名工大研究協力会創立15周年に寄せて 第32回技術懇話会(人...

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第32回技術懇話会(人の作業を支援するメカトロニクス技術)開催 第32回技術懇話会を、平成27年5月29日(金)に大学会館にて開催しました。当日は、多くの方にご参加いただき御礼申し上げます。 ご参加できなかった方のために、講演の要旨をご案内いたします。 興味をもたれた方は、お気軽に研究協力会(E-Mail [email protected])までお問合せ下さい。 5 2 リハビリ現場では、これまでできなかった治療効果の「みえる化」、負担軽減のための「治療支援」、さらには「新 たな治療技術の開発」が求められている。しかし、従来のリハビリ支援装置には、医療関係者のニーズが十分反 映されていません。そこで、医療関係者も開発者の一員として、ニーズを具現化している。本講演では、これ までに開発した身体機能の定量的評価装置と療法士の負荷軽減のためのトレーニング装置を紹介した。リハビリ 現場における医療関係者や患者さんが喜ぶものを、医工産学官の協働で研究開発するのが、実用化までの流れ と考える。工学技術で解決できそうな医療現場のニーズは沢山あります。協働で一緒に研究開発をしませんか。 「療法士を助け、リハビリの世界を変えるリハビリ支援ロボット」 森田 良文 教授 セッションコーディネータ (キーワード:ロボット、トレーニング支援、定量評価支援、医療ニーズ具現化技術) 従来のインタフェースは手で直接触れなければ操作できないため、人が装置に近付く必要があり、またボタ ンを目や手探りで探す必要がありました。また医療などの清潔が求められる現場では、接触を極力避けることが 望まれます。近年、深度センサなどの発達により空中に手を差し出すだけで使えるインタフェースが実用化され つつあります。操作結果は視覚や聴覚へフィードバックされるのが一般的ですが、より快適に操作を行うために は触覚へのフィードバックも重要です。本講演では、これまでに提案された空中での触覚提示法を概観したあと、 その中でも特に次空間解像度のよい超音波を用いた非接触触覚提示法について説明しました。 「超音波による空中触覚インタフェース」 星 貴之 テニュア・トラック 助教 (キーワード:触覚、超音波、非接触、インタフェース) 1995年の阪神大震災を契機に、災害現場での情報収集を目的としたレスキューロボットの開発が始まった。福島第一原 子力発電所の情報収集にロボットが用いられていることは記憶に新しい。災害現場という未知で過酷な環境を走行するため、 レスキューロボットは遠隔操作される。本講演では、レスキューロボットの遠隔操作支援技術について紹介した。本技術はレ スキューロボットのみならず、UGV(Unmanned Ground Vehicle)、UAV(Unmanned Aerial Vehicle) といった様々な 移動体の遠隔操作にも利用可能である。低通信帯域でも利用可能な仮想的俯瞰画像提示システム、遠隔操作を直接操作に 変える移動ロボットのマスタスレーブシステム、移動マニピュレータのカメラ軌道追従制御など、我々の取り組みを紹介した。 「移動体の遠隔操作インタフェース」 佐藤 徳孝 助教 (キーワード:遠隔操作、レスキューロボット、画像処理、Augmented Reality) 本研究室では、既存の飛行機(4 ロータヘリプターなど)の左右に軽量で円形な保護フレームをつけることで、 飛行だけでなく、地上や水上、さらに壁や天井やがれきも走行できる新しい空陸水万能な 2 輪型飛行ロボットを 開発した。この新型万能飛行ロボットは、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」などで、平成 26 年 10 月 3 日に紹介され、注目されています。さらに、風が強い屋外でも安全かつ確実に充電できる自動充電装置も 開発した。このロボットは現在、国のプロジェクトに採択され、橋梁・トンネル検査など、様々な分野で応用が期 待されている。本講演では、この 2 輪型飛行ロボットの研究開発状況や今後の応用の可能性について講演した。 「小型で安価な万能飛行ロボット、あなたならどう使う?」 山田 学 教授 (キーワード:4ロータヘリコプタ、自動充電、見守り、安心・安全) 名工大研究協力会創立15周年に寄せて 皆様のおかげをもちまして、当研究協力会も記念すべき15周年を迎えることができました。つきましてはご関係の深い3名の方に、会 報15周年特集号にご寄稿を頂きましたので掲載させて頂いた次第です。 振り返れば2001年11月研究協力会設立総会が、藤原俊朗氏以下13名の発起人により開催されてからはや15年を迎えることができたことは感 激に堪えない。 当時は産官学連携活動が活発化した時代で、時の科学技術担当尾身幸次大臣の強力な肝煎りで、東京では「第1回産学官連携サミット」、京都でも 「第1回産学官連携推進会議」などが開催された。ちなみに、名古屋でも500人を越える「中部産学官連携サミット」が開催され、翌年の「第2回サ ミット」では飯島澄男氏の特別講演に引続き、元名工大柳田博明学長が議長のパネラーの一員として私も「TLO」や「21世紀COE」に疑問を投げ かけるなど、今思うと若気の至りだったかと反省頻りである。 このような状況下で立ち上がった研究協力会も、名工大産学官連携センター(現組織名)の協力を得ながら、名工大のネームバリューと広域に活躍 する先輩諸氏の協力により、最近では「技術懇話会」を中心とした大学と企業の良好な連携が進み、今後の発展が期待される。赤崎教授他のノーベ ル賞受賞は、従来の基礎原理の発明に留まらず、大学・JST・豊田合成の産官学連携の成果で、エジソンの白熱電球以来の発光原理に基づく新製品 の開発であり、まさに産官学連携の典型と言えよう。わが研究協力会からもこのような地球永続と人類の幸せに貢献できる成果が生まれことが期 待される。 この様な中、名古屋工業大学も鵜飼学長のご指導で、学部・大学院の改革が来年の2016年4月より実施され、大学と企業の壁を越えた新しい組織が発足すると共に、念願の新4号 館の建設完了による環境整備も進み、産官学連携が一段と活性化するものと思われる。 将来の人々の平和と幸福を守るには、何よりも自然との共生、他人との共生が大切である。今後、会員各位は是非「共生」を基盤とした新製品、新価値の創造を進めてほしと思う。 最後に、研究協力会と会員の皆様方の今後益々の発展とご活躍をお祈りします。 名古屋工業大学研究協力会15周年を祝して 石丸 典生 株式会社デンソー 元会長 「ものづくり ひとづくり 未来づくり」の交点 創立15周年に寄せて 名古屋工業大学研究協力会が創立15周年を迎えられましたことを、会員として、又、名古屋工業大学の卒業生の一員として心よりお慶び申し上げ ます。 研究協力会創立時の設立趣意書にあります発起人一同の皆様の意気込みと共に、「行きやすい、わかりやすい、ためになる、さすが」のモットーが研 究協力会の活動に反映されていることは、その事業に参加すると良く分かります。例えば、代表的な活動の一つとして行われている「技術懇話会」 では、名古屋工業大学の先生方による技術セミナーで最先端の研究開発や技術動向について伺うことができます。特に、懇話会の後の交流会の席 では、希望すれば講師を務められた先生方と膝詰めで個別に技術相談や懇談が可能な場が設けられているのも魅力です。 「ものづくり」に携わる中小企業として、様々な厳しい競争を乗り越えて事業を継続していくことに日ごと努めておりますが、限られた経営資源で取 り組むには難しいことが多々あります。個別には特長ある技術や製品はあるかもしれませんが、一歩先へ進む時に、「研究協力会」から発信される情 報(特に新しい技術情報の収集)は現状を見直すヒントとなります。又、面識のない研究室や先生方への橋渡しの窓口として、大学に対する敷居の 高さを感じさせない雰囲気が研究協力会にあり、個人会員の方にも「行きやすい」場が提供されていると思います。特許情報の優先開示や特許無 料相談もあり、小規模事業者にとり費用や人材面でも大いに助けられます。 例えは適切ではないかもしれませんが、ドイツの社会学者、テンニースが唱えるゲマインシャフト(Gemeinschaft、共同体組織=大学)とゲゼルシャフト(Gesellschaft、機能体組織 =企業)の交わる場を提供しているのが研究協力会であると思います。大学と企業ではお互いに違う要素(軸)があるからこそ、その良さを相互理解することや活かすことが双方に とってメリット(利益)を生み出すと考えます。研究協力会が活動の拠点を置く名古屋工業大学産学官連携センター出版の経営者新書「伸びる製造業の賢い大学の使い方(幻冬舎)」 には、その事例紹介も掲載されています。弊社は2019年に創立100周年を迎えますが、これからも事業を継続し現状を打破する「伸びる企業」として、「名古屋工業大学」を賢く使 う場を提供している研究協力会の今後の活動と益々の発展を期待したいと思います。 大矢 泰正 株式会社大矢鋳造所 取締役 企画室長 名古屋工業大学研究協力会が創立15周年を迎えられた事を、心よりお祝い申し上げます。 当社は、全社員で17名の小規模事業者です。本年で、入会して3年になります。 初めて補助金の採択を受け、専門の先生をご紹介して頂く事がきっかけで、名古屋工業大学に訪問を致しました。 当時は、大学に相談に伺うだけでも、緊張していました。協力会への入会を勧められた際にも、当社の規模の会社では、身分不相応な所ではないか と思っていました。 しかし、初めて参加した講演会と懇親会では、会全体で新しい会員を温かく迎え入れてくれる環境に、感激しました。特に会長様はじめ、役員の方た ちや、コーディネータの皆様が、私を歓迎して頂いている事を実感できたので、不安が無くなり、今では参加を楽しみにしています。 当社は自動車関係の製品製作の会社の為、講演会の内容によっては参加を迷うことがありますが、最近は、少々違う分野の講演会にも積極的に参 加をしています。もちろん関係のある分野では、最新の開発動向を知る事で、当社の将来の方向性を考える事が出来ますが、専門ではない分野で も、毎回何か必ず新しい気付きを得る事が出来ています。 その専門ではない分野での気付きが、私のモチベーションを高めてくれる事に最近気が付いてきています。未知の分野への探求心が刺激され、文献など調べるきっかけになっていま す。当初は専門外と思っていたことも、何か関連している事を知り、その活動によって当社は実験研究を積極的に行う会社に生まれ変わろうとしています。それは、不良品製作が許さ れない日常の生産活動の中で、楽しさを感じる事が出来る研究活動になっています。 これからも、私が感じているこの会のモットー「行きやすい、わかりやすい、ためになる、さすが」を継続して頂いて、名古屋工業大学と民間企業の深く楽しい人的交流が進むことを 願っています。 水野 一路 ユーアイ精機株式会社 代表取締役

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Page 1: 名工大研究協力会創立15周年に寄せて 第32回技術懇話会(人 …partner.web.nitech.ac.jp/wordpress/wp-content/uploads/2015/02/36go_naka1.pdf第32回技術懇話会(人の作業を支援するメカトロニクス技術)開催

第32回技術懇話会(人の作業を支援するメカトロニクス技術)開催第32回技術懇話会を、平成27年5月29日(金)に大学会館にて開催しました。当日は、多くの方にご参加いただき御礼申し上げます。ご参加できなかった方のために、講演の要旨をご案内いたします。興味をもたれた方は、お気軽に研究協力会(E-Mail:[email protected])までお問合せ下さい。

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リハビリ現場では、これまでできなかった治療効果の「みえる化」、負担軽減のための「治療支援」、さらには「新たな治療技術の開発」が求められている。しかし、従来のリハビリ支援装置には、医療関係者のニーズが十分反映されていません。そこで、医療関係者も開発者の一員として、ニーズを具現化している。本講演では、これまでに開発した身体機能の定量的評価装置と療法士の負荷軽減のためのトレーニング装置を紹介した。リハビリ現場における医療関係者や患者さんが喜ぶものを、医工産学官の協働で研究開発するのが、実用化までの流れと考える。工学技術で解決できそうな医療現場のニーズは沢山あります。協働で一緒に研究開発をしませんか。

「療法士を助け、リハビリの世界を変えるリハビリ支援ロボット」森田 良文 教授セッションコーディネータ(キーワード:ロボット、トレーニング支援、定量評価支援、医療ニーズ具現化技術)

従来のインタフェースは手で直接触れなければ操作できないため、人が装置に近付く必要があり、またボタンを目や手探りで探す必要がありました。また医療などの清潔が求められる現場では、接触を極力避けることが望まれます。近年、深度センサなどの発達により空中に手を差し出すだけで使えるインタフェースが実用化されつつあります。操作結果は視覚や聴覚へフィードバックされるのが一般的ですが、より快適に操作を行うためには触覚へのフィードバックも重要です。本講演では、これまでに提案された空中での触覚提示法を概観したあと、その中でも特に次空間解像度のよい超音波を用いた非接触触覚提示法について説明しました。

「超音波による空中触覚インタフェース」星 貴之 テニュア・トラック 助教(キーワード:触覚、超音波、非接触、インタフェース)

1995 年の阪神大震災を契機に、災害現場での情報収集を目的としたレスキューロボットの開発が始まった。福島第一原子力発電所の情報収集にロボットが用いられていることは記憶に新しい。災害現場という未知で過酷な環境を走行するため、レスキューロボットは遠隔操作される。本講演では、レスキューロボットの遠隔操作支援技術について紹介した。本技術はレスキューロボットのみならず、UGV(Unmanned Ground Vehicle)、UAV(Unmanned Aerial Vehicle) といった様々な移動体の遠隔操作にも利用可能である。低通信帯域でも利用可能な仮想的俯瞰画像提示システム、遠隔操作を直接操作に変える移動ロボットのマスタスレーブシステム、移動マニピュレータのカメラ軌道追従制御など、我々の取り組みを紹介した。

「移動体の遠隔操作インタフェース」佐藤 徳孝 助教(キーワード:遠隔操作、レスキューロボット、画像処理、Augmented Reality)

本研究室では、既存の飛行機(4ロータヘリプターなど)の左右に軽量で円形な保護フレームをつけることで、飛行だけでなく、地上や水上、さらに壁や天井やがれきも走行できる新しい空陸水万能な 2 輪型飛行ロボットを開発した。この新型万能飛行ロボットは、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」などで、平成 26 年 10月 3 日に紹介され、注目されています。さらに、風が強い屋外でも安全かつ確実に充電できる自動充電装置も開発した。このロボットは現在、国のプロジェクトに採択され、橋梁・トンネル検査など、様々な分野で応用が期待されている。本講演では、この2輪型飛行ロボットの研究開発状況や今後の応用の可能性について講演した。

「小型で安価な万能飛行ロボット、あなたならどう使う?」山田 学 教授(キーワード:4ロータヘリコプタ、自動充電、見守り、安心・安全)

名工大研究協力会創立15周年に寄せて皆様のおかげをもちまして、当研究協力会も記念すべき15周年を迎えることができました。つきましてはご関係の深い3名の方に、会報15周年特集号にご寄稿を頂きましたので掲載させて頂いた次第です。

振り返れば2001年11月研究協力会設立総会が、藤原俊朗氏以下13名の発起人により開催されてからはや15年を迎えることができたことは感激に堪えない。当時は産官学連携活動が活発化した時代で、時の科学技術担当尾身幸次大臣の強力な肝煎りで、東京では「第1回産学官連携サミット」、京都でも「第1回産学官連携推進会議」などが開催された。ちなみに、名古屋でも500人を越える「中部産学官連携サミット」が開催され、翌年の「第2回サミット」では飯島澄男氏の特別講演に引続き、元名工大柳田博明学長が議長のパネラーの一員として私も「TLO」や「21世紀COE」に疑問を投げかけるなど、今思うと若気の至りだったかと反省頻りである。このような状況下で立ち上がった研究協力会も、名工大産学官連携センター(現組織名)の協力を得ながら、名工大のネームバリューと広域に活躍する先輩諸氏の協力により、最近では「技術懇話会」を中心とした大学と企業の良好な連携が進み、今後の発展が期待される。赤崎教授他のノーベル賞受賞は、従来の基礎原理の発明に留まらず、大学・JST・豊田合成の産官学連携の成果で、エジソンの白熱電球以来の発光原理に基づく新製品の開発であり、まさに産官学連携の典型と言えよう。わが研究協力会からもこのような地球永続と人類の幸せに貢献できる成果が生まれことが期待される。この様な中、名古屋工業大学も鵜飼学長のご指導で、学部・大学院の改革が来年の2016年4月より実施され、大学と企業の壁を越えた新しい組織が発足すると共に、念願の新4号館の建設完了による環境整備も進み、産官学連携が一段と活性化するものと思われる。将来の人々の平和と幸福を守るには、何よりも自然との共生、他人との共生が大切である。今後、会員各位は是非「共生」を基盤とした新製品、新価値の創造を進めてほしと思う。最後に、研究協力会と会員の皆様方の今後益々の発展とご活躍をお祈りします。

名古屋工業大学研究協力会15周年を祝して 石丸 典生株式会社デンソー 元会長

「ものづくり ひとづくり 未来づくり」の交点

創立15周年に寄せて

名古屋工業大学研究協力会が創立15周年を迎えられましたことを、会員として、又、名古屋工業大学の卒業生の一員として心よりお慶び申し上げます。研究協力会創立時の設立趣意書にあります発起人一同の皆様の意気込みと共に、「行きやすい、わかりやすい、ためになる、さすが」のモットーが研究協力会の活動に反映されていることは、その事業に参加すると良く分かります。例えば、代表的な活動の一つとして行われている「技術懇話会」では、名古屋工業大学の先生方による技術セミナーで最先端の研究開発や技術動向について伺うことができます。特に、懇話会の後の交流会の席では、希望すれば講師を務められた先生方と膝詰めで個別に技術相談や懇談が可能な場が設けられているのも魅力です。「ものづくり」に携わる中小企業として、様々な厳しい競争を乗り越えて事業を継続していくことに日ごと努めておりますが、限られた経営資源で取り組むには難しいことが多々あります。個別には特長ある技術や製品はあるかもしれませんが、一歩先へ進む時に、「研究協力会」から発信される情報(特に新しい技術情報の収集)は現状を見直すヒントとなります。又、面識のない研究室や先生方への橋渡しの窓口として、大学に対する敷居の高さを感じさせない雰囲気が研究協力会にあり、個人会員の方にも「行きやすい」場が提供されていると思います。特許情報の優先開示や特許無料相談もあり、小規模事業者にとり費用や人材面でも大いに助けられます。例えは適切ではないかもしれませんが、ドイツの社会学者、テンニースが唱えるゲマインシャフト(Gemeinschaft、共同体組織=大学)とゲゼルシャフト(Gesellschaft、機能体組織=企業)の交わる場を提供しているのが研究協力会であると思います。大学と企業ではお互いに違う要素(軸)があるからこそ、その良さを相互理解することや活かすことが双方にとってメリット(利益)を生み出すと考えます。研究協力会が活動の拠点を置く名古屋工業大学産学官連携センター出版の経営者新書「伸びる製造業の賢い大学の使い方(幻冬舎)」には、その事例紹介も掲載されています。弊社は2019年に創立100周年を迎えますが、これからも事業を継続し現状を打破する「伸びる企業」として、「名古屋工業大学」を賢く使う場を提供している研究協力会の今後の活動と益々の発展を期待したいと思います。

大矢 泰正株式会社大矢鋳造所 取締役 企画室長

名古屋工業大学研究協力会が創立15周年を迎えられた事を、心よりお祝い申し上げます。当社は、全社員で17名の小規模事業者です。本年で、入会して3年になります。初めて補助金の採択を受け、専門の先生をご紹介して頂く事がきっかけで、名古屋工業大学に訪問を致しました。当時は、大学に相談に伺うだけでも、緊張していました。協力会への入会を勧められた際にも、当社の規模の会社では、身分不相応な所ではないかと思っていました。しかし、初めて参加した講演会と懇親会では、会全体で新しい会員を温かく迎え入れてくれる環境に、感激しました。特に会長様はじめ、役員の方たちや、コーディネータの皆様が、私を歓迎して頂いている事を実感できたので、不安が無くなり、今では参加を楽しみにしています。当社は自動車関係の製品製作の会社の為、講演会の内容によっては参加を迷うことがありますが、最近は、少々違う分野の講演会にも積極的に参加をしています。もちろん関係のある分野では、最新の開発動向を知る事で、当社の将来の方向性を考える事が出来ますが、専門ではない分野でも、毎回何か必ず新しい気付きを得る事が出来ています。その専門ではない分野での気付きが、私のモチベーションを高めてくれる事に最近気が付いてきています。未知の分野への探求心が刺激され、文献など調べるきっかけになっています。当初は専門外と思っていたことも、何か関連している事を知り、その活動によって当社は実験研究を積極的に行う会社に生まれ変わろうとしています。それは、不良品製作が許されない日常の生産活動の中で、楽しさを感じる事が出来る研究活動になっています。これからも、私が感じているこの会のモットー「行きやすい、わかりやすい、ためになる、さすが」を継続して頂いて、名古屋工業大学と民間企業の深く楽しい人的交流が進むことを願っています。

水野 一路ユーアイ精機株式会社 代表取締役