第2章 経済・産業 1.事業所・企業 250...21 第2章 経済・産業...
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21
第2章 経済・産業
1.事業所・企業
(1)大阪市の事業所数、従業者数(民営)の推移
★事業所数、従業者数ともに減少傾向に
大阪市の事業所数、従業者数(民営)を 1981 年からみると、事業所数は 1986 年、従業者数は
1996年まで増加していたが、その後、事業所数、従業者数ともに減少傾向になっており、2012年
(速報値)においても、2009年と比べ、事業所数では 8.8%、従業者数では 5.7%減少している。
2012年(速報値)の事業所数、従業者数を産業別にみると、事業所数で最も構成比が高い産業は、
「卸売業,小売業」となっており、次いで「宿泊業,飲食サービス業」、「製造業」などとなっている。従
業者数においても、構成比が高い産業は、「卸売業,小売業」となっており、次いで「宿泊業,飲食サー
ビス業」、「サービス業(他に分類されないもの)」などとなっている。
208
190
236
223
150
200
250
300
150
200
250
300
1981 1986 1991 1996 2001 2006 2009 2012
S56 61 H3 8 13 18 21 24
従業者数[万人]事業所数[千] 事業所数、従業者数(民営)の推移
事業所数 従業者数
従業者数
事業所数
5.2
5.7
10.3
10.1
2.7
6.0
2.3
5.1
27.9
24.7
1.6
3.8
9.1
3.9
6.5
4.4
15.0
10.1
6.2
3.9
1.8
2.2
5.6
7.7
5.5
11.8
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
事業所数
従業者数
産業別事業所数、従業者数(民営)の構成比(大阪市)
建設
製造業
情報通信業
運輸業,郵便業
卸売業,小売業
金融業,保険業
不動産業,物品賃貸業
学術研究,
専門・技術サービス業
生活関連サービス業,娯楽業
教育,学習支援業
医療,福祉
サービス業(他に分類されないもの)宿泊業,飲食サービス業
[2012年]
※「事業所数」に事業内容等不詳を含まない。
※「従業者数」に 男女別の不詳を含む。
※事業所・企業統計調査と経済センサスとでは、調査手法が
異なることから、両調査は必ずしも接続しない。
出典:総務省「事業所・企業統計調査」1981年~2006年
「経済センサス-基礎調査」2009年
「経済センサス-活動調査(速報)」2012年
出典:総務省「経済センサス-活動調査(速報)」2012年
22
★他都市等においても事業所数、従業者数ともに減少に
2012年(速報値)における他都市等の事業所数、従業者数(民営)について、2009年と比較す
ると、事業所数では、東京都区部が 8.7%、大阪府が 7.7%、名古屋市が 6.6%減少しており、従業
者数では、東京都区部が 3.2%、大阪府が 5.4%、名古屋市が 3.8%減少している。
■事業所数、従業者数の他都市等比較
208
548
131
444
190
500
122
410
0
100
200
300
400
500
600
大阪市 東京都区部 名古屋市 大阪府
[千]事業所数(民営)
(大阪市・東京都区部・名古屋市・大阪府)2009,2012年
2009 2012
236
754
146
465
223
730
141
439
0
200
400
600
800
大阪市 東京都区部 名古屋市 大阪府
[万人]従業者数(民営)
(大阪市・東京都区部・名古屋市・大阪府)2009,2012年
2009 2012
出典:総務省「経済センサス-基礎調査」2009年
「経済センサス-活動調査(速報)」2012年
23
(2)産業別の状況
①卸売・小売業
★卸売業の従業者数は減少傾向
卸売業の従業者数、年間販売額を 1988 年からみると、大阪市の従業者数は、最も多い 1991 年
の約 46 万 7 千人から 2007 年には約 28 万3千人と 39%減少しており、年間販売額については、
同じく 1991年に約 74兆6千億円と最も高かったが、2007年では約 42兆8千億円と 43%減少
している。他都市等をみると、従業者数は 1999年から一貫して減少しており、年間販売額は 1991
年から減少傾向であったが、2007年には増加に転じている。大阪市の年間販売額は、大阪府の約8
割の水準で推移している。
出典:経済産業省「商業統計調査」
44,64841,353
0
10,000
20,000
30,000
40,000
50,000
60,000
1988 1991 1994 1997 1999 2002 2004 2007
S63 H3 6 9 11 14 16 19
[ 100億円 ] 卸売業の年間販売額の推移(大阪市、東京都区部、名古屋市、大阪府、全国)
6,155
7,4566,354 6,092
5,533
4,409 4,1114,275
14,851
16,122
3,6982,707
7,078
5,201
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
14,000
16,000
18,000
20,000
1988 1991 1994 1997 1999 2002 2004 2007
S63 H3 6 9 11 14 16 19
大阪市 東京都区部 名古屋市 大阪府
全国
43,317
35,263
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
35,000
40,000
45,000
50,000
1988 1991 1994 1997 1999 2002 2004 2007
S63 H3 6 9 11 14 16 19
[100人] 卸売業の従業者数の推移(大阪市、東京都区部、名古屋市、大阪府、全国)
4,489 4,6714,325
3,944 3,9873,553
3,1842,833
8,548
7,478
2,278
1,674
5,834
4,033
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
7,000
8,000
9,000
10,000
1988 1991 1994 1997 1999 2002 2004 2007
S63 H3 6 9 11 14 16 19
大阪市 東京都区部 名古屋市 大阪府
全国
24
★近年の小売業の年間販売額は横ばい傾向
小売業の従業者数、年間販売額を 1988年からみると、大阪市の従業者数は、緩やかな減少傾向に
あるが、概ね 20万人台となっており、年間販売額については、2002年以降は約4兆5千億円で推
移している。他都市等をみると、従業者数はともに 1999年から減少傾向にあるが、卸売業の減少幅
よりは緩やかとなっており、年間販売額は 2002 年以降、横ばい傾向があるものの、東京都区部は
2004年から緩やかな増加となっている。
出典:経済産業省「商業統計調査」
114,840
134,705
0
20,000
40,000
60,000
80,000
100,000
120,000
140,000
160,000
1988 1991 1994 1997 1999 2002 2004 2007
S63 H3 6 9 11 14 16 19
[ 10億円 ] 小売業の年間販売額の推移(大阪市、東京都区部、名古屋市、大阪府、全国)
4,534
5,6054,970 5,095 4,873
4,524 4,542 4,548
11,986
13,324
2,7563,192
9,1989,651
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
14,000
16,000
1988 1991 1994 1997 1999 2002 2004 2007
S63 H3 6 9 11 14 16 19
大阪市 東京都区部 名古屋市 大阪府
全国68,513
75,794
30,000
38,000
46,000
54,000
62,000
70,000
78,000
86,000
1988 1991 1994 1997 1999 2002 2004 2007
S63 H3 6 9 11 14 16 19
[100人] 小売業の従業者数の推移(大阪市、東京都区部、名古屋市、大阪府、全国)
2,173 2,185 2,126 2,0702,213 2,154 2,043 1,979
5,454 5,618
1,419 1,531
4,9515,099
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
1988 1991 1994 1997 1999 2002 2004 2007
S63 H3 6 9 11 14 16 19
大阪市 東京都区部 名古屋市 大阪府
全国
25
★百貨店は苦戦が続き、スーパーは堅調に推移
大阪市の大型小売店(百貨店、ス
ーパー)の年間販売額を 1997 年
からみると、百貨店の販売額は年々
減少しており、2011 年は 1997
年の 59%にまで落ち込んでおり、
スーパーの販売額は百貨店と比べ
変動が少なく、堅調に推移している。
百貨店は小売業の業態としては苦
戦を強いられている。
また、百貨店の 1年間の売り上げ
動向を月次でみると、中元・歳暮等
の繁盛期である 7月、12月は、各
都市ともに売り上げが多くなって
いる。大阪市では、百貨店の新規開
店や増床の影響により、2013年1
月の売上は、前年同月の約 71百万
円から約 74百万円と 3.3%増加し
ている。
百貨店とスーパーの売場面積の
動きをみると、東京都区部、名古屋
市のスーパーで緩やかな増加傾向
が見られるものの、全体的には横ば
いとなっている。大阪市では百貨店、
スーパーともに 2011 年に増加し
ている。
出典:日本百貨店協会「地区別売上高」
7174
132132
3333
0
50
100
150
200
2012
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2013
1月
[百万円] 1年間の百貨店の売上動向(大阪市・東京都区部・名古屋市)
大阪市 東京都区部 名古屋市
東京
名古屋
大阪
出典:経済産業省 「商業販売統計年報」
出典:経済産業省「商業販売統計年報」
1,114
655
229 233
0
200
400
600
800
1,000
1,200
199719981999200020012002200320042005200620072008200920102011
H9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23千
大型小売店の販売額 (大阪市)
百貨店 スーパー
[10億円]
0
200
400
600
800
1000
1200
199719981999200020012002200320042005200620072008200920102011
H9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23
百貨店売場面積の推移(大阪市・東京都区部・名古屋市)
大阪市 東京都区部 名古屋市
[1 ,000㎡]
名古屋
東京
大阪
0
200
400
600
800
1000
1200
199719981999200020012002200320042005200620072008200920102011
H9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23
スーパー売場面積の推移(大阪市・東京都区部・名古屋市)
大阪市 東京都区部 名古屋市
[1 ,000㎡]
名古屋
東京
大阪
26
②製造業
★製造業の事業所数、従業者数は減少傾向に
大阪市の製造業を 1998年からみると、事業所数は減少傾向が続き、2010年の事業所数は 1998
年の 50%となっており、従業者数でも減少傾向となっており、2010 年の従業者数は 1998 年と
比べると、44%減少している。
他都市等も、ほぼ同様の動きとなっており、増減を繰り返しながらも、減少傾向となっている。
出典:経済産業省「工業統計調査」
(従業者数4人以上の事業所)
3,737
2,244
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
3,500
4,000
1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010
H10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22
製造業の事業所数の推移(大阪市・東京都区部・名古屋市・大阪府・全国)
事業所数[百]
136
69
0
50
100
150
200
250
300
350
400
1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010
H10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22
大阪市 東京都区部 名古屋市 大阪府
全国9,837
7,664
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010
H10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22
従業者数[千人] 製造業の従業者数の推移(大阪市・東京都区部・名古屋市・大阪府・全国)
231
129
0
100
200
300
400
500
600
700
800
1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010
H10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22
大阪市 東京都区部 名古屋市 大阪府
全国
27
★製造業の製造品出荷額等も減少傾向に
製造業の製造品出荷額等の推移をみると、大阪市では 1998年から緩やかに減少しており、2009
年には前年より 18%減少と大きく落ち込み、2010年も引き続き減少し、製造品出荷額等は 1998
年と比べると、41%減少している。
他都市等をみると、全国では 2003 年から増加傾向にあり、2009 年には前年より 21%減少し
たが、2010 年には 9%増加している。大阪府、名古屋市も 2009 年には大幅な減少となったが、
2010 年には増加に転じており、東京都区部では大阪市同様、2009 年に引き続き、2010 年も減
少している。
305,840
289,108
200,000
220,000
240,000
260,000
280,000
300,000
320,000
340,000
360,000
1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010
H10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22
[10億円] 製造品出荷額等の推移(大阪市・東京都区部・名古屋市・大阪府・全国)
6,003
3,567
11,396
3,5234,985
3,306
19,56715,713
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
14,000
16,000
18,000
20,000
1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010
H10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22
大阪市 東京都区部 名古屋市 大阪府
全国
出典:経済産業省「工業統計調査」
(従業者数4人以上の事業所)
28
★化学工業が付加価値額の3分の1を占める
2010年の大阪市の製造品出荷額等の構成比を産業分類別にみると、化学工業が22%と最も高く、
鉄鋼業が 13%、金属製品製造業が 10%と続いている。また、付加価値額の構成比をみると、化学
工業が 35%と突出して高く、金属製品製造業が9%、印刷・同関連業が8%と続いており、化学工
業は大阪市の製造業を代表する産業といえる。
化学工業22%
鉄鋼業13%
金属製品製造業10%印刷・同関連業
8%
生産用機械器具製造
業7%
食料品製造業6%
非鉄金属製造業5%
電気機械器具製造業4%
その他25%
産業分類別製造品出荷額等の構成比
大阪市
2010年
輸送用機械器具製造
業19%
化学工業9%
食料品製造業8%
鉄鋼業6%
電子部品・デバイス・
電子回路製造業 6%電気機械器具
製造業 5%
石油製品・石炭製品
製造業 5%
生産用機械器具
製造業 5%
その他37%
産業分類別製造品出荷額等の構成比
全国
2010年
業務用機械器具製造
業15%
輸送用機械器具製造
業12%
電気機械器具製造業9%
鉄鋼業9%
食料品製造業8%
金属製品製造業6%
化学工業6%
生産用機械器具製造
業6%
その他29%
産業分類別製造品出荷額等の構成比
名古屋市
2010年
印刷・同関連業31%
食料品製造業8%
化学工業7%金属製品製造業
7%
業務用機械器具
製造業 6%
生産用機械器具製造
業 5%
鉄鋼業4%
パルプ・紙・紙加工品
製造業 4%
その他28%
産業分類別製造品出荷額等の構成比
東京都
区部2010年
化学工業13%
鉄鋼業9%
石油製品・石炭製品
製造業8%
金属製品製造業8%
生産用機械器具
製造業7%
食料品製造業7%
電気機械器具
製造業 6%
輸送用機械器具
製造業 5%
その他37%
産業分類別製造品出荷額等の構成比
大阪府
2010年
化学工業35%
金属製品製造業9%
印刷・同関連業8%
生産用機械器具
製造業7%
鉄鋼業6%
食料品製造業6%
輸送用機械器具製造
業4%
電気機械器具製造業4%
その他21%
産業分類別付加価値額の構成比
※従業者29人以下は粗付加価値額
大阪市
2010年
輸送用機械器具製造
業15%
化学工業11%
食料品製造業10%
電子部品・デバイス・
電子回路製造業6%電気機械器具
製造業 6%生産用機械器具
製造業 6%
金属製品製造業5%
プラスチック製品製
造業(別掲を除く) 4%
その他37%
産業分類別付加価値額の構成比
※従業者29人以下は粗付加価値額
全国
2010年
業務用機械器具製造
業15%
輸送用機械器具製造
業12%
金属製品製造業8%
食料品製造業8%
印刷・同関連業7%
電気機械器具製造業7%
生産用機械器具製造
業7%
化学工業7%
その他29%
産業分類別付加価値額の構成比
※従業者29人以下は粗付加価値額
名古屋市
2010年
印刷・同関連業30%
化学工業9%
金属製品製造業8%
食料品製造業7%
業務用機械器具
製造業6%
生産用機械器具
製造業 6%
電気機械器具製造業4%
パルプ・紙・紙加工品
製造業 3%
その他27%
産業分類別付加価値額の構成比
※従業者29人以下は粗付加価値額
東京都
区部2010年
化学工業20%
金属製品製造業10%
食料品製造業8%
生産用機械器具
製造業 7%電気機械器具
製造業 7%
はん用機械器具
製造業 5%
プラスチック製品製
造業(別掲を除く)5%
鉄鋼業5%
その他33%
産業分類別付加価値額の構成比
※従業者29人以下は粗付加価値額
大阪府
2010年
出典:経済産業省「工業統計調査」
29
■□■ 分析 ~卸売業と製造業の相関~■□■
平成 21 年経済センサス-基礎調査によると、大阪市内の卸売業の全産業に占める構成比は、事業
所数では 12.1%、従業者数では 13.4%となっており、特化係数でみると、事業所数では 1.8、従業
者数では 2.0とそれぞれ 1.0を大きく上回っており、卸売業は大阪市内において、主要な産業である
ことがわかる。しかしながら、商業統計調査をみると、近年では従業者数、年間販売額ともに減少傾
向で推移しており、1991年と 2007年を比べると、大阪市では従業者数は 39.3%、年間販売額は
42.7%の減少となっており、全国では従業者数は 26.1%、年間販売額は 27.9%の減少であり、全
国と比べても大阪市の落ち込みは厳しいものとなっている。
卸売業は、多くのメーカーを通じて商品を仕入れ、小売店等の注文に応じて小分けし納品する集荷
分散機能や、商品を在庫として保管し、小売業者の必要に応じて配送を行う需給調整機能などを持ち
合わせているが、IT の急速な普及などにより、卸売業を仲介しない取引の増加が卸売業の低迷の一因
といわれている。しかしながら、いわゆる「中抜き」だけが卸売業の低迷の原因なのだろうか。
一方、工業統計調査の 1991年と 2010年を比べると、大阪市の事業所数は 60.7%、従業者数は
58.1%、製造品出荷額等は 56.3%減少しており、全国の事業所数は 47.9%、従業者数は 32.5%、
製造品出荷額等は 15.2%減少と、大阪市の製造業は卸売業と同様に、全国と比べて落ち込みが厳しい
ものとなっている。
ここで、両産業の関係を、統計的手法でみてみることとする。
経済産業省が公表している鉱工業生産指数と第3次産業活動指数を用いて、鉱工業と卸売業の時差
相関をみてみると、比較的高い相関があることがわかる。
このように、卸売業の低迷には、「中抜き」といった業態自身の影響のみならず、製造業の活動状況
がひとつの遠因であることが考えられる。
2期先行 1期先行 0期 1期遅行 2期遅行卸売業 0.42 0.60 0.81 0.77 0.63 各種商品卸売業 0.42 0.48 0.59 0.57 0.45 繊維・衣服等卸売業 0.46 0.48 0.51 0.49 0.43 飲食料品卸売業 0.37 0.50 0.53 0.35 0.27 建築材料、鉱物・金属材料等卸売業 0.42 0.44 0.54 0.52 0.39 機械器具卸売業 0.05 0.31 0.63 0.70 0.62 家具・建具・じゅう器等卸売業 0.51 0.57 0.64 0.63 0.56 医薬品・化粧品等卸売業 -0.40 -0.23 -0.15 -0.18 -0.21 その他の卸売業 0.53 0.67 0.79 0.75 0.67
鉱工業生産指数、第3次産業活動指数(経済産業省)2003年から2012年までの四半期毎の原指数により算出
鉱工業生産活動による卸売業の時差相関
*「相関関係」とは、2つの変数の相関の強さと方向(正あるいは負)を測るものであり、「1」に近いほど、より強い正の相関であり、「-1」
に近いほど、より強い負の相関であることを示している。
*「特化係数」とは、当該産業の大阪市の割合を全国の割合で割って算出し、「1」より大きいほど大阪市における当該産業のウエイト
が全国に比べて大きいことを示している。
30
出典:総務省「経済センサス-基礎調査」2009年 「事業所・企業統計調査」1981年~2006年
③その他(サービス業など)
★飲食店数は減少傾向
飲食店の事業所数の推移を 1991年から 2006年までみると、大阪市、他都市等ともに減少して
おり、大阪市は 32%、東京都区部は 13%、名古屋市は 22%、大阪府は 26%、全国は 14%の減
少となっている。
従業者数をみると、大阪市は 24%減少、東京都区部は 4%減少、名古屋市は 1%減少、大阪府は
13%減少と、事業所数の減少よりも緩やかになっており、全国では7%増加している。
事業所数、従業者数のいずれにおいても、大阪市の減少傾向は際立っている。
795673
0
100
200
300
400
500
600
700
800
900
1981 1986 1991 1996 2001 2006 2009
S56 61 H3 8 13 18 21
事業所数[千] 飲食店の事業所数(大阪市・東京都区部・名古屋市・大阪府・全国)
44 45 45 4338
31 30
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
1981 1986 1991 1996 2001 2006 2009
S56 61 H3 8 13 18 21
大阪市 東京都区部 名古屋市 大阪府
全国
3,123
4,422
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
1981 1986 1991 1996 2001 2006 2009
S56 61 H3 8 13 18 21
従業者数[千] 飲食店の従業者数(大阪市・東京都区部・名古屋市・大阪府・全国)
197 204 229 220 203173
205
0
100
200
300
400
500
600
700
1981 1986 1991 1996 2001 2006 2009
S56 61 H3 8 13 18 21
大阪市 東京都区部 名古屋市 大阪府
全国
31
★客室稼働率が上昇傾向
大阪府におけるホテルの客室稼働率をみると、2010年以降は 70%を超えて推移しており、2011
年は低下したものの、東京都を上回る高い稼働率となっている。
利用客室数を各都市等の人口 10 万人当たりの人口でみると、京都府、東京都に次いで大阪府が高
くなっている。
★大阪城の入場者数は堅調に推移
大阪市の主要な観光施設をみると、海遊館は年間 200万人を超える入場者数を確保し続け、大阪城
天守閣は 2000年に 100万人を下回ったが、近年では増加傾向にある。また、天王寺動物園は 100
万人を上回る入園者となっている。
また、東西を代表する娯楽施設である東京ディズニーリゾートとユニバーサル・スタジオ・ジャパン
をみると、それぞれ多くの入場者数を集めている。
天王寺動物園(大阪市)
上野動物園(東京都)
旭山動物園(旭山市)
東山動物園(名古屋市)
京都市動物園(京都市)
王子動物園(神戸市)
規模(総面積) 11.0ha 14.2ha 15.2ha 32.2ha 4.1ha 8.1ha
総入園者数 1,202,142人 2,677,372人 2,061,519人 2,179,606人 711,688人 1,269,091人
他園との比較
出典:大阪市都市計画局「大阪市統計書」
各社ホームページ 大阪市経済戦略局
出典:観光庁「宿泊旅行統計調査」
65.3
65.2 68.1
75.0 72.0
80.5
30
40
50
60
70
80
2007 2008 2009 2010 2011
H19 20 21 22 23
[%] 客室稼働率 (都道府県別)
大阪府 東京都 愛知県 京都府 奈良県
東京
大阪
愛知
京都
奈良
出典:大阪市経済戦略局
※天王寺動物園の入場者数は、2010 年から無
料入園者の集計方法を推計値から実測値に変更している。
187
242
122
310
67
0
100
200
300
400
大阪府 東京都 愛知県 京都府 奈良県
[千] 利用客室数(人口10万対) (都道府県別)
[2011年]
出典:観光庁「宿泊旅行統計調査」
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010
H9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22
[ 千人 ] 入場者数
大阪城天守閣
海遊館
天王寺動物園
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010
H9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22
[ 千人 ] 入場者数
USJ
東京ディズニーリゾート
32
★2010年の国内線旅客数は減少、国際旅客数は増加
関西国際空港、伊丹空港の航空旅客数の推移を 2001年からみると、国内線の旅客数は緩やかに減
少しており、国際線の旅客数も同様に減少傾向だが、国内線に比べて減少幅は小さくなっている。大
阪市への観光ビジター数、外国人ビジター数の推移をみると、2009年には新型インフルエンザ感染
拡大などのため、一旦減少したが、増加傾向になっている。
★大阪府へは、アジアからの宿泊者が多い
都道府県別に外国人宿泊者の構成
比をみると、大阪府は韓国や中国、
香港、台湾といったアジアからの宿
泊者の構成比が高く、6割を超えて
いるが、東京都では韓国、中国、香
港、台湾からの宿泊者は4割程度と
なっている。
一方、アメリカやその他(ヨーロ
ッパ)の構成比を見ると、大阪府が
1割程度であるのに対し、東京都で
は2割程度となっている。 出典:観光庁「宿泊旅行統計調査」
出典:大阪市経済戦略局「大阪市の観光動向調査」
※外国人ビジターの 2008年以降は暦年、それ以外は年度の値 ※「大阪市の観光動向調査」は 2009年より形態を見直し、年度か
ら暦年へ、また消費額は観光ビジター(日帰り観光客+観光宿泊
客)から宿泊ビジター(観光宿泊客+ビジネス等の宿泊客)対象
に変更。
101 101 101
104 104 104 102
116
123 133 154
171
202 197
160 219
0
50
100
150
200
250
300
90
95
100
105
110
115
120
2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010
H15 16 17 18 19 20 21 22
観光ビジター[百人]大阪市への観光ビジター数と外国人ビジター数の推移
観光ビジター 外国人ビジター
観光ビジター
外国人ビジター
外国人ビジター[人]
出典:新関西国際空港株式会社「数字で見る関西国際空港」
国土交通省「暦年・年度別空港管理状況調書(大阪国際空港)」
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
関空
伊丹
関空
伊丹
関空
伊丹
関空
伊丹
関空
伊丹
関空
伊丹
関空
伊丹
関空
伊丹
関空
伊丹
関空
伊丹
2001H13
200214
200315
200416
200517
200618
200719
200820
200921
201022
[万人] 航空旅客数(関西国際空港・伊丹空港)
国内線 国際線 国内線(合計) 国際線(合計)[年度]
※国籍(出身地)不詳を含む。
出典:一般財団法人中部経済連合会「中部国際空港の利用状況」、
国土交通省、成田国際空港(株)
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
7,000
8,000
中部
成田
羽田
中部
成田
羽田
中部
成田
羽田
中部
成田
羽田
中部
成田
羽田
中部
成田
羽田
中部
成田
羽田
中部
成田
羽田
中部
成田
羽田
中部
成田
羽田
2001H13
200214
200315
200416
200517
200618
200719
200820
200921
201022
[万人] (参考)航空旅客数(中部国際空港・羽田空港・成田国際空港)
国内線 国際線[年度]
413
599
48
2,546
458
763
179
2,716
220
322
21
1,301
282
552
99
2,423
130
719
82
1,900
50
199
6
486
140
435
55
1,186
87
414
24
905
305
1,116
138
2,885
0% 20% 40% 60% 80% 100%
大阪府
東京都
愛知県
全国
外国人延べ宿泊者の構成比(都道府県別)
韓国 中国 香港
台湾 アメリカ オーストラリア
その他 (アジア) その他 その他
※グラフ内の数値は、
実数値 単位[千人]
33
★情報サービス業は堅調
情報サービス業の事業所数、従業者数の推移を 1991年からみると、大阪市、他都市等ともにバブ
ル崩壊後にもかかわらず堅調に推移している。2009年の各都市等の全国に占める割合をみると、事
業所数では、大阪市は8%、東京都区部は 28%、名古屋市は4%、大阪府は 10%となっており、従
業者数では、大阪市は8%、東京都区部は 46%、名古屋市は4%、大阪府は9%となっている。大
阪市は大阪府内においては高いウエイトを占めているが、全国的には、東京都区部が従業者数で圧倒
している。
199
388
0
50
100
150
200
250
300
350
400
450
1991 1996 2001 2006 2009
H3 8 13 18 21
事業所数[百] 情報サービス業の事業所数(大阪市・東京都区部・名古屋市・大阪府・全国)
18 1925 25
31
0
20
40
60
80
100
120
1991 1996 2001 2006 2009
H3 8 13 18 21
大阪市 東京都区部 名古屋市 大阪府
全国
6,567
11,089
1,000
3,000
5,000
7,000
9,000
11,000
13,000
1991 1996 2001 2006 2009
H3 8 13 18 21
従業者数[百] 情報サービス業の従業者数(大阪市・東京都区部・名古屋市・大阪府・全国)
612 575 737 789 896
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
1991 1996 2001 2006 2009
H3 8 13 18 21
大阪市 東京都区部 名古屋市 大阪府
全国
出典:総務省「経済センサス-基礎調査」2009年
「事業所・企業統計調査」1991年~2006年
「情報サービス業」は、日本標準産業分類の大分類「情報通信業」の
なかの中分類に設定されており、小分類「ソフトウェア業 (受託開発、組込
み、パッケージ、ゲーム)」、「情報処理・提供サービス業」で構成されてい
る。