救える命に繋げてほしい - med救える命に繋げてほしい スキルス胃がん患者...
TRANSCRIPT
-
救える命に繋げてほしい
スキルス胃がん患者 家族会 認定NPO法人 希望の会
理事長 轟 浩美
難治性がん患者家族の想い
-
夫は毎年、検診を受けていた
• 家系に胃がんの者が多かった
• 51歳になり、不調を感じる
• 区の検査で要再検査
• 胃炎と言われる
• 不調が訴え続けたが、
胃炎だから大丈夫と言われ安堵
-
【スキルス胃がんステージⅣ 治療法はありません】
手術不適応 治療は延命です
命は数か月と考えてください
絶望
突然の宣告
-
スキルス胃がん
◦胃がんの多くは 「高分子腺がん」
粘膜の表面に隆起し、ゆっくりと塊を作って大きくなる
◦スキルス胃がんは 「低分子腺がん」
塊を作らず、胃壁の中に「砂に水が浸み込むように」
広がっていく
-
*治療法が確立していない *診療ガイドラインがない
*早期発見が難しく、転移しやすい
*30から40代の女性の罹患者が多い
*胃がんの中に含まれ、スキルス胃がん独自の 統計がない 胃がん全体 133,000人(男性90,000人、女性40,000人)の1割 *胃がんのステージⅣの5年生存率は10%台 スキルス胃がんはほとんどがステージⅣでみつかり、 手術不可能な状態
スキルス胃がんの現状
-
*「がんは治せる」と思っていた
*「予後の悪いがん」という情報しかない
*突き付けられた現実を受け止められない
治療法がないという残酷
-
【何とかして助けたい】
*本当に何もできないのか
*幼子を遺して旅立つかもしれない想い
世の中に溢れる情報に溺れていく
一か八かの賭けのような道を選びがち
-
孤独と知識不足が引き起こしたこと 混乱している心に、新聞の本の広告の大見出しが飛び込んでくる
食事療法、サプリメントの数々
バラエティー番組での【名医】情報、有名人の情報にすがる
時間があると検索。上位が信頼できる情報だと思ってしまう
病気と治療に関する知識があれば避けられた
-
*命はあきらめきれるものではない
科学的な根拠に基づかない治療だと わかっていても、藁をもすがりたくなる
治療法がないと言われても
-
納得ができないという辛さ
*科学的根拠が不十分だと感じていても、
何かしたい
*万が一にかける想い
患者、家族からは、治験、臨床試験は 思いつかない
冷静になれず、目につくもの、耳に入るものに 溺れそうになる
-
臨床研究、自由診療、民間療法の違いがわからない
十分な科学的根拠を有する治療法と そうでない治療法の区別 判断の方法は、なかなかわからない
*ブログなどの、個人的な臨床体験情報を追って 遠隔地の病院や 自由診療の病院に 走ってしまいがち
-
臨床試験を薦められた人がいる!
私たちが臨床試験を知ったのは、治療開始の半年後
臨床試験に入る条件が、【抗がん剤未投与】
最初にどの病院に行くかで、 与えられる選択肢も違っていることに愕然
-
治療に苦慮する難治性がん
「知らなかった」ということが、一番悔しい
自分の毎日に意味を見出したい
-
何のために治療をするのか (夫が遺した言葉) 『スキルス胃がんに適した治療であるかもわからない。
根治は望めない。延命を目的とした治療を、きつくても受けようと思った理由。
それは、遺された家族が悲しむ日が来るのは確実ではあるけれど、
一日でも先延ばしに出来ればという思いです』
それが未来につながるのなら
-
知識がなければ インフォームドコンセントも形だけの可能性
*患者は医師に頼るしかない
*難しい言葉はわからない
*家族の理解も必要
病気を理解すること
薬を理解すること
納得に繋げるためには
-
臨床試験は蜘蛛の糸ではない
◦自分にだけ、特別に魔法が下りてくるわけではない
• 可能性とともに、起こりうるリスクがあることも、 きちんと知るべき
医師の提案に「同意」したのでは後悔にもなりうる。
【納得して自ら選ぶ】 これが後悔を最小限に食い止める道
-
臨床試験への理解を深めよう
難治性であるスキルス胃がんには、臨床試験は納得への道の
ひとつ
厳しい現実から目をそらすのはやめよう
辛くても受け止め、そこから自分で選んだことは後悔を減らす
-
患者申出療養制度、拡大治験などの 勉強会にも参加希望者が集まる
◦知る機会がないだけ
◦知りたい人は
いっぱいいる
◦生きる意味を
みつけたい
-
知ることは力になる!
国立がん研究センターほか 永年、スキルス胃がんに 関わってきた医師 腫瘍内科、緩和医など 多数の医師が監修
現実をみつめた 後悔のない選択へ
-
誰もが適切な治療につながるように
地域、医師の経験や考え方に左右されず
誰もが適切な医療に届く社会になってほしい
標準治療の確立
研究を進めてほしい
-
治療に苦慮するがんへ研究促進を!
がん対策基本法が制定されて10年。 改正がん対策基本法に 難治性がん、希少がん、 小児がんへの対策を!
治療研究への体制が、 救える命を増やす
-
第3期がん対策推進基本計画に 【スキルス胃がん】が明記された!
患者、家族のみならず、遺族の悲願でもある
-
*臨床研究における症例集積が困難
*需要が少ないため、 多額の費用をかけにくい
難治性がん、希少がん研究への遅れ
-
治験情報を誠実に届けたい
*臨床研究に関する情報が平等に
届いてほしい
*患者、家族は難しさ、敷居も感じている
新たな治療法開発のためにも改善を
-
抱いている懸念 ◦有効性を示す成績を下げてしまうことから、「進行胃がん」が対象であっても
【スキルス胃がん】は対象外と言われる
第2相、第3相への参加は断られ続けた
進行胃がんへの承認を受けた薬が、 本当にスキルス胃がんに有効なのか
承認後もフォローし、有害事象に対応し、救える命に繋げてほしい
-
変えられることは変えていく勇気を
変えられることは、変えていく勇気を
変えられないことは、受け入れる強さを
誰もがわかる情報提供
患者からも医療の進歩に協力する
変えられることは
-
第一相試験への参加
自分たちで情報を求め、 病院を訪ねる
第1相試験への参加を視野に、 国立がん研究センター東病院に転院
日本人初投与のチャンスが訪れる
-
CRCさんの見守りで安心
◦いつも医療者が近くにいる安心
誠実な説明が現状把握にも繋がった
承諾をとるために、丁寧なやりとり → 一文ずつ確認
いつも様子を気にしてくれることは心強い
-
確実な創薬を
科学的なエビデンスの集積
安全性、倫理的への担保
全国、誰にでも、どこでも届く治療の開発を確実に
-
大変だったこと
*採血の後に治験管理室に行くために、
抗がん剤投与開始まで、長時間待機
*抗がん剤投与後、一定の時間、病院で過ごす
夜明け前に自宅を出て、自宅に帰りつくのが夜
-
第一相治験からの撤退
*「もう治療がない」ということに向き合うこと
*やめるときも、気持ちを充分に聴いてもらえた
*続けること、やめること、それぞれの先を
納得するまでCRCさんが寄り添ってくれた
-
今のあなたにとって、 より良い治療をしていこう
一回も「出来ない」「限界」という表現はされなかった
命に向き合いながら、 自分の経験が未来の扉を開くと信じて過ごすことができた
【自分】を見てくれ、 共に考えていける存在がいることがうむ
安心
-
治験終了後も、CRCさんが気にかけてくれた
*治験参加時は、何回も血圧や体温を測り、様子を見てくれた
安心があった
*急に医療者との接触が減ってしまったように感じた
忙しい中、意識して、 声をかけてくださったことで救われた
-
◦ 2016年8月 夫が逝去。(54歳)
◦数か月の余命をつげられながら、2年8か月の日々を生きる。
◦死後、 身体は剖検へ
治療、創薬のために、 自らを役立ててほしい
-
今だから言えること
*標準治療があったら、治験に参加しようと思ったか
(治験、臨床試験という言葉への一般的なイメージ)
*心のどこかには、万が一、奏功してくれればという
思いがあった
*命に限りがあるのなら、せめて、意味のある人生に
-
きっとそれぞれの命に意味がある
今まで、治験に参加してくださった人々の命のリレーが、治療を進めている
家族を喪うのは辛い。
今を支えているのは、命のバトンが誰かを救うのだという想い
命は、まだ続いている
-
思いを残すことなく旅立てたのは 納得させてくれた主治医、CRCさんのおかげ
-
◦臨床試験、治験が、未来の扉を開けていく
◦丁寧に向き合っていただいた時間は、
「緩和」の意味も
◦CRCさんが未来の医療を作っていく
CRCさんの存在を 多くの方に知っても
らいたい
-
私たちにできることは、 声を届けること、研究に協力すること
ご清聴、ありがとうございました。
あきらめなければ、必ず 【がんを克服できる未来がくる】