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2020年秋季大会 学生ポスターセッション 琉球大学大学院 理工学学科 機械システム工学専攻 内燃機関工学研究室 孝田 秀一 異種燃料対向噴射を用いた 反応度制御圧縮着火(RCCI)燃焼の制御

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Page 1: 異種燃料対向噴射を用いた 反応度制御圧縮着火(RCCI ... - JSAE...GTL軽油とセタン価の 低いメタノールを用いた 場合の機関,排気特 性を比較する.

2020年秋季大会学生ポスターセッション

琉球大学大学院理工学学科 機械システム工学専攻内燃機関工学研究室孝田 秀一

異種燃料対向噴射を用いた反応度制御圧縮着火(RCCI)燃焼の制御

Page 2: 異種燃料対向噴射を用いた 反応度制御圧縮着火(RCCI ... - JSAE...GTL軽油とセタン価の 低いメタノールを用いた 場合の機関,排気特 性を比較する.

2020年秋季大会学生ポスターセッション

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・反応度制御圧縮着火燃焼(RCCI)を実現させるため,ノズルを対向に配置し,異なる燃料を任意の燃料噴射圧力,噴射期間で噴射する.本実験において石油代替燃料であるGTL軽油とセタン価の低いメタノールを用いた場合の機関,排気特性を比較する.

対向噴射を適用したPCCI燃焼の制御手法の検討

NOx PMトレードオフ

PCCI燃焼

・ディーゼル機関から排出されるNO,PMを同時低減可能な燃焼方式にPCCI燃焼が挙げられる.しかし燃料投入量増加に伴い,急峻な燃焼が発生することで運転領域が制限されるという問題がある.・本研究ではPCCI燃焼の運転領域拡大するため対向噴射に着目した.

・対向噴射を用いることで噴射時期や噴射期間に差を設け混合気形成過程を制御する.・コモンレールを使用せず低圧でスワールノズルを用いた噴射を行うことで混合気の濃度分布を制御する.

実験装置及び実験条件

衝突噴霧の可視化実験 ・シュリーレン法で撮影した噴霧画像において,雰囲気場の密度勾配を可視化することができ,白い領域は噴霧の微粒化が促進し混合気が形成されやすい領域である.・対向噴霧は自由噴霧に比べ衝突による噴霧面積の拡大により混合気形成が促進している.・対向噴霧は,衝突後に黒い領域が渦を巻きながら広がっている.・噴射期間に差を設けることで混合気形成過程に変化が現れる.

琉球大学 工学部 内燃機関工学研究室 若井謙介TEL098-895-8627 FAX098-895-8636e-Mail:[email protected]

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対向噴射においてそれぞれの燃料における運転領域をまとめたものである.・軽油は失火領域が広く,GTL灯油は急峻な燃焼により発生するノッキング領域が広い傾向をとる.・GTL軽油は他燃料に比べ運転領域が広く,失火,ノッキング領域が狭い傾向をとる.

機関特性・噴射時期-70[°ATDC]の場合,噴射時期の進角に伴い低温酸化反応の発生が確認でき,噴射期間を増加させるほど高い急峻な燃焼となっている.・噴射時期-100[°ATDC]の場合,噴射期間の減少に伴い低温酸化反応と高温酸化反応との発生位置の差が広がる傾向をとる.

排気特性噴射時期を進角することでNOは減少するがPMは増加するトレードオフの関係がある.

機関特性・Case 1はCase 2に比べ高温酸化反応のピークが高く,熱発生時期が進角している.これは噴射割合の差により排気バルブ付近に混合気が形成されることで熱放射の影響を受け,燃料の蒸発が進み混合気の形成が促進されたためである.・Case 3はCase 1に比べ高温酸化反応のピークが低い.これは噴射時期の違いにより,燃料と空気が混合する期間が延びたため,混合気が希薄化し燃焼が緩慢化したためである.

排気特性・CO,HCは混合気形成期間が長く排気バルブ側に混合気が形成されるCase 3が減少する.・IMEPが高く,CO, HC, PMの値が最も低いCase 3が排気特性の改善に効果的であると考えられる.

噴射時期,噴射期間の制御におけるPCCI燃焼の改善

対向噴射の基本的特性

燃料による運転領域の変化

噴射割合,時期の変化による燃焼の改善

運転領域の広いGTL軽油を用いて噴射時期,噴射期間に変化を設け混合気形成過程を制御することでPCCI燃焼の改善を試みる..

GTL軽油はセタン価が高いため,急峻な燃焼によりノッキングが発生する領域が存在する.そこでセタン価の低いメタノールを片側から噴射することで燃焼を緩慢化する.

琉球大学 工学部 内燃機関工学研究室 若井謙介TEL098-895-8627 FAX098-895-8636e-Mail:[email protected]

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3琉球大学 工学部 内燃機関工学研究室 若井謙介TEL098-895-8627 FAX098-895-8636e-Mail:[email protected]

・拡散燃焼の制御を行うため,GTL軽油は噴射時期-50[°ATDC],メタノールは-35 [°ATDC]で噴射し,総投入熱量一定で実験を行う.

運転領域・GTL軽油の噴射期間1.0[°]の場合はメタノールの噴射期間に関わらず失火し,4.0[°]の場合メタノールを噴射してもノッキングする領域が発生する.

機関特性・メタノールを用いることで急峻な燃焼を回避することでき,IMEPの増加がみられる.・メタノールの噴射期間増加に伴い燃焼期間が増加する傾向をとる.

排気特性・メタノールの噴射期間を増加することで蒸発潜熱により筒内温度は低下し,燃焼完結性が悪化することでHCは増加する傾向をとる.

・GTL軽油の混合気形成期間を確保するため,噴射時期θinj=-40~-70[ ° ATDC],噴射期間 IP =2.0[°]としメタノールをθinj.=-35,IP=3.0[°]とし実験を行う.

機関特性・GTL軽油の噴射時期を進角させるにつれ高温酸化反応のピークが遅角し燃焼期間は増加することがわかる.・ θinj=-60 [°ATDC]以降低温酸化反応の発生が見られ燃焼が緩慢化している.

排気特性・GTL軽油を進角し適切な混合気形成期間を確保することでIMEPを損ねることなくHC,NO,PMの同時低減を可能とし,RCCI燃焼を実現することが可能である.

異種燃料を用いたRCCI燃焼の模索

今後の展望・メタノールの燃料投入量をより増加させることで排気特性の改善を試みる.・対向噴射にポート噴射を組み合わせることで混合気形成過程に大きな変化を与え,排気特性の改善, RCCI燃焼の運転領域の拡大を目指す.

混合気形成過程の変化を用いたRCCI燃焼GTL軽油とメタノールを用いた拡散燃焼の制御

メタノールの噴射割合の変化により拡散燃焼の制御を可能とした.次に混合気形成期間に変化を与え,RCCI燃焼の改善を試みる.