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研究の概要

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研究の概要

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Ⅰ 研究主題

児童生徒のキャリア発達を支える授業─目標設定と自己評価の取り組み─

Ⅱ 主題設定の理由本校では、学校教育目標「自ら学ぶ意欲をもち、日々の生きる喜びを感じ、将来の社会生活

において主体的に生きていく人間の育成」、社会制度の変化に対応した継続した就労を目指し、生きがいをもった生活につながる働くことへの意識を育てること、将来の生活を見通して、小学部、中学部、高等部がつながりのある取り組みを行うことが大切であると考え、キャリア教育に取り組んでいる。

平成22-23年度の2年間は、本校のキャリア教育の視点を明らかにし、「本校のキャリア発達に関する願う姿」を具体化して、児童生徒が主体的に活動する授業づくりを行った。生活単元学習、作業学習において、小学部、中学部、高等部のつながりについて検討した結果、児童生徒は、授業の中で【役割】をもって活動し、その【役割】について【目標設定】【自己評価】をすることで自己肯定感、達成感が得られ、児童生徒の【やりがい・生きがい】につながっていることがわかった。しかし、児童生徒がどのようにキャリア発達を積み上げているかまでは、明らかにすることはできなかった。また、児童生徒が自分なりのキャリアを積み重ね、キャリア発達を実現していくためには、役割をもった活動から得た自己肯定感や達成感を確かなものとする根拠が必要であるということが課題となった。

自己肯定感、達成感を確かなものとするためには、児童生徒の活動、【役割】に価値付けをする【目標設定】【自己評価】について検討する必要があると考え、目標設定、自己評価を取り入れた授業づくりに取り組むことにする。そして、児童生徒と教師が一緒にキャリア発達の実現を目指していくように、「わかる目標」「わかる評価」を授業に取り入れ、児童生徒と教師が目標と評価を共有していきたいと考える。また、目標設定と自己評価を一つ一つの授業で積み重ねること、そして、小学部、中学部、高等部がつながりをもって取り組むことを検討して、児童生徒がどのようにキャリア発達を積み上げているかについても考えていきたい。

以上のことから、目標設定、自己評価の取り組みを通して、児童生徒のキャリア発達を支える授業を明らかにしたいと考え、本研究主題を設定した。*【 】内は、「本校のキャリア発達に関する願う姿」の観点である。

Ⅲ 研究の目的目標設定と自己評価の取り組みを通して、児童生徒のキャリア発達を支える授業の在り方に

ついて明らかにする。

1 児童生徒と教師がともに、授業における児童生徒の目標設定、自己評価に取り組み、児童生徒のキャリア発達を実現する。

2 「目標-授業-評価」の手だてを明らかにし、児童生徒のキャリアの積み重ねの検討、授業の改善、教育課程の見直しを行う。

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Ⅳ 研究の内容1 研究の内容

本研究は、2年次計画で、以下の内容に取り組む。⑴ キャリア発達を支える授業の構想⑵ 目標設定、自己評価を取り入れたキャリア発達を支える授業の実践⑶ キャリア発達を支える授業についての考察

2 研究計画

年次 1年次(平成24年度) 2年次(平成25年度)

研 究 内 容

○研究主題の設定及び研究の方向性についての検討

○各学部卒業時点の児童生徒の姿の設定

○研究の方向性についての確認及び修正

○生活単元学習の単元、作業学習の題材の検討 ○生活単元学習、作業学習の年間指導計画の検討○生活単元学習、作業学習のねらいの検討

○単元・題材の目標と個別の指導計画との関連の検討

○単元・題材の目標に関連した個別の指導計画の目標の設定

○目標と評価にかかわる教材・教具の検討 ○「わかる目標」「わかる評価」の工夫についての検討

○研修講演会の実施「幸せな人生は人の役に立つこと~知的障害者に導かれた企業経営から」

日本理化学工業 会長 大山泰弘氏

○研修講演会の実施 「職業リハビリテーションから見た特別支援学校に望むこと」

中京学院大学 教授 松為信雄氏

○目標設定、自己評価を取り入れた授業の実践 ○目標設定、自己評価を取り入れた授業の実践○【やりがい・生きがい】のとらえの検討

○授業参観週間及び学部授業研究会の実施 ○授業参観週間及び全校授業研究会の実施

○児童生徒の変容のまとめ○授業改善のまとめ

○児童生徒の変容のまとめ○授業改善のまとめ

○1年次の研究のまとめ○2年次への課題の確認

○学校公開研究会の実施○研究のまとめ及び次研究の検討

3 研究体制

全 校 研 究 会 研究主題に基づいて、研究内容等について協議を行い、共通理解を図りながら、研究を推進する。

学 部 研 究 会 研究主題に基づいて、学部の研究を推進するとともに、授業実践を行う。

授 業 研 究 会 研究主題に基づく授業について協議を行い、研究の成果と課題を確かめる。

学 部 縦 割 りグループ協議

各学部の研究について、相互に理解を深めるために、学部を縦割りにした小グループで話し合いを行う。

研 究 部 会 研究主題、研究内容の提案及び各学部の研究の集約、調整を進め、研究活動を推進する。

岩 手 大 学共 同 研 究 者

岩手大学教育学部特別支援教育科の先生方を中心に、全校及び学部の研究会、授業研究会に参加してもらい、ともに研究を推進していく。

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Ⅴ キャリア教育の研究経過1 卒業後の願う姿

本校では、キャリア教育の研究を進めるにあたり、卒業後の願う姿を次のように設定した。

卒業後の願う姿

社会の中で、やりがいを感じ、自分の力を発揮して働き、楽しみをもって生活をする

これは、学校教育目標「日々の生きる喜びを感じ、将来の社会生活において主体的に生きていく人間」を具体化したものである。

児童生徒は、卒業後、就労の形態は様々ではあるが、そのほとんどが働く生活に入ることになる。その働くことを支えていくためには、次の5点が大事であると考える。

○働くという気持ちをもつ○自分のもてる力で、目の前の仕事に取り組む○自分が役立っていることを実感する○生活に楽しみをもち、励みにする○人に認められ、人とかかわりをもつ

学校においては、児童生徒が、「働く」ということを学び、「楽しみ」をもって学校生活を送ることに取り組んでいきたいと考える。そして、キャリア教育に取り組むにあたっては、次のことも確認している。

「働くこと」は、何かをすることによって、人に認められ、役に立つこと。「働くこと」そのことが目的なのではなく、「働くこと」を通して、その人の生活が豊かに広がり、生き生きとした姿が引き出され、キャリア発達が促される。

2 キャリア教育の研究経過

中央教育審議会「今後のキャリア教育・職業教育の在り方について(答申)」(平成23年1月)では、キャリア教育について、次のように説明している。

キャリア人が、生涯の中で様々な役割を果たす過程で、自らの役割の価値や自分と役割との関係を見いだしていく連なりや積み重ねキャリア発達社会の中で、自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現していく過程キャリア教育一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育

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また、キャリア教育の意義は次の3点である。

・教育改革の理念と方向性を示し、教育課程の改善を促すこと・子ども達の「発達」を支援すること・学校教育が抱える様々な課題への対処に活路を開くこと

本校がキャリア教育に取り組みに至った理由は、次の通りである。○学校教育目標の実現

キャリア教育の考えは、学校教育目標である「将来の社会生活において主体的に生きていく人間の育成」と重なり、キャリア教育に取り組むことが学校教育目標の実現そのもである。

○これまでの研究の課題本校は、これまでに、児童生徒が今もっている力を十分に発揮しながら主体的に活動する授業づくり取り組んできた。しかし、学部単位で研究を進め、成果を上げることはできたが、学部間のつながりが十分ではなく、課題として残されてきた。キャリア教育は、児童生徒のキャリアの連なりや積み重ねを重視している。このことは、学部間がつながりをもって教育活動に当たることを意味しており、本校の課題解決に向かうものである。

○本校生徒への評価、就労先の現状現場実習を通しての本校生徒への評価、就労先の現状から、「働くことへの意識の確立」が課題であることがわかった。これは、働くことだけを求められているのではない。働くことを支える生活についても考える必要がある。つまり、就労という現実的な課題に直面している高等部だけでははなく、小学部、中学部段階から取り組む必要性があることを意味している。

⑴ キャリア教育の視点平成22-23年度(以下、前次研究)は、「児童生徒が主体的に生きる姿を目指した授業

づくり─キャリア教育の視点を生かして─」を研究主題に研究に取り組んだ。前次研究のキャリア教育の視点は、次の通りである。

視点1)小・中・高のつながりのある取り組み視点2)キャリア発達に関する願う姿の実現視点3)児童生徒の主体的な活動につながる授業づくり

授業において児童生徒が主体的に活動することが、キャリア発達を実現することとなり、小学部、中学部、高等部へとつながりのある取り組みをすることで卒業後の願う姿へつなげていきたいと考えた。

卒業後の願う姿の実現↑

小・中・高のつながりのある取り組み(視点1)↑

キャリア発達に関する願う姿の実現(視点2)↑

主体的な活動につながる授業(視点3)

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⑵ キャリア発達に関する願う姿キャリア教育の視点を生かして、学部ごとの児童生徒の姿を具体的な言葉で表すために、

国立特別支援教育総合研究所「キャリアプランニング・マトリックス(試案)」を参考に、「本校のキャリア発達に関する願う姿」(以下、「キャリア発達に関する願う姿」)を作成した。具体的には、キャリア発達の観点と観点ごとに各学部の願う姿を設定した。

これにより、小学部、中学部、高等部までの願う姿のつながりが明らかになり、卒業後の願う姿に結び付いていることを明らかにした。また、「キャリア発達に関する願う姿」の観点は、授業づくりの具体的な指標として、授業の目標に位置付けることにした。

なお、資料1(p111~112)は、平成23年度作成したものについて文言等を整理し、平成25年度「本校のキャリア発達に関する願う姿」として新たに作成したものである。

⑶ 本校におけるキャリア教育の構造前次研究では、各学部の教育課程の中心となる領域・教科を合わせた指導について取り

上げ、小学部は生活単元学習、中学部、高等部は作業学習の授業を通して、キャリア教育について具体的に考えることにした。その結果、小学部、中学部、高等部のつながりについて、次のことがわかった。

生活単元学習、作業学習では、「キャリア発達に関する願う姿」の中の【役割】【目標設定】【自己評価】【やりがい・生きがい】を、どの学部でも大切にして実践している

児童生徒のキャリアと各学部が共通して大切にしている【役割】【目標設定】【自己評価】【やりがい・生きがい】の関連について、次のように考えた(図-1)。

児童生徒は、生活単元学習、作業学習の中で【役割】をもち、活動している。その【役割】について、【目標設定】をして【自己評価】することは、自分が今取り組んでいる活動に対して、自分なりの価値付けをすることになる。自分なりの価値付けによって得られる達成感や自己肯定感は、【やりがい・生きがい】につながっていく。そして、授業の中で自分の【役割】を果たすことによって、自分なりのキャリアを築いていくことになると考える。

図−1 生活単元学習、作業学習における「キャリア発達に関する願う姿」の関係

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⑷ 前次研究の課題前次研究で、本校のキャリア教育の方向性を明らかにすることができたが、今後の実践

を進めていくにあたり、次のような課題が明らかになった。

・児童生徒が主体的に活動できるように授業づくりを行ってきたのだが、児童生徒自身が、一つ一つの授業をどのように価値付けて積み重ねているかについてまでは、検討に至らなかった。

・児童生徒のキャリア発達においては、達成感、自己肯定感がとても大切であることがわかった。児童生徒は、自己評価によって自分の活動や成長を手応えとして感じ、自分の価値を見いだすことができる。その達成感、自己肯定感に大きくかかわる自己評価について、検討する必要がある。

Ⅵ 研究の実際1 本研究のねらい

本研究では、キャリア発達の実現のためには、達成感、自己肯定感を確かなものとする根拠が必要であると考える。そのためには、児童生徒が自分の力を発揮できる活動であること、活動に対する目標が明確であること、活動の結果に対して評価をすること、これらのことが授業で行われることが大切であると考える。

そこで、児童生徒の活動、役割に価値付けをする「キャリア発達に関する願う姿」の観点である【目標設定】【自己評価】について取り上げ、授業に取り組むこととする。目標設定、自己評価を取り入れた授業を行うことが、児童生徒の活動に根拠を与え、達成感、自己肯定感を確かなものにし、児童生徒のキャリア発達につながると考える。

そして、前次研究を踏まえ、小学部は生活単元学習、中学部、高等部は作業学習について、研究を進めることにした。

2 キャリア発達を支える授業⑴ キャリア発達のとらえ

本研究を進めるにあたり、本校としてのキャリア発達のとらえについて見直しを行った。前次研究では、キャリア発達について、「今、主体的に活動する、その連続性の先に卒

業後の主体的に生きる姿がある」と本校としてとらえた。キャリア発達は、「社会の中で、自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現

していく過程」とされている。そこで、今、行っている一つ一つの授業が、児童生徒にとってどのようなことにつながっているかを具体的に考え、本校のキャリア発達を次のようにとらえ直した。

本校のキャリア発達のとらえ自分の力を発揮して活動する経験を積み重ね、広げていくそのことで、やりがいを感じ、楽しみをもった生活につなげていく

⑵ キャリア発達を支えるキャリア発達を実現していく主体者は、児童生徒自身である。そして、教師であるわた

し達は、児童生徒が自分の力でキャリア発達を実現していくことを支えていきたいと考え

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る。児童生徒と教師が、一緒にキャリア発達の実現を目指していきたい。児童生徒が自分の力を発揮して活動する授業を一つ一つ大切にして積み重ねていくことが、キャリア発達の実現となり、児童生徒が卒業後の願う姿に近づいていくことになると考える。

⑶ キャリア発達を支える視点前次研究のキャリア教育の視点を踏まえて、本研究では、キャリア発達を支える視点と

して、次のように設定した。

キャリア発達を支える視点 視点1)卒業後の生活に向けた小・中・高のつながりのある取り組み 視点2)キャリア発達に関する願う姿の実現 視点3)児童生徒が自分の力を発揮する活動につながる授業づくり

視点1)卒業後の生活に向けた小・中・高のつながりのある取り組み児童生徒のキャリア発達は、学校で完結するものではなく、将来に続いていくもので

ある。今、取り組んでいることが、児童生徒の卒業後の生活につながっているということを明確にして、キャリア発達を支える本研究に取り組んでいきたい。

視点2)キャリア発達に関する願う姿の実現前次研究に続き、「キャリア発達に関する願う姿」の観点を授業に位置付け、それぞ

れの学部における願う姿の実現を目指す。視点3)自分の力を発揮する活動につながる授業づくり

キャリア発達の実現のためには、授業において、児童生徒が自分の力を発揮して活動することが大切である。そのためには、児童生徒に合った活動内容、自分の力を発揮できるような支援を考えていくことが必要だと考える。

⑷ キャリア発達における役割のとらえキャリア、キャリア発達を考える上で、役割をどのようにとらえていくかについて考え

る必要がある。本研究では、キャリア、キャリア発達が意味する役割について、二つのとらえがあるのではないかと考える。役割の二つのとらえ及び対応する「キャリア発達に関する願う姿」の観点を次に示す。

○授業の中で果たしている役割。今、取り組んでいる活動。…【役割】○学校生活の中で成長している姿。活動に向かって行く姿。…【やりがい・生きがい】

一つ一つの授業において、児童生徒は【役割】を積み重ねている。その積み重ねの結果が、【やりがい・生きがい】となり、児童生徒のキャリア発達の実現となる。

⑸ 各学部の卒業時点の児童生徒の姿卒業後の願う姿については、前次研究から共通理解を図ってきた。一つ一つの授業を積

み重ねていくことがキャリア発達において大切であると考えるならば、各学部の卒業時点までに、どのように児童生徒を育てていきたいかについて明確にしておく必要がある。そ

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して、卒業時点で終わるのではなく、次の段階へつなげていくことを考えると、学部ごとに検討するのではなく、全体で協議する必要があると考えた。学部研究会、学部縦割りグループ協議を実施し、各学部の卒業時点の児童生徒について次のようにまとめた。

<小学部卒業時点の児童>自信をもっていろいろなことに取り組む児童

<中学部卒業時点の生徒>友達や教師とともに、活動をやり遂げる生徒

<高等部卒業時点の生徒>働く生活に前向きに進んでいく生徒

⑹ キャリア発達を支える授業本研究では、「キャリア発達に関する願う姿」の観点である【目標設定】【自己評価】を

取り入れた授業について、小学部、中学部、高等部が共通して取り組み、キャリア発達の実現とそれを支える授業について、図-2のように考えた。

卒業後の願う姿社会の中で、やりがいを感じ、自分の力を発揮して働き、楽しみをもって生活をする

【やりがい・生きがい】

自分の力を発揮する授業=視点3

【目標設定】【自己評価】【役割】

<中学部卒業時点の生徒の姿>友達や教師と共に、活動をやり遂げる生徒

<小学部卒業時点の児童の姿>自信をもっていろいろなことに取り組む児童

<高等部卒業時点の生徒の姿>働く生活に前向きに進んでいく生徒

卒業後の生活に向けた小・中・高のつながりのある取り組み=視点1

キャリア発達に関する願う姿の実現=視点2

図−2 キャリア発達を支える授業

児童生徒と教師がともにキャリア発達の実現を目指していくためには、児童生徒と教師が授業の目標と評価を共有していくことが大切であると考える。そこで、目標と評価を共有する手だてとして、「わかる目標」「わかる評価」についても考えていきたい。これは、授業の改善につながることでもある。

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そして、キャリア発達を支える一番の基盤となるものは、児童生徒が自分の力を発揮して活動している授業であることを確認しておきたい。

3 目標設定と自己評価本研究の授業の観点である【役割】【目標設定】【自己評価】【やりがい・生きがい】につ

いて、各学部の願う姿は表-1の通りである。

表−1 キャリア発達に関する願う姿(一部抜粋)

観 点 小学部 中学部 高等部

【役割】 生活の中の自分の役割を知り、実行する

集団の中の自分の役割を理解し、実行する

社会生活の中で、自分の役割や分担を理解し、実行する

【目標設定】 目標を意識し、活動する 目標を意識し、達成に向けて活動する

自分の目標を設定し、達成に向けて活動に取り組む

【自己評価】 認められたり、ほめられたりすることにより、自分の良さに気付く活動の振り返り、一日の振り返りをする

がんばったことを振り返り、次の活動につなげる活動場面で自分なりに気付き、工夫して行動する

自分の活動を振り返り、良かった点や改善点を把握し、次の活動に生かす自分の課題に気付き、解決しようとする

【やりがい・生きがい】

低学年:楽しんで活動する中学年:�活動を楽しみにし、

意欲的に取り組む高学年:�活動を楽しみにし、

最後まで取り組む

活動を最後までやり遂げ、達成感を得る

自分の仕事に最後まで取り組み、やりがいを感じる働くことと余暇とのつながりを理解し、余暇を活用する将来の生活を思い描く

この【目標設定】【自己評価】について、授業の中の具体的な取り組み、児童生徒の具体的な活動を次のようにまとめた(表-2)。

表−2 授業の中の【目標設定】【自己評価】

【目標設定】 【自己評価】

自分の役割を知る

↓自分の目標を決める

(教師と一緒に決めることも含む)↓

自分で適切な目標を決める

他者に評価してもらうことで自己肯定感を得る

↓自分の目標に対する評価をする

(教師と一緒に振り返ることも含む)↓

自分で適切に自己評価をする

ここで確認しておきたいことは、本校の考えるキャリア発達における【目標設定】【自己評価】は、自分で目標を立てて評価できるようになること、目標をもつこと、評価すること自体が目的ではない。目標をもち、評価をすることで、【役割】を果たしている自分の価値に気付き、それがキャリア発達につながっていくと考える。したがって、【目標設定】の具体的な活動に「自分の役割を知る(活動がわかる)」、【自己評価】の具体的な活動に「他者

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に評価してもらうことで自己肯定感を得る」ということを含めている。これらの活動を繰り返していくことで、自分で目標や評価を考えようとすることにつなげていきたいと考える。

本研究を進めるにあたり、【自己評価】については二つの側面があることも確認しておきたい。

自己評価の二つの側面

○活動を終えた時点で、活動を振り返って行う○活動中に、自分で気付き、自分の力で*解決しようとする (*必要な支援を求めることも含む)

【自己評価】は、児童生徒が活動を終えた時点で評価することだけを示しているのではない。授業の中で、自分なりに工夫する児童生徒の姿についても、自分の力を発揮して活動している姿として大事にとらえていきたいと考える。

本研究では、児童生徒のキャリア発達につながる【目標設定】【自己評価】について考えていきたい。

4 「わかる目標」「わかる評価」⑴ 授業における目標と評価について

本研究を進めるにあたり、授業の目標と評価が、児童生徒、キャリア発達、授業者にとって、どのような意味をもっているかについて考え、まとめた結果が表-3である。

ここにおいて大切なことは、児童生徒、教師がともに、目標を明確に意識することである。児童生徒にとって目標が明確になることは、授業の中でわかって活動することになり、自分なりの工夫も見られるようになる。評価についても、具体的に良かったことがわかるようになる。教師にとって目標が明確になることは、児童生徒の変容を確かにとらえること、方向性をもって授業を振り返ることを可能にする。これらのことは、児童生徒の達成感、自己肯定感を確かなものにすると考える。

表−3 児童生徒、キャリア発達、授業者にとっての目標、授業、評価

児童生徒 キャリア発達 授業者

目標

○自分が何をするのかがわかる

【目標設定】=活動への動機づけ

○授業のねらいが明確になる○児童生徒の変容をどのようにと

らえるかがわかる授業者間の共通理解

授業

○自分の力を発揮して活動する

【役割】=役割を果たす

【自己評価】=自分なりの工夫

○ねらいが位置付けられる○児童生徒が自分の力を発揮して

活動できる支援を行う

評価

○自分の良さに気付く○次にがんばることが

わかる

【自己評価】が得られ、【やりがい・生きがい】につながる

○児童生徒の成長と課題がわかる○授業の成果と改善点がわかる

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本研究では、児童生徒と教師が一緒にキャリア発達の実現を目指していきたいと考えている。そのためには、目標を明確にして評価すること、児童生徒と教師が目標と評価を共有していくことが有効ではないかと考える。

⑵ 「わかる目標」「わかる評価」実際の授業展開と目標、評価にかかわる児童生徒と教師の活動について、表-4にまと

めた。

表−4 授業展開と目標、評価にかかわる児童生徒と教師の活動

授業の展開 観点 児童生徒 教 師

始まり=目標の共有

【目標設定】 ・活動内容がわかる・目標がわかる

・活動内容を伝える・目標を伝える

活動中 【役割】【自己評価】

・自分の活動に向き合う・工夫をする・必要な時に支援を求める・目標を意識して活動する

・良いところを認める・修正が必要な場合は伝える・目標、活動内容、支援が適

切であるかを確認する

終わり=評価の共有

【自己評価】 ・活動を振り返る・良かったところがわかる・次にがんばることがわかる・他者からの評価を受け入れる・友達のがんばりを認める

・良かったところと課題を伝える

・次時の活動を伝える

・目標に対する児童生徒の様子、支援についてまとめる

児童生徒と教師が目標と評価を共有するためには、教師が児童生徒に目標をわかるように伝え、目標に向けてともに活動し、その結果をわかるように伝えていかなけれなばならない。つまり、児童生徒にとって「わかる目標」「わかる評価」である必要がある。

本研究では、授業の目標と評価について考え、「わかる目標」「わかる評価」を手だてとして取り組むことにした。このことは、児童生徒のキャリア発達の実現と授業の改善につながるものである(図-3)。

図−3 「わかる目標」「わかる評価」とキャリア発達、授業改善との関連

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5 目標設定及び評価の手順⑴ 「キャリア発達に関する願う姿」と単元・題材の目標及び評価

ア 「キャリア発達に関する願う姿」と単元・題材の目標本研究では、生活単元学習、作業学習における児童生徒のキャリア発達について検討

を進めている。生活単元学習、作業学習においては、「キャリア発達に関する願う姿」の観点のうち、【役割】【目標設定】【自己評価】【やりがい・生きがい】が重要であるととらえている。そこで、生活単元学習、作業学習の単元・題材の目標に、この4つの観点を位置付けることにする。

単元・題材の目標は、次のように設定する。

単元・題材の目標

1 【やりがい・生きがい】についての目標 3学部共通

2 【役割】【目標設定】【自己評価】についての目標 3学部共通

3 *学部で重点と考えた観点の目標を設定 学部ごと

高 等 部 作 業 学 習単 元 の 目 標 例

1 ・集団の一員として、自分から働こうとする気持ちをもつ

2・質を意識して製品を作る・個人目標の達成に向けて、作業に取り組む

3 ・必要な時に、報告、確認、依頼をする。

児童生徒には、卒業後、社会の中でやりがいを感じながら生活してほしいと考えている。そこで、目標1については、学部の段階に合わせて、【やりがい・生きがい】に加えて、【集団参加】の観点を加えることもある。目標3については、学部に応じて設定する。このように、学部の実態を踏まえつつ、単元・題材に目標1、目標2を位置付けることに、3学部とも共通して取り組む。

イ 「キャリア発達に関する願う姿」と単元・題材の評価「キャリア発達に関する願う姿」の評価であるが、【役割】【目標設定】【自己評価】に

ついての目標に対する評価は、結果が客観的な事実としてとらえやすく、児童生徒の活動の様子から、1授業ごとに評価することは可能である。

しかし、【やりがい・生きがい】についての目標に対する評価は、1授業の中で見取ることができることもあれば、1授業の中ではっきりとした変容としてとらえることが難しいことがある。1授業を積み重ねていった単元・題材が終わる時点に、変容としてとらえることができる場合もある。あるいは、1単元・題材では変容をとらえきれなかった場合、いくつかの単元・題材を積み重ねていく中で変容をとらえることができる場合もある。【やりがい・生きがい】は、1授業ごとに【役割】を果たし、【目標設定】【自己評価】を通して自分の活動に価値付けすることを積み重ねた結果であると考える。

また、児童生徒一人一人によって、やりがいを感じていると見取ることができる行動は、実に多様である。販売会を意識して製品作りに取り組み、製品を売ることで喜びを実感し、作業学習にやりがいを感じる生徒もいれば、販売会へ意識を向けることは難し

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いが、販売会で売る製品を作ることに熱心に取り組み、それが認められて作ることそのものにやりがいを感じている生徒もいる。やりがいを感じている姿は内面にかかわることでとらえにくいという一面もあるが、このような児童生徒一人一人のやりがいを感じている姿を整理し、次のようにまとめ、【やりがい・生きがい】を見取る視点とする。

○活動そのものに向き合う姿○自分からやろうとする姿○最後まで活動している姿○大きな目標を意識している姿

ウ 「キャリア発達に関する願う姿」と児童生徒一人一人の目標及び評価「キャリア発達に関する願う姿」と単元・題材の目標及び評価について検討した結果、

児童生徒一人一人の目標及び評価については、表-5のように行うこととする。【やりがい・生きがい】については、児童生徒が授業を積み重ねた結果はすべて受け止めていきたいと考え、個人ごとの目標は設定しない。しかし、評価については、授業の積み重ねの結果として、個人ごとに行う。

表−5 授業展開と目標、評価にかかわる児童生徒と教師の活動

願う姿の観点 単元・題材の目標 個人の目標 評価

1 【やりがい・生きがい】

学級、作業班全体の目標(個人ごとに目標は設定しない)

単元・題材を通して見取る

2【役割】【目標設定】【自己評価】

学級、作業班全体の目標

個人の単元・題材の目標

本時の目標 1授業ごとに積み重ねる

3*学部ごと

の観点学級、作業班全体の目標

個人の単元・題材の目標

本時の目標 1授業ごとに積み重ねる

1授業ごとの評価については、児童生徒の活動の様子とともに、教師側の取り組みについても振り返ることとする。また、【やりがい・生きがい】について、単元・題材を通して児童生徒の変容を見取ることが難しかった場合は、教師側の取り組みを振り返るようにして、授業の活動内容、支援等について検討し、授業改善を図るようにする。

⑵ 年間指導計画、個別の指導計画との関連ア 「キャリア発達に関する願う姿」と年間指導計画との関連

生活単元学習、作業学習において重要であると考える【役割】【目標設定】【自己評価】【やりがい・生きがい】の観点から、単元・題材の目標を設定することにした。これにより、教育課程の年間指導計画の個々の単元・題材のねらいについても見直しを図ることが必要になった。

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イ 「キャリア発達に関する願う姿」と個別の指導計画との関連これまでは、児童生徒の実態を把握し、生活単元学習、作業学習の個別の指導計画の

目標を設定してきた。本研究では、生活単元学習、作業学習に【役割】【目標設定】【自己評価】【やりがい・生きがい】を位置付けることにした。そこで、個別の指導計画においても、同様の観点を位置付けて目標を設定することにした。

ウ 年間指導計画、個別の指導計画の関連教育課程の年間指導計画、個別の指導計画の関連を図-4にまとめる。個別の指導計

画の目標設定、単元・題材における個人の目標設定については、担当者間で話し合いを行うこととする。

教育課程

生単・作業年間指導計画

単元・題材のねらい

個別の指導計画生単・作業の目標

単元・題材における個人の目標

図−4 目標の関連

目標設定及び評価の手順について、次のように確認した(図-5)。

図−5 目標設定及び評価の手順

6 授業実践⑴ 3学部が共通して取り組んだこと

児童生徒が、キャリア発達を小学部、中学部、高等部と積み上げていくためには、小学部、中学部、高等部がつながりのある取り組みをしていくことが必要である。具体的な実践については、各学部段階で検討することとなるが、本研究では、単元・題材の目標のほかにも、3学部が共通して取り組む以下のことを確認してから授業に取り組むこととした。

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ア 児童生徒のスタート時点の把握児童生徒の変容を明確にとらえるためにも、生活単元学習、作業学習スタート時点の

児童生徒の様子について把握する。これは、個別の指導計画の目標設定に生かされることになる。また、【やりがい・生きがい】の評価にもかかわることである。

イ 「わかる目標」「わかる評価」の工夫児童生徒にとって「わかる目標」「わかる評価」となるように、目標の提示の仕方、

評価の伝え方について工夫をしていく。「わかる目標」「わかる評価」を工夫することは、【目標設定】【自己評価】の観点につながるものである。

また、各学部の目標と評価にかかわる教材・教具を持ち寄り、学部縦割りのグループ協議を実施する。各学部の授業、児童生徒の実態の共通理解を図るとともに、目標、評価の提示、支援が次の段階につながるものかについて協議を行い、「わかる目標」「わかる評価」となるように授業改善につなげる。

ウ 目標達成に向けた支援本校では、平成17-19年度の研究において、ICFの理念を取り入れ、児童生徒を取り

巻く環境を整えていくという視点で授業づくりについて取り組んだ。それを踏まえ、前次研究で、授業における実際の取り組みを整理し、授業づくりの工夫としてまとめた

(p121)。目標達成に向けた具体的な支援については、授業づくりの工夫としてまとめた項目の内、次の点に留意して考えていくことにした。

○見通しをもち、活動しやすい場の設定、教材・教具○自分から活動できる場の設定、教材・教具○児童生徒とともに活動し、児童生徒が一人でできる状況をつくるような教師の適

切なかかわり○ともに活動する友達に関心を向け、協力して活動できるような工夫

エ 評価の記録一つ一つの授業の積み重ねが残るように、評価の記録について工夫をする。これは、児

童生徒の変容をとらえるだけではなく、授業の目標や支援の見直しにつながると考える。

⑵ 研究授業及び授業研究会ア 1年次の取り組み

1年次は、1週間の授業参観週間を設定した(表-6)。校舎改修工事のため、全校で授業研究会を実施できず、参観者が記入したアンケート等を基に、学部ごとに授業研究会を実施した。また、学習指導案の検討については、学部ごとに行った。

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表−6 1年次授業参観週間

授業参観週間 学部授業研究会 研 究 授 業

小学部

平成24年12月10~13日

平成24年12月12日

たんぽぽ組(1・2年)

クリスマス会をしよう(クリスマスツリー、たんぽぽランド)

すみれ組(3・4年)

クリスマス会をしよう(クリスマス飾り作り)

つくし組(5・6年)

クリスマス会をしよう~クリスマスクッキーを作ろう~

中学部

平成24年11月5~9日及び19~21日

平成24年12月18日 石けん班 製品販売会で販売する石けんを

つくろう!

クラフト班 作業製品販売会に向けて製品を50個作ろう

園芸班 腐葉土を150袋作ろう

高等部平成24年11月26~30日

平成24年12月18日

手織班 織り物製品の製作Ⅱ

受託班 フルーツキャップの組み立てⅡ

*中学部作業学習は、小学部、高等部対象の授業参観週間の意見を参考に授業改善を行った後に、学部内で授業参観週間を実施した。

*高等部作業学習は、通常、工芸班も含めた3班編成であるが、改修工事のため、2班編成で作業学習を行った。

1年次の授業参観のポイント(アンケートの項目)は以下の通りである。

授業参観のポイント1 生徒と教師が目標、評価を共有した授業であるか(「わかる目標」「わかる評価」

への工夫点)2 児童生徒が主体的に活動している授業であるか3 授業の支援について気付いたこと4 生徒にとって、小学部の生活単元学習、中学部の作業学習の積み重ねが生かさ

れているか、卒業後の生活につながるものであるか5 そのほか、感想など

イ 2年次の取り組み2年次においても、1週間の授業参観週間を設定、全校授業研究会を実施し、本校職

員及び共同研究者、外部の助言者で協議を行った(表-7)。学習指導案は、すべての学級、作業班で作成を行った。また、参観者には、授業参観のポイントを事前に示し、授業研究会の協議に生かすようにした。

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表−7 2年次授業参観週間

授業参観週間 全校授業研究会 研 究 授 業

小学部

平成25年6月26日

~7月3日

平成25年7月3日

たんぽぽ組(1・2年) 焼きそばを作ろう

すみれ組(3・4年) 宿泊学習に行こう

つくし組(5・6年) 林間学校に行こう

中学部

平成25年6月24~28日

平成25年6月28日

石けん班 石けん作業Ⅲ作業製品販売

(肴町)に向けて

クラフト班 クラフト作業Ⅲ

園芸班 園芸作業Ⅲ

高等部

平成25年7月16~22日

平成25年7月17日

工芸班 工芸製品の製作Ⅰ

手織班 織り物製品の製作Ⅰ

受託班 フルーツキャップの組み立てⅠ

2年次の授業参観週間のポイント(アンケートの項目)は、次の通りである。なお、アンケートの記入内容及び疑問点に対する授業担当者からの回答を抜粋したものを資料3(p116~118)に示す。

授業参観のポイント<研究授業のテーマ>

児童生徒と教師が目標と評価を共有した授業<授業参観のポイント>

1 児童生徒が自分の力を発揮して活動していたか2 児童生徒がやることがわかり、自分から活動に取り組んでいると感じたこと3 「わかる目標」「わかる評価」

・目標と評価は妥当であるか・「わかる目標」への工夫点・「わかる評価」への工夫点・目標達成に向けた工夫(授業の支援)

4 各学部の積み重ねが生かされているか、次の段階につながるものか5 そのほかの感想、意見

全校授業研究会の協議の柱は、次の通りである。この協議の柱については、3学部共通のものである。全校授業研究会の協議、アンケートの記入内容に基づく授業の検討については、各学部の実践で述べる。

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授業研究会の協議の柱1 「わかる目標」「わかる評価」であったか

・生徒は活動内容や目標をわかって活動していたか・生徒と教師が評価を共有し、次へつながるものとなっているか

2 この授業を積み重ねていくことで、児童生徒がやりがいをもっている姿に結びついていくか・活動そのものに向き合う姿・自分からやろうとする姿・最後まで活動している姿・大きな目標を意識している姿

やりがい … 「キャリア発達に関する願う姿」の観点である【やりがい・生きがい】に示されている各学部の願う姿

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