はんだ転写シート:ats advanced transfer...
TRANSCRIPT
はんだ転写シート:ATS (Advanced Transfer Sheet) -1-
UNON-GIKEN CO., LTD. HIGASHI NIHONBASHI BLDG
24-16, 2-CHOME HIGASHI NIHONBASHI,
CHUO-KU, TOKYO 104-0004, JAPAN
Tel. +81-3-3864-6991 Fax +81-3-3851-6270
はんだ転写シート:ATS(Advanced Transfer Sheet)
1. ATS とは ATS とは金属箔(エッチドアルミニウム箔または銅箔)基材にはんだ粒子を層状に積層させたシートです。
構成は、所定粒径はんだ粒子を単層、2層もしくは 2~3層ランダムに基材上に積層させております。
単層の場合はんだ粒子はエッチドアルミ基材のピットに機械的に保持されています。
2層以上の場合は高沸点溶剤や高粘度フラックスがバインダーとして機能しており、はんだ溶融時には接合部から
排除されます。(特許第 6042214号)
・単層 ATS
図 1. 単層 ATS
・多層 ATS
図 2. 多層 ATS
表面拡大写真
多層 ATS
はんだ粒子(所定粒径)エッチドアルミ箔OSP処理された銅箔OSP処理された銅箔 エッチドアルミ箔 はんだ粒子
(所定粒径)
表面拡大写真 単層 ATS
表面拡大写真
最大
100mm☐
*シート作成にプレス工程が必要なためシートサイズは最大 100mm☐となります
*写真のはんだ粒径は平均 10m品ですが、その他粒径も対応可能です。
*はんだ粒子層のサイズや簡単なパターンにも柔軟に対応できます。
はんだ転写シート:ATS (Advanced Transfer Sheet) -2-
被着体(基板、またはチップ)
ATSSUS 50µm
プレス機上鉄板 設定温度[℃]
プレス機下鉄板 設定温度[℃]
スペーサ スペーサ
↑厚み調整用スペーサ
アルミナ板 T=~10mm
2. ATS法について ATS法は、ATS によりパッケージ基板やプリント基板の電極にはんだバンプを形成させる工法です。 はんだバンプを形成させたい部分に ATS を置き、加熱加圧により、電極のみにはんだ粒子を転写させ、リフローにより
はんだバンプを形成させます(ATS 粉末転写法)。また、転写温度をリフロー温度以上で加熱加圧するとリフロー
炉無しでバンプを形成させることが出来ることも判明しています(ATS溶融転写法)。
この工法「ATS法」により凹型、凸型、ペリフェラル型など電極形状にかかわらず、メタルマスクや位置合わせなしで
簡便に、はんだバンプを形成させることが可能です。
上述のように、ATS法は ATS粉末転写法と ATS溶融転写法の 2種の形式があります。
はんだ組成、転写形式により転写温度は異なります。ATS粉末転写法は、ペリフェラル型電極基板、汎用基板に
効果的です。転写事例 2-1、2-2 に ATS粉末転写法の事例を示しました。また、銅箔上にはんだ粒子を配した
ATS(2100S-CU-SAC仕様等)は、パッケージ基板エリア凸型電極に対して 110℃~130℃の比較的
低温域でのはんだ粒子の転写が可能でした。転写メカニズムがまだ解明できておりませんが、現象には再現性が
あります。2-3 に転写事例を掲載しました。
ATS溶融転写法は、パッケージ基板凹型電極に適しています。パッケージ基板凹型電極は、ATS粉末転写法も
可能でしたが、ATS溶融転写法は、はんだバンプの高さを大幅に高くすることが出来ました。2-4 に転写事例を
示します。
○転写事例
2-1. ペリフェラル型電極[ATS粉末転写法]
2-2. 汎用基板[ATS粉末転写法]
2-3. エリア凸型電極[ATS粉末転写法,低温転写]
2-4. エリア凹型電極[ATS溶融転写法]
○はんだ粒子転写方法
はんだを転写するために熱プレス機が必要で、転写時の構成は下図のように行います。 *弊社使用のプレス機上下鉄板間の平行度が高精度ではないためスペーサーを使用しております。
スペーサーと転写部分が同高さになるように調整します。
図 3. プレス機転写構成
○はんだ粒子転写条件について
熱プレス機を使用し、所定のホットプレス条件(温度、時間、圧力)で、はんだ粒子の転写を行っています。
下記に各 ATS法のはんだ粒子転写条件を示します。(下鉄板温度は~60℃で一定です。)
表 1. はんだ粒子転写条件
ATS法 プレス上鉄板温度 圧力 加熱加圧時間
2-1. ペリフェラル型電極 [ATS粉末転写法] 2-2. 汎用基板 [ATS粉末転写法]
2-3. エリア凸型電極 [ATS粉末転写法,低温転写] 2-4. エリア凹型電極 [ATS溶融転写法]
200℃ 200℃
110℃ 275℃
10MPa (~100kgf) 10MPa (~100kgf)
10MPa (~100kgf) 5MPa ( ~50kgf)
1.0min 1.0min
1.0min 1.0min
シリコーンゴム板 T=8~10mm
金属箔(エッチドアルミ、またはOSP処理された銅箔)
はんだ粒子を塗布した粘着テープ42アロイ
プレス機上鉄板 200℃
プレス機下鉄板 ~60℃
10t ホットプレス機
・ 大きさ 50mm×50mm の、[42アロイ](厚み50µm)[はんだ粒子を塗布した粘着テープ](はんだ粒子面を金属箔側に向ける)[金属箔(エッチドアルミ箔、またはOSP処理された銅箔][42アロイ](厚み50µm)
を、この順に重ねて、シリコーンゴム板(厚み8mm~10mm)
の上に置き、プレス機上下鉄板の間に置く。・ プレス機上鉄板温度200℃、所定の加圧*にて1分間加熱加圧する。 * ゲージ値10MPa(100kg/cm2)・ 粘着テープ上のはんだ粒子が、ほぼ100%の収率で金属箔に転写されたことを確認する。
はんだ転写シート:ATS (Advanced Transfer Sheet) -3-
バンプ高さ ↘
加熱加圧[130~220℃, 10 MPa (~100 kg/cm2), 1min]
リフロー 255℃
加熱加圧[270℃, 5 MPa (~50 kg/cm2), 1min]
RT
↗ バンプ高さ
2-1. ペリフェラル型電極[ATS粉末転写法]
ATS粉末転写法は、はんだの融点以下の温度で加熱加圧し、必要な部分のみにはんだ粒子を転写させる工法
です。図 4及び図 5 を見るとブリッジがなく、綺麗にはんだ粒子が転写されていることがわかります。
図 4及び図 5の右下の写真の場合、リフロー後の電極からの平均高さは 6.5m、標準偏差は 1.6でした。
*3 SAC305はんだ粉末転写加熱加圧条件(180~220℃、10MPa(~10kgf)、1分)
図 4. ATS粉末転写法
転写事例(ペリフェラル型電極)
電極: ペリフェラル型電極、50m ピッチ、電極幅 17m
ATS: 1000S-EA-SAC(はんだ層単層構造)
転写条件: 温度 200℃、加熱加圧時間 1分、圧力 10MPa(~100kgf)
図 5. ATS粉末転写法 事例
転写用
フラックス
基板にシート対向
プレス加熱加圧*3
シート剥離
リフロー用
フラックス
リフロー 255℃
/フラックス洗浄
リフロー/ フラックス洗浄後
シート剥離後超音波洗浄 転写前
粉末転写(リフロー/フラックス洗浄後)
ペリフェラル型電極 50m ピッチ、電極幅 17m
はんだ転写シート:ATS (Advanced Transfer Sheet) -4-
2-2. 汎用基板[ATS粉末転写法]
ATS法はメタルマスクや位置合わせなしで簡便にはんだ粒子を電極に転写し、はんだバンプを形成させることが
出来ます。そのため特に試作の場合は納期を短縮出来ると考えております。
実装テスト用プリント基板にてチップコンデンサ 3216及び 0.5mm ピッチ QFPの搭載テストを行いました。
図 7及び図 8 に示す通り、プリント基板へのチップコンデンサ 3216及び 0.5mm ピッチ QFPの搭載が可能
でした。ボイドは発生しているようですがソルダペースト法に比べ大きさが小さく、ボイドの数も少ないと言えます。
シート剥離まで
ペリフェラル型と同様の手順
粘度の高い
フラックスを塗布
所定部品を
搭載
プリヒート
リフロー 255℃
/フラックス洗浄
図 6. ATS粉末転写法(汎用基板)
転写事例(粉末転写)
電極: 3216用 1.6mm☐、QFP 0.5mm ピッチ
ATS: 2100M-EA-SAC(はんだ層多層構造)
転写条件: 温度 200℃、加熱加圧時間 1分、圧力 10MPa(~100kgf)
図 7. ATS粉末転写法による 3216 チップコンデンサ搭載例
図 8. ATS粉末転写法による QFP 0.5mm ピッチ搭載例
粉末転写(リフロー/フラックス洗浄後)
部品搭載
① 粘度の高いフラックスを塗布
② 部品を搭載してプリヒート(120℃、1分)
③ リフロー(255℃、30秒)
シート剥離後 部品搭載後
シート剥離後
電極 1.6mm☐ 3216 チップコンデンサ
ピッチ 0.5mm 電極幅 0.25mm
電極 1.6mm☐ 3216 チップコンデンサ
ボイド写真
ボイド写真
ボイド写真
0.5mm ピッチ QFP
はんだ転写シート:ATS (Advanced Transfer Sheet) -5-
2-3. エリア凸型電極[ATS粉末転写法,低温転写]
エッチドアルミ箔基材の場合、2-1及び 2-2 では 200℃前後、2-4 では 275℃前後の温度をかける必要があっ
たのに対し、基材に銅箔を使用した ATSは、エリア凸型電極に対し低温(110℃~130℃)ではんだ粒子を
転写することが出来ます。
転写メカニズムをまだ十分に解明しておりませんが再現性が見られますので紹介しました。
活用できるかもしれません。
図 9及び図 10 の右下写真は同じもので、ブリッジがなく綺麗にはんだ粒子が転写及びリフローがされているのが
分かると思います。リフロー後の電極表面からの平均高さ 19.0m、標準偏差 1.5 でした。
*4 SAC305はんだ粉末転写加熱加圧条件(110℃、10MPa(~10kgf)、1分)
図 9. ATS粉末転写法,低温転写(エリア凸型電極)
転写事例
電極: エリア凸型電極、120m ピッチ、電極径 60mɸ、電極高さ 5m (n=120)
ATS: 2100S-CU-SAC(はんだ層単層構造)
転写条件: 温度 110℃、加熱加圧時間 1分、圧力 10MPa(~100kgf)
図 10. ATS粉末転写法,低温転写 事例
電極
OSP処理
基板にシート対向
プレス加熱加圧*4
シート剥離
リフロー用
フラックス
リフロー 255℃
/フラックス洗浄
平均高さ 19.0m 標準偏差 1.6
シート剥離後 リフロー/フラックス洗浄後
加熱加圧[130~220℃, 10MPa (~100kg/cm2), 1min]
リフロー 250℃
粉末転写(リフロー/フラックス洗浄後)
パッケージ基板凹型電極 120m ピッチ、電極径 60mɸ
はんだ転写シート:ATS (Advanced Transfer Sheet) -6-
バンプ高さ ↘
加熱加圧[130~220℃, 10 MPa (~100 kg/cm2), 1min]
リフロー 255℃
加熱加圧[270℃, 5 MPa (~50 kg/cm2), 1min]
RT
↗ バンプ高さ
2-4. エリア凹型電極[ATS溶融転写法]
ATS溶融転写法は転写温度をリフロー時温度 255℃よりも高い温度で加熱加圧させることによりはんだ粒子を
転写させる方法です。加熱加圧中にリフローされるため、リフロー炉は必要ありません。
ATS溶融転写法はパッケージ基板エリア凹型電極に適しております。パッケージ基板エリア凹型電極は、
ATS粉末転写法も可能ですが、ATS溶融転写法では、はんだバンプの高さが ATS粉末転写法より大幅に
高くなります。(ATS粉末転写法でのはんだバンプ高さはソルダレジストから 5~10m出る程度でした。)
図 11及び図 12の写真の場合、リフロー後のソルダレジストからの平均高さ 21.3m、標準偏差 1.6 でした。
ブリッジの生成は見られませんでした。また、ボイドは、ほとんど観察されませんでした。
転写用
フラックス
基板にシート対向
プレス加熱加圧*5
シート剥離
洗浄
*5SAC305溶融転写加熱加圧条件(275℃、5MPa(~5kgf)、1分)
図 11. ATS溶融転写法
転写事例
電極: 凹基板銅電極、150m ピッチ、電極径 70mɸ、SR高さ 22.3m(n=120)
ATS: 2100M-EA-SAC(はんだ層多層構造)
転写条件: 温度 275℃、加熱加圧時間 1分、圧力 5MPa(~50kgf)
図 12. ATS溶融転写法 事例
ボイド写真
平均高さ 21.3m 標準偏差 1.6
パッケージ基板凹型電極 150m ピッチ、電極径 70mɸ
パッケージ基板凹型電極 150m ピッチ、電極径 70mɸ
ボイド写真
はんだ転写シート:ATS (Advanced Transfer Sheet) -7-
3. ATS法の特長 ATS法はボール搭載法やペースト印刷法の微細化への検討よりは実用可能性が高い技術と考えています。
この工法「ATS法」により凹型、ペリフェラル型など電極形状にかかわらずメタルマスクや位置合わせなしで簡便に
はんだ粒子を転写することが可能です。溶融転写の場合は転写時にリフローされるのでリフロー炉が必要ありません。 大きな特長としては粉末転写、溶融転写どちらもボイドがほとんど発生しません(図 13.参照)。
表 2. 電極へのはんだマウント及びリフロー後の特性比較
4. ATS仕様 はんだ粒子径は、市販されている粒径であれば対応が可能で、仕様先頭の数字 2文字がはんだ粒子の表示粒径
となっております。はんだ組成について Sn96.5-Ag3.0-Cu0.5 と Sn42-Bi58は検討済みで、その他組成に
ついてもご要望があれば対応致します。
基材は基本的にエッチドアルミ箔を使用します。銅箔基材は SACはんだ低温粉末転写時で有効です。
表 3. ATS仕様一例
以上
項目 ATS
粉末転写法
ATS
溶融転写法
ボール
搭載法
ペースト
印刷法 バンプ高さ コプラナリティ ボイド
○
◎ ◎
◎ ◎ ◎
◎ ◎ ◎
○
△
△ ファインピッチ対応力 鉛フリー化 設備投資
◎ ◎ ○
◎ ◎ ○
△
◎ △
△
◎ ◎
スループット 材料コスト
◎ ◎
◎ ◎
○
○
◎ ◎
適用例(ピッチサイズ) QFP/フレキ 400μm
凹電極 50~100µm
100~150µm
ペリフェラル電極
○
(○)
○
○
◎
(◎) ◎ ×
×
×
◎
×
△
×
×
×
特長 幅広いピッチ
サイズに
対応可
バンプ高さを
高く出来る
リフロー炉
不要
高精度 スループット良
ATS仕様 はんだ粒径 はんだ組成 はんだ融点 特長
1000S-EA-SAC 2100S-CU-SAC
1000M-EA-SAC 2100M-EA-SAC
5~15m 10~25m
5~15m 10~25m
Sn96.5-Ag3.0-Cu0.5 Sn96.5-Ag3.0-Cu0.5
Sn96.5-Ag3.0-Cu0.5 Sn96.5-Ag3.0-Cu0.5
217℃ 217℃
217℃ 217℃
ペリフェラル型に向いている。 SAC はんだ低温転写時に有効。
狭ピッチの溶融転写時の有効。 汎用基板に向いている。
1000M-EA-Bi
2100M-EA-Bi
5~15m
10~25m
Sn42-Bi58
Sn42-Bi58
139℃
139℃
粉末転写ボイド
溶融転写ボイド
図 13. ボイド観察結果