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C297-0360 AXIMA-TOF 2 APPLICATION 1 AXIMA-TOF 2 によるリン酸化ペプチドの MS/MS測定 H2N-FQpSEEQQQTEDELQDK-COOH AXIMA-TOF 2 は高効率なフラグメントイオン生成に基づく高感度なMS/MS測定を特徴とし ています。以下の例ではリン酸化ペプチドを用いてAXIMA-TOF 2 の特徴を説明します。 リン酸化ペプチドのMS/MS測定ではリン酸基が脱離したイオン(-98Da)が生成しやすく, 配列情報を与えるフラグメントイオンの強度が弱いのが一般的ですが,図1(a)ではそれら イオンの生成効率が極めて高いことを示しています。また,“Cold Matrix(フラグメント化 しにくい効果を持つ)”として知られるDHBを用いてもCHCAの場合と同じクオリティの MS/MSスペクトルが得られています(図1 ( b ) )。 図2では意図的に複雑な混合物を作成し,より現実的な試料でAXIMA-TOF 2 の性能を試し ました。 AXIMA-TOF 2 の高いプレカーサーイオン選択性を利用して,この混合物中の赤矢印 で示したリン酸化ペプチドのMS/MS測定を行いました。 図1 モノリン酸化ペプチド(500 fmol)のMS/MS測定 図2 タンパク質消化物とリン酸化ペプチド混合物のMS測定 (a)マトリックス CHCA (b)マトリックス DHB

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Page 1: AXIMA-TOF図1 モノリン酸化ペプチド(500 fmol)のMS/MS測定 図2 タンパク質消化物とリン酸化ペプチド混合物のMS測定 (a)マトリックス CHCA (b)マトリックス

C297-0360AXIMA-TOF2

A P P L I C A T I O N 1AXIMA-TOF2によるリン酸化ペプチドの

MS/MS測定

H2N-FQpSEEQQQTEDELQDK-COOH

AXIMA-TOF2は高効率なフラグメントイオン生成に基づく高感度なMS/MS測定を特徴としています。以下の例ではリン酸化ペプチドを用いてAXIMA-TOF2の特徴を説明します。

リン酸化ペプチドのMS/MS測定ではリン酸基が脱離したイオン(-98Da)が生成しやすく,配列情報を与えるフラグメントイオンの強度が弱いのが一般的ですが,図1(a)ではそれら イオンの生成効率が極めて高いことを示しています。また,“Cold Matrix(フラグメント化しにくい効果を持つ)”として知られるDHBを用いてもCHCAの場合と同じクオリティのMS/MSスペクトルが得られています(図1(b))。

図2では意図的に複雑な混合物を作成し,より現実的な試料でAXIMA-TOF2の性能を試しました。 AXIMA-TOF2の高いプレカーサーイオン選択性を利用して,この混合物中の赤矢印で示したリン酸化ペプチドのMS/MS測定を行いました。

図1 モノリン酸化ペプチド(500 fmol)のMS/MS測定

図2 タンパク質消化物とリン酸化ペプチド混合物のMS測定

(a)マトリックス   CHCA

(b)マトリックス   DHB

Page 2: AXIMA-TOF図1 モノリン酸化ペプチド(500 fmol)のMS/MS測定 図2 タンパク質消化物とリン酸化ペプチド混合物のMS測定 (a)マトリックス CHCA (b)マトリックス

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3219-07607-30ATD

図3 混合物中リン酸化ペプチドのMS/MS測定

図4 リン酸化ペプチド(単品)のMS/MS測定

図3に示すように,混合物中のリン酸化ペプチド50fmolでも同定可能なMS/MSスペクトルを得ることができました。一般に混合物中のペプチドのMS/MS測定は単離精製されたものに比べて著しく感度が低下することが知られています。 そこで図3のスペクトルを図4の単品のものと比較しました。その結果,同じ50fmol同士を比較すると,確かに混合物中からのMS/MSスペクトルの質は単品のそれに比べてやや劣るものの,その程度は意外と少ないことが分かりました。

このようにAXIMA-TOF2はMALDI-TOFが本来持つべき混合物測定に対して極めて有効であり,リン酸化修飾のような測定が困難な試料にも適用可能であることが示されました。