astm 規格のメソッド a b - 株式会社ヤナギモト「ス … 規格のメソッドa・b...
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ASTM にもとづく酸化鉄溶液中におけるステンレス鋳鋼品の耐孔
および耐隙間腐食試験結果
I. 今回実施された項目は以下の通り:
1. ミクロ試験
2. 塩化鉄による孔食試験 (メソッド A)
3. 塩化鉄による隙間腐食試験(メソッド B)
II. 試験材および試験品
試験用サンプルは㈱ヤナギモトより提供された二層ステンレス鋼
(T.PNo6494Y)である。
試験品は各試験材より機械加工した。ミクロ試験および腐食試験は試験
品において実施した。
III. 試験手順
1. ミクロ試験
試験品は標準的な金属組成技術を想定して準備した。切断面について
は、40%水酸化ナトリウムによる電解エッチングの後、200 倍に拡大し
て調査した。
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2. 腐食試験
試験品の端面は粒度 120 で磨いた。これら試験品を清浄し、アセトン
で油脂を除去した後、水で洗浄、風乾させた。試験品は 0.001g単位
で測定した。
図 □A : 孔試験前の表面構造(30 倍)
2.1 塩化鉄による孔試験(メソッド A)
100g のFeCl3・6H2O を 900ml の水に溶解させた液(写真)を、1000ml
ビーカーに入れこの中にガラス製クレードル(写真)に乗せたステン
レス鋼試験片(写真)を漬けた。試験溶液は 50℃±1℃、浸漬時間は
72 時間とした(写真)。試験片は約 18×15×50mm でその表面を#120
まで研磨しておいた。
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試験前の表面積及び重量を測定しておき、試験後の重量の測定および
表面を肉眼観察し、腐食状況とくに孔蝕の有無を観察した。
2.2 塩化鉄による隙間試験(メソッド B)
100g の FeCl3・6H2O を 900ml の水に溶解させた液を、1000ml ビーカーに
入れこの中に 2 個のΦ12.7mm のテフロン(写真)で挟み込んだ試験片
を浸漬させ、隙間腐食性を調べた。試験溶液は 32℃±1℃、浸漬時間は
72 時間とした。試験片の表面は#120 まで研磨しておいた。
試験前の表面積及び重量を測定しておき、試験後の重量の測定およびテ
フロンとの接触部における隙間腐食性について肉眼観察をした。
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IV. 結果
1. ミクロ試験
図 1 は㈱ヤナギモトより提供された二層ステンレス鋼の微細構造であ
る。フェライト/オーステナイト微細構造を示し、不良な粒界炭化物
もしくは金属間の隙間は確認されなかった。
図 1 : 試験品の微細構造(200 倍)
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2. 腐食試験
2.1 孔試験(メソッド A)
試験前 試験後
表面積 38.619cm2 38.619cm2
重量 104.869g 104.865g
質量の損失 0.1mg/cm2
表面の状態 #120 で研磨 試験後の重量は 0.004g 減少していたが、
試験片の表面を観察した結果まったく腐食
された様子が見られず、孔蝕も観察されなかった。
図 □B は、12 時間の孔試験後の表面構造を示している(30 倍)。試験前の表面
構造(図 A)と図 B を比べたところ、腐食孔は見られなかった。
図 □B : 孔食試験後の表面構造(30 倍)
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2.2 隙間試験(メソッド B) 表面積 試験前 試験後
重量(A 片) 4.952cm2 44.764g 44.763g
重量(B 片) 5.017cm3 47.493g 47.492g
質量の損失(各片と
も) 0.2mg/cm2
表面の状態 #120 で研磨
試験後に重量は各片とも 0.001g 減少してい
たが
試験片の表面を観察した結果まったく腐食
された様子が見られず、隙間腐食も生じて
いなかった。なお A 片と B 片との金属間の
隙間
腐食も観察されなかった。
図 □C は 72 時間の隙間試験後の表面構造を示している(20 倍)。図 A と図 C
を比べたところ、決定的な相違は見られなかった。