第28 回日本心血管インターベンション治療学会九...

62
28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会 ―第 3 回冬季症例検討会― プログラム集

Upload: others

Post on 05-Apr-2020

24 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

第 28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会 ―第 3 回冬季症例検討会―

プログラム集

Page 2: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

第 1 会場:第 1.2 会議室 9:00~9:52

左主幹部病変・分岐部病変 1 座長 貞松 研二 (聖マリア病院) 村里 嘉信 (九州医療センター) コメンテーター 中田 円仁 (那覇市立病院) 室園 祐吉 (大分赤十字病院)

MO01 左主幹部病変に対する冠動脈粥腫切除術により、良好なステント留置を施行し

えた 1 例 福岡市民病院循環器内科 ○中野 正紹、大坪 秀樹、甲斐 敬士、前園 明寛、有村 貴博、弘永

MO02 当院における DCA+DCB strategy による新しい stentless PCI の有効性 宮崎市郡医師会病院循環器内科 ○本田 泰悠、小岩屋 宏、松浦 広英、西平 賢作、栗山 根廣、柴田

剛徳

MO03 左冠動脈前下行枝 Seg6 入口部の de novo 病変に対して DCA+DCB 治療を行った

症例 九州大学病院 循環器内科 ○仲野 泰啓、上徳 豊和、林谷 俊児、的場 哲哉、筒井 裕之

MO04 術前の左冠動脈主幹部分岐部病変に対し方向性粥腫切除術で加療を行った一例 国立病院機構 九州医療センター ○北村 知聡

Page 3: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

第 1 会場:第 1.2 会議室 9:52~10:44

左主幹部病変・分岐部病変 2 座長 中島 均 (鹿児島医療センター) 弘永 潔 (福岡市民病院) コメンテーター 黒木 一公 (宮崎県立延岡病院) 宮本 宣秀 (大分岡病院)

MO05 無症候性左中大脳動脈閉塞および左右頚動脈狭窄のある LMT+3 枝病変のある

不安定狭心症に対して PCI を施行した一例 九州労災病院 循環器内科 ○長谷川 潤、赤司 純、山岸 靖宜、久原 孝博、高津 博行

MO06 DCA が有効であった LAD 分岐部病変の 1 例 福岡県済生会福岡総合病院 ○権藤 公樹、末松 延裕、長友 大輔、野副 純世、大井 啓司、久保

田 徹、岡部 眞典、山本 雄祐

MO07 バイパス閉塞による狭心症に対して左冠動脈主幹部の慢性完全閉塞病変に対し

て PCI を施行した一例 国立病院機構 九州医療センター ○福山 雄介、村里 嘉信、北村 知聡、福田 翔子、芝尾 昂大、荒木

将裕、浦 祐次郎、目野 恭平、矢加部 大輔、小村 聡一朗、森 隆宏、

竹中 克彦、沼口 宏太郎

MO08 左主幹部,左前下行枝の二箇所のTrue bifurcationに対して Jailed balloon techniqueが有用であった一例

沖縄県立南部医療センター・こども医療センター ○勝連 朝史、大城 克彦、槇田 徹、平良 良集、宮良 高史、田場 洋

二、當真 隆

Page 4: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

第 1 会場:第 1.2 会議室 10:40~11:50

パネルディスカッション 「カテーテルインターベンションの医療安全」 座長 原田 敬 (北九州市立八幡病院)

横山 晋二 (久留米大学) パネリスト 三浦 俊哉 (産業医科大学) 小岩屋 宏 (宮崎市郡医師会病院) 泉川 卓也 (泉川病院) PD01 備えあれば憂い無し! インターベンション医が知っておくべき医療安全総論 北九州市立八幡病院 原田 敬

PD02 当院におけるカテーテルインターベンション時の IC とカルテ記載の取り組み 産業医科大学 三浦 俊哉

PD03 当院における緊急カテ前の Informed Consent; どのように IC をしていますか? 宮崎市郡医師会病院 小岩屋 宏

PD04 地方における高齢者への術前 IC について 泉川病院 泉川 卓也

PD05 術前 IC と医療事故報告 久留米大学医学部 横山 晋二

Page 5: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

第 1 会場:第 1.2 会議室 13:00~14:52

Young Investigator Award 座長 上野 高史 (久留米大学病院)

挽地 裕 (佐賀大学医学部附属病院) 審査員 岩淵 成志 (琉球大学大学院) 古賀 久士 (新古賀病院) 園田 信成 (産業医科大学)

YIA1 STEMI に対する 6Fr システムの PCI で GUIDEPLUS による血栓吸引が有効であ

った 1 例 出水総合医療センター 循環器内科 1)

出水総合医療センター 臨床工学科 2)

福岡大学医学部 心臓血管内科学 3)

福岡大学西新病院 循環器内科 4)

熊本労災病院 循環器内科 5) ○則松 賢次 1)、吉本 圭介 2)、楠元 孝明 1)、桑野 孝志 3)、西川 宏明

4)、松村 敏幸 5)

YIA2 Rotablation 後の IVUS が合併症予測に有用であった高度石灰化病変の一例 那覇市立病院 循環器内科 1)

浦添総合病院 2) ○中田 円仁 1)、横田 尚子 1)、比嘉 南夫 1)、間仁田 守 1)、旭 朝弘 1)、

田端 一彦 1)、上原 裕規 2)

YIA3 冠動脈 CT による偏在性石灰化病変の情報がワイヤー通過に有用であった左冠

動脈前下行枝の慢性完全閉塞症例 福岡市民病院 循環器内科 ○有村 貴博、弘永 潔、甲斐 敬士、前園 明寛、長山 友美、中野 正

紹、大坪 秀樹

YIA4 IMPELLA2.5 による顕著な急性溶血性貧血を来した院外心肺停止患者の 1 救命

例 済生会熊本病院 心臓血管センター 循環器内科 ○菊池 保宏

YIA5 The Successful Case of Endovascular Treatment to SFA-CTO after Bypass Graft Occlusion.

福岡大学病院循環器内科 ○矢野 祐依子、杉原 充、桑野 孝志、池 周而、岩田 敦、三浦 伸

一郎

YIA6 ステント脱落に際し、double guide と double balloon anchor technique により回収

できた一例 熊本大学 循環器内科学 ○高江 将史、坂本 憲治、本里 康太、高潮 征爾、山本 英一郎、海

北 幸一、辻田 賢一

Page 6: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

YIA7 急性冠症候群に対する日本型 primary PCI~血栓吸引、PIT、末梢保護、direct stenting について~

宮崎市郡医師会病院 心臓病センター 循環器内科 ○松浦 広英、本田 泰悠、小岩屋 宏、栗山 根廣、柴田 剛徳

Page 7: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

第 1 会場:第 1.2 会議室 15:45~16:37

合併症・Bailout 1 座長 下村 光洋 (嬉野医療センター)

野田 勝生 (熊本中央病院) コメンテーター 有川 雅也 (大分医療センター) 片岡 哲郎 (鹿児島医療センター)

MO09 左冠動脈前下行枝ステント留置後に第一対角枝が閉塞し、術後 10 日目に乳頭筋

断裂を来した 1 例 小倉記念病院 ○諸藤 徹、蔵満 昭一、今田 一彰、廣正 聖、山地 杏平、道明 武

範、曽我 芳光、兵頭 真、白井 伸一、安藤 献児

MO10 左冠動脈主幹部へ留置したステントが大動脈内へ突出し、スネアにて回収し得

た一例 久留米大学病院 心臓・血管内科 ○山路 和伯、鍵山 弘太郎、石松 高、石崎 勇太、佐々木 雅浩、板

家 直樹、仲吉 孝晴、大塚 昌紀、横山 晋二、佐々木 健一郎、福本

義弘、上野 高史

MO11 OFDI のスタックによるステントの変形短縮をベイルアウトした症例 天陽会中央病院 循環器内科 ○北園 和成、高岡 順一郎、有村 俊博、下野 洋和、二宮 登志子、

井上 尊文、加治屋 崇、厚地 伸彦、宮村 明宏、厚地 良彦

MO12 PCI 中に生じた冠動脈解離に対して Cutting balloon を使用して bail out した 2 症

例の検討 長崎みなとメディカルセンター ○福嶋 理知、谷 真太郎、鍬先 重輝、武藤 成紀、古殿 真之介、竹

下 聡、中嶋 寛

Page 8: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

第 1 会場:第 1.2 会議室 16:37~17:29

合併症・Bailout 2 座長 竹本 真生 (宗像水光会総合病院) 松村 敏幸 (熊本労災病院) コメンテーター 坂本 憲治 (熊本大学医学部附属病院)

松浦 広英 (宮崎市郡医師会病院)

MO13 対角枝プロテクションワイヤーがステント留置後に解れて断裂し回収に難渋し

た一例 福岡東医療センター 循環器内科 1)

福岡東医療センター 血管外科 2) ○仲村 尚崇 1)、出石 さとこ 1)、木佐貫 恵 1)、細谷 まろか 1)、中司 元

1)、郷原 誠一郎 1)、小池 明広 1)、隈 宗晴 2)

MO14 ステントによる冠動脈穿孔に対し perfusion balloon を用いて止血に成功した一

例 中津市立中津市民病院 ○久米 治、平林 優朗、小路 高史

MO15 断裂した植込みポートカテーテルを Goose Neck Snare とアジリスシースを用い

て回収した一例 熊本大学大学院 生命科学研究部 循環器内科学 ○西原 大貴、本里 康太、藤末 昂一郎、金澤 尚徳、坂本 憲治、山

本 英一郎、海北 幸一、辻田 賢一

MO16 Dextran 使用下の Optimal coherence tomograohy (OCT) 後に難治性冠攣縮、心原

性ショックを来し Kounis 症候群が疑われた一例 久留米大学内科学講座 心臓・血管内科部門 1)

久留米大学病院 循環器病センター2) ○鍵山 弘太郎 1)、山路 和伯 1)、石崎 勇太 1)、石松 高 1)、佐々木 基

起 1)、佐々木 雅浩 1)、板家 直樹 1)、仲吉 孝晴 1)、大塚 昌紀 1)、佐々

木 健一郎 1)、横山 晋二 1)、上野 高史 2)

Page 9: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

第 2 会場:第 4.5 会議室 9:00~10:18

血管内イメージング・冠循環生理 座長 栗山 根廣 (宮崎市郡医師会病院)

横井 宏佳 (福岡山王病院) コメンテーター 竹中 克彦 (九州医療センター) 室屋 隆浩 (佐世保市総合医療センター)

MO17 CTO 病変に対して DES を留置し、OCT で観察し得たその後の経過 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 心臓血管・高血圧内科学 ○横峯 辰生、神田 大輔、薗田 剛嗣、小瀬戸 一平、吉野 聡史、内

匠 拓朗、大石 充

MO18 MRI で Hyper intense plaque を認めた症例に対して血管内を観察した 3 症例 久留米大学病院 心臓・血管内科 ○板家 直樹、佐々木 健一郎、大塚 昌紀、仲吉 孝晴、佐々木 雅浩、

佐々木 基起、石松 高、石崎 勇太、鍵山 弘太郎、新谷 嘉章、山路

和伯、横山 晋二、福本 義弘、上野 高史

MO19 生体吸収型スキャフォールドで jail された側枝を、3 年後まで OCT で観察し得

た一例 宮崎市郡医師会病院 心臓病センター ○吉岡 吾郎、栗山 根廣、柳田 洋平、緒方 健二、松浦 広英、小岩

屋 宏、柴田 剛徳

MO20 iFR 結果により治療 Strategy 変更後、治療に難渋した tandem/diffuse 病変の 1 症

例 JCHO諫早総合病院 ○佐藤 裕一郎、河野 政紀、児島 正純、山口 研児

MO21 塩酸パパベリン冠注による FFR 測定時に、心室頻拍を来しニコランジル追加冠

注が著効した一例 産業医科大学 第 2内科学 ○井上 航之祐、園田 信成、瀬戸山 航史、三浦 俊哉、清水 昭良、

穴井 玲央、津田 有輝、荒木 優、尾辻 豊

MO22 Angio で判断困難な虚血責任病変の同定に iFR が有効であった症例 JCHO諫早総合病院 循環器内科 ○松村 一騎、山口 研児、児島 正純、河野 政紀、佐藤 裕一郎

Page 10: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

第 2 会場:第 4.5 会議室 10:18~11:49

合併症・Bailout 3 座長 大塚 頼隆 (福岡輝栄会病院)

小池 明広 (福岡東医療センター) コメンテーター 江島 健一 (佐賀県医療センター好生館)

田口 英詞 (済生会熊本病院)

MO23 右冠動脈 STEMI 血栓病変に対して ELCA を用いた際、冠動脈中膜構造の破綻を

認めた一症例 福岡県済生会福岡総合病院 ○吉田 大輔、長友 大輔、野副 純世、大井 啓司、末松 延裕、久保

田 徹、岡部 眞典、山本 雄祐

MO24 Resolute Onyx の著明な短縮を認めた一例 国立病院機構 九州医療センター ○浦 祐次郎、村里 嘉信、福山 雄介、福田 翔子、北村 知聡、荒木

将裕、目野 恭平、矢加部 大輔、小村 聡一朗、森 隆宏、竹中 克彦、

沼口 宏太郎

MO25 PCI において、ガイディングカテーテルによる冠動脈解離からの心停止とガイ

ドワイヤーによる心タンポナーデを合併した1例 藤元総合病院 循環器内科 ○剣田 昌伸、榎園 圭、尾辻 秀章、木原 浩一

MO26 偽腔 stenting で生じた no flow を bail out した 1 例 宮崎県立延岡病院 ○小牧 聡一、丸目 恭平、日下 裕章、戸井田 玲子、黒木 一公、山

本 展誉

MO27 FiltrapR のピットフォール. Filter no-reflow・・・あなたならどうする? 新古賀病院 循環器内科 ○平井 敬佑、副嶋 利弥、梶山 公裕、遠藤 奈奈、原口 和樹、小此

木 太一、福岡 良太、折田 義也、梅地 恭子、古賀 久士、川﨑 友

MO28 Ultimaster 留置後に IVUS が stuck し、bail out できず、緊急 CABG となった一症

例 久留米大学病院 心臓血管内科 ○石松 高、石崎 勇太、板家 直樹、山路 和伯、鍵山 弘太郎、佐々

木 基起、佐々木 雅浩、新谷 嘉章、仲吉 孝晴、佐々木 健一郎、横

山 晋二、福本 義弘、上野 高史

MO29 ステント留置後に冠動脈解離のため側枝閉塞し,ワイヤリクロスに難渋した一

例 沖縄県立南部医療センター・こども医療センター ○大城 克彦、勝連 朝史、槇田 徹、平良 良集、宮良 高史、田場 洋

二、當真 隆

Page 11: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

第 2 会場:第 4.5 会議室 13:00~14:05

急性冠症候群 1 座長 勝田 洋輔 (福岡大学西新病院)

柴田 剛徳 (宮崎市郡医師会病院) コメンテーター 神田 大輔 (鹿児島大学病院)

野副 純世 (福岡県済生会福岡総合病院)

MO30 左主幹部解離を伴う急性大動脈解離を救命し得た一例 福岡大学 西新病院 ○石田 紀久、上田 隆士、井上 寛子、西川 宏明、勝田 洋輔

MO31 冠動脈瘤を伴う急性心筋梗塞に対して急性期にバルーン拡張術を施行後に外科

手術を行い良好な経過をたどった一例 公立八女総合病院 心臓・血管内科 ○山元 美季、青木 裕司、松島 慶央、齋藤 裕

MO32 心原性ショックを呈し救命できなかった左回旋枝末梢病変の急性下壁心筋梗塞

の一例 杉循環器科内科病院 ○中野 仁晴、香月 与志夫、古賀 祐樹、吉賀 巧、杉 健三

MO33 Primary PCI 及び IMPELLA により救命し得た、心原性ショック合併 STEMI の 2症例の比較

宮崎市郡医師会病院 心臓病センター 循環器内科 ○小岩屋 宏、柳田 洋平、緒方 健二、木村 俊之、松浦 広英、古堅

真、西平 賢作、渡邉 望、栗山 根廣、柴田 剛徳

MO34 急性冠症候群の Door to device time 短縮への取り組み 久留米大学医学部 心臓・血管内科 ○佐々木 基起、本間 丈博、鍵山 弘太郎、石松 高、佐々木 雅浩、

板家 直樹、仲吉 孝晴、横山 晋二、上野 高史、福本 義弘

Page 12: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

第 2 会場:第 4.5 会議室 14:05~15:10

Others 座長 川﨑 友裕 (新古賀病院)

剣田 昌伸 (藤元総合病院) コメンテーター 小岩屋 宏 (宮崎市郡医師会病院)

山本 英一郎 (熊本大学医学部附属病院)

MO35 膵頭部悪性腫瘍手術前に他院にて発見された前下行枝高度狭窄に対して治療方

針に苦慮した症例 医療法人医和基会 戸畑総合病院 ○梅原 英太郎、後藤 俊一朗

MO36 左冠動脈無冠動脈洞起始異常の一例 福岡大学 西新病院 ○石田 紀久、上田 隆士、井上 寛子、西川 宏明、勝田 洋輔

MO37 12 誘導ホルター心電図にて ST 上昇を観察しえた不安定狭心症の一例 産業医科大学 第 2内科学 ○永井 陽一郎、井上 航之祐、園田 信成、瀬戸山 航史、三浦 俊哉、

清水 昭良、穴井 玲央、津田 有輝、荒木 優、尾辻 豊

MO38 重症慢性血栓塞栓性肺高血圧症に合併した冠動脈三枝病変の一例 九州大学病院 循環器内科 1)

済生会二日市病院 2) ○古澤 峻 1)、仲野 泰啓 1)、細川 和也 1)、阿部 弘太郎 1)、上徳 豊和

1)、的場 哲哉 1)、阿部 巧 2)、中村 亮 2)、筒井 裕之 1)

MO39 冠動脈拡張症を伴う大伏在静脈-左冠動脈主幹部バイパス吻合部狭窄に対し段

階的なバルーン拡張が有用であった症例 長崎大学病院 循環器内科 ○本川 哲史、古賀 聖士、山方 勇樹、米倉 剛、池田 聡司、河野 浩

章、前村 浩二

Page 13: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

第 2 会場:第 4.5 会議室 15:45~16:37

急性冠症候群 2 座長 池本 智一 (熊本赤十字病院)

竹下 聡 (長崎みなとメディカルセンター) コメンテーター 井上 寛子 (福岡大学西新病院)

西 淳一郎 (聖マリア病院)

MO40 緊急 PCPS 導入が必要であった急性冠症候群の 2 症例 福岡記念病院 初期臨床研修医 1)

福岡記念病院 循環器内科 2)

久留米大学病院循環器病センター3) ○牟田 龍史 1)、舛元 章浩 2)、久米田 洋志 2)、中村 広 2)、上野 高史

3)

MO41 血栓吸引療法と PIT による血栓溶解療法を併用することで血栓処理に成功した

亜急性心筋梗塞の一例 杉循環器科内科病院 ○吉賀 巧、中野 仁晴、香月 与志夫、古賀 祐樹、杉 健三

MO42 心房細動による巨大血栓により治療に難渋した急性心筋梗塞の一例 大分大学医学部附属病院 ○原田 泰輔、秋岡 秀文、油布 邦夫、高橋 尚彦、中川 幹子、手嶋

泰之、岡田 憲広、齋藤 聖太郎、米津 圭佑、財前 拓人

MO43 亜急性心筋梗塞に対し薬物療法を行い OCT で経過をみた 1 例 鹿児島市立病院 循環器内科 1)

鹿児島大学大学院医歯学総合研究科心臓血管・高血圧内科学 2) ○野元 裕太朗 1)、小川 正一 1)、鎌田 梨沙 1)、吉元 一成 1)、今村 春

一 1)、大牟禮 健太 1)、茶圓 秀人 1)、桶谷 直也 1)、宮田 昌明 1)、濱

崎 秀一 1)、大石 充 2)

Page 14: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

第 2 会場:第 4.5 会議室 16:37~17:29

急性冠症候群 3 座長 大庭 百合賀 (千早病院)

辻田 賢一 (熊本大学医学部附属病院) コメンテーター 石崎 正彦 (光晴会病院)

福岡 良太 (新古賀病院)

MO44 冠動脈ステント留置術施行5時間後にステント血栓症をきたしたST上昇型心筋

梗塞の 1 例 済生会福岡総合病院 循環器内科 ○増永 智哉、末松 延裕

MO45 脂肪塞栓にて生じた急性心筋梗塞の一例 熊本赤十字病院 1)

桜十字病院 2) ○伊藤 彰彦 1)、森上 靖洋 2)

MO46 心室細動・心肺停止蘇生後の治療方針について検討が必要であった一例 久留米大学医学部内科学講座 心臓血管内科 ○佐々木 雅浩、上野 高史、横山 晋二、佐々木 健一郎、大塚 昌紀、

仲吉 孝晴、板家 直樹、佐々木 基起、石松 高、石崎 勇太、鍵山 弘

太郎、山路 和伯

MO47 プラスグレル、クロピドグレル抵抗性を有したが、チカグレロルが著効した急

性下壁心筋梗塞の 1 例 長崎大学病院 循環器内科 ○馬場 健翔、本田 智大、古賀 聖士、上野 裕貴、山方 勇樹、米倉

剛、吉牟田 剛、池田 聡司、河野 浩章、前村 浩二

Page 15: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

第 3 会場:第 3 会議室 9:00~10:18

EVT 1 座長 末松 延裕 (福岡県済生会福岡総合病院)

土井 英樹 (熊本労災病院) コメンテーター 伊元 裕樹 (福岡和白病院)

楠本 三郎 (佐世保市総合医療センター)

MO48 左総腸骨動脈の高度狭窄病変に対し、遠位橈骨動脈穿刺にて治療を行った症例 佐世保市総合医療センター ○楠本 三郎、室屋 隆浩、江藤 健二、坂井 健二、園田 浩一朗、新

北 浩樹、波多 史朗

MO49 鎖骨下動脈狭窄症に対するステント治療後、下行大動脈にまで及ぶ解離を認め

バイアバーンステント留置術が有用であった症例 佐世保市総合医療センター 循環器内科 1)

日本赤十字社 長崎原爆病院 2) ○池谷 千章 1)、室屋 隆浩 1)、松本 雄二 2)、坂井 健二 1)、江藤 良 1)、

楠本 三郎 1)、新北 浩樹 1)、波多 史郎 1)

MO50 多発性血管炎肉芽腫症の重症下肢虚血に血管内カテーテル治療と血管新生療法

のハイブリッド療法を行った一例 久留米大学病院 心臓・血管内科 ○石崎 勇太、佐々木 健一郎、新谷 嘉章、大塚 昌紀、仲吉 孝晴、

板家 直樹、佐々木 雅弘、佐々木 基起、石松 高、鍵山 弘太郎、山

路 和伯、横山 晋二、福本 義弘、上野 高史

MO51 外腸骨動脈に留置したステントに ExoSeal がスタックした一例 長崎大学病院 循環器内科 ○上野 裕貴、古賀 聖士、米倉 剛、山方 勇樹、赤司 良平、本田 智

大、池田 聡司、河野 浩章、前村 浩二

MO52 EVT におけるソフトワイヤー高速回転手技(soft wire super drilling:SSD)の検討

(続報) 医療法人厚生会 虹が丘病院 下肢血管センター ○矢加部 和明、岡 秀樹、山口 敬史、西 活夫

MO53 EVT デバイスの進化を実感した、SFA-CTO retry の 1 例 医療法人厚生会 虹が丘病院 下肢血管センター ○岡 秀樹、矢加部 和明、山口 敬史、西 活夫

Page 16: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

第 3 会場:第 3 会議室 10:18~11:36

構造心疾患・その他 座長 白井 伸一 (小倉記念病院)

油布 邦夫 (大分大学医学部附属病院) コメンテーター 大井 啓司 (福岡県済生会福岡総合病院)

古賀 聖士 (長崎大学病院)

MO54 Severe AS に対する BAV 後に Stuck valve による急性 AR を生じ緊急 AVR となっ

た1症例 長崎大学病院 循環器内科 ○赤司 良平、古賀 聖士、上野 裕貴、本田 智大、本川 哲史、黒部

昌也、春田 真一、山方 勇樹、米倉 剛、吉牟田 剛、恒任 章、池田

聡司、河野 浩章、前村 浩二

MO55 食道走行偏移を有した重度機能性僧帽弁逆流症患者に対する TMVr に、経胸壁

と経食道エコーおよび心臓 CT の併用が有効であった1例 済生会熊本病院 心臓血管センター 循環器内科 ○兒玉 和久、神波 裕、山田 雅大、堀端 洋子、安田 久代、田口 英

詞、中尾 浩一、坂本 知浩

MO56 集学的加療で改善しえた僧帽弁狭窄症による心原性脳塞栓症の 1 例 -チーム医

療の重要性- 社会医療法人大成会 福岡記念病院 ○徳重 裕陽

MO57 左下肢深部静脈血栓症に対して経皮的血栓除去術およびカテーテル血栓溶解療

法を行った一例 福岡山王病院 循環器内科 1)

福岡山王病院 ME室 2) ○田中 俊江 1)、菅野 道貴 1)、村上 雄二 1)、尾崎 功治 1)、井上 敬測

1)、福泉 寛 1)、山本 泰範 2)、横井 宏佳 1)

MO58 心房細動アブレーション後の肺静脈狭窄に対して経皮的肺静脈ステント留置を

行った一例 九州大学病院循環器内科 ○長岡 和宏、向井 靖、池田 翔大、河合 俊輔、坂本 和生、上徳 豊

和、林谷 俊児、的場 哲哉、樗木 晶子、筒井 裕之

MO59 Pressure wireを用いた左室内圧格差モニタリングがPTSMA施行時の急性期効果

判定に有用であった Midventricular obstruction の症例 福岡市民病院 循環器内科 1)

北九州市立八幡病院 2) ○前園 明寛 1)、有村 貴博 1)、弘永 潔 1)、原田 敬 2)、甲斐 敬士 1)、

長山 友美 1)、中野 正紹 1)、大坪 秀樹 1)

Page 17: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

第 3 会場:第 3 会議室 13:00~14:18

EVT 2 座長 杉原 充 (福岡大学病院)

山本 光孝 (原三信病院) コメンテーター 西嶋 方展 (熊本中央病院)

三浦 光年 (新別府病院)

MO60 総大腿動脈の高度石灰化病変に対して生検鉗子を用いた Debulking が有用であ

った 1 例 宇部仁心会病院 循環器内科 ○橋本 弦太、松本 奉

MO61 腹部アンギーナ症例の、高度石灰化を伴う SMA 慢性完全閉塞に対して EVT を

施行した症例 福岡山王病院 ○尾崎 功治、菅野 道貴、田中 俊江、井上 敬測、福泉 寛、横井 宏

MO62 外傷性鎖骨下動脈閉塞に対する Viabahn を使用した血管内治療の1例 済生会福岡総合病院循環器内科 1)

済生会福岡総合病院血管外科 2) ○山本 航 1)、末松 延裕 1)、岡留 淳 2)、伊東 啓行 2)、岡部 眞典 1)、

久保田 徹 1)、山本 雄祐 1)

MO63 高度石灰化腸骨動脈に留置され、拡張不全を呈している自己拡張型ステントに

対する VBxを用いた再治療の 1 例 済生会福岡総合病院循環器内科 1)

済生会福岡総合病院血管外科 2) ○安心院 法樹 1)、末松 延裕 1)、岡留 淳 2)、伊東 啓行 2)、岡部 眞典

1)、久保田 徹 1)、山本 雄祐 1)

MO64 CTO 出口側から IVUS ガイドが有効であった右鎖骨下動脈閉塞症例 JCHO熊本総合病院 ○田山 信至、上村 孝史、福嶋 隆一郎、片山 哲治

MO65 下肢経皮的血管形成術の際にバルーンがスタックし、回収に成功した重症下肢

虚血の一例 小倉記念病院 ○志鎌 拓、勝木 知徳、伊東 伸洋、平森 誠一、艫居 祐輔、曽我 芳

光、安藤 献児

Page 18: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

第 3 会場:第 3 会議室 14:18~15:10

慢性完全閉塞病変・SCAD 座長 的場 哲哉 (九州大学病院)

和氣 稔 (沖縄県立中部病院) コメンテーター 高岡 順一郎 (天陽会 中央病院)

上原 裕規 (浦添総合病院)

MO66 冠動脈 CT の詳細な観察により右冠動脈慢性完全閉塞における残存チャネルを

同定できた一例 雪の聖母会聖マリア病院 循環器内科 ○貞松 研二、大江 健介、冨田 俊一朗、深水 友梨恵、三小田 周弘、

由布 威雄、高瀬 進、廖 千惠、相良 秀一郎

MO67 順行性にはバルーン通過が不可能であった高度石灰化を伴う CTO に対して、逆

行性にバルーンを通過し治療を完遂しえた 1 例 社会医療法人雪の聖母会 聖マリア病院 循環器内科 ○大江 健介、貞松 研二、田代 英樹

MO68 再発性特発性冠動脈解離が疑われた症例 沖縄県立中部病院 ○平瀬 優三、和氣 稔、豊福 尚旦、山元 昇栄、屋宜 宣仁、仲里 淳、

宮城 唯良、高橋 孝典、平田 一仁

MO69 特発性冠動脈解離(SCAD)による ACS に手を出すべきか、出さざるべきか 福岡青洲会病院 ○中原 真明、横山 正一、樋口 優、矢成 亮介

Page 19: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

第 3 会場:第 3 会議室 15:45~16:37

工夫を要した症例 座長 小川 正一 (鹿児島市立病院)

田山 信至 (熊本総合病院) コメンテーター 山口 研児 (諫早総合病院)

吉田 敬規 (佐賀県医療センター好生館)

MO70 遠位橈骨動脈アプローチで PCI を行った CKD 合併 ACS の症例、当院での遠位

橈骨動脈アプローチの経験をふまえて 医療法人雪の聖母会 聖マリア病院 循環器内科 ○大江 健介、貞松 研二、田代 英樹

MO71 冠動脈造影/形成術前後の超音波検査による、遠位橈骨動脈の有用性の検討 柳川病院 循環器科 1)

柳川病院 検査科 2) ○松本 徳昭 1)、吉岡 励 1)、江崎 さおり 2)、原 明美 2)、恒松 あゆみ

2)、原田 信子 2)

MO72 Buddy wire による CELSUS を用いた高圧拡張で治療しえた高度石灰化病変の一

例 地域医療機能推進機構人吉医療センター ○六反田 拓、尾上 喜郎、黒川 博文、中村 伸一

MO73 Scoring バルーン不通過の cuffs ring 様石灰化病変に buddy wire と Non-compliantバルーンで良好な拡張とステント留置に成功した症例

福岡市民病院 ○大坪 秀樹

Page 20: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

第 1 会場:第 1.2 会議室 12:00~12:50

ランチョンセミナー1

【共催】第一三共株式会社 「PCI専門医の視点から考える抗血栓療法」

座 長 西川 宏明 (福岡大学西新病院)

演 者 上野 高史 (久留米大学病院)

第 2 会場:第 4.5 会議室 12:00~12:50

ランチョンセミナー2 【共催】アストラゼネカ株式会社 「長期継続 DAPTの意義について」

座 長 小田代 敬太 (九州大学大学院医学研究院)

演 者 上原 裕規 (浦添総合病院)

第 1 会場:第 1.2 会議室 15:15~15:45

スポンサードセミナー1

【共催】テルモ株式会社 「ロボット心臓手術」

座 長 田中 啓之 (久留米大学医学部外科学講座)

演 者 渡邊 剛 (ニューハート・ワタナベ国際病院)

第 2 会場:第 4.5 会議室 15:15~15:45

スポンサードセミナー2

【共催】アボットバスキュラージャパン株式会社 「Face the high risk patients - High bleeding and thrombotic risk」

座 長 神田 大輔 (鹿児島大学医学部附属病院)

演 者 夏秋 政浩 (佐賀大学医学部附属病院)

Page 21: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

第 28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会 ―第 3 回冬季症例検討会―

抄録集

Page 22: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

YIA1 STEMI に対する 6Fr システムの PCI で GUIDEPLUS による血栓吸引が有効であった 1 例

則松 賢次 1)、吉本 圭介 2)、楠元 孝明 1)、桑野 孝志 3)、西川 宏明 4)、松村 敏幸 5)

1)出水総合医療センター 循環器内科、2)出水総合医療センター 臨床工学科、3)福岡大学医学部

心臓血管内科学 、4)福岡大学西新病院 循環器内科、5)熊本労災病院 循環器内科

症例は 73歳男性。胸痛を主訴に近医受診、下壁誘導の ST 上昇を認め、当院救急搬送。CAG にて RCASeg1閉塞

を認め、同部位に 6Fr システムで PCI施行。Export Advanceを用いて TIMI2 flow を得たものの、血栓自体は

引けず、病変のやや遠位部に血栓を押し込んでしまい、再度 Export Advanceを用いるも吸引できなかった。

GUIDEPLUS での血栓吸引を試みたところ、病変を抵抗なく通過し、Yコネクター側から固定バルブを完全に閉

じた状態で陰圧をかけたところ、赤色血栓の吸引に成功、造影上も血栓の消失を認め、病変部にステント留置

して TIMI3flow で手技を終了。より内腔の大きい 6Fr GuideLinerや Guidezillaの使用も考慮したが、本症例

は血栓が病変の遠位部に残存していたため、通過性を重視して GUIDEPLUSを選択した。体外の検証では、外径

の細い GUIDEPLUS は 6FrGC 内腔とのギャップが大きく、先端を完全に wedge させた状態で陰圧をかけると GC

の先端から血液が吸引されたため、実臨床において血栓吸引カテーテルと全く同じ感覚では使用できない点に

留意する必要がある。その他、GC 内での血栓の取りこぼしや air の引きこみに十分な注意を払う必要がある

ものの、既存の血栓吸引カテーテルによる血栓処理が困難な場合は、GUIDEPLUSを含むエクステンションカテ

ーテルが有効な選択肢となり得る。

YIA2 Rotablation 後の IVUS が合併症予測に有用であった高度石灰化病変の一例

中田 円仁 1)、横田 尚子 1)、比嘉 南夫 1)、間仁田 守 1)、旭 朝弘 1)、田端 一彦 1)、上原 裕

規 2)

1)那覇市立病院 循環器内科、2)浦添総合病院

症例は 70歳代の男性、労作性狭心症の診断で PCIを行う事とした。病変は LAD #6 90%狭窄であった。石灰化

が強い病変であったためロータブレーターを用いた。アブレーション後に IVUS を観察すると double barrel

になっていた。バルーンで拡張すると冠動脈穿孔の危険性が高いと判断し、血管径よりもやや小さいステント

を留置した。改めて IVUSを見直すと double barrelになっている部分の本幹は一部血管構造がなく血腫の形

成が示唆され、やはり大きいサイズのバルーンやステントを使用すると穿孔していた可能性が高いと思われ

た。IVUS の使用により合併症を未然に予測することが出来た一例を経験したため報告する。

Page 23: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

YIA3 冠動脈 CT による偏在性石灰化病変の情報がワイヤー通過に有用であった左冠動脈前下行枝の慢

性完全閉塞症例

有村 貴博、弘永 潔、甲斐 敬士、前園 明寛、長山 友美、中野 正紹、大坪 秀樹

福岡市民病院 循環器内科

症例は 45歳男性で、2 型糖尿病と 20年来の喫煙歴があった。胸部症状はないが、経胸壁心エコーで、前壁中

隔の左室壁運動異常が指摘されたため冠動脈造影を施行すると左冠動脈前下行枝(LAD)の完全閉塞(CTO)を含

む 3枝病変を認めた。右冠動脈と左冠動脈回旋枝に PCI を施行後、灌流域の viability を確認できた LAD-CTO

に対する PCI を施行した。CTO は石灰化豊富な blunt & branch type の entry を有し、閉塞長は 20mm 超で、

J-CTO score3であった。Seg4PDから septal channel、D1より epicard channelを認めていた。冠動脈 CTで

は CTO には著明な偏在性石灰化を認めるが、石灰化分布は CTO entryと exitで偏在性の異なる分布を呈して

おり、透視下では RAO cranial viewではその偏在性石灰化を異なるカルシウムラインとして認識でき、その

ライン間が CTO の血管走行を指し示していると考えられた。8Fr Hyperion SPB3.5でエンゲージし、Runthrough

Floppy を 1st septal branch にクロスし、IVUS と double lumen catheter を同一ワイヤーで使用する slip

stream techniqueを用いて、Gaia next 1 で、カルシウムライン間に進めることで CTOのワイヤー通過に成功

した。再度 slip stream techniqueを用いて D2にクロスし、LAD及び D2に KBTを施行後、ステント留置し手

技を終了した。冠動脈 CTで得られたカルシウムラインの把握が CTOの PCIに非常に有用であった本症例をこ

こに報告する。

YIA4 IMPELLA2.5による顕著な急性溶血性貧血を来した院外心肺停止患者の 1救命例

菊池 保宏

済生会熊本病院 心臓血管センター 循環器内科

未治療の糖尿病がある 63歳男性。20xx年●月●日 17 時頃に胸痛を自覚し家族が救急要請。17時 37 分現着、

初期波形は VFであり DC施行し PEA となった。17時 51 分病院到着時は VFであり心嚢液の貯留はなく ECPRの

方針となった。17時 58 分血管造影室でルーカスを装着し、18 時 8分 PCPS挿入、体外循環開始。冠動脈造影

検査を施行すると# 6-8 90%病変を認め同部位に対して PCIを行った。その後 IMPELLA2.5を挿入し ICU帰室

となった。帰室後より肉眼的血尿と貧血の急速な進行(Hb13.3→8.9mg/dl)を認めた。CT で明らかな出血源は

なくエコー上 IMPELLA の留置位置異常が疑われた。そのため IMPELLA による溶血と判断し、エコー下で位置調

節するも困難であった。その後も溶血は持続したため 3 時後に IMPELLA を抜去し、IABP を挿入した。その後

DOB,NAD support 下で vital を保ち全身管理を行った。CK-MBは 181 IU/Lで peak outし入院時 20%前後であ

った EFも徐々に回復傾向となり 40%前後まで回復した。第 3病日 PCPS 離脱、第4病日 IABP抜去、第 5病日

抜管となった。神経学的所見は問題無く現在リハビリを行っている。本症例での IMPELLA挿入に関し、反省点

や注意点を含め、ここに報告する。

Page 24: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

YIA5 The Successful Case of Endovascular Treatment to SFA-CTO after Bypass Graft Occlusion.

矢野 祐依子、杉原 充、桑野 孝志、池 周而、岩田 敦、三浦 伸一郎

福岡大学病院循環器内科

88 歳女性 重症下肢虚血。2014 年に腋窩-両大腿動脈バイパス施行。2017 年糖尿病性足壊疽のため右下肢大

切断。今回、左足背部の創治癒遷延のため血行再建目的で入院となった。造影 CT は腋窩-両大腿動脈バイパス

の閉塞、右浅大腿動脈起始部からの慢性完全閉塞、患肢の左浅大腿動脈も起始部から脛骨腓骨菅まで、高度石

灰化を伴った慢性完全閉塞病変であった。穿刺部選択において、上肢からのアプローチは蛇行が強く、両大腿

動脈はグラフト吻合部かつ浅大腿動脈は起始部から閉塞しており困難であった。本症例では閉塞グラフトを穿

刺し、さらに distal puncture による両方向性アプローチの構築、Rendez-vous technique、Crosser を使用

することで、合併症なく、浅大腿動脈~膝窩動脈までの長区間の血行再建に成功した症例を経験したため、こ

こに報告する。

YIA6 ステント脱落に際し、double guideと double balloon anchor techniqueにより回収できた一例

高江 将史、坂本 憲治、本里 康太、高潮 征爾、山本 英一郎、海北 幸一、辻田 賢一

熊本大学 循環器内科学

78 歳男性。EVTに際して施行した CAGで RCAのびまん性石灰化病変(#1-#3)が判明し PCIの方針。右橈骨動脈

より 6FGCアプローチ、GW-1 通過後 IVUSは不通過、2.5mm BCで前拡張後に DES-1(2.75x38mm)を#3 に留置した。

DES-2 (2.75x33mm)の#2への通過に際して overlap部に至らず。一旦回収する際にステント近位部が#1 石灰化

部に捕捉されて短縮、抜去不能となった。大腿動脈からの double guideでステント脇に GW-2 を通過、1.0mm BC

による脇からの拡張で捕捉解除するも変形ステントを GC に回収できず、システムごと抜去した。シース先端

まで慎重に誘導したが、変形ステントはシース内に回収不能、ステントバルーンのみ回収した。アンカー目的

で 2.0mmBC-1でステント内通過を試みるが不能、stent脇から GW-3 と 2.0mmBC-2を通過させ近位側で anchor、

変形ステント内に BC1 の通過が得られ anchor を交換、先の BC2 を引き戻し血管損傷予防目的に遠位側で拡張、

BC1-DES2-BC2 を一塊にして穿刺部より回収した。本例の経験から脱落ステントを安全に回収する double

balloon anchor techniqueを Bail out 法として提案する。

Page 25: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

YIA7 急性冠症候群に対する日本型 primary PCI~血栓吸引、PIT、末梢保護、direct stenting につい

て~

松浦 広英、本田 泰悠、小岩屋 宏、栗山 根廣、柴田 剛徳

宮崎市郡医師会病院 心臓病センター 循環器内科

急性冠症候群に対する primary PCIの戦略は、プラーク、血栓の遠位塞栓などに伴う slow flow/no-reflow(冠

末梢循環障害)を回避しつつ、確実に短時間で血行再建することである。欧米と比較し、GP IIb/IIIa 阻害薬

が使えず、プラスグレルも低用量である日本では、血栓吸引、PIT、末梢保護、direct stenting の適切な組

み合わせが、primary PCI戦略の要である。2015~2017 年に当院で経験した ACSに対する PCI 851件(812人,

STEMI 56.8%, NSTEMI 29.0%, UAP 14.2%, 70.1±12.6歳, 男性 73.7%)のうち、ACS 全体、STEMI全体で上記戦

略の使用割合を示す(図 1, 2)。多量血栓症例、冠動脈拡張症での血栓(N=7, 0.8%)、ステント留置後から出現

する血栓(N=20, 2.4%)など特徴的な血栓処置を要する症例も提示して、リアルワールド日本型 primary PCI

の戦略の実際について発表したい。

Page 26: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

MO01 左主幹部病変に対する冠動脈粥腫切除術により、良好なステント留置を施行しえた 1例

中野 正紹、大坪 秀樹、甲斐 敬士、前園 明寛、有村 貴博、弘永 潔

福岡市民病院循環器内科

症例は 65歳男性。労作時胸痛を認め、近医より紹介となった。運動負荷試験では虚血陽性であり、冠動脈造

影では左主幹部を含む 2 枝病変(#5.90%, #6.90%, #7.90%, #9.90%, #11.75%)であった。PCI を希望され、待

機的に施行した。IVUS では左主幹部にプラークを多量に認め左主幹部から左前下行枝に連続しており、同部

位に高度石灰化病変を認めなかった。Lesion modificationを期待して、#5-6に Atherocut Lにて冠動脈粥腫

切除術を施行した。IVUSではプラークが切除されたことを確認した。#6-7 にカッティングバルーンにて前拡

張を行い、#7 に Ultimaster2.75×38mm を留置した。IVUS で#9 にバルーン拡張し、Xience Sierra2.5×23mm

を留置した。#5-6に Resolute Onyx4.0×30mm を留置した。左前下行枝ならびに左回旋枝に kissing balloon

techniqueを施行し、手技を終了した。左主幹部病変に対する冠動脈粥腫切除術を施行し、良好なステント留

置を施行しえた 1例を経験したので考察を加えて報告する。

MO02 当院における DCA+DCB strategyによる新しい stentless PCIの有効性

本田 泰悠、小岩屋 宏、松浦 広英、西平 賢作、栗山 根廣、柴田 剛徳

宮崎市郡医師会病院循環器内科

背景:DES は長期の有効性及び安全性が確立し、現在の PCIにおいて主軸をなす deviceである。しかしながら、

最近の newer generation DES 時代においても、分岐部病変の PCIは challengingであり、分岐部の stenting

は plaque shift や carina shift、2 stents strategy などの新たな問題を生じる。Directional coronary

atherectomy(DCA)は atheroma を切削するため、分岐部や入口部病変を治療の選択肢としている。DCA に drug

coated balloon(DCB)を組み合わせた DCA+DCB strategyは stentless PCI として、分岐部治療において期待さ

れている。方法:2016年 1月から 2018 年 4月まで de novo病変に対して DCA を施行した 46症例について検討

した。DCA+DCB 群:14 例、DCA+DES 群:32 例であり、6 ヶ月の臨床データを 2 群間で比較した。主要エンドポ

イントは MACEとし、全死亡、心筋梗塞(MI)、標的病変再血行再建(TLR)の複合エンドポイントと定義した。結

果:冠動脈造影上の対象病変は、LMT を含む分岐部病変及び入口部病変がそのほとんどであった(DCA+DCB 群

vs. DCA+DES 群: 13 (92.9%) vs. 26 (81.3%), P=0.41; 14 (100%) vs. 28 (87.5%), P=0.22)。主要エンド

ポイントの MACEは 2群間で有意差はなかった(0% vs. 6.3%, P= 0.35)。両群で全死亡、MIの発生はなく、TLR(0%

vs. 6.3% , p=0.35)に有意差はなかった。結論: DCA+DCB strategy による新しい stentless PCI は分岐部・

入口部の新しい治療選択肢の一つとして有用である。

Page 27: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

MO03 左冠動脈前下行枝 Seg6入口部の de novo 病変に対して DCA+DCB治療を行った症例

仲野 泰啓、上徳 豊和、林谷 俊児、的場 哲哉、筒井 裕之

九州大学病院 循環器内科

症例は 72歳、女性。高血圧症、脂質異常症にて近医で外来加療中であった。仕事中に胸部不快感あり、前医

で施行した心電図にて V2-5 誘導で ST上昇と、心エコーにて心尖部中心の全周性の壁運動低下を認めた為、急

性心筋梗塞疑いで当院へ救急搬送となった。緊急で施行した CAGでは、Seg6入口部に 90%狭窄病変を認めたが、

血流良好であり灌流域からも心エコー所見と一致しない所見であった。たこつぼ型心筋症と判断し、検査のみ

で終了。その後、保存的加療にて、心電図変化、壁運動異常とも改善した。後日 LAD病変に対して PCI施行。

IVUSでは病変は LCx 分岐方向から約 90°counterclockwise方向に局在した線維性プラークで、LMTまで連続

していた。方向性冠動脈粥腫切除術(DCA)の方針とし、Atherocut Mでプラーク切削を行った。IVUS での方向

オリエンテーションと wire bias を用いて切削方向を決定し、計 6 回のカットを施行した。その後の IVUSで

は残存プラーク面積が 44%であり、また解離・血腫等も認めなかった為、ステント留置は行わず、薬剤コーテ

ィングバルーン(DCB)で薬剤塗布をして手技終了とした。近年、de novo 病変に対する DCA+DCB 治療の有効性

が示されつつあり、Stentless strategy として期待されている。一方、ステントを留置しないデメリットも

あり、適応の見極めが重要である。これまでの DCA関連の文献的考察を加えて報告する。

MO04 術前の左冠動脈主幹部分岐部病変に対し方向性粥腫切除術で加療を行った一例

北村 知聡

国立病院機構 九州医療センター

症例は 60 歳男性、冠危険因子は、高血圧、糖尿病、家族歴。頸椎後縦靱帯骨化症術前の心電図で V1-4の異

常 Q 波を認め当科紹介。CAG 施行し、RCA は末梢枝 90%、LAD は入口部偏在性病変、middle にびまん性石灰化

病変(90%)、Ramus branch:99%であった。頸椎疾患症状増悪のため、早期の整形手術希望が強く、PCI の方

針としたが、LMT 分岐部ステント留置は避けるべきと判断した。LAD高度石灰化病変に対する Rotablatorを先

行し、Burrは 1.5mm から 2.0mmにサイズアップし、同部位の Ablationは良好だったが、入口部偏心性病変は

残存した。AtherocutL を挿入し、3-4atm で ablation を行い、血管内腔は 2.1mm2から 6.2mm2に拡張。LAD を

NSE 2.75×13mm で拡張、LAD distalは SeQuentPlease2.5×15mmで拡張、middle は内膜解離を伴うため、Xience

Sierra2.5×33mmを留置。LAD 入口部を SeQuentPlease3.5×20mm で拡張し、狭窄は 90%から 25%に改善を認め、

IVUS で重篤な血管解離はなく、血管内腔拡張は良好であった。今回は DCA と薬剤溶出性バルーンの併用で複

雑な LMT 分岐部ステントを回避でき、DAPT 期間を減らし、早期に手術介入が可能となった。

Page 28: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

MO05 無症候性左中大脳動脈閉塞および左右頚動脈狭窄のある LMT+3 枝病変のある不安定狭心症に対

して PCI を施行した一例

長谷川 潤、赤司 純、山岸 靖宜、久原 孝博、高津 博行

九州労災病院 循環器内科

症例は 70歳代女性。以前から右中大脳動脈閉塞あるも神経症状は認めてない。近年は両側頚動脈狭窄、高度

大動脈弁狭窄症、発作性心房粗動も合併していた。数ヶ月前から労作時の呼吸苦を認め、1 週前から安静時の

喉の違和感を自覚。近医にて心電図変化、心エコーにて下壁の壁運動低下あり、狭心症の疑いにて当院紹介と

なった。CAG では RCA#2 90%, #3 99%, LMT 90%, LAD #6 75%, LCX #11 90%, #13 99%の LMT+3枝狭窄病変を

認めた。また 4Fr GCにて Wedgeし、胸痛および II, III, aVF誘導にて ST 上昇も認めた。LCX の末梢は small

であり、RCA病変の不安定狭心症と判断した。CABGの選択もあるが併存症を考慮し、不安定狭心症の解除目的

にそのまま RCA に PCI し、DES2本留置した。術後は問題なく経過した。術後の SYNTACスコアは 24点であり、

LMT-LAD および LCX 分岐後に対する PCI を施行することとした。SH 付 GC を使用し、LCX および LMT を前拡張

の後、LCX は SeQuent Please 2.0/15mm にて DCB 治療を施行。その後 LMT-LAD 前拡張後に SYNERGY 3.0/28mm

を LMT起始部から留置。最終的に PODおよび Stentストラット拡張を行い分岐部狭窄は解除された。脳血管お

よび冠動脈と血管病変の強い傾向のある患者に対し手技および今後の再治療のリスクを低減するようシンプ

ルな Stratageにてカテーテル血行再建を施行した。末梢の残存病変や今後のリスク低減に脂質降下薬等の内

服薬強化も検討された。

MO06 DCAが有効であった LAD分岐部病変の 1例

権藤 公樹、末松 延裕、長友 大輔、野副 純世、大井 啓司、久保田 徹、岡部 眞典、山

本 雄祐

福岡県済生会福岡総合病院

当院でも新しい DCA(Directional Coronary atherectomy)を使用できるようになり 1年が経過した。今回、

DCAを使用し plaqueの十分な debulkingを行うことで stent lessで LAD入口部病変の治療を完結できた症例

を経験したため報告する。【症例】78歳女性。狭心症に対して LAD Seg6 distal 99%に治療を行った。1 年後

に労作時の胸部絞扼感の訴えあり、前回 stentの近位側 seg6 just proximalに 90%狭窄を認め PCI 施行した。

IVUSにて病変評価をおこなったところ、病変部は多量な線維性プラークを認め、LCX 分岐反対側がメインであ

ったが、プラーク量・分布からも側枝 LCX への影響は不可避と考えられた。また、LCXの crossover が必要な

所見であり、Lesion preparation として側枝への悪影響を最小限に抑える目的に DCA を行った。分岐部病変

の DCAは、側枝の閉塞予防、側枝 crossoverの回避などの効果が期待されるが、本症例においては期待以上の

lesion modification が得られたため、stent less での完結が可能と判断し DCB(Drug Coated Balloon)にて

追加拡張を行い、手技を終了した。

Page 29: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

MO07 バイパス閉塞による狭心症に対して左冠動脈主幹部の慢性完全閉塞病変に対して PCI を施行した

一例

福山 雄介、村里 嘉信、北村 知聡、福田 翔子、芝尾 昂大、荒木 将裕、浦 祐次郎、目

野 恭平、矢加部 大輔、小村 聡一朗、森 隆宏、竹中 克彦、沼口 宏太郎

国立病院機構 九州医療センター

【症例】83 歳、男性【主訴】労作時の胸痛【現病歴】X-25 年に急性心筋梗塞を発症し、3 枝病変に対して冠

動脈バイパス術(LITA-LADseg.8、RITA-LCXseg.12、SVG-RCAseg.4AV)が施行された。X 年 1 月に労作性狭心

症が出現し当科紹介となった。【経過】冠動脈 CT検査で RCAseg.1と LMTの閉塞、LAD中位部で石灰化を伴う

高度狭窄と SVG グラフトの閉塞を疑う所見を認め、CAG を施行した。 結果 RCAseg.1と LMTの閉塞、バイパス

造影で LITA、RITAの良好な開存、SVG グラフトの閉塞を認めた。LITA 造影では LADseg.8から逆行性に LAD, LCX

が造影され、良好な側副血行路を介して RCAseg.4PD が造影された。LCX は seg.13 で 90%狭窄を認めた。SVG

グラフト閉塞を原因とする狭心症と判断し、RCAへの血流確保を目的に LMT に対する PCI を行った。LITA造影

による同時造影を用いて LMT の CTO に antegrade approach で行い、LMT-LCX と LCXseg.13 にそれぞれ DES の

留置を行った。PCI 後は LMT からの順行性血流により LCXから良好な側副血行路を介して RCAへの血流が確認

できた。また LITA-LADバイパスの血流は吻合部の LAD中枢側で Flow competitionする形ではあったが良好に

保たれていた。【結語】LMT の CTO病変に対する PCIで、再手術を回避でき、RCA への側副血行路の供給源で

ある LCX へ順行性に血流を確保できた症例を経験した。

MO08 左主幹部,左前下行枝の二箇所の True bifurcation に対して Jailed balloon technique が有用

であった一例

勝連 朝史、大城 克彦、槇田 徹、平良 良集、宮良 高史、田場 洋二、當真 隆

沖縄県立南部医療センター・こども医療センター

症例は関節リウマチ,脂質異常症で近医通院中の 70歳女性.当院を受診する 1週間前より安静時の胸部違和

感が出現するためかかりつけ医を受診した.ニトログリセリン舌下錠を処方され,以降も症状の出現と舌下投

与による改善を繰り返していた.当院受診当日の午前 2 時頃に今までよりも強い胸部症状が出現したため舌下

錠使用後に救急要請し当院へ搬送された.十二誘導心電図で II,III,aVF誘導で Horizontalな ST低下が確

認されたため準緊急で冠動脈造影を施行したところ高位側壁枝を含む左主幹部の分岐部狭窄(Seg.5: 99%)お

よび第一対角枝を含む左前下行枝の分岐部狭窄(Seg.7: 90%)が確認された.Sequential に両狭窄部位に対

してバルーン拡張を行ったところ胸痛が出現した.心電図でも ST 変化が表れたため両狭窄部位に対し速やか

なステント留置が必要と判断したが,高位側壁枝,第一対角枝ともに広い血流支配域を有していたため離れた

2 箇所に Kissing balloon technique(以下,KBT)施行による閉塞の回避も必要であった.Seg.7に Orshiro 3.0

×22mm,Seg.5に Orshiro 3.5×22mmのステントを留置する際にそれぞれに対して Jailed balloon technique

を施行することでステント留置から KBT施行までの間の両狭窄部位の側枝血流は確保された.ステント留置後

には症状,心電図変化ともに改善がみられたため,平静にそれぞれの KBTを施行できた.合併症なく手技を終

了した.

Page 30: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

MO09 左冠動脈前下行枝ステント留置後に第一対角枝が閉塞し、術後 10 日目に乳頭筋断裂を来した 1

諸藤 徹、蔵満 昭一、今田 一彰、廣正 聖、山地 杏平、道明 武範、曽我 芳光、兵頭 真、

白井 伸一、安藤 献児

小倉記念病院

症例は 87歳男性。労作時胸痛の精査のため冠動脈造影を施行したところ、左冠動脈前下行枝近位部に高度狭

窄を認めたため、同病変に対して PCI を施行した。左冠動脈前下行枝にステント留置後、ST 上昇と胸痛が出

現した。血管造影上、第一対角枝の閉塞を認めたため、ワイヤーのリクロスを試みたが、通過せず手技を終了

した(図)。術後 CPKは 1331 IU/L まで上昇したため術後 7日目まで入院を継続したが、状態の悪化なく退院と

した。しかし、術後 10日目に自宅で突然心停止状態となったため救急要請し、心拍再開した状態で当院に搬

送された。心エコーで前乳頭筋断裂による急性僧帽弁閉鎖不全症を診断し、緊急で僧帽弁置換術を施行した。

PCI中の側枝閉塞による急性心筋梗塞後乳頭筋断裂を来した症例を経験したので報告する。

MO10 左冠動脈主幹部へ留置したステントが大動脈内へ突出し、スネアにて回収し得た一例

山路 和伯、鍵山 弘太郎、石松 高、石崎 勇太、佐々木 雅浩、板家 直樹、仲吉 孝晴、

大塚 昌紀、横山 晋二、佐々木 健一郎、福本 義弘、上野 高史

久留米大学病院 心臓・血管内科

症例は 79歳の女性。透析後に発症した急性心筋梗塞に対し緊急冠動脈を施行したところ、LMT 90%、LAD起始

部 100%、LCX seg11 100%CTO であり、責任病変である LADに対して PCIを行った。石灰化著明でバルーンでの

十分な拡張が困難であったが、末梢まで TIMI3 の flow は得られたため、二期的に PTCRAを含めた血行再建を

行う方針となり IABP留置下に一旦手技を終了した。しかし IABPのアシストがないと収縮期血圧 60mmHg台と

血圧が維持できず、透析管理も困難が予想され、第 2病日に再度 PCIを行った。病変部を Rotabratorで切削

し LMT、LADにそれぞれ DES を留置、良好な開大が得られ wire を抜去したが、その後 LADの病変が recoil し

たため wire を recrossした。その後バルーンで拡張を行ったが、IVUSで観察するとガイドワイヤーが大動脈

内へ突出した stent strutを通過しており、stentは変形し大動脈内へ約 7mm突出していた。そのためスネア

を用いてガイドカテーテル内へ回収、その後の IVUS では LMT 内のプラークも減少しており、stent と共に除

去されたものと思われた。そのため POBAのみ施行し手技を終了した。大動脈内へ突出した LMT内ステントを

スネアにて回収し得た一例を経験したので報告する。

Page 31: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

MO11 OFDIのスタックによるステントの変形短縮をベイルアウトした症例

北園 和成、高岡 順一郎、有村 俊博、下野 洋和、二宮 登志子、井上 尊文、加治屋 崇、

厚地 伸彦、宮村 明宏、厚地 良彦

天陽会中央病院 循環器内科

症例は 80歳男性。1999年に左前下行枝(以下 LAD)中間部にステントを留置、2013年には急性冠症候群で右

冠動脈に対しステントを留置されたが慢性期に閉塞し経過観察されている既往あり。2018 年 8 月深夜に胸部

不快あり近医を受診し経過観察入院となったが翌朝に心筋逸脱酵素の上昇を認め当院へ紹介となった。心エコ

ーで新たに前壁中隔の壁運動低下を認め緊急 CAGを施行すると LAD は TIMI 3であったが中間部ステント内に

血栓像を伴う責任病変を認めた。遠位部にも病変あり同時に治療する方針とした。OFDI を施行後に病変を

2.5mm バルーンで順次拡張し LAD遠位部に Ultimaster 2.75-18mmを留置した。2.5mm バルーンでステント内を

後拡張し近位端の圧着不全は 3.5mmバルーンで拡張した。再度 OFDIを施行したが回収時に抵抗があり抜去困

難となりステントの変形短縮まで生じた。OFDIの手元内管をメスでカットしてドライブシャフトを抜去し EVT

で使用する 0.018インチガイドワイヤーを挿入し末梢へ押すとスタックは解除された。変形したステントは段

階的にバルーンで拡張し IVUS を施行、短縮によりカバーされていない病変と変形したステントに重ねて

Ultimaster 2.5-18mmを追加留置した。本来の責任病変は一週間後に再治療しステントを留置した。OCT/OFDI

スタックの対処法は基本的に IVUSと同様であるが製品特有の対応も含めて報告したい。

MO12 PCI中に生じた冠動脈解離に対して Cutting balloonを使用して bail out した 2 症例の検討

福嶋 理知、谷 真太郎、鍬先 重輝、武藤 成紀、古殿 真之介、竹下 聡、中嶋 寛

長崎みなとメディカルセンター

症例 1: 84歳 女性 RCAが責任病変で PCIを施行。残存病変の LAD#7:90%に対する PCIを OCT ガイドで開始し

た。前拡張後にデキストランで OCT を施行した。解離を認めたが内腔は保たれており、解離腔をカバーして

DESの留置を試みた。確認造影で遠位側に新たな狭窄が出現し、再度造影を行ったところ#8までスパイラルダ

イセクションとなり、胸痛と ST上昇を認めた。すでに遠位まで解離が進んでおり、DESは留置した。IVUSで

病変を確認し、抹消まで解離と壁内血腫を認めた。Cutting balloonを使用して血腫と真腔に交通を作り、胸

痛の解除と ST低下を認めた。その後、DESを追加で留置し手技終了とした。症例 2:81歳 女性 労作性狭心症

で冠動脈 CT にて高度狭窄が疑われ当科紹介となった。冠動脈造影で LAD#7:75%、Lcx#13:90%を認めたため、

Lcxに対する PCIを行った。屈曲と病変の石灰化がありワイヤーの通過に難渋した。病変を通過したところで

ワイヤーに抵抗があり確認造影を行ったところ解離と解離腔への造影剤の貯留を認め胸痛と ST上昇が出現し

た。IVUSで確認したところ解離と壁内血腫を認めた。Cutting balloonで拡張後に造影剤の貯留は改善し、胸

痛も消失していた。その後、DESを留置して手技終了とした。2 症例とも軽度の心原性酵素の上昇を認めたが、

退院可能であった。PCI 中の冠動脈解離、壁内血腫の 2 症例を Cutting balloon で bail out できた。文献的

考察を加えて報告する。

Page 32: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

MO13 対角枝プロテクションワイヤーがステント留置後に解れて断裂し回収に難渋した一例

仲村 尚崇 1)、出石 さとこ 1)、木佐貫 恵 1)、細谷 まろか 1)、中司 元 1)、郷原 誠一郎 1)、

小池 明広 1)、隈 宗晴 2)

1)福岡東医療センター 循環器内科、2)福岡東医療センター 血管外科

症例は 67 歳女性。高血圧・関節リウマチ・ステロイド性糖尿病にて近医フォロー中の患者。2018 年 XX 月に

不安定狭心症に対し右冠動脈に PCI施行。その際認められた残枝の左冠動脈前下行枝#6と対角枝#9の高度狭

窄に対して翌月 PCIを施行した。右橈骨動脈よりアプローチし、6Fr JL3.5を左冠動脈にエンゲージした。前

下行枝本幹に Runthrough NS FLOPPY をワイヤリングし、OFDIで#6 病変を観察した。次に対角枝に Runthrough

NS ULTRA FLOPPY をワイヤリングし、#9病変に Hiryu plus 2.0×15mm で前拡張を行い、こちらも OFDIで観察

した。#9病変を薬剤溶出バルーン使用後に、#6 病変に前下行枝 ostiumからステント留置の方針とした。まず

#9 病変を Sequent Please 2.0×20mmでバルーニングを行った。次に回旋枝に SION blueをワイヤリングしこ

れを保護した上で、#6 病変にサイズアップした Hiryu plus 3.0×15mm で拡張追加後に、対角枝#9 を jail す

る形で Ultimaster 2.75×28mmを留置した。この後 jail した対角枝#9のワイヤーを抜去したところ、ワイヤ

ー先端のプラチナコイルが解れて途中で断裂し残留した。様々な手法で回収を試み、難渋したが最終的には回

収に成功した。ワイヤープラチナコイルが解れて断裂し残留した経験が初めてであり、Bail Out 方法にも苦

慮したためここに報告する。

MO14 ステントによる冠動脈穿孔に対し perfusion balloonを用いて止血に成功した一例

久米 治、平林 優朗、小路 高史

中津市立中津市民病院

症例は 69歳男性。以前から高血圧の指摘はあったが治療歴はなかった。早朝に突然の胸痛を自覚し、当院へ

救急搬送となった。心電図にて下壁梗塞が疑われ、緊急 CAGを施行した。その結果、RCA Seg3に unstableな

狭窄病変を認め、Seg4PD 末梢も閉塞していたため、引き続き PCI を施行した。末梢まで血栓吸引を行い、ま

ずは IVUS guideで Seg4PDに Orsiro 2.25×22mmを留置した。Seg3の病変は IVUS 上 eccentricで plaque rich

な病変であり、目立った石灰化はなかったが、病変長が長く、一部に attenuation を認めていた。また、血管

径は 4mm を超えており、referenceは近位部 3.82×3.62mm、遠位部 3.2×3.59mmであったため、3.5mmのステ

ントを directに留置する方針とした。Resolute Onyx 3.5×30mmを nominal pressureで一回拡張し、念のた

め test shot を行ったところ、ステント遠位部からの extravasasion を認めた。直ちに SDS を Ryusei 3.0×

20mm に入れ替え、出血部位と思われるステント内で拡張した。血圧等に変化はなく、心エコーでも心嚢液の

貯留は見られなかった。そのまま 30分拡張したところ止血に成功した。今回ステント留置時に初回拡張で冠

動脈穿孔をきたしたが、perfusion balloonで止血しえた症例を経験した。今後も安全なインターベンション

を行う上での教訓として報告する。

Page 33: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

MO15 断裂した植込みポートカテーテルを Goose Neck Snare とアジリスシースを用いて回収した一例

西原 大貴、本里 康太、藤末 昂一郎、金澤 尚徳、坂本 憲治、山本 英一郎、海北 幸一、

辻田 賢一

熊本大学大学院 生命科学研究部 循環器内科学

64 歳男性、副腎小細胞癌に対して前医泌尿器科で 2015 年 3 月より皮下植込み用のポートカテーテルより術前

化学療法が行われた。2015年 10 月術後以降はポートの使用なくそのまま植込まれた状態で放置されていた。

2018年 9 月の定期外来の CT 撮影時にカテーテル断裂を指摘され、抜去目的に当科紹介となった。断裂したカ

テーテルは 8Fr、約 12cm、右室から右房にかけて迷入している状態であった。まず右内頸静脈より 8Fr シース

を挿入後、Goose Neck Snare で断裂したカテーテル断端を掴みにいったが、右房壁に寝るような状態であっ

たために掴むことは困難であった。続いて右大腿静脈より 18Fr シースを挿入、Snare での直接のカテーテル

断端把握はまた困難であったため、0.035mmのガイドワイヤーと Snareとでカテーテル自体を挟み、大腿シー

スに引き込む方針とした。しかし、断裂したカテーテルは右房内腹側に寝ていたために Snareではカテーテル

を捉えることはできなかった。そこでアジリスシースを用いて Snare の方向を誘導し、ワイヤーとで断裂した

カテーテルを挟み込み、折りたたむようにして大腿シースに引き込み除去に成功した。ポートカテーテルの断

裂は年に数例は報告されており、経カテーテルに回収されることが多い。今回 Goose Neck Snareだけでは回

収困難であったがアジリスシースによるアプローチが奏功した症例のために報告する。

MO16 Dextran使用下の Optimal coherence tomograohy (OCT) 後に難治性冠攣縮、心原性ショックを来

し Kounis症候群が疑われた一例

鍵山 弘太郎 1)、山路 和伯 1)、石崎 勇太 1)、石松 高 1)、佐々木 基起 1)、佐々木 雅浩 1)、

板家 直樹 1)、仲吉 孝晴 1)、大塚 昌紀 1)、佐々木 健一郎 1)、横山 晋二 1)、上野 高史 2)

1)久留米大学 内科学講座 心臓・血管内科部門、2)久留米大学病院 循環器病センター

78 歳男性。急性前壁心筋梗塞 seg 7:100%に対し primary PCI を施行した。seg2:75%の残存狭窄あり。急性心

筋梗塞の急性期加療中に急性胆管炎を合併したがその後問題なく経過した。しかし心不全への内服加療強化も

心不全のコントロールつかず、第 26 病日に残存病変の右冠動脈#2:75%に対し elective PCIを施行した。ま

ず右冠動脈に OCTを行った。OCT 直後より2,3, aVFの ST上昇と血圧低下を来しショック状態となった。造

影上、右冠動脈のびまん性の高度狭窄を来しており、何らかの原因による冠攣縮と判断し二コランジル冠注、

ショックに対しノルアドレナリン、ドパミン投与、人工呼吸器管理、IABP support などを行いショック状態

を離脱することができた。造影上冠攣縮の解除を確認し引き続き RCA seg2への PCI を完遂し手技終了とした。

帰室後に PCI 術中、終了直後には認めなかった前身の紅斑を認めた。紅斑、難治性冠攣縮の所見から Kounis

syndrome type1 が疑われた。造影、OCT の所見を供覧し報告する。

Page 34: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

MO17 CTO病変に対して DESを留置し、OCTで観察し得たその後の経過

横峯 辰生、神田 大輔、薗田 剛嗣、小瀬戸 一平、吉野 聡史、内匠 拓朗、大石 充

鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 心臓血管・高血圧内科学

In-stent neoatherosclerosis は、ステント留置後の新生内膜に生じた泡沫上のマクロファージの集積により

形成される動脈硬化と定義され、急性冠症候群のリスク因子と考えられている。また、In-stent

neoatherosclerosisは BMS留置症例に比し DES留置症例において、より早期に認められると報告されている。

症例は 66歳の男性。11 年前に急性下壁心筋梗塞発症し PCI施行。その 7年後に、再度急性冠症候群を発症し、

RCA,LCXの CTO病変を含む重症 3枝病変のため緊急 CABG 施行(LITA-LCX#12,RITA-LAD#8,Ao(SVG)-RCA#4PD-LC

X#14)。CABGから 1年後、LITA-LCX#12 及び Ao(SVG)-RCA#4PD-LCX#14 のグラフト閉塞のため、LCX#14:CTO及

び RCA#1:CTOに対し 2nd 及び 3rd DESを用いた PCIによる血行再建を施行した。9 か月後の follow up CAG

で RCA#1:3rd DES内に 90%の ISRを認め、OCT では In-stent neoatherosclerosis 所見を呈していたため DCB

にて加療した。今回 CTO病変に対して DES を留置し、その後の経過を 36 か月に渡って OCTで観察し得た症例

について報告する。

MO18 MRIで Hyper intense plaque を認めた症例に対して血管内を観察した 3症例

板家 直樹、佐々木 健一郎、大塚 昌紀、仲吉 孝晴、佐々木 雅浩、佐々木 基起、石松 高、

石崎 勇太、鍵山 弘太郎、新谷 嘉章、山路 和伯、横山 晋二、福本 義弘、上野 高史

久留米大学病院 心臓・血管内科

MRI での Hyper intense plaque(HIP)は OCT での不安定プラークと関連しているとされている。OCT での不安

定プラークは血管内視鏡(CAS)では黄色度の強いプラークとして観察され、OCT でのプラーク破綻部位には血

栓の存在が認められる事が多い。我々は MRIで HIPを認めた症例に対して血管内評価を行った。 (症例 1) 73

歳の女性。労作性狭心症の 2 枝病変(LAD/RCA)で、MRIでは RCA のみ HIPを認めた。CASでは LADは白色内皮で

覆われ、壁在血栓は認めなかった。RCAは CTOで、GW通過後に近位部のみ観察できたが白色内皮であり血栓は

認めなかった。PCI8 ヶ月目の確認造影時でも CAS を行ったが、RCAには多量の赤色血栓や黄色プラークを認め

た。 (症例 2) 68歳の男性。無症候性心筋虚血(3 枝病変)で、MRIでは RCAのみ HIP を認めた。RCAと LCxに

PCI を施行し、4 ヶ月後に RCA 及び LCx を CAS で観察した。LCx には血栓や黄色プラークも認めなかったが、

RCA は多量の壁在血栓及び黄色プラークを認めた。 (症例 3) 71 歳の男性。無症候性心筋虚血の 2 枝病変

(LAD/RCA)で、MRI では RCAのみ HIP を認めた。RCAへの PCI時の CAS では壁在血栓及び黄色プラークを認めた。

今回の症例はいずれも MRIでの HIP に一致して CASでは壁在血栓を認めた。HIPの由来は血栓やプラーク内出

血内のメトヘモグロビンであることが推察されており、CAS での壁在血栓が HIPとして観察されたと考えた。

Page 35: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

MO19 生体吸収型スキャフォールドで jailされた側枝を、3年後まで OCTで観察し得た一例

吉岡 吾郎、栗山 根廣、柳田 洋平、緒方 健二、松浦 広英、小岩屋 宏、柴田 剛徳

宮崎市郡医師会病院 心臓病センター

症例は 73歳男性。主訴は労作時胸痛。徐々に出現した労作時胸痛を主訴に当院を紹介受診。病歴より労作性

狭心症が疑われ冠動脈造影検査を施行。前下行枝に高度狭窄を認め、生体吸収型スキャフォールドを留置した。

留置の際に、対角枝・中隔枝の二本を、スキャフォールドで jail した。Jailした側枝は OCTを用いて、治療

直後・2年後・3年後に観察を行った。中隔枝に関しては、徐々にストラットに内膜増殖があり、入口部狭窄

を生じていった。対照的に、対角枝は 3 年後にはストラットが消失しており、治療直後と比較して入口部狭窄

は改善していた。OCT での観察では、スキャフォールドで同時に jail した 2 本の側枝が、対照的な経過を示

していた。スキャフォールドで jail した側枝の経過は不明な点が多く、OCT を用いた報告も限られている。

今後もさらなる知見の集積が望まれる。

MO20 iFR結果により治療 Strategy 変更後、治療に難渋した tandem/diffuse 病変の 1 症例

佐藤 裕一郎、河野 政紀、児島 正純、山口 研児

JCHO 諫早総合病院

症例は 80歳代、男性。X年 7 月に労作時息切れを主訴に近医を受診。虚血精査で CAGを施行した所、RCA #1 50%

#2 99% #3 50%、LAD #6 50% #7 75%(diffuse)、LCx #11 75%, #13 90%と 3枝病変を認めた。Culprite lesion

は RCA #2 と考えられ PCI(#2 Orsiro 2.5/18mm)を施行。同年 8 月に残存病変の治療、及び評価目的に当科

入院。入院後 CAG を施行。RCA #2 restenosis(-)、LCx #11 - #13 の tandem/diffuse 病変に iFR を施行。

iFR は末梢で 0.54、pullback で#11、#13 と共に jump up。まず jump up の大きな#11 に PCI の方針とした。

Guiding:Heartrail IL-3.5、iFR pressure wireをそのまま使用。病変部をIVUS:Eagle eyeで観察後にScoreflex

2.0/10mmで POBA。POBA後に Synergy 2.25/38mm を留置。ステント留置後に iFRを施行した所、末梢で 0.68、

pullback で#13 の jump upが著明となった。引き続き#13に PCIの方針とした。Orsiro 2.25/30mmを delivery

しようと試みたが#11 に引っかかて通過できず。iFR pressure wire の操作性が悪く Sion blue に変更し、

Guidliner を使用。Guidliner を deep に持って行ったがステントを delivery できなかった。#11 のステント

遠位部に Scoreflex 2.0/10mm で拡張し、Guidliner を#11 のステント遠位部まで deep に持っていくことで

Orsiro 2.25/30mmを deliveryすることができ、ステント留置できた。PCI後に iFRを測定すると 0.81、pullback

で jump up はなかった。シネ上、良好な拡張を得ていたため手技終了とした。tandem/diffuse 病変への iFR

の解釈に対し示唆に富んだ症例であったため報告する。

Page 36: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

MO21 塩酸パパベリン冠注による FFR測定時に、心室頻拍を来しニコランジル追加冠注が著効した一例

井上 航之祐、園田 信成、瀬戸山 航史、三浦 俊哉、清水 昭良、穴井 玲央、津田 有輝、

荒木 優、尾辻 豊

産業医科大学 第 2内科学

症例は 73歳男性。心エコー検査及び冠動脈 CT から左前下行枝と右冠動脈の 2枝病変を疑い、冠動脈造影検査

を施行した。その結果、左前下行枝中間部と右冠動脈近位部にそれぞれ中等度狭窄を認めたため、心筋虚血の

評価のため FFR を施行した。まず ATP静注にて最大充血を図り、FFRを計測したところ 0.80 以上であり、ATP

では最大充血に達していない可能性も考え、塩酸パパベリン、ニコランジルによる最大充血を併せて行った。

右冠動脈に対し塩酸パパベリン 8mg 冠注したところ、QTc 時間が 600msec と著明な QT 延長を認め、直後より

心室頻拍へと移行した。電気的除細動の準備を行っている最中に、事前に用意しておいたニコランジル 2mg

を冠注したたところ、心室頻拍は速やかに停止し、延長していた QTc 時間も改善し、電気的除細動を回避する

ことができた。塩酸パパベリンを含む QT延長を誘発する薬物の多くは心筋細胞の Kチャネルをブロックし、

心筋細胞の活動電位延長を起こす。ニコランジルは ATP 依存性 Kチャネル開口作用をもち、塩酸パパベリンで

抑制された外向きカリウム電流を別の経路から補充している可能性が考えられる。現在、当院にて行っている

塩酸パパベリン及びニコランジルを併用した新規の FFR 測定法の有効性及び安全性の検討も含めて報告する。

MO22 Angio で判断困難な虚血責任病変の同定に iFRが有効であった症例

松村 一騎、山口 研児、児島 正純、河野 政紀、佐藤 裕一郎

JCHO 諫早総合病院 循環器内科

症例は 77歳男性。X-2 年、呼吸困難、胸水貯留で入院歴あり。心エコーで拡張相肥大型心筋症の診断となり、

以後投薬加療で著変なく経過していた。X年 7 月、胸痛・冷汗を主訴に救急外来受診。来院時心電図で下壁・

側壁誘導で ST低下を認め、心エコーでは後側壁で壁運動低下を認めた。血液検査では NTproBNP高値、トロポ

ニン T 高値を認めた。緊急 CAG を行い、LAD#6 近位部:75%、HL:90%、75%、D1:99%、RCA#2:90%kink。UCG

で後側壁から下壁の壁運動低下を認め、HL を責任病変と考え PCI 施行し、DES 留置、0%PI で終了した。PCI

翌日にニトロが有効な胸痛の再発があり、心電図で ST 低下増強を認め、RCA#2 90%kink、LAD#6 75%病変によ

る発作が考えられたが、更なる精査の希望をされず、硝酸イソソルビドを追加し、退院とした。退院 4 日目、

冷汗を伴う胸痛で緊急入院。心電図、心エコーでは前回同様の変化を認め、再度 CAGを施行。IFRで LAD、RCA

の機能的評価を行った。LAD-IFR:0.83、RCA-IFR:1.04 であり、LAD が虚血責任病変であったと判断。IVUS

で LAD#6に多量の不安定プラークを認め、DES を留置。IFR:1.01 と正常化したことを確認し、終了した。虚

血責任病変の同定に IFRが有効であった症例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。

Page 37: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

MO23 右冠動脈 STEMI 血栓病変に対して ELCA を用いた際、冠動脈中膜構造の破綻を認めた一症例

吉田 大輔、長友 大輔、野副 純世、大井 啓司、末松 延裕、久保田 徹、岡部 眞典、山

本 雄祐

福岡県済生会福岡総合病院

Seg2 POBA 歴のある 80 歳台男性。バイアスピリンを自己中断した 2 週間後に胸痛をみとめ来院され、下壁誘

導の ST上昇、Seg2 100%閉塞を認め引き続き PCI を行った。マイクロカテーテルを用いて病変部を通過し、先

端造影より末梢の flowを確認した。IVUS にて多量の血栓を認めたため、ELCA(0.9mm concentric laser)を行

った。その後の IVUS で、病変部大彎側に Laser injury と思われる中膜構造の破綻を認めた。wire が血管の

辺縁部を通過しており、冠動脈穿孔のリスクを考慮し、アンダーサイズである 2.5mmのバルーンを用いて低圧

で前拡張した。ステント留置が可能と判断し、Synergy 3.0*32mmを留置した。急性冠症候群に対する ELCAの

有効性が報告されている。しかし、ELCA 特有の合併症もあり、適応病変・使用手技に注意が必要と思われる。

MO24 Resolute Onyxの著明な短縮を認めた一例

浦 祐次郎、村里 嘉信、福山 雄介、福田 翔子、北村 知聡、荒木 将裕、目野 恭平、矢

加部 大輔、小村 聡一朗、森 隆宏、竹中 克彦、沼口 宏太郎

国立病院機構 九州医療センター

症例は 49歳男性で、不安定狭心症で緊急入院となった。冠動脈造影の結果、右冠動脈 seg2 に 99%狭窄を認め

たため引き続き同部位に PCI を施行した。前拡張後に Resolute Onyx 3.0×22mm を選択して留置したが、OFDI

ではステント遠位部で圧着不良を認めたため後拡張を追加する方針とした。ステントバルーンを用いて後拡張

を行うこととし、位置調整を行なっている際にステントブーストでステントが短縮している事が判明した。

OFDI では 7mm 程度の短縮を認めていたが病変部は cover しており、造影上も拡張は良好であったため手技を

終了とした。6ヶ月後の確認造影では同部位の再狭窄を認めており、Drug-coated balloon による治療を要し

た。後拡張時に Resolute Onyxの著明な短縮を認め、同部位に再狭窄を生じた一例を経験したため報告する。

Page 38: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

MO25 PCI において、ガイディングカテーテルによる冠動脈解離からの心停止とガイドワイヤーによる

心タンポナーデを合併した1例

剣田 昌伸、榎園 圭、尾辻 秀章、木原 浩一

藤元総合病院 循環器内科

7○歳男性。労作性狭心症で、CAG 施行。LAD #6-7 に 90%、#11 75%狭窄を認めた。責任病変と考えられ

る LADに PCIを施行した。Short LMT であったため、guiding catheterを7F ALにて、LADに DES(Xience Sierra

3.0*38)を植え込み。guidewire を抜去し、最終造影すると、LMT が狭小化しており、LAD、LCXは、slow flow

となっていた。直後、心停止となり、胸骨圧迫にて回復。IABP 挿入し、その後の IVUSでは、LMT から広範囲

の解離を認めた。LMTと LCx をバルーンで拡張し、血圧上昇。LMT から LADに stent(Ultimaster 3.5*18)を

植え込み、KBD を施行し、手技終了。帰室 2 時間後、意識消失があり。血圧が 50 台まで低下し、心エコー上、

タンポナーデ所見を認めた。再度 CAG を施行。LAD#9 末梢よりわずかに造影剤の漏出を認めた。ショック状

態遷延のため、心嚢穿刺を施行後、コイル 2 本にて#9 を塞栓し、止血が可能となった。術後、CK 上昇も 599

までで、心エコー上、壁運動異常もなく、術後 15 日後に退院。Guiding catheter による解離や、guidewire

による穿孔は、PCI の起こりえる合併症であり、迅速な対応が重要であると考えられた。

MO26 偽腔 stentingで生じた no flowを bail outした 1例

小牧 聡一、丸目 恭平、日下 裕章、戸井田 玲子、黒木 一公、山本 展誉

宮崎県立延岡病院

症例は 88 歳の女性。慢性腎不全、2 型糖尿病、脂質異常症などに対し、近医で加療を行っていた。呼吸困難

感を自覚され、当院に紹介となり、気管支肺炎による慢性うっ血性心不全増悪と診断し当科に入院。心不全加

療後に冠動脈カテーテル検査を施行し、seg6で 75%、seg7で 90%狭窄を認め、血行再建の適応と判断し、PCI

を施行した。LADのびまん性狭窄に対し、Caravel MCの support下で sionを cross した。IVUSを行った上で

POBA後にステント留置を行ったが、本幹を cross したと考えた wireは sub-intimal に迷入していた。偽腔に

stenting をしたことで、LAD は no flow となった。IVUS Navifocus WR を用いた 3D wiring で Conquest pro

を sub-intimal から intimal 内に penetration し、bail out に成功した。wire操作や IVUS所見の見落としか

ら生じてしまった教訓的症例であり、反省すべき点を多く感じたため報告する。

Page 39: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

MO27 FiltrapRのピットフォール. Filter no-reflow・・・あなたならどうする?

平井 敬佑、副嶋 利弥、梶山 公裕、遠藤 奈奈、原口 和樹、小此木 太一、福岡 良太、

折田 義也、梅地 恭子、古賀 久士、川崎 友裕

新古賀病院 循環器内科

78 歳男性。増悪型の労作時胸痛を主訴に当院を受診した。トレッドミル運動負荷心電図で前胸部誘導の一過

性 ST 上昇を認めたため、準緊急で心臓カテーテル検査を行った。結果、左前下行枝近位部に 99%狭窄を認め、

同部位を責任病変と考え緊急 PCI を行った。IVUS 上は全周性の減衰エコー所見を伴う positive remodeling

を認め、FiltrapRを併用した。小径バルーンでの前拡張後に filter no-reflow となり血栓除去カテによる吸

引および冠拡張薬を使用したが血流改善が得られず、胸痛が持続し、著明な ST 変化を認めた。止むを得ず

filter 抜去にて血流改善を図ったが、バルーンによる解離を生じていたためか同部で完全閉塞となり,ガイ

ドワイヤーの再挿入を試みるも偽腔へ迷入し再挿入困難となった。最終的には Double lumen catheterを用い

た中隔枝からのワイヤー操作により何とか再挿入に成功し、ステント留置により血行再建を完了したが、術後

の CPK は 1400U/L まで上昇した。今回、filter no-reflow の対応に苦慮し治療に難渋した症例を経験したの

で、同様の病変に対する他施設での対応など議論頂きたく、報告させて頂く。

MO28 Ultimaster留置後に IVUSが stuck し、bail out できず、緊急 CABGとなった一症例

石松 高、石崎 勇太、板家 直樹、山路 和伯、鍵山 弘太郎、佐々木 基起、佐々木 雅浩、

新谷 嘉章、仲吉 孝晴、佐々木 健一郎、横山 晋二、福本 義弘、上野 高史

久留米大学病院 心臓血管内科

66 歳女性。急性心筋梗塞を発症し当院に搬送となり、責任病変である LADseg7 に対して PCI を行った。6Fr

システムで橈骨動脈からアプローチし、ガイドワイヤー通過後に POBA を行い、LADseg7 に Ultimaster

2.35/38mm を留置した。ステント近位部に NC balloon 3.0/15mm で後拡張を追加し、LAD 本幹と対角枝に KBT

を行った後に、最終 IVUSを施行した。IVUSを回収しようとするとステント内に引っかかり、無理に引いたた

め完全に stuckした。IVUSの image coreを抜去し、0.014wire を挿入するも stuck 解除できなかった。大腿

動脈から 7Frシステムを構築し、LAD 末梢へガイドワイヤーを通過させ、stuck部に POBAを行ったが解除でき

なかった。手技中に LMT および LCx にも血栓が形成され、ショックバイタルとなったため、IABP 挿入の上、

緊急 CABGおよび IVUS 抜去を行った。IVUSは、PCI において使用頻度の高い診断装置である。しかし、構造の

特性から稀ではあるが抜去困難となる症例がある。今回、IVUSが stuckしたさいの bail out の方法が不十分

であったこともあり、緊急 CABGとなった一症例を経験した。IVUSを含めたすべてのデバイスは stuckする可

能性があることを念頭に置き、bail outの方法を熟知しておく必要がある。

Page 40: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

MO29 ステント留置後に冠動脈解離のため側枝閉塞し,ワイヤリクロスに難渋した一例

大城 克彦、勝連 朝史、槇田 徹、平良 良集、宮良 高史、田場 洋二、當真 隆

沖縄県立南部医療センター・こども医療センター

症例は 72歳男性.会議中に胸痛が出現し近医を受診.心電図にて I,aVL 誘導に ST 上昇を認め,急性冠症候群

の診断で当院へ搬送となった.緊急冠動脈造影にて左前下行枝に 99%亜閉塞所見あり,引き続き経皮的冠動

脈インターベンションを開始した.病変部より分岐した対角枝へ Protect wire を挿入した後に Everolims

Eluting stentを前下行枝へ留置し再灌流に成功した.留置後の血管内超音波(IVUS)確認中に胸痛が出現.心

電図で ST上昇を認め,造影では対角枝が完全閉塞していた.対角枝に対する追加治療が必要と考えられ,ス

テント内からのワイヤリクロスを試行するも対角枝内で偽腔に迷入し,ガイドワイヤを進めることができなか

った.偽腔拡大で真腔が閉塞しているためステント内からのリクロスは困難と判断し,ステント外から対角枝

へバルーンを挿入.対角枝の真腔を拡大した後にリクロスする方針とした.1mmの小径バルーンをステント外

の Protect wireを利用して対角枝へ進め,対角枝入口部を拡張したところ対角枝の血流が改善.真腔が確認

できるようになりステント内からのリクロスに成功した. Kissing balloon technique で同時拡張を行い,

治療を完遂できた.ステント外を通してバルーンを挿入することでステント変形のリスクはあるが,側枝閉塞

に対しリクロスが困難な症例に対する Bail outとして有用であると考えられたため症例報告する.

MO30 左主幹部解離を伴う急性大動脈解離を救命し得た一例

石田 紀久、上田 隆士、井上 寛子、西川 宏明、勝田 洋輔

福岡大学 西新病院

症例は 76歳女性。高血圧で近医を通院している。起床後に突然の頭痛を自覚し当院外来を受診した。血圧は

左右差なく、両側橈骨動脈、両側大腿動脈とも触知良好であった。心電図にて前胸部誘導で陰性 T波を認めた

が血液検査にてトロポニン T は陰性、心筋逸脱酵素は正常範囲であった。胸部レントゲンで縦隔の拡大、心拡

大を認めなかった。性差のため入院としたが病棟までの移動中に強い背部痛が出現した。血圧は 70/30mmHg

とショック状態となり、心電図にて、aVLで ST 上昇を認めた。緊急冠動脈造影の結果左主幹部に 99%delay を

認め、同部位に経皮的冠動脈形成術を施行した。その際の IVUSにて左主幹部は巨大血腫による圧排が狭窄の

原因であり、治療後造影 CT にて上行大動脈解離の所見を認めた。急性大動脈解離に伴う冠動脈解離が今回の

心原性ショックの原因であると判断し、緊急上行く血管置換術を施行し、本症例は救命に成功した。一般的に

急性 A 型大動脈解離は緊急手術の適応となるが心原性ショックを伴う心筋梗塞の場合には外科的治療までに

時間を要する事もあり、先に経皮的な血行再建を行うか議論を要する。先に経皮的血行再建を行う事で究明に

成功した冠動脈解離を伴う大動脈解離の症例を経験したので、文献的考察を踏まえ報告する。

Page 41: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

MO31 冠動脈瘤を伴う急性心筋梗塞に対して急性期にバルーン拡張術を施行後に外科手術を行い良好な

経過をたどった一例

山元 美季、青木 裕司、松島 慶央、齋藤 裕

公立八女総合病院 心臓・血管内科

【背景】冠動脈瘤の定義は,隣接する対照血管の径を超える瘤様拡張または患者の主要冠動脈の最も太い径の

1.5 倍以上とされる.頻度は冠動脈瘤施行例の 2.6%とされ,稀な疾患であるゆえに確立された治療法はない.

また, 冠動脈瘤はしばしば心筋梗塞などの血栓塞栓合併症をきたす.冠動脈瘤を伴う急性心筋梗塞に対して

は,待機的な外科治療を念頭に,急性期はバルーン拡張術のみを行い,その後速やかに外科治療を行うことに

よって救命率を増加できる可能性がある.【臨床経過】49 歳男性.某日午前 2 時就寝中に初めて胸部絞扼感

を自覚し救急要請され来院.心電図では V1-4で T波増高,心臓超音波検査では前壁中隔の無収縮を認めた.

急性心筋梗塞を疑い緊急冠動脈造影を施行したところ,左冠動脈前下行枝に短径 9.5mm×長径 50mm の冠動脈

瘤を認め,瘤の末梢から完全閉塞していた.今後外科手術を施行することを念頭に狭窄部のバルーン拡張のみ

を施行した.薬剤はニコランジル,アスピリン,ワルファリンを導入した.第 17 病日に他院転院とし,冠動

脈バイパス術,冠動脈縫縮術を施行された.術後経過は良好であり,当院でリハビリテーション後 57病日目

に自宅退院とした.【結論】冠動脈瘤を伴う急性心筋梗塞に対して急性期のバルーン拡張術および冠動脈バイ

パス術,冠動脈縫縮術により救命できた一例を報告する.

MO32 心原性ショックを呈し救命できなかった左回旋枝末梢病変の急性下壁心筋梗塞の一例

中野 仁晴、香月 与志夫、古賀 祐樹、吉賀 巧、杉 健三

杉循環器科内科病院

【症例】特に病院受診歴がない 80歳代の男性、X月 Y日 18時頃より胸部絞扼感を自覚、Y+1 日に近医を受診

した。12 誘導心電図で急性心筋梗塞が疑われ当院救急搬送、搬入時意識レベル JCS:1 で血圧 64/38mmHg と心

原性ショックを呈しており、DOB3γでカテコラミン投与を開始し緊急 CAGを施行した。左回旋枝 seg.13:100%

であり同部位へrescue-PCIを施行、血栓吸引でやや器質化した赤色血栓が中等量引け、semi-compliant ballon

2.0×15mm で前拡張後に、CoCr-EES 3.5×28mm+2.5×18mm を留置した。しかし、TIMI1-2 程度の flow しか得

られず、頻回の血栓吸引の追加や Micro catheter からニコランジル冠注をしたが flowは改善しなかった。ま

た、DOB増量や NAd追加にも反応しない薬剤抵抗性の心原性ショックが続いており、IABPの留置も検討したが

不穏から体動が非常に激しく留置は困難であった。最終的に TIMI2 の flowで終了し抗凝固療法の強化で経過

観察しようとしたが、帰室準備中に CPA となり、CPR を行うも ROSC せず、同日死亡退院となった。今回、心

原性ショックを呈し救命できなかった左回旋枝抹消病変の急性下壁心筋梗塞の一例を経験した。反省点や若干

の文献的考察を交え、症例検討をお願いしたい。

Page 42: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

MO33 Primary PCI 及び IMPELLAにより救命し得た、心原性ショック合併 STEMIの 2症例の比較

小岩屋 宏、柳田 洋平、緒方 健二、木村 俊之、松浦 広英、古堅 真、西平 賢作、渡邉

望、栗山 根廣、柴田 剛徳

宮崎市郡医師会病院 心臓病センター 循環器内科

2017 年 9 月より本邦で保険適応となった IMPELLA は、経皮的に順行性循環を可能とした新しい心臓補助循

環デバイスとして期待されている。今回、心原性ショック合併 STEMI に対し、Primary PCI及び IMPELLAを導

入し、救命し得た 2 症例を経験した。一例目は 83 歳、女性。突然の胸痛を自覚し、救急要請。救急隊現着直

後に CPA となったが、CPR開始、ROSCが得られた。前医搬入時の ECG は広範に ST 変化を認め、STEMIと診断。

CAGでは 2枝 CTO、石灰化を伴う 3 枝病変であった。気管内挿管。IABP挿入後に当院へ緊急転送。多量カテコ

ラミン+IABP補助下に sBP:90mmHgとショックは遷延。IABPを IMPELLA2.5へ入れ替え、ショックを離脱。翌

日、一期的に 3枝に PCIを行った。第 4 病日に IMPELLA 離脱し、第 21 病日、独歩退院となった。2例目は 53

歳、男性。3年前に LAD への PCI歴を有していたが、経過良好であり、3カ月前より内服は自己中断していた。

夜間、突然の背部痛を自覚し、当院へ緊急受診。検査中に VT/VF、VF storm となり、カテ室搬入。PCPS 導入

後の em-CAGで seg6 の DESの VLSTが判明し、PCI 施行。Low EF であり、IMPELLA5.0 を導入し、ECPELLAでの

加療を行い、PCPS→IMPELLA と離脱した。その後、肺炎や LOS に伴う心不全管理に難渋したが、第 90 病日、

退院となった。心原性ショック合併 STEMI に対し、Primary PCI 及び IMPELLA2.5 及び 5.0 が著効し、救命し

得た二例について、文献的考察を加え、報告したい。

MO34 急性冠症候群の Door to device time 短縮への取り組み

佐々木 基起、本間 丈博、鍵山 弘太郎、石松 高、佐々木 雅浩、板家 直樹、仲吉 孝晴、

横山 晋二、上野 高史、福本 義弘

久留米大学 医学部 心臓・血管内科

急性冠症候群において来院時から再灌流までの時間(Door to device time:DTDT)が短いほど急性期死亡率

が低下することが多く報告されている。我々の施設では急性冠症候群が疑われる患者に対する初期対応マニュ

アルを作成運用し、DTDT の短縮を図る取り組みを行っている。当院高度救命救急センターに搬入となり緊急

カテーテル治療を行った症例において、心原性ショックの症例を除くと、初期対応マニュアル導入前の DTBT

は 95分、DTDT<90分達成率は 50%であったが、マニュアル導入後は DTDTが 63分、DTD time<90分達成率

は 89%と大幅に改善を認めている。最近日本において DTDTの短縮が十分になされていないという報告も複数

あり、取り組みの1つとして報告する。

Page 43: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

MO35 膵頭部悪性腫瘍手術前に他院にて発見された前下行枝高度狭窄に対して治療方針に苦慮した症例

梅原 英太郎、後藤 俊一朗

医療法人医和基会 戸畑総合病院

【初めに】非心臓手術前に偶然見つかる冠動脈病変に対しては「非心臓手術における合併心疾患の評価と管理

に関するガイドライン」に従い治療が望ましいが、他院・他科での治療のため苦慮した事例を報告する。【症

例】72歳、男性【現病歴】他院外科にて膵頭部癌手術を予定するも術前冠動脈 CT にて前下行枝に高度狭窄を

認め、術前血行再建目的に紹介となった。【既往歴】2 型糖尿病・インスリン使用、脂質異常症、高血圧症、

陳旧性脳梗塞後遺症【臨床症状】無症状【身体所見】特記すべき異常なし【検査所見】心電図は CRBBBのため

ST 評価不良、UCGでの壁運動異常なし【CAG】#1 50%,#7 90%,#13 50%【CAG後経過】TELにて外科に開腹手術

優先を勧めるも、血行再建優先を強く希望【PCI】IVUS は病変を通過できず、2.0mm×10気圧で前拡張、2.5mm

で追加拡張、Dissection type B を認めるも造影遅延なく、偽腔拡大傾向ないことを確認し DCB 2.5/20mm を

塗布。【治療後】DAPTは 1か月間継続し、1か月後 CAG を行い解離、再狭窄なく 25%。DAPT終了し消化器外科

にて膵体尾部腫瘍切除術(リンパ節・神経叢郭清)、胆嚢摘出術、膵管-空腸吻合施行(2.5 か月遅延)。PET

では遠隔転移なし、今後は補助化学療法予定。追加の PCIはせず。【考察】意見をいただきたく提示する。

MO36 左冠動脈無冠動脈洞起始異常の一例

石田 紀久、上田 隆士、井上 寛子、西川 宏明、勝田 洋輔

福岡大学 西新病院

症例は 50歳女性。労作兼安静時の胸痛を主訴に当院を受診した。安静時心電図で虚血性 ST 変化は認めず、胸

部レントゲンでは側弯を認めたが、肺野異常、縦隔拡大を認めなかった。心エコーにて異常所見を認めなかっ

た。運動負荷心電図は虚血性変化はなかったが、心筋シンチでは前壁中隔領域に再分布を認めた。冠動脈 CT

にて左冠動脈無冠動脈洞起始異常および左主幹部に扁平な高度狭窄を疑う所見を認めた。冠動脈造影検査で冠

動脈 CT 同様、主幹部は無冠動脈洞から分岐しており、入口部に扁平に 50%狭窄を認めた。左冠動脈無冠動脈

洞起始に開口部狭窄を伴った症例においては運動中に突然死の報告があり、本症例においても胸部症状の存

在、心筋シンチにて虚血を示唆する所見があることを考え、今後冠動脈移植術を予定としている。冠動脈起始

異常は普段カテーテル検査を施行する際に高頻度に遭遇する、基本的には治療必要のない疾患であるが、起始

異常の分岐部位によっては突然死のリスクになる malignant course が報告としてあがっている。Malignant

course に関しては胸部症状の有無、心筋虚血の有無に関わらず突然死予防のため外科的介入をするとの報告

もある。左冠動脈無冠動脈洞起始異常はその malignant course内でも極めて稀な起始異常の形態を経験した

ので文献的考察を交えて報告する。

Page 44: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

MO37 12 誘導ホルター心電図にて ST 上昇を観察しえた不安定狭心症の一例

永井 陽一郎、井上 航之祐、園田 信成、瀬戸山 航史、三浦 俊哉、清水 昭良、穴井 玲

央、津田 有輝、荒木 優、尾辻 豊

産業医科大学 第 2内科学

症例は 46歳女性。これまで定期的に医療機関を受診していなかった。201X年 8月頃より安静時・労作時問わ

ない動悸を自覚していた。近医を受診し、ホルター心電図を施行されたところ心房頻拍を認めたため、動悸の

原因として不整脈が疑われ 9 月 11日に当科を紹介受診した。同日 12誘導ホルター心電図を装着したところ、

夜間に患者イベントを認め、I、aVL、V2-4誘導の ST上昇発作が捉えられた。13日に当院入院の上、準緊急的

に冠動脈造影検査(CAG)を施行した。CAG の結果、左前下行枝(LAD)#6 90%高度狭窄及び右冠動脈(RCA)

#4PDから LAD への側副血行路を認め、LADを今回の責任病変と判断し、引き続き経皮的冠動脈形成術(PCI)

に移行した。OFDIガイドで PCIを行い、LAD#6に薬剤溶出性ステント(SYNERGY 3.5/20mm)を留置し、手技を

終了した。術後は胸部症状の再燃を認めることなく経過良好である。冠動脈疾患の非侵襲的診断法には運動負

荷心電図、心エコー図検査、心臓核医学検査や冠動脈 CT が広く用いられている。一般的なホルター心電図は

誘導数が限られており情報量に限界があるが、12 誘導ホルター心電図は記録誘導数が多いため、詳細な心電

図データを記録・解析することができる。本症例は不整脈が疑われ 12誘導ホルター心電図を施行したところ、

ST 上昇発作を観察することができ、不安定狭心症の早期の診断・治療方針の決定に有用であった。

MO38 重症慢性血栓塞栓性肺高血圧症に合併した冠動脈三枝病変の一例

古澤 峻 1)、仲野 泰啓 1)、細川 和也 1)、阿部 弘太郎 1)、上徳 豊和 1)、的場 哲哉 1)、阿部

巧 2)、中村 亮 2)、筒井 裕之 1)

1)九州大学病院 循環器内科、2)済生会二日市病院

症例は 50 歳台男性。9 年前に肺血栓塞栓症に伴う肺高血圧症に対してワルファリンを開始された。心エコー

上、徐々に右心負荷の増悪を認め、2018 年前医で右心カテを施行された。mPAP 55mmHg、PVR 9WUと著明な高

値であり、肺動脈造影では両側肺動脈末梢の閉塞を認め、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)と診断した。同

時に施行した冠動脈造影検査では三枝病変であり、Seg6 は造影遅延を伴う 99%狭窄病変であった。重症肺高血

圧症のため冠動脈バイパス術は困難であり、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)で加療の方針とした。前

医でワルファリンに加え抗血小板薬2剤の内服を開始されたが、約 1ヶ月後に喀血による呼吸状態増悪を来し

た。重症 CTEPHおよび抗血栓薬3剤の投与が原因と判断し、抗血栓薬 3剤内服は中止し、ヘパリン持続投与下

に CTEPH に対する計 3 回の経皮的バルーン肺動脈形成術(BPA)を先行し、mPAP は 55mmHg→37mmHg まで低下し

た。その後 PENDURUM MONO 多施設研究に参加の上で、アスピリン導入は行わず、ワルファリン+プラスグレ

ル内服下に Seg6 病変に対して PCI を施行した (Xience Sierra 3.25x33mm)。PCI 急性期の出血事象、ステン

ト血栓症を含む血栓事象は認めず、自宅退院となった。 重症 CTEPH に冠動脈三枝病変を合併した稀な症例で

あり、インターベンションと抗血栓療法を含めた治療方針決定に難渋した一例であったため、これを報告する。

Page 45: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

MO39 冠動脈拡張症を伴う大伏在静脈-左冠動脈主幹部バイパス吻合部狭窄に対し段階的なバルーン拡

張が有用であった症例

本川 哲史、古賀 聖士、山方 勇樹、米倉 剛、池田 聡司、河野 浩章、前村 浩二

長崎大学病院 循環器内科

症例は 70 歳代男性。18 年前に他院で大動脈弁輪拡張症に対し David手術が行われた。1年前左冠動脈再建部

巨大仮性瘤を指摘。再建部での左冠動脈吻合が外れたため仮性瘤を形成しており、心臓外科にて吻合が外れた

左冠動脈主幹部(LMT)断端を大伏在静脈(SVG)に吻合した。術後に偽腔開存型下行大動脈解離を合併し保存的加

療となった。退院後に軽労作での胸痛が出現。バイパス造影で SVG-LMT吻合部に 99%狭窄を認めた。開胸術の

場合、4度目の開胸となるため協議の上、PCIの方針とした。腕頭動脈の高度蛇行および下行大動脈解離のた

め左上肢以外のアプローチ部位がなく、また人工血管内を通過するためカテーテルの操作性が著しく不良であ

ったことからシースは左上腕動脈より 6Fr Destination 40cmを使用した。IVUSで病変前後の血管径は 7mm程

度あり、ステントの圧着は困難と判断した。ScoreflexNC 4/15mm で拡張し、さらに NC Emerge5/12mm で拡張

した。中等度狭窄は残存したが、心電図上安静時 ST低下は速やかに改善した。血管内腔は十分であり、過度

のバルーン拡張は吻合部破裂の危険性があるため、追加拡張は行わず終了した。本症例は左上肢以外のアプロ

ーチ部位がなく補助循環のバックアップがないため可能な限り低リスクで手技を終える必要があり、対照血管

径に対し小径バルーンで段階的に拡張を行うことで大合併症なく手技を終了することができた。

MO40 緊急 PCPS導入が必要であった急性冠症候群の 2 症例

牟田 龍史 1)、舛元 章浩 2)、久米田 洋志 2)、中村 広 2)、上野 高史 3)

1)福岡記念病院 初期臨床研修医、2)福岡記念病院 循環器内科、3)久留米大学病院循環器病セン

ター

【症例 1】83 歳男性【現病歴】平成 30年 3月 X日、急性心筋梗塞のため、緊急搬送された。pulseless VT, VF

を繰り返し、PEA となったため、PCPSを導入したところ、自己心拍が再開した。冠動脈造影で右冠動脈 seg2

に完全閉塞を認めたため、冠動脈形成術を施行し、IABP を挿入した。低体温療法、CHDF も開始したところ、

神経学的後遺症を認めず、意識レベルの改善を認めた。その後も順調に経過され、リハビリテーション目的で

独歩転院された。【症例 2】73歳男性【現病歴】平成 30 年 4月 X日、CPA で緊急搬送された。Bystander CPR

は行われていたが、当院搬送時まで自己心拍は再開しなかった。搬送から約 20 分後に自己心拍が再開したが、

再度、PEA となったため、PCPSを導入したところ自己心拍が再開した。冠動脈造影で右冠動脈 seg3 より大量

血栓による完全閉塞を認めた(左前下行枝 seg7、対角枝 seg9は慢性完全閉塞であった)。血栓吸引後、冠動脈

形成術を施行したが大量血栓は残存した。IABP を挿入し終了した。低体温療法、CHDFも開始したが、多臓器

機能不全症候群が増悪し、永眠された。【考察】PCPS は急性冠症候群後の致死的不整脈、心破裂など原疾患

の治療まで血行動態を維持させる補助循環手段として、極めて有用と考えられた。しかし、広範かつ不可逆的

な心筋障害を来たした症例においては、限界があるものと思われた。

Page 46: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

MO41 血栓吸引療法と PIT による血栓溶解療法を併用することで血栓処理に成功した亜急性心筋梗塞の

一例

吉賀 巧、中野 仁晴、香月 与志夫、古賀 祐樹、杉 健三

杉循環器科内科病院

201X年 Y月 Z日心停止蘇生後(VFに対し DC2回で ROSC)で当院搬入となった。12 誘導心電図は 2・3・aVF、

1・aVL・V1-6 で ST 低下し aVR で ST 上昇していたが、心エコー図は左室収縮能良好で局所壁運動異常はなか

った。蘇生後脳症による意識障害の遷延(GCS:E1、VT、M1)ありまずは人工呼吸器管理で集学的治療を開始した。

4 時間後に心電図で 2・3・aVFで ST上昇、V1-4で ST低下あり、心エコー図でも新たに下側壁領域に局所壁運

動異常が出現、急性心筋梗塞と判断したが、意識障害の遷延あり家族は検査を希望されなかった。Z+2日に意

識レベルが改善(GCS:E4、VT、M6)、家族の同意を得て準緊急で CAG を施行(心停止から 44 時間後)した。LCA

は有意狭窄なし、RCAは seg.1:totalで、亜急性心筋梗塞に対し PCI を施行した。貫通カテの back up下で GW

pass し TIMI2 を得た。造影上多量の血栓あり血栓吸引を数回施行、やや器質化した赤色血栓を少量吸引した

が TIMI1 に低下した。末梢保護しウロキナーゼ 24万単位で PIT(Pulse Infusion Thrombolysis)による血栓溶

解療法を施行、PIT後も TIMI1であったが、血栓吸引を追加し中等量の赤色血栓が吸引された。造影上も血栓

は著明に消失し TIMI3 を得て、CoCr-EES3.5×33mm を direct で留置し終了した。今回、血栓量も多く器質化

傾向であったが、血栓吸引療法と PITによる血栓溶解療法を併用することで血栓処理に成功した症例を経験し

た。若干の文献的考察を交えて報告したい。

MO42 心房細動による巨大血栓により治療に難渋した急性心筋梗塞の一例

原田 泰輔、秋岡 秀文、油布 邦夫、高橋 尚彦、中川 幹子、手嶋 泰之、岡田 憲広、齋

藤 聖太郎、米津 圭佑、財前 拓人

大分大学 医学部附属病院

【目的】血栓形成による急性心筋梗塞(AMI)に対する治療方針は確立されていない. 今回我々は巨大血栓によ

り治療に難渋した右冠動脈(RCA)の AMI を経験したため報告する. 【症例】67歳男性.【現病歴】高血圧症, 2

型糖尿病, 発作性心房細動(Paf)に対し薬物療法を近医で行っていた. Paf の再発を認めないことから 2 ヶ月

前から抗凝固療法は中止されていた. 2018 年 9 月 X 日, 自宅でテレビを見ている際に突然冷感を伴う胸痛が

出現し, 前医に救急搬送された. 12 誘導心電図で AMI が疑われ, 当院へ救急搬送された. 【臨床経過】当院

の 12 誘導心電図で II, III, aVF 誘導で ST 上昇, 心エコー図検査で下壁の壁運動低下を認め, RCA の AMI を

疑い緊急 CAGを行った. Seg.1 に完全閉塞を認め、直ちに PCIを行った. 血栓吸引やバルーン拡張術を行うも

再灌流は得られなかった. 血行動態は保たれていたが IABP を留置し, tPA 160 万単位を RCA 内にルミネカテ

ーテルを用い冠注したところ, TIMI2 の血流が得られた. その後血栓吸引を行ったところ, 再度閉塞を認め

た. その後, ヘパリン入りの生食をルミネカテーテルから冠注を行ったところ, 末梢に巨大血栓が移動し還

流を得ることができた.【結語】今回, 我々は治療に難渋した巨大血栓の一例を経験した. 血栓溶解療法に工

夫することで再灌流に成功した.

Page 47: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

MO43 亜急性心筋梗塞に対し薬物療法を行い OCT で経過をみた 1例

野元 裕太朗 1)、小川 正一 1)、鎌田 梨沙 1)、吉元 一成 1)、今村 春一 1)、大牟禮 健太 1)、

茶圓 秀人 1)、桶谷 直也 1)、宮田 昌明 1)、濱崎 秀一 1)、大石 充 2)

1)鹿児島市立病院 循環器内科、2)鹿児島大学大学院医歯学総合研究科心臓血管・高血圧内科学

症例は 81歳女性。主訴は安静時胸痛。高血圧症、2型糖尿病(HbA1c 10.9%)、認知症、発作性心房細動にて近

医通院中。2017 年 1 月に入浴中安静時胸痛が 1 時間持続した。翌日近医受診し、新規の完全右脚ブロック、

トロポニン T 陽性であり当科紹介となった。採血で心筋逸脱酵素上昇を認めたが、来院時胸部症状なく ST上

昇、壁運動異常も認めず再潅流した亜急性心筋梗塞と判断し冠動脈造影を施行した。造影上は TIMI3であった

が左前下行枝近位部に高度狭窄を認め IVUS 施行したところ脂質成分に富んだプラークを認めた。PCI による

slow flowとなるリスクが高いと判断したが末梢保護デバイスを用いても比較的大きな対角枝の保護が出来な

いため、至適薬物療法でプラーク安定化を図ったのちに PCIを検討する方針とした。慢性期に施行した薬物負

荷心筋シンチでは LAD領域に誘発虚血認めず。その後も胸部症状なく経過し 8か月後及び 20か月後に冠動脈

造影および OCT を施行した。LDL コレステロール 20 mg/dL 台、HbA1c 6%台と脂質、血糖のコントロールは良

好であったが OCT上 cholesterol cleft と思われる bright spotの増加と新たな plaque rupture を来してい

た。薬物療法のみでのプラークのコントロールが困難な症例を経験したため報告する。

MO44 冠動脈ステント留置術施行 5 時間後にステント血栓症をきたした ST上昇型心筋梗塞の 1 例

増永 智哉、末松 延裕

済生会福岡総合病院 循環器内科

症例は未治療の高血圧症の指摘のある 48歳男性である。労作時胸痛のため当院に救急搬送された。ST上昇

型心筋梗塞の診断で、緊急冠動脈造影検査を施行した。Seg 7 100%閉塞を認め、同部位を責任病変と判断し、

引き続き冠動脈ステント留置術を施行した。血栓吸引後、Ultimaster 2.75×38mm を direct に留置し、解離

や圧着不全などなく終了した。術後ヘパリン持続投与はしなかった。帰室し 5時間後に胸痛が再燃した。V2-4

で ST 上昇を認め、再度緊急冠動脈造影検査を施行した。ステント内に急性血栓閉塞像を認め、エキシマレー

ザーによる血栓蒸散を図ったが、再灌流しなかったため、血栓吸引、パーフュージョンバルーンによる拡張を

行い再灌流に成功した。術後 4 病日までヘパリンを持続静注し、APTT 60-80 s を維持した。特にその後は胸

痛なく経過し、CK 983 U/Lでピークアウトした。機械的合併症なく経過し、第 15 病日に自宅退院とした。 現

行の薬剤溶出性ステント(DES)におけるステント血栓症の頻度は減っているが、今回 ST 上昇型心筋梗塞に対

する DES 留置直後にステント血栓症をきたした 1 例を経験した。超急性期にヘパリン投与を行わなかったこと

が要因の可能性もある。急性冠症候群治療後のヘパリン投与の必要性、およびパーフュージョンバルーンを併

用したステント内血栓症に対する bail outの有用性について、文献的考察を加えて報告する。

Page 48: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

MO45 脂肪塞栓にて生じた急性心筋梗塞の一例

伊藤 彰彦 1)、森上 靖洋 2)

1)熊本赤十字病院、2)桜十字病院

54 歳の女性で、x年 1月 10 日 16時 30 分頃より前胸部痛、嘔吐が出現、改善しないため救急車要請、当院外

来受診された。外来での心電図にて II,III,aVF の ST 上昇を認め、ニトロペン 1 錠舌下、 バイアスピリン

200mg内服後の心電図においても ST 上昇は持続、心エコーにて下壁の壁運動低下、1-2/X の胸部症状が残

存していたため、急性心筋梗塞の診断のもと緊急心臓カテーテル検査となった。

冠動脈造影にて右冠動脈(Seg3)に透亮像を認めたので、血栓吸引を数回行った。その結果、白色組織が合計

70mg吸引され、最終的に造影上 0-25%となり手技を終了した。Max CPK 998IU/l(Onset より 13 時間後)で、

リハビリを 1 週間行い、アスピリン 100mg、エナラプリル 5mg、ジルチアゼム 100mg、シンバスタチン 5mg内

服継続することとし、退院となった。

白色組織を病理診断したところ、主体は脂肪組織で一部繊維素と好中球が混在している物質で脂肪塞栓に矛盾

しない所見であった。

これまでの病理学的研究により、急性冠症候群の発症には、冠動脈プラークの破綻・びらんと、それに続く血

栓形成が中心的意義を有していることが明らかになっている。今回、塞栓物質が血栓ではなくそのほとんどが

脂肪組織という貴重な一症例を経験したので、文献的考察を加えて報告する。

MO46 心室細動・心肺停止蘇生後の治療方針について検討が必要であった一例

佐々木 雅浩、上野 高史、横山 晋二、佐々木 健一郎、大塚 昌紀、仲吉 孝晴、板家 直

樹、佐々木 基起、石松 高、石崎 勇太、鍵山 弘太郎、山路 和伯

久留米大学 医学部 内科学講座 心臓血管内科

症例は 50 歳代男性。3 日ほど前から朝方、出勤時に胸部圧迫感を自覚していた。朝、妻と歩行中に胸部圧迫

感を訴えた後に心肺停止となり、bystander CPR が行われ救急要請された。救急隊接触時は初期波形は VF で

あり、AED での除細動後 ROSC した。意識障害が遷延しており、当院に搬送となった。搬入時、意識障害が遷

延していたが、胸痛後の VF 症例であり緊急 CAG を施行した。結果 seg.6 75%であった。引き続き PCI を施行

した。OFDIで明らかな血栓や plaque ruptureを認めず、VSAの関与も疑ったが病変に stent 留置を行い手技

を終了した。低体温療法後、状態は改善し入院中に再度 CAG を行った。ACh 負荷で左冠動脈全体に強い spasm

を認め、今回の病因として器質的狭窄に VSA が合併し、LAD が閉塞し VF に至ったと考えた。本症例の治療方

針について考察したため会場で供覧したい。

Page 49: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

MO47 プラスグレル、クロピドグレル抵抗性を有したが、チカグレロルが著効した急性下壁心筋梗塞の

1 例

馬場 健翔、本田 智大、古賀 聖士、上野 裕貴、山方 勇樹、米倉 剛、吉牟田 剛、池田

聡司、河野 浩章、前村 浩二

長崎大学病院 循環器内科

症例は 55 歳男性。急性下壁心筋梗塞で当院へ救急搬送となった。緊急 CAGで右冠動脈 seg1 の完全閉塞を認

め、アスピリン 200mgとプラスグレル 20mg をローディング後に PCIを施行した。ステントを留置しバルーン

で後拡張を行なったところステント内に多量の血栓透亮像が出現した。十分なヘパリン投与下に血栓吸引、バ

ルーン拡張を行うも血栓の処理に難渋し、IABP を留置して手技を終了した。第 3 病日の CAG ではステント内

血栓は軽減するも残存していた。ステントに対する強い血栓傾向から抗血小板薬抵抗性を疑い、血小板凝集能

測定(VerifyNowR)を施行したところプラスグレルに対して低反応性(PRU値 246)であった。クロピドグレ

ルも同様に低反応性(PRU値 257)であったため、チカグレロルへ変更したところ PRU 値 30と良好な抗血小

板作用を得た。その後はアスピリンとチカグレロルを継続し、特に問題はなく経過した。プラスグレルおよび

クロピドグレルは共に Cytochrome P450(CYP)の代謝を必要とするプロドラッグであるが、チカグレロルは

P2Y12 受容体直接阻害薬であり CYP の影響を受けない。通常の DAPT 中に抗血小板薬抵抗性を疑った場合には、

血小板凝集能測定を行い、チカグレロルの使用を考慮すべきである。

MO48 左総腸骨動脈の高度狭窄病変に対し、遠位橈骨動脈穿刺にて治療を行った症例

楠本 三郎、室屋 隆浩、江藤 健二、坂井 健二、園田 浩一朗、新北 浩樹、波多 史朗

佐世保市総合医療センター

【症例】63女性【主訴】間歇性跛行【現病歴】近医に高血圧で通院中。3 か月程前より左下肢の間歇性跛行を

自覚するようになり、ABI では右 1.05/左 0.59 と左下肢の有意な低下を認めた為当科紹介となった。造影 CT

では、左総腸骨動脈(CIA)に石灰化を伴う高度狭窄病変を認め、下肢動脈エコーでも同部位に PSV 5.4 m/s、

PSVR 14.1の狭窄所見を認めた。間歇性跛行を伴う CIA の狭窄であり治療適応と考えられた。EVT後の安静時

間について説明したところ、本人が上肢アプローチを希望された。術前血管エコーでは、左遠位橈骨動脈の血

管径は 2.2mm程度あり、遠位橈骨動脈穿刺が可能と考えられた。左遠位橈骨動脈穿刺にて、5Fr のガイディン

グカテーテルを下降大動脈末端まで進めて EVT 施行した。Wire は病変を比較的スムーズに通過し、IVUS で確

認後 6mmの compliant balloonで前拡張を行い、Zilver 518 8x40mmを留置した。後拡張は 6mmの non-compliant

balloon で行い良好な拡張が得られた。最終造影と IVUS では一部ステント拡張不十分な部分が残存するが、

血流良好であり合併症なく手技終了した。術後自覚症状及び ABIは著明に改善した。遠位橈骨動脈穿刺は、冠

動脈治療において近年行われており、患者は術後の安静が楽で、橈骨動脈を将来の利用の為に確保出来るとい

う利点がある。今回我々は EVTにおいて、遠位橈骨動脈穿刺を行った症例を経験したので報告する。

Page 50: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

MO49 鎖骨下動脈狭窄症に対するステント治療後、下行大動脈にまで及ぶ解離を認めバイアバーンステ

ント留置術が有用であった症例

池谷 千章 1)、室屋 隆浩 1)、松本 雄二 2)、坂井 健二 1)、江藤 良 1)、楠本 三郎 1)、新北 浩

樹 1)、波多 史郎 1)

1)佐世保市総合医療センター 循環器内科、2)日本赤十字社 長崎原爆病院

症例は 71歳男性。めまい等の症状が出現し、両上肢血圧差 40mmHg、さらにカテーテル検査にて左鎖骨下動脈

狭窄症を指摘され近医より加療目的に当科紹介。頸部エコー、CT にて右内頸、右椎骨、左鎖骨下動脈に高度

狭窄を指摘され、左椎骨動脈は逆行性血流を認めた。同部位に対する血管内治療目的に入院。左椎骨動脈にフ

ィルターワイヤーを留置後、狭窄部位にスマートステント 10×40mmを留置。その後 6.0×40mmバルーンにて

後拡張を行なったが、IVUSで拡張不良を認めたために、8.0×20mmバルーンにて追加拡張を行ったところ、血

管破裂が疑われた。複数回の造影にて確認を行い問題ないと判断したものの穿刺部位の止血終了後から胸背部

痛の訴えがあり、CT にて下行大動脈に及ぶ解離腔を認めた。症状は持続し、エントリー部位をステントグラ

フトで抑えることとし、左橈骨動脈と大腿動脈より 0.35 GW をプルスルー後、11mm×50mm バイアバーンステ

ントを椎骨動脈と大動脈間の同部位に留置した。留置後から症状は劇的に消失し、胸部 CTでも徐々に解離腔

の消失を認めた。鎖骨下動脈狭窄症に対する血管内治療は比較的合併症も少なく行えることが報告されている

が、今回同部位から下行大動脈まで及ぶ解離を認めたために若干の文献的考察を含めて報告する。

MO50 多発性血管炎肉芽腫症の重症下肢虚血に血管内カテーテル治療と血管新生療法のハイブリッド療

法を行った一例

石崎 勇太、佐々木 健一郎、新谷 嘉章、大塚 昌紀、仲吉 孝晴、板家 直樹、佐々木 雅

弘、佐々木 基起、石松 高、鍵山 弘太郎、山路 和伯、横山 晋二、福本 義弘、上野 高

久留米大学病院 心臓・血管内科

末梢動脈疾患の中でも血管炎に起因する重症下肢虚血例では、従来の血管内カテーテル治療や外科的バイパ

ス術による血行再建の初期成功率や長期開存率が低い。十分な血流が得られず下肢切断に至る例も少なくな

い。われわれの施設では皮下脂肪組織由来再生(幹)細胞を用いた血管新生療法で虚血組織への側副血行路を

増加させることで血管炎に起因する重症下肢虚血患者の救肢を試みている。今回、上流血管の高度狭窄病変に

対して血管内カテーテル治療によって下流血管への動脈血流入が増加する状況をあらかじめ確保し、その上で

下流血管の多発性閉塞病変による虚血組織へ血管新生療法を行うハイブリッド療法を実施した一例を報告す

る。 症例は 41 歳女性、基礎疾患に多発性血管炎肉芽腫症、ステロイド性糖尿病を有しており、右第 1-2足

趾の安静時疼痛と黒色壊死の急速拡大を認めた。下肢造影検査では浅大腿動脈と膝下動脈に高度狭窄および閉

塞病変を認めた。末梢血管吻合の困難が予想され、外科的バイパス術非適応と判断されたため、浅大腿動脈な

らびに前脛骨動脈の一部に血管内カテーテル治療を行い、膝下に血管新生療法を追加した。

Page 51: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

MO51 外腸骨動脈に留置したステントに ExoSeal がスタックした一例

上野 裕貴、古賀 聖士、米倉 剛、山方 勇樹、赤司 良平、本田 智大、池田 聡司、河野

浩章、前村 浩二

長崎大学病院 循環器内科

症例は 69歳、男性。糖尿病で近医に通院中。数年前より間欠性跛行を認めていた。突然、左下腿の冷感・痺

れ・色調不良が出現し前医を受診した。左下肢の ABIは測定不能で、造影 CT で左外腸骨動脈の高度狭窄と両

側浅大腿動脈の閉塞を認め、ALI と診断された。当院紹介となり、緊急 EVT を施行した。左上腕動脈を穿刺、

AoGで左外腸骨動脈に 99%狭窄を認め、責任病変と判断した。左総大腿動脈から逆行性に Optimoを挿入し、自

己拡張型ステントを留置した。左総大腿動脈の止血に ExoSealを使用した際に、インジケーターワイヤーが留

置したステントにスタックした。ExoSealを回転させたり、順行性に 0.035 ガイドワイヤーや Pigtail カテー

テルを用いてみたがスタックは解除できなかった。ExoSealと 6Fr シースの接続を外し、シースを押し進める

とスタックを解除できた。そのままシース内に ExoSeal を収納し体外に抜去した。ExoSealがスタックした際

に有用な bail out 方法と考えられたため、報告する。

MO52 EVTにおけるソフトワイヤー高速回転手技(soft wire super drilling:SSD)の検討(続報)

矢加部 和明、岡 秀樹、山口 敬史、西 活夫

医療法人厚生会 虹が丘病院 下肢血管センター

(目的)前回、SSDの有用性(安全性、時短効果)について報告した。今回は症例毎に通過の特徴を明らかに

し、適応病変について検討する。(方法)PTA ガイドワイヤーは JokerPVを使用した。高速回転方法:トルカ

ーを使用せずに手指 3 本のみを使い、きりもみ状に高速回転を行った(1往復で 20 回転相当)。SSDを施行し

た 10 例(CTO 7例、SFA 5例、BKA 5 例)を後ろ向きに検討した。(結果)通過に成功した症例は表在性石灰

化が少なく、SFA に関しては対側アプローチでもワイヤーの回転が担保できれば通過可能であった。BKA に対

しては順行アプローチが必須であった。(結論)SSD による病変通過成功率が見込める条件の場合、first wire

のみで手技が簡便化できる可能性があるので施行してみる価値はあるかと思われた。

Page 52: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

MO53 EVTデバイスの進化を実感した、SFA-CTO retryの 1例

岡 秀樹、矢加部 和明、山口 敬史、西 活夫

医療法人厚生会 虹が丘病院 下肢血管センター

50 歳代男性。2 型糖尿病・慢性腎不全維持透析・CABG 既往・左下肢 PAD へ複数回のバイパス術既往、左室駆

出率 20%。右下肢CLIの責任病変である右 SFA遠位部CTO病変に EVTを実施。右CFA順行穿刺で ParentPlus 4.5Fr

を挿入。 GW: TreasureXS12/AstatoXS9-40/Naveed4 Hard50、マイクロカテ:一番槍 PAD、貫通カテ:

CROSSER/CrusadePAD、を使用したが末梢真腔への通過不可。右 PopAは伴走静脈が皮下を覆うように存在し裏

パン困難。両方向アプローチを組めず、EVT を断念。右 FP 人工血管バイパス術を実施したが 4 か月後に閉塞。

自家静脈で再バイパス術を実施したが、下肢壊疽が進行し右下腿を切断。切断端の創治癒が不良で、検討の結

果 EVT retryを選択。右 CFA cut downで ParentPlus 6Frを順行性挿入。CXI+TruePathで穿通を図るも末梢

真腔へ通過できず(後に穿孔が判明)。Prominent Advance+VASSALLO G40で探索したところ末梢真腔へ通過。

右 PopA近位部も CTOとなっていたが CXI+TruePathで末梢真腔へ通過。バルーン拡張後に SFA遠位部 CTO部

の血管穿孔が判明し、VIABAHN 5/50 で被覆。PopAまでは Innova 6/150 を、SFA近位部に確認された高度狭窄

には ZilverPTX 6/120を留置し、すべてのステントをオーバーラップさせ再開通に成功。右 PopA が触知可能

となり、創部治癒が得られた。下肢血行再建治療において複雑病変に対する EVTの適用範囲が拡がる中、EVT

デバイスの進化は大きな力になることを実感した。

MO54 Severe ASに対する BAV後に Stuck valve による急性 AR を生じ緊急 AVRとなった1症例

赤司 良平、古賀 聖士、上野 裕貴、本田 智大、本川 哲史、黒部 昌也、春田 真一、山

方 勇樹、米倉 剛、吉牟田 剛、恒任 章、池田 聡司、河野 浩章、前村 浩二

長崎大学病院 循環器内科

症例は 86歳女性。Severe AS による急性心不全の為他院にて入院加療後、AS加療目的に当科紹介となり、BAV

予定となった。術前の CT計測では Annulus area 393mm2 (20.4 x 24.4mm, mean 22.4mm), SOV (RCC 29mm, LCC

31.5mm, NCC 30.8mm), STJ 24.9 x 25.4mm であり、NCC の弁尖に大きな石灰化を認めた。TAVI 導入前の時期

であった為、合併症のリスクを考慮してアンダーサイズの 14mmバルーンによる BAV を行った。しかしながら、

BAV直後に Stuck valveによる急性 AR が生じショック状態となった為、緊急で Surgical AVRとなった。術後

経過は良好で自宅退院となった。BAV の合併症で急性 AR の頻度は 1-2%と報告されているが、実際に起こった

場合は致命傷に成り得る合併症である。当院では TAVI 導入後の pre BAVでも Stuck valveによる急性 AR を経

験しており、それらも含めた解剖学的特徴を考察する。

Page 53: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

MO55 食道走行偏移を有した重度機能性僧帽弁逆流症患者に対する TMVr に、経胸壁と経食道エコーおよ

び心臓 CTの併用が有効であった1例

兒玉 和久、神波 裕、山田 雅大、堀端 洋子、安田 久代、田口 英詞、中尾 浩一、坂本

知浩

済生会熊本病院 心臓血管センター 循環器内科

症例は 70代女性。CABG・左室心尖部瘤切除の既往、低左心機能(LVDd 67mm, LVEF 30%)および重度機能性僧

帽弁逆流症を有し、至適薬物療法にもかかわらず NYHA3で、かかりつけ医での心不全入退院を繰り返してい

た。経胸壁心エコー(TTE)でのスクリーニングにて僧帽弁接合不全修復術 (TMVr)が可能と判断し、精査・治

療目的に当院に入院した。入院後、経食道心エコー(TEE)を実施すると基本断面の描出が極めて不良であり、

TEEでのガイドが重要である TMVr手技は非常に困難な症例と思われた。CT で観察すると巨大な左房と蛇行し

た胸部下行大動脈により食道は左側に大きく偏移しており、このため、TEE での評価が困難となっていた。本

症例に対して、我々は TEE trans-gastric viewと TTEおよび造影 CTを透視装置と組み合わせることにより、

TMVrを安全に実施し、かつ有効な僧帽弁逆流制御(4+→1+)および心不全症状の改善を得ることができた。

TEEでの評価・治療ガイドが困難な症例に対して Multi-modalityを用い、TMVr治療介入が可能となった症例

を経験したため報告する。

MO56 集学的加療で改善しえた僧帽弁狭窄症による心原性脳塞栓症の 1例 -チーム医療の重要性-

徳重 裕陽

社会医療法人大成会 福岡記念病院

【症例】37歳女性【既往歴】心臓弁膜症【現病歴】平成 30 年 4月○日、花見中に意識障害、左片麻痺が出現

したため、当院に緊急搬送された。脳 MRI・MRA検査で、右大脳半球広範囲脳梗塞、右内頸動脈閉塞症を認め

たため、脳神経外科に緊急入院、経皮的脳血栓回収術を施行し再開通に成功したが、翌日に脳浮腫による切迫

脳ヘルニア状態となったため、救命目的で減圧開頭術を施行したところ、意識レベルは改善した。心電図では

正常洞調律であったが、心臓超音波検査で重症僧帽弁狭窄症、肺高血圧の所見を認め、今回の脳塞栓症の原因

と診断した。心不全も併発しており、酸素治療に加えて、利尿剤による薬物療法も検討したが、利尿剤投与に

よる血液濃縮、易血栓形成の懸念、加えて頭蓋骨形成術を予定していたので、各科医師と十分なチームカンフ

ァを行い、カテーテルによる経皮経静脈的僧帽弁交連切開術を先行して施行する方針した。狭窄した僧帽弁を

井上バルーンで拡張したところ、僧帽弁口面積も開大し、左房-左室間圧較差、肺高血圧は低下した。その後、

心不全も順調に改善したため、歩行可能となり転院された。【考察】このように、各科による集学的加療で、

救命、改善しえた僧帽弁狭窄症による心原性脳塞栓症の症例を経験した。チーム医療の重要性を再認識できた

ため、文献的考察も含めて報告する。

Page 54: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

MO57 左下肢深部静脈血栓症に対して経皮的血栓除去術およびカテーテル血栓溶解療法を行った一例

田中 俊江 1)、菅野 道貴 1)、村上 雄二 1)、尾崎 功治 1)、井上 敬測 1)、福泉 寛 1)、山本 泰

範 2)、横井 宏佳 1)

1)福岡山王病院 循環器内科、2)福岡山王病院 ME 室

症例は 66 歳男性。急性腰痛症を発症後に出現した左下肢の浮腫と疼痛を主訴に約 7日後に受診。精査の結果

IVC~左総腸骨静脈~内外腸骨静脈~左膝窩静脈より末梢まで連続して充満する広範囲の深部静脈血栓症およ

び肺塞栓症が判明した。左下肢の浮腫は著明であり、還流障害に伴う鬱滞性皮膚炎とチアノーゼを呈していた。

IVCフィルターを留置した上で、膝窩静脈より穿刺・アプローチし、経皮的に血栓除去術を施行した。手技中

IVUSで観察すると左総腸骨静脈の compression 所見と器質的病変の存在が示唆された。48 時間のカテーテル

血栓溶解療法を行い、その後は通常の経静脈的治療を行った。順調に自覚症状・他覚所見ともに改善、第 21

病日には下大静脈~左総腸骨静脈~外腸骨動脈~総大腿静脈の開存を確認した。退院後も問題なく経過してい

る。カテーテルを用いた局所への直接的な血栓溶解薬投与については、有効性や、抗凝固療法単独に比較して

慢性期の PTSの発生率を低減することが示唆されている。一方では、急性期の血管内治療が PTS の発生や予後

に有意差を与えなかったという報告もあり、議論の残るところである。若干の文献的考察を交えて報告する。

MO58 心房細動アブレーション後の肺静脈狭窄に対して経皮的肺静脈ステント留置を行った一例

長岡 和宏、向井 靖、池田 翔大、河合 俊輔、坂本 和生、上徳 豊和、林谷 俊児、的場

哲哉、樗木 晶子、筒井 裕之

九州大学病院循環器内科

[背景]アブレーション後の肺静脈狭窄(PV stenosis; PVS)は,稀な合併症である.今回アブレーション 2ヶ月

後に鬱血性肺炎像を呈した PVSに対して血行再建が著効した一例を報告する.

[症例]32 歳男性.発作性心房細動に対して前医で肺静脈隔離術を施行 2 ヶ月後頃より,全身倦怠感,発熱,

血痰を自覚するようになった.前医受診し,造影 CTにて左下肺静脈入口部の高度狭窄と左下肺野の鬱血性肺

炎像を認め加療目的に当科入院となった.原因として血管炎などの合併を疑い各種抗体を検索したが異常はな

かった.抗生剤投与後も改善はなく血行再建を行った.心房中隔穿刺にて左房内に SL-1を進め,deflectable

sheath に交換した.左下肺動脈枝からの順行造影および,左下肺静脈入口部からの逆行造影を行い,病変部

を確認後,ガイドワイヤーで病変通過した.3mm・5mmバルーンで前拡張後,IVUSで病変部の観察後,ステン

ト 7x17mmを左下肺静脈入口部に留置した.10mm バルーンでステント内を後拡張し,十分な拡張が得られた.

術後,発熱,血痰は軽快し,鬱血性肺炎も改善した.

[考察・結論]PVSに対する治療法として血行再建や肺区域切除があげられ,今回ステントによる血行再建が著

効した.アブレーション後の PVSについて,若干の文献的考察を踏まえて報告する.

Page 55: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

MO59 Pressure wire を用いた左室内圧格差モニタリングが PTSMA 施行時の急性期効果判定に有用であ

った Midventricular obstructionの症例

前園 明寛 1)、有村 貴博 1)、弘永 潔 1)、原田 敬 2)、甲斐 敬士 1)、長山 友美 1)、中野 正

紹 1)、大坪 秀樹 1)

1)福岡市民病院 循環器内科、2)北九州市立八幡病院

75 歳女性。7か月前、Mid-ventricular obstruction(MVO)に対する経皮的中隔心筋焼灼術(PTSMA)を施行

した。今回、焼灼した中隔心筋より心尖部側に新たな左室内狭窄部を認め、圧較差が 76mmHg まで増悪してお

り、PTSMA 2nd session を施行した。pressure wireを用いた左室内圧較差モニタリングと超選択的コントラ

ストエコーを併用し、狭窄部心筋を灌流する中隔枝をアルコール焼灼した。合計アルコール冠注量が 4mlとな

った時点で、圧較差が 90→30mmHg まで改善したため手技を終了した。左室にカテーテル挿入することで左室

内圧格差が消失・減弱する現象を時々経験するが、pressure wireを用いた左室内圧格差モニタリングは PTSMA

施行時の急性期効果を判定する有用な手法であると考えられたため、若干の文献学的考察を加えて報告する。

MO60 総大腿動脈の高度石灰化病変に対して生検鉗子を用いた Debulkingが有用であった 1例

橋本 弦太、松本 奉

宇部仁心会病院 循環器内科

症例は 68才男性。糖尿病性腎症のため 2012年 4月より維持透析を受けている。以前から左下肢の間欠性跛行

の自覚があったため、2013年 2月に下肢動脈造影 CTを施行した。結果、左総大腿動脈に高度石灰化を伴う狭

窄を認めた。その時点では抗血小板薬等の内服治療や運動療法で間欠性跛行が軽減したため経過観察とした。

しかし、2016年 3月頃より再び間欠性跛行が悪化し、左 ABIも 0.61と低下し、病変の進行が疑われた。下肢

動脈造影検査の結果、以前に指摘されていた左総大腿動脈に高度石灰化による高度狭窄とその末梢の造影遅延

を認めた。間欠性跛行の責任病変であると考えられたため、血管内治療を施行した。Non-stenting zoneであ

り、バルーン拡張単独のみでは石灰化による拡張不良やリコイルを起こすことが十分に予想された。そのため、

治療として生検鉗子を使用して可能な範囲で石灰化を摘除した後に、バルーン拡張を行った。その後、病変部

の良好な拡張が得られ、間欠性跛行の自覚も消失した。現在、約 2 年半が経過しているが、造影 CTや下肢動

脈造影でも再狭窄や石灰化の増大は認めていない。この度、総大腿動脈の高度石灰化病変に対して生検鉗子を

用いた Debulkingを行い、良好な経過が得られた 1例を経験したので報告する。

Page 56: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

MO61 腹部アンギーナ症例の、高度石灰化を伴う SMA慢性完全閉塞に対して EVTを施行した症例

尾崎 功治、菅野 道貴、田中 俊江、井上 敬測、福泉 寛、横井 宏佳

福岡山王病院

症例は 70台女性。原因不明の食後の腹痛があり、低栄養とるい痩を来していた。前医で内視鏡検査や免疫学

的検査など様々な検査を施行されたが、原因不明であった。造影 CT を撮影したところ、SMA の閉塞を認めた

ため腹部アンギーナの診断となり、治療目的に当院へ紹介となった。カテーテル造影検査にて、SMAは全く造

影されず入口部への engage は不可能であった。治療にあたり、造影ではなく MDCT の結果とエコーガイドを参

考に SMA入口部を同定し、カテーテルの engageが可能になったため治療を行うことができた。治療に伴い腹

痛は著明に改善し、低栄養とるい痩の改善を認めた。腹痛に対し腹部アンギーナの鑑別を念頭に置く必要性が

あることを確認でき、SMAの完全閉塞に対しての EVTを体験できた貴重な症例であった。

MO62 外傷性鎖骨下動脈閉塞に対する Viabahnを使用した血管内治療の1例

山本 航 1)、末松 延裕 1)、岡留 淳 2)、伊東 啓行 2)、岡部 眞典 1)、久保田 徹 1)、山本 雄

祐 1)

1)済生会福岡総合病院循環器内科、2)済生会福岡総合病院血管外科

症例は 47 歳女性。前医にて外傷性右鎖骨遠位端骨折に対して観血的骨接合術を施行の 3日後より、右前腕部

の冷感と右上肢全体の脱力を自覚。右腋窩動脈・上腕動脈・橈骨動脈の脈拍触知が微弱であり、血管造影の結

果右鎖骨下動脈閉塞と診断され血行再建目的に当院紹介となった。来院時の上肢血圧は右 78/40mmHg, 左

104/62mmHgと左右差を認め、造影 CTにて右鎖骨下動脈の完全閉塞を認めた。閉塞部位から右椎骨動脈ならび

に右腋窩動脈までの距離は十分保たれており、Viabahn を用いた血管内治療のよい適応と考えられたため、引

き続いて血管内治療を実施した。右上腕動脈をエコーガイド下に穿刺し、4Fr.11cm シースを挿入。右総大腿

動脈より 6Fr.destination 90cmを挿入してコントロール造影を実施。参照血管径は 5.0-6.0mm であり、閉塞

長は 45mmであった。右上腕動脈より Astato XS 9-12で逆行性に閉塞区間を貫通し、destination内へ進めた

のち体外へ pull through とし、順行性に Viabahn(5.0×50mm, 6.0×50mm)をそれぞれ留置した。造影で問

題なく、両シースの平均圧較差が 53mmHgから 2mmHgへと改善したのを確認して手技を終了した。退院時の上

肢血圧は右 120/68mmHg, 左 122/74mmHgであった。

Page 57: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

MO63 高度石灰化腸骨動脈に留置され、拡張不全を呈している自己拡張型ステントに対する VBxを用い

た再治療の 1例

安心院 法樹 1)、末松 延裕 1)、岡留 淳 2)、伊東 啓行 2)、岡部 眞典 1)、久保田 徹 1)、山本

雄祐 1)

1)済生会福岡総合病院循環器内科、2)済生会福岡総合病院血管外科

症例は 58 歳男性。左下肢間欠性跛行に対して 5年前に他院で左総腸骨動脈末梢に自己拡張型ステント(Epic

8.0×40mm)が留置されたが、高度石灰化狭窄病変のため十分な拡張が得られずに、治療後の ABI も 0.7台と

改善なく、症状も改善しなかった。複数回バルーン拡張の追加が試みられたが、過拡張による腸骨動脈破裂の

リスクが高く、十分な血管内治療が行えずに経過していた。今回、VBxの登場により、同病変に対する積極的

拡張を前提に再度血管内治療を実施した。左総大腿動脈から逆行性アプローチを試みたが 7.0mm バルーンでの

前拡張では十分に indentationが取れず、7Fr.シースをステント内へ進めることができなかった。改めて右総

大腿動脈より 7Fr.シースを挿入し、Radifocus stiff ワイヤーを pull throughとして順行性アプローチとし

たが、同様にステント内までシースを進めることはできなかった。やむを得ず VBxを bareで進めたところ、

ステント内で強い抵抗があったのちに左総腸骨動脈内へと脱落した。回収・再留置は困難と判断されたため、

大動脈末梢から右総腸骨動脈へ自己拡張型ステントを留置して migration を抑えたうえで、後日 FFバイパス

へと移行した。

MO64 CTO出口側から IVUSガイドが有効であった右鎖骨下動脈閉塞症例

田山 信至、上村 孝史、福嶋 隆一郎、片山 哲治

JCHO熊本総合病院

症例は 50 代男性、喫煙、糖尿病と高血圧の加療中。患側上肢の運動による眩暈なし、虚血症状も特徴的で

はなかった。健康診断の頸部血管エコーで、椎骨動脈の逆流を指摘された。左右上肢の圧較差は 40mmHg、圧

波形の鈍化を認めた。造影 CT では、右総頚動脈を分岐した直後から閉塞。末梢は椎骨動脈と内胸動脈を分岐

する部位で途絶していた。 主要分岐を温存するため CTO遠位部の通過が重要と判断し、右上腕動脈経由のワ

イヤリングを試みたが、不成功におわった。 数ヶ月後、右上腕動脈から 2 種類のワイヤーを組み合わせ、IVUS

ガイドで遠位部から CTO内への進入できた。しかし、前回と同様に CTO近位部の屈曲部の通過に難渋した。そ

こで CTO 内のワイヤーを指標とし、遠位部から持ち込んだ IVUS観察下に、順方向性にワイヤー操作した。CTO

内での rendezvous は不成功であったが、CTO 遠位部を IVUSで確認しながら通過できた。右上腕動脈にプルス

ルーし、バルーンで拡張した。ステント脱落しないようガイドカテを閉塞部に通過させた。右総頚動脈を jail

しないよう Protege10x40mm を分岐を失うことなく留置できた。10ヶ月経過した現在も圧較差は消失。鎖骨下

動脈閉塞を解除すると、それまで自覚していなかった上肢跛行症状の改善を認めた。適応について悩ましい症

例であったため報告する。

Page 58: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

MO65 下肢経皮的血管形成術の際にバルーンがスタックし、回収に成功した重症下肢虚血の一例

志鎌 拓、勝木 知徳、伊東 伸洋、平森 誠一、艫居 祐輔、曽我 芳光、安藤 献児

小倉記念病院

症例は 75 歳の男性。重症下肢虚血で当科に入院した。右第 1-3足趾のチアノーゼと安静時痛があり、下肢造

影検査で膝下動脈の 3 分枝の閉塞を認め、下肢動脈血行再建を施行した。右腓骨動脈にガイドワイヤーを通し、

1.5mm のバルーンを通過させようとしたが、途中でスタックした。2.5mmバルーンで同ガイドワイヤーに乗せ、

スタックしたバルーンの exit portに当て、抜去を試みるが、抜去できなかった。マイクロカテーテルを同様

に exit port に当て抜去を試すが、抜去することができなかった。次に別のワイヤーをパラレルワイヤーとし

てスタックしている狭窄部分を通過させ、2.5mmのバルーンで拡張。抜去を試みるが抜去できず。最終的にス

タックバルーンのシャフトを切断し、GuidezillaPV を挿入し、ワイヤーと同時に引き抜く形で回収に成功し

た。スタックしたバルーンは引き伸ばされており、血管内に逸脱しかねない状態であった。本症例は透析患者

の石灰化の強い病変でのバルーンスタックであった。今後同様のケースに遭遇した際に治療の一助となること

を期待してここに報告する。

MO66 冠動脈 CTの詳細な観察により右冠動脈慢性完全閉塞における残存チャネルを同定できた一例

貞松 研二、大江 健介、冨田 俊一朗、深水 友梨恵、三小田 周弘、由布 威雄、高瀬 進、

廖 千惠、相良 秀一郎

雪の聖母会 聖マリア病院 循環器内科

80 代男性。5年前に急性心筋梗塞で当院を受診し、急性期に右冠動脈近位部完全閉塞病変への治療を試みられ

たが、ワイヤー不通過であった。後日の再トライでも不成功であった。今回、労作時息切れにてかかりつけ医

より当科紹介となり、心臓 CT にて冠動脈病変の悪化を疑い、冠動脈造影を施行したところ、右冠動脈完全閉

塞と左冠動脈前下行枝病変を認めた。冠動脈造影と冠動脈 CTを合わせて詳細に評価することで、前回の右冠

動脈への PCI 時にはガイドワイヤーが右冠動脈近位部大弯側より sub-intima に入っており、小弯側には

micro-channelが残存している可能性が高いと判断し、まず同病変を治療することとした。腸骨動脈の蛇行が

強いため、左遠位橈骨動脈より 7Fr グライドシーススレンダーを挿入し、Hyperion 7Fr AL1 を右冠動脈にエ

ンゲージした。右大腿動脈からは対側造影用のカテーテルを挿入した。果たして、ガイドワイヤーは右冠動脈

大弯側にしか進まないため、SION blueを Conus br.に挿入し、Crusade Rを使用して XT-A を操作することで

小弯側にワイヤーを誘導でき、閉塞部位を進めることができた。冠動脈 CTの詳細な観察は、慢性完全閉塞病

変に対する治療時のワイヤー操作に非常に有用である。

Page 59: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

MO67 順行性にはバルーン通過が不可能であった高度石灰化を伴う CTO に対して、逆行性にバルーンを

通過し治療を完遂しえた 1例

大江 健介、貞松 研二、田代 英樹

社会医療法人 雪の聖母会 聖マリア病院 循環器内科

ガイドワイヤー性能の向上や、逆行性アプローチの普及により、慢性閉塞性病変へのワイヤー通過の成功率は

着実に上昇している。しかし、ワイヤーは通過したが failure caseとなった症例の主な理由に device delivery

failure があげられ、そこには高度石灰化病変が関与していることが多い。今回我々は、順行性には device

deliverが不可能であった高度石灰化慢性閉塞性病変に対して、逆行性にバルーンを crossし、治療を完遂し

えた 1 例を経験した。症例は 68歳男性、targetは LAD mid の高度石灰化を伴う CTOで、RCAからの発達した

epicardial collateral channel を伴っていた。逆行性アプローチにて wire externalization に成功したも

のの順行性にはバルーン通過が不可能であった。そこで逆行性にバルーンを deliverしたところ抵抗なく通過

し、最終的に薬剤溶出性ステントを留置し手技を完遂することができた。CTと IVUS画像からは近位側と遠位

側の石灰化分布の違いがバルーン通過に大きく関与したと推測された。高度石灰化病変で順行性にバルーンが

通過しない場合は、逆行性に通過させることが有効な選択肢となりうると考えられた。

MO68 再発性特発性冠動脈解離が疑われた症例

平瀬 優三、和氣 稔、豊福 尚旦、山元 昇栄、屋宜 宣仁、仲里 淳、宮城 唯良、高橋 孝

典、平田 一仁

沖縄県立中部病院

症例は 5〇歳, 女性.3〇歳時に右冠動脈後側壁枝の 99%狭窄による急性心筋梗塞と診断されたが,経皮的冠動

脈インターベンションは施行せず,経過観察とされた.また,同時期に右腎動脈狭窄による,腎血管性高血圧

症に対して,経皮的血管形成術を施行された既往を持つ.来院当日,前胸部の違和感を自覚したため,救急車

で当院救急センターを受診した.心電図で I,aVL誘導の ST 上昇,前壁誘導での ST 低下と対称性の高い T波,

血液検査でクレアチンキナーゼ上昇を認めたため,左前下行枝近位部の急性心筋梗塞を疑い,緊急冠動脈造影

を行った.冠動脈造影では冠動脈全体に動脈硬化性病変の所見は乏しく,対角枝中央部に約 20mm長のびまん

性狭窄が認められ,特発性冠動脈解離(type II)の可能性を考えた.責任血管の血管径は小さく,かつ屈曲が

強いため血管内超音波は行わずに,アスピリン,ニコランジル,ジルチアゼムによる薬物療法を開始し,第 9

病日に独歩で自宅退院となった.今回の造影では,過去に指摘された右冠動脈後側壁枝には動脈硬化病変を認

めず、線維筋性異形性症(右腎動脈)を伴った再発性特発性冠動脈解離が強く疑われたため,文献的考察を加

えて報告する.

Page 60: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

MO69 特発性冠動脈解離(SCAD)による ACS に手を出すべきか、出さざるべきか

中原 真明、横山 正一、樋口 優、矢成 亮介

福岡青洲会病院

【症例 1】50 歳、女性。某年 3月 27 日、朝に前頚部痛と頭痛があり近医を受診し STEMIと診断された。当院

へ救急搬送され緊急 CAG を行うと、#12 に 75%狭窄を認めた。病変形態などから SCAD が疑われ、TIMI-3 で胸

痛も軽快傾向の為、PCIは見合わせた。合併症なく退院し、約 5 か月後の CAG で、同病変は消失していた。【症

例 2】46才、女性。某年 3月 17 日、重荷を運搬時に、胸から左肩の痛みと冷汗があり当院へ搬送された。STEMI

と診断し、緊急 CAG を行うと#6 近位部から 75%狭窄が見られた。IVUS を行うと、前下行枝入口部より冠動脈

解離があり、プラークは付着していなかった。SCAD と診断し、TIMI-3 で胸痛は軽快していた為、PCI は見合

わせた。合併症なく退院し、約 3 か月後の CAG で、同病変は消失していた。【症例 3】29 歳、男性。某年 6

月 22 日、夜中の就寝中に胸痛が出現し近医を受診した。ACS が疑われ当院に紹介となり、異常 Q 波が見られ

緊急 CAG を行った。#2 で閉塞しており、IVUSを行うと冠動脈解離が見られた。TIMI-0の為、POBA を行うも、

解離が近位側に進行する為、ステント留置を諦め TIMI-0 のまま終了した。合併症なく退院し、約 1カ月後の

冠動脈 CT で解離は修復されていた。【考察】SCADは全 CAG の 0.07~1.1%に認め、PCI 手技不成功率 53%と高

く、合併症も多い。症例 3のように TIMI-0 でも循環動態が保たれていれば、保存的治療も有効な選択枝では

ないかと考えられた。

MO70 遠位橈骨動脈アプローチで PCI を行った CKD 合併 ACS の症例、当院での遠位橈骨動脈アプローチ

の経験をふまえて

大江 健介、貞松 研二、田代 英樹

医療法人 雪の聖母会 聖マリア病院 循環器内科

当院では 2017年 6 月から遠位橈骨動脈アプローチでの CAGおよび PCIを行っており、これまでに約 50 例の経

験がある。遠位橈骨動脈アプローチの最大の利点の一つに、手首レベルでの橈骨動脈閉塞のリスクが極めて低

いことがあげられる。急性冠症候群に対する緊急 PCI は radial アプローチが推奨されているが、CKD 合併の

症例については、橈骨動脈閉塞のリスク回避のために大腿動脈アプローチを選択せざるを得ないことが多いの

が現状である。今回、CKDを合併した ACSに対し遠位橈骨動脈アプローチにて PCI を施行した症例を経験した。

症例は 76歳男性、心電図で V3-6 ST低下を認めた。Cr2.05mg/dlであり遠位橈骨動脈アプローチを選択した。

これまでの当院での遠位橈骨動脈アプローチの経験から、その利点や問題点、穿刺や止血の tipsなどをふま

え報告する。

Page 61: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

MO71 冠動脈造影/形成術前後の超音波検査による、遠位橈骨動脈の有用性の検討

松本 徳昭 1)、吉岡 励 1)、江崎 さおり 2)、原 明美 2)、恒松 あゆみ 2)、原田 信子 2)

1)柳川病院 循環器科、2)柳川病院 検査科

近年 distal radial approachによる冠動脈造影/形成術が報告されていることから、当院でも 2018年 6月

から distal radial approach に対する取り組みとして、冠動脈造影/形成術の前後で超音波検査による血管内

径の計測や走行の観察、冠動脈造影/形成術後の閉塞の有無を調査したので報告する。症例は 2018年 6月から

10 月までに当院で冠動脈造影/形成術を受けた連続 116 例。男性 77例、女性 39例、平均年齢 74.1±9.9歳。

冠動脈造影/形成術前の検査では、右橈骨動脈内径 2.2±0.5mm、右遠位橈骨動脈内径 1.8±0.4mm、左橈骨動脈

内径 2.2±0.4mm、左遠位橈骨動脈内径 1.9±0.4mm と橈骨動脈に対して遠位橈骨動脈は 14~18%程内径が細か

った。1例に遠位橈骨動脈の閉塞を認めたが、高度蛇行を呈する症例は認めなかった。期間中左遠位橈骨動脈

アプローチで 5例に冠動脈形成術を、1例に冠動脈造影を行ったが、通常の橈骨動脈アプローチと遜色なく施行可能で

あった。止血は“とめ太”を用いて行ったが、これも同様に止血可能であった。期間中、橈骨動脈アプローチ、遠

位橈骨動脈アプローチのどちらの症例にも、冠動脈造影/形成術後に動脈閉塞を認めなかった。

MO72 Buddy wireによる CELSUSを用いた高圧拡張で治療しえた高度石灰化病変の一例

六反田 拓、尾上 喜郎、黒川 博文、中村 伸一

地域医療機能推進機構人吉医療センター

症例は 76歳男性。静脈瘤の術前精査で下壁の壁運動低下あり。CAG では#1-2 75%、#3 75%、#6 75%、#12 75-90%

狭窄あり、FFR は LAD で 0.76、LCX で 0.87、RCA で 0.76 と低下を認めた。静脈瘤に対する手術後、LAD に対

して PCIを施行した。Amati で LADの狭窄部を通過。IVUSでは全周性の石灰化あり、Scoreflex NC 2.5*15mm

を 20 気圧で拡張するも rupture。Cutting Baloon 2.5*10mmにて 12 気圧で拡張し、IVUSにて石灰化部に 1カ

所割を認めたが、indentation が残存。Joker を LAD に留置して buddy wire とし、CELSUS 3.0*15mm にて 20

気圧で拡張。Indentationが消失し、IVUS で石灰化に 2カ所割を認めた。Xience Sierra 3.0*28mm を留置し、

良好な拡張を得ることができた。高度石灰化に対してはロータブレーターが有効であるが、施設基準等で使用

できない場合がある。CELSUSは dog boneになりにくい特長があり、狭窄部の拡張力が優れていると考えられ

る。buddy wire の状態で CELSUS を用いて拡張しえた石灰化病変を経験したので報告する。

Page 62: 第28 回日本心血管インターベンション治療学会九 …cvit9shu.umin.jp/pdf/winter_3rd/program.pdf第28 回日本心血管インターベンション治療学会九州・沖縄地方会

MO73 Scoring バルーン不通過の cuffs ring 様石灰化病変に buddy wire と Non-compliant バルーンで

良好な拡張とステント留置に成功した症例

大坪 秀樹

福岡市民病院

血液維持透析患者で、労作時息切れと心室性期外収縮の頻発で当科外来紹介受診。PCI 施行歴のある患者で前

回の CAG で FFR で deferされた病変(Seg7-75%/FFR-0.82, Seg13-75%/FFR-0.81)などもあり、CAGを施行。CAG

では透視上でも高度石灰化を伴う LAD病変の進行を認め(Seg7-90%, Seg8-75%)、PCI を施行。当初ガイドカテ

ーテル(SPB3.5, 6Fr)を用いるも engage できず、JL3.5(6Fr)とガイドワイヤー(SION blue)で病変通過に成功。

まず IVUS(Refinity)で病変部の評価を試みたが、Seg7病変近位部で通過できず。そこの IVUS所見は cuffs ring

様のほぼ全周性表在石灰化病変で、IVUS 所見を参考に scoring バルーン(Wolverine 2.75×10mm)で前拡張を

試みるも、Seg8 病変まで進まずに Seg7 病変部のみ前拡張を施行。ここで Seg8病変も含め IVUSで評価可能と

なるも、Wolverineは Seg8病変まで進まず。このためガイドワイヤー(Runthrough)で bbudy wireとして、バ

ルーンカテーテル(Hiryu Plus 2.0×12mm)で高圧で前拡張を施行。造影上の良好な拡張と IVUSにて表在石灰

化に良好な cut がされていること確認して薬物溶出ステント(Ultimaster 2.75×38mm)を留置に成功した。ロ

ータブレーターの使用できない施設での高度石灰化病変部のPCIではscoringバルーンで対応することが多い

が、scoring バルーンの通過困難でしばしば難渋する。今回 buddy wire と Non-compliant バルーンで良好な

PCIが施行できた症例を報告する。