第3章 平成 27 年(2015 年)産業連関表の作成作業 · 2020-03-19 · 第3章 平成....

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第3章 平成 27 年(2015 年)産業連関表の作成作業 第1節 作成機関 共同事業体制 我が国の統一的な産業連関表は、昭和30年(1955年) を対象年次とする表以来、関係府省庁の共同事業によ り作成している。 平成27年(2015年)産業連関表の作成は、平成23表と同様、総務省、内閣府、金融庁、財務省、文部科 学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交 通省及び環境省の10府省庁の共同事業により行った。 事業組織及び作業分担 産業連関表を作成するための事業組織は、図3-1 のとおり、産業連関部局長会議を最終決定機関として、 その下に産業連関主管課長会議等の組織を設置した。 また、共同事業に参画した各府省庁の主な作業分担 は、表3-1のとおりである。 図3-1 産業連関表作成のための事業組織 (注)1 産業連関技術会議 産業連関表作成に関する技術的な助言を行うため、 学識経験者で構成するもの。 産業連関幹事会 共同事業参加府省庁の担当者で構成するもの。 事業予算 産業連関表の作成に伴う各年度の必要経費(職員の 人件費を除く。)は、総務省で一括計上し、これを作業 内容に応じて各府省庁に配分した。 表3-1 各府省庁の主な作業分担 主な作業分担 ○立案、連絡、調整及び公表の総括 ○電子計算機による製表及び分析計算 ○郵便・信書便、情報通信(他府省庁が担当 する部門を除く。) ○最終需要部門のうち輸出入 ○下水道、公務、その他の非営利団体サービ ス、対個人サービス(他省庁が担当する部 門を除く。) ○最終需要部門(輸出入を除く。) ○粗付加価値部門(雇用者所得を除く。) ○金融・保険 ○塩、酒類、たばこ、法務・財務・会計サー ビス 文部科学省 ○教育・研究 厚生労働省 ○医薬品、上水道・簡易水道、医療・福祉、 労働者派遣サービス、建物サービス、生活 衛生関係サービス ○粗付加価値部門のうち雇用者所得 農林水産省 ○農林漁業、飲食料品製造業(酒類及びたば こ部門を除く。)、木材、飲食サービス 経済産業省 ○鉱工業(他府省庁が担当する部門を除 く。)、再生資源回収・加工処理、電力・ガ ス・熱供給、工業用水、商業、情報サービ ス、新聞、出版、対事業所サービス(他府 省庁が担当する部門を除く。) ○事務用品 国土交通省 ○建設、不動産、土木建築サービス ○運輸、船舶・同修理、鉄道車両・同修理 ○廃棄物処理 第2節 作成作業の概要 産業連関表の作成作業は、表3-2のとおり、「Ⅰ 成フレームの検討、準備作業」、「Ⅱ 産業連関表作成の 本体作業」、「Ⅲ 接続産業連関表の作成作業」に区分で きるが、取り扱う資料が膨大であり、作業内容も多岐に わたることから、10府省庁の共同事業として実施し、そ の事業期間は、4年以上にわたった。 また、産業連関表として作成する様々な統計表のうち、 最も基本となる「取引基本表」については、図3-2に 示す手順により作成した。 以下、作業区分ごとに、その概要を示す。 産業連関部局長会議 産業連関主管課長会議 産業連関技術会議 (注1) 産業連関幹事会 (注2) ー55ー

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Page 1: 第3章 平成 27 年(2015 年)産業連関表の作成作業 · 2020-03-19 · 第3章 平成. 27年(2015年)産業連関表の作成作業. 第1節 作成機関. 1 共同事業体制

第3章 平成 27年(2015年)産業連関表の作成作業

第1節 作成機関

1 共同事業体制

我が国の統一的な産業連関表は、昭和30年(1955年)

を対象年次とする表以来、関係府省庁の共同事業によ

り作成している。

平成27年(2015年)産業連関表の作成は、平成23年

表と同様、総務省、内閣府、金融庁、財務省、文部科

学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交

通省及び環境省の10府省庁の共同事業により行った。

2 事業組織及び作業分担

産業連関表を作成するための事業組織は、図3-1

のとおり、産業連関部局長会議を最終決定機関として、

その下に産業連関主管課長会議等の組織を設置した。

また、共同事業に参画した各府省庁の主な作業分担

は、表3-1のとおりである。

図3-1 産業連関表作成のための事業組織

(注)1 産業連関技術会議

産業連関表作成に関する技術的な助言を行うため、

学識経験者で構成するもの。

2 産業連関幹事会

共同事業参加府省庁の担当者で構成するもの。

3 事業予算

産業連関表の作成に伴う各年度の必要経費(職員の

人件費を除く。)は、総務省で一括計上し、これを作業

内容に応じて各府省庁に配分した。

表3-1 各府省庁の主な作業分担

府 省 庁 主な作業分担

総 務 省 ○立案、連絡、調整及び公表の総括

○電子計算機による製表及び分析計算

○郵便・信書便、情報通信(他府省庁が担当

する部門を除く。)

○最終需要部門のうち輸出入

内 閣 府 ○下水道、公務、その他の非営利団体サービ

ス、対個人サービス(他省庁が担当する部

門を除く。)

○最終需要部門(輸出入を除く。)

○粗付加価値部門(雇用者所得を除く。)

金 融 庁 ○金融・保険

財 務 省 ○塩、酒類、たばこ、法務・財務・会計サー

ビス

文部科学省 ○教育・研究

厚生労働省 ○医薬品、上水道・簡易水道、医療・福祉、

労働者派遣サービス、建物サービス、生活

衛生関係サービス

○粗付加価値部門のうち雇用者所得

農林水産省 ○農林漁業、飲食料品製造業(酒類及びたば

こ部門を除く。)、木材、飲食サービス

経済産業省 ○鉱工業(他府省庁が担当する部門を除

く。)、再生資源回収・加工処理、電力・ガ

ス・熱供給、工業用水、商業、情報サービ

ス、新聞、出版、対事業所サービス(他府

省庁が担当する部門を除く。)

○事務用品

国土交通省 ○建設、不動産、土木建築サービス

○運輸、船舶・同修理、鉄道車両・同修理

環 境 省 ○廃棄物処理

第2節 作成作業の概要

産業連関表の作成作業は、表3-2のとおり、「Ⅰ 作

成フレームの検討、準備作業」、「Ⅱ 産業連関表作成の

本体作業」、「Ⅲ 接続産業連関表の作成作業」に区分で

きるが、取り扱う資料が膨大であり、作業内容も多岐に

わたることから、10府省庁の共同事業として実施し、そ

の事業期間は、4年以上にわたった。

また、産業連関表として作成する様々な統計表のうち、

最も基本となる「取引基本表」については、図3-2に

示す手順により作成した。

以下、作業区分ごとに、その概要を示す。

産業連関部局長会議

産業連関主管課長会議 産業連関技術会議(注1)

産業連関幹事会(注2)

ー55ー

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表3-2 産業連関表の作成作業の流れ

作業の主な内容 作業時期

① 基本方針の決定事業の実施体制、作成上の留意点、主な検討事項及び作成スケジュール等、産業連関表作成上の基本的な設計を策定

H28.3 決定

基本方針で示された基本的な設計を受け、次に掲げる事項について、整理・詳細化

・作成の基本的な枠組み

・前回表からの変更点

・作成手順、作業内容

・部門分類の設定、各部門の概念・定義・範囲 等

基本要綱の決定を受け、総務大臣に対して、統計法第26条に基づき作成方法(変更)を通知

H31.4

・既存統計の収集・整備

・行政記録情報の収集・整備

・組替集計の実施

・産業連関構造調査の実施

・業界資料の収集・整備 等

・国内生産額の推計

・投入額及び産出額の推計

・投入額と産出額の計数調整

・投入係数表

・逆行列係数表

・生産誘発係数表

・粗付加価値誘発係数表

・輸入誘発係数表 等

・物量表

・屑・副産物発生及び投入表

・雇用表(生産活動部門別従業者内訳表)

・雇用マトリックス(生産活動部門別職業別雇用者数表)

・固定資本マトリックス

・産業別商品産出表(V表)

・自家輸送マトリックス

・結果の公表(インターネット及び印刷物) R元.6

・閣議への資料配布(ポイント及び要旨) R元.7

・接続産業連関表に用いる部門分類の設定

・時価評価による接続産業連関表(名目表)の作成

・インフレータの作成

・固定価格評価による接続産業連関表(実質表)の作成

・結果の公表(インターネット及び印刷物)

作業区分

Ⅰ 作成フレームの検討、準備作業

② 基本要綱の決定等

H28.3~H29.8 検討H29.8 決定

③ 基礎資料の収集・整備 H28.4~H30.12

Ⅱ 産業連関表作成の本体作業

④ 計数の推計・調整

H30.1~R元.5

⑤ 各種係数表の作成

⑥ 各種付帯表の作成 H31.3~R元.6

⑦ 推計結果の公表

Ⅲ 接続産業連関表の作成作業

⑧ 接続産業連関表の作成・公表 R元.7~R2.6(予定)

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図3-2 産業連関表(取引基本表)の作成手順の概要

・・・・・

A B C

→ 行

計 D

⑥計数調整

列(A部門)

計 E

行(B部門)

① 部門分類の設定

② 基礎資料の収集・整備

③ 国内生産額の推計

(注)「投入額」及び「産出額」は共に、内生部門(中間需要部門、中間投入部門)の各部門の内訳を念頭に置いた用語であるが、産業連関表の作成実務上は、内生部門、外生部門(最終需要部門、粗付加価値部門)を問わず、列部門のタテの金額内訳を「投入額」、行部門のヨコの金額内訳を「産出額」と呼称している。

④ 投入額の推計

生産費調査や産業連関構造調査(投入調査)等から得られたデータを用いて、各列部門について、国内生産額の内訳(原材料や粗付加価値に関する費用の内訳)を推計し、投入額を推計する。

⑤ 産出額の推計

需給関連の調査結果等から得られたデータを用いて、各行部門について、国内生産額の内訳(販売先の内訳)を推計し、産出額を推計する。

⑥ 投入額と産出額の計数調整

投入額と産出額の計数は、それぞれ別々の統計から推計したものである。そのため、産業連関表上の同じマス目であっても、投入側からの金額と産出側からの金額は、当初は一般的には異なっている。そこで、両者を照合し、より妥当性が高いと考えられる一つの数値に一致させる。

基礎資料により、部門別の国内生産額を推計する。

家計外消費支出

雇 用 者 所 得

営 業 余 剰 □□統計から投入額を推計

・・・・・

国 内 生 産 額 D+E ③国内生産額の推計

△△統計から産出額を推計

□□統計による推計値と△△統計による推計値とは、通常一致しない。

このため、このマス目のデータとして、どちらが適切なものであるかを、それ ぞれ の推 計方法、統計のカバー率等をチェックして調整し、一つの数値に一致させる。

作成の手順

作成の基礎資料となる各種データは、それぞれ異なった分類により作成されていることが多い。そこで、我が国の経済活動を、一つの表の上に統一的に記録するため、部門分類を設定するとともに、各部門の概念・定義・範囲について明確にする。②以下の作業は、この部門分類に従って行う。

経済センサスに代表される一次統計の情報や行政記録情報など既存統計に関する情報を収集するとともに、「産業連関構造調査」を行い、既存統計では得られない投入構造や産出構造の情報を収集する。

また、既存統計については、産業連関表の部門に対応するように組替集計を行う。

農 林 漁 業③国内生産額の推計

鉱 業

①部門分類の設定

製 造 業 ⑤産出額の推計

・・・・・

④投入額の推計

①部門分類の設定

需要部門(買い手) 中 間 需 要 最 終 需 要(

国内生産額

A+B-C

供給部門(売り手)

②基礎資料の収集・整備

②基礎資料の収集・整備

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1 基本方針の決定

我が国の産業連関表は、昭和30年(1955年)表以来、

関係府省庁による共同事業としておおむね5年ごとに

作成してきているが、作成周期や作業体制などについ

て、法令に規定されているものではない。しかし、関

係府省庁の共同事業として5か年をかけて行う大規模

な事業であることから、作業を計画的かつ合理的に行

うためには、産業連関表の形式、作業の分担及びスケ

ジュールについて、あらかじめ枠組みを作っておく必

要がある。また、産業連関表が、SNA(国民経済計

算体系)の中に位置付けられているとともに、部門の

設定において日本標準産業分類及び国際標準産業分類

などとの整合を図る必要があることなどから、その作

成過程における検討課題の整理も必要となる。

基本方針は、このような要請に応えるため、産業連

関表の作成作業を開始するに当たり、基本的な設計を

示すものとして、産業連関部局長会議決定として定め

るものである。平成27年表については、平成28年3月

に「平成27年(2015年)産業連関表作成基本方針」を

決定した。

今回の基本方針では、まず、平成27年表を作成する

上での基本認識として、

① 産業連関表関係の諸課題が盛り込まれた平成26年

の「公的統計の整備に関する基本的な計画」(平成

26年3月25日閣議決定。)が策定されたこと

② 産業連関表の部門分類の概念・定義等に関して整

合性の確保を図る必要がある国民経済計算体系の

2008年国際連合勧告や平成25年に改定された日本標

準産業分類に対応すること

③ 「経済センサス‐活動調査」の調査時期の変更へ

の対応が必要であること(平成23年を対象年に実施

した前回の同調査時期(平成24年2月)と比べ、平

成27年を対象年に実施する今回の調査実施時期は4

か月繰り下げ(平成28年6月)となる。)

を明確にした。

その上で、主な検討課題として、

① 平成26年の「公的統計の整備に関する基本的な計

画」に掲げられた課題への対応

② 2008年国際連合勧告、日本標準産業分類の改定等

に伴う課題への対応

を掲げた。

また、事業体制については、前回の平成23年表に引

き続き、総務省を始めとする10府省庁の共同事業とし

て実施することを定めた。

2 基本要綱の決定等

(1) 基本要綱の決定

前記1で記載した基本方針は、産業連関表の作成作

業を開始するに当たっての大きな方向性や検討課題を

示すものであるが、産業連関表は、国内におけるあら

ゆる経済活動を対象とし、その中で行われた財・サー

ビスを巡る取引活動の一つ一つを、投入及び産出とい

う側面から各種統計その他の資料を用いて推計し、そ

の結果を一覧表にまとめたものである。このため、産

業連関表の具体的な作成作業を行うためには、どのよ

うな範囲の取引活動を、どのような概念に基づき、ど

のように把握するのか、また、どのような推計方法を

採用し、結果として、どのような統計表を作成するの

かなどの詳細を、あらかじめ定めておく必要がある。

基本要綱は、このような必要性に基づき、①作成

の基本的な枠組み、②前回表からの変更点、③作成

手順及び作業内容、④部門分類の設定及び各部門の

概念・定義・範囲など、産業連関表作成上のいわば

「詳細設計」を定めるものである。

平成27年表については、産業連関幹事会が中心と

なり、専門技術的な事項に関しては産業連関技術会

議の助言を得つつ検討を行い、平成29年8月に産業

連関部局長会議決定として「平成27年(2015年)産

業連関表作成基本要綱」を定めた。

(2) 部門分類の変更

基本要綱の検討の過程で、部門分類の見直しを行

った。平成23年表からの部門の変更一覧については、

表3-9を参照されたい。

なお、平成27年表で用いる部門分類の一覧について

は、第8章に掲載した。また、前回表(平成23年表)

の部門分類との対応関係については、第9章の〔参考

9〕に掲載したほか、第9章における部門ごとの説明

の中で「平成23年表からの変更点」として記載した。

(3) 統計法第26条に基づく作成方法の通知

統計法では、国の行政機関が作成する統計のうち、

特に重要なものを「基幹統計」と位置付けるととも

に、統計調査以外の方法により作成される統計(い

わゆる加工統計や業務統計)が「基幹統計」として

指定された際の手続についても設けられている。具

体的には、統計法第26条に基づき、当該統計の作成

方法について、あらかじめ総務大臣に通知しなけれ

ばならないこととされている。

産業連関表についても、平成22年7月に基幹統計

ー58ー

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としての指定を受けて、この手続が必要となってお

り、基本要綱の決定を受けて総務大臣への作成方法

(変更)の通知を行った。

3 基礎資料の収集・整備

産業連関表は、国内で1年間に行われた全ての生産

活動及び取引を対象にして作成する加工統計であるこ

とから、精度の高い推計を行うためには、幅広い分野

から資料を体系的に収集・整備し、推計作業に利用で

きるようにしておくことが重要である。

平成27年表の作成に当たっては、各府省庁が行って

いる既存の統計調査の結果はもとより、許認可等の手

続に伴って得られる行政記録情報や業界資料など、利

用可能なあらゆる資料の収集を行った(主な資料につ

いては、表3-3を参照。また、部門ごとの推計資料

の詳細については、第10章を参照)。

このほか、これら既存の資料では情報が不足する分

野については、「産業連関構造調査」(注)(表3-4を参

照)を行うほか、必要に応じて、関係業界に対する聞

き取りなどを行った。

また、推計作業上、多くの部門において横断的に利

用される「経済センサス‐活動調査」や「貿易統計」

のデータについて、産業連関表の部門分類に置き換え

た組替集計を行った。

(注) 平成17年表の作成時までは、「産業連関表作成のための

特別調査」と総称していたが、平成23年表から「産業連

関構造調査」と総称している。

表3-3 平成27年表作成のために収集した主な資料

作 成 機 関 資 料 名

内閣府 国民経済計算

民間非営利団体実態調査

総務省 国勢統計

住宅・土地統計

労働力統計

家計統計

就業構造基本統計

科学技術研究統計

地方財政統計年報

地方公営企業年鑑

総務省・経済産業省 経済構造統計

情報通信業基本調査

財務省 法人企業統計

歳入決算明細書

各省各庁歳出決算報告書

貿易統計

税務統計からみた法人企業の実態

国税庁統計年報書

文部科学省 学校基本統計

社会教育統計

学校給食実施状況等調査

子供の学習費調査

地方教育費調査

厚生労働省 毎月勤労統計

薬事工業生産動態統計

賃金構造基本統計

医療経済実態調査(医療機関等調査)

介護事業実態調査(介護事業経営概況調査)

介護保険事業状況報告

国民医療費

就労条件総合調査

水道統計

労働者派遣事業報告書の集計結果

農林水産省 作物統計

牛乳乳製品統計

木材統計

農業物価統計調査

生産農業所得統計

生産林業所得統計

漁業産出額

畜産物流通調査

水産物流通調査

農産物生産費統計

畜産物生産費統計

林業経営統計調査

漁業経営調査

食料需給表

経済産業省 経済産業省生産動態統計

商業動態統計

特定サービス産業実態統計

経済産業省特定業種石油等消費統計調査

採石業者の業務の状況に関する報告書

砕石等動態統計調査

貴金属流通統計調査

鉄鋼需給動態統計調査

非鉄金属等需給動態統計調査

生コンクリート流通統計調査

総合エネルギー統計

エネルギー消費統計調査

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国土交通省 造船造機統計

鉄道車両等生産動態統計

鉄道統計年報

鉄道輸送統計調査

自動車輸送統計

内航船舶輸送統計

航空輸送統計調査

訪日外国人消費動向調査

旅行・観光消費動向調査

建築着工統計

建設工事統計

建設総合統計

法人土地・建物基本統計

(注)この表では、国の行政機関の作成に係る主な資料を掲げ

た。また、部門ごとの推計資料の詳細については、第10章

を参照されたい。

表3-4 平成27年表作成のために行った産業連関構造

調査

<府省庁> 調査名 実施期間

<総務省>

サービス産業・非営利団体等調査

平成29年10月~11月

企業の管理活動等に関する実態調査

平成28年10月~11月

通信・放送業等投入調査 平成28年9月~10月

<財務省>

酒類製造業投入調査 平成28年9月~12月

<厚生労働省>

医療業・社会福祉事業等投入調査

平成28年9月~10月

<農林水産省>

農業サービス業投入調査 平成28年8月~9月

種苗業(農業)投入調査 〃

民有林事業投入調査 〃

栽培きのこ生産業投入調査 〃

内水面養殖業投入調査 〃

農林水産関係製造業投入調査

農業土木事業投入調査 〃

林野公共事業投入調査 〃

<経済産業省>

鉱工業投入調査 平成27年10月~12月

資本財販売先調査 平成28年10月~12月

商業マージン調査 平成29年10月~12月

輸入品需要先調査 〃

<国土交通省>

内航船舶品目別運賃収入調 平成27年10月

有料駐車場に関する投入調査

平成28年5月~7月

こん包業に関する投入調査 〃

地方公共団体運輸関連施設投入調査

運輸関連事業投入調査 平成28年9月~11月

公共事業工事費投入調査における予備調査

平成28年4月~5月

公共事業工事費投入調査 平成28年8月~11月

土木工事間接工事費投入調査

平成28年9月~11月

土木工事費投入調査 平成28年9月~29年1月

独立行政法人等土木工事費投入調査

平成28年8月~10月

建築工事費投入調査 平成28年10月~29年2月

不動産業投入調査 平成28年10月~29年2月

4 計数の推計・調整

各種基礎資料が利用可能となった段階で、順次推計作

業を行ったが、産業連関表として作成する様々な統計表

のうち、最も基本となる「取引基本表」については、

① 国内生産額の推計

② 投入額及び産出額の推計(注)

③ 投入額と産出額の計数調整

の手順で作成した(図3-2を参照)。

なお、①及び②の作業で用いた部門別の推計資料及

び推計方法については、第10章に掲載した。

(注) 「投入額」及び「産出額」は共に、内生部門(中間需

要部門、中間投入部門)の各部門の内訳を念頭に置いた

用語であるが、産業連関表の作成実務上は、内生部門、

外生部門(最終需要部門、粗付加価値部門)を問わず、

列部門のタテの金額内訳を「投入額」、行部門のヨコの金

額内訳を「産出額」と呼称している。

(1) 国内生産額の推計

まず、取引基本表の右端と下端に計上する部門別

の国内生産額を推計した。

国内生産額とは、一言でいえば、部門ごとの1年

間の生産及び取引の総額である。

部門別の国内生産額は、取引基本表の推計作業を

行うに当たり、まず初めに推計する計数であり、投

入額及び産出額は、この国内生産額を確定させた上

で、その内訳として推計する。このため、国内生産

額に誤りがあると自部門の投入額及び産出額の推計

のみならず、他部門の投入額及び産出額にまで影響

を及ぼす。このように、国内生産額は、取引基本表

の行部門及び列部門両面のいわば「制御値」として

極めて重要なものであり、このような位置付けから、

ー60ー

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コントロール・トータルズ(control totals)、略し

て「CT」と呼ばれることが多い。

部門別の国内生産額の推計に当たっては、各部門

に含まれる財・サービスについて、できる限り細か

く分割・把握した方が、取引基本表の精度向上につ

ながるとされていることから、約3,400の細品目分類

ごとに推計を行い、これを積み上げて基本分類の行

部門別及び列部門別の国内生産額を推計した。

その際、財については原則として、細品目分類ご

とに「生産数量×単価」で生産額を推計し、サービ

スについては数量単位を持たないものが多いため、

細品目分類ごとの売上高を直接推計した。なお、一

般政府や対家計民間非営団体による非市場生産者の

活動に係る生産額については、費用の積上げによっ

て推計した。

(2) 投入額の推計

投入額の推計とは、列部門(取引基本表のタテ)の

国内生産額について、費用構成(粗付加価値構成を含

む。)の内訳を推計することをいう。

推計作業のおおまかな手順としては、原材料、燃料

等の中間投入及び雇用者所得等の粗付加価値の大枠を

推計した上で、細目の推計を行った。

例えば、工業製品の大部分については、まず、経済

センサス‐活動調査の組替集計結果などを用いて、主

要原材料使用額、燃料使用額、現金給与額、減価償却

額などの大枠を推計した。次に、原材料統計、生産技

術に関する資料や、別途実施した産業連関構造調査等

の結果を利用し、細部にわたる経費内訳を推計した。

(3) 産出額の推計

産出額の推計とは、行部門(取引基本表のヨコ)

の国内生産額について、どの中間需要部門又は最終

需要部門に対して販売されたのかといった販路構成

の内訳を推計することをいう。

推計作業のおおまかな手順としては、まず、部門

別の国内生産額に輸入額(絶対値)を加えたものを

「総供給額」とし、これから輸出額を差し引いたも

のを「国内総供給額」とした。この国内総供給額を、

細品目分類ごとの商品特性に応じて、各種の需給統

計などを利用し、各需要部門に配分した。

(4) 投入額と産出額の計数調整

投入額と産出額は、それぞれ別々の基礎資料を用

い、推計方法も異なる。そのため、取引基本表の同

じマス目であっても、投入側から推計した金額と産

出側から推計した金額は、当初は一般的に異なって

いる。そこで、取引基本表のマス目の一つ一つにつ

いて、投入額と産出額を照合し、より妥当性が高い

と考えられる金額に一致させる調整作業を行った。

〔参考〕国際連合が提唱する産業連関表の作成方法

産業連関表の作成方法について、国際連合の

「産業連関表作成・分析ハンドブック」では、「供

給表」(内容的には、従前「V表」(産業別商品産

出表)と称しているものに相当)と「使用表」(同

じく「U表」(産業別商品投入表)と称しているも

のに相当)の二つを作成した上で、産業技術仮定(注1)又は商品技術仮定(注2)のいずれかを介し、

商品×商品の「シンメトリック産業連関表」(行部

門と列部門が1対1で対応する表)を作成する方

法が提唱されている。

しかし、我が国においては、関係府省庁の共同事

業として作成した昭和30年表以来、U表とV表の作

成を経由せず、前記(1)~(4)に記載した方法により、

いわば「直接」、〔行〕商品×〔列〕アクティビティ

(商品)の表を作成してきた。これは、我が国にお

いて、商品ごとの生産額に係るデータなど、製造業

を中心に各種統計が相当程度整備された環境にあっ

たことなどに由来すると考えられる。

(注)1 「産業技術仮定」とは、同一の産業で生産され

た商品は、どの商品であっても同一の生産技術構

造を持つと仮定することをいう。具体的には、A

産業で生産された商品にはすべてA産業の投入比

率、B産業で生産された商品にはすべてB産業の

投入比率を適用して、産業別・商品別投入額を計

算し、それを商品ごとに集計して商品別の投入額

を推計する。

2 「商品技術仮定」とは、どの産業で生産されて

も同一の商品であれば、同一の生産技術構造を持

つと仮定することをいう。具体的には、どの産業

で生産されたかに関係なく商品別の国内生産額を

計算し、商品ごとの投入比率を適用して商品別投

入額を推計する。

5 各種係数表の作成

産業連関表の作成過程では、基本分類による取引基

本表のほかに、利用目的に応じて、統合分類による取

引基本表についても作成した。取引基本表は、それ自

体が、対象年次の経済構造を表わしており、表を読み

取るだけでも十分に有用な情報を得ることができる。

しかし、利用面からみれば、それは、いわば原表の利

用にとどまるものであり、実際の産業連関表の利用に

おいては、経済波及効果の分析などを通じた政策効果

の測定等が主となる。

そこで、統合分類による取引基本表の作成を受けて、

各種分析において必要となる投入係数表や逆行列係数

ー61ー

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表などの係数表を作成した。

6 各種付帯表の作成

産業連関表の取引基本表は、財・サービスの取引状

況を一覧表に取りまとめたものであるが、多様な産業

連関分析を行うためには、別途、付帯情報が必要にな

る場合がある。

そこで、産業連関表の多角的な利用を可能にするため、

次に掲げる付帯表についても作成した。各付帯表の構造

と作成方法等の概要については、第7章に掲載した。

① 物量表

② 屑・副産物発生及び投入表

③ 雇用表(生産活動部門別従業者内訳表)

④ 雇用マトリックス(生産活動部門別職業別雇用者

数表)

⑤ 固定資本マトリックス

⑥ 産業別商品産出表(V表)

⑦ 自家輸送マトリックス

なお、「商業マージン表」「国内貨物運賃表」及び

「輸入表」については、平成17年表まで付帯表として

区分していたが、内容的には、基本分類の取引基本表

に含まれる商業マージン額、国内貨物運賃分類及び輸

入分類に関する情報を統合中分類(107部門)で集約し

たものである。そこで、平成23年表からは、これら3

表について、統合中分類の統計表の一部として区分し、

付帯表としては扱っていない。

7 推計結果の公表

従前、産業連関表の推計結果の公表については、作

業の進捗を踏まえ、速報及び確報に分けて行っていた

が、今回は、経済センサス‐活動調査の調査実施時期

が繰り下がる中で、平成23年表に比べ公表を早期化で

きるように、これまで速報及び確報の二段階で公表し

ていたものを、確報1回の公表とした。

基本分類(〔行〕509部門×〔列〕391部門)の取引基

本表や統合小分類(187部門)等の各種係数表のほか、

各種付帯表について取りまとめ、令和元年6月27日に

公表した。

平成27年表として公表した統計表は、表3-5のと

おりであり、これらは、総務省のホームページ(総務

省HP :http://www.soumu.go.jp/toukei_toukatsu/d

ata/io/index.htm)から、エクセル形式で入手できる

ほか、印刷物としても「平成27年(2015年)産業連関

表 計数編」を刊行する。なお、産業連関表に関する

総合的な解説書である本報告書(「平成27年(2015年)

産業連関表 総合解説編」)についても、同ホームペー

ジ内で閲覧できる。

8 接続産業連関表の作成・公表

おおむね5年ごとに作成している各年次の産業連関

表は、作成の都度、部門の設定や各部門の概念・定

義・範囲について変更が行われており、そのままでは

時系列比較することが困難である。

このため、各年次の産業連関表を時系列比較し、そ

の間の経済構造の変化等を分析するためには、相互の

部門設定や概念等を統一した上で、改めて計数を推計

し直す必要がある。

このような観点から、基本的に 新時点の産業連関

表の部門分類に合わせて、過去の産業連関表を組み替

え、異時点間の比較をできるようにしたものが「接続

産業連関表」である。

接続産業連関表には、価格評価の方法によって、2

種類の表がある。一つは、それぞれの年次時点の価格

で評価したものであり、「時価評価による接続産業連関

表」(名目表)という。これに対し、 新年次の価格を

基準として過去の取引額等を再評価し(この作業を

「実質化」という。)、実質的な時系列比較ができるよ

うにしたものを「固定価格評価による接続産業連関表」

(実質表)という。

平成27年表の公表を受けて、現在、「平成17‐23‐27

年接続産業連関表」の作成作業を行っており、令和2

年度に公表する予定である。

ー62ー

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表3-5 平成 27年表において作成した統計表及び公表形態一覧(注1~3)

第3節 取引基本表の基本フレーム

平成27年表として作成する各種統計表の中核となる

「取引基本表」は、以下に掲げる概念設定等に基づいて

作成した。なお、産業連関表の一般的な理論(①構造と

見方、②取引基本表の基礎的理論)については、第4章

を参照されたい。

1 対象期間及び記録の時点

平成27年1月から12月までの1年間における我が国

での財・サービス(商品)の生産活動や取引を対象と

した。

また、原則として、生産活動及び取引が実際に行わ

れた時点で記録する「発生主義」を採った。

2 評価方法

取引活動の大きさは、金額で評価した。

このうち、国内取引については、実際に取引された

価格(実際価格)(注1)に基づく評価である。

また、輸出入品の価格評価は、普通貿易の輸入品は

CIF価格、普通貿易の輸出品はFOB価格による評

価である(注2)。

(注)1 価格の評価方法には、このほかに取引先や取引形態

にかかわらず、商品ごとに単一の価格(統一価格)を

設定して評価する方法もある(第4章第2節6(1)を参

照)。

2 CIF(cost insurance and freight)価格とは、我

が国に至るまでの国際貨物運賃及び保険料が含まれた

価格(輸入時点の価格)を意味する。FOB(free on

board)価格とは、国内の工場から輸出するための空

港・港湾に至るまでの国内流通に要した商業マージン

基本分類(509部門

×391部門)

統合小分類(187部門)

統合中分類(107部門)

統合大分類(37部門)

13部門分類

取引基本表 投入表(生産者価格、購入者価格) ○ ○

産出表(生産者価格、購入者価格) ○ ○

生産者価格評価表(投入・産出行列形式) ◆ ◆ ○ ○ ○

購入者価格評価表(投入・産出行列形式) ○ ○ ○

○ ○ ○ ○

逆行列係数表 〔I-(I-M)A〕-1 ○ ○ ○ ○

(I-Ad)

-1 ○ ○ ◆

(I-A)-1 ○ ○ ◆

○ ○ ○ ○

○ ○ ○ ○

○ ○ ○ ○

○ ○ ○

⑪ ○

⑫ ○

⑬ ○ ○ ○

⑭ ○

⑯ ○

取引基本表 投入表(生産者価格、購入者価格) ◆ ◆

生産者価格評価表(投入・産出行列形式) ◆ ◆

逆行列係数表 〔I-(I-M)A〕-1 ◆ ◆ ◆

(I-Ad)

-1 ◆ ◆ ◆

(I-A)-1 ◆ ◆ ◆

(注)1 ○は、インターネット及び印刷物の双方で公表したもの。

◆はインターネットのみで公表したもの。

3 本表に掲載する統計表以外に、平成27年表を作成する際に用いた国内生産額をまとめたものとして「部門別品目別国内生産額表」についても公表した。

6 行部門は基本分類、列部門は統合小分類で作成した。

取引基本表(投入表又は産出表)において、部門ごとの内訳として表示した(商業マージン及び国内貨物運賃については、印刷物では産出表においてのみ表示)。

資本財分類は、国内総固定資本形成に産出する行部門(基本分類)をもって構成し、資本形成部門分類(資本財の購入等により資本を形成した主体)は、統合中分類を基本に、特掲(細分)又は統合した部門のほか、住宅や道路などのように特定の生産部門の資本形成として格付けることが困難な一般的共通的な資産を「その他」として設けた。

(2) 「自家輸送」部門の表章なし

付帯表

物量表

固定資本マトリックス ○(注5)

産業別商品産出表(V表)

屑・副産物発生及び投入表

雇用表(生産活動部門別従業者内訳表)

雇用マトリックス(生産活動部門別職業別雇用者数表)

自家輸送マトリックス ○(注6)

⑨ 国内貨物運賃表

⑩ 輸入表

⑦ 輸入係数、輸入品投入係数等

⑧ 商業マージン表

○(注4)

○(注4)

⑥ 最終需要項目別輸入誘発に関する表

④ 最終需要項目別生産誘発に関する表

⑤ 最終需要項目別粗付加価値誘発に関する表

統 計 表 の 名 称

(1) 「自家輸送」部門の表章あり

② 投入係数表 (生産者価格評価)

ー63ー

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及び国内貨物運賃を含んだ価格(輸出時点の価格)を

意味する。つまり、輸出入とも、いわゆる「水際」の

価格で評価した。

3 取引基本表の基本構造

ア 取引基本表は、〔行〕商品×〔列〕アクティビティ

(又は商品)の表として作成した(後記4(1)アを参

照)。

イ 平成23年表と同様、生産者価格評価表(注)と各取

引額に商業マージン及び国内貨物運賃を含む購入者

価格評価表の両方を作成した。

(注) 生産者価格評価表では、商品が流通する際に発生し

た商業マージン及び国内貨物運賃は、それぞれ商業部

門及び運輸部門(いずれも行部門)に一括計上してい

る(第4章第2節の図4-9を参照)。

ウ 実際に取引される額の大きさを的確に表すため、

各取引額は消費税を含めた額で表しており、その納

税額については、粗付加価値部門の間接税に含めた。

エ 輸入に関する表章上の取扱いについては、国産品

と輸入品をまとめて計上する「競争輸入型」(第4章

第2節の図4-10①を参照)とした。

平成23年表までは、一部の輸入品(小麦、大豆等)

について別掲する「競争・非競争混合輸入型」によ

る表章を行っていた。

4 部門分類

(1) 部門分類の原則

ア 産業連関表を構成する部門のうち、行部門(ヨコ)

は、商品の販路構成を表す部門であることから、原

則として商品により分類した。また、列部門(タテ)

は、生産活動ごとの費用構成を表すものであること

から、原則として「生産活動単位」、いわゆる「ア

クティビティ・ベース」(注)により分類した。

(注) 一つのアクティビティが一つの商品に対応する部

門については、列部門についても商品による分類と

なっている。

イ 産業連関表を公表する際の最も詳細な分類であ

る「基本分類」については、前記アによる分類の

ほか、国際連合統計委員会から示された国民経済

計算体系(SNA)との整合性を図るため、生産

活動を行う主体に着目した分類(生産活動主体分

類)機能も持たせた(第4章第2節5(3)を参照)。

生産活動主体分類は、提供する商品の市場性を勘

案し、次のとおりとし、基本分類の名称末尾に★印

を付すことにより区分した。

・「★★」は、「非市場生産者(一般政府)」

・「★」は、「非市場生産者(対家計民間非営利団

体)」

・無印は、「市場生産者」

(2) 基本分類及び統合分類

ア 分類の体系

基本分類は、〔行〕509部門×〔列〕391部門とし

た(注)。

統合分類は、この基本分類に基づき、活動内容が

類似した分類を統合したものであり、統合小分類

(187部門)、統合中分類(107部門)及び統合大分

類(37部門)を設けた。また、産業連関表の説明用

ひな型として、統合大分類を更に集約した13部門分

類を設けた(平成27年表で用いる部門分類表につい

ては、第8章を参照)。

なお、今回の平成27年表、前回表(平成23年表)

及び前々回表(平成17年表)における基本分類及

び統合分類の部門分類数の推移は、表3-6のと

おりである。

(注) 取引基本表は、内生部門、粗付加価値部門及び

最終需要部門から構成され、それぞれに部門を設

けているが、取引基本表のサイズ(詳細度)を表

す部門数については、内生部門の行及び列の部門

数をもって表している。

表3-6 部門分類数の推移

平成17年表 平成23年表 平成27年表

(1)基本分類 (行) 520 518 509

(列) 407 397 391

(2)統合小分類 190 190 187

(3)統合中分類 108 108 107

(4)統合大分類 34 37 37

イ 部門分類の変更

平成27年表の部門分類については、経済構造の

変化を勘案し見直しを行った。主な変更は、以下

のとおりである。

なお、平成23年表からの部門の変更一覧につい

ては、表3-9を参照されたい。また、平成27年

表と平成23年表の部門分類の対応関係については、

第9章の〔参考9〕に掲載したほか、第9章にお

ける部門ごとの説明の中でも「平成23年表からの

変更点」として記載した。

(ア) 基本分類

a 平成23年表における「社会福祉(国公立)

★★」、「社会福祉(非営利)★」及び「社会

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福祉(産業)」部門から分割し「保育所」部門

を新設した。

b 平成23年表における「飲食サービス」部門

を、「飲食店」部門及び「持ち帰り・配達飲食

サービス」部門に分割した。

(イ) 統合分類

平成23年表における「学校給食」部門につい

て、分野が属する13部門分類を「製造業」から

「サービス」へ、統合小分類を「1119 その他の

食料品」から「6311 学校教育」へ移動。

(3) 最終需要部門と粗付加価値部門

原則として、国民経済計算と整合性のとれた分類

とした。

ただし、投入係数の安定性などの観点から、「家計

外消費支出」を最終需要部門及び粗付加価値部門に

設定している。また、輸入品を国産品と同一水準で

評価し、各取引額を明らかにするために、関税及び

輸入品商品税を粗付加価値部門ではなく、最終需要

部門(輸入計の一部)に設定した(産業連関表(取

引基本表)と国民経済計算との相違については、第

4章の〔参考2〕を参照)。

5 特殊な取扱い

(1) 帰属計算(注)

次の内容について帰属計算を行った。

① 金融仲介サービス

② 生命保険及び損害保険の保険サービス

③ 持家住宅及び給与住宅等に係る住宅賃貸料

(注) 帰属計算とは、具体的な取引は行われていないものの、

実質的な効用が発生し受益者が存在している場合、又は、

生産活動や取引の大きさを直接計測できない場合に、類

似の商品に係る市場価格で評価する等の方法により記録

することをいう(第4章第2節10(4)を参照)。

(2) 仮設部門の設定

産業連関表の内生部門は、商品又はアクティビテ

ィに基づき設定したが、その中には、次に掲げると

おり、独立した一つの産業部門とは考えられないも

のが含まれている。これらは、産業連関表の作成・

利用上の便宜等を考慮して「仮設部門」として設け

たものである。なお、仮設部門には粗付加価値額は

計上しない(第4章第2節10(5)を参照)。

① 古紙、鉄屑及び非鉄金属屑

② 自家輸送(旅客自動車、貨物自動車)

③ 事務用品

(3) 物品賃貸業の取扱い

「使用者主義」と「所有者主義」(注)の二つの考え

方が存在する物品賃貸業については、「所有者主義」

により推計した。また、不動産賃貸業及び労働者派

遣サービスについても、「所有者主義」で推計した。

(注) 「使用者主義」とは、物品を使用した部門(使用者)

に経費を計上する考え方である。この場合、賃借を受

けた物品に係る経費の一切を、物品を使用した部門に

計上することとなり、賃貸活動は、部門として成り立

たない。これに対して、「所有者主義」とは、物品を

所有する部門(所有者)に、その経費等を計上する考

え方であり、物品賃貸収入の総額が物品賃貸部門の生

産額となり、各生産部門は物品賃貸料(支払)を物品

賃貸部門からの中間投入として計上する(第4章第2

節10(6)を参照)。

ー65ー