第4章 充てん作業-91- 第4章 充てん作業 1.運行上の安全対策...

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-91- 第4章 充てん作業 1.運行上の安全対策 1.1 一般的注意事項 充てん作業者は、充てん設備に積載しているLPガスが可燃性の高圧ガスであることを常 に認識し、一般公道を移動(走行)する関係上移動中に万一事故等による火災、爆発等の災 害が発生した場合の社会的な影響および第三者に及ぼす被害の重大性を考慮し、取扱いのみ ならず移動に関しては、次に掲げる事項を念頭におき安全運行に努めなければならない。 1.2 安全運転 充てん作業者は、交通安全の一般的規則を遵守し、事故防止について細心の注意を払い常 に安全運転を心掛けねばならない。 車両の整備はもちろんのこと、運転者自身の健康管理にも注意する必要があり、特に過労 による「居眠り運転」につながるような生活は改善しなければならない。 交通規則の他、次の点に注意すること。 積載物品が液状であることから一般貨物と異なり、カーブを曲がる時など重心移動 が大きいため制限速度は厳守すること。 重心移動に加え車両の重量が重いことから急ブレーキが効きにくいこともあるため、 車間距離は十分とること。 追随車にも気を配り、特にコンクリート電柱運搬車、クレーン車、鋼材運搬車等が 後方についた時は万一の追突による容器の損傷を未然に防止する意味からも道をゆず り先に走行してもらうことも考慮しておくこと。 付近に火災が発生している場合は離れた位置で待機するか迂回して走行すること。 雷雨、荒天時等視界が不良な状況では安全な場所に駐車し、天候の回復を待つこと。 1.3 禁 運転中、あるいは駐停車中でも許可された場所以外では喫煙してはならない。 許可された場所であっても喫煙後は吸いがらを所定の灰皿に入れ、消火を確認する必要が ある。 1.4 駐 移動(輸送)途中、駐車する場合は、保安物件が密集する地域を避け、かつ、交通量が少 ない安全な場所および他の車両の移動に支障が無い場所を選び駐車しなければならない。充

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第4章 充てん作業

1.運行上の安全対策

1.1 一般的注意事項

充てん作業者は、充てん設備に積載しているLPガスが可燃性の高圧ガスであることを常

に認識し、一般公道を移動(走行)する関係上移動中に万一事故等による火災、爆発等の災

害が発生した場合の社会的な影響および第三者に及ぼす被害の重大性を考慮し、取扱いのみ

ならず移動に関しては、次に掲げる事項を念頭におき安全運行に努めなければならない。

1.2 安全運転

充てん作業者は、交通安全の一般的規則を遵守し、事故防止について細心の注意を払い常

に安全運転を心掛けねばならない。

車両の整備はもちろんのこと、運転者自身の健康管理にも注意する必要があり、特に過労

による「居眠り運転」につながるような生活は改善しなければならない。

交通規則の他、次の点に注意すること。

① 積載物品が液状であることから一般貨物と異なり、カーブを曲がる時など重心移動

が大きいため制限速度は厳守すること。

② 重心移動に加え車両の重量が重いことから急ブレーキが効きにくいこともあるため、

車間距離は十分とること。

③ 追随車にも気を配り、特にコンクリート電柱運搬車、クレーン車、鋼材運搬車等が

後方についた時は万一の追突による容器の損傷を未然に防止する意味からも道をゆず

り先に走行してもらうことも考慮しておくこと。

④ 付近に火災が発生している場合は離れた位置で待機するか迂回して走行すること。

⑤ 雷雨、荒天時等視界が不良な状況では安全な場所に駐車し、天候の回復を待つこと。

1.3 禁 煙

運転中、あるいは駐停車中でも許可された場所以外では喫煙してはならない。

許可された場所であっても喫煙後は吸いがらを所定の灰皿に入れ、消火を確認する必要が

ある。

1.4 駐 車

移動(輸送)途中、駐車する場合は、保安物件が密集する地域を避け、かつ、交通量が少

ない安全な場所および他の車両の移動に支障が無い場所を選び駐車しなければならない。充

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てん作業時以外は、一般車両と同様道路交通法が適用され駐停車禁止場所では交通違反にな

るためルールは遵守する必要がある。

また、乗務員は車両から離れないようにすること。食事その他やむを得ず車両から離れる

場合は常に目の届く範囲にいるようにしなければならない。

なお、やむを得ず坂道に止める場合は、サイドブレーキを確実に掛け輪止めをタイヤに挟

む等無人の状態で車両が絶対に移動できないよう配慮する必要がある。

1.5 夏季の運行について

充てん設備の容器の温度は、常に40℃ 以下に保つよう規定されている。特に夏季は直射日

光を受け容器の温度が40℃以上になりやすいため長時間運行する場合は、定期的に充てん設

備に設置されている温度計にて容器の温度をチェックし、温度が上昇している場合は給油所

等を利用して容器に水をかけるなどして冷却すること。

1.6 移動する者が必要な資格

必要な資格は、次のとおりである。

① 自動車運転免許証(車両の区分に応じたもの):充てん設備を運転する者

② 移動監視者(液化石油ガスⅢ類): 3,000kg以上のLPガスを移動する者

③ 充てん作業者講習修了証:バルク貯槽へ充てん作業を行う者

1.7 移動の制限その他の注意事項

① LPガスを積載して通行できない道路(「制限道路」例:羽田空港付近の海底トンネル、

道路公団の指示にしたがって通行する関門トンネル等)等は周知徹底をし、それぞれの

指示に従うこと。

② 3,000kg 以上のLPガスを移動する場合

a 運転者1人での運転時間が定められている。

1人の運転者による運転時間(1回が連続10分以上かつ、合計が30分以上の運転の

中断をすることなく連続して運転する時間)が4時間を超える場合又は運転時間が1

日当たり9時間を超える場合は運転者は2名必要

b 移動中の災害防止のため、必要な事項を記載した書面(「移動注意書」という。)を

作成し、携行する。(イエローカード)

c 繁華街や人ごみを避けて移動する。

d 緊急事態に備え、応援を受ける措置を講じておく。

[高圧法液石則第47条および第48条]

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2.充てん作業前

(液石法規則第72条第1号)

① バルクローリからバルク貯槽等に、LPガスを 初に充てんする場合は、次の事項を

バルク貯槽等の記録等により確認する。

イ)バルク貯槽等内が不活性ガスで置換されていること、または残留空気による爆発等

のおそれのないようにしたものであること。

ロ)液面計、過充てん防止装置の作動試験および附属機器を取り付けた後の気密試験が

行われていること。

② 駐車ブレーキをかけ、非常点滅表示灯を点灯する。

③ 車止めを設けること等によりバルクローリを固定する。

④ バルクローリの周囲から見やすい場所に、「充てん作業中」および「火気厳禁」の標

識を掲げる。

⑤ バルクローリ(充てん口を含む。)の外面から第1種保安物件に対し1.5m以上、第二種

保安物件に対し1m以上の距離があることを確認する。

⑥ 充てんホースの上を自動車等車両が通過しないようにする。

⑦ 充てんホース先端のカップリング用液流出防止装置およびバルク貯槽等のカップリン

グ用液流出装置からキャップを取り外すときは、ブリーダ弁を開いてから行う。

ブリーダ弁

⑧ バルクローリとバルク貯槽等との接続後、接続部分であるカップリング用液流出防止

装置からLPガスの漏えいがないことを確認する。

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⑨ 充てん作業時の点検を行い、当該バルク貯槽等に異常のないことを確認する。

⑩ バルク貯槽等内の残量を液面計により確認し、充てん量から充てん時間の目安を付け

る。

注)減圧されているバルク貯槽は、調整器の故障防止のため、LPガスが充てんされるまで

はガス取出弁を開けないこと。

(解説)

出荷時のバルク貯槽は、LPガスと空気の混合による静電気爆発の防止や、初回充てん

時の充てん効率の向上等のため、-50kPa程度に真空引きされている。このため、バ

ルク貯槽のガス取出弁に調整器を取り付け後、LPガスを充てんする前にガス取り出し弁

を開けられると調整器のダイヤフラムに負圧の力が加わりダイヤフラムが外れ、調整器か

らのガス漏れが発生することがあることから、LPガスが充てんされるまではガス取出弁

を開けないようにする。

3.充てん中

(液石法規則第72条第1号)

① 充てん中は、常時バルク貯槽等の液面計により液面を監視し、所定の液量〔内容積

の85%(貯蔵能力2,000L以上の地下埋設バルク貯槽は、90%)〕を超えないようにする。

② バルクローリの容器圧力とバルク貯槽等の圧力とに差がある場合には、充てん時間に

差が出るので注意が必要である。よく発生する状況を以下に示す。

イ)バルクローリの容器圧力が高い場合(夏季の地下埋設、冬季の地上設置の場合)

バルクローリ側の圧力が高いので、バルク貯槽等側に勢い良く液が流れ、アームフ

ロート式の過充てん防止装置の弁が閉止し、充てんポンプが空転状態となり充てんポ

ンプの安全装置が作動し停止することがある。(実証実験では、差圧が0.2MPa以上あ

る場合には、充てんポンプが停止する。)これを防ぐには、接続後充てんポンプを起動す

る前にバルク貯槽等側の元弁を徐々に開き均圧をとった上で充てんポンプを起動する

必要がある。(過充てん防止装置の弁が一旦閉止すると開くまで相当の時間がかかる。)

ロ)バルクローリの容器圧力が低い場合(冬季の地下埋設、夏季の地上設置の場合)

バルク貯槽等側の圧力が高いので充てん

速度が遅くなる。差圧が0.3MPa以上の場合

は、充てんポンプからバルク貯槽等に押し

込めなくなり充てんポンプの安全装置(空

転防止装置)が作動し停止する。これを防

ぐには、均圧ホースを接続し均圧をとる

か、接続後しばらく放置し、バルク貯槽等側の圧力とバルクローリ側の圧力の均圧を

とる必要がある。(特に1トン以上の大容量の場合)

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4.充てん終了後

(液石法規則第72条第1号)

① 充てん終了後は、カップリング用液流出防止装置からガス漏れのないことを確認した

後、キャップを装着し、ブリーダ弁を閉じる。

② バルク貯槽の元弁は液封防止のため、常時「開」にしておく。

③ プ口テク夕ーの蓋にいたずら防止のため施錠することが望ましい。

5.充てん設備が移動式製造設備である場合の充てん作業の方法

(液石法規則第72条第3号)

バルク貯槽等に充てんする場合において、充てん設備が高圧法液石則第2条第9号に定める移

動式製造設備である場合には、高圧法液石則第9条第2項の基準によるものとする。

〔道路上での充てんは禁止となり、保安距離も充てん設備(充てん口を含む。)の外面から第一

種保安物件に対し15m以上、第二種保安物件に対し10m以上の距離が必要となる。〕

6.充てん作業マニュアルの例

手操 作 内 容 確 認 事 項 備 考

1 バルクローリの停車 保安距離の確保 第1種 1.5m以上第2種 1.0m以上

火気距離の確認 2m以内に火気がないこと

2 充てん日誌等により、充てんす バルク貯槽等の刻印また 期限を過ぎたバルク貯るバルク貯槽等が「開放検査ま は銘板により確忍 槽等へ充てんしてはいたは再検査期限内」であること けないを確認すること

3 周囲の状況を確認する 側近でたき火等をしていないか

4 パーキングブレーキを引く 確実に引くこと

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5 非常点滅表示等を点灯する 車両前後共確認 始業、終業点検でも実施

↓注意

6 エンジンを停止する エンジンを停止せずに充てん作業を行う仕様

↓ もある

7 インターロック制御盤の電源SWを「ON」にする

8 制御盤により安全機器類が正常 運転席内の制御盤を『チ 誤発進防止装置状態にあることを確認する ェック』モードまたは点

検スッチにより確認 振動検知器等

ガス漏れ検知器

いたずら防止装置

9 制御盤を『排出』モードに切替 目視にて切替えを確認 緊急停止装置が監視状える 態となる

10 輪止めをほどこす タイヤの前後にあること 車両の装備品を使用する

11 『充てん中』及び『火気厳禁』 車両の前後とも掲示する 車両の装備品を使用す警戒標の掲示 る

12 消火器を準備する 点検期限内であること 車両の装備品を使用する

13 ホースリール用『小扉』を開く いたずら防止解除SW 入

14 操作箱の『大扉』を開く

15 充てん前状況を充てん日誌に記 タンク内温度、バルク録する 貯槽等側一次圧、ロー

リ側一次圧、日時、天候、ローリ内残量等

16 緊急しゃ断弁を開く 「 開音 」に注意する 操作圧力3~4.9MPa

17 操作箱『大扉』を閉じる 確実に閉じる 「いたずら防止装置」が、監視状態となる

18 充てんホースを引き出す ホース表面の傷及び異常 充てんに必要な長さを摩耗等の有無を確認 引き出す

19 ホースの上を車両等が通る場合 ホース引き出し状況の確は、ホースを保護する措置を行 認う

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20 ホースを持ってバルク貯槽等ま 突起物等に注意 無理な力で引っ張らなで移動する いこと

21 必要に応じ、バルク貯槽等の定 点検項目は本テキスト 点検実施時は記録する期点検を実施する 第5章による

22 初めて充てんする場合は、初回 点検項目は本テキスト 項目によって成績表点検実施事項につき点検する 第5章による による確認でも可

23 受入容量があることをバルク貯 必ず確認すること槽等の液面計により確認する

24 バルク貯槽等の充てん用カップ 開時に放出量の有無を確 多量に漏れがある場合リングのブリーダ弁を開いた 認、開いた後、確実に閉 は、点検または修理が後、キャップを外す じる 必要

25 充てんホースのカップリング用 開時に放出量の有無を確 多量に漏れがある場合キャップをブリーダ弁を開いた 認、開いた後、確実に閉 は、点検または修理が後取り外す じる 必要

↓ 注意!初回の充填時、バルク貯槽等とローリタンクの差

26 カップリングを結合する 圧が大きい場合、過充てん防止弁が作動することがあるため液取り入れ元弁を閉止したのち結合

↓ し、元弁を微開し均圧した後、元弁を全開すること。

27 ホース側カップリングのレバー ゆっくり操作することを操作し通液状態にする

28 結合部分その他に漏れがないか 音、臭い等で確認 漏れがある場合は荷役を確認する 停止

29 遠隔操作スイッチによりポンプを駆動する

30 バルク貯槽等の液面計を充てん中監視し、過充てんをして

↓ はいけない

31 規定量を充てん後、遠隔操作ス 遠隔操作スイッチの電池 過充てん防止装置にたイッチによりポンプを停止する 容量を確認しておくこと よらず液面計により規

定量を確認しポンプを↓ 停止する

32 充てんホース側カップリングの操作レバーにより閉止状態にする

33 カップリングを分離する

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34 バルク貯槽等側および充てんホ ブリーダ弁が閉止されて 次回の充てん時またはース側のカップリングから漏れ いることを確認 点検時まで放置状態とがないことを確認後、確実に各 なるため、確実に実施々のキャップを取り付ける すること

35 バルク貯槽等の液取入弁が『開』であることを確認する

36 充てんホースをホースリールに ホース表面の傷及び異常 乱巻きに注意し巻き取巻き取り受け金に確実に固定す 磨耗等の有無を確認 ることる

37 いたずら防止装置の解除スイッ スイッチを入れ忘れた場 第三者に判らないようチをいれる 合、緊急停止機能が作動 に設置されているので

しエンジンが停止する 導入時に確認しておくこと

38 操作箱の『大扉』を開く

39 ローリの緊急しゃ断弁を閉じる 油圧ポンプの圧力計によ 緊急時以外は緊急停止り0MPaを確認 スイッチにより閉止し

↓ てはいけない

40 操作箱の『大扉』を閉じる 確実に閉じ、固定状態を確認

41 ホースリール用『小扉』を閉じる

42 充てん日誌に所定の事項を記入する

43 輪止めを外す ローリ側受け金に戻す

44 周囲にガスの滞留のないことを確認する

45 警戒標及び消火器を収納する 確実に固定したことを 車両を一周し車両の確認 下に異物のないこと

を確認↓

46 制御盤を『走行』モードに切り 目視確認、指差呼称 充てん中における監換える 視状態が解除される

47 移 動 開 始

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実際の充てん作業において注意する点(各基準等に記載されていない事項)

なお、番号は充てん作業手順の番号です。

1.公道の駐停車禁止場所においても充てん作業を行うことから、実際の営業運転に入る前に、

地元の警察署にて「道路使用許可証」の交付を受けなければ、道交法違反で切符を切られる場

合がある。なお、交付に関しては手数料、更新がある。

4.駐車ブレーキは確実に引くこと。なお、充てん作業途中で駐車ブレーキを解除すると、イン

タロック制御が作動したり、解除されたりする場合もある(メーカに確認が必要)ため、充て

ん作業が完了(手順46)するまで駐車ブレーキを解除しないこと。

6.エンジンの停止

メーカによりエンジンを停止せずに連続作業が可能な仕様もあるので、事前に確認が必要。

なお、一度エンジンを停止しても再起動すればよい。

8.正常状態の確認

安全機器類の単体機能のチェックではなく各機器に接続されている電線の断線の有無を確認

するもので、定期的に各機器を作動させ、確認することが必要。但し、振動検知はフォークリ

フト等の助力を得ないと作動しない。(人の力ではむづかしい)

13.いたずら防止解除スイッチの位置は、充てん作業者のみが知っているものであるため、充て

ん設備導入時のメーカ取扱説明を十分受けておくこと。

16.緊急しゃ断弁

しゃ断弁の2次側(出口側)配管内の圧力が、容器内圧力よりかなり低い場合、すぐに開か

ない場合があるので注意が必要。

※ バルブ構造上、弁シートにパイロット弁が設けてあるものもあり、タンク内と配管内が均

圧状態となったら、主弁が開くようになっている。

19.ホースの保護

原則として道路を横切るような充てん作業は止めるよう指導が必要。

24.カップリングのキャップを外す

ブリーダ弁を必ず開いてからキャップを外す意味は、カップリング本体にシート漏れ等が発

生していた場合に、いきなりキャップを外すと、カップリング内の圧力により、キャップがい

きおいよく飛び出し人身を傷つける場合があるため、作業者保護のため規定されたものである。

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27.カップリングレバーの操作

圧力が高い夏期においては、操作が重く(力が必要と)なる場合があるが、故障ではない。

なお、カップリングはメーカが推奨する定期点検を実施しないと漏れが発生しやすくなる場

合がある。

30.充てん中

ホースの先端部に取付けられている安全継手はホース内の圧力が0MPaのときに530N(約50

kgf)の力で引っ張られた場合に分離する仕様となっているが、ホース内の圧力が高い場合は、

圧力と反比例し弱い力で分離する。そこで、ホース内に圧力がある場合は無理な力で引っ張ら

ないこと。

なお、高い圧力で分離した場合、再結合が難しい場合があるため、充てん作業時以外の時に、

試験的に分離結合も経験しておいた方が良いと考える。

47.走行モード

インタロック制御盤のモードを「走行」にして移動する場合、操作箱内でガス漏れを検知し

た時および操作箱の大扉が開いた場合は、運転席内で警報を発する。

なお、充てんホースがホース受金から外れても誤発進防止装置は急制動による交通事故を防

止する点より作動(急ブレーキがかからない)しないようになっている。

充てん設備導入時にメーカの説明を充分に受けること。

※ その他

① ポンプはベーパを吸い込むと短時間(秒単位)で故障する。

メーカにより、容器内のLPガス(液)が規定量以下になると自動的にポンプが停止する

機能を有したものもある。

充てん作業時においてもポンプに充分LPガスが満たされていることを確認したのち、ポ

ンプ起動スイッチ(遠隔スイッチ)を入れること。

② 充てん設備に装備されている電気機器類は振動を考慮したものとなっているが、配線端子

のねじが緩んだ場合でも作動しない場合および異常を示す場合があるため、定期的なメンテ

ナンス時に隠ぺいされた端子部の確認も必要と考える。但し、電気的知識を有する者が点検

すること。

7.非常時における対応

7.1 非常時の連絡体制

充てん作業に従事している時に、LPガスの漏えい、火災等の災害が発生した場合の連絡

体制は、次による。

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① 電話等の通報手段を用いて、事故の発生を社内の従業員に知らせる。

② 寄りの防災事業所、所属事業所等に連絡して応援を求める。

③ 都道府県の高圧ガス担当課・消防署・警察署に連絡し、その指導または応援を受ける。

当然のことながら、充てん作業者は緊急連絡先を明記し、携行しておく必要がある。

7.2 非常時における具体的な措置対応

(1) 充てん設備のトラブル・事故に対する措置対応

充てん作業に従事している時に、充てん設備からのLPガスの漏えい等トラブル・事故

が発生した場合の措置対応は、次による。付近住民及び通行人トラブル

措 置 要 領に対する安全対策・事故状況

少 .被害が少なくて済むような安全な場所に車両を移動する。 付近の安全を確認するこ1 ・量 .ガス漏れしている箇所のスピンドル、グランド締付けナット等を と。2漏 静かに増し締めする。その場合、火気に注意すること。 ・一般消費者等を近寄らせ

ガ え 3.上記の措置を施しても止まらない場合は、事業所等に連絡して指 ないこと。い 示を受ける。 ・火気使用の禁止徹底

.車両の移動は被害範囲を拡大させないため原則として行わない。 ・風上の安全な場所に避難1ス ただし、周囲の状況を考慮してその場所ではより危険であると判断 させる。

される場合はこの限りではない。 ・火気使用の禁止を徹底2.サイドブレーキを確実に引きエンジンを停止する。 ・一般消費者等を近寄らせ大

漏 3.付近の交通を遮断する。 ないこと。4.保護具を着用し、漏えい箇所へ風上から接近する。量5.安全弁作動による漏えいの場合は、作動原因を調べ、それに応じ

え た対策をとる。なお、直射日光等による内圧上昇の場合は、日陰そ漏の他安全な場所に移動し、容器を散水冷却する。・火気に注意すること。え

い ・漏えいしたガスが下水溝に流れ込まないように注意すること。6.安全弁破損、配管、バルブ及び継手部等が破損した場合は応急措い

置を施すとともに、消防、警察、防災事業所、所属事業所等に連絡して応援を求め、関係者と十分連絡を取りながら安全な場所に車両を移し、移液等の措置を講ずる。

少量液

1.ガス漏れ少量の場合に同じ ガス漏れ少量と同じ漏 ・え漏い

え 大 1.初動操作は、ガス漏れ大量と同じ ・ガス漏れ大量と同じ量 2.ガス側の圧力を急速に抜けば液の漏れは減少する。この場合、火

い 漏 気に注意すること。え 3.消防、警察、防災事業所、所属事業所等に連絡し応援を求め、移い 液等の措置を講ずる。

1.漏れたガスに引火して火災が発生した場合、その原因状況等によ ガス漏れに同じ・って対策が異なるため臨機応変に処置しなければならない。

漏 2.運行中に火を発した場合は、まず付近に災害を及ぼさないようなれ 広い安全な場所へ車両を移動させ、ガス漏れの箇所に応急措置を行た う。ガ 3.小規模の火災で弁を閉めるとガス漏れが止まる場合は素早く弁をス 閉める。この際ガスを吸入しないよう注意すること。に 4.安全弁から火を噴いている場合には、容器に散水して温度を下げ引 ること。温度を下げれば、内圧が下がり、ガスの噴出が減少して自火 然に鎮火することがある。し 5.ガス漏れを止めることができない場合は、火を消そうとするよりた も付近に拡がらないように消火ホースの水で遮断して、火勢を抑制場 しながら燃やしてしまった方がよい。この場合、容器を冷やすこと合 が大事である。

6.大規模の火災の場合は、消防、警察、防災事業所等に連絡して応援を求める。

車 1.ガス漏れがないか点検を行い、漏れがあった場合、上記要領で措 ・一般消費者等を近寄らせ両 置を行う。 ないこと。の 2.警察署、消防署、所属事業所等に通報連絡をする。衝突

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車 1.初期消火に全力をあげる。 ・一般消費者等を近寄らせ特両 2.可能ならば車両を安全な場所へ移動させる。 ないこと。火 3.容器へ大量注水し、冷却につとめる。殊災 4.消火困難な場合は直ちに消防、警察に通報する。周 1.車両を速やかに安全な場所に移動させる。 ・一般消費者等を近寄らせな囲 2.移動が不可能な場合は極力他の車両との間隔をとり、火炎が接近 ないこと。火 した時は容器の温度上昇防止のため、大量の注水をする。場災 3.消防、警察に通報して、指示を求めること。地 1.直ちに徐行または一時停止をして付近の状況を把握し、できる限合

り建物、構造物または落下物の危険がない安全な場所に停止する。2.地震のおさまるのを待ち、すみやかに次の状況把握を行う。

・周囲の建物、道路等の被害、火災発生の状況把握・車両及び容器の被害状況の把握

震 3.異常のある場合は、それぞれの事故状況に応じて処置を行う。

(2) 供給設備のトラブル・事故等に対する措置対応

充てん作業に従事している時に、供給設備からのLPガスの漏えい等のトラブル・事故

が発生した場合の措置対応は、次による。

漏 え い 箇 所 措 置 要 領 地域住民、通行人等安全対策

・バルブのグランド部からの 1.そのバルブを閉める。(液取出バルブの ・一般消費者等を近寄らせな

漏えい 場合は、消費を中止する。液受入バルブ いこと。

・バルブの出口側フランジ部 で受入中の場合は受け入れを中止する。) ・火気使用の禁止を徹底

連結管取付部、配管等から ・パッキンの点検および増締めをする。

の漏えい 2.漏えい箇所の上流側にあるバルブを閉

め、ガスを遮断する。

3.ガスが止まらない場合は、バルク貯槽

等内のLPガスを抜き取るための措置を講

ずる。

4.火災が発生した場合には、次の措置を

講ずる。

・バルブを閉めることが可能な場合は、

バルブを閉めて消火に努める。

・バルブを閉めることが不可能な場合は、

散水装置、消火栓等により、速やかに

散水し、冷却に努める。

・バルブの入り口側フランジ 1.バルブを閉め、ガスを遮断する。 ・一般消費者等を近寄らせな

部からの漏えい ・パッキンの点検および増締めをする。 いこと。

2.バルブを閉めてもガス漏れが止まらな ・火気使用の禁止を徹底

い場合は、所属事業所等に連絡し、応援

を求めること。

3.火災が発生した場合の措置は、上記要

領による。

(3) 充てん作業時以外における非常時の対応措置

LPガスによる災害が発生し、または発生するおそれがある場合において、当該LPガ

スにかかる一般消費者等からその事実を通知され、これに対する措置を講ずることを求め

られたとき、または自らその事実を知った場合には、速やかに次の措置を講ずる必要があ

る。

① 電話等の通信手段により、一般消費者等に対して的確な助言等を与えること。

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② 災害発生場所への出動・応援に際しては、必要な機材を携行し、可及的速やかに現場

に到着し、的確な措置(漏えい箇所の点検、地域住民に対する安全対策、火災発生時に

おける消火活動等)を講じること。

-104-

第5章 バルク供給設備の点検

1.点検者

販売事業者は、液石法第27条(保安業務を行う義務)第1項第1号において、供給設備の点検義務

が課せられ、同法規則第36条に供給設備の点検の方法が、また、同規則第1項第2号においては資格

者により点検を行うことが規定されている。

2.点検頻度

バルク供給供給設備に係る点検は、規則第36条第 1 項第 1 号ロにおいて特定供給設備以外のバル

ク供給設備の点検項目と頻度を、またニでは特定供給設備の点検項目と頻度を定めているが、点検

頻度毎の点検項目、点検方法、判定基準を特定供給設備以外についてはそれぞれ表5-1~表5-4に、

特定供給設備については表5-5~表5-8に掲げた。

3.バルク供給設備の点検(貯蔵能力1トン未満のバルク貯槽および3トン未満のバル

ク容器)

特定供給設備以外のバルク供給設備の定期点検は、表5-1・表5-2・表5-3・表5-4に

掲げる点検項目、点検方法および判定基準に基づき点検を実施する。

(1) 供給開始時および6ヶ月に1回以上または1年を超えない範囲で行う充てん作業時に行う点検

①点検:表5-1参照

②記録の保存:記載の日から2年間

表5-1 バルク供給設備点検表

点 検 項 目 点検方法 判 定 基 準

適 用 区 分

バルク容器 1,000㎏未満

バルク容器 1,000㎏以上 3,000㎏未満

バルク貯槽 1,000㎏未満

バルク容器・バルク貯槽 (地上・地下)のガスの 漏えい

石けん水又 は検知器

接続部や溶接部からガスの漏えいがないこと。 検知用孔あき管からガスを検知しないこと。(地下埋設バルク貯槽)

○ ○ ○

火気との距離と屋外設置 目 視

バルク容器・バルク貯槽の外面から火気までの距離が2mを超えていること。 又は火気をさえぎる措置がなされており、かつ、屋外に置いてあること。

○ ○

火気取扱施設との距離 目 視 バルク容器の外面から火気取扱施設までの距離が5m以上あること。又は流動防止措置がなされていること。

-105-

点 検 項 目 点検方法 判 定 基 準

適 用 区 分

バルク容器 1,000㎏未満

バルク容器 1,000㎏以上 3,000㎏未満

バルク貯槽 1,000㎏未満

バルブ、集合装置、供給 管、ガス栓の欠陥(容器 ・貯槽と調整器の間の部 分)

目 視 発錆が著しくないこと。 割れ、すじ、しわ等がないこと。 ○ ○ ○

調整器の腐しょく、割れ、ねじのゆるみ等の欠陥、液化石油ガスとの適合性

目 視 発錆が著しくないこと。 割れ、ねじのゆるみ等がないこと。 消費する液化石油ガスに適合していること。

○ ○ ○

バルク容器等の腐しょく防止措置 目 視

バルク容器・付属機器等の発錆が著しくないこと。 バルク容器等全面に十分な塗装がされているか。 排水のよい水平な場所又は水平な台の上に置いているか。

○ ○

温度上昇防止措置 目 視

バルク容器は、日光の直射によって 40℃を超えるおそれがある場合は、 40℃以下に保つ措置を講じてあること。 日光以外の熱源によって、バルク容器が40℃を超えるおそれがある場合は、当該熱源との間に不燃性の隔壁が設置されていること。

(2) 供給開始時および 1 年に 1 回以上行う点検

①点検:表5-2参照

②記録の保存:記載の日から2年間

表5-2 バルク供給設備点検表

点 検 項 目 点検方法 判 定 基 準

適 用 区 分

バルク容器

1,000㎏未満

バルク容器 1,000㎏以上 3,000㎏未満

バルク貯槽

1,000㎏未満

地下室等に係る供給管及 び白ガス管等の埋設供給 管の漏えい試験(ポリエチレン管を使用している供給管を除く。)

自記圧力計等 石けん水又 は検知器

例示基準第29節、第41節(埋設管)の漏えい試験方法により漏えい試験を行いガスの漏えいがないこと。 漏えい検知装置の漏えい表示がないこと。

○ ○ ○

地下室等に係る供給管に 設けた緊急遮断装置 (300kg以上の貯蔵設備 に係る供給管に限る。)

作動試験 緊急遮断装置が設置され、その開閉状況に異常がないこと。 ○ ○ ○

-106-

(3)供給開始時および2年に1回以上行う点検

①点検:表5-3参照

②記録の保存:記載の日から2年間

表5-3 バルク供給設備点検表

点 検 項 目 点検方法 判 定 基 準

適 用 区 分

バルク容器

1,000㎏未満

バルク容器 1,000㎏以上 3,000㎏未満

バルク貯槽

1,000㎏未満

安全弁 石けん水又 は検知液

弁取付部からガスの漏えいがないこと。 ○

目 視 安全弁の元弁が開かれていること。

安全弁の放出管 目 視 レインキャップが確実に取り付けられていること。 放出管の内部に雨水が入っていないこと。

○ ○ ○

液面計 目 視 使用上有害な傷、割れ、その他の 欠陥がないこと。 ○ ○ ○

カップリング用液流出防 止装置、液取入弁(バルブ)

目 視 弁(バルブ)取付部、カップリング接続部、弁(バルブ)、カップリングからガスの漏えいがないこと。

○ ○ ○

均圧弁(均圧バルブ)、 カップリング 目 視

弁(バルブ)取付部、カップリン グ接続部、弁(バルブ)、カップリ ングからガスの漏えいがないこと。

○ ○ ○

プロテクタ 目 視 使用上有害な傷、割れ、その他の 欠陥がないこと。 ○ ○ ○

地上設置バルク貯槽等の 腐しょく防止措置 目 視 発錆が著しくないこと。 ○

地下埋設バルク貯槽の腐 しょく防止措置

電位測定 飽和硫酸銅電極でバルク貯槽の対地電位を測定し-850mV以下であること。 ○

電流測定 マグネシウムの発生電流を測定し、 許容電流内であること。

地上設置バルク貯槽の大 地との接地(絶縁されている場合)

目 視 接地接続線は、断面積5.5m㎡以上 (単線を除く。)であり容易に腐しょく、断線しないもの。 確実に接続されていること。

消火設備 目 視

消火能力A-4及びB-10以上の消火器が定位置に定数置いてあること。 (貯蔵量1,000Kgにつき1個以上) (例示基準第5節参照) 消火器は、破損その他の異常がなく、良好な状態に維持されていること。

-107-

(4) 供給開始時および4年に1回以上行う点検

①点検:表5-4参照

②記録の保存:次回の点検日まで

表5-4 バルク供給設備点検表

点 検 項 目 点検方法 判 定 基 準

適 用 区 分

バルク容器

1,000㎏未満

バルク容器 1,000㎏以上 3,000㎏未満

バルク貯槽

1,000㎏未満

保安物件に対する距離 目 視

・第1種保安物件 バルク容器の外面から16.97m以上の距離を有すること

・第2種保安物件 バルク容器の外面から11.31m以上の距離を有すること

上記の距離が確保できない場合は、 鉄筋コンクリート障壁等が設置してあること。

保安物件に対する距離 目 視

・第1種保安物件 バルク貯槽の外面から1.5m以上の距離を有すること。

・第2種保安物件 バルク貯槽の外面から1.0m以上の距離を有すること。

上記の距離が確保できない場合は、所定の強度を有する構造壁等を設け、又はバルク貯槽を埋設すること。

バルク容器の屋根又は遮へい板 目 視

バルク容器には不燃性又は難燃性の材料を使用した軽量な屋根又は遮へい板が設けられていること。 屋根又は遮へい板に損傷のないこと。

LPガス及び火気厳禁と朱書 目 視

バルク容器・バルク貯槽又は周囲の見やすい箇所に朱書すること。 表示が鮮明であること。

○ ○ ○

緊急連絡先の表示 目 視

バルク容器・バルク貯槽又は周囲の見やすい箇所に、緊急連絡先(保安機関の名称・所在地・電話番号)等を表示していること。 表示が鮮明であること。

○ ○ ○

自動車等車両が接触しな い措置(地上) 目 視 バルク容器・バルク貯槽等に車両が

接触しない措置を講ずること。 ○ ○ ○

埋設した場所に自動車等 車両が乗り入れない措置 (地下)

目 視 バルク貯槽の埋設場所に車両が乗り入れない措置を講ずること。 ○

埋設後の貯槽の位置を示 す標識杭(地下) 目 視

バルク貯槽埋設後の四隅にバルク貯槽の位置を示すための標識杭が設置してあること。

バルブ、集合装置、供給 管の腐しょく防止措置 目 視 腐しょく防止措置が講じられ発錆

が著しくないこと。 ○ ○ ○

バルブ、集合装置、供給 管、ガス栓の欠陥(調整 器とガスメータの間)

目 視 発錆が著しくないこと。 割れ等がないこと。 ○ ○ ○

-108-

点 検 項 目 点検方法 判 定 基 準

適 用 区 分

バルク容器

1,000㎏未満

バルク容器 1,000㎏以上 3,000㎏未満

バルク貯槽

1,000㎏未満

バルブ、集合装置、気化 装置、供給管等の漏えい試験(調整器まで)

石けん水又 は検知器

常用の圧力においてガスの漏えいがないこと。 ○ ○ ○

供給管、ガス栓等の漏えい試験(地下室等に係る供給管、白ガス管等の埋設供給管及びポリエチレン管を使用している供給管を除く。)

自記圧力計等石けん水又 は検知器

例示基準第29節の漏えい試験方法により漏えい試験を行い、漏えいがないこと 漏えい検知装置の漏えい表示がないこと

○ ○ ○

燃焼器入口圧力 自記圧力計等

生活の用に供するものにあっては2.0kPa以上3.3kPa以下であること。 生活以外の用に供するものにあっては使用する燃焼器に適合した圧力であること。

○ ○ ○

供給管の危険標識 目 視

供給管を地盤面上に設置する場合に置いてその周辺に危害を及ぼすおそれのあるときは、その見やすい箇所に液化石油ガスの供給管である旨、供給管に異常を認めたときの連絡先その他必要な事項を明瞭に記載した危険標識を設けること。 表示が鮮明であること。

○ ○ ○

調整器の調整圧力及び閉そく圧力 自記圧力計等

生活の用に供するものにあっては調整圧力が2.3kPa以上3.3kPa以下であり、閉そく圧力が3.5kPa以下であること。 生活以外の用に供するものにあっては、使用する燃焼器に適合したものであること。

○ ○ ○

4.特定供給設備となるバルク供給設備の点検

特定供給設備となるバルク供給設備の定期点検は、表5-5・表5-6・表5-7に掲げる点検

項目、点検方法及び判定基準に基づき点検を実施する。

(1) 供給開始時及び6ヶ月に1回以上または1年を超えない範囲で行う充てん作業時に行う点検

①点検:表5-5参照

②記録の保存:記載の日から2年間

-109-

表5-5 バルク供給設備点検表

点 検 項 目 点検方法 判 定 基 準

適 用 区 分

バルク容器 3,000㎏以上 10,000kg未満

バルク貯槽 1,000㎏以上 3,000㎏未満

バルク貯槽 3,000㎏以上10,000kg未満

火気取扱施設との距離

目 視 バルク貯槽の外面から火気取扱施設までの距離が5m以上あること。又は火気取扱施設との間に流動防止施設が設けてあること。

目 視 バルク容器・バルク貯槽の外面から火気取扱施設までの距離が8m以上あること。又は火気取扱施設との間に流動防止施設が設けてあること。

○ ○

バルク容器・バルク貯槽 (地上・地下)のガスの 漏えい

石けん水又 は検知器

バルク容器・バルク貯槽の接続部や溶接部からガスの漏えいがないこと。 検知用孔あき管からガスを検知し ないこと。(地下埋設バルク貯槽)

○ ○ ○

バルブ、集合装置、供給 管、ガス栓の腐しょく、割れなどの欠陥

目 視 発錆が著しくないこと。 割れ、すじ、しわ等がないこと。 ○ ○ ○

調整器の腐しょく、割れ、ねじのゆるみ等の欠陥 液化石油ガスとの適合性

目 視 発錆が著しくないこと。 割れ、ねじのゆるみ等がないこと 消費する液化石油ガスに適合していること。

○ ○ ○

バルク貯槽と他の貯槽等 との距離 目 視

1m又は他の貯槽、バルク貯槽又は酸素の貯蔵設備の 大直径の和の1/4の長さのいずれか大きい距離を有すること。 又は、当該貯槽に水噴霧装置が設けてあること。

容器の腐しょく防止措置 目 視 バルク容器・付属機器等の発錆が 著しくないこと。 ○

(2) 供給開始時および1年に1回以上行う点検

表5-6に掲げる点検項目、点検方法および判定基準に基づき点検を実施する。

表5-6 バルク供給設備点検表

(供給開始時および1年に1回以上、記載の日から2年間保存)

点 検 項 目 点検方法 判 定 基 準

適 用 区 分

バルク容器 3,000㎏以上 10,000kg未満

バルク貯槽 1,000㎏以上 3,000㎏未満

バルク貯槽 3,000㎏以上 10,000kg未満

地下室等に係る供給管及 び白ガス管等の埋設管供給管の漏えい試験 (ポリエチレン管を使用 している供給管を除く。)

自記圧力計等 石けん水又 は検知器

例示基準第29節、第41節(埋設管)の漏えい試験方法により漏えい試験を行いガスの漏えいがないこと。 漏えい検知装置の漏えい表示がないこと。

○ ○ ○

-110-

点 検 項 目 点検方法 判 定 基 準

適 用 区 分

バルク容器 3,000㎏以上 10,000kg未満

バルク貯槽 1,000㎏以上 3,000㎏未満

バルク貯槽 3,000㎏以上 10,000kg未満

地下室等に係る供給管に 設けた緊急遮断装置 (300kg以上の貯蔵施設 に係る供給管に限る。)

作動試験 緊急遮断装置が設置され、その開閉状況に異常がないこと。 ○ ○ ○

(3) 供給開始時および2年に1回以上行う点検

①点検:表5-7参照

②記録の保存:記載の日から2年間

表5-7 バルク供給設備点検表

点 検 項 目 点検方法 判 定 基 準

適 用 区 分

バルク容器 3,000kg以上 10,000kg未満

バルク貯槽 1,000㎏以上 3,000㎏未満

バルク貯槽 3,000㎏以上 10,000kg未満

消火設備 目 視

消火能力A‐4およびB‐10以上の消火器が定位置に定数置いてあること(貯蔵量1,000kgにつき1個以上以上)。 消火器は、破損その他の異常がなく、良好な状態に維持されていること。

消火設備 目 視

消火能力A‐4およびB‐10以上の消火器が定位置に定数置いてあること(貯蔵能力が2,000kg以下の場合2個以上、2,000kgを超える場合3個以上)。 消火器は、破損その他の異常がなく、良好な状態に維持されていること。

防消火設備 目 視

対象設備の規模に応じ、適切なものが設けられており、破損その他の異常がないこと。 散水設備にあっては、5L/min・㎡以上の水量で散水できるもの。 消火栓にあっては、筒先圧力が0.245MPa以上で放水能力350L/min以上のものであること。

安 全 弁 石けん水又 は検知器

弁取付部からガスの漏えいがないこと。 ○ ○

目 視 安全弁の元弁が開かれていること。

安全弁の放出管 目 視 レインキャップが確実に取り付けられていること。 放出管の内部に雨水が入っていないこと。

○ ○ ○

液 面 計 目 視 使用上有害な傷、割れ、その他の欠陥がないこと。 ○ ○ ○

-111-

点 検 項 目 点検方法 判 定 基 準

適 用 区 分

バルク容器 3,000kg以上 10,000kg未満

バルク貯槽 1,000㎏以上 3,000㎏未満

バルク貯槽 3,000㎏以上 10,000kg未満

カップリング用液流出防 止装置、液取入弁(バルブ)

目 視 弁(バルブ)取付部、カップリング接続部、弁(バルブ)、カップリングからガスの漏えいがないこと。

○ ○ ○

均圧弁(バルブ)、カップリング 目 視

弁(バルブ)取付部、カップリング接続部、弁(バルブ)、カップリングからガスの漏えいがないこと。

○ ○ ○

プロテクタ 目 視 使用上有害な割れ、その他有害な損傷がないこと ○ ○ ○

バルク貯槽の腐しょく防止措置 目 視 バルク貯槽の発錆が著しくないこ

と。 ○ ○

地下埋設バルク貯槽の腐しょく防止措置

電位測定 飽和硫酸銅電極でバルク貯槽の対地電位を測定し-850mV以下であること。 ○

電流測定 マグネシウムの発生電流を測定し、 許容電流内であること。

地上設置バルク貯槽の大 地との接地 目 視

設置接続線は、5.5m㎡以上(単線を除く。)あり、容易に腐しょく、断線しないものであること。確実に接続されていること。

バルク貯槽の基礎 目 視 バルク貯槽の支柱または底部若しくは架台が同一の基礎にアンカーボルトにより確実に固定されており、基礎、支柱等の破損がないこと。

地上設置バルク貯槽及び 支柱の耐熱構造又は、冷却用散水装置

目 視

バルク貯槽および支柱の断熱構造の有無、破損その他異常がないこと。規定の能力を有する散水装置等が設けられており、正常に作動し、散水状態に異常がないこと。

静電気除去措置 目 視 対象設備に確実に接続された接地接続線が設けられており、断線その他の損傷がないこと。また接地抵抗が総合100Ω以下であること。

-112-

(4) 供給開始時および4年に1回以上行う点検

①点検:表5-8参照

②記録の保存:次回の点検日まで

表5-8 バルク供給設備点検表

点 検 項 目 点検方法 判 定 基 準

適 用 区 分

バルク容器 3,000㎏以上 10,000kg未満

バルク貯槽 1,000㎏以上 3,000㎏未満

バルク貯槽 3,000㎏以上 10,000kg未満

保安物件に対する距離 目 視

・第1種保安物件 バルク容器の外面から16.97m以上の距離を有すること

・第2種保安物件 バルク容器の外面から11.31m以上の距離を有すること

上記の距離が確保できない場合は、所定の強度を有する障壁が設置してあること。

保安物件に対する距離 目 視

〈1,000kg以上3,000kg未満〉 バルク貯槽の外面から、第1種保安物件、第2種保安物件に対し、7m以上の距離を有すること。 上記の距離が確保できない場合は、 所定の強度を有する構造壁、障壁等を設け、又はバルク貯槽を埋設すること。 〈3,000kg以上〉 ・第1種保安物件

バルク貯槽の外面から16.97m以上の距離を有すること。

・第2種保安物件 バルク貯槽の外面から11.31m以上の距離を有すること。

上記の距離が確保できない場合は、 所定の強度を有する障壁を設け、又はバルク貯槽を埋設すること。

○ ○

LPガス及び火気厳禁と朱書 目 視

バルク容器・バルク貯槽又は周囲の見やすい箇所に朱書すること。 表示が鮮明であること。

○ ○ ○

緊急連絡先の表示 目 視

バルク容器・バルク貯槽又は周囲の見やすい箇所に、緊急連絡先(保安機関の名称・所在地・電話番号)等を表示していること。 表示が鮮明であること。

○ ○ ○

自動車等車両が接触しな い措置 (地上) 目 視 バルク容器・バルク貯槽に車両が接

触しない措置を講ずること。 ○ ○ ○

埋設した場所に自動車等 車両が乗り入れない措置 (地下)

目 視 車両が埋設場所に乗り入れない措置を講ずること。 ○

埋設後の貯槽の位置を示 す標識杭 (地下) 目 視

バルク貯槽埋設後、四隅にバルク貯槽の埋設後の貯槽の位置を示すための標識杭が設置してあること。

バルブ、集合装置、供給 管の腐しょく防止措置 目 視 腐しょく防止措置が講じられ、発錆

が著しくないこと。 ○ ○ ○

-113-

点 検 項 目 点検方法 判 定 基 準

適 用 区 分

バルク容器 3,000㎏以上 10,000kg未満

バルク貯槽 1,000㎏以上 3,000㎏未満

バルク貯槽 3,000㎏以上 10,000kg未満

バルブ、集合装置、気化 装置、供給管等の漏えい試験(調整器まで)

石けん水又 は検知器

常用の圧力においてガスの漏えいがないこと。 ○ ○ ○

供給管、ガス栓等の漏え い試験(地下室等に係る供給管、白ガス管等の埋設供給管及びポリエチレン管を使用している供給管を除く。)

自記圧計等

石けん水又 は検知器

例示基準第29節、第41節(埋設管)の漏えい試験方法により漏えい試験を行いガスの漏えいがないこと。 漏えい検知装置の漏えい表示がないこと。

○ ○ ○

調整器の調整圧力及び閉そく圧力 自記圧計等

生活の用に供するものにあっては 調整圧力が2.3kPa以上3.3kPa以下であり、閉そく圧力が3.5kPa以下であること。 生活以外の用に供するものにあっては、使用する燃焼器に適合したものであること。

○ ○ ○

バルク容器の屋根又は遮へい板 目 視

バルク容器には不燃性又は難燃性の材料を使用した軽量な屋根又は遮へい板が設けられていること。屋根又は遮へい板に損傷がないこと。

〈通常の供給設備の点検項目〉

燃焼器入口圧力 自記圧計等

生活の用に供するものにあっては2.0kPa以上3.3kPa以下であること。 生活以外の用に供するものにあっては使用する燃焼器に適合した圧力であること。

○ ○ ○

供給管の危険標識 目 視

供給管を地盤面上に設置する場合においてその周辺に危害を及ぼすおそれのあるときは、その見やすい箇所に液化石油ガスの供給管である旨、供給管に異常を認めたときの連絡先その他必要な事項を明瞭に記載した危険標識を設けること。 表示が鮮明であること。

○ ○ ○

5.修理および清掃

修理および清掃は液石法規則第16条(販売の方法の基準)第19号および例示基準第10節で具体的

にその手順などが詳細に述べられているが、以下の通りである。

貯槽等の修理又は清掃(以下この節において「修理等」という。)は、次の基準によるものとする。

(1) 貯槽等の修理等を行う場合は、当該修理等の作業内容、日程、責任者その他作業担当区分、指

揮系統、保安上の措置、所要資材等を定めた作業計画を、あらかじめ当該作業の責任者及び関係

者に周知させるとともに、当該作業計画に従い当該責任者の監督のもとに行うこと。

-114-

(2) 貯槽等の修理等を行う場合は、次の基準により、あらかじめその内部の液化石油ガスを窒素ガ

ス又は水等液化石油ガスと反応しにくいガス又は液体で置換するものとする。

① 貯槽等の内部の液化石油ガスをその圧力がほぼ大気圧近くになるまで他の貯槽等に回収した

後、残留したガスを徐々に大気中に安全に放出し、又は燃焼措置に導き燃焼させること等によ

り大気圧になるまで放出すること。

② ①の処置をした後、残留ガスを窒素ガス又は水等液化石油ガスと反応しにくいガス又は液体

で徐々に置換すること。この場合、ガスの放出方法は、①の方法によること。

③ ①及び②の残留ガスを大気中に放出する場合にあっては、放出したガスの着地濃度が当該液

化石油ガスの爆発下限界の1/4以下の値になるよう放出管から徐々に放出させる方法により

行うこと。この確認は、ガス検知器で雰囲気を測定することにより行うこと。

④ 置換の結果をガス検知器により測定し、当該液化石油ガスの濃度が爆発下限界の1/4以下

の値になったことを確認するまで置換を行うこと。

(3) 次の条件にすべて適合する場合には、(2)②のガスの置換は省略することができるものとする。

① 当該貯槽等の内容積が1m3以下であること。

② 出入口のバルブが確実に閉止してあること。

③ 作業員がその貯槽等に入らない作業であること。

④ 火気を使用しない作業であること。

⑤ 貯槽等の簡易な清掃又はガスケットの交換その他これらに類する軽微な作業であること。

(4) 貯槽等の修理等のため作業員が当該貯槽等内に入る場合は、(2)のガス置換が完了した後、次に

定めるところにより当該ガス置換に使用されたガス又は液体を空気で再置換するとともに、当該

修理等の期間中酸素濃度の確認を行うこととし、(2)のガス置換を不活性ガスで行った場合は、酸

素濃度の測定を特に入念に行うものとする。

① 空気による再置換を行う前に、内部に残ったガス又は液体が空気と混合しても十分安全であ

ることを確認した後、(2)のガス置換の場合に準じて空気で置換すること。

② 空気による再置換の結果を酸素測定器等により測定し、酸素の濃度が18%以上22%以下にな

ったことを確認するまで空気による置換を行うこと。

(5) 貯槽等を開放して修理等を行う場合(作業員が貯槽等内に入らない場合も含む。)、他の部分か

らの液化石油ガスの漏えいを防止する等の措置は、その作業の内容等に応じ、次の基準により行

うものとする。

① (2)の措置が完了した後(開放する部分に設けた回収用配管等から直接液化石油ガスを回収す

る場合にあっては(2)の措置を行う前)、開放する部分の前後のバルブを確実に閉止し、かつ、

解放する部分におけるバルブ又は供給管の継手に仕切板を挿入すること。ただし、(3)に規定す

る場合にあっては、仕切板の挿入を省略することができるものとする。

② ①の措置を講じたときは、バルブの閉止箇所又は仕切板の挿入箇所に操作又は取り外し禁止

を明示する標示を施すとともに、施錠、封印又は監視員を配置する等の措置を講ずること。

この場合、計器盤等に設けた操作ボタン及びハンドル等にも同様の措置を講ずること。

-115-

(6) 貯槽等の修理等が完了した場合は、次の基準に従って確認を行うものとする。

① 耐圧強度に関係のある部分の溶接による補修の実施又は腐しょく等により耐圧強度が低下し

ていると認められる場合は、非破壊検査、耐圧試験等により耐圧強度を確認すること。

② 気密性能に影響を及ぼす修理等を行った場合にあっては、気密試験を行い、漏えいのないこ

とを確認すること。

③ 計器類が所定の箇所において正常に作動することを確認すること。

④ 修理等のために開放した部分のバルブ等の開閉状態が正常に復旧され、挿入した仕切板の取

り外し及び標示等の撤収がなされていることを確認すること。

⑤ 安全弁、逆止弁、緊急遮断装置その他の安全装置が、所定の箇所において異常のないことを

確認すること。

⑥ 当該貯槽等の内部の空気が不活性ガスで置換されていることを確認すること。

6.バルク貯槽および附属機器の検査

バルク貯槽及び附属機器の検査は、液石法第16条(基準適合義務)第 1 項、同法規則第16条(販

売の方法の基準)第22号、及び同法バルク供給・充てん設備告示第1条(バルク貯槽又はバルク容

器の機器の検査)に規定されている。

6.1 バルク貯槽の検査

(1) 検査の期間

① 製造した後の経過年数が20年以下のもの 20年

② 経過年数が20年を超えるもの 5年

(2) 検査の内容

① 外観検査

バルク貯槽の外面について、目視および非破壊検査により、腐食、割れ、傷、変形等の欠

陥がないことを確認する。

② 肉厚測定

バルク貯槽の鋼板の厚さを測定し、 小厚さ以上の厚さであることを確認する。

③ 耐圧試験

常用の圧力の1.5倍以上の水圧により試験を行い、膨らみ、伸び、漏れ等の異常がないこ

とを確認する。ただし、①の非破壊検査において欠陥がないことが確認された場合を除く。

④ 気密試験

常用の圧力以上の空気その他の危険性のない気体により行い、漏れがないことを確認する。

-116-

6.2 附属機器の検査

(1) 検査の期間

① 安全弁 5年

② 安全弁以外の附属機器で、経過年数が20年以下のもの 20年

③ 経過年数20年を超えるもの 5年

(2) 検査の内容

① 外観検査

附属機器を分解し、外面について目視および非破壊検査により、腐食、割れ、傷、変形等

の欠陥がないことを確認する。

② 肉厚測定

附属機器の耐圧部分の厚さを測定し、 小厚さ以上の厚さであることを確認する。

③ 気密試験

常用の圧力以上の空気その他の危険性のない気体により行い、漏れがないことを確認する。

④ 性能試験

附属機器の性能又は作動試験を行い、性能を確認する。

6.3 検査の実施

バルク貯槽およびその附属機器の検査は高圧ガス保安協会認定のプラント検査事業所、指定特

定設備検査機関等で実施するのが望ましい。

7.帳簿の保存

点検記録簿は記載の日から2年間保存する。ただし、 次に実施されるまでの期間が2年を超える

ものは次回の実施日まで保存する。

-117-

第6章 充てん設備(バルクローリ)の点検

1.完成検査

充てん設備を製作したとき、その所在地、構造、設備又は装置を変更したときは、都道府県知事、

高圧ガス保安協会又は指定完成検査機関が行う完成検査を受ける。

液石法第37条の4(充てん設備の許可)

液石法規則第68条(充てん設備の完成検査の申請等)

第69条(協会等が行う完成検査の申請等)

第70条(協会等の完成検査の報告)

第71条(充てん設備の完成検査の方法)

2.点検者

充てん作業者講習の課程を修了したものとする。

液石法第37条の5(液化石油ガスの充てんの作業等)

液石法規則第74条(充てんを行う者の講習)

第75条(講習修了証の交付)

第76条(講習の細目)

3.日常点検

高圧法液石則第48条第11号に規定される。

充てん設備の移動を開始するときおよび移動を終了したときは、ガスの漏えい等の異常の有無を

点検し、異常のあるときは、補修その他の危険を防止するための措置を講ずる。

3.1 移動開始前後の点検

(1) 車両の点検

道路運送車両法に基づく自動車運行前点検基準により車両の点検を行う。

(2) 充てん設備の点検

充てん設備の移動を開始するときおよび移動を終了したとき、充てん設備の点検を行う。

3.2 積込みおよび積込み後の点検

充てん設備の容器へLPガスを積込む前および積込み後に、充てん設備の点検を行う。

高圧法第23条(移 動)

高圧法液石則第47条(移動に係る保安上の措置および技術上の基準)

第48条(車両に固定した容器による移動に係る技術上の基準等)

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4.点検項目

4.1 車両の運行前点検項目 点 検 箇 所 点検項目 点 検 の 実 施 方 法

前日の異常箇所 当該箇所の異常 前日または前回の運行中に異常を認めた箇所について、運行に支障がないかを 点検する。

運 転 席 の 点 検

ブレーキペダル 踏みしろ、 ブレーキのきき 片ぎき

ペダルをいっぱいに踏み込んだとき、床板とのすき間(踏み残ししろ)や踏み ごたえが適当であるかを点検する。 床板とのすき間が少なくなっている時や踏みごたえがやわらかく感じるときは、 ブレーキ液の漏れ、空気の混入によるブレーキのきき不良や片ききの恐れがあ る。

駐車ブレーキ およびレバ一

引きしろ レバーをいっぱいに引いたとき、引きしろが多すぎたり、少なすぎたりしない か点検する。

燃料装置 ※燃料の量 エンジンスイッチを入れ、燃料計により燃料の量が十分であるかを確認する。

◎空気圧力計

空気圧力の上が り具合

エンジンをかけ、空気圧力の上がり具合が極端に遅い等の異常がないかを点検 する。

空気圧力 エンジンをかけ、空気圧力が圧力計の表示された範囲にあるかを点検する。

◎ブレーキバル ブ

排気音 ブレーキペダルを踏み込んで離した場合に、ブレーキバルブからの排気音が正 常であるかを点検する。

後写鏡 写影 運転席から見て、後方や側方の状況が十分に確認できるかを点検する。

アンダーミラー 写影 運転席から見て、車の直前や左前の状況が十分に確認できるかを点検する。

エ ン ジ ン ル ー ム の 点 検

ブレーキのリザー バタンク

液量 ブレーキオイル用タンク内の液量が不足していないかを点検する。

ラジエターの 冷却装置

※水量 ラジエター用リザーバタンク内の水量が不足していないかを点検する。 リザーバタンクの無いものは、ラジエターキャップを外して点検する。

※水漏れ ラジエター本体およびラジエターホースなどから水漏れがないかを点検する。

潤滑装置 ※エンジンオイ ルの量

オイルの量がオイルレベルゲージに示された範囲にあるかを点検する。

ファンベルト ※張り具合、損傷 (1) ベルトの中央部を手で押し、ベルトが少したわむ程度であることを点検す る。 (2) ベルトに損傷がないかを点検する。

車 の 周 囲 か ら の 点 検

灯火装置 方向指示器

点滅具合、汚れ、 損傷

(1) エンジンキーを入れ、前照灯、尾灯、番号灯、制動灯、車巾灯などの点灯 装置や方向指示器の点滅具合が不良でないかを点検する。 (2) レンズに汚れや損傷がないかを点検する。

タイヤ

空気圧 タイヤの接地部のたわみ状態により、空気圧が不足していないかを点検する。

亀裂、損傷 タイヤの接地面や側面に、著しい亀裂や損傷がないかを点検する。

異常な磨耗 タイヤの接地面が異常に磨耗していないかを点検する。

※金属片、石など 異物

タイヤの接地部や側面に、釘、石その他異物が刺さったり、くい込んだりして いないかを点検する。

※溝の深さ 溝の深さに不足がないかを、ウエアインジケータなどにより点検する。

反射器 反射器に汚れや、損傷がないかを点検する。

自動車登録番号標 または車両番号標

汚れの汚損 自動車登録番号標または車両番号標に汚れや、損傷がないか、確実に取り付け られているか、また、番号などが明確に表示されているかを点検する。

エアータンク タンク内の凝水 ドレンコックを開いて、タンク内に水が溜っていないかを点検する。 (注)1.※印の点検項目は、80km/時以上で走行できる高速道路などを走行する予定がない場合には、行わなくてもよいものを示す。 2.◎印の点検箇所は、エアーブレーキまたはアンダーミラーが装着されている場合には点検を行う。

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4.2 充てん設備の移動開始前および終了時の点検項目

点検項目

点 検 内 容 移動前後

前 後

車 両 関 係 運行前点検(運輸省告示参照)で異常の無いこと。

警 戒 標 「高圧ガス」の表示が明瞭で汚損等が無いこと。

容 器

外 面 打痕、スリ傷、塗装の剥がれ、錆の発生等が無いこと。

マ ン ホ ー ル ボルトの取付状態は正常で、漏れが無いこと。

表 示 関 係 LPガス、燃、FP等表示が明瞭で汚損が無いこと。

附 属 品 操 作 箱 開閉が容易で変形損傷が無くロック装置に異常が無いこと。

弁 類

止 め 弁 閉止状態(圧力計元弁を除く。)であり、ガス漏れ等異常が無いこと。

緊急遮断装置 操作機構に異常がなく、閉止状態であること。

安 全 弁 キャップの固定状況等に異常がないこと。

計 器 類

圧 力 計 ガラスに損傷がなく、指示値が正常な値であること。

温 度 計 ガラスに損傷がなく、指示値が正常な値であること。

液 面 計 取付け状態が正常であり、変形、損傷がないこと。

流量計(注1) 損傷、変形等がなく、接続部に漏れがないこと。

配 管 変形、錆、漏れがないこと、ボルトの緩みがないこと。

充 て ん ホ

ー ス

充てんホース 磨耗状態、膨らみ、異常なねじれがないこと。

安 全 継 手 変形、損傷がないこと。

セイフティーカップリング 変形、損傷がないこと。

ホースリール 変形、損傷がなく、正常に固定されていること。

ポ ン プ 等 変形、損傷がなく、正常に固定されていること。

安 全 装 置 関 連 機 器 類

ガス漏れ検知器 変形、損傷がなく、インターロック操作盤にて正常回路を確認。

振動等検知器 変形、損傷がなく、正常に固定されていること。

いたずら防止装置 リミットスイッチの動作を手で確認すること。

誤発進防止装置 リミットスイッチの動作を手で確認すること。

警報表示関係 ランプ、ブザー等が正常状態であること。

遠隔操作装置 変形、損傷がないこと。

積込み用カップリング 正規に取付けられていること。

接地導線(アースワイヤー) クリップ等に錆がなく、断線していないこと。

高 さ 検 知 棒 取付け状態を確認すること。

消 火 器 取付け状態、有効期限等に異常がないこと。

携 行 資 材 等 必要な資材が積載されていること。

必 要 書 類 移動計画書(注意書)、資格証等を携行すること。

(注)1 構造の違いにより設けられていないものもある。

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4.3 充てん設備のLPガス積込前および積込後の点検項目 点検項目 点 検 内 容 判 定

弁 類

止 め 弁

ハンドル操作に異常がなく、漏れがないこと。(開閉時)

確実に閉止されていること。(充てん後)

緊急遮断装置

開閉操作に異常がないこと。(開閉時)

開閉状態を確認すること。(充てん後)

計 器 類

圧 力 計 指示値が正常であること。(基地の圧力計と比較)

温 度 計 指示値が正常であること。(基地の温度計と比較)

液 面 計 充てん量が正常であること。(基地の流量計と比較)

流量計(注1) 充てん量が正常であること。(基地の流量計と比較)

配 管 漏れがないこと。(充てん前後)

積込み用カップリング

Oリングに損傷がないこと。(キャップ取外し時)

確実に取り付けること。(充てん後)

接地導線(アースワイヤ) クリップ等に錆がなく、断線していないこと。(接続時)

附 属 品 操 作 箱 ロック装置が損傷していないこと。(発進前)

(注1)構造の違いにより設けられていないものもある。

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5.異常時の措置

異常を発見したときは、次の措置を行う。 漏れの部位 原 因 対 処 方 法 注 意 方 法

フランジ部

・締付けトルク不足 ・ゆるみ

・増し締めをする。 ・片止めとならないよう対角に締め 込む。 ・締め過ぎに注意する。 ・締め過ぎによるガスケ

ットの圧壊。 ・ガスケット不良の場合 は交換する。

配 管

・腐食による穴空き ・配管を交換する。 ・専門業者へ委託 ・ガス置換が必要。

・溶接ビードのピンホー ル等 ・亀裂

溶接補修 ・専門業者へ委託 ・ガス置換が必要。 ※応急措置:ビニールテープ等によ り漏れ部分を多重巻きにする。

バルブ(1) グランド漏れ

・グランド漏れは経年摩 擦により発生する。

・漏れが止まるまでグラ ンドナットを締め込む

・締め過ぎの場合はさらに漏れが増 加するときもある。

・締込み代が無い場合は、 グランドパッキンを追 加または交換する。

・専用のパッキンを使用すること。

バルブ(2) ボディー漏れ

・鋳物の巣漏れ ・溶接補修 ・部品交換

カップリング (ホース先端)

・異物かみ込み ・分解整備 ・同時に他の部品も点検すること。

・シートパッキン摩耗 ・シートパッキン交換 ・同時に分解整備を行ったほうが良 い。

・定期整備不良 ・整備不良

カップリング (積込み口)

・Oリング摩耗 ・交 換 ・常時予備を用意する。

・本体の摩耗 ・交 換 ・相手側も確認が必要。

6.保安検査

充てん設備について、1年に1回、都道府県知事、高圧ガス保安協会または指定保安検査機関が行

う保安検査を受ける。

液石法第37条の6(保安検査)

液石法規則第81条(充てん設備の保安検査)

第82条(協会等が行う保安検査の申請等)

第83条(協会等の保安検査の報告)

第84条(保安検査の方法)

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7.軽微な変更

充てん設備について、次の変更をしたときは、充てん設備の許可をした都道府県知事へ届け出

る。

① 液化石油ガスの通る部分(液石法規則第64条第 1 項第 4 号の規定により製造した同型式のも

のに限る。)の取り替え。

② 液化石油ガスの通る部分以外の充てん設備に係る設備の取り替え。

③ 充てん設備の廃止

液石法規則第66条(軽微な変更)

第67条(充てん設備の軽微な変更の届出)

8.帳簿の保存

次の場合の区分に応じた所定の項目を記載した帳簿を記載の日から2年間保存する。

① 充てんした場合

② 充てん設備の保安検査を受けた場合

③ 充てん設備に異常があった場合

液石法第81条 (帳簿の記載)

液石法規則第131条(帳簿)

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参 考

配送件数シミュレーション

比較的小型のバルクローリにより、かつ、供給地点が積込み基地から近隣に点在することを

前提に、一日に配送可能な件数についてその一例を示す。

1.月間配送量を販売計画とし、月間稼働日数により一日の配送量を決める。

2.一日の配送量が決定(仮定)されたら、バルクローリを何回転させるのか検討する。必ずし

も2回転、3回転ではなく、1.5回転と考え二日分で考慮しても良い。

3.これにより、バルク貯槽の設置の検討に入り、設置するバルク貯槽の大きさ、次の貯槽への

移動時間等、バルクローリ1台分がちょうど空になるように計画する。

その際大切なことは、空になった時、ローリに積込むための帰路の時間をも検討に加える。

4.効率良く回転させるには、何トン積のバルクローリを導入すれば良いかの検討に入る。逆に

ローリの積載量を先に仮定し、移動計画を立て、バルク貯槽の大きさを決定しても良いと考え

る。

5.注意すべき点は、バルクローリの充てん質量が3トンを超えると、保安法の貯蔵所規定に適合

する車庫が必要となる。

メーカでは、旧普通免許である限定中型免許(GVW(車両総重量)8tに限る)で運転で

きる車両や中型免許や大型免許で運転可能な大きな積載量のバルクローリが標準設定されて

いる。

6.消費者の月間消費量により、大口消費、一般家庭等も総合的に計画し、導入当初は効率が悪

くても、普及が完了し、バルクローリが月間フル稼働した場合の効率を 終目的として、長期

的な検討が必要と考えられる。

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お問合せ

高圧ガス保安協会

〒105-8447

東京都港区虎ノ門4丁目3番13号

TEL 03-3436-6108

平成21年度 経済産業省委託事業