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知ってると便利なテクニック集
外気風設定時の解析領域
屋外空間をモデル化する際に、解析領域をどのくらい確保すれば良いでしょうか。
オブジェクトサイズ
『オブジェクトのサイズがジオメトリに表示されない』ということはありませんか?
第8号
外気風設定とは
<ジオメトリ>
<グループ化の利用>
解析領域のサイズ
1
http://www.akl.co.jp/faq/phps/callpage.php?id=208
風下側からの逆流に注意
詳しくは
FlowDesignerの解析領域は、熱・気流を通さない壁面に囲まれた空間です。屋外空間の解析を行う場合は、「解析」メニュー>「設定」>「外気風速」で『外気条件設定』にチェックをつけます。すると、風上側の解析領域面全面に吹出口、風下側の解析領域面全面に外部開口部が疑似的に配置されます。(キャンバス上には表示されません。)これにより、解析空間を大きな屋外空間と見立てて解析を行うことができます。
オブジェクトサイズ(以下サイズ)は、そのオブジェクトを選択した状態で画面右下の「ジオメトリ」で確認することができます。しかし、任意形状のオブジェクトはサイズを規定することが難しいため、直方体形状・パネル形状のオブジェクトしかサイズが表示されません。
オブジェクトを選択
サイズが表示されない?
『グループ化』は通常複数のオブジェクトを、まとめて1つのオブジェクトとして扱いたい時に使用します。しかし、任意形状のサイズを知りたいときにも有効です。 サイズを知りたい任意形状のオブジェクトを選択してグループ化します。見た目は変わりませんが、ジオメトリにサイズが表示されるようになります。 正確にはオブジェクトに外接する直方体(バウンダリーボックス)のサイズが表示されます。 ジオメトリに表示された数値を変更すれば、任意形状のオブジェクトの高さ変更、拡大・縮小等の操作もできます。
外気風設定で屋外解析を行う際には、建物の大きさに対して、外気風の水平方向には3~5倍以上、垂直方向には2倍以上の解析領域を確保することをお奨めします。特に風下側には十分に解析領域を確保するようにしてください。(理由は次項をご覧下さい)
外部開口部は、流入・流出のどちらにもなり得るオブジェクトです。そのため1つの外部開口部から、流入も流出もあるような状態では解が定まりにくく、計算が不安定になりやすい傾向にあります。 外気風設定では風下側の解析領域面に、外部開口部が疑似的に配置されます。そのため、風下側の領域拡張が不十分な場合、解析領域外からの逆流が起こり、不安定な結果となる可能性があります。特に風下側は十分に領域を確保するようにしましょう。
良い例:十分に領域拡張
悪い例:領域拡張が不十分
風下側(外部開口部)
風下からの 流入がない
風下からの 流入がある
建物
3~5倍以上
2倍以上
水平方向 垂直方向
外気風設定なし 外気風設定あり
外部開口部
吹出口
実際にキャンバス上には表示されないが、 擬似的に吹出口・外部開口部が配置される
解析領域面すべてが断熱の壁となっており、閉ざされた空間
風上側
風下側
6面すべてが断熱の壁
他の面は 断熱の壁
<外気風設定をすると>
グループ化
上記は、あくまでオブジェクトの大きさの確認・変更するための操作なので、グループ化の必要がなければ、確認後グループ化解除を忘れずにしましょう。
サイズが表示されます(※)
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喫煙スペースの排煙解析
目的
事務所における喫煙環境の問題は近年、急速にクローズアップされている。事務所の一角を喫煙スペースとして設ける場合、効率的な分煙環境を実現できるか重要な考慮をすべき点となる。
解析結果の評価
2
FlowDesigner の 解析事例
ケーススタディ
最小限の設備変更による改善効果をシミュレーション検討する。フロアには複数の会議スペースがあり、その中の1区画が喫煙エリアとして確保されている。特定の空間を喫煙領域とした場合の分煙効果を解析する。既設の【天井アネモ】は、現状吹出ダクトとして機能しているが、これを吸込口に変更した場合、どのように変化するかを観察する。
ケース1(現状) :【天井アネモ】を吹出とする。
ケース2(改善案):【天井アネモ】を吸込とする。
解析モデル
ケース1(現状)のモデルでは、タバコの発塵が始まってから20分後には、隣接する会議スペースそれぞれの空調機の吸込口まで広範囲に到達している。特にフロア中央に位置する会議スペースへの流入は大きく、喫煙エリアの天井に設置されたアネモから吹出す気流が影響していることがわかる。
2
解析結果
解析空間: 25 x 14 x 5 [m]
吹出口 2 m/s 23℃
天井開口
生産機械発熱 5000W
外気温度 36℃
壁・天井の 熱貫流率
6W
ケース1(現状)
ケース2(改善案)のモデルにおいても、喫煙スペース自体が解法領域(壁面で領域を区分していない)であるため完全に遮断することはできなかった。しかし濃度分布をみると喫煙スペース外への流出濃度が半分以下に抑えられており、煙分散防止に効果があることが確認できた。これに空気清浄機やエアーカーテンなどの追加設備を設けるとさらに高い効果が期待される。
非定常解析を行う。会議フロア全体に(27m×22m)をシミュレーション上で再現する。 解析モデルは下図の通りで、青枠内が喫煙スペースを表す。
設定条件
水色:アネモ吸込 18.7 (m3/min) 大小アネモを12基設定、総吸込み風量58.4(m3/min) 緑色:カセット型空調機(4方向吹出し中央部で吸込)12(m3/min) × 9基 またこの他に壁面に開口部を設定し風量バランスを取る。 解析領域: 27m × 22m × 2.6m 要素数 : 約50万 解析時間: 非定常20分間(1秒刻み)
ケース2(改善案)
ケース1(現状)
:アネモ
:カセット
:煙発生源
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桃瀬先生の流体解析講座
8.流体運動の記述 – 質量保存
3
桃瀬 一成 (工学博士)
現アドバンスドナレッジ研究所の取締役・技術フェロー。FlowDesignerに搭載されている逆解析機能の開発者。元大阪大学大学院基礎工学研究科の准教授で2011年よりアドバンスドナレッジ研究所の専任開発に従事。
の関係が成り立ちます。 このような質量 を検査質量(Control Mass)といい
ます。そして、この検査質量に質量保存の法則を適用しますと、野球のボールの場
合と同様に、
*1
*1
つぎに本題の流体の運動について考えてみましょう。
まず、流体は野球のボールと違ってつかみどころがないため、ある質量を有する
領域 を考え、 その内部の流体の密度(単位体積当たりの質量)を と
しますと、
図1 ラグランジュ的記述
図2 オイラー的記述
が成り立ちます。しかしながら、この質量保存の記述はラグランジュ的であり、時
間とともに検査質量を含む領域 を追跡しなければなりません。また、領域
の形状は野球のボールとは違い時々刻々変化するため、特別な場合を除き流
体の記述法としてはあまり適切とはいえません(図1参照)。
そこで、流体の記述では、検査質量を追跡することをあきらめ、注視する領域を固
定して考えます。この空間に固定された領域を検査体積(Control Volume)と
呼び、 と記すことにすると、質量保存の関係は次のように表わすことができ
ます。
ここで は流速ベクトルであり、 は検査体積表面の外向き単位法線ベクトル
です。左辺第2項は図2からわかるように検査体積の表面 を流出する単位時間当た
りの質量を表わしています。 よって、検査体積内の質量の増加分(左辺第1項)
と境界からの流出分(左辺第2項)の和、つまり検査体積内における単位時間当た
りの実質的な質量変化はゼロとなります。このように空間の各点各瞬間の流体の状
態量(密度、流速、圧力、温度等)を固定された座標系の位置と時間の関数として
記述する方法をオイラー的記述(または共時的記述)と呼びます。
*2
領域 の中に微小体積 を考えると はその微小体積の質量になり、 は領域 全体で
その和を取ることを意味します。積分記号 は、和(sum)の頭文字 s を引き伸ばしたものです。
*2 は境界を流出する単位時間・単位面積あたりの有効質量(法線方向成分)であり、これに境界上の
微小面積 をかけて境界 全体で和を取っています。
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<発行>
Vol.008 2013年3月号 5分でわかる FlowDesigner
メッシュ分割を制す者は CFD を制すっ!
前回、手動メッシュでどのような編集ができるか紹介しました。では実際にどのようなケースで手動メッシュ編集が必要になるのでしょうか。今回はメッシュ品質の修正についてです。
本紙はユーザー様に流体解析、FlowDesignerにより親しんで頂き、より知識を深めて頂くために発行しております。 掲載内容についてのご意見・ご要望等をお待ちしております。また本紙の増刷をご希望の方・ご不要な方は、お手数ですが弊社までご連絡ください。よろしくお願い致します。 (担当:黒岩)
セミナーのお知らせ
◆体験セミナー◆ 4/10 (水) , 5/8 (水) , 6/12 (水) , 7/3 (水) ◆中級セミナー◆ 4/17 (水), 5/15 (木), 6/19 (水) , 7/31 (水)
お知らせ
第8回
都営新宿線 曙橋駅 A4出口 を左に出てすぐ
4
メッシュ品質の警告メッセージ
メッシュの修正
上記の定期セミナーに加え、未導入の方様向けの目的別セミナーを全国で開催します。もし他部署、関連会社様で解析ソフトの検討をされていましたら、ご紹介頂けますと幸いです。
警告メッセージの内容に応じて、メッシュ編集画面で次の修正をしてメッシュ品質の改善を図ります。
吹出口の中には3本メッシュを!
この分割に次のようなメッシュを追加してみます。吹出口の中に均等に3本、それに合わせ吹出口近傍も細かく分割します。すると、 下図のように2m/sの流速分布が大きく伸びます。
この分割に次のようなメッシュを追加してみます。吹出口の中に均等に3本、それに合わせ吹出口近傍も細かく分割します。すると、 下図のように2m/sの流速分布が大きく伸びます。
計算実行前に『メッシュ制限値』というメッセージが表示されることがあります。これはメッシュ分割のバランスが悪く、計算結果に影響を与える可能性があることを示しています。 このメッセージが表示されたら、メッシュ編集画面に戻り、メッシュ分割を見直すことをお奨めします。
メッシュ編集画面(平面表示)に戻ると、分割のバランスの制限値を超えている箇所は、メッシュの色が赤色・橙色に変わっています。
メッシュの色
メッシュ編集画面の平面表示で、分割の状態の確認・編集することができますが、メッシュの線の色は種類により、右図のように色分けがされています。(下の2色は警告があった場合)
【 ①隣接比率の修正 】
幅1 幅2
隣合うメッシュの幅の比率が 10倍以下*になるようにメッシュ追加
隣接比が大きい部分は 橙色のラインになっている
【 ②縦横比率の修正 】
縦幅 横幅
メッシュの縦幅と横幅の比率が 100倍以下*になるようにメッシュ追加
縦横比が大きい部分は 赤色のラインになっている
【 ③モデルエッジの追加 】
1.『モデルエッジ追加』の実行
オブジェクトを作成後、メッシュ編集を行わずに計算実行していませんか。 「モデルエッジ追加」を実行、もしくは再度全体のメッシュ数を指定します。
2. 最小限度幅設定の見直し
上記1. を実行しても、モデルエッジの警告メッセージが表示される場合、最小限度幅によりモデルエッジが入っていません。 根本的にはオブジェクトの配置位置を揃えるのが望ましいですが、どうしても難しい場合は最小限度幅設定を変更します。(例: 1/1000 ⇒ 1/5000)
*あくまで一般的な推奨値です。制限値はメッシュ分割設定画面で変更可。
青
黒
緑
モデルエッジ
自動分割で挿入
手動分割で挿入
橙
赤
隣接比制限値の超過
縦横比制限値の超過
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