 8.81584 -5.48735 11.11212
実質実効為替レート
0.002553 0.004424 0.577038 0.572473 -0.00688 0.011982 -0.01048 0.015589
ダミー変数(民主化)
1.201432 9.899548 0.121362 0.905015 -19.899 22.30182 -27.9697 30.37256
・ベトナム
2016/12/2 40
・インドネシア⇒物価が下がったことにより、海外企業が国内企業へ進出することで多くの雇用が生み出され、労働人口の質が向上したことで経済成長を遂げた。
・ベトナム⇒従来から海外企業の国内企業へ進出が活発であるのと同時に近年では国内から海外企業への直接投資も行われていることから経済成長を遂げた。
2016/12/2 41
重回帰分析の結果より
国ごとに多少の違いはあるが、経済成長の要因として
対外直接投資、対内直接投資、
労働人口、実質実効為替レート、
が相互に関わっていることが分かった。
また、先発ASEANの5カ国では特に労働人口と対外直接投資
とがGDPと密接に関係していることが分かった。
労働人口と対外直接投資が、特に経済成長に強く影響を与えている要因であると結論付けられる。
4. 考察ラオス・カンボジアの発展について
2016/12/2 42
今までの分析より
先発ASEANの国々の重回帰分析において、
被説明変数である名目GDP(USドル)と
説明変数である
対内直接投資額
対外直接投資額
労働人口
実質実効為替レート
からロバストな結果が得られた。
2016/12/2 43
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3 500
4 000
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100万ドルラオスの労働力人口とGDP
労働力人口(万人) GDP
万人
年
労働人口は、常に緩やかに増加傾向である。
GDPは、特に2005年以降からの成長率が急激に増えて著しい変化をしている。
2016/12/2 44出典:世界銀行
0
5000
10000
15000
20000
0
2 000
4 000
6 000
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12 000
100万ドル
カンボジアの労働力人口とGDP
労働力人口(万人) GDP
万人
年
労働人口は、常に緩やかに増加傾向である。
GDPも毎年増加していて、特に2005年以降から成長率が大きくなっている。
今後の後発ASEANの発展
【現状】人口、GDP共に増加傾向にある
【今後の見通し】海外企業が国内企業へ進出することで投資受け入れ国として発展する
国内企業が海外へ進出し、対外直接投資国となると先発ASEANのように経済発展が加速する
2016/12/2 45
5. 参考文献
2016/12/2 46
World Bank(世界銀行)
http://data.worldbank.org/
IMF(国際通貨基金)
https://www.imf.org/en/Data
外務省
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/asean/
外務省 アジア大洋州局地域政策課
「目で見るASEAN-経済統計基礎指標-」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/honsho/sosiki/asia.html
Asset Macro
http://www.assetmacro.com/
UNCTAD(国際連合貿易開発会議)
http://unctad.org/en/Pages/Home.aspx
財務省
http://www.mof.go.jp/
JETRO(日本貿易振興機構)
https://www.jetro.go.jp/
2016/12/2 47
小野沢純(2015)『拡大するマレーシア企業の海外直接投資ASEAN域内進出が主力』
http://www.iti.or.jp/kikan99/99onozawa.pdf
熊谷章太郎(2014)『拡大するタイ、マレーシアの対外直接投資』
https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=24726
熊谷章太郎(2014)『直接投資受入国から投資国へ転換するタイ、マレーシア』
https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/rim/pdf/7393.pdf
国際協力銀行(2015)『第3章 外国直接投資流入状況』(ベトナム)
http://www.jbic.go.jp/wp-content/uploads/page/2015/08/40731/inv_VietNam03.pdf
国際協力銀行(2015)『第4章 直接投資受入動向』
http://www.jbic.go.jp/wp-content/uploads/page/2015/08/40946/inv_Thailand04.pdf
国際協力銀行(2015)『第4章 直接投資受入動向』(インドネシア)
http://www.jbic.go.jp/wp-content/uploads/page/2015/08/40978/inv_Indonesia04.pdf
2016/12/2 48
2016/12/2 49
ご清聴ありがとうございました。