briefing shiraho web2020 0714...3 1. アースウォッチ・ジャパンからのメッセージ...

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アースウォッチ・ジャパン 調査プログラム解説書 2020 ⽯垣島⽩保のサンゴ礁調査 ⾚⼟堆積量と流出対策の⻑期モニタリングとサンゴ礁⽂化の体験 上村 真仁 筑紫⼥学園⼤学現代社会学部現代社会学科環境共⽣社会コース 教授 現地調査⽇︓9 ⽉ 17 ⽇(⽊)- 20 ⽇(⽇)三泊四⽇ 募集⼈数 ︓6 認定特定⾮営利活動法⼈ アースウォッチ・ジャパン 〒113-8657 東京都⽂京区弥⽣ 1-1-1 東京⼤学⼤学院農学⽣命科学研究科 フードサイエンス棟 4階 Tel. 03-6686-0300 Fax 03-6686-0477 e-mail: [email protected] URL: http://www.earthwatch.jp WEB 版

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アースウォッチ・ジャパン

調査プログラム解説書 2020

⽯垣島⽩保のサンゴ礁調査 ⾚⼟堆積量と流出対策の⻑期モニタリングとサンゴ礁⽂化の体験

上村 真仁 筑紫⼥学園⼤学現代社会学部現代社会学科環境共⽣社会コース 教授

現地調査⽇︓9 ⽉ 17 ⽇(⽊)- 20 ⽇(⽇)三泊四⽇

募集⼈数 ︓6 ⼈

認定特定⾮営利活動法⼈ アースウォッチ・ジャパン 〒113-8657 東京都⽂京区弥⽣ 1-1-1

東京⼤学⼤学院農学⽣命科学研究科 フードサイエンス棟 4階 Tel. 03-6686-0300 Fax 03-6686-0477

e-mail: [email protected] URL: http://www.earthwatch.jp

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目次 1. アースウォッチ・ジャパンからのメッセージ ........................................................................... 3

2. 主任研究者からのメッセージ ..................................................................................................... 3

3. 集合・解散時刻及び場所、交通案内 .......................................................................................... 4

4. 宿泊、⾷事 ................................................................................................................................. 4

5. 持参装備品 ................................................................................................................................. 5

6. スケジュール .............................................................................................................................. 7

7. 調査地について .......................................................................................................................... 8

8. 調査の⽬的・意義 ....................................................................................................................... 8

9. ボランティアの作業 ................................................................................................................... 8

10. 研究成果の応⽤ .......................................................................................................................... 9

11. 安全確保の為の予定変更について ........................................................................................... 10

12. 医療機関 ................................................................................................................................... 10

13. 調査中の危険や留意点について ............................................................................................... 10

14. 傷害保険 ................................................................................................................................... 11

15. 研究者の紹介 ............................................................................................................................ 11

16. 参考書籍、⽂献、⽤語の説明など ........................................................................................... 11

17. ご協⼒のお願い ........................................................................................................................ 12

18. 情報の取り扱いについて .......................................................................................................... 12

情報の取り扱いについて

・ この調査プログラムから得られる経験や知識、写真、動画などは、参加者の家族や友人、ローカルメディア、

フォーラム等で共有することはできます。(もちろん肖像権などには十分なご配慮をお願いします)

・ しかし、調査の間に収集・共有された全ての情報、特に科学的データやレクチャー時に研究者が使用したスラ

イドなどは、研究者の知的財産となることをご理解ください。

・ 論文への使用や自らの利益、第三者の学問やビジネスへの使用のために、主任研究者の許可なしに、これらの

情報を盗用・公開することを禁止します。

特に調査現地の人たちに取材したデータや、フィールドで収集した科学的なデータは、主任研究者の知的財産

となることを理解し、その扱いには厳重に注意をしてください。

・ 主任研究者は、科学的なデータや特定の研究に関連した情報を共有することに対して制限を加える権利を持っ

ています。もし参加者が学術上有益なデータやその関連情報を使用・公開する場合は、必ず書面で許可を得る

か、アースウォッチを通して主任研究者に確認してください。

・ 希少生物の捕獲を防止するために、撮影した写真を公開する場合には GPS による位置情報を削除するほか、撮

影場所が分かるような情報は公開しないなどのご配慮をお願いします。

・ アースウォッチは、調査プログラムに関連して撮影した写真及び提供いただいた写真の利用についての権限を

有しています。

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1. アースウォッチ・ジャパンからのメッセージ

ボランティアのみなさま

このたびは、アースウォッチ・ジャパンが主催する国内調査プログラムへお申込みいただき、

ありがとうございます。

世界各地の海で、熱帯雨林で、草原で、数多くの研究者が長く、そして地道な調査に取り組んでいま

す。アースウォッチは、このようなフィールドと一般市民をつなぐことによって、自然環境やそこに生

息する生物の変化に対する認識や理解を深め、持続可能な環境を維持するための行動に結びつけるた

めに生まれました。

この「石垣島白保のサンゴ礁調査」は、サンゴ礁に影響を与える赤土の海域への流入を把握し、白保

地域の自然環境の再生・修復・伝統的利用を学んでいただくプログラムです。

短い期間ではありますが、この調査を通して、自然の多様なつながりや自然と人との関わりについ

て実地で学び、そこで得た体験を多くの方と共有していただければ幸いです。

認定特定非営利活動法人アースウォッチ・ジャパン

2. 主任研究者からのメッセージ

石垣島白保集落は、地域コミュニティが主体となったサンゴ礁保全への

取り組みが盛んな地域として知られています。これは、地域の人々と NGO

などの専門家や研究者、そして企業やボランティアの皆さんが対話と実践

を重ねながら作り上げてきた成果です。しかし、刻一刻と変化する地域社

会や環境の変化の中で、将来にわたり豊かなサンゴ礁生態系を存続させて

いくためには、まだまだ充分ではありません。新たな課題に対応しながら

継続的に取り組むことが求められます。

本調査プログラムは、海域、陸域、生活文化の大きく 3つの調査から構

成されています。これらは、多面的な視点からサンゴ礁の保全に関する問

題を捉え、地域において保全活動を継続していくために必要となる知見を

得ることを目的としています。

海域で実施する海底の赤土堆積量調査は、沖縄県衛生環境研究所が開発し、白保サンゴ礁では 2000 年

から実施されてきた方法を用い、ボランティアの皆さんが自ら試料を採取し、計測、データ記録まで行

います。これは、サンゴ礁環境の健全度を知るための指標の一つとして、保全の成果を測り、さらなる

取り組みを進めるために必要なものです。

陸域で実施する調査は、現地での保全活動の柱となっている農地におけるグリーンベルト植栽の生育

状況を測定するもので、これまでにグリーンベルトとして植えられてきたゲットウやイトバショウの状

況を記録します。これまでの5年間の調査から、グリーンベルト植栽の定着傾向が明らかになってお

り、さらなるデータの蓄積により、効果的な赤土対策の立案に活用されることでしょう。

また、生活文化に関する調査は、地元農家との対話を通じて、「サンゴ礁文化」を継承する白保の人

たちの価値観や思いを明らかにすることで、過去から現在に至る白保集落の人々とサンゴ礁の関わりの

中から地域で保全を進めるために配慮すべき事項を明らかにすることができます。農家との対話で得た

「語り」をワークショップで共有し、さらなる考察を深めることで、サンゴ礁と調和のとれた村づくり

を進めるための知見を導き出すことを目指します。

この調査プログラムを白保の人たちや私たちと皆さんが一緒に実施することは、白保の人々とサンゴ

礁が直面する課題を多面的に分析することで、その解決の糸口を見つけ出すことに繋がります。

筑紫女学園大学現代社会学部現代社会学科環境共生社会コース 教授

上村 真仁

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3. 集合・解散時刻及び場所、交通案内

集合︓15:00 WWF サンゴ礁保護研究センター「しらほサンゴ村」 (アクセスは、次ページの「現地拠点」参照)

※集合時の連絡用に、携帯電話番号は必ず事務局までご連絡ください。

※参加者には、当日の緊急連絡先を記入した調査プログラム解説書を別途お送り致します。

交通案内︓⽯垣空港から集合場所までのアクセス(参考)

東運輸路線バス(系統4、10)で⽯垣空港からバス停「⽩保⼩学校前」まで8分 運賃 210 円。

バス停「⽩保⼩学校前」から「しらほサンゴ村」までは、徒歩5分程度。

最新の時刻表は空港の案内所または下記にてご確認ください。

http://www.azumabus.co.jp/localbus/

・タクシーの場合は、5分程度で着きます。

解散︓9/20(⽇)13:00 WWF サンゴ礁保護研究センター「しらほサンゴ村」

4. 宿泊、⾷事

宿泊施設︓ 宿泊施設名 ホテルチューリップ石垣島(夕朝食つき・個室)

宿泊施設の住所 〒907-0011 石垣市八島町 1-3-5

TEL: 0980-83-8060 FAX: 0980-83-8055 https://www.hotel-tulip.jp/information/

※ 備品:バスタオル、ハンドタオル、歯ブラシ・歯磨き粉、リンスインシャンプー、

ボディソープ、洗顔ソープ、パジャマ、羽毛布団、かみそり、シャワーキャップ、綿棒、

くし・ブラシ、スリッパ

※ ホテルでは備品のタオルをお使いいただけますが、海に入るため、ご自分のタオル・バスタオル

をご持参ください。その他、ご自分が必要な備品は全てお持ちください。

※ ホテルの近くにはコンビニ、ドラッグストアがあります。

⾷事と現地で発⽣する費⽤:

食事及び現地で発生する費用は以下のとおりです。

朝 食 昼 食 夕 食 現地で発生する費用

1 日目 ― ― ホテル 飲み物代

2日目 ホテル 弁当 ホテル 昼食代・飲み物代

3日目 ホテル おそばと

おにぎり ホテル 昼食代・飲み物代

4日目 ホテル ― ― 飲み物代

※参加される皆さまへ

出発前に発熱や感染疑いの症状のある方は、参加の中止をお願いします。

さんご村では、入り口で手指消毒液での消毒や手洗いを、また屋内の活動では、必ずマスクの着

用をお願いします。詳細は、現地で研究者の指示に従って行動をしてください。 新型コロナウィルス感染症拡大の状況によっては、調査の中止もございます。その場合、航空券のキャンセル

料等は参加者の負担になることをご了承ください。 万が一、ボランティア活動中に感染・濃厚接触となった場合は、保健所・医療機関の指示に従い対応をします

ので、ご理解ご協力をお願い致します。

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トイレ︓海上での調査時はトイレはございません。陸上での調査では、調査地点の移動途中で、必要に

応じてトイレ休憩を取りますので、お申し出ください。

現地拠点︓ WWFサンゴ礁保護研究センター

「しらほサンゴ村」

〒907-0242 沖縄県石垣市字白保 118

Tel: 080-8553-8848(NPO 夏花)

⽯垣空港へのアクセス(参考) サンゴ村から最寄りのバス停「白保小学校前」までは、徒歩5分程度

石垣島 路線バス:系統4(30分ごと運行) 白保小学校前から石垣空港まで8分 運賃 210円。

5. 持参装備品

以下に典型的な持ち物をご紹介します。これをもとに各自の必要にあわせて持参してください。

シュノーケリングに必要な装備は、貸与しますので、身長・服のサイズ・視力・足のサイズを事前に

事務局にご連絡ください。持ち物の注意と説明もご確認ください。

◇持ち物

海での服装:水着、ラッシュガードなど(ウェットスーツなどは貸与します)*注①

陸での調査:長そでシャツと長ズボン 、靴下、歩きやすい靴、帽子、軍手、サングラス

*注②、③

着替え *注④ 日焼け止め

飲みもの(水筒・ペットボトル) バスタオル・タオル

筆記用具(ボールペン等) 雨具(傘・合羽など)

健康保険証 洗面用具

医薬品(虫除け・バンソウコウ・胃腸薬・酔い止めなど) *注⑤

出典:サンゴ村 web より

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本プログラム解説書と筆記用具 携帯電話と充電器

救急法の基礎知識(事前配布) マスク

必須でないがあると便利なもの

熱中症対策用品(首に巻ける保冷剤など) フィールド持参用サブバッグ

水中カメラ マスクの曇り止め

ウェットティッシュ(手が汚れた時に便利です。)

防水用のビニール袋など(カメラや携帯電話等を入れておくため)

サンダル

※注:持ち物に関する説明

① 海での服装:海ではウェットスーツ(貸与します)を着用しますので、その下に着られる服装とし

て水着やラッシュガードなどをご用意ください。ジョギング用のタイツなどもお勧めです。ウェッ

トスーツは使用前に中性洗剤で洗浄して乾燥させた状態でお貸しします。マスク、シュノーケルも

事前に消毒されています。

② 陸での服装:農地などで作業をしますので、虫やヘビなどの対策として必ず長そで長ズボンの着用

をお願いします。希望者は長靴を借りて着用することができます。

③ サングラス:沖縄の夏の日差しはかなり強いため、その強烈な紫外線から目を保護するためにUV

カットのサングラスをお持ち下さい。

④ 着替え:海洋調査後に行う実験室での作業の時や、汗や土で汚れた時など、調査用とは別に 1枚余

分に着替えをお持ちください。

⑤ 医薬品:常備薬や虫よけスプレー、かゆみ止めなど各自必要と思うものを持参してください。海域

の調査は船に乗ります、波で揺れますので酔い止めをお持ちください。

なお、携帯電話や貴重品は、万が一に備え防水用のビニール袋に入れるなどの対策をお願いします。

(貴重品は、夏花の事務所(実験室)で預かることも可能ですが、各自の責任で管理してください)

ご参考(この調査に参加した⽅の持ち物へのコメントです)

・ ウェットスーツの下に着るラッシュガードを購入していきましたが、結果的に不要

でした。でも日焼け止めとしては活躍しました!

・ 実験室でウェットスーツに着替えて、車で海に向うので、上に羽織るものを用意し

ておいたほうがいい。

・ 防水カメラを持って行きましょう。絶景です。

・ 海での作業は意外に目が疲れた気がしましたので、目薬を持ってゆくと良いと思い

ます。

・ 暑いので帽子、日焼け止め、そして虫刺されの薬は必携。

・ 濡れてもいい小さなデイパックのようなものがあると便利だと思いました。

・ 水分補給はマメに行うこと。

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6. 主なスケジュール

1 日目 15:00 しらほサンゴ村に集合 参加者顔合わせ シュノーケル道具フィッテング 調査方法説明

2日目 陸上でのグリーンベルト調査 調査データ入力

3日目 海での赤土堆積量調査 サンプル測定 調査データ入力

4日目 グリーンベルト植え付け農家との対話(文化調査)調査のデータ整理と分析(ワークショップ) 全体の振り返り、まとめ 13:00 サンゴ村にて解散

7. 調査地について

石垣島白保は琉球王府時代から続く歴史豊かな集落であり、石垣島で最も広い耕地面積を誇る農村集

落です。亜熱帯に属する温暖な気候で、裾礁と呼ばれるタイプのサンゴ礁があり、海と人々の暮らしが

密接に関わっていました。白保サンゴ礁は世界屈指のアオサンゴ群集を有し、豊かな生物多様性に恵ま

れており、西表石垣国立公園の海域公園地区に指定されています。シュノーケリングによる赤土堆積調

査の際には、このサンゴ礁の魅力を十分に味わうことができます。

調査の拠点となる「しらほサンゴ村」は、世界的な環境 NGO である WWFが白保に開設したものであり、

白保のサンゴ礁文化に関する魅力的なパネル展示を見学することができます。

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8. 調査の⽬的・意義 世界的にも貴重なアオサンゴ群集が広がる白保サンゴ礁は、絶えず変化にさらされており、とりわけ

陸域から流出した赤土は、サンゴ礁に大きな影響を与える要因の一つとなっています。

白保サンゴ礁では、WWF サンゴ礁保護研究センターや地域ボランティアが協力して、2000 年から赤土

堆積量のモニタリング調査を続けてきました。2007 年には白保集落を挙げて赤土流出防止対策に取り

組むこととし白保魚湧く海保全協議会が中心となり、農地周辺部へのグリーンベルトの設置を行ってき

ました。この取り組みは、2013 年に設立された NPO夏花に引き継がれて現在に至っています。また、2011

年からは、白保魚湧く海保全協議会が WWFより海域での調査を引き継ぎ、現在は NPO夏花と協力して、

赤土堆積量のモニタリング調査を実施しています。

グリーンベルトづくりでは、ゲットウやイトバショウなどの在来植物を植えてきましたが、植栽の場

所によって活着率や成長速度に大きなばらつきがあり、また対策農家の拡大が進んでいないことから、

体系的なグリーンベルトのモニタリング調査を実施することで植え付け方法や管理方法の改善、赤土流

出防止効果などの地域への浸透が望まれます。

白保では、2013 年には NPO 法人「夏花(なつぱな)」が設立され、サンゴ礁保全、歴史・文化の体験学

習、農業・水産業の活性化を住民が主体となって実施する体制が整いつつあります。

今回、研究者や WWF、NPO夏花、白保魚湧く海保全協議会と協働して、サンゴ礁海域における赤土堆積

量とグリーンベルトのモニタリング調査を行います。また、農家との対話を通じて、サンゴ礁文化と呼

ばれる白保の生活文化について記録を行ないます。

これらの調査は、赤土流出対策の効果を、総合的かつ定量的に把握するための基礎データとして役立

てられます。また、参加するボランティアは、調査を通して白保周辺のサンゴ礁の現状だけでなく、白

保の方々とサンゴ礁との関わりを記録することで、サンゴ礁文化の継承に貢献することができます。

美しいサンゴ群集

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【⽩保と調査エリア】

9. ボランティアの作業

1.海底の⾚⼟堆積量調査 白保魚湧く海保全協議会の指導のもと、2隻のボートで観測地点を回り、シュノーケルで海に潜り、

海底に溜まっている土砂を採取します。採取した土砂は持ち帰り、実験室で透視度を測り、その数値か

ら赤土含有量を算出します。最後に、得られたデータをデータベースに入力します。

2.グリーンベルトの植栽及びモニタリング調査 赤土流出対策として実施されている農地の周囲へのグリーンベルトの植栽(イトバショウの苗 100本)

活動を実施した後、これまで植栽されたゲットウやイトバショウのグリーンベルトについて苗の活着状

況を記録します。2組に分かれて調査対象の農地を訪れ、グリーンベルト植栽の計測を行い、調査票に

記入します。また、活着状況や生育状況について写真撮影を行うとともに、生育状況を左右する条件な

どについて気付いたことを各自記録します。最後に、サンゴ村に戻ってから、これらのデータをデータ

ベースに入力します。

3.⽩保の⽣活⽂化に関する調査 今回、調査の中でグリーンベルトの植え付けを行った農地の所有者や NPO 夏花のグリーンベルト植え

付け活動を中心的に担っている農家との対話を通して白保における農業の現状や農家とサンゴ礁との関

わり、グリーンベルト植栽を行った動機や、グリーンベルト植栽を集落内に広げるためのアイディアな

どについて記録を行います。

最終日に、以上の3種類の調査を実施して分かったこと気付いたことを全体で共有します。

※ 調査の方法については事前にガイダンスを行います。ボランティアは、調査に関する知識や特別な

技能はいりません。どなたでもご気軽にご参加できますが、海に潜っての調査がありますので、泳

げることが必須であり、シュノーケル経験者が望ましいです。

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10. 研究成果の応⽤ 今回の調査・研究の成果により、赤土堆積量の継続的なモニタリングのデータが充実し、赤土堆積メ

カニズムに関する精度の高い理解へとつなげます。また、新たなデータを 2000 年から蓄積されてきた

モニタリングデータと比較し、直近の状況を科学的に把握します。

また赤土流出対策としてのグリーンベルトのモニタリング方法を確立し、継続的なデータを得ること

によって、赤土流出対策の現状に関する知見や白保の農地における活着率や成長度を高めるための条

件・植栽方法、グリーンベルトの赤土流出防止効果について、地域内での対策を促進するために適用で

きる普遍的な知見を得ることが期待できます。

また、これらの調査の実施手法を NPO 夏花に移管することで、地域で赤土対策とそのモニタリング調

査が継続的に実施される仕組みの構築を図ります。

これらの成果は、科学論文として発表していきます。さらに、解説記事や書籍の執筆、学会でのシン

ポジウムや市民参加型セミナーなどを通じて発信していきます。

11. 安全確保の為の予定変更について

◇やむを得ない事情による調査中⽌の場合など、実施に関する注意事項◇ 調査は基本的に雨天でも行われます。しかし、台風や雷、集中豪雨など、調査地に入ることがボランテ

ィアにとって危険と研究者が判断した場合には、調査チームの安全確保のためやむを得ず野外調査を中

止することがあります。その場合は、研究者の指示に従ってください。皆様のご理解とご協力をよろし

くお願いいたします。

・事前に予想される場合:調査開始以前に発生した台風や強雨の影響で調査が困難になると研究者が事

前に判断できた場合は、調査開始 1週間前までに中止や予定の変更を事務局からご連絡いたします。

・直前の予期せぬ天候の変化などの場合:台風の進路の急変など、予期せぬ気象条件により、調査実施

が難しいと研究者が判断した場合は、調査 3 日前までに事務局からご連絡いたします。

・調査期間中の天候の急変について:そのほか天候の急変など、アースウォッチの管理できない事由に

より調査の安全確保が困難になると研究者が判断した場合、調査を早めに切り上げ、データ整理など

の他の作業に切り替えることがありますので、研究者の指示に従ってください。

(そのほか、詳細は免責承諾書の記載事項もご参照ください。)

※新型コロナウィルス感染症に関して、緊急事態宣言が発令されている地域がある場合は、調査を中止とし

ます。その場合の航空券のキャンセル料は参加者負担となりますことを予めご了承ください。

12. 医療機関 病 院 住 所 電 話 備 考

沖縄県立八重山病院

〒907-0022

沖縄県石垣市字大川 732 0980-83-2525

(代)

0980-82-1742

(代)

石垣市消防本部 〒907-0023

沖縄県石垣市字石垣 420-1

0980-82-4047

0980-82-4050

0980-82-0119

0980-83-6698

救急箱は用意致しますが、ご自分の必要な常備薬はご用意をお願いします。

配布資料「救急法の基礎知識」に事前に目を通し、当日も持参してください。

調査中の危険や留意点について

■海域調査での注意事項

海の生き物のうち、ウミヘビ・ウツボ・ミノカサゴ・オニヒトデ・ハブクラゲなどは注意が必要な生き

物です。またサンゴもかぶれる場合がありますので、基本的に海中のものには触らないことが原則で

す。

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■陸域調査での注意事項

農地での調査では、草むらにいるハブや毛虫などに注意が必要です。虫対策を含め、調査時は帽子、

長そで、長ズボンを着用してください。

日射の照り返しのため、昼間の作業はかなり暑く感じられます。日射が強いため、必要に応じて帽

子、サングラス、長袖・長ズボンの服などで肌や目を紫外線から守るなど日焼け対策を十分にすると共

に、脱水症にならないように水分のこまめな補給に努めてください。

13. 傷害保険 アースウォッチのボランティア活動中に万一発生する傷害(病気は対象となりません)に対して保険

が参加者全員に手配されています。補償(天災Aプラン)の詳細については、下記をご覧ください。

http://www.tokyo-fk.com/volunteer/document/V1-volunteer2020.pdf

14. 研究者の紹介

主任研究者 上村 真仁︓筑紫⼥学園⼤学現代社会学部現代社会学科環境共⽣社会コース 教授

NPO夏花 理事 専門は、環境計画、地域計画。2004-2016 WWFサンゴ礁保護研究センター職員として

石垣島白保集落でのサンゴ礁資源の持続可能な利用による地域づくりに従事。

共同研究者

佐藤 哲 ︓愛媛⼤学社会共創学部 教授

専門は、生態学、持続可能性科学。2011-2016総合地球環境学研究所にて地域環境知プロ

ジェクトのリーダーとして、科学と社会の相互作用の研究に従事。

現地NPO

NPO 夏花︓サンゴ礁保全活動や白保の歴史・文化の体験学習、環境教育、農業・水産業の活性化、

エコツーリズムに取り組む。

◇調査の体制◇

15. 参考書籍、⽂献、⽤語の説明など   安村茂樹,前川聡,佐藤哲. 2004. 沖縄県石垣島白保サンゴ礁海域における赤土堆積量の時空間

分布について 保全生態学研究 9:117-126.

  佐藤哲. 2016.「フィールドサイエンティスト: 地域環境学という発想」.東京大学出版会.234pp.

(特に第2章「沖縄のサンゴ礁-定住する研究者」)

  佐藤哲,菊池直樹編.2018.「地域環境学」.東京大学出版会.「序章 意思決定とアクションを支え

る科学−知の共創の仕組み」.佐藤哲 1-15,「11章 地域を動かすカタリスト–白保のサンゴ礁保全」.

調査統括・企画・現地運営 上村 真仁

佐藤 哲 ほか

地元との調整・傭船⼿配など NPO夏花 調査補助,分析補助

ボランティア

企画調整・広報・ボランティア各種⼿続き

NPO 法人アースウォッチジャパン

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上村真仁 204-223.

  鹿熊信一郎,柳哲雄,佐藤哲編.2018.「里海学のすすめ-人と海との新たな関わり-」勉誠出版.「3章

サンゴ礁文化を継承する里海づくり−沖縄県白保集落」.上村真仁,アニー・クラウス 71-104.

16. ご協⼒のお願い

  アンケートにご協⼒ください 本調査参加後、アンケートをお送りしますので、ご意見、ご感想を事務局にお寄せください。今後の

調査運営の向上に役立てさせていただきます。

  お写真をお寄せください みなさんがボランティア活動中に撮影した写真を、体験したコメントとともにご提供ください。

いただいたお写真は、アースウォッチの広報に役立てさせていただきます。

17. 情報の取り扱いについて ・ この調査プログラムから得られる経験や知識、写真、動画などは、参加者の家族や友人、ローカル

メディア、フォーラム等で共有することはできます。(もちろん肖像権などには十分なご配慮をお願

いします)

・ しかし、調査の間に収集・共有された全ての情報、特に科学的データやレクチャー時に研究者が使

用したスライドなどは、研究者の知的財産となることをご理解ください。

・ 論文への使用や自らの利益、第三者の学問やビジネスへの使用のために、主任研究者の許可なし

に、これらの情報を盗用・公開することを禁止します。

特に調査現地の人たちに取材したデータや、フィールドで収集した科学的なデータは、主任研究者

の知的財産となることを理解し、その扱いには厳重に注意をしてください。

・ 主任研究者は、科学的なデータや特定の研究に関連した情報を共有することに対して制限を加える

権利を持っています。もし参加者が学術上有益なデータやその関連情報を使用・公開する場合は、

必ず書面で許可を得るか、アースウォッチを通して主任研究者に確認してください。

・ 希少生物の捕獲を防止するために、撮影した写真を公開する場合には GPSによる位置情報を削除す

るほか、撮影場所が分かるような情報は公開しないなどのご配慮をお願いします。

・ アースウォッチは、調査プログラムに関連して撮影した写真及び提供いただいた写真の利用につい

ての権限を有しています。

※これは、調査プログラム解説書のweb版です。参加者には、緊急連絡先や調査

スケジュールの詳細を記載したプログラム解説書を別途送付致します。

(アースウォッチ・ジャパン事務局)

アースウォッチ・ジャパンが主催する国内調査すべてが、

「国連生物多様性の 10 年日本委員会(UNDB-J)」が推奨

する事業として認定を受けています。

この調査は、地球環境基金及び大阪コミュニティ財団からのご支援を受けて実施されています。 2020 年 7月 14 日更新