生体を模倣した 抑制型制御システム...1 生体を模倣した...

15
1 生体を模倣した 抑制型制御システム 兵庫県立大学 大学院工学研究科 電気物性工学専攻 准教授 堀田 育志

Upload: others

Post on 16-Oct-2020

4 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 生体を模倣した 抑制型制御システム...1 生体を模倣した 抑制型制御システム 兵庫県立大学 大学院工学研究科 電気物性工学専攻 准教授

1

生体を模倣した

抑制型制御システム

兵庫県立大学 大学院工学研究科

電気物性工学専攻

准教授 堀田 育志

Page 2: 生体を模倣した 抑制型制御システム...1 生体を模倣した 抑制型制御システム 兵庫県立大学 大学院工学研究科 電気物性工学専攻 准教授

2

従来技術とその問題点

• フィードバック制御により現在値(PV)を設定値(SV)の差に応じて出力を変化させ、PVをSVに近づける。

– ON/OFF制御、P制御、PI制御、PID制御など

• 問題点

–突発的な状況変化で不安定化する

–制御のタイムラグやゆらぎによって不安定化する

–パラメータのチューニングが必要

Page 3: 生体を模倣した 抑制型制御システム...1 生体を模倣した 抑制型制御システム 兵庫県立大学 大学院工学研究科 電気物性工学専攻 准教授

3

フィードバック制御の不安定性

大まかに同期してくれればいい

• 何時まで経っても収束しない

• 現在値が発散する

多数の制御対象の協調動作突発的、不連続的、短間隔変化

大まかに安定し、大外れしない

• 制御が安定しない、発散する

• 致命的な誤動作をする

系の状態

制御量

時間

サンプリング間隔

Page 4: 生体を模倣した 抑制型制御システム...1 生体を模倣した 抑制型制御システム 兵庫県立大学 大学院工学研究科 電気物性工学専攻 准教授

4

新技術の特徴・従来技術との比較

• 生体を模倣した抑制型制御を用いることで、“ゆらぎ”という冗長性を持ち、ロバストなシステム制御が可能になった。

• 従来はシステムに応じたパラメータチューニングが必要であった為、多数の対象物制御に不向きであったが、本技術はそれに向いている。

Page 5: 生体を模倣した 抑制型制御システム...1 生体を模倣した 抑制型制御システム 兵庫県立大学 大学院工学研究科 電気物性工学専攻 准教授

5

抑制型制御を実現するハードウェア

単素子を複合化

ノイズを使って回る水車

Page 6: 生体を模倣した 抑制型制御システム...1 生体を模倣した 抑制型制御システム 兵庫県立大学 大学院工学研究科 電気物性工学専攻 准教授

6

ゆらぎ発振器の特徴

緩く位相ロックした発振

ノイズを使った自律発振

-0.02 -0.01 0 0.01 0.02

-0.02

-0.01

0

0.01

0.02

Re

Im

Input : sinAmp : 50 mVFreq : 1 HzNoise : 1 V

Folder : Data 070622/cos-sin 0.050mV1.000Hz1.000mV1.000 Phase.SMP

振幅

位相

10-2 10-1 100 101 102

Frequency (Hz)

Inte

nsity (

arb

. units)

0 1 2 3 4 5

Time (s)

Am

plit

ude

0.4 V

GWN = 0.9 V

1.0 V

1.2 V

1.4 V

1.6 V

GWN = 0.9 V

1.0 V

1.2 V

1.4 V

1.6 V

Y. Hotta et al., Appl. Phys. Express 1, 088002 (2008)

堀田育志 他、 特願2007-215457、 PCT/JP2008/064932

振幅や位相にゆらぎをもつ

Page 7: 生体を模倣した 抑制型制御システム...1 生体を模倣した 抑制型制御システム 兵庫県立大学 大学院工学研究科 電気物性工学専攻 准教授

7

抑制型制御の特徴

ゆらぎを伴い、最終的には目的値に収束する

外部からの入力(摂動)でバランスが崩れ制御量が生じる

L H

L H

L

H

L

H

状態

状態

状態

状態

ポテンシャル

ポテンシャル

制御量

制御量

ノイズ

○センサ情報がない場合

●センサ情報がある場合

ノイズ

積分値が増加する(制御量が変化)

積分値は一定(制御量の変化なし)

時間 時間

Page 8: 生体を模倣した 抑制型制御システム...1 生体を模倣した 抑制型制御システム 兵庫県立大学 大学院工学研究科 電気物性工学専攻 准教授

8

想定される用途

• 多数の機器間で大まかな同期をとる制御用途が考えられ、その場合パラメータ調整が不要になるメリットがある。

• 上記以外に、制御システム自体が作り出す“ゆらぎ”による人に心地よい効果が得られることも期待される。

• アミューズメント機器や空間演出などの用途に展開することが可能と思われる。

Page 9: 生体を模倣した 抑制型制御システム...1 生体を模倣した 抑制型制御システム 兵庫県立大学 大学院工学研究科 電気物性工学専攻 准教授

9

台車制御の例

ノイズ発生器 リング発振器

光センサ

モータドライバ

モータユニット

*光走行性の特性をコンピュータやプログラムを使わないで実現

特願2008-243521

日本経済新聞(平成20年12月7日付日曜版サイエンス欄)日本経済新聞(平成20年8月25日付科学欄)

*光走行性:昆虫が光に向かって進む特性のこと逆に、避けようとするのを負の走行性

経路を自律的に決める

Page 10: 生体を模倣した 抑制型制御システム...1 生体を模倣した 抑制型制御システム 兵庫県立大学 大学院工学研究科 電気物性工学専攻 准教授

10

照明器具への応用

HOTALU : Harmonic Oscillation & Timing LUminous system

Page 11: 生体を模倣した 抑制型制御システム...1 生体を模倣した 抑制型制御システム 兵庫県立大学 大学院工学研究科 電気物性工学専攻 准教授

11

実用化に向けた課題

• 現在、アナログ電子回路による実装が可能なところまで開発済み。後は、どのようなアプリケーションを考えるかが課題。

• 今後、本発明を利用した同期制御や判断処理といった機能化について実験データを取得し、適用範囲の拡大を行っていく。

• 実用化に向けて、より汎用性の高い回路構成、特にデジタル回路への拡張を考える必要あり。

Page 12: 生体を模倣した 抑制型制御システム...1 生体を模倣した 抑制型制御システム 兵庫県立大学 大学院工学研究科 電気物性工学専攻 准教授

12

企業への期待

• 本発明の技術は出口の見えにくいものであるため、共に様々な提案を出し合って試行錯誤していただける企業との共同研究を希望。

• アミューズメントや空間演出イルミネーションなどの事業を持つ企業との共同研究を希望。

• また、本原理を利用するためのプラットフォーム(ハードウェア)開発にご興味のある企業の方はご相談ください。

Page 13: 生体を模倣した 抑制型制御システム...1 生体を模倣した 抑制型制御システム 兵庫県立大学 大学院工学研究科 電気物性工学専攻 准教授

13

本技術に関する知的財産権

・ 発明の名称 :ゆらぎ発振器、信号検知装置、

及び表示装置

・ 出願番号 :PCT/JP2016/074623・ 出願人 :兵庫県立大学、大阪大学

・ 発明者 :堀田育志、神吉輝夫、加藤浩介

Page 14: 生体を模倣した 抑制型制御システム...1 生体を模倣した 抑制型制御システム 兵庫県立大学 大学院工学研究科 電気物性工学専攻 准教授

14

産学連携の経歴

・ 2009年-2010年 JSTシーズ発掘試験A(発掘型)

・ 2015年-2016年 JSTマッチングプランナープログラム

・ 2015年- ゼロバイゼロ社と共同開発

・ 2017年- 大阪大学共同研究ライセンスプログラム

Page 15: 生体を模倣した 抑制型制御システム...1 生体を模倣した 抑制型制御システム 兵庫県立大学 大学院工学研究科 電気物性工学専攻 准教授

15

お問い合わせ先

兵庫県立大学 産学連携・研究推進機構

知的財産本部

知的財産コーディネーター 宮武 範夫

TEL 079-283-4560

FAX 079-283-4561

e-mail miyatake@hq.u-hyogo.ac.jp