第1 章...

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表面筋電位 © 2007 E. Peper, K.H. Gibney, H. Tylova , R. Harvey & D. Combatalade 09/24/07 1 1 : 表面筋電位(SEMG推薦図書 Biofeedback Tutor CD Core: Psychophysiology, Electricity Anatomy: Skeletal Muscles Clinical: Musculoskeletal, Neuromuscular 文献 Cram, J. (2003). The history of Surface electromyography. Applied Psychophysiology and Biofeedback, 28(2), 81-91. Kasman, G.S. (2002). Using Surface electromyography. Rehab Management The Interdisciplinary Journal of Rehabilitation. January. http://www.rehabpub.com/ltrehab/12002/5.asp Whatmore, G.B., & Kohli, D.R. (1979). Dysponesis: A neurophysiologic factor in functional disorders. In E. Peper, S. Ancoli, & M. Quinn (Eds.), Mind/body integration. New York: Plenum, 379-410. Peper, E. (1979). A beginner’s behavioral test guide to biofeedback instrumentation. Adapted from E. Peper, S. Ancoli, & M. Quinn (Eds.), Mind/body integration, New York: Plenum, 231-235. はじめに 筋活動を電気信号として記録する方法は 1930 年代からすでにあり、一般に筋電位 EMG)と呼ばれていました。筋電位測定には、筋肉の電気的活動を針やワイヤー電 極で筋肉組織から直接記録する方法と、皮膚表面の電極から間接的に記録する方法があ ります。皮膚の表面から筋活動を記録する場合、表面筋電位(SEMG)と言います。当 初、筋電位は神経筋疾患の確定診断法や基礎研究用の一手法として使用されていました。 Basmajian & DeLuca, 1985)これよりさらに前の 1950 年代に 2 人の医師、シアトルの George Whatmore とロサンゼルスの Alberto Marinacci が筋電位をバイオフィードバック に使い始めました。Whatmore は様々な患者の体の複数の位置から筋活動を記録しまし た。Whatmore は、数多くの筋肉が、通常患者自身も気づかないうちに過剰に緊張して いることに気づきました。彼の臨床治療プログラムは、患者に筋肉の不適切な緊張を防 ぎ正す方法を教えることで全身の緊張レベルを下げることに焦点をあてていました。 Whatmore Kohli の協力のもと 621 年間の追跡調査(平均 13.4 年)を行い、長期に わたる臨床効果の維持が、わずかな筋緊張の変化に気づき自分でそれをコントロールで きる能力を治療終了時に習得していたかどうかということと密接な相関があるというこ とを発見しました。(Whatmore & Kohli, 1974) これとは別に、神経科医の Alberto A. Marinacci 1968)は、筋電位(EMG)フィードバックをリハビリテーションに応用し、 脳梗塞、ベル麻痺(顔面神経麻痺)、ポリオといったさまざまな神経筋疾患による運動 機能障害の著しい改善を報告しました。

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表面筋電位

© 2007 E. Peper, K.H. Gibney, H. Tylova , R. Harvey & D. Combatalade 09/24/07

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第 1章: 表面筋電位(SEMG)

推薦図書

Biofeedback Tutor CD

Core: Psychophysiology, Electricity

Anatomy: Skeletal Muscles

Clinical: Musculoskeletal, Neuromuscular

文献

Cram, J. (2003). The history of Surface electromyography. Applied Psychophysiology and Biofeedback, 28(2), 81-91.

Kasman, G.S. (2002). Using Surface electromyography. Rehab Management The

Interdisciplinary Journal of Rehabilitation. January.

http://www.rehabpub.com/ltrehab/12002/5.asp

Whatmore, G.B., & Kohli, D.R. (1979). Dysponesis: A neurophysiologic factor in functional disorders. In E. Peper, S. Ancoli, & M. Quinn (Eds.), Mind/body integration. New York:

Plenum, 379-410.

Peper, E. (1979). A beginner’s behavioral test guide to biofeedback instrumentation. Adapted

from E. Peper, S. Ancoli, & M. Quinn (Eds.), Mind/body integration, New York: Plenum,

231-235.

はじめに

筋活動を電気信号として記録する方法は 1930年代からすでにあり、一般に筋電位

(EMG)と呼ばれていました。筋電位測定には、筋肉の電気的活動を針やワイヤー電

極で筋肉組織から直接記録する方法と、皮膚表面の電極から間接的に記録する方法があ

ります。皮膚の表面から筋活動を記録する場合、表面筋電位(SEMG)と言います。当

初、筋電位は神経筋疾患の確定診断法や基礎研究用の一手法として使用されていました。

(Basmajian & DeLuca, 1985)これよりさらに前の 1950年代に 2人の医師、シアトルの

George Whatmoreとロサンゼルスの Alberto Marinacciが筋電位をバイオフィードバック

に使い始めました。Whatmoreは様々な患者の体の複数の位置から筋活動を記録しまし

た。Whatmoreは、数多くの筋肉が、通常患者自身も気づかないうちに過剰に緊張して

いることに気づきました。彼の臨床治療プログラムは、患者に筋肉の不適切な緊張を防

ぎ正す方法を教えることで全身の緊張レベルを下げることに焦点をあてていました。

Whatmoreは Kohliの協力のもと 6~21年間の追跡調査(平均 13.4年)を行い、長期に

わたる臨床効果の維持が、わずかな筋緊張の変化に気づき自分でそれをコントロールで

きる能力を治療終了時に習得していたかどうかということと密接な相関があるというこ

とを発見しました。(Whatmore & Kohli, 1974) これとは別に、神経科医の Alberto A.

Marinacci(1968)は、筋電位(EMG)フィードバックをリハビリテーションに応用し、

脳梗塞、ベル麻痺(顔面神経麻痺)、ポリオといったさまざまな神経筋疾患による運動

機能障害の著しい改善を報告しました。

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Whatmore, Kohli, Marinacciといった医師達により何年もの間バイオフィードバック技術

が使われ、実際に成果が上がっていましたが、バイオフィードバックのコンセプトと手

法が広く使われるようになったのは 1960年代後半になってからです。一般的バイオフ

ィードバックの分野、特に治療目的の筋電位測定(EMGバイオフィードバック)の分

野が学問的に評価されるようになったのは、John Basmajian博士の独創的な研究が大き

く影響しています。Basmajianは 1963年に単一運動単位(SMU)の制御が可能である

ことを証明しました。具体的には、Basmajianの研究対象者がフィードバック訓練によ

り、単一の筋ニューロンをコントロールできるようになったのです。

バイオフィードバックの臨床応用として筋電位が有用だと広く受け入れられるようにな

ったのは、Thomas Budzynski, Johann Stoyva, Charles Adler (1970)らが EMGフィードバッ

クを用いた緊張型頭痛治療の成功を報告してからです。この時以降、緊張型頭痛だけで

なく様々な運動障害の治療法として EMGフィードバックは薬や手術によらない治療法

として認められるようになりました。Budzynski, Stoyva, Adlerによる研究(1970)は、生

理機能の自己コントロールというコンセプトを科学界が受け入れる移行期とちょうど時

を同じくしていました。これは、自分の生理機能に関する情報をリアルタイムで知るこ

とで、患者自身が生理機能の随意コントロールを学習することができ、その結果健康状

態を好転させることが可能となるというものでした。科学界におけるこの変化は、電子

技術の進歩によって実現しました。もはや生理信号は研究室の装置に限定されない携帯

機器で記録できるようになり、例えば「ファラデー箱」のように対象者を電気的に遮蔽

された部屋へ収容しなくてもよくなったのです。この時から、EMGを使っての科学的

調査と治療への応用は発展を続け、多くの教育や臨床分野において、バイオフィードバ

ック単独で、もしくは認知行動療法やその他のカウンセリング形態、誘導イメージ法、

漸進的筋弛緩法、瞑想といった技術と組み合わせての応用がなされてきました。また、

スポーツや音楽領域における教育指導者達は、最高の能力(ピーク・パフォーマンス)

を発揮できるトレーニング法として、臨床医達は脳梗塞後の筋リハビリテーションとし

て EMGフィードバックを取り入れてきました。(Swartz & Andrasick, 2004; Criswell,

1995) 科学的手法に基づく EMG研究により、以下のような多くの疾患への応用が可

能であることが明らかになりました。(Yucha & Gilbert, 2004)

不安 (Hiebert & Fitzsimmons, 1981; Hurley & Meminger, 1992)

反復動作性障害(RSI)(Peper et al., 2003; Peper, Gibney, & Wilson, 2004)

脳性麻痺のリハビリテーション治療、ジストニア、脊髄損傷、脳梗塞 (Colborne,

Wright & Naumann, 1994; Deepak & Behari, 1999; Brucker & Bulaeva, 1996)

頭痛 (Arena et al., 1995; Moreland, Thomson & Fuoco, 1998)

線維筋痛症 (Donaldson, Sella, & Mueller, 1998)

顎関節症(TMD)(Crider & Glaros, 1999)

尿失禁 (Burgio, Locher & Goode, 2000)

表面筋電位の臨床応用の第一人者である Glen Kassman (2002)は、理学療法士の立場か

ら次のように述べています。

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「EMGの記録は非侵襲性であり無痛である。臨床医は筋肉の運動機能評価から病因の

推定を行うために SEMGを取り入れている。理学療法士は SEMGを集学的アプローチ

として運動機能障害の治療に用いてきた。心理士は、精神生理学的に過剰な覚醒状態が

起因する諸問題の治療に SEMGを採用している。作業療法士は機能的作業分析に

SEMGを取り入れている。リハビリテーション看護師やセラピストは SEMGのフィー

ドバックを骨盤底筋群機能障害による失禁の治療に使用している。リハビリテーション

科医、整形外科医、神経科医なども、筋活動に影響を与える薬物療法や外科治療の効果

を判定したり、運動障害の程度をより正確に診断したりするために SEMGの手法に関

心を持つであろう。」

表面筋電位測定の生理学的基礎知識

表面筋電位検査(SEMG)は筋肉が収縮する際に発生する生体電気活動を測定します。

皮膚表面で記録されるこの電気信号は、同時に放電する多くの運動単位の総合的な活動

を示しています。

運動単位とは、横紋筋(自己制御下にある骨格筋)の機能単位で、図 1.1で図解されて

いるように一個の運動ニューロン(一個の神経細胞)に支配されている横紋筋細胞の集

合からなっています。一個の運動ニューロンの活性化がそのニューロンの支配下にある

全ての筋肉細胞の収縮の発端となるのです。この活性化がニューロンと筋肉細胞周辺の

電位の変化を伴う筋肉収縮を引き起こします。EMG信号の基礎となっているのは筋肉

細胞の生体電位の変化です。シグナルの強度(振幅)は同時に活性化された運動単位の

数と正比例します。言い換えれば、活性化された筋肉細胞単位が多いほど信号の振幅と

筋収縮の度合いが大きいことになります。従って、EMG信号は筋活動を目に見える形

で示すものとして使われるのです。微細運動が必要な場合、例えば目の動きなどは 25

個の筋肉細胞が一個の運動ニューロンによって支配されています。その一方で、大腿四

頭筋などのようなもっと大きな筋肉の動きのためには数百もの筋細胞を 1個の運動ニュ

ーロンが支配することになります。

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図 1.1. 一個の運動単位は 1つの神経細胞と複数の筋肉細胞から構成される

SEMG電極

電極は筋肉から発生する電気信号を記録するためのものです。種類の違う 2タイプの電

極(針電極と表面電極)を記録に使うことができます。針電極は筋肉に直接差し込んで一個の運動単位の活動を測定するのに使われます。表面電極は皮膚の表面で記録される筋収縮を測定します。表面電極によって記録された筋活動は、測定中の電極の下も

しくは電極間にある大量の筋肉からの統合された電気活動です。この実習テキストでは、

表面電極を用いた方法を行います。

電極のサイズや形は様々ですが、通常活性電極が 2個(筋腹といった電気的に活性の組

織に置かれます)と基準電極が 1個(骨などのように電気的に不活性な中性の組織上に

置かれます)が記録に使用されます。

電極の置き方は 2種類あります。一つは特定の筋肉の動きを記録するためにトライオ-ド™電極を使用し狭い間隔で置く方法、もう一つは電極用リード線を使って広い間隔で電極を置き、複数の筋肉から記録をとる方法です。

トライオ-ド™電極による狭い間隔で置く方法のメリットはよりピンポイントな記録が取れることだけでなく、装着が簡単にできること、電極用リード線を使用しないので

その影響(アーチファクト)を受けないことということがあげられます。この種の記録

法は主動筋(主に動作を始める際に動く筋肉)であれ、拮抗筋(主動筋と反対の動きをする筋肉)であれ特定の筋肉を観察・訓練するのに非常に有効です。

電極用リード線を使った広範囲電極配置法のメリットは、同時に複数の筋肉が観察できることです。これは、トレーニーの体のより広範囲な部位が、いつリラックス状態に

あるか、逆にいつ課題に不要な筋肉緊張が起こっているかを確認するのに有用です。ト

神経細胞(運動ニューロン)

脊髄

筋肉細胞

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レーニーがリラックスしようとしているにもかかわらず、筋活動が継続的に存在する場

合は、電極を狭い間隔で置けば活性化している筋肉を突き止めることができます。

SEMG 信号に影響を与える要因

記録された SEMG信号は、活性電極の下及び電極間の全ての電気活動を合わせたもの

です。SEMG信号は、当該の範囲における実際の生理的 SEMG信号および生体電気信号(心拍など)とともに、電極/皮膚接触面の動き、電磁場内で動く電極電線による誘導電流、測定場所の既存電気信号(例:50 または 60 Hzの交流電源)などから発生

する非生体電気信号が含まれます。SEMG 記録に筋肉の活動の結果と無関係な電気的

信号が見られる場合、不要なアーチファクトとして解釈します。

SEMGで記録する筋肉の電気的信号の振幅(例:強度)は、筋肉の収縮の度合いだけで

なく、信号が電極に到達するまでの距離によって決まります。一般的に、収縮した筋肉

が表面に近いところにある場合の信号は、筋肉と皮膚の間に脂肪組織がある場合よりも

強くなります。

電極の配置と同様、活性電極間の間隔もまた電気信号の振幅に影響を与えます。例えば

図 1.2 で示すように、2つの電極が非常に近く置かれる場合、電極がずっと離れて置か

れるよりも信号は小さく、アーチファクトは少なくなり、電極の下の測定する領域はよ

り小さくなります。さらに、2 つの活性電極が測定する筋腹に、筋線維にそって平行に、

筋腹のおよそ 1/3 と 2/3 の間隔に置かれるとき、電気信号は通常最も大きくなります。

例えば筋肉の長さが 9 cmの場合 、筋肉の起始(動かない骨への筋肉の接続部)からおよ

そ 3 cmの場所に 1つの活性電極を置き、もう 1方の活性電極を筋肉の停止部(動く骨への筋肉の接続部、収縮により起始の方に動く部分)からおよそ 3 cmの場所に置きます。

同様に、筋肉の長さが 5 cmの場合 、筋肉の起始からおよそ 1.6cmの場所に 1つの活性

電極を置き、もう 1 方の活性電極を筋肉の停止部からおよそ 1.6 cm の場所に置きます。

Electrode lead artifact Toe movement

Wide electrode

placement

Narrow electrode

placement

広範囲測定

電極配置法

電極線のアーチファクト つま先の動き

狭間隔電極配置法

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図 1.2. 電極の間隔が広い場合と狭い場合を右前脛骨筋から記録した場合の比較。トライオード™ 電極(2つの活動的電極間隔を 2 cmとする)を右前脛骨筋中央に

置き、一方には電極用リード線を使って電極を(2つの活動的電極間隔を 12 cm

とする) 右前脛骨筋の 1/3 と 2/3の場所に設置します。電極間隔が広い場合より

も狭い場合の記録の方が SEMG の振幅が小さく、アーチファクトが少ないこと

に注目。

SEMG 信号は多くの異なる筋肉の活動を表す場合があります。つまり非常に狭い電極

間(2つの電極の間隔)の間隔(1cm)で設置しなければ、または、電極を特定の筋肉に

直接取付けられなければ、SEMG電極は同じ領域にある 2つの筋肉を区別することがで

きないことを意味します。

残念ながら、特定の筋肉上に複数の電極を置くことは不可能な場合が多いです。通常筋

肉の上下には別の筋肉が重なっているためです。とはいえ複数の筋肉からの集約信号を使用することは可能です。これは測定する領域でのリラクセーション訓練に有用な場合もあります。特定の筋肉か複数の筋肉からの記録かどうかにかかわらず、筋緊張の記録を見ればいつリラックスし、いつリラックスしていないかがわかります。

例えば、前腕の筋緊張の程度を評価するためには、前腕の屈筋群および伸筋群の電気活

動を集約して記録します。この場合、指や手首の過屈曲・過伸展をすると SEMG活動

が見られます。とはいえ、どの筋肉が全体的な SEMG活動に関わっているかを特定することは不可能です。

同一のトレーニーに繰り返し SEMG測定を行うとかなり安定した記録が得られます。

つまり、特定の測定位置からの SEMG 信号の振幅は、もしトレーニーが意識的に筋肉

の緊張を変えようとしなければ、記録の回数によらず同じ振幅であるということです。

しかし、別のトレーニーに同じ手順で測定を行った場合、筋肉の収縮は微妙に異なるで

しょう。言い換えると、任意の筋肉の収縮に絶対的な信号振幅(正常値)はないという

ことです。個々のトレーニー間で比較できる唯一の筋電位活動は、筋収縮のない信号振

幅が0の状態です。SEMGは、筋収縮時に一定の傾向を持つ振幅として観察されますが、

個々のトレーニーごとに異なったパターンを示すという極めて個別性の高いものなので

す。

信号処理

センサーを使って測定された生理機能の生データは、そのままではほとんど役に立ちま

せん。その生データ中に含まれる情報(雑音など)が多すぎるため、役に立つ情報を得

るためには何らかの数学的処理を行う必要があるのです(心電計の信号から心拍数を抽

出する、など)。最も一般的なバイオフィードバックの機能には増幅、フィルタリング、

平均化があります。さらに記録された信号は通常定量化して表示され、視覚的・聴覚的

フィードバック(例:グラフ、アニメーション、音や音楽など)として使用されます。

信号処理についてのさらに詳しい説明は推薦図書やその他の資料に記載されています。

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増幅 (帯域)

皮膚で記録した EMG 信号 は非常に微小なもので、通常、約 100万分の 1ボルト (マイ

クロボルト、µVと表示)で測定されます。その結果、信号を処理するためには、図 1.3.

のようにまず増幅しなければなりません。しかし、対象となる筋活動信号を増幅すると、

電極が感知する他の電気信号もすべて増幅されてしまいます。この筋肉信号増幅とよく

似た例は、人がマイクに向かって話す場合です。話者の声が増幅されるだけでなく、雑

音など不要なものまでマイクが拾ってしまうのです。

図 1.3. 記録信号を 4倍増幅させたもの。左がもとの信号、右が増幅後の信号。

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フィルタリング

記録された信号は、筋肉から発生する生体電気信号、電極・電線内自体から発生する環

境からの電気信号、および付近で発生するその他の生体電気信号 (例:心拍など)などの

電位の集合体です。筋肉から発生する電気信号以外の、電極の下あるいは電極間で記録

される信号は、すべてアーチファクトと見なされます。そのようなアーチファクトを排除するために、信号をフィルタにかけることができます。フィルタリングにより、必

要なある一定の範囲の周波数だけを残して、その他はすべて排除することができます。

アーチファクトをフィルタで除去するには帯域通過フィルタを使用します。機器の製造

メーカーによって、固定式と可変式のどのタイプの帯域通過フィルタを採用しているか

が違ってきます。可変式帯域通過フィルタには 2タイプあり、ハードウェア式アナログ・フィルタでは実際の電子回路が変更されます。またデジタル・フィルタではフィルタのパラメータはソフトウェア的に設定されます。いずれの場合も、設定されたカッ

トオフ周波数帯域より低域の信号と高域の信号はすべて除去されます。

帯域通過フィルタソフトウェアには必ず高帯域通過フィルタ設定が含まれており、設定周波数値以上の信号をすべて記録しそれ以下の信号を除去します。同様に、低帯域通過フィルタ設定により設定周波数値以下の信号をすべて記録し、それ以上の信号をすべて除去します。この2つの周波数を設定することで、その間に含まれる信号だけを

記録するのです。実際のカットオフ周波数は、フィルタの種類がアナログかデジタルか

によって異なります。アナログフィルタは電子回路式のハードウェアフィルタであるた

め、 設定周波数の上下の周波数を徐々に減衰します。デジタルフィルタはソフトウェ

アフィルタで、設定周波数を境に即座に除去します。例えば、狭帯域通過フィルタは

通常 100 ~ 200 Hz の間に設定され、心電図によるアーチファクト周波数を除去します。

この場合、高帯域通過フィルタは 100 Hz に設定され、(この設定値以下の周波数をす

べて通過させる)低帯域通過フィルタは 200 Hz に設定されます(この設定値以上の周

波数をすべて通過させる)。この帯域通過フィルタ設定をすると、図 1.4.に示すように、

100 Hz 以下と 200 Hz以上の周波数が表示されなくなります。つまりこのフィルタ設定

により、100 Hz 以下であれば筋肉の収縮は表示されなくなります。その結果、実際は

収縮しているのに筋肉が弛緩しているように見える場合があります。広帯域通過フィルタの帯域幅は通常 20 ~500 Hzに設定され、心電図信号はほとんど除去されずに一緒

に測定されてしまいます。

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図 1.4. 100 Hz 高域フィルタと 200 Hz 低域フィルタを備えた デジタル帯域通過フ

ィルタを使ってフィルタリングを行った様子。帯域通過フィルタの範囲内の周波

数だけが通過していることに注目。

一般的に記録に最適なのは広帯域通過フィルタです。ただし僧帽筋と斜角筋に電極を装

着する広範囲電極配置法による測定では心電図記録のアーチファクトを除去する必要が

あるため、広帯域通過フィルタは適していません。

ほとんどの機器には 50 または 60 Hz ノッチフィルタが搭載されており、遍在する 100

ボルトの交流電源からの電気コードにより発生する 50 または 60 Hzアーチファクト を

除去します。

平滑化

信号の平均化とは、フィードバック画面上に一定時間の平均値が表示されるという意味

です。移動平均は 直前の数秒間の平均値であり、データは常に更新されています。信

号が瞬時的に絶えず変化し続けている場合、平滑化を行うことで記録された急峻な信号

の山と谷をなだらかな波に変えます。通常、平滑化は信号の高周波成分をフィルタにか

けることによって行います。平滑化の効果の一例を図 1.5に示します。

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図 1.5.記録した信号の平滑化

実際の患者の記録からとった平滑化の例を図 1.6.に示します。

Smoothing

Set at 64

Smoothing

Set at 8

Smoothing

OFF

図 1.6. 信号画面上に示される平滑化の効果。この図は左 斜角筋から右上部僧帽筋まで

広範囲測定電極配置法の SEMG記録を示す。平滑化の値が高くなるほど高周波数成分

がより排除される。

周波数スペクトル解析

周波数スペクトル解析は、生 EMG信号を高速のフーリエ変換(FFT) により処理するこ

とで、時間領域信号(時間分布値) を周波数領域信号(周波数分布値) に変えるものです。

FFT の計算出力は、処理される時間窓のサイズによって決まる最低周波数値と、特定の

信号のタイプに使用するサンプリングレートによって決まる最大周波数値の間の周波数

の棒グラフ(スペクトルとも呼ばれる) の分布で表示されます。毎秒 2048サンプルの割

合で抽出された 1 Hz~500 Hzの周波数帯域の EMG生データの1秒間分が、一本の周波

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数スペクトラムとして表示されます。多くのバイオフィードバックシステムはスライデ

ィング時間ウィンドウを使用し、1秒間に何回もこの過程を繰り返します。FFT プロセ

スの実例を図 1.7a 及び 1.7b に示します。

図 1.7a ・b 上のグラフは、異なる2つの周波数の正弦波信号(左)が、1 つの「生」

信号(右)として合わさった状態。下の図は、2つの周波数成分が含まれている一つの

時間領域信号の生データ(左)が、周波数領域に変換され 2つの周波数を示す棒グラフ

として表示(右)されている。

図 1.7bでは、各周波数の棒グラフ の高さがそれぞれの元の波の振幅の大きさと比例関

係にあるということを示しています。(マイクロボルト表示ではない) FFT と関連する

もう一つの一般的な信号処理方法はパワースペクトルといい、FFT処理の結果を二乗し

た大きさの値として出力します。二乗することによって各周波数間の大きさのわずかな

違いもより明白になるので有用です。他にも周波数領域にすることで様々な解析をする

ことができます。例えば周波数中央値からは筋肉疲労に関する情報が得られます。

整流

BF訓練では上記のような EMG生信号を直接使用することはまずありません。周波数

の変化が非常に大きい両極信号であるためです。BFで EMG信号を使う場合、ある種

の振幅包絡線に変換することで観察し易くなります。これは常に正の数値で、時間ごと

に筋肉収縮 の強さに比例して変化します。この処理を行う方法は数多くありますが、

もっとも一般的なものは Peak-to-Peak法と二乗平均平方根 (RMS) です。 Peak-to-Peak法

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は EEG 信号(脳波)を処理する時に一般的に用いられます。RMS は EMG 信号の処理

方法として用いられます。

図 1.8.a 及び 1.8b にこれらの処理方法を説明しています。

図 S 1.8a ・ b. Peak-to-Peak 法は両極信号の連続的な「波」の山から谷までの振幅を各

周期毎に計算する。RMS は、両極信号のマイナス側の波形をプラス側に折り返すこと

で 整流し、さらに連続した山の平均を取り平滑化された波にするという複雑なプロセ

スを要する。 Peak-to-Peak法により出力される振幅は RMSによる場合の 約 2倍の大き

さとなる。また、RMSによる値 は Peak-to-Peak法のおよそ 0.354 倍に等しい。

フィードバック画面と閾値

特定の筋肉から筋電位を記録すると、記録された信号は折れ線グラフとしてコンピュー

タ画面に直接表示されます。収縮が強くなるとグラフの線が上がり、筋肉が弛緩すると

下がります。さらに、記録された信号が意味する変化(弛緩・緊張)をより直観的に理

解できるように、測定信号をアニメーションによる笑顔の変化といった視覚的フィード

バック、音や音楽などの聴覚的フィードバックや、振動や揺れといった感覚的フィード

バックなどに変換することもできます。

閾値の設定は、 筋電位の振幅がある一定の値以上または以下になった時にフィードバ

ック信号を発生させたい時に行います。例えば、トレーニーの前腕伸筋群を弛緩させる

トレーニングを行う場合、筋緊張が 3 V以上になった場合にのみ、音などの聴覚信号

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によるフィードバックが発生するように閾値を設定することで、意識的なリラクセーシ

ョンの練習を行うことができます。

終わりに

本章では、筋電位バイオィードバックを理解するために必要な筋電位測定の基本につい

て概説しました。ここで述べている内容は、本テキスト全体を通して共通した重要な事

項や考え方を含んでいるため、最初の項目として選びました。そのため、実際の筋電位

の理論と概念についてはここではごく簡単にしか説明しておりません。より理解を深め

知識を増やすためには、ぜひ参考図書を精読されるようお勧め致します。

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推奨ウェブサイト

http://www.med.umich.edu/lrc/Hypermuscle/Hyper.html

Superb illustration of muscle movement

http://www.nlm.nih.gov/medlineplus/encyclopedia.html

Medical encyclopedia with excellent illustrations