第2学年の実際- 38 - 第2学年の実際 1 単元名 走ってかわして...

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- 38 - 第2学年の実際 1 単元名 走ってかわして ゴール(ゲーム 鬼あそび) 2 単元設定の理由 (1)児童の実態 本学年の児童64名(男子39名、女子25名)は、休み時間に多くの児童が外に出て、ドッ ジボールや一輪車、鉄棒などの遊具で遊ぶ姿が見られるが、中には、外遊びよりは図書室で本を 読んだり、教室で絵を描いたりして過ごすことを好む児童もいる。体育の時間に準備運動的に行 った鬼遊びは、大方の児童が喜んで取り組むものの、走ることの苦手な児童はすぐに鬼になって しまい、なかなか友達を捕まえることができず、鬼遊びの楽しさを十分に味わうことはできない 様子もみられた。また、規則があいまいなまま遊んでいるため、「タッチをしたのに逃げた」「一 人狙いをされた」「足が遅い人ばかりを狙っている」「はさみうちをされた」といった不満の思い を持ち、友達と仲良く遊ぶことができずに困惑している児童もいる。 技能面の実態としては、体を動かすことが好きで、休み時間をまちかねるように運動場に飛び 出して遊び児童がいる反面、運動経験に乏しくてタイミングよく体を動かすことができない児童、 思いっきり跳んだり、走ったりすることが上手にできない児童も多く見られ、差が大きい。俊敏 性について新体力スポーツテストによると、20秒間の反復横跳びの回数が男女ともに30回で、 これは北九州市の平均27回を上回っている。しかし、15回~42回(男子)、20回~46 回(女子)と個人差は大きい。 思考、判断面においては、昨年度「シュートゲーム」の学習で、より多く得点するためには、 どうしたらよいか考え、簡単な攻め方を選択したり、友達のよい動きを見つけたりしてきている。 しかし、ドッジボールのゲームでの動きを見ていると、自分がボールを投げることにこだわり、 味方同士でボールを取り合うなど、よい位置にいる味方にパスをするなどして、自分のチームを 勝ちに導こうとするまでには至っていない。 (2)単元のとらえ 鬼遊びは、簡単な規則を工夫したり、攻め方を決めたりしながら、一定の区域で逃げる、追い かける、陣地を取り合うなどの動きを楽しむ運動である。相手から身をかわして逃げたり、相手 のすきをみて走り抜けたり、追いかけて相手をつかまえたりする中に楽しさの中心がある。鬼遊 びの特性の一点目は、逃げる、追う中で「走る速さや向きを急に変える」「走りながら体をひね る」などの様々な動きを身に付けることができることにある。2点目は「一人が鬼を引き付けて いる間にもう一人が走り抜ける」など、2・3人で連携した動きを考え、実行しやすいことにある。 本単元では、「たからとりおに」とそれを発展させた「たからはこびおに」2つのゲームを行 う。 「たからとりおに」では、まず、きまりを守って仲よく運動することや勝敗を素直に受け入れる ことができるようにしていく。技能においては、相手のいない場所を見つけて走り抜ける、かわ すといった攻める動きや、相手にかわされように動いてタグをとるといった守る動きができるよ うにしていく。 「たからはこびおに」では、「たからとりおに」で身につけた,相手をかわして走り抜ける動 きを活用して、効果的に得点する戦術を考え、協力してプレーすることの楽しさや喜びを感じさ せていきたい。本単元を通して、相手のいない場所を見つけて走り抜ける、かわすなどの動きを

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Page 1: 第2学年の実際- 38 - 第2学年の実際 1 単元名 走ってかわして ゴール(ゲーム 鬼あそび) 2 単元設定の理由 (1)児童の実態 本学年の児童64名(男子39名、女子25名)は、休み時間に多くの児童が外に出て、ドッ

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第2学年の実際

1 単元名 走ってかわして ゴール(ゲーム 鬼あそび)

2 単元設定の理由

(1)児童の実態

本学年の児童64名(男子39名、女子25名)は、休み時間に多くの児童が外に出て、ドッ

ジボールや一輪車、鉄棒などの遊具で遊ぶ姿が見られるが、中には、外遊びよりは図書室で本を

読んだり、教室で絵を描いたりして過ごすことを好む児童もいる。体育の時間に準備運動的に行

った鬼遊びは、大方の児童が喜んで取り組むものの、走ることの苦手な児童はすぐに鬼になって

しまい、なかなか友達を捕まえることができず、鬼遊びの楽しさを十分に味わうことはできない

様子もみられた。また、規則があいまいなまま遊んでいるため、「タッチをしたのに逃げた」「一

人狙いをされた」「足が遅い人ばかりを狙っている」「はさみうちをされた」といった不満の思い

を持ち、友達と仲良く遊ぶことができずに困惑している児童もいる。

技能面の実態としては、体を動かすことが好きで、休み時間をまちかねるように運動場に飛び

出して遊び児童がいる反面、運動経験に乏しくてタイミングよく体を動かすことができない児童、

思いっきり跳んだり、走ったりすることが上手にできない児童も多く見られ、差が大きい。俊敏

性について新体力スポーツテストによると、20秒間の反復横跳びの回数が男女ともに30回で、

これは北九州市の平均27回を上回っている。しかし、15回~42回(男子)、20回~46

回(女子)と個人差は大きい。

思考、判断面においては、昨年度「シュートゲーム」の学習で、より多く得点するためには、

どうしたらよいか考え、簡単な攻め方を選択したり、友達のよい動きを見つけたりしてきている。

しかし、ドッジボールのゲームでの動きを見ていると、自分がボールを投げることにこだわり、

味方同士でボールを取り合うなど、よい位置にいる味方にパスをするなどして、自分のチームを

勝ちに導こうとするまでには至っていない。

(2)単元のとらえ

鬼遊びは、簡単な規則を工夫したり、攻め方を決めたりしながら、一定の区域で逃げる、追い

かける、陣地を取り合うなどの動きを楽しむ運動である。相手から身をかわして逃げたり、相手

のすきをみて走り抜けたり、追いかけて相手をつかまえたりする中に楽しさの中心がある。鬼遊

びの特性の一点目は、逃げる、追う中で「走る速さや向きを急に変える」「走りながら体をひね

る」などの様々な動きを身に付けることができることにある。2点目は「一人が鬼を引き付けて

いる間にもう一人が走り抜ける」など、2・3人で連携した動きを考え、実行しやすいことにある。

本単元では、「たからとりおに」とそれを発展させた「たからはこびおに」2つのゲームを行

う。

「たからとりおに」では、まず、きまりを守って仲よく運動することや勝敗を素直に受け入れる

ことができるようにしていく。技能においては、相手のいない場所を見つけて走り抜ける、かわ

すといった攻める動きや、相手にかわされように動いてタグをとるといった守る動きができるよ

うにしていく。

「たからはこびおに」では、「たからとりおに」で身につけた,相手をかわして走り抜ける動

きを活用して、効果的に得点する戦術を考え、協力してプレーすることの楽しさや喜びを感じさ

せていきたい。本単元を通して、相手のいない場所を見つけて走り抜ける、かわすなどの動きを

Page 2: 第2学年の実際- 38 - 第2学年の実際 1 単元名 走ってかわして ゴール(ゲーム 鬼あそび) 2 単元設定の理由 (1)児童の実態 本学年の児童64名(男子39名、女子25名)は、休み時間に多くの児童が外に出て、ドッ

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身につけたり、チームで簡単な作戦を選び実行したりすることは、様々な動きやゲーム領域の学

習における学び方を身につけるとともに、今後のいろいろなボールゲームの学習に生かすことが

できる。今後のいろいろなボールゲームの学習に活かすことができる。

3 指導の手立て

(1)指導内容の明確化を図る

① 本単元での目指す動き

② 本単元における指導内容

ア. 相手をかわして、走り抜ける動き (個の動き)

◎ジグザグに走る ◎守りの隙をつく

○走るスピードを変える ○フェイントをかける

イ. 相手をかわしてボールを運ぶ動き(2・3人連携した動き)

◎パスをしながら前進 ○コートの両サイド

攻める時の動き 守るときの動き ボール操作(パス)

・ 相手をかわして、走

りぬけることができ

る。

・ 走り抜けようとする相手の動

きに合わせて動くことができ

る。

・ 味方に体を向けて投げることがで

きる。

・ パスされたボールをしっかりと受

け取り、保持することができる。

体をひねり、走る

方向を素早くかえ

て、ジグザグに走

る。

足を踏み出して、

走りぬけるように

みせかけ、鬼が動き

につられたところ

で、逆方向にすばや

ゆっくり歩いた

り、立ち止まった

り、急に走り出した

りと、動きに強弱を

つける。

鬼が、ほかの人を

捕まえようとして

いる時や、自分に気

付いていない時に、

鬼の人の背後を走

コートの両サイ

ドから一気に走り

抜けて守りを引き

付けて、真ん中にで

きたスペースをボ

ール保持者が走り

鬼ゾーンを抜け

た仲間に、鬼ゾーン

の手前からボール

をパスして、ボール

を進める。

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○一人にひきつける

③ 児童の実態に応じたゲームの設定

○ 児童が今もっている力でゲームを楽しむことができるように、まずは、技能的にやさしい、

「たからとりおに」を設定する。次に、2・3人で連携した動きを身に付けることができる

ようにするために、「たからはこびおに」を設定する。「たからとに」では、相手のいないと

ころに走り抜ける、かわす、タグを取る動きに慣れさせる。

○ 走力に乏しい児童でも、ゴールに走りこむことができるように鬼ゾーンを設け、鬼の動け

る範囲を限定する。

○ 攻め側に数的優位をつくるために鬼ゾーンに入る人数を制限する。

○ 攻める時はタグを2本つけさせるようにする。そうすることで、1本とられても先に進め

るようにし、相手をかわしたり、走ったりすることが苦手な児童にも、得点しやすくなるよ

うする。また、タグをとったりとられたりすることで、鬼がタッチするよりも、互いにはっ

きりと分かるようにすることができる。

○ 2人1組でタグを取り合うミニゲームやジグザグ走りゲームをドリルゲームとして毎時

間取り入れ、いろいろな走り方や相手から身をかわす動きを身に付けさせる。

(2)目指す動きの具体的な姿を見せ、学び合いの活性化を図る

本単元における望ましい学び合いの姿を以下のように設定する。

そして以下の手立てをとり、目指す動きの具体的な姿を見せ、学び合いの活性化を図る。

① 本単元の指導内容となる動きの提示

本単元の指導内容となる相手をかわして走り抜ける動きの図や、攻め方の図を提示するこ

とで動きや攻め方を理解することができるようにする。また、実際の動きをすり合わせるこ

とによって、理解をより確かなものにする。さらに、常に掲示することによって、学習中に

動きの確認をしたり、2・3人での連携した動きを見直したりできるようにする。

② チーム内での声掛け

ナイス・ドンマイ・ファイト・おしい・がんばろう・大丈夫・やったねなど、どんな言葉を

かけられると嬉しいか子どもたちの中から引き出し、友達を励ます言葉かけができるように指

導していく。ポイントになる言葉を常掲したり、仲よく声をかけ合ったり、教え合ったりして

いる姿を取り上げたりして、互いのよさを認め合うことができる態度を全体に広めていく。

③ 教師による即時評価

ゲーム中に目指す動きが見られた場合にすぐに称賛し、動きの意識付けを図る。何がよかっ

たか、ゲームをしているみんなにわかるように伝える。場合によってはゲームを止め、よい動

き方を全員に意識づけたり、指導したりする。

④ 作戦タイム・振り返りタイムの設定

うまくできたことをほめ合ったり、友達の動きのまねをしたりしながら学習に取り組む姿。

一人が鬼をひきつけている間に、もう一人がボールをも

って走り抜ける。もしくは、ボール保持者に鬼がマークを

しているときは、ボールを仲間にパスして、ボールを受け

た人がそのまま走り抜ける。

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ゲームの前や終了時に話し合いの場を設ける。作戦タイムや振り返りタイムでは、作戦ボー

ドを使うことによって、短時間で共通理解したり、動きを視覚的にとらえさせたりする。

⑤ 学習カードの活用

ゲームの中で見つけた友だちのよい動きを記述する欄を設けることにより、友だちのよさや

よい動きを見付けようとする態度を身につけさせる。また、学習カードに記述された内容を学

習の中でも取り上げるなどして、共有化できるようにする。

4 目標および評価規準

運動への関心・意欲・態度 運動についての思考・判

運動の技能

単元の目標

○ 鬼遊びに進んで取り組もう

とする。

○ 順番や規則を守り、勝敗を

受け入れ、友達と仲よく鬼遊

びをしようとする。

○ 危険物がないかなど場の安

全に気を付けようとする。

○ 鬼遊びの行い方を

知りより楽しく鬼遊び

ができる規則を選ぶこ

とができる。

○ 鬼遊びの動き方を

知り、攻め方を見付け

ることができる。

○ いろいろな走り方をした

り、2・3人で連携したりし

て、鬼をかわしたり、走り抜

けたりすることができる。

○ 逃げる相手を追いかけ、相

手のタグを取ることができ

る。

学習活動における評価規準

① 鬼遊びに関心をもち、きまり

を守楽しく鬼遊びに取り組も

うとする。

② 役割を分担して場の安全に

気を付けながら、鬼遊びの準備

や片付けをしようとする。

③ 勝敗を素直に認めようとす

る。

④ 友達のよさを認め、励まそう

とする。

① 鬼遊びの規則を選

び、理解している。

② 鬼遊びの動き方を

知り、2・3人での攻

め方を決めている。

① いろいろな走り方をして逃げ

たり、身をかわしたりすること

ができる。

② パスをしたり、おとりになっ

たりして2・3人で連携してボ

ールを運ぶことができる。

時 10分 20分 30分 40分 45分 評価の観点

関 思 技

準備運動

学習準備

めあての確認

○ ゲームの仕方やき

まりを知る。

○ ゲーム中の約束を確認し、試

しのゲームをする。

整理運動・用具の片づけ

学習を振り返る

ドリルゲーム

しっぽとりや走り方の

学習の準備・準備運動・

○ たからとりおに

1をする。

作戦タイム

○ たからとりおに2を

する。

② ①

③ ①

<ジグザグに走る> <守りのすきをつく>

ねらい①

相手をかわして走り抜ける動きを身につけ、

ゲームを楽しむ。

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6 具体的な展開

(1)B研(2組:清水 万紀)

① 主眼

攻め方を決めて鬼遊びをすることを通して、2・3人で連携して、ボールを運ぶことがで

きるようにする。

② 準備

ボール(ソウフト&ソフト ドッジボール2号) 審判用ビブス タグ 得点板 作戦板

6つ 掲示用資料 学習カード チームのカード たからばこ3箱 1点ばこ3箱

2点ばこ3箱 しっぽいれ3箱 CDラジカセ キッズダンスCD

③ 展開

学習活動・内容 指導・支援上の留意点

1 学習準備をする。

・場づくり

・準備運動

・ドリルゲーム

・ジグザグ走

・しっぽとりゲーム

○ 音楽に合わせてグループで準備運動をさせた。

○ ドリルゲームの行い方と動きのポイントを確認した。

○ ゲームの仕方やきまりを知る。

○ ゲーム中の約束を確認し、試しのゲ

ームをする。

① ②

○ たからはこびおに1

をする。

作戦タイム

○ たからはこびおに2をす

る。

6 ②

○ジグザグ走について 「止まって、キュッ」

ねらい②

2・3人で連携して相手をかわしながらボールを運ぶ動

きを身につけ、ゲームを楽しむ。

<パスをしながら前進>

<コートの両サイド> <一人にひきつける>

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2 本時の内容とめあてを確認する。

3 ゲームをする。

(1) たからはこびおに1をする。

・作戦タイム(1分)

・あいさつ

・前半(2分)

・作戦タイム(1分)

・攻守交代して後半(2分)

○ ゲームのルールや約束を掲示し、全体で確認した。

○ しっぽをとられないチームの工夫を紹介し、前時の学習か

ら本時のめあてにつなげた。

○ 本時のめあてを確認し、これまでの学習で気が付いたこと

をもとに立てた作戦や動きを確認するように声掛けをした。

○ よい動きやよい声掛けをしている児童やチームを称賛し、

意欲を高めた。

めあて

せめかたを選んで、しっぽを

とられずにボールを運ぼう。

<パスをしながら前進> <コートの両サイド> <一人にひきつける>

T:今まで、しっぽをとられない方法を見つけてきたよね。

C:ジグザグに走る。

C:おとり作戦。

C:すきをみてダッシュ。

T:たから運び鬼では、チームでどのように1つのボールを運ん

だかな?

C:前にいる人にパスする。

T:そうだね、これはできたね。

(図「パスをしながら前進」を提示)

ほかにないかな?

C:転がす。

T:前に前にパスするだけじゃなくて…?

横にパスを出すこともできるよ。

(図「一人にひきつける」を提示)

T:パスを出すだけじゃなくて、チャンスがあったら…?

自分でボールを持って走ってもいいよ。(図3を提示)

こんな動きをつかってみようね。

T:真ん中があいた!

チャンス!

C:いくよ!

T:ナイスパス!

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(2) 作戦タイム。(2分)

(3) たからはこびおに2をする。

・前半(2分)

・作戦タイム(1分)

・攻守交代して後半(2分)

・あいさつ

(4)ゲームの振り返りをする。

4 本時の学習を振り返り、まとめ

る。

5 整理運動と片付けをする。

○ 得点の仕方について混乱しているチームがあったので、一

度全体を集めて、確認をした。

○ 実際にコートで動きながら、自分やチームでの動きが確認

できるように計画したが、実際には、出場者の確認に追われ、

動きの確認は十分にできなかった。

○ よい動きやよい声掛けをしている児童やチームを称賛し、

意欲を高めた。

○ チームでよかった攻め方・守り方につい出し合うことで友

だちとよさを認め合えるようにした。

○ チームのよかったところを発表させ、全体に広めるように

した。

○ 「一人にひきつける」動きを、試技させ、その動きのよさ

を全体で確認する。

○ 次時は、本時に出た作戦を組み合わせて、やってみること

を伝え、意欲化を図った。

T:今日の作戦、うまくいったところ?

どんなところがうまくいったかな?

C:たてパスができた!

C:私はパスがうまくいかなかった。

T:どうしてうまくいかなかったのかな?鬼ゾーンをぬ

けた人にパスをしようとしても、見ていないことがあっ

たよ。どうしたらいいかな?

C:「○○君、パス!」っていう。

C:僕は、○○君に「とってね」と言ってパスをもらっ

たからうれしかったよ。

T:そうだね、パスをするときには声をかけたらいいね。

T:よこパスはできたかな?

C:(手が挙がらない)

T:よこパスはどんなところがい

いの?

C:相手がボールによってきたら、自分は行けないから、

横にいる仲間にパスをして、その人が行ける。

C1: ○○君がダッシュで行ってボールをとられ

なかったね。

○○君がフェイントをして相手をよけたね。

C2: ○○君がとれるように投げてくれたから、

すごいボールをキャッチできた。

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④結果と考察

ア.【着眼1】指導内容の明確化

○ 本単元における指導内容について

宝取り鬼では、「ジグザグに走る」「守りの隙をつく」などの個の動きを身に付けた。本時の

宝運び鬼では、前時に多く見られた「パスをしながら前進」(たてパス)の動きに加えて、「コ

ートの両サイド」(ダッシュ)、「一人にひきつける」(よこパス)を指導内容としてあげた。

実際には、「一人にひきつける」(よこパス)をするチームは非常に少なかった。動きの効率

性から考えると、味方からパスをもらって走り抜けるよりも、走り抜けたところでパスをもら

うほうが、効率的な動きであったため、この動きだけをことさらとりあげて指導する必要はな

かった。また、パスをしようとしてもパスの受け手がボールの方向を見ていないために、パス

できないことが多くあった。チームでボールを運ぶという意識を持たせることができなかった

ためだと考える。

イ.【着眼2】目指す動きの具体的な姿を見せるための手立てをとり、学び合いの活性化を図る。

○ 本単元の指導内容となる動きの提示

指導内容となる動きを図で表したものをホワイトボード上に提示したことで、動きや攻め

方の理解に役立った。しかし、提示した図が守り側から見た図であったため、攻める動きを

意識するには逆向きの図を用意するほうがよかった。

指導内容となる動きの提示のタイミングについて、学

習の初めに教師から提示するのではなく、1ゲームの後

にチームのよい動きとして子ども達から引き出し、全体

で共有するほうがよかった。試技も、1ゲームの後にす

るべきであった。

また、ゲーム間の作戦タイムを、それぞれのコート上

で行ったために、ホワイトボードがよく見えずに動きを

確認することが難しかった。図を確認できる位置に移動

させたり、チームカードに図を載せたりして、チームで

の作戦に生かせるように工夫すべきであった。

○ 作戦タイム・振り返りタイムの設定

1ゲームと2ゲームの間に、作戦タイムを設定したが、2分間と時間的に短かく、次のゲ

ームに出場するメンバーの確認に追われ、作戦を充分に練ることができなかった。また、話

し合った作戦をもとにチームで練習をする時間を設けると動きの高まりにつながった。

(2)A研(1組:川邉 良子)

① 主眼

攻め方を決めて鬼遊びをすることを通して、2・3人で連携して、ボールを運ぶこと

ができるようにする。

② 準備

ボール(ソウフト&ソフト ドッジボール2号) 審判用ビブス タグ 得点板 作

戦板6つ 掲示用資料 学習カード チームのカード たからばこ3箱 1点ばこ3

箱 2点ばこ3箱 しっぽいれ3箱 CDラジカセ キッズダンスCD

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③ 展開

学習活動・内容 指導・支援上の留意点

1 学習準備をする。

・場づくり

・準備運動

・ドリルゲーム

・しっぽとりゲーム

・ジグザグ走

2 本時の内容とめあてを確認する。

3 ゲームをする。

(1) たからはこびおに1をする。

・確認タイム(1分)

・前半(2分)

・得点タイム(1分)

・攻守交代して後半(2分)

・得点タイム(1分)

○ 音楽に合わせてグループで準備運動をするよう

に声をかける。

○ ドリルゲームの行い方と動きのポイントを確認

する。

○ たからを運ぶためのチームの工夫を紹介し、前時

の学習から本時のめあてにつなげた。

○ 本時のめあてを確認し、これまでの学習でできた

動きを確認するように声かけをした。

・すきを見てダッシュ

・ジグザグにはしる

・パスをしながらすすむ

○ ゲームの規則や約束を掲示し、全体で確認した。

○ リーダーに攻めるメンバー(3人組)を確認する

ように声をかけた。

○ よい動きやよい声かけをしている児童やチーム

を称賛し、意欲を高めた。

○ 鬼ゾーンを抜けることができない児童には、走り

出すタイミングを声かけした。

めあて

せめかたを決めて、しっぽを

とられずにたからを運ぼう。

T:今まで、どんな動きができたかな。

C:相手のすきを見てダッシュができた。(図を掲示)

C:ダッシュして方向を変える。

C:ジグザグに走って行くと見せかけたり、相手をよけ

たりして、ゴールしたよ。

T:友達にパスをしているチームもあったね。

今日の攻め方を紹介してくれる?

C:パスとパスをつないでいく、パスパス作戦。

C:鬼に知られたらダメだから言えないよ。

T:前に走って!

T:パスもらう!

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(2) 練習タイム(7分)

① 全体でよい動きを確認する。

② チームごとに攻める動きを練習する。

(3) たからはこびおに2をする。

・前半(2分)

・得点タイム(1分)

・攻守交代して後半(2分)

・得点タイム(1分)

○ ゲーム 1で見られたよい動きを引きだした。動き

の図を用いて、説明することで、よい攻め方の共通

理解を図った。

○ ボールを持っていない児童が相手を

ひきつけるような動きをしたチーム

の児童を指名し、みんなに紹介させて

共通理解を図った。

○ 共通理解を図った後は、チームに分かれ、実際に

コートで動きながら、自分やチームでの動きが確認

できるようにした。

○ 攻める動きがうまくできていないところには、動

き方を指導したり、動きの図を確認するように声を

かけたりした。

○ よい動きやよい声かけをしている児童やチーム

を称賛し、攻める動きを意識付ける。

○ 練習を生かして攻め、得点することができたチー

ムを称賛し、意欲を高める。

<よい動きの例>

<パスをしながら前進> <コートの両サイドを使う動き>

鬼ゾーンを抜け

た仲間に、鬼ゾーン

の手前からボール

をパスして、ボール

を進める。

<コートの両サイドを使って相手を引き付ける動き>

コートの両サイドから

一気に走り抜けて守りを

引き付けて、真ん中にで

きたスペースをボール保

持者が走り抜ける。

T:考えていた作戦はできましたか?

C:ボールをもっている人に鬼をおびきよせてパス。

T:こういう動きかな?(図を提示)

ほかにはあるかな?

C:初めに2人が行って(両サイドを走る)、真ん中でボ

ールを持っている人が走ってゴールする。

T:こういう動きかな?(図を提示)

T:こういう動きもつかって、練習してみましょう。

コートの両サイドから

一気に走り抜けて守りを

引き付けて、真ん中にで

きたスペースをボール保

持者が走り抜ける。

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④結果と考察

ア.【着眼1】指導内容の明確化

○ 本単元における指導内容について

B研で指導内容とした、「一人にひきつける」(よこパス)は、児童たちにとっての必要

感がなく、それよりも、たてにパスをして前進する方が効率的であると考え、本時では取

り扱わなかった。

また、コートの両サイドを味方が走り抜けて相手を引き付けて、ボール保持者が真ん中

を走り抜ける「コートの両サイドを使う動き」も、鬼がボール保持者に集中するため、児

童にとって難しかった。

(4)ゲームの振り返りをする。

4 本時の学習を振り返り、まとめる。

5 整理運動と片付けをする。

○ チームでよかった攻め方・守り方につい出し合う

ことで友達とよさを認め合えるようにする予定で

あったが、全体での振り返りに変更した。

○ チームのよかったところを発表させ、全体に広め

るようにした。

○ 練習したことがゲーム 2の中で生かすことがで

きたかどうかを振り返り、次時への意欲を持たせ

る。

T:(全部の図を指さして)こんな動き、してみましたか?

C:パスパス作戦で2回も勝ったよ。

T:この動き(パスをしながら前進)がよかったんだね。

T:両端に引き寄せて、真ん中を突破する。この動きはできたかな?

C:(挙手なし)

T:難しかったんだね。じゃぁ、お宝を持っている人に鬼が集まってくるから、味

方にパス。この作戦はできたかな?

C:(多くが挙手)

T:あと1回するよ。次の時間は、どの作戦をつかうかな。うまくいかなかったと

ころを練習して、作戦を考えてやってみましょう。

Page 12: 第2学年の実際- 38 - 第2学年の実際 1 単元名 走ってかわして ゴール(ゲーム 鬼あそび) 2 単元設定の理由 (1)児童の実態 本学年の児童64名(男子39名、女子25名)は、休み時間に多くの児童が外に出て、ドッ

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イ.【着眼2】指す動きの具体的な姿を見せるための手立てをとり、学び合いの活性化を図る。

○ 本単元の指導内容となる動きの提示

B研の実践を受けて、本時の指導内容となる動きの提示を、1ゲームの後、子ども達の

動きの中から取り上げて、全体の振り返りの場で行ったこと

は効果的であった。

○ チーム内での声掛け

ポイントになる言葉を、チームカードに貼ることによって、

より声掛けをしやすくしたり、教え合ったりするように努め

た。単元前半の宝とり鬼では、チームから1人アドバイ係と

して友達の動きを見ることができる係を作った。右の児童の

感想文は、チームの友達(応援リーダー)から応援してもら

ったことによって、目の前に鬼が立ちはだかっていても、あ

きらめずに動きゴールできたことを一番の喜びとして書い

ているものである。しかし、単元後半の宝はこび鬼では、ゲ

ームの構成上、アドバイス係を作ることができず、声掛けも

生まれにくかった。

○ 教師による即時評価

ゲーム時間2分の中で、3コートの児童の動きを見て、即時評価することは難しかった。

○ 学習カードの活用

学習カードの中に、ゲーム中の友達のよい動きを記述する欄を設けたことは、友達のよ

さやよい動きを見つけようとする態度に繋がり、効果的であった。

7 成果と課題

(1)成果

○ 相手をかわして、走り抜ける個人の動きの習得

指導内容を①ジグザグに走る、②守りの隙をつくに絞って指導し、ゲーム化したことによっ

て、児童たちは、得点を重ねることを楽しみにしながら、自分の動きを意識し、「相手をかわ

して、走り抜ける動き」を身に付けることができた。また、毎時間の初めにドリルゲームで、

ジグザグに走る動きと、2人1組になり、身をかわす動きの練習を取り入れたことが効果的で

あった。これらのことは、学習カードの「しっぽをとられずにゴールできましたか。」という

項目について第1時目と第3時目を比べてみると、8 割の児童に得点の伸びがみられたことか

らも言える。

○ 友達との学び合いの活性化

体育科学習についてのアンケート結果を1学期末と実践後で比べてみると、「体育ではうまく

できるように、友達と話し合ったりいっしょに練習したりします。」という項目によく当てはま

ると答えた児童が10名(15%)増え、あまり当てはまらないと答えた児童は半数以下にな

った(18名から10名になった)。また、「友達や先生が励ましてくれます。」という項目につ

いては、若干であるが向上している。これらのことから、学習の中で友達との関わりが深まっ

てきたことを、児童自身が実感していることが分かる。

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(2)課題

○ ゲームの設定上の課題

この単元で二つの鬼遊びを計画した。前半のたからとりおにから、後半のたからはこびおに

に入るときに、できるだけゲームの規則を変えないようにすることで、児童の混乱を防ぎたい

と考えた。また、相手をかわしたり、走ったりすることが苦手な児童でも、楽しくゲームがで

きるように、攻める時にタグをつけさせて、ボールの得点だけではなく、身につけたタグも得

点化できるように考えた。しかしこのために、後半のたからはこび鬼では、単元前半のように

個人で鬼ゾーンを通過してタグの得点を得ることに意識が向き、数人で連携してボールを運ぶ

ことに、焦点化できなかった。そこで、前半のたからとりおにと、後半のたからはこびおにの

規則については、切り離して考え、後半は、タグをなくし、運んだボールのみを得点としてチ

ームでの連携の動きに焦点化したほうがよかったかもしれない。

○ 学び合いの場の設け方の課題

チームの友だちの動きを見て、声をかけたりアドバイスしたりすることを学び合いと考え

た場合、単元後半のたからはこびおにでは、チーム内でAチームとBチームに分かれ2分間の

中で交互に出場していたため、見合うことができなかった。出番を待っている間に味方に声援

を送ることを計画したが、スタートラインで整列している状態からは、コートの全体を縦にし

か見ることができず、全体を見るには充分ではなかった。

運動量が多少少なくなっても、チーム内での見合いの場を設けることの方が大切だったのか、

疑問が残った。

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☆ 場の設定と規則/ルール

⑴ 場の設定

<たからとりおに> <たからはこびおに>

ゴールライン ゴールライン

守り 2人

守り 2人

攻め 4人

スタートライン

⑵ ゲームの規則

守り 2人(3人)

守り 3人(2人)

攻め 3人

たからとりおにの規則

{2分×2(前後)}×2

1.1チーム5~6人(攻め・守り:4 人

ずつ出る。残りは記録をする。)

2.鬼をかわしてゴールラインまで行き、

ボールをとってはこに入れたらゴール。

3.ゴールしたときのしっぽの数が得点に

なる。しっぽ2本でゴールは2点、しっ

ぽ1本でゴールは1点。

4.攻めの4人が全員ゴールしたら、ごほ

うび得点5点。

5.時間まで何度でもスタートする。

(せめ方)

6.しっぽを2本ともとられたら、コート

の外に出て、しっぽをつけて、スタート

ラインからやりなおす。

7.ゴールしたら、しっぽを2本つけて、

もう一度スタートする。

(まもり方)

8.しっぽをとったら、「とった」と大きな

声で教える。とったしっぽはコートの外

のしっぽ入れに入れる。

たからはこびおにの規則

2分×2

1.1チーム5~6人(攻め:3人ずつ出る。5人チ

ームは一人が2度出る。守り:5人ずつ出る。残り

は記録をする。)

2.3人で1個のボールをゴールを目指して運び、ボ

ールをはこに入れたらゴール。ボールは5点。

3.ゴールラインをこえた時のしっぽの数が得点にな

る。しっぽ2本でゴールは2点。しっぽ1本でゴー

ルは1点。

4.攻めの3人が全員、はこにボールを入れたら、ご

ほうび得点5点。

(せめ方)

5.Aチーム(3人)がボールをはこに入れたらゴー

ル。Bチームがスタートする。

6.ボールを持っている人がタグをとられたらアウ

ト。次の3人がスタートする。

(まもり方)

7.しっぽをとったら、「とった」と大きな声で教え

る。とったしっぽはコートの外のしっぽ入れに入れ

る。

※ ボールをコートの外に出されたら、そこで攻めは

終わり。スタートラインからやりなおし。

2点 ばこ

1点 ばこ

ボール

しっぽ入ればこ

たからばこ

ボール入れ

しっぽ入ればこ

スタートライン