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Azure PaaS を活用しいち早くクラウド サービスの開発に着手 現在ではクラウド会計ソフト市場で 53.1% のシェアを獲得 「弥生会計」をはじめとする各種会計パッケージを提供し、中小企業や個人事業主を中心に、数 多くのユーザーから高く評価され続けている弥生株式会社。同社はクラウド サービスの提供に も積極的に取り組んでおり、クラウド会計ソフト市場でも 53.1% という、高いシェアを獲得して います (2016 5 月、MM 総研調べ) 。同社がクラウド化に向けた開発に着手したのは、まだ Microsoft Azure が登場したばかりの 2009 年。その後、ユーザーにとっての使いやすさを徹底的 に追求しながら、さまざまな製品のクラウド サービス ( 以下、オンライン版 ) をリリースし続けて います。PaaS 機能の積極的な活用によって、運用のコスト削減やスピード向上を実現。DevOps のエッセンスも取り入れ、サポートを意識した開発体制の確立も推進しています。 導入の背景とねらい 中小企業や個人事業主の業務効率化ニーズに対応し続けるため、 2012 年にクラウド ビジネスをスタート 会計や給与計算などの間接業務の処理を、クラウドなどの最新 IT の活用によってさらに効率化し たい。これは人的資源に制約のある中小企業や個人事業主にとって、大企業以上に切実なニーズ だと言えます。このようなニーズに対し、Azure による会計ソフトのクラウド化などによって応え 続けているのが、「弥生会計」で知られている弥生株式会社 ( 以下、弥生) です。 同社は中小企業や個人事業主、起業家向けに「弥生会計」や「やよいの青色申告」をはじめとする 業務ソフトウェアを提供。登録ユーザー数は現在 140 万を超えており、17 年連続でシェア No.1 を達成しています。共有・共生・共創の力を活かし、顧客の事業の立上げと発展の過程で生まれ るあらゆるニーズにお応えする「事業コンシェルジュ」になることを目指し、事業を展開しています。 会計ソフトのクラウド化も、早い時期から積極的に推進。2012 7 月に「やよいの店舗経営 ンライン」を Azure 上でリリースしたのを皮切りに、2014 1 月に「やよいの白色申告 オンライ ン」、2014 10 月に「やよいの青色申告 オンライン」、2015 7 月に「弥生会計 オンライン」 の提供を開始しています。また 2015 12 月には、オンライン版とデスクトップ版を連携させる YAYOI SMART CONNECT」を発表。2017 1 月には「やよいの給与明細 オンライン」もリリー スしています。 「当社のクラウド ビジネスは、おかげさまで順調に伸びています」と語るのは、弥生株式会社 マー ケティング本部 マーケティング部 部長 ビジネス戦略チーム シニアマネジャーの吉岡 伸晃 氏。 たとえば「白色申告 オンライン」は、2015 8 月に約 32,000 ユーザーでしたが、その 1 年後に 53,000 ユーザーを超えたと言います。「この増加分のほとんどは新規のお客様です。また MM 総研が 2016 5 月に発表した「クラウド会計ソフトの利用状況調査 (2016 3 月末 ) 」によれば、 当社がクラウド会計ソフトで 53.1% のシェアを獲得しています」。 同社がこれだけ高い競争力を持っている理由は、「かんたん」「あんしん」「たよれる」を徹底的に 追求してきたからだと言えます。弥生のソフトウェアはだれでも使いこなせるようになっており、 外部からのデータ取り込みも容易。また税制お よび法令改正にもしっかり対応しており、業界最 大規模のカスタマー センターで、専門スタッフ が製品の導入から日々の運用まで、きめ細かく サポートしています。さらに、いつでも経営状態 がわかるグラフ/ レポート機能や、経営を支援す るサービスを提供しており、7,000 以上の税理士 や会計事務所とパートナーシップを結んでいるた め、相談先も数多く存在します。 ソリューション概要 ○プロファイル 弥生株式会社は 1978 年に設立された、「弥生会 計」や「やよいの青色申告」をはじめとする業務 ソフトウェアを提供する、会計ソフトの老舗ベン ダーです。登録ユーザー数は現在 140 万を超え ており、17 年連続でシェア No.1 を達成。クラ ウドにも力を入れており、株式会社 MM 総研が 2016 5 月に発表した『クラウド会計ソフトの 利用状況調査 (2016 3 月末) 』によれば、クラ ウド会計ソフトで 53.1% のシェアを獲得していま す。 ○導入製品とサービス Microsoft ® Azure ® ○導入メリット インフラの設計/ 管理が不要になるため、日常 的な単純作業も減り、コスト削減やスピード感 アップにつながった。 スケール アウトやスケール インが行いやすく、 顧客増や負荷の季節変動にも対応しやすくなっ た。 どんな相談にもマイクロソフトが真摯に応えて くれるのも大きな魅力。 ○ユーザー コメント 「当社の目標は製品をリリースすることではなく、 その安定稼働とお客様のビジネスへの貢献です。 開発はもちろんのこと、運用に関するアドバイス も気軽にいただけるのは、たいへん助かります」 弥生株式会社 開発本部 情報システム部 部長 杉浦 雅幸 弥生株式会社 弥生株式会社

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Azure の PaaS を活用しいち早くクラウド サービスの開発に着手現在ではクラウド会計ソフト市場で 53.1% のシェアを獲得

「弥生会計」をはじめとする各種会計パッケージを提供し、中小企業や個人事業主を中心に、数多くのユーザーから高く評価され続けている弥生株式会社。同社はクラウド サービスの提供にも積極的に取り組んでおり、クラウド会計ソフト市場でも 53.1% という、高いシェアを獲得しています (2016 年 5 月、MM総研調べ ) 。同社がクラウド化に向けた開発に着手したのは、まだ

Microsoft Azure が登場したばかりの 2009 年。その後、ユーザーにとっての使いやすさを徹底的に追求しながら、さまざまな製品のクラウド サービス (以下、オンライン版 ) をリリースし続けています。PaaS 機能の積極的な活用によって、運用のコスト削減やスピード向上を実現。DevOps

のエッセンスも取り入れ、サポートを意識した開発体制の確立も推進しています。

導入の背景とねらい中小企業や個人事業主の業務効率化ニーズに対応し続けるため、2012 年にクラウド ビジネスをスタート

会計や給与計算などの間接業務の処理を、クラウドなどの最新 IT の活用によってさらに効率化したい。これは人的資源に制約のある中小企業や個人事業主にとって、大企業以上に切実なニーズだと言えます。このようなニーズに対し、Azure による会計ソフトのクラウド化などによって応え続けているのが、「弥生会計」で知られている弥生株式会社 (以下、弥生 ) です。同社は中小企業や個人事業主、起業家向けに「弥生会計」や「やよいの青色申告」をはじめとする業務ソフトウェアを提供。登録ユーザー数は現在 140 万を超えており、17 年連続でシェア No.1

を達成しています。共有・共生・共創の力を活かし、顧客の事業の立上げと発展の過程で生まれるあらゆるニーズにお応えする「事業コンシェルジュ」になることを目指し、事業を展開しています。会計ソフトのクラウド化も、早い時期から積極的に推進。2012 年 7 月に「やよいの店舗経営 オンライン」を Azure 上でリリースしたのを皮切りに、2014 年 1 月に「やよいの白色申告 オンライン」、2014 年 10 月に「やよいの青色申告 オンライン」、2015 年 7 月に「弥生会計 オンライン」の提供を開始しています。また 2015 年 12 月には、オンライン版とデスクトップ版を連携させる「YAYOI SMART CONNECT」を発表。2017 年 1 月には「やよいの給与明細 オンライン」もリリースしています。「当社のクラウド ビジネスは、おかげさまで順調に伸びています」と語るのは、弥生株式会社 マーケティング本部 マーケティング部 部長 兼 ビジネス戦略チーム シニアマネジャーの吉岡 伸晃 氏。たとえば「白色申告 オンライン」は、2015 年 8 月に約 32,000 ユーザーでしたが、その 1 年後には 53,000 ユーザーを超えたと言います。「この増加分のほとんどは新規のお客様です。また MM

総研が 2016 年 5 月に発表した「クラウド会計ソフトの利用状況調査 (2016 年 3 月末 )」によれば、当社がクラウド会計ソフトで 53.1% のシェアを獲得しています」。同社がこれだけ高い競争力を持っている理由は、「かんたん」「あんしん」「たよれる」を徹底的に追求してきたからだと言えます。弥生のソフトウェアはだれでも使いこなせるようになっており、外部からのデータ取り込みも容易。また税制および法令改正にもしっかり対応しており、業界最大規模のカスタマー センターで、専門スタッフが製品の導入から日々の運用まで、きめ細かくサポートしています。さらに、いつでも経営状態がわかるグラフ/レポート機能や、経営を支援するサービスを提供しており、7,000 以上の税理士や会計事務所とパートナーシップを結んでいるため、相談先も数多く存在します。

ソリューション概要

○プロファイル弥生株式会社は 1978 年に設立された、「弥生会計」や「やよいの青色申告」をはじめとする業務ソフトウェアを提供する、会計ソフトの老舗ベンダーです。登録ユーザー数は現在 140 万を超えており、17 年連続でシェア No.1 を達成。クラウドにも力を入れており、株式会社MM総研が 2016 年 5 月に発表した『クラウド会計ソフトの利用状況調査 (2016 年 3 月末 )』によれば、クラウド会計ソフトで 53.1% のシェアを獲得しています。

○導入製品とサービス・ Microsoft® Azure®

○導入メリット・ インフラの設計/管理が不要になるため、日常的な単純作業も減り、コスト削減やスピード感アップにつながった。

・ スケール アウトやスケール インが行いやすく、顧客増や負荷の季節変動にも対応しやすくなった。

・ どんな相談にもマイクロソフトが真摯に応えてくれるのも大きな魅力。

○ユーザー コメント「当社の目標は製品をリリースすることではなく、その安定稼働とお客様のビジネスへの貢献です。開発はもちろんのこと、運用に関するアドバイスも気軽にいただけるのは、たいへん助かります」

弥生株式会社開発本部情報システム部部長杉浦 雅幸 氏

弥生株式会社

弥生株式会社

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弥生株式会社

これらに加え、クラウドとデスクトップの両方を連携でき、会計事務所はデスクトップ、その顧客はクラウドといった使い分けが可能なことも、大きな特長です。「このようなことができる会計ソフトは、他にはないと思います」 (吉岡 氏 ) 。

導入の経緯クラウド サービス (オンライン版) 開発に着手したのは 2009 年、 デスクトップ版との融合を目指し Azure を採用

弥生がオンライン版の開発に着手したのは 2009 年。「まだ Azure が出始めたばかりの時期でした」と振り返るのは、弥生株式会社 開発本部

システム開発部 シニアテクニカルリーダーの黒木 進矢 氏です。それではなぜ会計ソフトのクラウド化を、登場したばかりの Azure で行おうと考えたのでしょうか。黒木 氏はその理由を次のように説明します。「当社のソフトウェアはデータを RDB (リレーショナル データベース ) に格納していたのですが、当時は RDB が使えるクラウドが、主要なクラウド プロバイダーの中では Azure しかありませんでした。また開発環境と

して当社は Microsoft® Visual Studio® を使っており、これとの親和性が高いことも大きな理由です。オンライン版も Visual Studio で開発できれば、デスクトップ版と同様のデバッグ機能が使えるため、高い開発効率を実現できます。.NET に慣れた当社の技術者にとっても、使いやすいはずだと考えました」。また吉岡 氏は「当社はオンライン版とデスクトップ版の融合を目指しているため、マイクロソフト プラットフォームの親和性の高さは特に重要でした」と指摘。Azure であれば、デスクトップ上のアプリケーションとの連携はもちろんのこと、一貫性のある使用感も実現できると言います。「当初は社内でクラウド サービスのサイトを立ち上げることも検討していました」と語るのは、弥生株式会社 開発本部 システム開発部 シニアプロジェクトマネジャーの山田 達也 氏。しかし、これからはパブリック クラウドの活用を積極的に行うべきではないかと判断。その技術的なノウハウを蓄積するためにも、最終的に Azure を使うことを決定したのだと説明します。弥生でのオンライン版開発で注目したいのは、既存のデスクトップ版をベースにしているわけではないということです。たとえば「白色申告 オン

弥生株式会社マーケティング本部マーケティング部 部長兼 ビジネス戦略チーム シニアマネジャー吉岡 伸晃 氏

弥生株式会社開発本部情報システム部部長杉浦 雅幸 氏

弥生株式会社開発本部システム開発部シニアプロジェクトマネジャー山田 達也 氏

弥生株式会社開発本部システム開発部シニアテクニカルリーダー黒木 進矢 氏

旧かんたん取引入力の画面例 新かんたん取引入力の画面例

「かんたん取引入力」の画面例オンライン版ではライト ユーザーでも簡単に使えるよう、タグによるグルーピングが導入されました。この画面構成は後に、デスクトップ版にも採用されています。

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弥生株式会社

ライン」は、より簡単に使えるアプリケーションにしたいという想いから、仕様レベルから見直したうえで開発を実施。「青色申告 オンライン」はこの「白色申告 オンライン」をベースに開発されており、さらに「弥生会計

オンライン」もこれらをベースにしているのです。このような開発方法を採用した理由について、「デスクトップ版とオンライン版では位置付けが異なるからです」と語るのは、弥生株式会社 開発本部 情報システム部 部長の杉浦 雅幸 氏。デスクトップ版は熟練者向け、オンライン版はライト ユーザー向けという位置付けを、明確に打ち出しているのです。その一方で、共通している機能に関しては、オンライン版からデスクトップ版へのフィードバックも行っていると説明。その代表例が「かんたん取引入力」だと言います。「以前のデスクトップ版では入力順序に制約があり、入力された内容の確認も仕分画面に切り替えて行う必要がありました。これに対してオンライン版では、入力項目をタグでグルーピングして順序を問わない仕様にし、入力内容の確認も同じ画面で行えるようにしています。この変更で圧倒的に使いやすくなったため、デスクトップ版にも反映した結果、お客様の満足度も高まりました」 (杉浦 氏 ) 。このような取り組みを行っているのは、ユーザーにとっての使いやすさを徹底的に追求するためです。ソフトウェアの開発体制も、開発部門だけではなくマーケティング本部や顧客サービス本部 (カスタマーセンター ) のメンバーも参画することで、顧客の声を反映しやすいようにして

いるのだと言います。

導入効果運用のコスト削減やスピード向上を実現、マイクロソフトの真摯な対応も大きな魅力

2009 年にはまだ Azure で VM (仮想マシン) が提供されていなかったこともあり、弥生では当初から PaaS として活用。現在も一部を除き、PaaS として利用しています。黒木 氏は具体的な機能名として、Azure

Cloud Services、Azure SQL Database、Azure Storage などを挙げます。それでは長年にわたって使い続けている Azure を、弥生はどのように評価しているのでしょうか。まず「Azure はインフラの設計と管理が不要になるため、日常的な単純作業も減り、コスト削減やスピード感アップにつながっています」と言うのは山田 氏。社内向けシステムや顧客向けの「マイページ」はオンプレミスで運用していますが、インフラの設計や運用に大きな負担がかかっており、この負担が不要になるのは大きいと説明します。また「スケール アウトやスケール インが行いやすい」ことも、利点の 1

つだと指摘。オンライン版ではお客様の数に応じてインスタンスを増やしており、データベース容量も毎月増えているので、この機能を頻繁に利用していると言います。

システム構成図

ゲートウェイ

負荷分散装置

ユーザー

SSLによるセキュアな通信

同一データセンター内で3重化

ストレージ

Azure Cloud Services

Azure SQL Database

Azure Storage

Web/Appサーバー

Microsoft Azure の構成と可用性

ゲートウェイ

ゲートウェイ

同一データセンター内で3重化

同一データセンター内で3重化

ストレージ(地理冗長)

DBサーバー

障害発生時平常時

インターネット

弥生ドライブ

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弥生株式会社

導入についてのお問い合わせ本ケース スタディは、インターネット上でも参照できます。https://www.microsoft.com/ja-jp/casestudies/本ケース スタディに記載された情報は制作当時 (2017 年 5 月 ) のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。本ケース スタディは情報提供のみを目的としています。Microsoft は、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。製品に関するお問い合わせは次のインフォメーションをご利用ください。■インターネット ホームページ https://www.microsoft.com/ja-jp/■マイクロソフト カスタマー インフォメーションセンター 0120-41-6755(9:00 ~ 17:30 土日祝日、弊社指定休業日を除く )※電話番号のおかけ間違いにご注意ください。*Microsoft、Azure、office 365、Visual Studio は、米国 Microsoft Corporation の、米国およびその他の国における登録商標または商標です。*その他記載されている、会社名、製品名、ロゴ等は、各社の登録商標または商標です。*製品の仕様は、予告なく変更することがあります。予めご了承ください。

〒108-0075 東京都港区港南 2-16-3 品川グランドセントラルタワー

これによって負荷の季節変動にも対応しやすくなっています。特に確定申告の時期にはアクセスが一気に増えますが、こちらへの対応も容易です。「今年は『給与明細 オンライン』をリリースしたので、年末調整の時期にも負荷が増大するはずです」というのは杉浦 氏。ここでもスケールのしやすさは、大きなメリットになるはずだと語ります。これに加え、弥生ではパッケージ提供の時代からプレミア サポートを契約しており、どんな相談にもマイクロソフトが真摯に対応してくれる点も、Azure 採用の大きな魅力だと言います。「少し前に高負荷対策の相談をさせていただきましたが、マイクロソフトのアドバイスによって、3 ~ 4 倍の負荷に対応できるようになりました」と黒木 氏。これを自力で解決するのはたいへんだったはずだと振り返ります。また山田 氏も「夜間に対応していただくことも少なくありません。マイクロソフトは海外拠点も活用し、24 時間体制のサポートを提供しています」と語ります。「当社の目標は製品をリリースすることではなく、その安定稼働とお客様のビジネスへの貢献です。開発はもちろんのこと、運用に関するアドバイスも気軽にいただけるのは、たいへん助かります」 (杉浦 氏 )。

今後の展望「業務 3.0」というキーワードでさらなる業務効率化を支援、DevOps を取り入れた「サポートと連携する開発体制」の確立も推進

弥生は現在「業務 3.0」というキーワードの下、中小企業や個人事業主のさらなる業務効率化を推進しています。その一例が冒頭で紹介した「YAYOI

SMART CONNECT」であり、これによって手入力の自動化を強化しています。

またクラウド請求管理サービスを提供する株式会社Misoca の全株式を

2016 年 2 月に取得しており、売り手と買い手をつなぐ商取引プラットフォームの確立も目指しています。このような取り組みによってクラウドとデスクトップの融合をさらに進め、業務全体の効率化を実現していく計画です。開発面では、マーケティングやカスタマー センター、QA (品質保証 ) チームも参画する体制を確立し、DevOps のエッセンスも組み込んでいます。これによってサポートを意識した開発を、さらに推進していくことを目指しているのです。その一環として、リリースによって発生する問い合わせを予測し、顧客サービス本部 (カスタマーセンター ) と事前に共有するといった取り組みも行っています。またリリース サイクルの短期化も推進。デスクトップ版では毎年 1 回のメジャー バージョン アップと年数回の細かいバージョン アップを行っていますが、オンライン版では月 1 回、もしくはそれ以上の頻度でリリースを行うようにしていると言います。採用技術に関しては、マイクロソフト テクノロジーに加え、オープンソースにも積極的に取り組んでいく予定です。またデスクトップ版に関しては、Visual Studio に無償で同梱されている Xamarin によって、クロス

プラットフォームに対応させることも検討しています。Azure の AI 系サービスの活用も視野に入っており、コール センターでの感情分析やテキスト マイニングなどに活かすことも視野に入っています。「DevOps で高品質なものを迅速にリリースできれば、手戻りが少なくなり、開発業務の効率も上がります」と杉浦 氏。これはワーク ライフ

バランスの改善にもつながると言います。その効果をさらに高めるため、Microsoft® Office 365® の導入も検討されています。「これによってワーク スタイル変革にも、段階的に取り組んでいきたいと考えています」。

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