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厚生科学研究費補助金(厚生科学特別研究事業)
分担報告書
Thl/Th2型-ルパーT細胞機能-のシジウムの影響に関する研究
分担研究者 豊島 聴 星薬科大学教授
研究要旨 methylgallateよりTh2サイトカン(ILl4)産生抑制に関し、
選択性及び抑制活性の高い化合物を検索するため、 methyl gallate及びその
類縁化合物(game acid、 ethyl ganate、 propyl gauate)についてTh2サイ
トカンであるIL-4の産生に対する影響を検討した。いずれの化合物も抗
CD3抗体刺激マウス牌リンパ球におけるIL-4の産生を抑制したが、 Thlサ
イトカンであるIFN-†の産生にはあまり影響しなかった。しかし、gaucacid
はIL-4産生を抑制する濃度で細胞毒性を示したため、毒性を示さない量で
抗アレルギー作用を期待できないと考えられた。また、 propyl ganateは接
触性皮膚炎などⅣ型アレルギーを誘発することが報告されている。従って、methyl gauateとethyl ganateが抗アレルギー作用を示す化合物として期
待されたが、 ethyl gallateはmethyl ganateより低濃度でⅠし4産生を抑制
したことから、その有用性が示唆された。
A.研究目的
昨年度までに、シジウム抽出物より単
離・同定したmethylgdlateは、 I型アレ
ルギー発症に関わるTh2サイトカンである
Ⅰし4の産生を選択的に抑制するとともにⅠ
型アレルギーモデルマウスにおけるIgE産
生を抑制することを報告した。本年度はmethyl gallate より、 Th2 サイトカン
(IL-4)産生抑制に関し、選択性及び活性の高い化合物を見出すことを目的に、
methyl gallateの類縁化合物について検討
を加えた。
B.研究方法
抗 CD3 抗体刺激マウス牌T細胞にmethyl gallateあるいは、その類縁化合物
(gallic acid、 ethyl gallateあるいはpropyl
gallate)を加え、 2日間培養する。培養後の上清中に含まれるIFN-† (Thlサイトカ
ン)とIL-4 (Th2サイトカン)を、 ELISA
法により測定した。
C.研究結果
ethyl ganateとpropyl ganteはlLIg/ml
の濃度で、 IL-4産生を抑制した(図1A)。
この濃度のethyl gallateは、 IFN-†産生に
影響しなかったが、propyl ganateは弱い産
生抑制作用を示した(図1B)。 10Llg/mlの
濃度では、 gallic acid、 methyl gal1ate、 ethyl
gallate、 propyl ganateのどれもが、 IL-4
産生抑制作用を示した(図2A)。一方、こ
の濃度では、 methyl gauate と propyl
gallateが弱いIFN-†産生抑制作用を示した
(図2B)。 100トLg/mlの濃度では、 gauic
acid、 methyl ga皿ate、 ethyl ganate、 propyl
ganateのどれもが、強くIL-4産生を抑制した(図3A)。一方、この濃度ではmethyl
gZ山ateとpropyl ganateに弱いが有意な
IFN-†産生抑制作用が見られた(図3B)。
なお、 100LIg/mlの濃度では、 ganc acidに
細胞毒性が見られた。以上の結果は、花粉症などⅠ型アレルギーの発症に関わるTh2
サイトカインであるIL-4の産生をethyl
ganateが、 methyl ganate及び他のmethyl
gallate類縁化合物よりも選択的に抑制す
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ることを示唆するものであった。
D.考察
10トIg/mlの濃度では、一昨年報告したよ
うに、 methyl ganateは比較的選択的に
ILl4産生を抑制したが、 ethyl gallateおよ
びpropyl ganateもこの濃度でIL-4産生を
抑制した。しかし、 1帽/mlの濃度では、ethyl
gdlateとpropyl gallateは有意に(特に
ethyl ga皿ate) Ⅰし4産生を抑制したが、
methyl gdlateは抑制しなかった。この濃
度で、 ethyl ganateは、 IFN-†産生に全く影
響せずpropyl gal1ateは、弱い産生抑制を
示すのみであった。従って、 ethyl gauate
とpropyl gallateはmethyl ganateより選
択性及び活性の高いⅠし4産生抑制物質と
考えられた。しかし、 propylganateは、接
触性皮膚炎のようなⅣ型アレルギーを誘発
することが知られているので、 propyl
gallateをアレルギー治療-応用することは不可能と考えられ、今後、本研究結果のヒト-の応用はethyl gallateを用いて調べ
るべきと思われた。
E.結論
花粉症などⅠ型アレルギーの発症に関わる Th2 サイトカンであるⅠし4の産生を
ethyl ga皿ateが、 methyl ga皿ateよりも低
濃度かつ選択的に抑制することが明らかとなった。
F.研究発表
1. 論文発表
小菅崇、宍倉弘記、北中進、豊島聴:-ルパーT細胞のサイトカイン産生とアレ
ルギー治療に対するフトモモ科シジウム
からの抽出物の影響(2000)
YAKUGAXU ZASSHI, 120(4), 408-412
2.学会発表
加藤慶、小菅崇、北中進、豊島聴:methyl
gallateおよび類縁物質によるⅠ型アレルギー抑制作用の検討、日本薬学会120年
会(岐阜)、 2000年3月
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A.培養上溝中の
JL-4のt(pdmL)
B.培養上溝中の
control- control+ GIIIic Nothyr Ethyl Propyl
■Gid f一日At● ■■llJte LJMJte
]FNlTの霊(pg/mL) I 0
0contro卜coTltrOl+ G-llic A-●thyl Ethyl Propyl
JCid f+HJte J+lLJt+ LtllJt4
図・1抗cD3抗体刺激マウス肺細胞より産生されるサイトカインのtに対するMethyJ gaHate、類縁物質(1岬/mL)の影IF
30
20
8.培養上溝中の
IFNrの量b〆mL) 1 0
0
contTO1 - contTOI + 糾ic
Jd叫-i_ _5>仙j SJ叫.i1.-a
contro卜 control + G-=c ~+thyJ 【thyJ PropyJ
JCiJ t■lbte lJrl●t+ (+lld●
国.2抗cD3抗体刺激マウス肺細胞より産生されるサイトカインの量に対するMethyJ gallate、類縁観賞(lo仲/mL)の影響
A,培養上溝中の
)L-4の量(pg/mL)
30
20
a.培養上浦中の]FNrの量(pg/mL) 10
0
control - corltrOl ◆ GaHic HethyJ Ethyl Propyl
JCid pllJt● E+ll■t● f+lfJlt●
図.3抗cD3抗体刺激マウス肝細胞より産生されるサイトカインの量に対するMethyl ga=ate、類縁物葺く1 00岬/mL)の影響
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