第6研修会 資源循環共生圏の中で、共に働く場所をつくる...第6研修会...
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第6研修会
資源循環共生圏の中で、共に働く場所をつくる
愛知県津島市のしげんカフェが始まったのは2013年。しげんカフェシステムズに加わる団体は5団体となり、東京にも拡がってきています。ソーネおおぞねでも、昨年から準備が始まり、更に地域のリサイクル拠点として発展しようとしています。
【司会】
浅井 直樹 さん (一般社団法人 しげんカフェシステムズ)
1952年生まれ。67歳。大谷大学文学部史学科中退。町工場の現場を経て1980年3月津島市役所入職。津島市の資源分別収集の企画、住民対応を担当し、その後16年にわたって清掃事務所に在職。卸売市場を経て生活環境課統括主任で2011年津島市役所退職。元環境省認定環境カウンセラー(事業系)。廃棄物処理施設技術管理者(一般・産業全種目)。主な専門は最終処分場の計画、設計施工管理、埋立管理。市民参加、廃棄物処理計画、分別収集計画など行政計画。共著に「循環型社会キーワード辞典」中央法規出版(2007)。2017年2月一般社団法人しげんカフェシステムズ設立。代表理事。2019年2月愛知環境省優秀賞受賞。2019年1月ソーネ大曽根愛知まちなみ建設賞受賞。
【発題者】
齊藤 有子 さん (企業組合 あうん)
和田 安希代 さん (ワーカーズ・コレクティブ スーユンタン)
松村 水津彦 さん (ソーネしげん)
斎藤有子 (企業組合あうん)
プロフィール
2007 年より野宿者支援の炊き出しに参加を始める。そこでの縁をきっかけに「フー
ドバンク(現:一般社団法人あじいる)でボランティア活動を始め、貧困や差別、排除
の問題などを知り当事者として問題意識を持つようになる。その活動を続けながら
2009 年より職場を「企業組合あうん」に移す。労働者全員の時給が同じである平等
性やあらゆる事を労働者全員で決めるという仕組みの壮大さと貴重さ、そして難しさ
に心揺れながら働いている。
発言要旨
東京都荒川区で便利屋業とリサイクルショップを運営する「企業組合あうん」は今
年4月より新たに「しげんカフェ」の取り組みを開始しました。
日雇い労働者の暮らす山谷からほど近く、在日韓国人や中国・ベトナム・ネパールな
ど多様なルーツを持つひとが暮らす街荒川区に拠点を構え、あうんで働くスタッフも
元野宿者・引きこもり経験者、シングルマザーなど多様です。何者かわからない私た
ちの働く姿を実際に見て認めてくださった地域の人たち、また多様な人が平等に働く
実践場所を応援くださる方に支えられ設立より 17年経ちました。
自分たちが生活していけるだけのお金を自分たちで稼ぎだすことに日々悪戦苦闘
しながらも、この小さな集まりを越えて地域に何か還元できないかという問いの「しげ
んカフェ」が始まりました。地域で暮らす人たちが安心してまた安価に利用できるカフ
ェをつくること。資源の集荷や売却にはあうんを中心として様々な団体や人がかかわ
り、やりがいを見つけられる場所をつくること。また困難な状況にある子どもたちや就
学期を終え働き始める青年たちを仕事の面から応援し支えていく仕組みをつくること
を私たちの新しい一歩と考え歩き始めました。
4 月から始まったこの「しげんカフェ」の取り組みには企業組合あうんならではの特
徴があります。始めるにあたっては、現行の事業(引越し片付け等の便利屋業・リサイ
クルショップ運営)とこの資源の買取り・売却がとても相性がいいということもありまし
た。仕事から資源が生み出されるので、その回収量が安定しやすいという面がありま
す。そして設立当初より協力関係にある生活困窮者支援を行うボランティア団体「一
般社団法人あじいる」に週1回資源の買取りを委託、その日の売上げは全てあじいる
にお渡しします。その資金がボランティア団体の活動の応援にもなるということです。
あじいるに関わる元路上生活者や生活保護利用者が台車を押して商店街をまわり、
ドラッグストア・八百屋・社会福祉協議会のスタッフから「お疲れ様」などと声をかけて
いただきながら資源を介して顔の見える関係性が生まれています。また、資源の買取
りを行う際に発生する買取りポイントは地域の子どもを支えるボランティア団体「あら
かわ子ども応援ネットワーク」へ寄付もできる仕組みです。地域の人たちが持ち寄る
古紙・缶・古着が、また様々な経験してきたおじさん・おばさんたちの集めた資源が子
どもたちを応援する資金に変わる。これまで交流のなかった人同士が資源を介してつ
ながっていく。しげんカフェは地域の交流を身近な方法で生み出す新たな取り組みで
す。
4 月から始まったばかりの新しい取り組みなので現在全てが手探り状態とも言えま
す。
全国に広がる「しげんカフェ」を取り組む仲間たちと一緒に、これから資源買取り事
業をはじめようとする人の何かのきっかけになればいいなと思っています。
和田 安希代
プロフィール
ワーカーズ・コレクティブ スーユンタン:事務局
ともっと事業体:代表
東京ワーカーズ・コレクティブ協同組合:副理事長
NPOアビリティクラブたすけあい監事
NPO人とまちづくり(居宅支援事業所)監事
福島のこども保養 inあきる野実行委員(2013~2019)
東京都東村山市在住。高畠有機農研「東村山・土の会」活動を経てチェルノブイリ
原発事故(1986 年)を契機に生活クラブ活動を開始。
1997~2000:多摩きた生活クラブ生協理事長
2001~2004:東京生活クラブ生協理事長
しげんカフェ スーユンタン
2009年スーユンタンの設立 障がいがあってもなくても地域で共に働く事業所をメンバー8 名でつくる。 縫製、衣類のリメイク、リフォーム、手作り品販売事業からスタート。
2012年:ナチュラルクリーニング、生活クラブより清掃受託 2014年:チラシ配布、草取り 2015年:各ワーカーズ、生活クラブへの事業の切りだしを依頼 2016年:「共に働くワーカーズえんこらしょ」設立支援 2017年:たすけあいワーカーズ、デポー棚だし作業、
生活クラブバックヤードの R瓶片付け、パン屋の配送などの切りだし事業開始
2018年:スーユンタン分割により、「ワーカーズなちゅらる」設立 2019年:「しげんカフェ」事業に挑戦 ■しげんカフェの目的 スーユンタンは参加メンバーの状況に応じた働き方が出来るための様々な事業展開を目指している。しげんカフェを新たな事業として働く場を拡げる。 再資源化は使用しなくなったものをごみとして廃棄するのではなく、資源として生かす事でごみ処理にかかる経費の削減、行政リサイクルとしての税金の削減に貢献する事業である。また再利用、再使用、発生抑制、事業者責任の意識化を事業をとおして拡げることができる。
■東村山での展開 2019年 6月オープン 東村山拠点:東村山デポーに隣接している立地を生かす。
コアとなる人が見える⇒東村山組合員 2,700人 えんがわサポーター ACT会員 280人 地域の方 運動グループがある
■デポー併設のしげんカフェの事業イメージと設計 現在の東村山事務所は、デポーの裏側にあり、デポー来店者が合わせて資源を持ち込む事が可能であるという利点あり。また資源を持ち込むついでにデポーに来店するという相互の利点がある。 雑紙・新聞紙・雑誌・段ボール・古本・衣類・缶を買取り、回収業者 KK 宮崎に売払い+本のネットショップ「ワセダブックス」販売で人件費、家賃などの固定費を賄う計画。買取りはポイントで 100㌽ 100円に換金(デポーでの買い物に使用可) ポイント買取りは生活クラブ原資でおこなう。 ポイント還元は定期的な来店(しげんカフェ&デポー)につながる。 9 月より本の回収で「本のネットショップ」販売をおこなう。⇔「本棚すっきり研究所」と連携。本の評価、PCへのアップ、販売確定後のクリーニング、発送作業など、店番をしながらできる仕事であり、収益がみこまれる。 衣類は運動グループである「本町まちの縁がわ(居場所事業)」に回し、リサイクル事業の原資にしてもらう。また埼玉ユニオンのリサイクルワーカーズからは買取り仕入れの話がある。
■月の回収(4日/週開店)7月の状況 1人 13kg平均×5人/日(0.2%来所者)×16日=1,040kg(1t)+α
事業強化
1)拠点回収:毎月第 2金曜日 運動グループ、支援団体 2)本のネット販売⇒ワーキングバリアフリーとの連携(ノウハウの提供) 3)回収を地域に広げる 4)アルミ缶、スチール缶回収 5)日曜日はポイント 2倍 6)家賃引き下げ交渉中
スーユンタンメンバーの変化
「しげんカフェ」開始によりサブメンバーからワーカーズメンバーに 1人参加 現在:メンバー5人+サブメンバー9人
スーユンタンのモットー
ひとり一人の出来る事出来ない事を組み合わせて仕事にとりくむ 周りを巻き込んで仕事にとりくむ しげんカフェへの持ち込み者の参加型事業にしていく