behavior of tip leakage flow in ultra-highly loaded …turbine cascade (uhltc) with high turning...

6
22 法政大学情報メディア教育研究センター研究報告 Vol.32 2018 原稿受付 2018 3 16 発行 2018 6 1 Copyright © 2018 Hosei University 超高負荷軸流タービン直線翼列内の翼端漏れ流れの挙動 -翼端間隙高さの影響- Behavior of Tip Leakage Flow in Ultra-highly Loaded Axial Turbine Linear Cascade -Influence of Tip Clearance Size- 辻田 星歩 1) 金子 雅直 2) Hoshio Tsujita and Masanao Kaneko 1) 法政大学理工学部機械工学科 2) 東京電機大学理工学部電子・機械工学系 In this study, the computations were performed for the flows in an ultra-highly loaded turbine cascade (UHLTC) with high turning angle of 160 degrees in order to clarify the effects of the tip clearance size on the behavior of tip leakage flow and the associated loss generation. The computed results clarified that the loss caused by the tip leakage vortex was higher than those by the horseshoe vortex and the passage vortex. The increase of tip clearance size enhanced the separation of the leakage vortex from the blade suction surface, and consequently decreased the expansion ratio by the decrease of the cascade outlet flow angle. Keywords : Turbomachinery, Axial turbine, Ultra-highly loading, Tip leakage flow, CFD 1. はじめに 地球温暖化や化石燃料の枯渇に対する危機意識が 高まる中で,電力供給源として再生可能エネルギー が注目を浴びているが,安定供給を維持するには火 力発電システムに頼わらざるを得ない.したがって, そのシステムの中核を担うガスタービンの効率向上 が,環境負荷低減のために急務とされている.また, 航空用ガスタービンにおいても,燃費の向上を図る 上でその軽量化は重要な課題であり,さらに,近年 のターボファンエンジンの高バイパス比化に伴い, コアエンジン部の小型高出力化が要求されている. ガスタービンを構成するタービン翼の高負荷化は, 翼枚数および段数の削減により,その小型軽量化を 可能にする.タービン翼の高負荷化を図る設計方法 の一つに翼転向角の増加があるが,特に二次流れの 増強による損失増加を引き起こす.したがって,性 能劣化を極力抑えた実用レベルの高負荷タービン翼 を開発するには,高負荷化がタービン翼列内部流れ に与える影響の詳細を調査し,得られた知見を基に 二次流れ増強の抑制策を講じる必要がある. 著者らは高転向角を有する超高負荷タービン直線 翼列(UHLTC)に対して,高負荷化に伴う流路渦や 馬蹄形渦の増強に起因する二次損失は総損失の 40% に達し,さらに入射角の増加に伴いその割合は上昇 することを明らかにしている[1][3].タービン翼列 内で生じる二次流れの中で,流路渦と並んで二次損 失の生成に大きな影響を与える渦は翼端漏れ渦であ る.これは回転する動翼の先端と静止しているケー シング壁の隙間を通過する,翼圧力面から負圧面へ

Upload: others

Post on 06-Jul-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: Behavior of Tip Leakage Flow in Ultra-highly Loaded …turbine cascade (UHLTC) with high turning angle of 160 degrees in order to clarify the effects of the tip clearance size on the

22 法政大学情報メディア教育研究センター研究報告 Vol.32 2018 年

原稿受付 2018 年 3 月 16 日 発行 2018 年 6 月 1 日 Copyright © 2018 Hosei University

超高負荷軸流タービン直線翼列内の翼端漏れ流れの挙動

-翼端間隙高さの影響-

Behavior of Tip Leakage Flow in Ultra-highly Loaded Axial

Turbine Linear Cascade

-Influence of Tip Clearance Size-

辻田 星歩1) 金子 雅直2)

Hoshio Tsujita and Masanao Kaneko

1)法政大学理工学部機械工学科 2)東京電機大学理工学部電子・機械工学系

In this s tudy, the computat ions were per formed for the flo ws in an ul tra -highly loaded turbine cascade (UHLTC) wi th high turning angle o f 160 degrees in o rder to clar i fy the e ffects o f the t ip c learance size on the behavior o f t ip leakage flo w and the associated loss genera t ion. The computed results clarified that the loss caused by the tip leakage vortex was higher than those by the horseshoe vortex and the passage vortex. The increase of tip clearance size enhanced the separation of the leakage vortex from the blade suction surface, and consequently decreased the expansion ratio by the decrease of the cascade outlet flow angle.

Keywords : Turbomachinery, Axial turbine, Ultra-highly loading, Tip leakage flow, CFD

1. はじめに

地球温暖化や化石燃料の枯渇に対する危機意識が

高まる中で,電力供給源として再生可能エネルギー

が注目を浴びているが,安定供給を維持するには火

力発電システムに頼わらざるを得ない.したがって,

そのシステムの中核を担うガスタービンの効率向上

が,環境負荷低減のために急務とされている.また,

航空用ガスタービンにおいても,燃費の向上を図る

上でその軽量化は重要な課題であり,さらに,近年

のターボファンエンジンの高バイパス比化に伴い,

コアエンジン部の小型高出力化が要求されている. ガスタービンを構成するタービン翼の高負荷化は,

翼枚数および段数の削減により,その小型軽量化を

可能にする.タービン翼の高負荷化を図る設計方法

の一つに翼転向角の増加があるが,特に二次流れの

増強による損失増加を引き起こす.したがって,性

能劣化を極力抑えた実用レベルの高負荷タービン翼

を開発するには,高負荷化がタービン翼列内部流れ

に与える影響の詳細を調査し,得られた知見を基に

二次流れ増強の抑制策を講じる必要がある. 著者らは高転向角を有する超高負荷タービン直線

翼列(UHLTC)に対して,高負荷化に伴う流路渦や

馬蹄形渦の増強に起因する二次損失は総損失の 40%に達し,さらに入射角の増加に伴いその割合は上昇

することを明らかにしている[1]~[3].タービン翼列

内で生じる二次流れの中で,流路渦と並んで二次損

失の生成に大きな影響を与える渦は翼端漏れ渦であ

る.これは回転する動翼の先端と静止しているケー

シング壁の隙間を通過する,翼圧力面から負圧面へ

Page 2: Behavior of Tip Leakage Flow in Ultra-highly Loaded …turbine cascade (UHLTC) with high turning angle of 160 degrees in order to clarify the effects of the tip clearance size on the

23

Copyright © 2018 Hosei University 法政大学情報メディア教育研究センター研究報告 Vol.32

向かう漏れ流れが主流と干渉することにより生じる.

本研究では UHLTC に対して,翼端間隙高さが翼端

漏れ渦の挙動およびそれに起因する損失生成に与え

る影響について,数値解析的手法(CFD)により調査

した. 2. 超高負荷タービン翼列

UHLTCの形状と主な仕様を図 1と表 1にそれぞれ

示す.UHLTC は低アスペクト比,高ピッチ/コード

比で,転向角は 160°であり,段負荷係数は転向角

が 110°程度の従来型の翼に比べて理論上約 3.5 倍

の値を有する. 3. 数値解析法 3.1 計算方法 本研究では,法政大学情報メディア教育研究セン

ターの汎用 CFD コード STAR-CD Ver.4.18 を用いて,

定常非圧縮性流れを仮定して UHLTC 内の流れの解

析を行った.乱流モデルには,壁面境界条件に壁法

則を適用する高レイノルズ数型の標準の k-εモデル

を用いた.全体の計算アルゴリズムには SIMPLE 法

を,対流項の評価には MARS 法を用いた.収束判定

条件は,全ての支配方程式の残差が 1.0×10-5 以下に

達した場合とした. 3.2 解析条件および境界条件 本研究においては,翼列流路高さ H に対する翼端

間隙高さδの比の百分率(%)で定義される間隙高さ比

TCL をパラメータとして,それを 1.0~3.0 まで 0.2刻みで変化させて解析を行った(図 1).入口境界と出

口境界はそれぞれ,翼列上流 Z/Cax=-1.2 と下流

Z/Cax=2.5 に設定した.ここで,Z/Cax は図 1 に示すよ

うに翼前縁を原点とし翼後縁を 1.0 とする軸方向無

次元距離である.入口境界条件として入口境界断面

において,全ての TCL に対して流入角α=80°の方向

に流速 35.0m/s を与えた.翼列ピッチ方向の解析領

域は 1 翼間分とし,そのピッチ方向境界面には周期

境界条件を課した.出口境界には連続の式を満足す

る自然流出条件を適用した.翼列下流 Z/Cax=1.5 での

断面質量平均速度と翼弦長Cに基づくReynolds数は

全ての TCL 条件に対して約 2.6×105 である. 本解析で用いた計算格子を図 2 に示す.H 型の構

造格子により形成し,総セル数は約 250 万である.

翼端間隙内のスパン方向のセル数は,翼端間隙を挟

む固体壁面の第一格子点に対して壁法則を適用でき

る無次元距離 y+>30 の条件を満足することを考慮し

て,TCL=1%に対しては 5 セルを配置し,さらに TCLが 0.2%増加する毎に 1 セル増やし,TCL=2%では 10セル,3%では 15 セルを配置した.

図.1 超高負荷軸流タービン翼列 Fig.1 Ultra-highly loaded axial turbine cascade

表 1 翼列仕様 Table 1 Specification of cascade

Chord length C (mm) 80.0 Axial chord length Cax(mm) 68.5 Aspect ratio H/C 1.25 Pitch-chord ratio S/C 1.43 Maximum thickness-chord ratio tmax/C 1.16 Leading edge metal angle β1(degree) 80.0 Trailing edge metal angle β2(degree) 80.0

図.2 計算格子 Fig.2 Computational grid

Pressure Surface (PS)

Suction Surface (SS)

Pressure Surface (PS)

Suction Surface (SS)

Leading Edge (LE)

Trailing Edge (TE)

Blade tip surface

Inlet boundary

Outlet boundary

Periodic boundary

Periodic boundary

Page 3: Behavior of Tip Leakage Flow in Ultra-highly Loaded …turbine cascade (UHLTC) with high turning angle of 160 degrees in order to clarify the effects of the tip clearance size on the

24

Copyright © 2018 Hosei University 法政大学情報メディア教育研究センター研究報告 Vol.32

4.結果および考察 4.1 翼端間隙の影響 翼端間隙の存在が翼列内の流れの挙動および損失

生成に与える影響を調べるために,翼端間隙無しの

TCL=0.0%と最小間隙サイズの TCL=1.0%の結果を比

較し考察する. 全圧損失係数 Cpt の断面質量平均値で定義される

総損失係数 Cpttの流路方向分布を図 3 に示す.Cpt は

次式で定義した.

(1) ここで,ptref は翼列上流 Z/Cax=-0.5 における断面質量

平均全圧,Vout は翼列下流 Z/Cax=1.5 での断面質量平

均流速である.図 4 には,図 1 に定義を示す翼列軸

方向に対する流れ角であるヨー角θy の断面質量平均

値θym の流路方向分布を示す.また,図 5 に断面質量

平均流速Vmの流路方向分布を示す.図 6と図 7には,

1 ピッチ分の軸方向に垂直な断面内の間隙無しの

TCL=0.0%と間隙有りの 1.0%の場合の,全圧損失 Cpt

の値で色付けした二次流れ流線をそれぞれ示す.ま

た,図 8 と図 9 に TCL=1.0%の場合の翼端面と翼負

圧面付近の漏れ流れと漏れ渦の流線の様子を示す. 図 3 から,TCL=1.0%の方が 0.0%に比べて,総損

失 Cptt が入口付近で既に高くなっていることが分か

る.これは図 6(a)と 7(a)の比較から翼端(Tip)側では,

前縁で分岐した負圧面側の馬蹄形渦 VHp が,漏れ流

れの翼圧力面(PS)からの間隙内への流入により減衰

しているが,間隙内の漏れ流れの損失が比較的高く

なっているためと考えられる.翼間内の下流に向か

って TCL=1.0%の方が,損失がさらに高くなりその

差を増している.これは図 6(b)(c)と 7(b)(c)の比較か

ら,翼間下流側では Tip 側に漏れ渦 VLが発生してお

り,その中心付近の損失が高くなっていることから,

VLの発生に起因するものであることが分かる.図 7と 8 および 9 からこの VLは,翼圧力面と負圧面前半

部から間隙内に流入した漏れ流れが,負圧面後半部

から翼間流路に流出する際に主流と干渉することに

より発生していることが分かる.また,図 4 と 9 か

らこの漏れ流れの発生は翼間後半部以降においてヨ

ー角θymを TCL=0.0%の場合より低下させ,流れ角の

アンダーターン傾向を強めている.その結果,同領

域付近の流速Vmが低下していることが図5から分か

る.直線翼列の翼間出口流速の低下は,回転する動

翼における相対流出速度の低下に対応するため,翼

列性能を低下させる膨張率の減少を招く.図 7 と 8および 9 から,漏れ渦 VLは下流へ向かってその径

を増し,翼列下流において Tip 側に高損失領域を広

範囲に分布させることが分かる.図 6 と 7 の比較か

ら,漏れ渦 VLに起因する損失は馬蹄形渦 VHpや流路

渦 VPに比べて非常に高いことが分かる.したがって,

UHLTC の実用化に向けた開発においては,漏れ渦の

抑制技術の適用が不可欠である.

)2//()( 2outttrefpt VppC ρ−= 図.3 総損失係数の流路方向分布

Fig.3 Streamwise distribution of total loss

図.5 断面質量平均流速の流路方向分布 Fig.5 Streamwise distribution of mass-averaged

velocity over cross section

図.4 断面質量平均ヨー角の流路方向分布 Fig.4 Streamwise distribution of mass-averaged

yaw angle over cross section

Page 4: Behavior of Tip Leakage Flow in Ultra-highly Loaded …turbine cascade (UHLTC) with high turning angle of 160 degrees in order to clarify the effects of the tip clearance size on the

25

Copyright © 2018 Hosei University 法政大学情報メディア教育研究センター研究報告 Vol.32

4.2 翼端間隙高さ(TCL)の影響 図 10 と図 11 に,1 ピッチ分の断面内の TCL=2.0%

と 3.0%の場合の全圧損失 Cpt の値で色付けした二次

流れ流線をそれぞれ示す.図 12 には各軸方向位置

Z/Cax における漏れ損失∆Cptt と間隙高さ TCL の関係

を示す.ここで,∆Cptt は漏れ流れが発生する各 TCLの Cpttから漏れ流れが生じない TCL=0.0%の Cpttを差

引いた値として定義した.また,図 13 に TCL=2.0%と 3.0%の場合の翼端面付近の漏れ流れと漏れ渦の

流線を示す. 図 3 から,TCL の増加と共に総損失 Cptt が増加し

ている.これは図 7 と 10 および 11 の比較から,TCLの増加による漏れ流れの増加と共に,漏れ渦 VLがそ

の径を増し増強しているためである.図 12 に示す漏

れ損失∆Cptt の TCL に対する増加傾向に着目すると,

翼間内ではほぼ線形的に増加し,下流へ向かうに従

ってその勾配が増していることが分かる.翼間出口

では,その線形性が低下し TCL=2.0%付近を境に勾

配が局所的に増加している.図 13(a)は翼転向部付近

から発生した VL は下流へ向かって負圧面から徐々

に離脱し,その離脱点から下流では負圧面から翼間

に流出する漏れ流れが再び第二の VL を形成するこ

とを示唆している.この現象が勾配を局所的に増加

させた原因と考えられる.翼列下流では再び∆Cpttと

(a) Z/Cax=0.3 (b) Z/Cax=0.8 (c) Z/Cax=0.9 (d) Z/Cax=1.1 図.6 二次流れ流線と全圧損失(TCL=0.0%)

Fig.6 Secondary flow streamline colored with total pressure loss on cross-sections (TCL=0.0%)

(a) Z/Cax=0.3 (b) Z/Cax=0.8 (c) Z/Cax=0.9 (d) Z/Cax=1.1 図.7 二次流れ流線と全圧損失(TCL=1.0%)

Fig.7 Secondary flow streamline colored with total pressure loss on cross-sections (TCL=1.0%)

図.8 翼端間隙漏れ流れと漏れ渦の挙動(TCL=1.0%) Fig.8 Behaviors of tip leakage flow and leakage

vortex(TCL=1.0%)

図.9 翼端面近傍の漏れ流れの挙動(TCL=1.0%) Fig.9 Behavior of tip leakage flow near blade tip surface(TCL=1.0%)

PS SS

PS SS

VHp

VHp

VP

VP

VP

VL VL

VP

VL

VL

VL

Page 5: Behavior of Tip Leakage Flow in Ultra-highly Loaded …turbine cascade (UHLTC) with high turning angle of 160 degrees in order to clarify the effects of the tip clearance size on the

26

Copyright © 2018 Hosei University 法政大学情報メディア教育研究センター研究報告 Vol.32

TCL 間の線形関係が回復傾向を示している.したが

って図 9 と 13 の比較から,TCL の増加に伴う漏れ流

れの増強は VLの負圧面からの離脱距離を増加させ,

その離脱点下流の翼負圧面から再び複数の VL の生

成を引き起こすと考えられる.また,この TCL の増

加に伴う離脱距離の増加に伴い図 4 においてヨー角

θym が低下し,流れ角のアンダーターン傾向をさらに

強めている.その結果,図 5 から流速 Vmが減少し,

膨張率が低下していることが分かる.

(a) Z/Cax=0.3 (b) Z/Cax=0.8 (c) Z/Cax=0.9 (d) Z/Cax=1.1 図.10 二次流れ流線と全圧損失(TCL=2.0%)

Fig.10 Secondary flow streamline colored with total pressure loss on cross-sections (TCL=2.0%)

(a) Z/Cax=0.3 (b) Z/Cax=0.8 (c) Z/Cax=0.9 (d) Z/Cax=1.1 図.11 二次流れ流線と全圧損失(TCL=3.0%)

Fig.11 Secondary flow streamline colored with total pressure loss on cross-sections (TCL=3.0%)

図.13 翼端面近傍の漏れ流れの挙動 Fig.13 Behavior of tip leakage flow

near blade tip surface

図.12 漏れ損失の TCL による影響 Fig.12 Influence of TCL on tip leakage loss

(a) TCL=2.0%

(b) TCL=3.0%

PS SS

PS SS

VHp

VHp

VL VL

VL

VL

VL

VL

VP

VP

VP

VP

Primary VL

Secondary VL

Page 6: Behavior of Tip Leakage Flow in Ultra-highly Loaded …turbine cascade (UHLTC) with high turning angle of 160 degrees in order to clarify the effects of the tip clearance size on the

27

Copyright © 2018 Hosei University 法政大学情報メディア教育研究センター研究報告 Vol.32

5.結論 超高負荷タービン直線翼列を対象とした本研究に

より以下の結論を得た. (1) 漏れ渦に起因する損失は馬蹄形渦や流路渦に比

べて高いことから,漏れ渦の抑制技術の適用が不可

欠である. (2) 翼端間隙高さの増加に伴う漏れ渦の翼負圧面か

らの離脱距離の増加は,翼列出口での流れ角のアン

ダーターン傾向を強め,その結果,膨張率を低下さ

せる. (3) 翼端間隙高さの増加に伴う漏れ流れの増強は,

漏れ渦の負圧面からの離脱距離を増加させ,その離

脱点下流の翼負圧面から再び複数の漏れ渦の生成を

引き起こすと考えられる.

参考文献 [1] 辻田星歩, 水木新平,山本孝正, “超高負荷タービ

ン翼列内の流れの数値解析”, 日本機械学会論文

集 B 編, Vol.70, No.697 (2004), pp.2332- 2340. [2] Tsujita, H., Mizuki, S. and Yamamoto, A.,

“Numerical Investigation of Effects of Incidence Angle on Aerodynamic Performance of Ultra-Highly Loaded Turbine Cascade,” Proceedings of ASME Turbo Expo 2006, GT2006-90939 (2006).

[3] Tsujita, H., “Influence of Blade Profile on Secondary Flow in Ultra-Highly Loaded Turbine Cascades at Off-Design Incidence,” Proceedings of ASME Turbo Expo 2013, GT2013-95150, (2013).