第2章 活力のある組織運営のコツ・心得 · 9 第2章...

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第2章 活力のある組織運営のコツ・心得 Q1 役員のお仕事は? 役員はどのように選任されているの? ■役員構成 自治会・町内会がまとまりを保ちながら様々な活動を効果的かつ円滑に進めていくた めには、会長をはじめとした役員による執行体制をしっかりと確立することと、各役員 の役割分担や連携のあり方を明確にすることが大切です。 役員は、総会の決定事項に従い、日常的には会員の意見を聞き、また情報を伝達しな がら自治会・町内会の目的の実現を図るための機関であり、対外的には会を代表しなけ ればなりません。 自治会・町内会の規模の大小や地域性などにもよりますが、一般的な役員構成を示す と次の図のようになります。 ■役員の基本的な役割 ①会長 会長は、自治会・町内会の代表者であり、全体の責任者です。地域のまとめ役とし て、他の役員や地域住民がそれぞれの立場で十分力を発揮できる環境づくりを行い、 自治会・町内会活動を活発にしていく役割があります。また、対外的な交渉や会の意 【役員構成例】 ※専門委員会や専門部会を設け、それぞれ役員を いている連合自治会や自治会もあります。 副会長

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Page 1: 第2章 活力のある組織運営のコツ・心得 · 9 第2章 活力のある組織運営のコツ・心得 Q1 役員のお仕事は? 役員はどのように選任されているの?

第2章 活力のある組織運営のコツ・心得

Q1

役員のお仕事は?

役員はどのように選任されているの?

■役員構成

自治会・町内会がまとまりを保ちながら様々な活動を効果的かつ円滑に進めていくた

めには、会長をはじめとした役員による執行体制をしっかりと確立することと、各役員

の役割分担や連携のあり方を明確にすることが大切です。 役員は、総会の決定事項に従い、日常的には会員の意見を聞き、また情報を伝達しな

がら自治会・町内会の目的の実現を図るための機関であり、対外的には会を代表しなけ

ればなりません。 自治会・町内会の規模の大小や地域性などにもよりますが、一般的な役員構成を示す

と次の図のようになります。

■役員の基本的な役割

①会長

会長は、自治会・町内会の代表者であり、全体の責任者です。地域のまとめ役とし

て、他の役員や地域住民がそれぞれの立場で十分力を発揮できる環境づくりを行い、

自治会・町内会活動を活発にしていく役割があります。また、対外的な交渉や会の意

【役員構成例】

※専門委員会や専門部会を設け、それぞれ役員を

置いている連合自治会や自治会もあります。

会 長

監 事

副会長

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ある自治会では・・・・

地域住民の皆さんのコミュニケーションをとるため

に自治会活動としていろんな行事が催されます。盆踊

り大会・運動会・防災活動等々がありますが、会長さ

んには、統括と対外的な活動に専念してもらい、副会

長さんがそれぞれ、盆踊り担当副会長・スポーツ担当

副会長・防災担当副会長となってくれると、会長の負

担も少しで済み、独断専行ではなく色々と協議できる

ので活動が活発になりますよ。

志を行政等に伝える役割、他の役員と協議しながら自治会・町内会活動の基本的な方

向を示し、会の活動をリードしていくリーダーとしての役割もあります。

②副会長

副会長は、会長を補佐し、時には

会長の役割を代行する役割がありま

す。会長と連携して自治会・町内会

の運営を行います。どうしても会長

に大きな負担がかかってしまうこと

とから、担当副会長制を取り入れて

いる連合自治会もあります。

③書記

書記には、会議や事業に関する記録、その他事務全般などを受け持つ役割がありま

す。また、会議の準備・連絡も書記の大きな役割の一つです。

④会計

会計は、自治会・町内会のお金の出入りに関する事務を行う、出納責任者の役割が

あります。また、必要な会計書類や通帳、資産等管理台帳などの管理を行います。自

治会・町内会の会員からの信頼を得るためには、会の収支がわかる書類をしっかり用

意し、明朗にすることが大切です。

⑤監事

監事は自治会・町内会の会計や事業の実施状況のチェックを行います。予算や事業

の執行が会の目的にそって適正に進められているかどうかを確認するのが役割です。

会計年度末(3 月)には、会計から会計記録を受け取り、監査します。

⑥顧問・相談役

会長をはじめとした役員の相談を受け、必要に応じて的確にアドバイスを行う役割

を担うために、会長や副会長の経験者などに顧問や相談役をお願いしている自治会・

町内会もあります。

⑦その他の役員

自治会においてはその自治会を構成している町内会の会長等を、また、町内会にお

いては、その町内会を構成している組や班の長(組長・班長)を町内会の役員にして

いる場合が多いようです。その他にも、専門委員会や専門部会を置いているところで

は、その執行役を役員としているケースもあります。また、様々な運営を補佐してい

る役員を置いているところもあります。

担当副会長制により上手に役割分担!

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ある自治会では・・・・

私の自治会では、すべての役員の任期は1年でし

た。5年前から会長だけ任期を2年に規約改正しま

した。 従来、年度ごとの役員全替えで活動が消極的にな

り、特に「何もないこと・何もしないこと」が 善

など、デメリットばかりが目立っていました。 改正後、活動が掘り下げられ、防犯活動や環境美

化活動、防災訓練など様々な活動が立ち上げられま

した。 役員には、退任後も自治会のホットな情報をお届

けし、アドバイザーの立場で自治会活動に参画して

いただいています。

コラム:会長の6つの心がけ

自治会・町内会は、子どもからお年寄りまで、また、男性、女性、外国人、障がいのある人など、さまざ

まな人からなる組織です。その代表である自治会長・町内会長は大変重要です。自治会・町内会をまとめ、

活動を行っていくにあたって、会長さんたちはこんなことを心掛けるとよいでしょう。

(1)自分の行動や言動には責任を持つ

自治会・町内会活動は、自発的な活動です。どうしようもなく引き受けたとしても、一旦引き受けた

ら責任を持ってやり遂げましょう。

(2)プライバシーを必ず守る

住民の秘密やプライバシーを知る機会も増えてきます。興味本位に口外することなく、秘密やプライ

バシーは絶対に守りましょう。

(3)一人で抱え込まずに、みんなで分担する

自分一人で抱え込まずに、みんなで仕事を分担することが大切です。それぞれの得意分野でお互いに

仕事を分担し合いましょう。

(4)幅広い住民参加のための工夫をする

自治会・町内会活動には、住民の総意が常に反映されなくてはなりません。多くの住民の参加を得る

ために、アンケートの実施などにより住民のニーズや関心をつかみ、創意工夫に努めましょう。

(5)相手の立場や考え方を尊重する

自治会・町内会活動を進める上では、何よりも民主性が要求されます。会員の立場や考え方を尊重し、

話し合い、活動を進められるように心がけましょう。

(6)子どもたちもまちづくりに参画させる

子どもは子どもなりに地域に対する考え方を持っています。その考え方を聞いたり、子どもが参

画したりすることにより、自治会・町内会活動を見直す機会が得られるでしょう。

■役員の任期

役員の任期は、各自治会・町内会の会

則で定められています。会計年度に合

わせて1年(ただし、再任は妨げない)

としているところが多いようです。 役員は何かと忙しく、けんえんされ

がちです。「任期が1年であれば、何と

か役員を引き受けても良い」という気

が起こるので、任期を1年とする方が

よいという声もあります。 一方、役員としての職務を果たすに

は少なくとも2年間は必要であるとの

認識から、会計年度をまたいで2年間

としていることころもあります。 任期については、それぞれの地域の

会長の任期を2年に、そして、

その後はアドバイザーを!

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ある自治会では・・・・

役職それぞれが持つ機能に合わせて、次のような方法

で役員の選出を行っています。 【会長の選出】

選出母体地区の代表と会長が指名する者で構成す

る次期役員選考会の推薦により選出し、役員会の議を

経て総会で選任します。選出母体地区及び選出の順番

は校区を4地区に分割して設定します。 【専門部長、同副部長、常任役員の選出】

会長及び会長が指名する者で構成する役員選考会

の推薦により選出し、役員会の議を経て選任します。 【副会長、書記、会計、監事の選出】

自治会長、町内会長の互選を得て総会で選任しま

す。

私達は、隔年発行の名簿や区画図もさることながら、

「ふれあい」を大切にあらゆる行事を行なっています。

さくら祭、盆踊り、運動会、ふれあいパトロール、一斉

清掃、防災訓練などの行事をふれあいの場にしていま

す。 また、趣味の集まりではゴルフ会を年5回開催し、プ

レイ後には必ず集会所で懇親会を開いています。お食

事・お酒・カラオケを通じて「ふれあい」を深めていま

す。 その中から、自治会活動に積極的に活動していただけ

る方を発掘し、得意分野での行動を促しています。そし

て、老・壮・青のバランスの良い役員構成で、円滑な自

治会運営を志向しています。 今後は青年部・婦人部や趣味の集まりを組織化し、自

治会役員への発掘をスムーズにして行きたいと考えて

います。 桜まつりや盆踊りといった「ふれあい行事」などを企

画・運営するにあたっては、地域に仕切り上手な方がい

ます。そういう方々を上手に自治会の役員に取り込んで

「まちの専門家」として、行事等の運営のサポート的な

役割を依頼することが大切です。誠意を持ってお願いす

ることで、その人達が引き続き自治会役員の一人として

活動し、自治会の理解者として“見える自治会活動”を

実践してくれます。

おかれている状況によって地域で決め

るべきものですが、途切れることなく

会の運営を行っていくための工夫や、

会長をはじめとした役員の負担を分散

することによって役員のなり手をしっ

かり確保する工夫が大切です。 例えば、任期が1年であっても、会

長や三役経験者が次年度も役員や顧

問・相談役として残す工夫をしている

自治会・町内会もあります。また、任

期は2年の場合では、会の運営をスム

ーズにするために、任期がきた時に役

員の半分を交代する工夫をしていると

ころもあります。

■役員の選任

役員の選出についても、自治会・町

内会の大小や地域特性によって、「選

挙」や「推薦」、「抽選」、「輪番制」な

ど、いろいろな方法によって行われて

います。 いずれにしても、それぞれの地域の

状況に も適した民主的な方法により

役員を選出し、会員一人ひとりが役員

の気持ちで活動に参加していくことが

大切です。 ただし、抽選や輪番制を採用する場

合は、小さい子どもや介護を要する家

族を抱える世帯や高齢者だけの世帯に

ついては配慮することも必要です。

「ふれあい行事」を通じて新しい役員の担い手の発掘の工夫を!

民主的で合理的な役員選出でスムーズな自治会運営を実現!

仕切り上手な住民に行事のリーダーを依頼することで、新たな役員の発掘!

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Q2

自治会や町内会の役員をするメリットは?

○自治会・町内会で役員を務めると・・・・・

◆地域の仲間が増え、ネットワークが広がる

地域において多様な年代の方々と知り合うことができ、普段顔を合わせた時も気軽

に話すことができるようになります。 また、活動を通して他の団体やNPO・ボランティアの方々、他の地域の自治会役

員さんなど人のネットワークが広がります。

≪自治会・町内会役員経験者の声≫

・ 地域において、年代を超えた付き合いができ、顔見知りが増えました。

・ 一緒に役員をして、一つの目標に向かって進むことで仲間となり、役員終了後も

付き合いが続いています。

・ 他の地域の方ともお話をする機会が増え、行事などの時にお互いに協力し合う

などいい関係を築くことができました。

◆地域や行政のことがよくわかるようになる

自治会・町内会の活動を通して、地域の現状や様々な能力を持った人材などを改め

て知ることができ、客観的な立場からまちを見て関心を高めることができます。また、

地域には様々な考えを持った人がいることから、他者の意見や考え方を理解すること

ができるようになります。 さらに、行政との情報交換・意見交換を通じて、そのしくみを理解することもでき

るようになります。

≪自治会・町内会役員経験者の声≫

・ 人口構造や住民意識など自治会内の実態が把握でき、自分のまちを客観的に

見ることができました。

・ 多くの人と意見を交わすなかで、異なった意見を理解しさらに視野を広げていく

ことで、自分にとっても勉強になります。

・ 今までよくわからなかった行政のしくみについて、組織の様子や学校・警察等との

役割分担などがどうなっているかがわかりました。

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◆ボランティア意識が高まり、責任感が向上する

自治会・町内会活動をすることによって、地域の方に感謝されたり、貢献している

ことが実感できたりした時に達成感が得られます。 役員になり、ある程度限られた期間で地域のために様々な経験をすることは、生き

がいや自己実現にもつながると考えられます。

≪自治会・町内会役員経験者の声≫

・ 行事への参加者が増えた時やその結果感謝されたのは、非常にうれしく思いま

す。

・ 活動を積み重ね、地域の方からいろいろと相談をしていただけるようになって、

社会に役立っていると実感することができます。

・ 人生のうちで、何か一つくらいは世間に奉仕しておきたいと思います。

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ある自治会では・・・・

私の自治会では次のような方法で新旧役員の引継ぎ

を行なっています。 まず、町内会長は町内会長用の、班長は班長用のフ

ァイルを用意します。また、自治会のルールや活動事

例、知っておきたいことなど、40 ページ程度の資料を

作成しておきます。年度初めの役員の引継ぎを行なう

時に、新役員は旧役員から内容の説明を受けて、各自

ファイルに資料を綴じていきます。これによって学習

しながら内容の理解とやる気を喚起しています。 会長は会長同士・専門部会長は専門部会長同士の引

継ぎで、年度ごとの切れ目を 小限にしています。 また、関係組織や団体に挨拶をして、円滑な引き継

ぎをしています。 初めて自治会役員になった時、隣近所の人からいろ

んな事が聞かれたり、注文を出されたりで返答に困り、

判らなくなる時があります。そんな時は一人で抱えな

いで、他の役員さんに聞いたり、連合自治会の役員さ

んに聞いたりして、とにかく一人の問題とはせずに、

みんなの問題にして、みんなで解決するようにしまし

ょう。市役所の生活課も結構力強い味方ですよ。任期

一杯楽しみましょう!そして任期が終わったら、それ

まで以上に積極的に自治会活動に参加しましょう。

Q3

新役員への事務の引継ぎをスムーズに行なうためには?

【文書ファイルとパソコンデータの双方

による引継ぎを!】

役員や担当者が替わっても自治会・

町内会の運営が滞らないようにするに

は、旧役員から新役員への引継ぎをし

っかりと行なうことが大事です。 役員の役職ごとに必要な資料や記録

を整理して専用のファイルに綴じて後

任者に渡すなど、書類によって引継ぎ

を行なっているのが一般的ですが、パ

ソコンが普及している今日では、紙の

書類に加えて電子データも添付する形

で引継ぎを行なっているケースも多く

なってきているようです。 各種の必要文書の雛形が電子データ

で引き継がれれば、始めから新しい書

類を作成し直す手間が省けるなど会の

事務運営の効率化が図れます。一方、

情報化が進んでも帳簿類は手書きであ

る必要があります。また、手書きの書

類だとこれまでの話し合い等の経過が

分かる形で引継ぎできるというメリッ

トもあります。したがって、紙ベース

での書類と電子データの双方により事

務を引き継ぐことが大切です。

【コミュニケーションを十分にとることが大事】

後任者にとって分かりやすいように事務を引き継いでいくことが何よりも重要です。

そのため、文書やデータだけでなく、旧役員と新役員が十分にコミュニケーションを図

って引継ぎを行う必要があります。 中には、新旧役員が一堂に会して前年度の書類を提示しながら丁寧に新役員に引き継

ぐよう工夫している自治会・町内会もあるようです。逆に、ただでさえ忙しい役員にあ

まり手間を取らせないようにするため、新旧の書記同士が密に連絡を取り合って事務書

類の引継ぎをしっかり行なうよう工夫しているところもあるようです。

【日頃からメモを作成し、記録として残しておくことが大切】

スムーズに事務を引き継ぐためには、日頃から気づいたことをメモや記録に残し、誰

が読んでも分かるような文書を作成するよう心がける必要があります。

役員の引継ぎはファイルでマニュアル化!

初めての役員でも大丈夫!

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例えば、行事を行なう時には、それぞれの作業を担当する人が手順や準備した品物な

どを示したリストを作成し、それらをしっかり整理し保管しておくことが考えられます。

行事を行った後はすぐに反省会を開催して、「食器が足りなかった」、「テントが壊れかけ

ているから修理する必要がある」など、気がついたことをメモして報告書として取りま

とめると、次の年に同じような行事を行なう人にとって大変参考になります。また、行

事を行った会場の設営状況などを写真で撮っておくと報告書はもっと分かりやすくなり

ます。

【その他にもスムーズな引継ぎのための工夫を!】

事務の引継ぎをスムーズに行なうため、役員の任期や交代の仕方に工夫している自治

会・町内会もあるようです(第2章 Q1「役員の任期」を参照)。また、新年度に行なう

行事等をあらかじめ決めてから新役員に引き継ぐことによって、役員の経験がない方で

もその年の年間行事等がこなせるように工夫している自治会・町内会もみられます。

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Q4

自治会・町内会での会議の進め方は?

自治会・町内会では、会の年間スケジュールや予算・決算の検討・決定、行事等の活

動内容についての打ち合わせなど様々な会議を開催します。 自治会・町内会が民主的な組織として運営されるためには、特に、会員の合意形成の

場としての総会と、総会の議決に従って自治会・町内会を運営していくための役員会等

の開催が重要となります。

■自治会・町内会の主な会議

①総会

総会は、自治会・町内会の意思決定の 高議決機関であり、通常総会と臨時総会が

あります。通常総会は、1年間のまとめ(事業報告)と決算、新年度の事業計画と予

算、役員の選出など重要事項を審議し、議決を行う会議です。 臨時総会については、緊急に解決すべき課題が発生した場合など、必要に応じて招

集します。

②役員会

役員会は執行機関で、総会の議決に従って、自治会を実際に運営していくための会

議です。 なお、役員会への出席役員は、あらかじめ規約で定めておくことが必要ですが、役

員会の構成メンバーは、自治会の規模等により、状況に応じた構成を考えることが大

切です。

③その他

専門委員会や専門部会を設置している自治会・町内会では、これらの会合も開催し

ています。その他、行事等を行う際のミーティングなども必要に応じて開催していま

す。

■会議開催のポイント

(1)開催通知のポイント

通知文には、会議の開催日時や場所、議題などを分かりやすく書き、できれば会議

の終了予定時間も記載しておくのが好ましいでしょう。 また、大勢の会員が集まる総会の場合は、開催前のできる限り早い時期に開催を通

知し、通常の会議についても、開催の2週間ぐらい前に通知することが大切です。 さらに、開催通知に合わせて、会議資料等も事前に配布すると会議を効率的に進め

ることができます。

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(2)会場の準備(いすや机の配置の工夫)

いすや机の並べ方によって会議の雰囲気は変わります。総会などと異なる和やかな

雰囲気で創造的な意見交換を行うような会議では、通常よくみられるようなスクール

形式のいすや机の配置、ロの字型やコの字型のいすや机の配置ではなく、円卓式や車

座式の配置にすると、上下関係や堅苦しい雰囲気はなくなり、参加者全員の表情がお

互いにわかる和やかな会議になります。

創造的な意見交換を行う会議における

机のレイアウト例

総会などの会議における

机のレイアウト例

(2)会議の進め方のポイント

①進行役の設定

会長が進行役を兼務しながら、資料の説明や質疑の応答を行なったり、自分の意見

を発言したりするような会議も見受けられますが、そうすると、会長の独善的な雰囲

気の会議になってしまいます。また、意見が錯綜し、会議の時間も長くなってしまい

ます。会議を開催するにあたっては、中立的な立場から会議を円滑にするための進行

役(司会)を決める必要があります。

②進行役の役割や姿勢

進行役は、上手に発言を引き出さなければなりません。できるだけ全員に発言を促

役員役員

議長議長

議長 役員 役員

議長

議長

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すなど、参加者全員で決めたという充足感のある会議に努めることが大切です。

コラム:進行役に求められる役割や姿勢のポイント

1)会議のプログラム(次第)、終了時間と概ねの時間配分の説明

2)会議の時間管理(時間厳守)

3)一人ひとりの意見にしっかりと耳を傾ける姿勢

4)議題から脱線した意見の軌道修正

5)発言者の発言意図の汲み取りと理解しやすい言葉での言い直し(言葉尻ではなく、ど

のような背景からそのような発言があったかを理解し、他の参加者に分かりやすく要

約して補足的に解説する。)

6)論点整理と部分だけでない全体を見た発言の促し

7)その場で討議すべきことか否かの判断

8)論議結果のまとめと合意事項や決定事項の確認

③話し合いの姿勢

会議における発言は、進行役の許可を得て行なう必要があります。一度に複数の人

が発言をすると、会議は錯綜してしまいます。また、出席者同士が直接発言し合うと、

感情的になる恐れもあります。 一人ひとりの発言や立場の違いを尊重しながら創造的な会議にするためには、次の

ような話し合いの基本ルールをお互いに守ることが大切です。

コラム:話し合いの基本ルール

1)思ったことは遠慮せずに発言しましょう!

2)1回の会議で少なくても一言は発言するように心掛けましょう!

3)一回当たりの発言はできる限り簡潔にするように心掛けましょう!(一人で長々と発

言すると発言できなくなる人も出てくるからです。)

4)欠点ばかりの指摘や揚げ足をとるような発言は避けましょう!

5)他人が出した提案には、より良く改善する観点から発言するように心掛けましょう!

6)他人の発言をさえぎるような発言は控えましょう!(他人の意見にしっかりと耳を傾

けましょう!)

7)現在論議している議題と関係ない発言は避けましょう!

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Q5

自治会・町内会への加入促進を図るためには?

【難しくなってきている自治会・町内会への加入促進】

自治会・町内会は、その地域に居住する方、全員加入が原則となります。しかし、任

意的自治組織であるため、地域住民に自治会・町内会への加入を強制することはできま

せん。 近、市内でもマンションが増え、自治会・町内会加入について苦労しているところ

が多くなっているようです。また、高齢者世帯も多くなり、中には自治会・町内会の会

員をやめてしまうような世帯も多くなりつつあるようです。 自治会・町内会に加入しない人の理由としては、「どのようなメリットがあるのかわか

らない」、「役員になったら大変、面倒くさい」、「地域活動に関心がない、私には関係な

い」、「会費を払いたくない」などがあると考えられます。また、「自治会・町内会って何?」

というように、そもそも自治会・町内会の存在すらもあまり知らないような人もいるよ

うです。

【地道に加入のメリットをPRすることが大事!】

●会長さんをはじめとした自治会・町内会の役員さんが中心になって、地道に自治会・

町内会の目的や事業、加入のメリットをPRし、理解を深めることが大切です。 ●自治会・町内会加入のメリットについては、イザという時の安心感が得られること

と、自分の生き甲斐、やり甲斐につながることが挙げられます。 ●何よりも地域住民のメリットとなる魅力ある自治会・町内会活動を展開していくこ

とが大切であると考えられます。

【チラシやパンフレットで分かりやすくメリットを伝えることが大切!】

●自治会・町内会への加入のメリットをチラシやパンフレットに分かりやすくまとめ

て、勧誘することが大切です。 ●「会費を払いたくない」という人も少なくないようですので、会費がどのように使

われるのか自治会・町内会の収支をグラフで分かりやすく示したものも合わせて配

布すると良いかも知れません。 ●マンション等の場合は、入居前からマンション業者や管理者と対話したり、マンシ

ョンの管理人さんに窓口になってもらうようお願いしたりするのも一つの方法です。

【加入促進は組織的な対応で!】

●地域の方々で協力し合って組織的に加入促進を図っていくことが大切です。未加入

者の情報は、組長さんや班長さんでとどめておくのではなく、自治会長や町内会長

にも情報を伝達することが重要です。

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【自治会・町内会の加入促進チラシ例】

自治会・町内会への加入促進方法の事例

●転入・転居の多い春に「加入へのお誘い」というチラシを作成し勧誘活動をおこなっています。 ●多くの地域住民が集まる盆踊りや地域イベント自体が自治体・町内会の宣伝の場です。魅力ある

行事の企画・運営に力を入れています。 ●地域まつり等でPRコーナーを設け、加入促進チラシを配布しています。 ●マンションが建設される前から、開発業者や管理者に加入促進の協力をお願いしています。 ●転入・転居してきた世帯に直接訪問して、笑顔であいさつしながら加入のお誘いをしています。 ●地域で事業を行っている企業や事業主等にも自治会・町内会への加入を勧誘しています。防災・

防犯のことを考えると、日中に大勢の従業員等が地域にいる企業や事業者は自治会・町内会活動

の強い味方であり、仲間です。 ●市役所(生活課)では、転入受付の時に自治会・町内会への加入を促しています。また、市のホ

ームページでも町内会への加入を宣伝しています。