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23 2016 Muroran Institute of Technology 国立大学法人 室蘭工業大学

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技 術 部 報 告 集

第 23号

2016

Muroran Institute of Technology

国立大学法人 室蘭工業大学

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はじめに

本報告集は、室蘭工業大学技術部および技術部職員が 2015 年度に実施した

主な活動の内容をまとめ、紹介することを目的として刊行いたしました。

技術部に所属する技術部職員は、大学における研究・教育活動への技術支援を

職務とする専門職であり、専門分野や担当業務に応じて多様な活動を行ってお

りますが、本報告集ではそれら個々の活動のほか、地域貢献事業や技術部研修な

ど、技術部職員が連携して行った事業についても報告しております。

本報告集が、技術部および技術部職員の活動を知って頂くきっかけとなれば

幸いです。

室蘭工業大学 技術部企画調整室

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目 次

業務報告

【研究基盤グループ】

技術専門職員 太田 典幸 (p_01)

技術専門員 小川 徳哉 (p_03)

技術専門職員 川村 悟史 (p_07)

技術専門職員 小西 敏幸 (p_15)

技術専門職員 小師 隆 (p_19)

技術専門職員 島田 正夫 (p_21)

技術専門職員 菅原 久紀 (p_24)

技術専門員 髙木 稔 (p_25)

技術専門職員 新井田 要一 (p_30)

技術専門職員 林 純一 (p_31)

技術専門職員 宮本 政明 (p_35)

技術専門職員 村本 充 (p_37)

技術専門職員 山内 瞳 (p_40)

技術専門職員 山根 康一 (p_41)

技術専門職員 山森 英明 (p_43)

技術専門職員 湯口 実 (p_44)

【情報基盤グループ】

技術専門員 浅野 克彦 (p_46)

技術専門職員 佐藤 考志 (p_47)

技術専門職員 佐藤 之紀 (p_48)

技術専門職員 島崎 剛 (p_52)

技術専門職員 松前 薫 (p_59)

技術専門員 松本 浩明 (p_62)

技術専門職員 矢野 大作 (p_64)

技術専門職員 若杉 清仁 (p_67)

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報 告

2015年度 地域貢献事業報告

担当 小師 隆(p_69)

2015年度 技術部パソコンサポート(GPS)事業報告

担当 浅野 克彦(p_71)

2015年度 技術部活動

2015年度 学内技術研修 (p_72)

2015年度 学外出張研修等 (p_72)

2015年度 第23回技術部発表会プログラム (p_73)

2015年度 技術部各種委員会等名簿 (p_74)

2015年度 技術部日誌 (p_75)

編集後記 (p_77)

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業務報告

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平成 27 年度業務報告

報告者:研究基盤グループ 太田 典幸 1. 平成 27 年度業務

1.1 業務依頼一覧

今年度の著者への業務依頼を表-1に示す.大別された 14-1 及び 14-2 について,

以下に報告をする.

1.2 14-1 学科等共通技術業務,地域公開・連携関連技術業務

本業務依頼は建築社会基盤系学科土木コースからのものであり,小項目1.及び2.

は学科関連業務となっている.同3.については,学科に依頼があった某市主催の防

災イベント(8月実施)へ水を使ったデモンストレーション装置・津波防災に関する

ものである.訪れた親子連れ等約300名の参加者は楽しみながら水への理解を深め

ていた.4.は,津波に関する知識や津波避難に対する認識を深める目的の本学公開

講座(11月実施)のテーマである.この業務では,津波に特化したデモンストレー

ション装置の設置・調整等を行った.本テーマは太平洋と噴火湾に囲まれた本学の位

置する室蘭には欠かせないものであり,行政の防災担当者が多く受講された.

1.3 14-2 その他技術業務

本業務依頼は,本学の安全衛生管理のための巡視活動である.2004年に,本学

では主に技術部職員が第二種衛生管理者資格を取得,それ以降今日に至るまで,学内

における巡視活動と報告を定期的に行っている.これは労働安全衛生法並びに本学規

則によって定められた絶対必要な業務であるため,法令に基づく巡視活動を行うこと

で,問題点・異常点の早期発見とその指摘事項を管理者へ報告することによって,今

年度も健康被害,労働災害等の発生要因を未然に防ぐ礎となった.

表-1 著者の業務依頼

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2. 安全推進 WG について 著者は昨年度から研究基盤グループの安全推進 WG のメ

ンバーとなった.全国の国立大学は法人化によって,1.3 に

示したように衛生管理の巡視を行うようになったが,本学で

は法令で定められた有害・危険業務に関わる器具・作業につ

いての部分は手つかずの部分があった.本 WG はその穴を埋

めるべく法令に基づく安全(特別)教育を学内の教職員・学

生へ実施する目的の下,活動を開始した. 特別教育を行うため,学内における主要な有害・危険等業

務をピックアップしたところ,ディスクグラインダー(切削といし)やブレーカー(電

気開閉器),有機溶剤の使用例が多かった.そのため,まずはこの3テーマについて中

央労働災害防止協会(中災防)にて,WG メンバーがそれらのインストラクター資格

を取得,または取得予定である.これにより,ディスクグラインダーに関する特別教

育「自由研削用といしの取替え等の業務」を技術部の第一弾として9月に開催した.

学内向けのこの教育には定員20名のところ,約2倍の申し込みがあり,改めてその

需要と必要性を実感した.著者は電気開閉器と有機溶剤の2テーマの担当となり,9

月に電気取扱作業(低圧)のインストラクター資格を得た.3月の技術部職員向け,

来年度4月の学内向けのため,鋭意準備を行っている.2月には,来年度実施予定の

有機溶剤業務従事者インストラクター講習を受講し,インストラクターとなった. 3. 技術部サイエンススクールについての報告

今年度行われた技術部サイエンススクールのうち,著者は苫小牧信用金庫との共催

によるサイエンススクール「しかけカードを作ろう」(8 月 4 日実施)で活動した. このテーマは情報基盤グループの松前氏がリーダーとなり,開くと光センサーが反

応し,IC からメッセージが自動再生されるカードを製作することを目的にしたもので

ある.22名の小学生の参加があり,好評を得た. 4.まとめ 業務依頼のうち学科共通業務・オープンキャンパス等は主に毎年同様の内容となっ

ている.実習や公開実験で用いる装置類について,全般にその性能は維持できている

が,特に樹脂製部品を多用する機器では長年使用していることから,外観上の劣化が

見受けられるため,メインテナンスの頻度が増しており,今後も傾注したい. 安全推進 WG での活動は,本稿執筆時点では「といし」の学内向け特別教育が完了

している.本 WG が掲げる3テーマの特別教育は本学が法人化された時点でスタート

すべき事業であったと思われるが,現在では本学の第三期中期目標等にも安全教育の

重要性が謳われており,今後も継続すべき特別教育の実施に,邁進する所存である.

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ヒヤリ・ハット WG 活動報告

研究基盤グループ 小川 徳哉

1. 目的

学内で実施される研究・教育活動には、危険作業や動作を伴うものが多く含まれ

る。このような作業を計画・実施する際には、作業者や作業を指示する立場の人が、

予め怪我や事故の発生に結び付く事例を多く知っておく必要がある。

そこで、学内の教職員や学生から、各個人が経験した情報を収集したヒヤリ・ハ

ット事例集を公開し、蓄積、共有することで、重大な災害の発生を防止することを

目的とする。

2. ヒヤリ・ハットとは

この言葉は文字通り、ヒヤッとした。ハットした。を語源としている。

ヒヤリ・ハットは、結果として事故に至らなくても、事故に直結したかもしれな

い出来事であり、それらの事例を収集したものが「ヒヤリ・ハット事例集」である。

3. ハインリッヒの法則 1)

ハインリッヒの法則は、アメリカの保険会社に勤めていたハーバート・ウィリア

ム・ハインリッヒ という人が、1929 年に初めて発表した内容である。

このハインリッヒの法則は、別名「1:29:300 の法則(1 対 29 対 300 の法則)」と

も呼ばれており、様々な作業現場において、労働者への注意喚起を促すために活用

されており、この法則は色々なものに適用することができる。

これは、労働災害における経験則の 1 つで、1 つの重大事故の背景には 29 の軽微

な事故が存在し、軽微な事故の背景には 300 のヒヤリとするような事故が存在する

という法則である。

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図 1 ヒヤリ・ハット事例集 第 1 版

この法則の教訓として、1 つの重大な事故というものは、軽微な事故を防げば発生

しないものであり、軽微な事故は、ヒヤリとするような事故を防げば発生しないこ

とを示している。

4. ヒヤリ・ハット事例集の変遷

4.1 ヒヤリ・ハット事例集 第 1 版

ヒヤリ・ハット事例集を作成するために実施した、WG の発足から第 1 版の完成ま

での活動履歴を次に示す。

・平成 26 年 11 月 ヒヤリ・ハット WG 発足 メンバー:小川・島田

・平成 26 年 12 月 技術部内(両グループ)から情報を収集

・平成 26 年 12 月~平成 27 年 3 月 編集作業

・平成 27 年 3 月 第 1 版完成 技術部 HP に掲載(全学には案内通知せず)

第 1 版は図 1 に示すように、報告日、日付、場所、当事者等の情報を記している。

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図 2 ヒヤリ・ハット事例集 第 2 版

4.2 ヒヤリ・ハット事例集 第 2 版

第 2 版は、図 2 に示すように背景にカラーを使い、シンプルな構成で、写真やイ

ラストを掲載した見やすいものとなっている。第 2 版の完成までの活動歴を次に示

す。

・平成 27 年 4 月~ 第 2 版改訂作業開始

レイアウト変更

写真撮影、イラスト追加

・平成 27 年 7 月 第 2 版完成

全学にヒヤリ・ハット事例集を公開

・平成 27 年 11 月 イラストを追加

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第2版 第3版 増加数

13 17 4

5 7 2

3 6 3

8 12 4

5 5 0

2 5 3

8 10 2

4 5 1

4 5 1

4 5 1

9 15 6

電気関係 4 6 2

クレーン作業 1 1 0

グラインダ作業 1 4 3

その他 3 4 1

65 92 27

誤操作

その他

分  類

全件数

つまづき・転倒・転落

接触・衝突

飛来・落下

切傷・挟まれ・巻き込まれ

薬品取扱い

高温・低温物との接触

漏電・感電

火災・爆発

漏洩

4.3 ヒヤリ・ハット事例集 第 3 版

表 1 に示すように、第 3 版は第 2 版に総数 27 件(内、写真 9 件、イラスト 3 件)

を追加する予定である。

・平成 27 年 12 月 平成 27 年度の情報提供を技術部内に依頼

・平成 28 年度前期 第 3 版完成(予定)

5. 今後の展開

以下の項目について、今後、検討・実施していく予定である。

① 事例数、分類、イラストや写真数の拡充を図る。

② 効果的な周知方法を検討する(例:冊子化、安全マニュアルへの掲載)。

③ 全学の教職員や学生からの事例収集を図る。

④ 他の国立大学との情報の共有補完

6. 参考文献

1)http://www.infraexpert.com/info/network7.html

表 1 ヒヤリ・ハット事例集 第 2 版と第 3 版の比較

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材料工学コース 2 年生向け実験テーマ

「泡筏あわいかだ

モデルによる 2 次元結晶構造の観察」の実施報告

技術部研究基盤グループ 川村悟史

1.はじめに

私の平成 27 年度の主要業務は昨年までと同様,「機械航空創造系学科材料工学コースに対

する学生実験等の技術支援」および「機器分析センターナノ加工解析室の管理実務(透過型

分析電子顕微鏡,集束イオンビーム装置等の管理)」の 2 つであった。業務の概略は平成 25・

26 年度の技術部報告集に記したもの[1][2]と同様であった。

今回は特に,機械航空創造系学科材料工学コースの 2 年生後期学生実験「材料工学実験 A」

において実施されている「泡筏あわいかだ

モデルによる 2 次元結晶構造の観察」という実験テーマにつ

いて,その内容と私の取り組みを報告する(以下『泡筏実験』などと略記する)。この実験テ

ーマは,材料工学実験 A の担当責任者である澤口直哉准教授(もの創造系領域)の発案で平

成 23 年度より実施された。泡筏モデルそのものは以前から知られていたが,その教育効果の

高さに注目し学生実験の 1 テーマとして是非実現したいという意向を持っていた。澤口准教

授の依頼を受け,同年夏頃より私が予備実験・実験課題の設定・テキスト作成などを行った。

後期授業開始後は,当日の実験指導と実験レポートのチェックも行った。本年度までこの状

況は継続しており,毎年実験の改良に取り組んで来た。

以下,文章の繁雑さを避けるために材料工学の用語を解説なしに使用する場合がある。不

明な用語は適当な文献を当たられたい。また本報告は学術論文ではなく業務報告の一種であ

る。私自身の知識の不備や課題,試行錯誤の過程などもそのまま記しているのでご了承いた

だきたい。論文的体裁に固執するよりもできるだけ生きた情報を記載する方が読者の役に立

つと信ずる次第である。

2.泡筏モデルとは

泡筏モデル(bubbleraft,泡モデル,泡筏模型とも言う)とは洗剤水溶液の液面に浮かぶ

1〜2mm サイズの気泡を原子に見立てた 2 次元結晶模型である。サイズが正確に揃った気泡を

液面に多数発生させると,気泡は表面張力に起因する引力によって集合し自動的に六方最密

構造を取って整列する。この際,原子空孔・転位・結晶粒界等の格子欠陥(の 2 次元版)を

自然に含んだ状態で気泡の集合体が形成される。これが泡筏モデルである。液面に浮かぶ気

泡間の相互作用は引力のみであり斥力は無く,また引力は気泡の周囲に等方的に働く。つま

り泡筏モデルは,共有結合結晶・イオン結晶・分子結晶よりも金属結晶に近い状態を再現し

た 2 次元結晶模型であると言える。

図 1 に泡筏モデルの一例を示す。これは斜め上から見た状態である。気泡の集合体は不定

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形状の 6 つの領域に分かれ,それぞれの領域内では整然と気泡が並んでいる。これは,複数

の単結晶領域が結晶粒界で隣接しながら集合している状態,すなわち多結晶組織の再現であ

る。図 1 では見にくいが,この中には原子空孔や転位(次節で説明)も散在している。

図 1 泡筏モデルの例(斜め上から見た状態)

泡筏モデルでは,個々の気泡の並び方を意図的に制御することなく気泡間の相互作用だけ

で実在結晶と類似の構造が形成される。つまり純然たる「気泡の物理現象」として「気泡の

結晶」ができるのであり,気泡結晶内部の欠陥は物理現象としての「本物の転位」「本物の結

晶粒界」と言える。

また気泡が引力で密着しあった状態でも,気泡同士がずれる際の摩擦が非常に少ない。こ

のため結晶の静的構造のみならず動的構造変化までもが気泡の物理現象として再現される。

泡筏に対しバルク変形を起こすような応力を加えると,転位の移動による滑り変形が多数発

生することにより全体が変形する。加熱に相当するような振動を与えると徐々に欠陥が消滅

してゆき単結晶に近づく。これは泡筏モデルの大きな特長であり,2 次元結晶模型という欠

点を補って有り余ると言える。

通常学生が結晶構造について学習する場合,講義での説明および教科書の説明文とイラス

トを材料に頭の中にイメージを構築する事になる。これで一応の理解はできるのであるが,

泡筏モデルに発生する格子欠陥や結晶のダイナミックスの生々しい姿に接する事で,より鮮

明かつ深い理解に達する事ができると考えられる。教育効果に加え,泡筏モデルの実験装置

は安価な汎用品で済む。学生実験のテーマとしては非常に魅力的である。

3.格子欠陥(特に転位について)

単位格子の完全に正確な繰り返しから成る結晶を完全結晶と呼ぶ。完全結晶から外れた構

造になっている部位を格子欠陥と呼ぶ。泡筏モデルでは六方最密充填の完全結晶になろうと

する傾向(エネルギー的に低くなろうとする傾向)と,格子欠陥を含もうとする傾向(エン

トロピー的に高くなろうとする傾向)が競合する。泡筏モデルにおいて代表的な格子欠陥は,

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原子空孔,不純物原子,転位,結晶粒界である。原子空孔とは図 2 のような原子の抜けであ

る。不純物原子とはサイズの違う気泡の混入である。結晶粒界とは図 1 に見られたような単

結晶領域の境界である(完全結晶と異なり単結晶には欠陥が含まれていてもよい)。これらは

泡筏モデルを普通に上から見ても判別できる。

図 2 泡筏モデルにおける原子空孔(中央の気泡が抜けた部分)

図 3 泡筏モデルにおける転位の見え方(実験テキストより転載)

これに対し転位は泡筏を上から眺めて発見するのは困難である。転位は気泡の配列が不連

続に 1 列減っている(あるいは増えている)箇所であるが,泡筏モデルの液面すれすれの低

角度から見てようやく発見できる。読者は図 3 を実際に紙面すれすれの低角度から見て自ら

確認されたい。上から見ても良く分からないが図 3 の A,B の方向から見ると気泡の列が写真

の中央付近で不連続に変化している事が分かるはずである。それと同時に C の方向から見る

と列の増減が無い事も分かる。つまり転位を発見するためには一方向から見ただけでは確定

できず,六方晶の 3 方向全てから確認しなければならない。

転位という格子欠陥は金属材料の塑性変形において本質的な役割を果たす。すなわち滑り

面上を転位が移動することにより原子 1 列分のミクロな滑り変形が生じ,これが多数の滑り

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面で生ずる事によりマクロな塑性変形が生ずるのである。転位の理解はそのまま塑性変形の

理解に繋がる。泡筏モデルの最大のメリットは転位がリアルに再現される点にある。

4.泡筏モデル作製装置

泡筏モデルは非常にシンプルな用具で作製できる。図 4 に装置の模式図を,図 5 に実際に

泡筏が形成されている様子を写真で示した。実際に行っている泡筏実験に即して説明する。

まずアクリルトレイに洗剤水溶液を入れる。アクリルトレイの外寸は 275×200×30mm3 であ

る。洗剤水溶液はイオン交換水 725mL に,洗剤〈泡のチカラ〉25mL,洗濯糊 50mL を溶解して

作る。洗濯糊は気泡が壊れにくくするためのものである。エアポンプにチューブを繋ぎ先端

に注射針を付けたものを溶液の底に沈める。注射針が浮かないように針の根本には釣り用の

鉛の錘を噛ませてある。エアポンプから空気を送ると注射針の先端から気泡が次々と発生し

液面に浮かぶ仕組みである。

図 4 泡筏モデル実験装置模式図

図 5 注射針先端より気泡が発生し泡筏を形成する様子

泡筏モデルでは気泡のサイズが正確に揃っている事が最も重要である。ふらふら注射針が

動くとすぐに気泡のサイズが変わるので,極力動かさない事がコツである。使用しているエ

アポンプは,金魚や熱帯魚の水槽用として売られている汎用品である。商用 100V では強すぎ

るのでスライダックで 4〜10V 程度に降圧して給電する。アクリルトレイの下に敷いてある

LED バックライトは泡筏を撮影する場合に気泡をクッキリさせるための照明である(これも

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絵画やイラストで使用するトレース台の流用である)。注射針から発生した気泡は一箇所に固

まらないよう,トレイ全体に広がるように竹串で誘導する。この際,泡筏の下にある液塊ご

とそっと動かすように竹串を使うのがコツである。気泡だけを動かそうとして竹串で液面を

はねるように動かすと,すぐに小さな気泡(泡筏モデルにとっては『不純物原子』)が発生し,

しかも一旦発生した気泡はなかなか消えない。

5.泡筏実験の内容

泡筏実験は 3 週間掛けて行われる。1 週目には「格子欠陥の探索」,2 週目には「泡筏の変

形」と「泡筏の焼鈍」の実験を行う。これらの実験においてデジカメで撮影記録した泡筏の

写真がまとめるべきデータとなる。3 週目はレポート指導日であり実験は行わない(材料工

学実験 A ではレポート作成技術の習得に力を入れており,レポート日を設けている)。

図 6 バックライトを使用し上面から撮影した泡筏モデル

(本紙面が A4 サイズであればほぼ実物大である)

実験装置は先述した通りである。4 セットあるので,およそ 10 人いる学生 1 グループを 2

〜3 人の 4 チームに分けて実験を行わせる。チームで 1 つの実験をするのではなく,交代で

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実験を行い自分のデータは自分で取るというやり方である。

第 1 週目は格子欠陥探索実験である。まずスタッフが泡筏の作製を実演してみせる。学生

は適当に練習した後,トレイ液面の 7 割程度を覆う泡筏を作製し,真上からデジカメで撮影

する。画像データを Photoshop(R)で加工して気泡を見やすくし,A4 サイズにプリントアウト

する。図 6 にそのようにして撮影された泡筏写真の一部をトリミングしたものを示す。A4 サ

イズよりやや小さいトレイに作製した泡筏を A4 サイズの紙に余白付きでプリントアウトす

るので,ほぼ実物大の写真となる。この写真上にある全ての格子欠陥を発見しマーキングす

る。最も発見しにくく,なおかつ最も多く形成されている欠陥である転位をマーキングする

事がこの作業のメインとなる。

第 2 週は泡筏の変形実験と焼鈍実験である。プラ板を折り曲げて作った断面が L 字形状の

治具を図 7 に示すような状態に配置し,間に液面全体の面積の 1/9 程度の泡筏を作製する。

両側の治具を引き離してゆくことで引張変形を,狭めてゆくことで圧縮変形を起こすことが

できる。引張変形は破断するまで,圧縮変形は治具の上下から泡があふれ出す直前まで行う。

それぞれ約 1 分掛け,開始時・中間時・終了時の状態を 3 枚の写真として記録する。これを

泡筏が単結晶の場合と多結晶の場合についてそれぞれ行う(つまり 2×2 の計 4 条件で変形実

験を行う。)図 8 に一例を示す。これは単結晶引張変形における破断直前の様子である。変形

中は多数の転位が滑り面上を移動するので,これを注意して観察し,変形の様子を言葉で描

写できるようにメモを取る。

図 7変形実験開始時の状態 図 8 単結晶の引張変形で破断直前の様子

次に焼鈍実験を行う。これは本当に加熱するわけではなく,加熱に相当する振動を泡筏に

与え転位や結晶粒界の減少を見る実験である。第 1 週の欠陥探索の時よりも結晶粒界を多め

に持つ泡筏を作製した後,トレイの側面を手でトントンと 10 分間叩く。1 秒間に 2〜3 拍程

度の速さで,泡筏がバラバラにならない程度の弱い波を起こす。(この時トレイが揺動しやす

いように,予めアクリルトレイ底面とバックライトの間にコロとして竹串を挟んでおく。ト

レイの左右両端付近に1本ずつあればよい。)開始前と10分後の状態をデジカメで記録する。

短時間では目立った変化は無いが,少しずつ転位が泡筏の外部に吐き出されてゆき,結晶粒

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界の位置や数も変化していく事が分かる。

6.準備と実施の経緯と問題点

本節ではこれまでの泡筏実験の準備と実施の経緯や問題点などについて述べる。

そもそも,泡筏モデルに関するまとまった文献は無い。泡筏モデルが優れた 2 次元結晶模

型であることは明らかなのだが,専門書の片隅に参考知識程度に簡単に記されているか,イ

ンターネット上の写真や文章として情報の断片が散在しているのみである(その多くは英語

である)。材料工学の本道は 3 次元の現実の物質を研究することであるから,2 次元模型に過

ぎない泡筏モデルが脇役扱いになるのも致し方ない。

このため,泡筏モデルを学生実験の形に整備するためには,情報の断片をヒントにしつつ,

私と澤口准教授が自ら試行錯誤する以外になかった。(私が優先するべき事は完璧なレビュー

ではなく,具体的実験方法を早急に確立することであった。そのため本報告でも文献は引用

できていない。)

先述した実験方法の多くは,文献に当たって調べたものではなく,試行錯誤の結果編み出

されたものである。例えば実験溶液の調合法もそうである。「泡のサイズが正確に揃っている

ことが最重要であり,そのために注射針は極力動かさない方がよい」といったコツも経験の

中から判明した。気泡サイズさえ揃っていれば転位が滑り面を移動する現象がたやすく起き

る事も分かった。焼鈍実験に至っては既存の情報を一切参考にせずに独自に実験に仕立てた。

「3 時間の実験を 2 週間分」という学生実験の枠に乗せるための課題を検討し,2 年生にとっ

て簡単過ぎず難し過ぎないものを探った結果が本報告で紹介したものである。

泡筏モデルは,本学オープンキャンパスにおいて体育館ブースにも展示している。また毎

年実験前には担当 TA の教育としてこの実験を行わせる。このような経験から言えるのは,材

料工学の知識が豊富な者ほど泡筏モデルに興味を示すという事である(学部生よりも大学院

生,大学院生よりも教員)。どうやら,結晶構造のイメージが既に頭の中にある者の方が,転

位の移動を伴いつつ泡筏が変形する様子を見た時の驚きが大きいようである。

このような点から考えると 2 年生に対しては「もっと予備知識があればさらに実験が有意

義になるのに」というもどかしさを禁じ得ない。格子欠陥についての事前レポートを書かせ

ることによって強制的に予習させ,泡筏実験当日は予想通りの現象が起きるかどうかを実験

によって確かめることに意識を向けさせる,というやり方が理想的であろう。実演してお手

本を見せるのではなく,当人が試行錯誤して泡筏を作製する方が学習効果は高い。しかし残

念ながら材料工学コースの 2 年生の学力レベルの現状を考えるとこれは無理であると判断せ

ざるをえない。単なる水遊びに堕落しないよう「これはあくまで結晶模型なのだ」という事

を実験中に再三強調するに留まっている。

最後に指摘すべき問題は,泡筏実験の実践的知識の蓄積に比して理論的背景の整備が不足

している事である。これは情報不足と私自身のレビュー不足の両方に原因がある。実は,泡

筏モデルが結晶の模型と見なせる根拠は盤石ではない。例えば,本報告で紹介した焼鈍実験

13

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は私の独自解釈の要素が非常に強い。他の研究者による類似実験があるのかどうか,あると

すればどのように説明しているか,といったレビューを行っていない。

材料工学的事実として「結晶固体における熱的現象の元は格子振動である」「金属材料では

焼鈍する事により回復・再結晶・結晶粒成長といった現象が起きる」という事実が一方にあ

る。そしてもう一方に気泡の物理現象の事実として「泡筏に軽い振動を与え続けると格子欠

陥が徐々に減少していく」という事実がある。ここまで何ら問題は無いが「後者をもって前

者の現象の模型と見なす判断の根拠」は突き詰めれば「酷似していることが直観的に明らか

である」という事以外に無い。そもそもアボガドロ数オーダーの原子の集合体と高々数万個

オーダーの気泡の集合体を同一視できるのかという問題もある。「形状」のみならず「現象」

の模型と見なすためには,例えば「同じ方程式で記述できる」「レイノルズ数で相似則を確認

できる」といったはっきりした物理的根拠を明示できることが望ましいが,実はきちんと突

き詰められていない。

初期に目玉にしていた課題に「転位がすべり面を移動する様子を連写して 3 枚の組写真と

し,それぞれの写真に転位の位置をマーキングせよ」というものがあった。実際にやり始め

てみると「移動中の転位は拡張転位に変化しており位置を特定する事が困難である」という

事実が判明し,この課題は取りやめた。この「気泡結晶の物理現象としての事実」が,現実

の 3 次元の結晶構造とどのような対応関係にあるのか,やはり不明である。

他,平面六方晶における転位の理解も不十分である。通常材料工学の教科書では単純立方

格子の場合についての転位(刃状転位やらせん転位)を説明している。このイメージに囚わ

れていると,泡筏で現れる「3 方向ある滑り面のうち 2 方向において気泡列の増減があり,

もう 1 方向では増減が無い」という状態をどう解釈すればいいのかが分からない。

このように,もしも学生に質問されても答えられない事は多い。事前レポートで予習させ

れば学習効果は高まると述べたが,そのためにはスタッフ側で泡筏モデルの理論背景をもっ

と深めておく必要がある。皮肉にも,泡筏モデルに関して実践上の理解のみに留まっている

ために 2 年生向けの学生実験としては問題無く実施できているのが現状である。

7.まとめ

本報告では「泡筏モデルによる 2 次元結晶構造の観察」という 2 年生向け学生実験のテー

マについて解説した。泡筏モデルは,格子欠陥が自然に再現されるだけでなく変形や焼鈍と

いったダイナミックスも再現される優れた 2 次元結晶模型である。これを,手掛かりとなる

情報の乏しい中で学生実験テーマとして実施する方法を確立することができた。後回しにな

っている泡筏モデルの理論的背景を詰める事が課題である。

[1]国立大学法人室蘭工業大学技術部,技術部報告集第 21 号,2014,pp.10-15

[2]国立大学法人室蘭工業大学技術部,技術部報告集第 22 号,2015,pp.11-13

14

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図1 ポスター

平成 27 年度 業務報告

「自由研削用といしの取替え等の業務」特別教育の講師を担当して

研究基盤グループ 小西 敏幸

1.はじめに

昨年度に取得した研削といし取替え等業務特別教育インストラクター資格を基に

技術部主催による法定特別教育を実施した。

準備過程から含め、担当した自由研削用研削盤・といし・取付け具等に関する

知識(その1・その2)の学科教育内容、及び卓上グラインダの研削といし取付け・

バランス取りと試運転方法の実技教育内容、アンケート結果について報告する。

2.準備

二人のインストラクターで担当分野を決め、教育テキスト・

機器取扱説明書・使用機器写真等によりパワーポイントを

作製した。

技術部安全推進WG会議で下記の事項を決定した。

(1)開催日時・場所・定員等(2)ポスター 図1

(3)保存用記録簿(4)修了書(5)アンケート

更に、練習会を数回行い、パワーポイントを改良した。

3.開催日時・場所等

(1)技術部職員対象

名 称:自由研削用といしの取替え等の業務 特別教育

日 時:平成 27 年 8 月 25 日(火)8:40~17:00

場 所:教育・研究 1 号館

C棟 205 講義室(学科)・ものづくり基盤センター(実技)

受講者:12 名

(2)全教職員・学生対象

名 称:第 1 回自由研削用といしの取替え等業務 特別教育

日 時:平成 27 年 9 月 29 日(火)8:40~19:30

場 所:教育・研究 1 号館 C棟 208 講義室(学科・実技)

受講者:39 名

(3)全教職員・学生対象

名 称:第 2 回自由研削用といしの取替え等業務 特別教育(予定)

日 時:平成 28 年 3 月 1 日(火)8:40~17:00

場 所:教育・研究 1 号館 C棟 205 講義室(学科・実技)

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写真 1 学科教育風景 図 2 自由研削用グラインダ

4.教育内容・担当講師(全般)

全般の教育内容(規程より)・担当講師は以下の通りである。

(1)関係法令 島田講師 1時間

(2)自由研削用研削盤・自由研削用といし・取付け具等に関する知識

(その1・その2) 小西講師 2時間

(3)自由研削用といしの取付け方法と試運転方法に関する知識

島田講師 1時間

(4)自由研削用といしの取付け方法と試運転方法

島田・小西講師(実技2時間)

5.教育内容(担当分)

(1) 自由研削用研削盤・自由研削用といし・取付け具等に関する知識

(その1・その2)の学科教育実施内容(項目)を下記に示す。

又、学科教育風景を写真 1 に示す。

・目的(災害防止)

・研削盤に関する知識

(定義・分類・自由研削用グラインダ図 2 の取扱い要領・注意点)

・研削といしに関する知識

(構成と研削作用・種類と表示方法・安全度・保管と取扱い上の注意)

・研削といしの取付け具に関する知識

(フランジ・フランジ以外の取付け具)

・研削といしの覆いと保護具に関する知識

(研削といしの覆い・保護具等・集じん装置)

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写真 2 卓上グラインダ

(2) 卓上グラインダ(写真 2)を使用して、研削といし取付け・バランス取

り・試運転方法の実技教育実施内容(項目)を下記に示す。又、実技教育

風景を写真 3 に示す。

・卓上グラインダと研削といしとの適合確認

(チェックシートでの周速度の計算確認)

・研削といしの外観検査と打音検査

・研削といし・フランジの取付け方法

・卓上グラインダのバランスの取り方

(バランスウエイトの調整 写真 4)

・卓上グラインダの覆い等の取付け・調整方法

・卓上グラインダの試運転方法

6.第1回 全教職員・学生対象 特別教育受講者アンケート結果(担当分)

特別教育受講者アンケート結果を下記に示す。(5段階評価)

学科 自由研削盤・といし、取付け具等に関する知識(その1) 38 名回答 1 名欠

①教育内容は理解できましたか?(平均 4.42)

1 理解できなかった 2 3 普通 4 5 理解できた

人数 0 名 0 名 7 名 8 名 23 名

割合 0% 0% 18% 21% 61%

②説明は聞きやすかったですか?(平均 4.37)

1 聞きづらかった 2 3 普通 4 5 聞きやすかった

人数 0 名 2 名 4 名 10 名 22 名

割合 0% 5% 11% 26% 58%

③パワーポイント(スライド)は見やすかったですか?(平均 4.39)

1 見づらかった 2 3 普通 4 5 見やすかった

人数 0 名 0 名 8 名 7 名 23 名

割合 0% 0% 21% 18% 61%

※ 2 は 1 と 2 の中間で少し悪い・4 は 3 と 5 の中間で少し良い

写真 3 実技教育風景 写真 4 バランス取り

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学科 自由研削盤・といし、取付け具等に関する知識(その2)38 名回答1名欠

①教育内容は理解できましたか?(平均 4.45)

1 理解できなかった 2 3 普通 4 5 理解できた

人数 0 名 0 名 7 名 7 名 24 名

割合 0% 0% 18% 18% 63%

②説明は聞きやすかったですか?(平均 4.34)

1 聞きづらかった 2 3 普通 4 5 聞きやすかった

人数 0 名 2 名 5 名 9 名 22 名

割合 0% 5% 13% 24% 58%

③パワーポイント(スライド)は見やすかったですか?(平均 4.39)

1 見づらかった 2 3 普通 4 5 見やすかった

人数 0 名 0 名 8 名 7 名 23 名

割合 0% 0% 21% 18% 61%

実技 卓上グラインダの研削といしのバランス・取付け 39 名回答

①教育内容は理解できましたか?(平均 4.79)

1 理解できなかった 2 3 普通 4 5 理解できた

人数 0 名 0 名 3 名 2 名 34名

割合 0% 0% 8% 5% 87%

②説明は聞きやすかったですか?(平均 4.72)

1 聞きづらかった 2 3 普通 4 5 聞きやすかった

人数 0 名 1 名 2 名 5 名 31 名

割合 0% 3% 5% 13% 79%

7.おわりに

研削といしの取替えと試運転業務の特別教育は規程により2種類、平面研削盤、

ドリル研削盤等の機械研削用特別教育とディスクグラインダ、卓上グラインダ、

高速切断機等の自由研削用特別教育がある。技術部安全推進WGでは人数・使用研

削盤・使用頻度・特別教育時間数を考慮した上で自由研削用特別教育に決定した。

特別教育受講者アンケート結果について、全体的には良い結果ですが、受講者が

この教育で知識と技術を確実に身に着けて安全に取り扱うことができるよう、説明

の聞きやすさをもう少し改善し、今後の教育方法等に反映させ発展させていきたい

と思う。

法定特別教育実施の為に技術部安全推進WGメンバーや協力頂いた方々に、御礼

申し上げます。

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2015 年度 業務報告

研究基盤グループ 小師 隆

2015 年度に業務依頼を受けたもの、自身が携わったものの中から幾つかの業務につ

いて報告する。

1.ものづくり基盤センターからの依頼

主に行ったのはプリント基板加工機の保守・管理及び技術講習会である。

今年度は、

技術講習会: 全 2 回(11 名受講)

の技術講習会を行った。

他に 5 名の受講希望があったが、日程調整がつかなかったようで、その後の受講希

望が出ていない。(2/12 現在)

2.サイエンススクール

今回のサイエンススクール「不思議な板でつくる万華鏡?」は昨年度に続き、責任者

として企画して実施したものである。テーマを考えるに当たって、手元にあった偏光

板で何かできないかと考えた。調べてみると偏光板とセロハンテープを使った万華

鏡?なるものがあったのでテーマとして使わせてもらうことにした。

企画するにあたり、基本的に危ない部分は無いので、工作作業を如何にシンプルに

するかを考えて、プラスチックシャーレと画用紙で作ったパーツを貼り合わせていく

だけとした。パーツ作りは大変であったが、児童が工作に使う道具はハサミと両面テ

ープだけで済み、サポートスタッフの負担軽減にもなったと思う。

今回のサイエンススクールの構成は下記に示す 3 部構成でそれぞれ 30 分の 1 時間

30 分の設定で実施し、予定通り終えることが出来た。

座学:光、偏光板についての説明。

工作:パーツの組み立て。

観察:完成した万華鏡?を見てみる。また、偏光板を使って色々なもの(デジタル時

計、携帯電話、窓ガラスなど)を見てみる。

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最終的に、飛び入りも含めて 18 名の参加でサイエンススクールを実施し、事故、怪

我もなく無事終えられた。記入して頂いたアンケートを見ても好評だったようである。

最後に、参加者の感想の一部を原文のまま紹介すると共に協力して頂いた職員に感謝

の意を表し報告とします。

参加者の感想

【児童からの感想】

セロハンテープに、そんなことができるなんてしらなかった。

光がなぜいろいろな色に、分けられているのか知りたい。

セロハンテープをはって色が、いろいろな色に見えるのがすごかった。プロジ

ェクターを見ると、七色に光っているのを発見しました。

へん光板について、教えてくれたし、へん光板について、教えながら万げきょう

をつくったのでわかりやすかったです

へんこうばんを 90 度変えると見えなくなることがはじめて分かった

光の向きや偏光板のことがいろいろわかった。

偏光板を使って、海の中をのぞいてみたいです。太陽の光、普通の光について学

んでみたくなりました。

偏光板を使って、まわすと色が変化する物を見つける宝さがしのような事をし

たい。

偏光板は、見る角度によって、見え方がちがうことにおどろきました。

説明がむずかしかったけど、とても楽しかったです。家でもやろうと思います。

【保護者からの感想】

科学館で工大の方のロボット講習で教えていただいてから 2 度目(1 度目は光

ファイバーのイルミネーションでした)の参加になります。光は 1 秒で地球を

7 周するとネットで見ました。私自身、理科に興味のある子に育ってほしい

という願いがあります。次もアンテナをはってぜひ今度は兄弟で参加させた

いです。

偏光板の構造としくみが子供でも大人でもワクワク楽しめて良かったと思い

ます。

内容は難しいと思いましたが、実験の手順や作り方はとてもわかりやすいと

思いました。

子供も楽しく参加させていただいておりますので、また機会があれば、ぜひ

参加させてもらいます!!

またきます。

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8:40 9:00 10:00 10:10 11:10 11:20 12:20 13:20       14:20

関係法令 休憩

自由研削用研削盤 ・といし,取付け具等に

関する知識(その1)

休憩

自由研削用研削盤 ・といし,取付け具等に

関する知識(その2)

休憩(昼食)

自由研削といしの取付けと試運転の

方法

1時間 10分 1時間 10分 1時間 1時間 1時間講師:島田正夫 - 講師:小西敏幸 - 講師:小西敏幸 - 講師:島田正夫

受付

 学  科 (9:00~14:20,会場:C208)

平成 27 年度 業務報告

「自由研削用といしの取替え等の業務」特別教育の講師を担当して

研究基盤グループ 島田 正夫

1.はじめに

本年度に技術部の主催により実施した「自由研削用といしの取替え等の業務」特別

教育において、“関係法令”と“自由研削といしの取付けと試運転の方法”の学科教

育、および“ディスクグラインダ・切断機のといしの取付けと試運転”の実技教育の

講師を担当したので、その内容について以下に報告する。

2.開催日時・場所 等

本年度は下記のとおり計 3 回(内 1 回は実施予定)の特別教育を実施した。

<技術部職員対象>

名 称 自由研削用といしの取替え等の業務 特別教育

日 時 平成 27 年 8 月 25 日(火)8:40~17:00

場 所 教育・研究 1 号館 C 棟 205 講義室

受 講 者 12 名

<全学教職員・学生対象>

名 称 第 1 回 自由研削用といしの取替え等の業務 特別教育

日 時 平成 27 年 9 月 29 日(火)8:40~19:30

場 所 教育・研究 1 号館 C 棟 208 講義室

受 講 者 39 名

<全学教職員・学生対象>

名 称 第 2 回 自由研削用といしの取替え等の業務 特別教育(予定)

日 時 平成 28 年 3 月 1 日(火)8:40~17:00

場 所 教育・研究 1 号館 C 棟 205 講義室

受 講 者 未定(定員 20 名)

3.教育内容

特別教育は以下の内容で実施している。なお、ここに示す日程表は、全学教職員・

学生を対象として実施した 第 1 回特別教育時のものである。

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15:30 16:40

休憩

10分-

15:30

休憩

10分-

18:10 19:20

休憩

10分-

18:10

休憩

10分-

10分講師:島田正夫 講師:小西敏幸

4班(10名)

17:10 18:20                           19:20

ディスクグラインダ・切断機のといしの取付けと試運転 卓上グラインダのといしの取付け・バランス

1時間 1時間

閉講式

1時間 1時間講師:小西敏幸 講師:島田正夫

 実  技 (2回目 17:10~19:20,会場:C208)

3班( 8名)

17:10 18:20                           19:20

卓上グラインダのといしの取付け・バランス ディスクグラインダ・切断機のといしの取付けと試運転

15:40                           16:40

1時間

講師:小西敏幸

卓上グラインダのといしの取付け・バランス

14:30

1時間

10分

閉講式講師:島田正夫

1班(10名)

2班(12名)

14:30 15:40                           16:40

ディスクグラインダ・切断機のといしの取付けと試運転 卓上グラインダのといしの取付け・バランス

1時間 1時間講師:島田正夫

 実  技 (1回目 14:30~16:40,会場:C208)

講師:小西敏幸

ディスクグラインダ・切断機のといしの取付けと試運転

第 1 回特別教育の際は、受講者数が定員の 2 倍となったことに対応するため、実

技教育を計 2 回行うことで、予定した日にすべての受講者への教育を完了すること

ができた。

3.1 教育内容(関係法令)

関係法令で述べた内容について、特に重点的に説明した項目は次のとおりである。

・労働安全衛生法 第 1 章総則および第 59 条(特別教育の法的位置づけ)

・労働安全衛生規則 第 25/28/29 条:安全装置機能の保持等

第 117~120 条:といしの安全使用等

・研削盤等構造規格 第 1/5~14/29 条:といしの規格、性能表示等

これらの法令について、

可能な限り実物の写真や

事例を交えた説明を行う

ことで、受講者の理解が

深まるよう、工夫して教

育を実施した。

3.2 教育内容(自由研削といしの取付けと試運転の方法)

学科教育の最後に行われる本科目は、これまでの学科教育で説明を受けた内容の要

点を再確認するとともに、実技教育の際に行う、といしと研削機械の適合確認や、と

いしを研削機械に安全に取り付ける方法、および試運転の方法について、実践的な内

容の説明を行っている。なお、本科目の説明に使用した資料の一例を図 2 に示す。

図 1 関係法令の提示資料一例

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3.3 教育内容(実技)

実技「ディスクグラインダ・切断機のといしの取付けと試運転」では、用意した機

械(ディスクグラインダと高速切断機)とといしについて、受講者各自が適合確認の

ための計算等を図 3 のような適合確認チェックシートを使用して行うことで、といし

の選択を適切かつ安全に行うことができるよう、実技教育を実施している。

といしを研削機械に取り付ける方法については、用意したディスクグラインダ(写

真 1)と高速切断機(写真 2)の両方について、全員が実際にといしを取り付ける作業

を行う事で、安全な取り付けのための方法や確認事項を理解できるよう実施した。

4.所感

今後は、特別教育受講者のアンケート結果等をもとに、教育内容の一層の充実や

教育方法の改善を進めることで、本学における安全のための取り組みに貢献したい。

おわりに、本教育の実施の為にご協力頂いた方々に、心より感謝申し上げます。

図 3 実技用チェックシートの一例

写真 1 といしとディスクグラインダ

写真 3 実技風景

図 2 学科教育“自由研削といしの取付けと試運転の方法”提示資料の一例

写真 2 といしと高速切断機

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平成27年度業務報告

研究基盤グループ 菅原 久紀

1.はじめに

平成27年度は、建築社会基盤系学科(土木コース)より学科等共通技術業務(学生

実験・実習・演習等)1件、その他技術業務(衛生管理者の職場巡視等の業務)1件

の業務依頼を受けた。その報告ならびに技術部内で関わった業務等も合わせて以下の

通り報告する。

2.業務内容

2-1学科共通業務

学科共通業務(土木コース)は例年通り業務を行った。コンクリートに関係する部

分、土質に関係する部分で講義の資料の作成、演習の準備ならびに土木実験の補佐

業務を行った。さらに測量学および測量学実習に関係する部分では測量機器の利

用・管理に関する技術指導業務も合わせて行った。前年までは全学共通業務の依頼

もあったが、本年度はこの業務のみのため1年を通して集中して行うことができ円

滑に支援することができた。

2-2技術部の独自業務

本年度の技術部では6件のサイエンススクール・公開講座・出前授業が行われた。

その中の公開講座の Linux 入門講座の主要メンバーとして参加したが、パソコン業務

がそれほど得意でない自分を模擬生として講義の内容が作られていたので、自分が勉

強になった内容だった。公開講座は一般向けが7月末(8名参加)に、学内向けは 9

月末(9名参加)の2回開催され、両日とも演習の補佐を行い、18 時以降の開催であ

ったが無事に終えることができた。

さらに27年度より、研究基盤グループではミニ研修等が行われた。自分は7月に

液状化についてと題して、メカニズムの説明およびデモンストレーションを行った。

3.次年度以降に向けて

本年度の業務は学科共通業務1件のみだったので無難に遂行した。年度内に追加業

務の依頼の話もあったが、年度の中旬から身辺が大変な状況になった1年で追加業務

を受けなくて良かった。任務的には支障は起こさなかったと思うが、27年度は周囲

にサポートして頂いた面もある1年だったので、次年度以降も無事任務遂行するよう

心掛けたいと考える。

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2015年度業務報告

研究基盤グループ 髙木 稔

依頼者:情報メディア教育センター長

業務:1.情報基盤の維持管理及び運用に係る業務全般

2.事務局を中心に学内情報化の推進・支援

3.情報メディア教育システムの維持管理及びその運用に係る業務全般

4.情報技術や利用に関する啓発活動

期間:2015年 4月 1日 ~ 2016年 3月 31日

業務報告

1.情報メディア教育センター業務

この 2年ばかりは企画調整室責任者を仰せつかり技術部組織見直しの案件や技術部自身の

諸業務が多く、情報メディア教育センターの業務については ISMS/BCMS認証取得の件を除

けば最低限のこと、特に統計情報(VPN、無線)集計やユーザ管理などルーティンワーク的

な業務を中心に行ってきた。その分情報メディア教育センター技術室の仲間には迷惑を掛け

た結果になった。

ISMS/BCMS 認証取得については昨年の業務報告には一言も触れていない。取得のための

作業がフル回転で行われたのが昨年度(2014 年度)後期だったので昨年の業務報告として

念入りに記述したかったところだが、認証取得が 2015年 4月 27日でそれまであまり口外で

き難いことや、内容がセキュリティ(ISMS)に関わるため苦労話であってもあまり詳らか

にできないことが要因となった。それにしても手前みそな話であるが関わった者として「世

界初!ISMS/BCMS 国際認証同時取得」(情報メディア教育センターホームページ)は大い

に誇りに思うところである。

今年だけの話題ではないが統計情報集計業務についても一言触れておきたい。情報メディ

ア教育センターの利用者サービスとして VPN(Virtual Private Network:学外から本学ネット

ワークへ接続するサービス)と学内無線 LANサービスの毎月の利用統計を集計し統計情報と

して広報で発表している。元々のデータは各サービスを担うサーバーログから取得するもの

であるが、このデータはユーザの利用ごとに「いつ、誰が、どこから、どの時間」などの記

録から成り立っており、多い月で VPN=2,000 件、無線 LAN=30,000 件の記録がある。これ

に Excel マクロを使って自動化した。これまでは関数を駆使することは当然だが、マクロを

使って自動化することは余りやってこなかった。原因は、システムが基本的に 4年毎に変更

されその都度取得するデータの構造(フォーマット)が変わるため毎回作り直す必要がある

こと、システム更新直後は、ほぼ利用者対応で忙殺され統計情報に手が回らないこと、自分

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一人が毎月せいぜい 1時間ほどメモを見ながら Excelをいじればできるという需要度の低さ

があったことなどである。また、Excel マクロについて分かってはいるが本格的に取り組む

きっかけがなかったということもあった。しかし、情報基盤グループとして IT ワンポイン

ト講習に取り組んで、Excelマクロを本格的に講習する側に立ってみると、「作ったことは

ないけど」では済まされない。この際 Excelマクロを使って統計情報を自動化することで、

実践的な経験を積む機会とした。試行錯誤しながらどちらの統計情報も、ログデータを CSV

形式で取得さえしておけばマクロを起動させてから日付を確認するための 1 クリック動作で

処理終了となるまで自動化を行った。結果的にマクロのステップ数は、VPN/無線 LAN共に

150 程度で収まったが、やはりマクロ化すると大変便利であることを実感している。

依頼業務の一つである「事務局を中心に学内情報化の推進・支援」についてはセンター内

の情報化推進WGでの活動となった。特にこの 1年は事務局内システムの引き継ぎに関わる

ドキュメント整備支援、業務ファイルのバックアップ対策、事務局パソコン環境のセキュリ

ティ強化などの課題に取り組んだ。私は実際の作業や事務局対応に当たることはなく、WG

内の教員と他の技術職員が主に作業を行ったので、大変楽な携わり方になって恐縮している

が、内容は現在非常に強く求められているもので、全学的にもきちんと対応していくべき課

題であるだろうと考える。

2.技術部業務

2.1 グループ運営

昨年度までの情報基盤グループ長から、今年度は研究基盤グループ長を拝命することとな

った。業務のホームグラウンドは情報メディア教育センター技術室業務であることは変わり

ないが、前任の沓澤氏が定年再雇用となったためシフトしたものである。

研究基盤グループは私を含めて 16名の大所帯である。職務として一番大変と感じられたの

は勤務評価の面談である。サブグループ長と半分ずつ分担したいところだが、そうもいかな

いため、むしろこれを個々人の状況をよく知るための好機として捉え、各人と 1 時間以上の

面談ができるよう予定を組んだ。どれだけ個々人の業務内容を把握・理解したかは心もとな

いが、それでも多少は現状を知ることは出来たと思う。

こうした中で目下の課題となってきた研究基盤グループの主業務として位置づけられた学

内共同利用機器の保守、管理、分析に関する技術業務に新たに 2 人の配置を行ったことや、

今後の配置を整理するために活動できたことは多少荷を下ろした気持であった。

また、昨年度から研究基盤グループ内の WGとして発足したヒヤリハット WGおよび安全

推進 WG は技術部独自事業として着実に本格化し、特に安全教育に関わる事業は大学執行部

に認められ技術部予算に匹敵する事業予算が満額配分されたことは大いに技術部の自信とす

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べきことである。これには安全教育の意義を認め強力に後押しをした河合技術部長の貢献も

大きいが、これを企画・推進した安全推進 WG メンバーの努力があってこそだろう。9 月に

は第 1 回目となる「自由研削用といしの取替え等の業務」講習が行われ、大学長名での修了

証が発行された。私はこの講習会リハーサルも兼ねた技術職員向け講習(8 月)に参加した

が、とても良く準備された内容で大変感心した。引き続き 3 月には「低圧電気取扱業務」講

習および来年度には「有機溶剤取扱業務」講習が予定されているがこちらも大いに期待でき

ると思われる。

グループの運用上、サブグループ長や企画調整室メンバーとの綿密な打合せは欠かせない。

月 1 回のグループ会議に際し、事前のレジメ打合せ、それにもとづく会議議事通知、会議後

の議事報告は小川サブグループ長の提起で始めたが今後も必要となろう。

また、5 月のグループ会議からはミニ研修発表を行った。「発表時間は 5 分~15 分以内。

テーマは自由。月に 1~2 名、全員が実施する。」という取り決めを行い、お互いの業務に関

わるプレゼンテーションを通じて、発表練習、知識刺激、業務交流を行うものである。これ

は 12月までに全員が発表したが、引き続きお互いがテーマを「開拓」しながら発表を続ける

努力を望みたい。

ただし、大所帯故に機動力や小回りが効かない。例えばグループとしてもっと専門的な内

容でテーマを決め、分担して調査発表するような活動をしたり、サイエンススクールをグル

ープ自体で話し合って取り組んだりすることがあってもいいかなと思う。当面何を基準にし

て分割するかは若干の議論はあると思うが、取りあえず来年度よりグループを今より少人数

化(当面研究基盤グループの分班化)するなどの措置を取るべきと考える。

2.2 企画調整室

前述したが、この 2 年ほど企画調整室の責任者をさせてもらった。企画調整室会議はほぼ

毎週行うのを原則としており、少なくともこの 2 年間で会議を開催しなくとも済むような期

間は無かったと思う。通常の依頼業務もあるので会議時間にも中々苦心することが多いが、

時には熱い議論をしながらなんとか滞りなくやってこれたのはひとえに他の企画調整室室員

のお陰である。技術部には事務職員がいないため、諸々の雑事を企画調整室内で分担してや

っていかなければならないことも多い。周りから見れば様々な意見・批判があるかもしれな

いが誰かがやらなければならないこと、議論を深めながらも技術部全体が協力し合う必要が

あると企画調整室を去る身としては切に願うところだ。

2.3 組織見直し案

2012 年 10 月現在の技術部組織の形態になってから 3 年が過ぎた。2012 年 3 月に承認され

た技術職員定員等検討WG(座長:伊藤理事)答申に基づき改組されたものだが、答申内容に

盛り込まれた 3年後の見直し方針に従い、現在の運用本格化もそこそこに 2014 年度には組織

見直しを始めた。しかし、大学執行部と技術部の手続き上の行き違いがあり、結局 2014年度

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は技術部として組織見直し案作成に至らず、自己評価書作成(2014 年 12月)を行うに留まっ

た。そこから進んで組織見直しを行ったのは今年度となった。企画調整室では大学として必

要とする技術業務を次の6つに整理した。

①共同利用機器・装置の維持、管理、操作、運用

②機器・装置・部品の開発、製作、運転

③計測・試験

④法令に基づく学内の安全推進

⑤情報機器および学内 LANの維持、管理、操作

⑥情報化推進、情報セキュリティ向上

その上で、3つのグループに技術部を再編しつつ、より専門的な技術業務で学内の研究・教

育・事務に対応させることや、執務室をグループ毎に設置し、各グループ長・サブグループ

長の元で文字通り独立した全学に貢献できる体制となることを目標として組織作りを行う案

を作成し大学執行部に提出した(2015 年 9月)。

これに対し 2015 年 12 月、大学執行部は技術部の在り方 WG(座長:伊藤理事)を発足さ

せ、組織見直し議論を本格化させた。今後1年を掛けて組織見直しを検討するとの見通しの

ようだ。技術部は長年、退職者の後補充をせずに推移してきたため、いわゆるアラフィフ(約

45~54歳)が現役24人中15人もいるという歪んだ構成となっている。だから新しい

挑戦は無理だとか言うつもりは全くないし、技術職員が技術研さんに努力することは当然だ

が、一方で55歳からの昇給をほぼ0にするような施策の中、技術職員のモチベーションを

上げる施策として、専門員の数を増やすことや、昇級を早めることなど少しでも処遇が良く

なってほしいと切に願う。

2.4 Linux 公開講座+IT ワンポイント講習

2015年 7月 29日(水)18:00~21:00 サブタイトルに「Windows、Macだけがパソコン OSじ

ゃないのよ~」として本講座を開催した。意図は、永らく使用された Windows XP がサポー

ト期間を過ぎ(2014 年 4 月 9日)、パソコンの買い替えも進んでいるが、捨てるにはもった

いないという人向けに、Windows ではないがWindows 的な利用も可能で無料の Linux を体験

してもらうためだ。自身も業務として Unix 系 OS のサーバ機を使用して久しいが、最近の

Linux のユーザインターフェースの進歩には目覚ましいものがあり、Windows でやれるもの

はほとんどが無料でできるというのは知っていて損はないと思う。

当日は 10 名の受講者募集に対し 8 名の受講者があった。高校生 1 名の他は中高年 50~60

代が主な受講者だった。パソコンは以前講義室で使用されていたノートパソコンを技術部に

管理替えしてもらったもので、やはり Windowsでは能力不足となったものを使用した。Linux

は無料だが、その分当然「不便」という代償が付きまとう。Linux を初めてインストールして

使うようになるまではそれなりの手順がいる。インターネットのブラウジングで調べると大

変親切な解説に行きあい苦労することはほとんどないが、パソコンに対する基礎知識がなけ

れば苦労することが多い。そのため、今回は Linux(Linux Mint)のインストール用 DVD を

予め用意しておき、それをインストールし、利用環境を整えることを中心に演習を行った。

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インストール自体は大変簡単だが、待ち時間が意外に長く、利用については実際に家庭な

どで試してもらうというところまでしか辿れなかったのは、少し物足りない内容となった。

Windows と同様と言っても、例えばプリンターや無線 LAN子機を簡単に使用できるようにな

るかと言えば一定の専門知識を要求されることが多く、実は難しい。そういうあたりを今後

機会があればやっていけるといいと思うが、あまり Linux に特化した専門知識を前提にする

と「Windows 的」から遠のいていくことになり、どういう受講者を対象としていくかの工夫

が必要かもしれない。

紹介は遅れたが、この講座は私一人の準備では全くできないものだった。私含め 5 人の技

術職員で実施したが、特に矢野大作技術職員に拠るところが大きかった。9月 30日(水)に

これを技術部の IT ワンポイント講習(学内教職員向け)として行い、こちらは矢野技術職員

が講師を務め、9名の教職員と学生が参加した。

以 上

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2015年度業務報告および研修報告

研究基盤グループ 新井田 要一

今年度は新規に依頼を受けた業務および学外研修の2件について報告する。

1. 分子構造解析装置(FT-NMR)に関する業務

自分は研究基盤グループ表面・分析評価部門に属しており物性評価部門向けに行われたこの

装置の研修を受講していなかった。そのため、担当することが決まってすぐに教員より装置の操

作方法のレクチャーを受けた。つぎに測定依頼を受ける際の手続きの流れについて教員と相談

し、NMR測定申込書を作成した。現在は測定依頼のメールが届いたときに装置室へ赴き測定、

完了後申込書に記入および依頼者へメールを送信している。測定するサンプルは依頼者が作成

し装置室に置いておく。測定完了後に測定データとサンプルを依頼者が回収する。

この装置はとても強力な磁気を帯びている。そして自分は他の業務で金属加工をすることがあ

り金属の切粉が衣服にまとわりつく。その点で自分の場合装置に悪影響を与えないように人一倍

気を配る必要がある。

2. 平成27年度 山形大学 機器・分析技術研究会

参加形式:聴 講

開 催 日:2015年9月10日(木)・11日(金)

会 場:山形大学 米沢キャンパス

前日からニュースで大きく取り上げられるほどの大雨のため各方面からの道路および鉄道が不

通となり、米沢は陸の孤島となった。自分は前日に予定よりも早く米沢に到着したため交通障害

を免れた。主催者から気象状況や交通情報についてこまめにメールが送られてきたが、自分は

大学宛のメールを学外で受信できる環境を持ち合わせていなかった。このようにこまめに情報発

信が行われていることを知ったのは1日目に会場へ到着した後だった。学外からの発表者は1日

目に35%が欠席、2日目に20%が欠席であった。また、聴講も含めた学外からの参加者は2日目

に21%が欠席であった。自分が米沢滞在中に外に出たのは朝と夕方の時間帯であったが天気

は穏やかであった。

記念講演は有機ELに関するもので技術的に興味深かった。開発した新技術を積極的に商品

化している、地元の企業と連携している、大学が企業の立ち上げに参加している点がよいと思っ

た。しかし、価格が高すぎて普及を妨げている。コストダウンについて決定打はいまのところない。

生産者の立場から話しており消費者の立場を考えていない点は残念であった。

聴講した感想は、発表者それぞれの業務環境に特化した非常に狭い範囲の内容が多く自分

の業務と近い内容で参考になるようなものは少なかった。

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物質構造科学研究所放射光共同利用実験実施報告

研究基盤グループ 林 純一

1. 緒言

これまで粉末 X 線回折技術の研鑚と高圧力技術の指導および試行の為に高エネルギー加速

器研究機構・物質構造科学研究所放射光共同利用施設(KEK-PF)において大学共同利用に

よる実験に参加してきた.放射光を用いることによって研究室レベルの X 線源では不可能な

超高圧力下の粉末 X 線回折実験が可能になり電子材料や磁性材料などの圧縮による構造変化

や圧力効果についての知見を得ることが出来る.過去数年間「スクッテルダイト化合物 MX3

(M=Co Rh Ir; X= As, Sb) における圧力誘起自己充填反応」について実験し,圧力誘起自己充填

型の構造相転移に関する報告を行い,これら 6 種全ての化合物の相転移を見出して電子材料とし

ての可能性を研究した.

リン化物も同様な結晶構造を持ち構造相転移することが予想されたため,継続して研究す

る必要があり昨年度新規に「P 系非充填スクッテルダイト化合物における圧力誘起自己充填

反応」に関する研究テーマで課題申請を提出し採択された.実験期間は採択から 2 年間有効

で成果を公開する.5 月から 12 月までに計 2 回のビームタイムが割り当てられ 2 つのスクッ

テルダイト化合物の自己充填型相転移の探索を行った.

2. 実験方法

実験試料は共同研究者によって予め高温高圧合成されたRhP3とCoP3多結晶試料を粉砕し,

粉末 X 線回折に適した均一な粒度に沈降法によって調整する.スクッテルダイト化合物の自

己充填型構造相転移を観測するためには 20~50GPa 程度の圧力が必要であり,ダイヤモンド

アンビルセルを用いて実験することが必修となる.これまでの研究により Sb 化物<As 化物

の順に構造相転移圧力は増加する傾向があることが分かっており,P 化物の実験には更に高

い圧力発生が要求される.ガスケットにはこれまで熱処理された厚さ 260μm の SUS301 板

に超硬ドリルや放電加工機でφ70μm 程度の試料室空間を作製してサンプリングを行ってき

たが,60GPa 以上ではガスケットの流動が大きくなり実験精度や圧力発生効率の低下が起こ

る.本研究では 100GPa 超の実験にガスケットとして一般的に用いられているレニウム金属

板の使用を開始した.使用するダイヤモンドアンビルの先端径はφ300μm を使用しφ100μ

m のタングステン線で放電加工による穴あけ後,荷重をかけてφ60μm 程度に縮小して厚さ

40μm 程度の試料室を作製した.試料室内において試料粉末を押し固め,圧力測定に用いる

ルビー結晶粒を数個と圧力媒体のメタノール-エタノール 4:1 混合液を満たして初期加圧し

て持ち運び実験を行った.

実験はKEK-PFのBL-18Cビームラインにおいて顕微鏡で観察しながら加圧しルビー蛍光

法による圧力測定,X 線露光を数 GPa ステップで繰り返す.放射光 X 線はモノクロメーター

により 20keV に単色化し,φ25μm コリメーターを通して試料に入射し,イメージングプレ

ートを用いて回折線強度が計算に耐えられるように 15~30 分程度露光した.

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3. 実験および考察

測定点は露光時間と加圧および減圧作業時間の兼ね合いで限られたビームタイム内で可能

な数を計算して調整した.休憩時間を除いて概ね 45 時間で加圧・減圧を終了し,回折線デー

タを 35 点程度記録した.回折線データから X 線回折パターンに変換し,格子定数を計算し

た.X 線回折パターンおよび圧縮曲線は著作の関係で本報告では割愛するが,RhP3は 54GPa

で自己充填型の構造相転移を観測し,CoP3は 66GPa で同様に構造相転移を観測した.2 回

の実験とも最高発生圧力は 77GPa 付近まで加圧し,自己充填により増加した格子定数が再び

減少するのを観測した.図 1 に過去に実験した SUS301 ガスケットと本研究で用いたレニウ

ムガスケットとの圧力発生効率の比較を示す.横軸は高圧セルを加圧するときに用いる加圧

装置のデジタル数値を加圧開始時の値で規格化したもので,グラフの傾きが大きいほど圧力

発生効率が高い.SUS301 ガスケットでは 60GPa 以上では試料室が外側に広がり圧力を効率

良く封じ込めることが出来ない.また厚さが減少するので回折線強度の低下も見られる.し

かしレニウム(Re)ガスケットでは 60GPa 以上の圧力でも直線的で圧力発生効率が高いこと

がわかり,実験後に回収したガスケットも十分な厚さが残っていることを確認した.

ダイヤモンドアンビルは可視光領域では良質な窓材である.自然界で最も硬い物質である

が荷重を掛けることによって当然弾性変形および

塑性変形する.荷重過多で塑性変形が進行するとア

ンビルの破壊を起こす.写真 1 に 77GPa 時のアン

ビルおよび試料室の顕微鏡写真を示す.辛うじて試

料室内の試料が黒い円形でその周りに白いガスケ

ットがぼやけて確認できるが,それ以上外周側では

ダイヤモンドアンビルの先端円やファセットは判

別が出来難い.これはダイヤモンドアンビル先端の

平面が凹状に変形し,更に加圧軸方向に圧縮変形し

て光が透過し難いことを表している.本研究ではル

ビー蛍光法に用いる Ar イオンレーザーの出力の増

加や蛍光測定時間を増やして対応しているが,更に

高い圧力では金箔等の標準試料の状態方程式を用い

た圧力測定も考慮する必要があることがわかった.

4. 結語

2 つの非充填スクッテルダイト化合物において予

想通り高い圧力領域で自己充填型の構造相転移をす

ることを見出した.残り 1 年間で関連物質の IrP3と

NiP3の実験や必要に応じて再実験を行い,これらの

化合物の系統的な高圧力下の振舞いについて研究す

る.

図 1 レニウム (Re)ガスケットと

SUS301 ガスケットの圧力発生効率

の比較.

写真 1 77GPa 時のアンビルおよび

試料室の顕微鏡写真.

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2015年度 業績リスト

投稿論文

Y.Q. Chen, Y. Kawamura, J. Hayashi, C. Sekine,

Thermoelectric properties of YbxCo4Sb12 prepared under high pressure,

JAPANESE JOURNAL OF APPLIED PHYSICS, 54, 055501(2015).

Y. Kawamura, J. Hayashi, K Takeda, C Sekine, H Tanida, M Sera, and T Nishioka,

Structural Analysis of Novel Antiferromagnetic Material CeRu2Al10 and Its Related

Compounds under Pressure,

J. Phys. Soc. J, in press.

Proceedings

Y. Kawamura, Y.Q. Chen, T. Nakayama, R. Shirakawa, J. Hayashi, K. Takeda, C. Sekine,

Magnetic Properties of Filled Skutterudite EuFe4As12 under Pressure,

Journal of Physics Conference Series (SCES2014), 592, 012033(2015).

その他レポート

林純一, 藤川利伸, 大野郁, 川村幸裕, 武田圭生, 関根ちひろ,

高圧下における非充填スクッテルダイト化合物 MSb3(M= Co, Rh)の構造不安定性

Photon Factory Activity Report 2013 #31, (2014).

学会発表

林純一,池守慶亮, 大野郁,藤川利伸,中井健哉,川村幸裕,武田圭生,関根ちひろ,

非充填スクッテルダイト化合物 RhX3 (X=P,As,Sb)の圧力誘起構造変化

第 56 回高圧討論会(広島市), 2015.

林純一,池守慶亮,大野郁,藤川利伸,中井健哉,川村幸裕,武田圭生,関根ちひろ,

非充填スクッテルダイト化合物 RhP3の圧力誘起構造相転移

量子ビームサイエンスフェスタ(つくば市)2015. 予定

関根ちひろ,崔云,林純一,川村幸裕,Ernst Bauer,

空間反転対称性のない超伝導体 Mo3Al2C の高圧合成と体積弾性率

第 56 回高圧討論会(広島市), 2015.

白川涼平,西根康平,赤平慶太,林純一,川村幸裕,関根ちひろ,武田圭生,

EuFe4As12の低温高圧下電気抵抗測定

第 56 回高圧討論会(広島市), 2015.

武田圭生,大野郁,林純一,川村幸裕,関根ちひろ,

高圧下における La を含む Pt 蛍光体の構造と発光スペクトル

第 56 回高圧討論会(広島市), 2015.

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川村幸裕,三影勇人,林純一,関根ちひろ,後藤弘匡,廣井善二,

充填スクッテルダイト化合物 YOs4P12の超伝導物性

第 56 回高圧討論会(広島市), 2015.

関根ちひろ, 出南真吾, 林純一, 川村幸裕, 武田圭生,

リン系充填スクッテルダイト化合物の新物質探索

日本物理学会第 71 回年次大会(仙台市)2016. 予定

武田圭生, 大野郁, 林純一,

KLa[Pt(CN)4]28.75H2O の構造と発光スペクトルの圧力効果

日本物理学会第 71 回年次大会(仙台市)2016. 予定

坂脇卓磨,岩嵜翔,小林拳斗,桃野直樹,雨海有佑,高野英明,林純一,

層状硫化物超伝導体 LaO1-xFxBiS2における超伝導転移温度 Tcの F 濃度依存性

第 51 回応用物理学会北海道支部合同学術講演会講演予稿集(札幌市),2016.

岩嵜翔,坂脇卓磨,小林拳斗,桃野直樹,雨海有佑,高野英明,林純一,

BiS2系超伝導体 NdO1-xFxBiS2における超伝導転移温度 Tcの F 濃度依存性

第 51 回応用物理学会北海道支部合同学術講演会講演予稿集(札幌市),2016.

指導実績

X 線回折 実験指導及び解析指導:2 研究室大学院生 4 名

LaO1-xFxBiS2の結晶構造解析, NdO1-xFxBiS2の結晶構造解析

有機蛍光体 KLa[Pt(CN)4]28.75H2O の結晶構造解析

有機蛍光体 C32H33N3O3S の結晶構造解析

学内インターンシップ構造解析指導:3 研究室大学院生 6 名

LaO1-xFxBiS2,NdO1-xFxBiS2,Bi(2212)の結晶構造解析, PrSexの結晶構造解析

放射光 X 線回折実験指導:3 期 大学院生 5 名

YbxCo4Sb12の高圧下 X 線構造解析, RhP3,CoP3の圧力誘起構造相転移の探索

EPMA 実験指導:計 6 件 大学院生 3 名,学部生 1 名

YbxCo4Sb12と YbxCo4-yFeySb12のカラーマッピングと定量分析

YbxCo4(Sb1-yBiy)12のカラーマッピングと定量分析

SrOs4P12と EuxFe4Sb12のカラーマッピングと定量分析

高圧技術 ダイヤモンドアンビルセル技術指導:大学院生 1 名

YbxCo4Sb12の高圧下 X 線構造解析

その他

地域貢献:公開講座「仕掛けカード」WG・実験協力者,ひらめき・ときめきサイエンス

スクール「超高圧」実験協力者, プロビデンスプログラム 実験協力者

学外共同利用実験:物質構造科学研究所 放射光共同利用実験 2015G098

「P 系非充填スクッテルダイト化合物における圧力誘起自己充填反応」課題責任者

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2015年度業務報告

研究基盤グループ・宮本政明

1.2015年度業務報告

機器分析センターの運営および機器管理などの業務、技術部に関してはサイエンススク

ール、安全衛生に関する業務を担当している。今年度の業務報告として報告し、技術部で

初めての取り組みとなった、水元小学校5年生の児童・保護者と行った「親子ふれあい学

習」を紹介する。

2-1.機器分析センター関連業務

液体窒素供給システムに関連する業務については、日常の点検・供給業務のほか、高圧

ガス保安教育、法定検査の立会い等を実施した。高圧ガス保安教育は110名(学生およ

び新任教員等)が受講し、「システムの利用方法」「液化窒素の取扱い」「高圧ガスと高

圧ガス災害」などについて1時間程度の講習を行った。

高圧ガス保安教育については、例年通り学部生の研究室配属の時期に行っているが、就

職活動などの影響で年度途中に別途実施を要望する声も増加している。

原子吸光度計などの機器については後期を中心に利用があり、試料調製と測定の利用相

談に応えた。また、紫外可視分光光度計については他大学からの利用相談も舞い込んだ。

3月に高知大学理学部の教員より海藻類についての連続スペクトル測定について相談を受

け、データ取得用マクロの作製など対応した。

機器分析センターの運営に関しては事業計画に基づき行った。オープンキャンパスへ参

加、センター報の編集作製、全国機器・分析センター会議(大分)へ出席した。

2-2.技術部関連業務

サイエンススクールは「おどろき盤をつくろう」にスタッフとして参加した。アニメー

ションの原点らしい。工作用紙を円盤に切り出し、外周にスリットを設け、その間に連続

した動作に見えるようなイラスト図形を描く。円盤を鏡の前に構えて後ろ側から回転させ

る。スリットから鏡を覗くように眺めるとパラパラ漫画の様に動画として見える工作であ

る。比較的簡単な工作であったが、残像を利用した「おどろき盤」に参加児童は一様に感

嘆していた。

安全衛生に関連する業務で作業環境測定については、要請されていた測定を実施した。

この他、安全衛生関係では巡視を行っている。

作業環境測定に関連して、2014年11月の特定化学物質障害予防規則・作業環境測

定基準等の改正によりクロロホルム等が特別有機溶剤として指定され、特化則の対象とな

った。学内のハザード調査を行っている施設グループから、使用されている研究室を対象

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の作業場所とすべきか相談を受けたので、労基署から提示された情報とハザード調査回答

を照査し検討、数ヶ所の研究室については使用実態を精査する事とし、施設グループ担当

者と聞き取りに歩き、使用量や作業時間、継続性から概ね対象とならない判定とした。

技術部には5名の作業環境測定士を有するが、化学物質についての見識を持つ者は退職

者の不補充もあって技術部の中にも少なくなってきている。引き続き技術部の業務として

実施していくためには、新規採用と資格者の養成、OJTトレーニングなどにより新たに

指定される物質への知見を得て蓄積していく事が課題と思われる。

技術部研修は研修担当委員として実施プログラムの検討は行ったものの、本学教員によ

る講義は業務の都合上で残念ながら参加できなかった。北海道大学北方生物圏フィールド

科学センター室蘭臨海実験所などへの見学については参加した。前出の高知大学理学部教

員による機器分析センター利用の申出は、同臨海実験所を利用しての調査研究の一環であ

る事が分かった。

3.出前授業について

隣接する水元小学校のPTAサークル「パパたちとあそぼう」の代表を引き受けている

事から、同小5学年の保護者から「親子ふれあい学習」の実施内容について相談を受けた。

「親子ふれあい学習」は児童とその保護者が一緒に取り組む総合学習であり、内容につい

ては保護者で構成される委員会に委ねられている。技術部のサイエンススクールへの取り

組みを知る保護者から協力の依頼を受けたので、これまで技術部の事業計画に掲げられる

も実施が見送られてきた出前授業として協力を出来ないか企画調整室に願い出た。

サイエンススクールでは何回か実施していた「地上絵をつくろう」を小学校の体育館で

行う事とした。当日は児童と保護者など約100名によって地上絵を完成し、その出来栄

えには歓声を戴く事が出来た。

このテーマはこれまでは本学体育館で実施してきた、完成後に階上の回廊から全景を眺

める事が出来、達成感を得られる事が理由の一つである。今回も本学体育館での実施を前

提にしていたが改修工事のため、会場を小学

校の体育館で実施する事となった。同小の体

育館には階上部分が無いのでステージ上から

の見え方や作業時間の制約など課題はあった

が、テーマ実施してきた担当者にサイズ調整

や見え方などをこれまでの経験から検討をし

て頂き実施できた。

技術部として対応可能な内容の充実化を進

め、本学の地域貢献活動の一助になれば良い

と思う。

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平成 27年度技術•業務報告書

研究基盤グループ 村本 充

平成27年度は以下の業務を行った。

1.ものづくり基盤センターにおける以下の業務

•教育・学習支援および研究推進支援の専門的業務につ

いて

授業や研究に関する装置部品等の加工依頼に対応し、

24件の装置および部品の製作・製図の指導を行った。

図面の書き方の指導や設計に於ける不備の指摘、使用

目的や加工の都合による設計変更の相談を行い、依頼

者の目的に沿った加工、製作を行う事ができた。

学生が自ら機械加工する際の技術的指導を行い、安全

に作業を進められる様、作業上の注意点、加工手順、

道具・加工機械の選び方を指導した。正確な集計はさ

れていないが、指導・相談件数は相当な数になり、年々

学生独自のセンター利用人数は増加傾向にある。平成

27年度には1,000件以上、約1,800人の利用があった。

旋盤講習会を5回開催し、計21名の受講があり、装置製

作・改良、試験片製作等に役立てられた。

機械航空創造系学科航空宇宙システム工学コース4年

を対象として、レーザー彫刻機の取扱説明を3回行っ

た。これは必修授業にレーザー彫刻機が利用されるた

め、毎年行われている。

センター利用学生が毎年わずかずつではあるが増加し

ており、作業の監視が行き届かない場合が多々ある。

特に夜間の場合は無断利用する者も多く安全を確保で

きていないと感じる場面があり、無断利用させないた

めの措置が必要と思う。しかし、「無断利用厳禁」等の

表示程度では無断利用が後を絶たないのが現実である。

•地域連携支援の専門的業務について

学内・外の見学者にセンター内の設備について説明を

行った。時間に余裕のある場合は、旋盤による切削の

実演も見て頂いた。テレビ、ラジオ、新聞等の取材時

には機器類の準備、担当学生への指導等を行った。

ものづくり体験学習等の行事において作業の補助を行

依頼加工品:ABS製実験装置部品

依頼加工品:木製実験装置

依頼加工品:アクリルボックス

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った。

•センター運営に係る専門的業務について

依頼加工集計、センター利用者集計を行い、依頼加工

集計は学科・研究室毎の件数•加工費の集計を行った。

センター利用者集計は学科毎利用のべ人数•件数、目的

別利用のべ人数•件数、夜間・休日利用のべ人数、プロ

ジェクト利用のべ人数、授業利用のべ人数・授業回数、

技術講習会回数・受講者数、クルー主催ものづくり教

室開催数・参加者数、設備毎利用件数・概算利用時間

数、見学者数、の集計を行った。利用者数の総計を

cremocrew(学生アルバイト)に伝え利用者グラフの作

成•掲示を指示し、毎月1日に掲示する事を心がけた。

cremocrewが不定期に開催しているものづくり教室の

題材や加工方法等についての相談に対応した。

2.「機械工作法実習Ⅰ(昼間コース)」,「機械工作法

実習Ⅱ(昼間コース)」,「工作法実習(夜間主コース)」

(いずれも前期)における学生の実習指導および実習

機器の保守•管理、「機械科学設計法」における加工相

談・指導について

機械工作法実習Ⅰ•Ⅱ(昼間機械コース)は以前から行

われている樹脂(サイコウッド)を旋盤で切削し豆ジ

ャッキを作る内容で行った。

工作法実習(夜間主コース)ではサブとして旋盤作業

の指導を行った。

安全を第一に考え、加工手順や説明内容の改善を行った。危険のない失敗はあえて失敗させる事で

工作機械の危険性や加工精度について考えさせる様にした。提出されたレポートの採点はしていな

いが、昼間コースについては全てのレポートに目を通し学生と問答することでどれだけ理解させら

れているかを判断し、指導の改善の目安とした。

来年度からは別なテーマを担当する予定であるため、また一から指導方法・手順を模索することに

なるものと思われる。

機械科学設計法は風力で走行するバギーカーを設計・製作するもので、設計時の相談の対応、製作

時の加工法の指導等を行った。今年度から始まった3年生の設計法についても加工の補助を行った。

他に環境創生工学系専攻の環境プロセス工学特論の授業についても授業内で製作する模型部品の

穴あけ・切断等の簡単な作業を行った。

機械工作法実習製作品の豆ジャッキ

利用者集計グラフ

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3.他の業務について

エコランプロジェクト

引き続きエコランプロジェクトを担当し、車両製作•調整の技術的指導を行い、のべ1000人程の作

業指導を行った。

Hondaエコマイレッジチャレンジ全国大会に2クラス出場させ、自作車クラスは11位となり、約

942km/Lと昨年度より大幅に順位・記録共に向上した。二輪車クラスは昨年度よりひとつ順位をあ

げ2位入賞であったが、約269km/Lの記録となり、記録としては昨年度を20km/Lほど下回る結果とな

った。

サイエンススクール

とましん子供ものづくり教室

「しかけカードをつくろう!」

のテーマではワーキンググル

ープとして参加し、「不思議な

板でつくる万華鏡?」のテーマ

では協力スタッフとして参加

した。「おどろき盤」と「万華鏡?」のテーマについ

ては、参加者の名前入りストラップを製作し記念品と

して持ち帰ってもらった。

低圧電気取扱作業特別教育インストラクターコース

今後の安全教育のために低圧電気取扱者特別教育イ

ンストラクターコースを受講した。

来年度より講師として安全教育を行う予定である。

全国大会表彰式エコランプロジェクトメンバー

低圧電気取扱者特別教育インストラクター

コース実習教材

万華鏡?ストラップ

おどろき盤ストラップ

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非 公 開

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平成 27 年度業務報告

研究基盤グループ 山根康一

1.はじめに

平成 27 年度に業務依頼書により従事した業務の中から一部の業務を抜粋して業務概要

と業務内容に関して報告を行う。

2.業務概要

(1)全学共通技術業務(分析装置保守管理等)

機器分析センターが管理する水平型多目的X線回折装置(XRD)の日常的管理業務、ユ

ーザーへの操作講習、技術アドバイスなど。

(2)学科等共通技術業務(学生実験・実習・演習等)

情報電子工学系学科電気電子工学コース・情報通信システム工学コース 第 3 学年 前

期に開講する必修科目「電気電子工学実験 A」ならびに後期に開講する科目「電気電子工

学実験 B」において、情報電子工学系学科教員の実験指導の補助を行う。

(3)その他技術業務(作業環境測定業務)

定期作業環境測定(指定する特定化学物質作業の作業環境測定を行う。)測定回数は8月

及び2月の年2回実施する。

3.業務報告

3-1.全学共通技術業務(分析装置保守管理等)水平型多目的X線回折装置(XRD)に関

する業務

本年度の当該装置の利用実績は 2月 1日時点で利用件数 82件、利用者数のべ 156人、

合計利用時間 283 時間であった。

強力 X 線回折装置室に関わる業務内容として

Ⅰ.装置の定期的な保守及び運転維持管理に関する技術業務、

Ⅱ.装置の運用管理に関する業務、

Ⅲ.装置利用者に対する操作指導等の技術的業務

がある。これらの業務に関し通年に渡って従事し、装置室が円滑に利用できるように

業務を行った。次に具体的な業務内容について報告する。

Ⅰ.装置の定期的な保守及び運転維持管理に関する技術業務について

X 線回折装置の点検と清掃の実施、測定端末 PC の保守、標準試料による試験測定を

行い、測定データの精度確認等を実施している。この他に不具合が発生した場合の対

応として、利用者からの聞き取り調査、端末ログの調査を実施してメーカーと連絡を

取り対処している。今年度は端末 PC が WindowsXP 機から Windows7機へ更新された。

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端末更新による細かな不具合が発生し、その都度メーカーと連絡を取り対処した。幸

い他には大きなトラブルは無く通年にわたって維持管理することができた。

Ⅱ.装置の運用管理に関する業務について

X 線回折装置の円滑な利用が行えるように利用者に対して、装置の状態の告知と利用

予約の調整作業、利用実績の集計と 2 ヶ月ごとの報告を行った。

Ⅲ.装置利用者に対する操作指導等の技術的業務について

装置の利用希望者に対して、装置利用の未経験者を対象に操作指導講習を行ってい

る。汎用測定の場合はグループごとの操作指導講習を実施しており、今年度は 3 件の

グループ講習を実施した。応用測定の場合には、一対一の個人講習を実施しており、

今年度は 1 件の講習を実施した。この他に通常利用時の利用者からの問い合わせはそ

の都度対応して円滑に業務を実施した。

3-2.学科等共通技術業務(学生実験・実習・演習等)電気電子工学実験に関わる業務

実習実験である電気電子工学実験は前期後期の通年を通して実施されている。前期は電

気電子工学実験 A として「論理回路の基礎」に関するテーマを、後期は電気電子工学実験

B として「電力および高電圧」に関するテーマに従事し、学生に対して担当教員と共に指

導を行った。「論理回路の基礎」では実習を一人一人が行う個人実験のため、学生により進

度に違いが生じる。また、問題に直面したとき解決できずに時間を浪費する者も散見され

る。そこで、個々の学生の実習進度や技術的問題点を的確に把握して実験が円滑に行われ

るように業務に従事した。「電力および高電圧」では担当する実験テーマに関しレポート指

導も実施しており、担当教員に対してその結果報告を行った。

3-3.その他技術業務(作業環境測定業務)定期作業環境測定

法令で義務付られている作業場の作業環境測定に関して年に 2 回実施しなければな

らない。本学の環境測定を義務付けられた学内の作業場に関して、今年度前期の作業

環境測定を 9 月に実施し、測定データを分析した。その結果に基づいて作業場の安全

評価を行い大学に報告した。下記に作業環境測定の実施風景を掲載する。また後期の

作業環境測定は 3 月実施の予定である。

作業環境測定 実施風景

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非 公 開

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業務報告

研究基盤グループ 湯口 実

1. 業務依頼

(1) 液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)、MALDI-TOF-MS、DNA シーケンサーな

どのバイオ・環境評価装置の保守、運転、利用等に関わる技術的業務

(2) 作業環境測定業務

(3) 衛生管理者の職場巡視等の業務

2. 業務報告

今年度より担当する分析機器として、DNA シーケンサーが加わり、質量分析機器の

LC-MS および MALDI-TOF と合わせて3台の機器の保守、管理などの業務を行った。

DNA シーケンサーは、2011年9月に MALDI-TOF と共に導入された機器であり、

X101 室に設置されており、導入当時から携わっていた。

今回は DNA シーケンサーの導入時からのトラブル状況をまとめ、今年度から新たに

工夫して技術支援を行った部分を述べ業務報告とする。

(1) DNAシーケンサーのトラブル

DNAシーケンサーのPCは、導入時からシャットダウンが出来ないなどの不調があり、

電源ボタン長押しで切ることを頻繁に行っていた。そのようなことを繰り返すうちにDNA

シーケンサーを動作させるソフトが途中でストップし起動しなくなり、OSやソフトの再

インストールを装置メーカーに有償で対応してもらうことがあった。

PCメーカーによるマザーボードを3回交換するなど、ハード面で対応もあるがなかな

かPCの不調は改善されなかった。

最近になって2GBメモリーが2枚差さっているのを新品に交換し、1枚差しにするこ

とで、以前より安定的に動作することが判った。

元々のPCはWindow7用であり、それを装置メーカーがWindowsXPに変更して使用してい

たので、PCメーカーは不具合の事例が少なく、何度も修理したり、改善法を訪ねたりし

たが、OSの不安定さが改善されなかったと思う。WindowsXPは2GBもあれば十分に動作し、

DNAシーケンスソフトの動作も不都合がないことを確認した。

その間、装置メーカーやPCメーカーへの対応、バックアップ・リカバリー、診断ソフ

トを長時間かけたりし、相当な時間を費やした。

以下に導入時からのトラブル状況を示す。

2011/12/19 制御PCのWindowsXPがシャットダウンできなく不安定となり、電源ボタン長

押しで切るしかなく、次の起動ではHDDがRAID2となっているので、リビルド

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となり、90分間使用できない。

PC修理:電源ユニット交換、マザーボード交換、メモリー交換(保証期間

3年内で無償)。

2012/9/12 PCが起動できない。PCサポートに連絡し、メモリーの抜差しで解決。

2012/9/18 1年毎のライセンス更新であったが、前回の修理でマザーボード交換があり

MACアドレスが変わったため、装置メーカーにて対応。

2013/2/1 PCの画面が突然消える。メモリーの抜差しで解決。

2013//12/9 本体装置のキャピラリー先端が引掛って曲がり、キャピラリー交換。

2014/2/8 制御ソフトが途中で止まり起動しない。バックアップファイルからリカバリ

ーを実行。

2014/2/12 前回と同様、PCが不安定。しかし、リビルドは改善された。

PC修理:マザーボード交換、HDD1台交換(保証期間内で無償)。

2014/3/3 装置メーカーによるOS、ソフト再インストールを行う予定だったが、マザ

ーボードに不具合があり、途中で中止。

2014/3/5 PCメーカーによるマザーボード交換(無償)。

2014/3/17 装置メーカーによるOS、ソフト再インストール(有償15万円)。

2015/8/18 シャットダウンできなく、装置メーカー担当者の診断では症状が出ず。

2015/12/21 シャットダウンできない状況はマザーボードなど3回交換、OS・ソフト再

インストールしても依然と続いて改善が見られない。そこで新品の2GBメ

モリー2枚を購入し、付いているメモリーと交換したが、改善されない。

2016/1/8 メモリーを1枚外すと、OSが安定して動作することが判明した。

(2) DNAシーケンサーの新たな対応

昨年度までは、DNAシーケンサーの使用に際して、ユーザー自身が消耗品の交換を行

ってもらっていた。私が立ち会える時は確認したり、指導したりしていた。

しかし、今年度からこの装置の担当者となり、装置の予算関係も扱えることになっ

た。消耗品の発注もスムーズに出来るようになったので、消耗品であるポリマー交換

やバッファー交換などは私自身が行うことにした。通常1時間程度かかる手間の多い

交換作業をユーザーが行うことのないように配慮し、簡単に使用しやすいようにした。

このほうが消耗品の無駄やポリマーの固着などのトラブルが少なくなり、結果的に利

用者の負担が抑えられる。

また、操作テキストは今までメーカーのテキストを使用していたが、不要な部分が

多く簡明でないので、初心者でも簡単に操作できるように、オリジナルを作り用意し

た。

今後もPCのトラブル時の対応や利用者が使いやすい環境作りを目指したい。

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平成 27 年度 業務報告

情報基盤グループ 浅野 克彦

1.「物理学実験」について

昨年度に引続き昼間コースは前期に機械航空創造系学科と建築社会基盤系学科、後期に

は応用理化学系学科について物理学実験の支援業務を行った。今年度は後期夜間主コース

において機械航空創造系学科のほか情報電子工学系学科についても支援業務を行い、業務

量としては昨年度よりも若干増えた状況である。

2.「公開講座」について

昨年度からの懸案であった「シニアのための iPad 講習」について、今年度はレンタル品

を手配し、教材は市販の本を利用し何とか開催する事が出来た。参加者 12 名で無事に講座

を終了した。アンケートによると来年度以降の継続を望む声もあり、今後の開催について

も検討事項となるだろう。

3.「技術部パソコンサポート(GPS)事業」について

基本的に週 1 回、図書館での窓口業務を担当しパソコン関連の各種問い合わせに対応し

てきた。依頼により OS 及びセキュリテイーソフトのインストールからネット接続やネッ

トワークプリンターの接続など一般的な設定等々について年間を通じて行ってきた。前年

度まで懸念だった PC の廃棄に絡む HDD の処分については、担当者数名で協力し、もの

づくりセンターのボール盤を借りて破壊作業を行い廃棄 PC と共に処分を行った。

4.「企画調整室業務」について

企画調整室業務においては、見直し案の提出から来年度以降の学内支援体制の再考が

「技術部の在り方 WG」において議論されており、主担当として WG に参加している。WG

では技術部の新たな支援体制が要求されており、学科及び各センターの再編等にも対応し

た新たな技術部組織の体制・運用に関して更なる検討が必要な状況である。また現在、定

数の空きがあるにも関わらず退職者の後補充については、他の部署同様に高いハードルが

用意されている状況で、今後の組織体制の見直しと合わせた検討が必要と思われる。

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2015 年度技術業務報告

技術部 情報基盤グループ

技術専門職員 佐藤 考志

2015 年度、ガラス技術業務について報告する。

○ ガラス技術業務

例年同様の技術業務として、教員から依頼されるガラス器具の制作および修理、それらに

関連するガラス技術指導・支援、技術相談などの業務を通年行った。

ガラス工作としての依頼内容はさまざまであるが、多くは都市ガス酸素炎でのバーナワー

クと切削加工によるガラス技術業務である。

本年度の依頼数は、制作および修理依頼として本報執筆時点で 14件、総計 47点の依頼に

応じた。ガラス技術指導・支援および技術相談などについても随時対応しており、概数とし

て 30件を超える依頼に応じた。

依頼はそれぞれ、数時間で完了するガラス器具製作あるいは技術相談から、数か月に及ぶ

ものまでさまざまである。時間をかけて打ち合わせても、製作実施に入らないまま取りやめ

になる例もあったが、こういったケースは今年度も増える傾向にあった。

依頼に関連して、試作や研修目的として 100点の製作を行った。

従来から挙げられている業務遂行上の問題点であるが、設備の維持および修繕など諸問題

が蓄積されており、今年度は利用料の範囲で行える修繕改修をいくつか行い、幾分作業が進

め易くなった。改修予算が回らない部分により、一部業務に支障をきたしていることは変わ

りなく、全般的な解決には至らなかった。

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2015 年度業務報告

情報基盤グループ・佐藤之紀

1. 主な業務内容

・「情報基盤・教育システム」および情報メディア教育センター管理機器の保守・管理

・学内 LAN への利用者登録、環境設定を随時実施

・事務局情報化支援

・衛生管理者としての巡視業務

・技術部研修ほか

2. 各業務の内訳

2-1. 「情報基盤・教育システム」および情報メディア教育センター管理機器の保守・

管理に関する業務詳細

情報メディア教育センターに関する業務として、次の業務を年間を通して行った。

・各端末室および実習室のパソコンについて、ハードウェアおよびソフトウェア管理。

ソフトウェア管理については、Phantosys にて約 300 台の PC を一括管理した。

・リンコムネクストの運用・管理。

・実習室の運用・管理および、教務グループ作成の時間割に対応した教室の予約と、そ

れに従った電気錠設定。

・電気錠システムの運用・管理。

・e-Learning システム「Moodle」の運用および、ハグリー・エリック・トーマス講師

所有の Moodle サーバー運用支援。

・情報メディア教育センター公式ホームページの運用。

・「情報基盤・教育システム」およびキャンパス情報ネットワークシステムをはじめと

する、各種 ITC 関連相談対応。

2-2. 学内 LAN への利用者登録、環境設定を随時実施

学内 LAN への機器登録、無線 LAN,VPN の利用者登録、機器設定相談対応などを行

った。

2-3. 事務局情報化支援

事務局各課所有のネットワークアタッチトストレージ (Network Attached

Storage=NAS)のバックアップ支援事業として、NAS 内データの圧縮等による省スペ

ース化技術の指導・支援を行い、各課所定の保存領域を「情報基盤・教育システム」の

ネットワークファイルサーバー(NetApp)内に設け、専用バックアップソフトによる自

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動バックアップを行うべく、その対応を行った。

また、大学事務システム(財務会計システム、図書館情報システム、学務システム、

人事給与システム、学費収納システム、教員データベース、教員の多目的評価システ

ム、電気錠システム)のシステムデータについて、学外クラウドへのバックアップ支援

業務として、大学が専用に契約した NTT ひかりクラウドへ自動転送するシステムを構

築した。

本年度は後者のバックアップ業務について、次の通り発表を行った。

2-3-1. 報告対象

名 称 大学 ICT 推進協議会(AXIES) 2015 年度年次大会

期 間 平成 27 年 12 月 2 日(水)~12 月 4 日(金)

場 所 愛知県産業労働センター・ウインクあいち

主催者 一般社団法人 大学 ICT 推進協議会

2-3-2. 報告趣旨

大学 ICT 推進協議会とは、我が国の高等教育機関及び学術研究機関における情報通

信技術を利用した教育、研究、経営等の高度化を図り、もって我が国の教育、学術研究、

文化及び産業の発展に寄与するために、会員ならびに国内の高等教育・学術研究機関

間で、各種専門的情報の提供ならびに交換を目的としたものである。

本報告は同協議会 2015 年度年次大会に出席し、業務効率化分科会にて発表を行っ

た。タイトルは「事務システムデータの学外バックアップについて」として、本学事務シ

ステムの学外バックアップ業務について報告した。

2-3-3. 報告内容

本報告内容である事務システムデータの学外バックアップについて概要を説明する。

本報告は、情報メディア教育センター(以下「当センター」とする)の一業務として

行っているものである。当該報告については、筆頭は佐藤で早坂成人 助教との共著

にて提出した。

本学事務局は、各部局毎に全教職員・学生が利用するシステム(以下、「事務システム」

とする)を運用しているが、そのデータバックアップは部局ごとに個別に行っている。し

かし、そのデータの保管方法は万全を期してはいないため、当センターでは各システムの

データを一元バックアップすることを計画し実施している。

本業務を行う理由としては、事務システムには、学生の成績データ、学生や教職員の

個人情報といった内容が含まれており、機密性・可用性・完全性が求められる。本学の

場合、それらのバックアップは同一システム内あるいは同一建物内にそのデータを保

管しているため、火災等で建物が損傷した場合にはデータが消失してしまう危険があ

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る。さらに、通常の災害も然ることながら、本学は付近に活火山である有珠山を控える

立地でもある。こうした背景のもと、事業継続マネジメントシステム(BCMS)の観点

から学外データセンターへのバックアップを行うことを決定した。

しかし、それらのデータを学外に持ち出す事はこれまで本学では公式に検討された

ことがないため、扱う情報の重要度格付けや外部サービスの信頼性評価などを現在

「情報基盤委員会」で検討中である。

本学事務局 12 部局(「総務グループ」「財務グループ」「施設グループ」「教務グルー

プ」「入試グループ」「地域連携推進グループ」「契約室」「学生室」「企画・評価室」「図

書・学術情報事務室」「国際交流センター事務室」「監査室」)のうち事務システムを有

する部局は5グループ・室であり、7つの事務システムが本バックアップ業務の対象

となる。また、事務局の事務システムではないが、当センターが運用している全学業

務用グループウェア(リンコムネクスト)とパソコン実習室の電気錠システムのデー

タバックアップを含めた、合計 9 システムを本業務の対象としたが、このうち現在は

機密性をあまり必要としない 2 システムについて先行してバックアップを開始した。

本報告では、これら前提条件のほか、実際に行っているバックアップ手法を、構築か

らバックアップ、データリストアにかけて報告した。

2-3-4. 本報告所感

図書の蔵書検索、旅費の請求、成績管理、入試管理、人事・給与など、事務業務の ICT

化が図られてきており、このたび当センターはデータバックアップについてその技術

面を担当した。

また、本件とは別に事務局の各グループ・室が所有するネットワークストレージ

(NAS)のバックアップを一元的に行う業務も進めているところである。

今後も今回のように技術面は当センターが担当し、事務局と連携していくのが最良

ではないかと考える。特に事務局側は数年毎に人事異動によって担当者が代わる。毎

回 ICT 技術に長けた人物が担当し、交代時の引き継ぎが完璧に成されているなら安心

であるが、必ずしもそうあるとは限らない。その辺りを我々が手助けすることによっ

てカバーできるのであれば、有意な事であると考える。

冒頭で述べた通り、今後情報基盤委員会の了解を得た後、残りの 6 システムについて

も順次バックアップを行っていく予定である。

2-4. 衛生管理者としての巡視業務

J 棟、S 棟を有する G 地区の衛生管理巡視を、同じ G 地区担当者と交代で行った。

2-5. 技術部研修ほか

2-5-1. 技術部一般研修

8 月 7 日に行われた一般研修「室蘭地域の水産業振興について」(講師:片石温美 准

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教授)および 8 月 24 日に行われた同研修の追直漁港Mランドおよび北海道大学北方生

物圏フィールド科学センター室蘭臨海実験所および北海道立総合研究機構栽培水産試

験場見学に参加した。

2-5-2. LPIC 研修

情報メディア教育センター長・刀川 眞教授のすすめにより、同センター石坂 徹

助教を講師として、部内研修を行った。LPIC とは、LPI (Linux Professional Institute)

によって運営されている Linux 技術者の技術者認定資格の名称であり、当該資格試験

対策参考書を教科書として、毎週金曜日の 17:30 から 1 時間程度の長さで実施した。

3. 考察

昨年度から、情報メディア教育センターは事務局との連携による「事務情報化支援」

事業を始め、各課 NAS のデータバックアップ、および、事務システムのシステムデー

タバックアップを本年度より本格的に行った。

各 NAS やシステムは個別にバックアップを行ってはいるが、機器としての堅牢性を

考え、そして同一場所にあるため火災や地震に被災した場合を想定すると、違う建物

に設置した機器へのバックアップ、できれば学外のデータセンターへのバックアップ

も行うことが望ましいと考え、実際に学外商用データセンターにバックアップを行う

こととなった。

このように事務システムについては最初から学外クラウドサーバーへバックアップ

を行うものとして設計しているが、各課 NAS についても今後は学外バックアップを行

うことが望ましく、引き続き今後の課題であろう。

本年度は前述したようにこの事務システムバックアップについて、大学 ICT 推進協

議会にて発表を行ったが、次年度は NAS のバックアップについても報告したいと考え

ている。

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2015 年度の業務について

情報基盤グループ 松本 浩明

2015年度を振り返ると,新学長が就任し,第 3期中期目標期間への準備,改組という動き

のなか慌ただしく時が過ぎていった.業務内容は例年とほとんど変わらない定型業務が主で

あったと言える.ただ,今年度に限ったことではないが,技術業務ではない業務の比率が大

きくなってきており,来年度以降はさらにその比率が増えると思われる.

1.情報教育用電子計算機システムの運用業務

情報教育用電子計算機システムは機種更新されてから 2 年目となった.運用 1 年目に比べ

るとユーザ管理やシステム管理といった定型業務が主となり従事する時間も減少した.

今年度は各端末の利用環境を安定・維持させることを主眼とし,各端末に提供するイメー

ジデータを新しくする更新作業を 2度実施した.これに伴って javaや firefoxなどのアプリ

ケーションの更新と新たなアプリケーションの追加を行なった.イメージデータの更新作業

はユーザ利用のない時間帯に行なわなければならないが,今回のシステムでは事前に準備出

来る作業もあり,半日あれば更新作業を終えることが可能となった.

演習室の開放について,学生から要望があったと教員より相談を受けた.開放時間の延長

ならびに休日利用を希望しているとのことであった.開放時間の変更自体は電子錠の設定を

変えれば済むことであるが,目の行き届かない状況で演習室環境の維持は出来るか,講義等

への支障はないかという懸念に関して話し合いを行なった結果,要望に沿った形での結論と

はならなかった.常時開放が学生へのプラスになるかどうか,利用状況等を検証しながら来

年度も引き続き考えていきたい.

2.企画調整室業務

企画調整室員となって早くも 5 年目となった.これまで地域貢献・研修・会計について担

当してきたが,今年度は次年度に向けて企画調整室責任者代理を,加えて広報(サブ)を担

当することとなった.

責任者代理については,実際に代理で行なう機会はなかったが,これまでの事務処理等の

流れをしっかり把握してスムーズに技術部運営を図るようしなければならない.

広報に関しては,広報 WGで技術部発表会や技術部業務のアピールの仕方などについて議論

した.業務のアピールについて現在行なっている業務を技術部 Web で公開していく方向で進

めていくこととした.情報基盤グループでは「自分の関わっている業務」について調査を行

ない集約したものの,大学 Web サーバにおいて WordPress の稼働を待ったことなども重なり

公開には至らなかった.

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企画調整室として「平成 26 年度自己評価」を踏まえて「技術部組織見直し(案)」を作成

したことが今年度の大きな仕事だったと言えよう.企画調整室内での検討結果を各グループ

会議において示しこれに対する意見を検討し,まとまった内容を全体会議で説明し質問・意

見を募集した.質問等に回答したのち技術部長へ提出し,大学執行部へ提出することとなっ

た.これを受けて現在は技術部在り方 WGで検討している段階である.

研究基盤グループ長の高木さんが 3月末で定年退職を迎えるため,2016年度の企画調整室

の組織形態について話し合い 1 名補充することとした.企画調整室員としての意欲を重視し

て補充に関しての応募基準は設けなかった.応募があるかどうか正直不安だったが,無事担

い手が決まり安心している.

3.技術部関連業務

地域貢献では,公開講座「シニアのための iPad講習」は WGメンバーとして,出前授業「室

蘭市立水元小学校『親子ふれあい学習』(巨大地上絵を作ろう)」は考案者として実施するこ

ととなった.iPadに関してはシニア世代を対象として初めて公開講座を実施するということ

もあって,試行錯誤のなか時間をかけて準備をしてきた.その甲斐あって参加者の満足度も

高く終えることが出来たと思う.逆に出前授業は,やり慣れた題材ということもあり,しっ

かりと打合せをしておけば,ただ地上絵を作成するだけでなく親子のふれあい学習をもっと

深めることが出来たのではと反省している.タイトなタイムスケジュールだったにも関わら

ず無事終えることが出来たことに関してはしっかりとサポートしていただいたスタッフに感

謝したい.

安全衛生に関しては,例年担当している教育・研究 8号館,9号館の巡視(4週に 1回)に

加え CRD センターの巡視を 2 回担当した.CRD まで往復する時間と建物を巡視する時間がほ

ぼ同じという状況だったが,実施したことのないエリアを担当することで普段とは違った視

点で巡視することができた.通常の巡視にフィードバックして,より安全な環境の構築に活

かしたい.

技術部研修では,CRDセンター片石先生の講義を受けてから,M ランド・室蘭臨海実験所・

栽培水産試験場を見学した.地域との連携に貢献しうる技術を持っている技術職員について

は積極的に関与していけるような体制作りが必要と感じた.

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平成 27 年度 技術部 業務報告

情報基盤グループ 若杉 清仁

1. 業務依頼と業務について

業務依頼については下記の内容が依頼されました。

1.1 情報ネットワークシステムの維持管理及び運用に係る業務全般

① システム更新作業への参画

② ネットワーク・サーバーシステム維持管理

③ 学内 PC・サーバー検査を含む情報セキュリティ維持管理

④ 広報活動・利用相談・技術協力

1.2 学内情報化の推進・支援

① 情報化ニーズの把握・分析

② ニーズに対するサービスと実現方式の検討

1.3 情報メディア教育システムの維持管理及びその運用に係る業務全般

① サーバー及び端末の維持管理

② 実習室及び実習室設備維持管理

③ 利用者相談

1.4 情報技術や利用に関する啓発活動

① 情報セキュリティ意識の向上

② ソフトを含めたコンピュータ活用法

③ センターが実施する公開講座等への協力(夏季 1週間程度)

1.5 その他の業務(衛生管理者の職場巡視等の業務)

短期業務依頼

科研費の説明会ビデオの認証付き動画再生のページ作成依頼

大きく分けて 5項目、細かい件数で 13項目の業務依頼となっており、メインで担当するもの

やサブ的に関わるもの、また、調査等で対応時間が長くなるもの等、多種多様の業務内容であ

る。また、短期業務依頼が 1件あった。

本年度は、サーバー証明書のバージョンアップに伴い、SSL証明書の更新作業が 2週間ぐらい

かけて行なった件が印象に残っています。また、事務局関連でシステムが入る相談等がありま

した。

2. 学外発表と学外研修・出張等について

本年度の学外発表は、9 月に第 27 回情報処理センター等担当者技術研究会で「ISMS,BCMS 認

証取得について」の 1件でした。

研修・出張については4件あり、下記表1で示す内容で業務依頼先の情報メディア教育セン

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ターより旅費を出していただき行ってきました。

6月に開催された Cloud Days 2015 札幌 は初めて北海道で開催された、IT 系のイベントで、いろ

いろ勉強になることが多かったです。また、10月に行われた平成 27 年度 北海道・東北地区大学情報

基盤技術担当者情報交換会は今年で4回目の開催で、9 大学の情報センター系の教職員の参加があって運

営側の人間としてはとても良かったです。

出発日 帰着日 主な用務先 用務内容

6/4 6/5 札幌コンベンションセンター(札

幌市) Cloud Days 2015 札幌の展示会視察とセミナー聴講

9/9 9/12 岐阜大学サテライトキャンパス

(岐阜市)

第 27 回情報処理センター等担当者技術研究会の出席及

び岐阜大学施設見学(総合情報メディアセンター)

10/29 10/30 岩手大学(盛岡市) 平成 27年度 北海道・東北地区大学情報基盤技術担当者

情報交換会の出席

11/20 11/20 北海道大学(札幌市) 2015年度「SINET及び学認・UPKI証明書説明会」の出

1/21 1/23 佐賀大学(佐賀市) 第 9回統合認証シンポジウムの出席

表 1

3. サイエンススクール、出張授業、公開講座について

本年度は、情報メディア教育センターの業務の多忙な時と重なってしまい、サイエンススクール

には協力が出来ませんでした。

技術部初めての出張授業(テーマは地上絵)には当時の作業スタッフとして協力させていただきま

した。参加人数が多いと大変なところもありましたが、完成、点灯時には喜んで頂けたと思います。

公開講座は「シニアのための iPad講習」と題して、iPadの基本的な操作方法の講習を行ないまし

た。準備段階で、内容と時間の調整、テキストと予備機での動作検証等、色々検討事項が多かった

です。また、講習の後半の講師を任されましたが、まだアンケート結果が公表されていないので受

講者が満足した内容でおこなえたか不安があります。

4. その他業務の衛生管理者の職場巡視等の業務について

業務依頼先が引越ししましたが、以前と変わらない割り当ての区域を担当して巡視をしました。

以上、これにて本年度の業務報告とします。

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報 告

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平成 27年度 地域貢献事業報告

担当 小師 隆

平成 27 年度は下記のテーマで室工大サイエンススクール(2 件)、公開講座(2 件)、とまし

ん子供ものづくり教室を行った。すべて新テーマで行っている。

サイエンススクール:

・動いて見える?「おどろき盤」を作ろう! 7月 31日 9名参加

・不思議な板でつくる万華鏡? 1月 6日 18名参加

公開講座:

・Linux入門講座 7月 29日 8名参加

(Windows、Macだけがパソコン OSじゃないのよ~)

・シニアのための iPad講習 12月 24日 12名参加

とましん子供ものづくり教室:

・しかけカードを作ろう! 8月 4日 22名参加

平成 28 年 1月 6日「不思議な板でつくる万華鏡?」

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また、今回初めて、室蘭市水元小学校から「親子ふれあい学習」の依頼を受けて、「巨大地

上絵をつくろう」を出前授業として実施した。

出前授業:

・室蘭市立水元小学校「親子ふれあい学習」 9月 4日 約 90名参加

「巨大地上絵をつくろう」

平成 27 年 9月 4日「室蘭市立水元小学校「親子ふれあい学習」(巨大地上絵をつくろう)

各テーマの詳細は下記技術部及び室工大サイエンススクールのホームページ参照。

<URL> http://www.muroran-it.ac.jp/tech/

<URL> http://www.muroran-it.ac.jp/guidance/r_so/ss_mit.html

来年度については、この原稿の執筆時点で数件の室工大サイエンススクール実施の目途は

ついている。しかし、現在のテーマ募集(責任者募集)のやり方ではなかなか集まらないのが

現状である。今後、この業務に関わっていくにあたり、例えば、専門チームを設けるとか責

任者をローテーションにする等、取り組み方について考えていく必要がある。

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平成 27 年度 技術部パソコンサポート(GPS)事業報告

担当 浅野 克彦

平成 27 年度は、GPS 事業を始めて実質3年経過し、全学的に教職員のみならず徐々に

学生からの相談も顕著になってきている。具体的には学生の個人所有の PC が持ち込まれ

るケースもあり、対応に注意が必要な場合も増える傾向にあるのかもしれない。

また昨年度まで懸念事項であった HDD の処分については、ものづくりセンターのスタ

ッフの協力を得てボール盤を使って破壊作業を行った。全部で 3.5インチHDDを 225個、

2.5 インチ HDD を 34 個、これまでに分解していたディスク約 112 枚をすべて物理的に破

壊し廃棄 PC と共に処分した。個人情報を扱うセキュリティの観点から昨年度から始まっ

た「メディア処分申請書」および「メディア処分完了証明書」の手続きに関しては徐々に

スタンダード化してきており、ウエルカムサポートやグッバイサポート共に GPS の全学

への重要な業務の一つとしてこれからも充実させていくべきと考える。

図書館での相談対応については、午前

中をメディアセンターによる電話対応

のみとし、主として午後(13:30~16:

30)に行ってきたが、今後、技術部の体

制の見直しと併せて相談頻度の状況を

見ながら対応時間の変更修正などを検

討して行く必要があると考えられる。

今年度の相談件数は、78 件、延べ時間

約 70 時間(前年度実績は 72 件、延べ時

間 96 時間)となっている。内訳は PC に

関わる相談が 49 件と圧倒的に多く、つ

いで図書館配置の情報メディア教育セ

ンター端末 7 件、LAN 関連 6 件、メー

ルやリンコム関連 5 件、その他であった。

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2015 年度 技術部活動

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2015 年度 学内技術研修

ネジのお話 5月20日 15名参加

業務紹介・企業との共同実験との対応 5月20日 15名参加

材物・材料コースの学生実験 6月17日 15名参加

電波と変調について 6月17日 15名参加

情報教育用計算機システムの変遷について 6月25日 7名参加

ISMS/BCMS認証取得について 7月15日 16名参加

液状化について 7月15日 16名参加

UFEIとGPTについて 7月16日 8名参加

フレッシュマンセミナーの紹介 8月19日 15名参加

業務紹介 8月19日 15名参加

自由研削用といしの取替え等の業務 8月25日 13名参加

3DプリンターZPrinter 450の紹介 9月16日 13名参加

連続体はりの曲げ振動実験 9月16日 13名参加

C棟実習室の教室設備で出来ること 9月17日 8名参加

切削工具の材質について 10月21日 16名参加

8月末~10月上旬の主要イベント(出来事)報告 10月21日 16名参加

ISMS,BCMS認証取得について 10月22日 9名参加

質量分析装置 LC/MS/MS、MALDI TOF MSについて 11月18日 16名参加

2015年私の前期の業務内容 11月18日 16名参加

室蘭工業大学における学外向けサーバ検査の実施 11月26日 8名参加

登別温泉の温泉熱バイナリー発電の可能性調査について 12月16日 9名参加

サイエンススクールについて 12月16日 15名参加

物質と圧力について 12月16日 15名参加

2015 年度 学外出張研修等

自由研削といしの取替え等の業務特別教育 5月22日 1名参加

ワイヤロープ安全点検基準講習会 7月9日 2名参加

低圧電気取扱作業特別教育インストラクター講習 9月7~9日 1名参加

平成27年度 山形大学 機器・分析技術研究会 9月10~11日 1名参加

非破壊試験技術講習会 1月27~28日 1名参加

第9回ライセンスセミナー 2月9日 1名参加

平成27年度 実験・実習技術研究会 in 西京 3月3~4日 2名参加

九州地区総合技術研究会 in 九州工業大学 3月17~18日 1名参加

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2015 年度 第 23 回技術部発表会プログラム

2016 年 3 月 25 日(金)

教育・研究 1 号館 C 棟 204 講義室

13:30~ 技術部長挨拶

副学長・教授 河合 秀樹

技術報告

司会) 山根 康一

13:45~14:05 材料工学コース 2 年生向け実験テーマ

「泡筏モデルによる 2 次元結晶構造の観察」の実施報告

研究基盤グループ 川村 悟史

14:10~14:30 ヒヤリ・ハット WG 活動報告

研究基盤グループ 小川 徳哉

14:35~14:55 登別温泉における温泉熱バイナリー発電の可能性調査

情報基盤グループ 島崎 剛

14:55~15:10 休憩

司会) 三林 光

15:10~15:30 続・cremo ecorun project 完結編

研究基盤グループ 村本 充

15:35~15:55 技術職員 42 年を振り返る

研究基盤グループ 髙木 稔

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2015年度 技術部各種委員会等名簿

○技術部企画調整室(主な担当)

責任者 研究基盤グループ グループ長(事業計画) 髙 木 稔

室 員 情報基盤グループ グループ長(業務依頼、責任者代理) 松 本 浩 明

室 員 情報基盤グループ サブグループ長(予算管理) 浅 野 克 彦

室 員 研究基盤グループ サブグループ長(広報、技術部発表) 小 川 徳 哉

室 員 研究基盤グループ (研修) 山 森 英 明

室 員 研究基盤グループ (地域貢献) 小 師 隆

○安全衛生委員会委員

委 員 研究基盤グループ 小 川 徳 哉

委 員 研究基盤グループ 湯 口 実

委 員 研究基盤グループ 村 本 充

○技術部ワーキンググループ

・研修ワーキンググループ 山森英明、髙木 稔、宮本政明、山内 瞳、佐藤之紀

・地域貢献ワーキンググループ 小師 隆、浅野克彦

・広報ワーキンググループ 小川徳哉、松本浩明、山根康一、小西敏行、三林 光

○地域貢献事業

・公開講座「Linux 入門講座」

髙木 稔、矢野大作、佐藤之紀、湯口 実、菅原久紀

・サイエンススクール「おどろき盤をつくろう!」

松前 薫、小川徳哉、山根康一、宮本政明、川村悟史

・とましん子供ものづくり教室「しかけカードを作ろう」

松前 薫、山森英明、新井田要一、村本 充、林 純一、沓澤幸成

・出前授業「巨大地上絵を作ろう」

松本浩明、宮本政明、小師 隆

・公開講座「シニアのためのiPad講習」

浅野克彦、太田典幸、若杉清仁、松本浩明、三林 光、島崎 剛

・サイエンススクール「不思議な板でつくる万華鏡?」

小師 隆、小西敏行、島田正夫、山内 瞳

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2015 年度 技術部日誌

【2015 年】

4 月 7 日 第 1 回企画調整室会議

14 日 第 2 回企画調整室会議

22 日 第 1 回研究基盤 G 会議

23 日 第 1 回情報基盤 G 会議

技術部報告集 2015 の電子版発行

28 日 第 3 回企画調整室会議

30 日 第 3 回安全推進 WG 会議

5 月 1 日 第 1 回 SS「おどろき盤」打合せ

※「SS」は「サイエンススクール」の略

11 日 第 1 回公開講座「Linux 入門」打合せ

12 日 第 4 回企画調整室会議

14 日 第 1 回とましん打合せ

20 日 第 2 回研究基盤 G 会議

21 日 第 1 回広報 WG 会議

22 日 第 1 回研修 WG 会議

26 日 第 5 回企画調整室会議

28 日 第 2 回情報基盤 G 会議

第 6 回企画調整室会議

6 月 3 日 第 4 回安全推進 WG 会議

4 日 第 2 回とましん打合せ

第 7 回企画調整室会議

5 日 第 2 回 SS「おどろき盤」打合せ

11 日 第 8 回企画調整室会議

17 日 第 3 回研究基盤 G 会議

18 日 第 3 回とましん打合せ

第 9 回企画調整室会議

技術部職員業務実態アンケート

24 日 第 3 回 SS「おどろき盤」打合せ

25 日 第 3 回情報基盤 G 会議

第 10 回企画調整室会議

26 日 第 1 回技術部全体会議

29 日 第 2 回公開講座「Linux 入門」打合せ

7 月 1 日 第 5 回安全推進 WG 会議

2 日 第 11 回企画調整室会議

8 日 第 6 回安全推進 WG 会議

9 日 第 4 回とましん打合せ

10 日 第 4 回 SS「おどろき盤」打合せ

13 日 第 3 回公開講座「Linux 入門」打合せ

14 日 後期業務依頼募集通知

15 日 第 4 回研究基盤 G 会議

16 日 第 4 回情報基盤 G 会議

第 12 回企画調整室会議

17 日 第 5 回 SS「おどろき盤」打合せ

22 日 第 7回安全推進 WG 会議

23 日 第 13 回企画調整室会議

24 日 とましん工作説明会

27 日 第 6 回 SS「おどろき盤」打合せ

29 日 第 8回安全推進 WG 会議

公開講座「Linux 入門講座」開催

31 日 SS「おどろき盤」開催

ヒヤリ・ハット事例集公開

8 月 4 日 とましん子供ものづくり教室開催

5 日 第 2 回技術部全体会議

第1回技術部業務依頼審査会

6 日 第 14 回企画調整室会議

7 日 技術部一般研修(講義)

19 日 第 5 回研究基盤 G 会議

20 日 第 5 回情報基盤 G 会議

第 15 回企画調整室会議

21 日 GPS 打合せ

24 日 技術部一般研修(市内施設見学)

25 日 「自由研削用といしの取替え等の業務」

技術部内特別教育開催

27 日 第 16 回企画調整室会議

9 月 3 日 第 17 回企画調整室会議

技術職員業務実態アンケート

4 日 水元小「親子ふれあい教室」開催

8 日 第 9回安全推進 WG 会議

10 日 GPS 作業(HDD破壊)

14 日 第 3 回技術部全体会議

16 日 第 6 回研究基盤 G 会議

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Page 83: 第 23技 術 部 報 告 集 第 23 号 2016 Muroran Institute of Technology 国立大学法人 室蘭工業大学 はじめに 本報告集は、室蘭工業大学技術部および技術部職員が2015

17 日 第 6 回情報基盤 G 会議

第 18 回企画調整室会議

24 日 第 19 回企画調整室会議

25 日 第 1 回 SS「万華鏡」打合せ

第 2 回技術部業務依頼審査会

29 日 「自由研削用といしの取替え等の業務」

学内向け特別教育開催

30 日 IT ワンポイントレッスン「Linux 入門」開催

10 月 1 日 第 20 回企画調整室会議

2 日 第 10 回安全推進 WG 会議

6 日 第 21 回企画調整室会議

9 日 公開講座「iPad」打合せ

13 日 第 22 回企画調整室会議

20 日 第 23 回企画調整室会議

21 日 第 7 回研究基盤 G 会議

22 日 第 7 回情報基盤 G 会議

27 日 第 24 回企画調整室会議

11 月 4 日 第 11 回安全推進 WG 会議

10 日 第 25 回企画調整室会議

12 日 第 12 回安全推進 WG 会議

13 日 臨時企画調整室会議

16 日 来年度の SS 等のテーマ募集

17 日 第 26 回企画調整室会議

企画調整室員の補充募集通知

18 日 第 8 回研究基盤 G 会議

19 日 第 13 回安全推進 WG 会議

24 日 第 27 回企画調整室会議

25 日 第 2 回 SS「万華鏡」打合せ

26 日 第 8 回情報基盤 G 会議

12 月 4 日 第 1 回技術部在り方 WG

8 日 第 28 回企画調整室会議

15 日 第 29 回企画調整室会議

第 2 回技術部在り方 WG

16 日 第 9 回情報基盤 G 会議

第 9 回研究基盤 G 会議

18 日 第 3 回 SS「万華鏡」打合せ

21 日 公開講座「iPad」打合せ

22 日 第 30 回企画調整室会議

24 日 公開講座「iPad」開催

【2016 年】

1 月 5 日 第 31 回企画調整室会議

6 日 SS「万華鏡」開催

7 日 第 3 回技術部在り方 WG

12 日 第 32 回企画調整室会議

技術部報告集原稿提出通知

13 日 第 14 回安全推進 WG 会議

15 日 平成 28 年度業務依頼募集通知

19 日 第 33 回企画調整室会議

20 日 第 10 回研究基盤 G 会議

21 日 ヒヤリ・ハット WG 会議

26 日 第 34 回企画調整室会議

28 日 第 10 回情報基盤 G 会議

2 月 1 日 第 4回技術部全体会議(平成 28年度

事業計画、予算、研修計画、地域貢

献事業)

2 日 第 35 回企画調整室会議

3 日 第 4 回技術部在り方 WG

5 日 ヒヤリ・ハット WG 会議

15 日 第 36 回企画調整室会議

16 日 第 3 回業務依頼審査会

22 日 第 37 回企画調整室会議

24 日 第 11 回研究基盤 G 会議

25 日 第 11 回情報基盤 G 会議

3 月 1 日 「自由研削用といしの取替え等の業務」

学内向け特別教育開催

2 日 第 38 回企画調整室会議

3 日 教育研究評議会(業務依頼審査承認)

8 日 第 39 回企画調整室会議

10-11 日 「低圧電気取扱業務」技術部内特別教育

11 日 第 5 回技術部在り方 WG

14 日 第 40 回企画調整室会議

22 日 第 41 回企画調整室会議

23 日 第 12 回研究基盤 G 会議

24 日 第 12 回情報基盤 G 会議

25 日 第 23 回技術部発表会

29 日 第 42 回企画調整室会議

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Page 84: 第 23技 術 部 報 告 集 第 23 号 2016 Muroran Institute of Technology 国立大学法人 室蘭工業大学 はじめに 本報告集は、室蘭工業大学技術部および技術部職員が2015

編 集 後 記

お正月は雪もなく迎え、今冬も除雪が少ないシーズンだった。昔は室蘭でもそれなりに雪が積

もって、正月明けに実家から平屋の官舎に帰ってくると雪で玄関にも入れず、スコップで掘った

ことを思い出す。雪は多いのも困るが、また少ないのも情緒がないなどと感慨にふけっていたと

ころ、さすがに 1 月以降は雪が降り、2 月末には台風かと思うほどの強風を伴った吹雪となって

交通麻痺状態を引き起こした。温暖化と言えば徐々に暖かくなるのかと想像していたが、日本や

全世界での報道に接すると今後どんな異常気象があってもおかしくないと、夜中の強風に軋む我

が家の悲鳴を聞きながら思った。

昨年より準備を始めた安全教育業務がいよいよ今年度から本格的に始められた。2014 年 6 月に

学生 2 名が負傷するという爆発事故が発生したばかりだ。万が一はあるとしても、それを未然に

防ぐ努力なしには大学の責任は重い。大学こそ安全教育を実施する重要性は誰の目にも明らかで

ある。これに技術部が積極的に対応する意義がある。すでにインストラクター資格を取得した技

術職員による「自由研削用といしの取替え等の業務」および「低圧電気取扱業務」の特別教育が

行われた。今後さらに「有機溶剤取扱業務」の特別教育も行われる予定である。

今号も各技術職員が 2015 年度の業務依頼にもとづく通常業務や技術部独自業務などを題材と

して、概略や特徴的な内容に絞って報告するなど、基本的に全員参加の報告集となっている。現

在組織見直しを目指す「技術部在り方 WG」(座長:伊藤秀範理事)が検討を行っている。今後技

術部報告集がより充実したものとなるかどうか、そこに検討結果の成果が反映されるものとなろ

う。もちろん私は、一層充実した報告集となることを信じている。

(2016.3 m.t)

技術部報告集 №23

http://www.muroran-it.ac.jp/tech/

発行日 2016 年 3 月

発 行 国立大学法人室蘭工業大学技術部

編 集 技術部広報 WG

〒050-8585 室蘭市水元町 27-1

電 話 0143-46-5990

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