研究活動に関する...

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国立大学法人北海道大学 2019年3月 作成 (2019年6月 改訂) 研究活動に関する ハンドブック

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Page 1: 研究活動に関する ハンドブック...※のついた項目は公的研究費に特化した内容になっていますが,その他の項目については, 全ての経費の使用に該当します。

国立大学法人北海道大学

2 0 1 9 年 度 版

2019年3月 作成

(2019年6月 改訂)

研究活動に関する

ハンドブック

Page 2: 研究活動に関する ハンドブック...※のついた項目は公的研究費に特化した内容になっていますが,その他の項目については, 全ての経費の使用に該当します。

はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

1 科学者の行動規範・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

2 研究活動上の不正行為防止(研究倫理)

(1) 社会における研究行為の責務・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5

(2) 研究の価値と責任・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6

(3) 研究の自由と守るべきもの・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7

(4) 共同研究・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11

(5) 後進の指導・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13

(6) 研究活動上の不正行為と不正事案・・・・・・・・・・・・・・・・・14

3 研究費の不正使用防止

(1) 研究費の使用に関する行動規範・・・・・・・・・・・・・・・・・・18

(2) 禁止事項と不正使用事案・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19

(3) 研究費の種類・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22

※(4) 競争的資金等の制度等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23

※(5) 研究費の交付前使用に係る立替・・・・・・・・・・・・・・・・・・26

※(6) 科研費の制度等(繰越・返還・間接経費)・・・・・・・・・・・・・・27

(7) 教員の会計職務の権限・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31

(8) 契約(発注)制度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32

(9) 立替払・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33

(10) コーポレートカードの活用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34

(11) 納品物品の検査(検収)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35

(12) 研究補助者の雇用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36

(13) 謝金・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37

(14) 旅費・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38

(15) 物品管理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39

(16) 図書の購入・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40

4 不正行為・不正使用・不正受給に対する処分・・・・・・・・・・・・・・・41

5 告発窓口・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43

※のついた項目は公的研究費に特化した内容になっていますが,その他の項目については,

全ての経費の使用に該当します。

目 次

Page 3: 研究活動に関する ハンドブック...※のついた項目は公的研究費に特化した内容になっていますが,その他の項目については, 全ての経費の使用に該当します。

-

- 1 -

● このハンドブックは,国を始めとした研究活動に関する複雑なルールをできるだ

けわかりやすく記載し,教職員の方々の理解を深めてもらう目的で作成しました。

※ 本ハンドブックに記載の会計ルールは,研究費に限らず,教育・研究・診療等,

本学で使用する全ての経費についても同様の取扱いとなります。

● 本ハンドブックは研究室等に常備していただき,教員のみならず,学生への指導

の際にもご活用いただければ幸いです。

なお,本ハンドブックは北海道大学ホームページからダウンロード出来ます。

● 本学では,研究活動上の不正行為及び研究費の不正使用の防止に関する事項につ

いては,研究戦略室で所掌しており,改めて言うまでもなく,不正行為及び不正使

用は決して行ってはいけないことです。

特に,研究活動上の不正行為は社会からの研究者に対する信頼を著しく裏切る行

為であること,公的研究費は国民の税金を原資としていること,また,教職員が取

得した研究費であっても大学に管理責任があることから,当室としては,今後も研

修の実施等,研究活動上の不正行為や研究費の不正・不適切な使用を防止するため

の取組を実施していく予定ですので,教職員の皆様におかれましては,ご理解とご

協力をお願いいたします。

北海道大学研究戦略室長

https://www.hokudai.ac.jp/research/injustice/handbook/ ホーム → 研究・産学連携

→ 研究活動上の不正行為及び研究費の不正使用への対応

→ 研究活動に関するハンドブック

はじめに

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- 2 -

国立大学法人北海道大学における研究活動上の不正行為防止管理体制

運営・管理環境の整備 情報発信・共有化の促進

○関係者の意識向上○告発等の取扱い,調査及び懲戒に関する規程の整備及び運用の透明化

○相談窓口の設置○不正への取組に関する方針等の公表

研究不正対応最高管理責任者

研究不正対応統括管理責任者

研究不正対応部局等責任者

研究倫理教育の提供

研究倫理教育推進部署[研究戦略室] 室長

理 事

総 長

部局等

部局等の長

専攻長

事 務 部 門

研究倫理教育の実行

【教職員,学生及び関係者】 教育研究等の日常業務遂行教育体制の構築

実施状況の報告

実施状況の報告

専攻長 専攻長

具体策の実施,研修受講管理・指導,モニタリング

事務局各部

研究推進部

財務部

総務企画部

・・・

連携

連携

【研究費不正使用防止管理体制】

【研究活動上の不正行為防止管理体制】

※「国立大学法人北海道大学における研究活動上の不正行為に関する規程」に基づく体制図 (本学では,文部科学省が制定した「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」

に基づき,研究活動上の不正行為を防止する体制を整備しています。)

各部局等における研究

活動上の倫理教育につ

いては,研究不正対応部

局等責任者(部局等の

長)が実質的な責任と権

限を持っており,研究活

動上の不正行為を防止

するための適切な措置

を講じる責を担います。

各部局等における研究

費の運営・管理について

は,コンプライアンス推

進責任者(部局等の長)

が実質的な責任と権限

を持っており,研究費の

不正使用を防止するた

めの適切な措置を講じ

る責を担います。

※「国立大学法人北海道大学研究費不正使用防止計画」から抜粋 (本学では,文部科学省が制定した「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン

(実施基準)」に基づき,不正使用を防止する体制を整備しています。)

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- 3 -

科学と科学研究は人類社会の平和と安全および公正で豊かな未来のために

あり,科学・技術の発展と科学者の主体的な判断に基づく研究活動は,社会

からの信頼と負託を前提としてはじめて社会的認知を得ることができる。そ

れゆえ,科学者は研究活動においてその透明性を維持し,社会に対する説明

責任を果たすとともに,厳しく高い倫理観を要求されていることを常に自覚

しなければならない。ここでいう「科学者」とは,人文・社会科学から自然

科学までを包含するすべての学術分野において,新たな知識を生み出す活動,

あるいは科学的な知識の利活用に従事する研究者,専門職業者を意味する。

こうした認識のもと,北海道大学は本学において研究活動を行うすべての

科学者が,日本学術会議が策定した「科学者の行動規範」(平成18年10月

3日制定 平成25年1月25日改訂)に基づき,研究活動を行うことを宣

言し,行動規範をここに定める。

1)科学者は,研究成果を論文等で公表することで,各自が果たした役割

に応じて功績の認知を得るとともに責任を負わなければならない。研究

の立案・計画・申請・実施・報告等の過程において,研究・調査データ

のねつ造,改ざん,盗用等の不正行為を行わず,またこれに加担しない。

2)科学者は,研究活動の透明性と説明責任を果たすために,実験や調査

の記録等の研究資料を適切に保存する。

3)科学者は,自らの行っている研究が社会の負託に応える重大な責務で

あることを強く自覚し,研究の実施,研究費の使用等にあたっては,法

令や関係規則を遵守する。

● 本学は,科学者の行動規範を定めています。

1 科学者の行動規範

北海道大学における科学者の行動規範

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上記の他,以下も参照して下さい。

・日本学術会議

声明「科学者の行動規範-改訂版-」

http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-22-s168-1.pdf ・独立行政法人日本学術振興会

「科学の健全な発展のために-誠実な科学者の心得-」

https://www.jsps.go.jp/j-kousei/rinri.html ・独立行政法人科学技術振興機構

研究者のみなさまへ~責任ある研究活動を目指して~

https://www.jst.go.jp/researchintegrity/shiryo/pamph_for_researcher.pdf 研究者のみなさまへ~公的研究費の適正な執行について~ https://www.jst.go.jp/researchintegrity/shiryo/FUNDS_pamph_for_researcher.pdf 研究倫理映像教材「THE LAB」日本語版

https://lab.jst.go.jp/index.html ・経済産業省 研究不正を防ぐために~経済産業省所管の研究資金を活用した研究活動における研究不正

行為と研究資金の不正使用・受給の防止~ http://www.meti.go.jp/policy/economy/gijutsu_kakushin/innovation_policy/pdf/ 150526_kenkyufusei_kyouzai.pdf

クラーク君

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- 5 -

科学者は,自分が生み出す専門知識や技術の質を担保する責任を持ち,さら

に自分の専門知識,技術,経験を活かして,人類の健康と福祉,社会の安全と

安寧,そして地球環境の持続性に貢献する責任を持っています。

科学者の意図に反して研究成果が悪用される可能性もあり,研究の両義性に

ついても認識する必要があります。

科学者の責務

科学者は,研究成果を論文などで公表することで,各自が果たした役割に応

じて功績の認知を得ますが,同時に,論文の内容についても責任を負っていま

す。

科学研究の不正行為はあってはならないものであり,科学者は,責任ある研

究を実施し不正行為を防止できるような,公正を尊ぶ環境の確立と維持に向け

て貢献することも自分の重要な責務の一つであることを自覚する必要がありま

す。

公正な研究

人間や動物を対象とした研究だけでなく,環境に影響を与えるおそれのある

研究,危険物を扱う研究など,さまざまな研究活動に関して,法令や規程,ガ

イドラインなどが定められているものがあります。関係する科学者は前もって

これらの研究に関する規程等を熟知し,適切な訓練を受け,それを遵守する必

要があります。

法令の遵守

● 科学の健全な発展を進めるためには,科学と社会の関係がより密接になっている

中において,科学者自らが研究活動を律するための研究倫理を確立する必要があり

ます。

科学者個人の自律性に依拠する倫理として,「科学者の責務」,「公正な研究」,「法

令の遵守」があります。

(1)社会における研究行為の責務

2 研究活動上の不正行為防止(研究倫理)

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科学者の知的な好奇心が,全ての研究活動の根底にあるのですが,特に現代

においては,研究から生みだされた知識や技術は,どのような分野のものでも,

社会や環境に影響を与える可能性を持っています。

研究を計画するに当たっては,科学と科学研究は社会と共に,そして社会の

ためにあるということについても念頭におき,自らの研究が,いかに人類の健

康と福祉,社会の安寧,そして地球環境の持続に貢献できるのかを真摯に考え

なければなりません。

研究には科学的な妥当性が必要です。研究の科学的な妥当性や独創性などを

確認するためには,先行研究を入念に調査・分析することは当然ですが,関連

する学会等が定める倫理綱領・行動規範などと,自分が計画している研究の目

的に整合性があるかどうかも見定めなければなりません。

● 科学者は,自らが生み出す専門知識や技術の質を担保する責任を有し,さらに自

らの専門知識,技術,経験を活かして,人類の健康と福祉,社会の安全と安寧,そ

して地球環境の持続性に貢献するという責任を有しています。

知識 ・

技術

社会の様々な分野に貢献

社会

環境 健康

福祉

(2)研究の価値と責任

研究の意義

研究の妥当性

研 究

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産学官連携活動に伴う利益相反マネジメントの実施

● 科学者の名の下に何をやってもよい,ということではありません。研究の自由は,

守るべきものを守る義務と責任を果たしてこそ保障されるものです。

● 科学研究と産業が密接に連携する今日の社会において,科学者は複数の役割を担

う状況が生まれています。この複数の役割の間で,経済面での利益や損失などの利

害関係が生じるとき,科学にとって最も重要な価値である「客観性」に影響を与え

る,あるいは,影響を与えるとみなされる状態,これが利益相反です。

本学は産学官連携活動を通して研究成果や知的財産を社会還元し,大学としての役割と

社会貢献を果たすことを目指しています。また,本学は技術移転等における連携に限らず,

より幅広い社会との連携活動を推進しています。利益相反とは,このような連携活動に伴

って不可避的に生じるものであり,次のような状況を指します。

1)本学職員等が社会との連携活動によって得る利益(実施料収入,報酬,未公開株式等)

と,教育・研究という大学における責任が相反している状況。

2)本学職員等が主に兼業活動により企業等に職務遂行責任を負っていて,大学における職

務遂行の責任と企業等に対する職務遂行責任が相反している状況。

3)本学が社会との連携活動によって得る利益と大学組織の社会的責任が相反している状況。

このような状況に対し,本学では「利益相反審査会」を設置し,利益相反に関する事項

の審査,管理に必要なルールの整備及び利益相反を回避するための措置等の審議を行うこ

とにより,大学における教育・研究上の責務が適切に果たされ,かつ大学の社会的信頼を

維持しつつ社会との連携活動が推進されるように,利益相反マネジメントを行っています。

なお,利益相反マネジメントの実施にあたって,産学官連携活動等に携わる職員等は「利

益相反に関する自己申告書(該当の有無を含む)」を審査会に提出する事となっています。

研究推進部 産学連携課 利益相反・安全保障輸出管理担当

内 線:9482 E-Mail:[email protected] 担 当 窓 口

(3)研究の自由と守るべきもの

① 人類の健康と福祉に貢献すること

② 社会の安全と安寧に貢献すること

③ 地球環境の持続性に貢献すること

④ 研究環境の安全を確保すること

守るべきもの

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● 研究や教育のためであっても,規制対象の物品や技術を国外に持ち出した場合や,

例え国内であろうと技術を提供した場合,当該教員と大学は罰則の対象となります。

〔安全保障輸出管理とは〕

国際的な平和及び安全の維持のため,武器そのものの他,高性能な工作機械や生物兵器

の原料となる細菌など,軍事的に転用されるおそれのある物及び関連する技術情報が,大

量破壊兵器等の開発者やテロリストなどに渡ることを未然に防ぐことを目的として,貨物

の輸出及び技術の提供を管理することが外国為替及び外国貿易法(外為法)で定められて

います。

これにより,外国へサンプル品や研究資機材等を輸出(携行)する場合や,外国から留

学生や研究者等を受け入れる場合,海外共同研究者との研究交流,並びに海外での研究発

表など,輸出する貨物や提供する技術,発表する技術内容,受け入れる相手や指導内容等

が経済産業大臣の許可を必要とするかどうかを事前に確認する必要があり,規制される貨

物の仕様や関連する技術に該当するかどうか(リスト規制),需要者や用途に懸念がないか

(キャッチオール規制)の2つの観点から,本学では,事前確認シートや該非判定・取引審

査票の提出,外国出張等における自己チェックシートでの確認と記録を義務づけています。

〔大学でよく見られる技術提供や輸出の機会の例〕

〔安全保障輸出管理違反に対する罰則と違反事例〕

許可が必要な物や技術を無許可で輸出又は提供すると外為法違反となり,違反した教員

及びその所属法人である大学に対し,法令に基づく刑罰を科せられることがあります。

○刑事罰:個人3千万円以下,大学10億円以下又は対象となる貨物や技術の価格の5倍

以下の罰金と10年以下の懲役(これらの刑事罰が併科される場合があります。)

○行政制裁:3年以内の貨物の輸出・技術の提供の禁止(個人及び本学に科されます。)

○社会的制裁:大学の信用失墜による教育・研究等への影響

技術提供・輸出の機会 具 体 例

留学生・外国人研究者の受入れ

及び他大学や企業との共同研究

○実験装置の貸与及び使用 ○USBメモリや電子メール,FAX を

用いた技術情報の提供 ○電話による技術情報の提供 ○会議,

打合せにおける技術情報の提供 ○研究指導,技能訓練 等

外国出張時の試料などの持出し ○サンプル品の持出し ○自作の研究資機材を携行 等

施設見学 ○研究施設の見学 ○工程説明,資料配布 等

非公開の講演会・展示会 ○技術情報を口頭で提供 ○技術情報をパネルに展示 等

安全保障輸出管理

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- 9 -

2017年8月20日,日本において生物の多様性に関する条約(CBD)に基づく名古

屋議定書が発効しました。

名古屋議定書は締約国に対して,提供国(遺伝資源を保有する国)と利用国(遺伝資源を

研究開発に利用する国)の両方の立場から条約の趣旨に沿ったABS(Access and Benefit

Sharing;遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分)規制の

国内への適用を求めています。

具体的には,各国の国内法に基づき,遺伝資源へのアクセスに際して当局の事前の同意(P

IC;Prior Informed Consent)を得ることや,遺伝資源提供者と遺伝資源の利用条件に関

する相互合意(MAT;Mutually Agreed Terms)を締結することが要求されます。

遺伝資源に対する主権的権利を主張する世界的な流れを受けて,諸外国では遺伝資源提供

国としてABS規制を国内法令化する動きが進んでいます。ABS規制の適用範囲や手続は,

各国裁量であり,国ごとに異なります。外国の遺伝資源を利用する研究者は,名古屋議定書

の締約国であるかないかに関わらず,当該国の国内法令を事前に調べ,遵守することが重要

〈事例1:無許可輸出〉

・ 地質調査の研究用にサーモトレーサー(リスト規制該当品)をメーカーから購入。海外

の大学に当該機材を貸し出すため,手荷物として無許可で持ち出した。

〈事例2:輸出許可期限の忘失〉

・ 海外機関との共同研究で航空機に関する技術の研究を行っていたが,当該技術が外為法

の対象技術のため,当初は適切に輸出許可(期限付)を取得。その後,組織再編があった

ため,当該取引の管理情報が十分に引き継がれず,輸出許可の期限切れに気付かないまま

技術の提供を継続してしまった。

〈事例3:手続きの誤認〉

・ 研究者は,リスト規制該当のウイルスと認識し輸出手続きの申請を行っていたが,手続

きの途中で齟齬が生じ,リスト規制非該当のものとして輸出手続きが進められていた。

〔安全保障輸出管理についての相談窓口〕

詳細は下記URLを参照の上,所属部局等の担当事務へご相談ください。

安全保障輸出管理 https://www.hokudai.ac.jp/research/export-control/ ホーム → 研究・産学連携 → 安全保障輸出管理 → 問い合わせ先

● 外国から遺伝資源を入手して研究を行う場合には,当該国の国内法令を事前に調

べ,遵守することが重要です。許可のない遺伝資源へのアクセスを禁止している国

もあり,現地の国内法令に違反すると罰せられます。また,許可なく持ち帰った遺

伝資源で研究開発を行った場合,大学組織としての国際的な評判に関わるリスクが

あります。

名古屋議定書 ABS

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- 10 -

です。当該国の国内法に違反した場合,罰せられることがあり,また,許可無く持ち帰った

遺伝資源で研究開発を行った場合,大学組織としての国際的な評判に関わるリスクも生じま

す。特に以下の点に注意してください。

① 研究者・留学生が自ら外国の遺伝資源を採取し日本国内に持ち込む場合

外国人による遺伝資源の取得や自国民による外国への持ち出しが許可制となっている場合があ

ります。許可が下りるまで数か月を要する事例もあります。

② 現地の研究機関が入手した遺伝資源を日本国内に送付する場合

現地のABS規制に従っているかどうかを共同研究先と確認し,可能であれば共同研究契約や

素材移転契約(MTA)を締結してから日本に送付してもらいます。

〔参照リンク先〕

・CBD事務局ホームページ(国際クリアリングハウス) https://absch.cbd.int/ ・環境省ABSホームページ http://www.env.go.jp/nature/biodic-abs/index.html ・国立遺伝学研究所ABS学術対策チーム http://nig-chizai.sakura.ne.jp/abs_tft/ 〔ABSに関する問合せ先〕

ABS受付窓口(URAステーション) E-Mail:[email protected]

● 人を対象とする医学研究を行うに当たっては,インフォームド・コンセントが必

要です。

インフォームド・コンセントとは,「被験者となることを求められた者が,研究

者から事前に研究に関する十分な説明を受け,その研究の目的・方法等を理解し,

自由意思に基づき被験者になることを同意する。」ことです。

世界医師会(WMA)において,「人間を対象とする医学研究の倫理的原則(日

本医師会訳)」として,医学研究における被験者への人権擁護を目的として「ヘル

シンキ宣言」を改訂してきました。

また,第Ⅱ次生命倫理懇談会(日本医師会)の『「説明と同意」についての報告』

において,「医師と患者との間のより良い人間関係や信頼関係を築くうえで,イン

フォームド・コンセントは大切なものである。」と考えられています。

なお,インフォームド・コンセントには,「十分な説明」,「自由意思」に基づく

「同意」という三つの要素が不可欠であり,これは,ベルモント・レポートで述べ

られている3要素「情報(information)」,「理解(comprehension)」及び「自発性

(voluntariness)」が対応しています。

インフォームドコンセント

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- 11 -

● 最近は,研究室,研究機関,そして国境を越えた共同研究や,これまで考えられ

なかった分野の壁を越えた学際的な共同研究が増えてきています。共同研究におい

ては,個人の責任だけでなく,集団としての責任が求められます。

(4)共同研究

★ 研究グループの代表責任者を決めること

機関の長が名目上の代表者となっている場合では,実際の研究責任者が不明確になり,

実質的に参加している科学者の個人研究の集合体でしかない共同研究もないとは言えま

せん。多様な科学者が参加する研究グループでは,すれ違いが生じやすいだけに,全体を

統合的に運営する責任者が必要です。

★ コミュニケーションをよくし,風通しの良い組織とすること

研究組織の規模が大きくなればなるだけ,意思疎通が難しくなり,情報や課題の共有が

おろそかになりがちです。企業と大学の共同研究に大学院生が参加する研究は,研究成果

発表の時期など相互の利益が一致しないこともありますから,各メンバーはもちろんのこ

と,代表者をはじめとする中心となる科学者は,組織のコミュニケーションを意識的に促

進することが求められます。

★ 役割分担と責任を明確にし,メンバー間で相互に理解しておくこと

共同研究者が具体的に取り決める事項として「ORI研究倫理入門 責任ある研究者に

なるために」は,次の事項をあげています。

・プロジェクトの到達目標と想定される成果

・共同研究での各研究者の役割

・データの収集,蓄積,共有の方法

・研究計画を変更する方法

・発表原稿の執筆に責任を持つ人

・著者の順序と著者となる基準

・報告書や会議資料の提出に責任を持つ人

・共同研究について公式に説明する責任を持つ人

・知的財産権や所有権について解決する方法

・共同研究を変更する方法と終了の時期

★ 研究目標の明確化

共同研究に当たり,研究の目標の検討段階から共同研究者間でコミュニケーションをと

るようにすべきであり,それは共同研究開始後に目標の変更を行う際も同様です。

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- 12 -

教授 大学院生

コミュニケーションを取り

信頼関係を築く

★ 法令や指針等の理解

分野が異なる科学者が参加する場合,必ずしも,対象とす

る分野のガイドラインを熟知しているとはいえません。国際

共同研究の場合には特に注意が必要です。

★ 研究記録のとり方,データの保存,利用方法等

研究データの扱いや帰属先は,研究資金や機関のルール,国によ

って異なります。多様な関係者が参加する共同研究において特に重

要です。

★ 知的財産権の取扱い

企業との共同研究においては,特許などの商品化につながる知的財産の帰属について文

書を取り交わす必要があります。それ以外にも共同研究者内部で特許申請する可能性があ

り,各機関で定めるルールを確認することが必要です。

また,共同研究終了後にデータを利用した発表を行う場合のルールなどもあらかじめ決

めておくと,トラブルを避けることができますので,共同研究開始時点から合意を得てお

くことが必要です。

★ 成果発表のルールとオーサーシップ

オーサーシップは,当該研究への貢献を示し,科学者の業績となります。そのルール化

は共同研究において極めて重要です。

オーサーシップの考え方は,研究分野によって異なりますので,異分野の科学者が参加

する共同研究では,まずそれぞれの科学者が属する分野の考え方を共有する必要がありま

す。

★ 大学院生と共同研究の位置

分野や研究室によって,大学院生の位置づけは異なります

が,研究目的や内容,業務,役割分担について,教員と大学

院生とが話し合い,信頼関係を築き,共同研究の中で大学院

生を成長させる視点を,指導教員のみならず,メンバー全体

で共有することが必要です。

指導教員の一方的な見解の押し付けや大学院生のオリジナ

ルの研究成果を何の気なしに教員が自分の研究に使用するこ

とは大きな問題に発展します。

Page 15: 研究活動に関する ハンドブック...※のついた項目は公的研究費に特化した内容になっていますが,その他の項目については, 全ての経費の使用に該当します。

- 13 -

指導教員は,博士課程の学生が誠実な研究者として育つように十分な指導をし

ていく必要があります。

博士論文は研究論文の一つではありますが,博士論文が認められ博士の学位が

授与されるということは,誠実な科学者を養成する課程を修了したことの証であ

り,博士の学位は世界中に通用することになります。そのため,その「質の保証」

には十分に意を配る必要があります。もし,質の保証が不十分なものになれば,

学位を有する個々の科学者に対する信頼はもちろんのこと,科学研究全体への信

頼を傷つけることにもつながりかねません。

指導教員は,学位論文のテーマ設定から取りまとめに至るまで,きめ細かな指

導を行うことが必要ですし,論文の審査に当たっては,誠実な研究者としての質

の保証の責任を十分に認識し,透明性と公平性を持って審査に当たる必要があり

ます。

博士課程の学生の指導と責任ある論文審査

● 科学研究は,それまで営々と積み上げられてきた知識の継承が前提となっていま

すが,研究を担う人を次の時代のために育てていくことも,科学の発展にとって,

不可欠であり,後進を指導することは現在の科学者にとっての大きな責任です。

(5)後進の指導

指導・論文審査

誠実な研究者の育成

科学者コミュニティの継続・発展

指導教員

学生

メンターは,「科学者とは何であるか」,「科学研究の目的とは何か」,「それは人

類の福利にどのように貢献できるのか」といった,科学者の根源的な役割や社会

的責任に関わる問いを継続的に投げかけ,後進の科学者であるメンティー(大学

院生ら)との対話を通して,価値観の共有を図り,「科学者になること」について

指導する必要があります。

単なる「科学」教育ではなく,「科学者教育」を目指し,科学者が共有すべき価

値を健全な形で伝承し,社会からの信託の得られるプロフェッションとしての科

学者コミュニティの継続,発展に努める必要があります。

メンターとしての指導責任

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- 14 -

本学において規定されている不正行為

● 本学では,研究活動上の不正行為について,故意又は研究者としての基本的な注

意義務を著しく怠ったことによる「捏造」,「改ざん」,「盗用」,「その他の研究活動

上の不適切な行為で研究者倫理からの逸脱の程度が重大な行為」の四つを規定して

います。

★ 捏造

存在しないデータ,研究結果等を作成すること

★ 改ざん

研究資料,機器及び過程を変更する操作を行い,データ,

研究活動によって得られた結果等真正なものでないものに加工すること

★ 盗用

他の者のアイデア,分析方法,解析方法,データ,研究結果,

論文又は用語を,当該者の了解又は適切な表示なく流用すること

★ その他の研究活動上の不適切な行為で研究者倫理からの逸脱の程度

が重大な行為

特定不正行為以外の研究活動上の不適切な行為であっても,研究者倫理からの逸脱

の程度が重大と判断される場合は,不正行為として調査の対象となります。例えば,

二重投稿(他の学術雑誌等に既発表又は投稿中の論文と本質的に同じ論文を投稿する

こと)や不適切なオーサーシップ(論文著作者が適正に表示されないこと)等で,著

しく悪質性の高いものが対象となる可能性があります。

★ : 文部科学省において定められている特定不正行為

(6)研究活動上の不正行為と不正事案

欲しいデータが 得られないから データを加工 しよう・・・!

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- 15 -

研究活動上の不正事案

● 「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」(平成26年8

月26日文部科学大臣決定)においては,文部科学省が,各研究機関において特定

不正行為が行われたと確認された事案(不正事案)について,その概要及び研究・

配分機関における対応等を一覧化して公開することとしています。

以下の研究活動上の不正事案は,文部科学省ホームページで公表されている不正

事案から抜粋したものです。

【概 要】

助教から,不正疑義があると自己申告のあった平成17年4月に発刊した元大学

助教授との共著論文において,平成14年3月と平成17年3月に発刊した両者に

よる共著論文における異なる試薬を使用した実験データのグラフを加工して存在し

ないデータを作り上げたとの疑義に対して,助教からの聴取を含め,調査委員会に

おいても反証が見いだされなかったことから,「捏造」が行われたものと認定した。

なお,当該論文は,不正行為が行われたと認定したデータを含め,筆頭著者であ

る元大学助教授が大部分を作成したものであり,助教は責任著者として実験の指導

や論文のとりまとめなどの管理的役割が主であったことから,助教の不正行為への

関与は必ずしも認められないが,論文のとりまとめを行う責任著者としての責任は

免れないと判断した。

【研究機関が行った措置】

・就業規則に基づき,不正行為に関係した職員に処分の通知を行った。

・不正認定された論文については,助教から取り下げ申請を行い,取り下げ手続

きを行っていることを確認している。

【配分機関が行った措置】

5年(平成28年度~平成32年度)の参加資格制限等の措置を講じた。

《研究活動における不正事案について(文部科学省)》

http://www.mext.go.jp/a_menu/jinzai/fusei/1360483.htm トップ → 科学技術・学術 → 科学技術関係人材の育成・確保

→ 研究活動における不正行為への対応等 → 研究活動における不正事案について

事案1(捏造)

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【概 要】

教員の原著論文の内容が教え子の大学院修士課程修了生の修士論文に酷似して

おり,盗用・改ざんに当たるのではないかとの申立て(匿名希望)があった。

被申立者が平成24年12月20日に単著で学会誌に投稿した原著論文(調査対

象論文)とその論文の基になったとされる修士論文を比較検証した結果,調査対象

論文の論述や数値データが修士論文のものとほぼ同一であり,当該研究に実質的な

関与がないにも関わらず,単著の原著論文として投稿していた。なお,被申立者は,

修士論文作成者への連絡及び承諾を得る努力をしたとは認められず,修士論文を安

易に無断引用したことから,「盗用」が行われたものと認定した。

また,調査対象論文は,修士論文作成者が収集した調査データをそのまま用いて

作成されたにも関わらず,当該論文の調査期間に示されている年月と実際のデータ 収集期間が食い違っており,被申立者へ意見聴取の結果,この期間に実際にデータ

収集が行われた事実はなく,調査期間の年月を真正でないものに変更していること

から,「改ざん」が行われたものと認定した。

【研究機関が行った措置】

・就業規則及び懲戒規程に基づき審査を行い,懲戒処分とした。

・論文の取下げ勧告を行い,被申立者から関係学会へ「撤回」と「削除」を申し

出,関係学会は,対象論文を「取消処分」にした。

【配分機関が行った措置】

競争的資金による経費の支出がなく,かつ,平成24年に不正が行われた事案で

あることから,研究機関及び研究者に対する競争的資金の返還並びに研究者に対す

る競争的資金への申請及び参加資格の制限を行わない。

【概 要】

平成27年3月1日付けで,出版社のホームページに,教授による著作に「剽窃

(ひょうせつ)」が認められたため絶版とする旨の告知がなされたことに端を発し,

当該事案以外についても追加調査を行った。

事案には,参考文献として明示することもないまま,他者の考察を,独自の見解

であるかのように披露しているものが存在し,調査対象論文5編及び書籍2冊(学

事案3(盗用)

事案2(盗用・改ざん)

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- 17 -

位請求論文を含む),箇所数にして35箇所,『最新社会福祉学研究』掲載論文に至

っては,同一の著作類から,複数ページにわたり断続的に約42行を引き写してお

り,これらすべてが「不注意」によって引き起こされたとは考えにくいこと,教授

が「他者の知見と自らの論を明確に分かたず表現することは厳に慎むべき」との認

識に欠けることはあり得ず,いずれの事象も無自覚になされたものではなく,明ら

かに故意をもってなされたと理解し,「盗用」が行われたものと認定した。

【研究機関が行った措置】

・賞罰規程に基づき,停職3か月の処分とした。

・論文等の取下げ勧告を行い,自らの研究業績(著書,論文等)について,訂正

を行わせることとした。

【配分機関が行った措置】

5年(平成28年度~平成32年度)の参加資格制限等の措置を講じた。

研究者等は,研究活動の正当性を証明する手段を確保するとともに,第三者の検証

が可能となるよう実験ノート,実験データその他の研究資料を一定期間適切に保存

し,管理する必要があります。

それらの研究資料は,研究活動上の不正行為があったとして告発された場合,研究

活動の透明性を説明する資料となり,開示の必要性や相当性が認められる場合には,

これを開示しなければなりません。

なお,「国立大学法人北海道大学における研究活動上の不正行為に関する規程」には,

以下のように研究資料の保存期間が定められています。

<国立大学法人北海道大学における研究活動上の不正行為に関する規程>

第3条4項(研究者等の責務)

(1)研究資料(試料及び標本を除く)

当該研究資料に基づく論文その他の研究成果発表のときから10年

(2)試料及び標本

当該試料及び標本に基づく論文その他の研究成果発表のときから5年(ただし、化学的

に不安定である物質,実験により消費される試料その他の保存及び保管が困難なもの又は

生物その他の保存及び保管に多額の費用を要するものについては,この限りではない。)

研究資料の保存の必要性

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(1)研究費の使用に関する行動規範

● 本学教職員の研究費の不正使用防止に関することは,「北海道大学における公的

研究費の使用に関する行動規範」や,「国立大学法人北海道大学における研究費の

不正使用に関する規程」,「国立大学法人北海道大学研究費不正使用防止計画」に定

められ,利害関係に関することは「国立大学法人北海道大学役職員倫理規程」等で

定められていますが,特に次のことを常に意識して行動してください。

3 研究費の不正使用防止

① 公的研究費が大学の管理する公的な資金であることを認識し,公正かつ効率

的に使用しなければならない。

② 公的研究費の使用に当たり,関係する法令・通知及び大学が定める規程等,

並びに事務処理手続き及び使用ルールを遵守しなければならない。

③ 公的研究費の計画的かつ適正な使用に努めるとともに,研究活動の特性を理

解し,効率的かつ適正な事務処理を行わなければならない。

④ 相互の理解と緊密な連携を図り,協力して公的研究費の不正使用を未然に防

止するよう努めなければならない。

⑤ 公的研究費の使用に当たり取引業者との関係において国民の不信や疑惑を招

くことのないよう公正に行動しなければならない。

⑥ 公的研究費の取扱いに関する研修等に積極的に参加し,関係法令等の知識習

得,事務処理手続き及び使用ルールの理解に努めなければならない。

⑦ 利害関係者から金銭・物品等の贈与を受けること,許可を得ずに物品・研究

機器等を無償で借りること,役務の無償提供を受けること等,国民の不信や疑

惑を招くおそれのある行為はしない。

⑧ 研究費の不正使用を,行わない!させない!黙認しない!

⑨ 研究費の不正使用に加担しない!

【利害関係者とは】

・物品契約等を締結している事業者,契約の申込みをしようとしている事業者等

・本学への入学を志願する者,懲戒処分の対象となる学生及びその関係者

・本学に職員として採用を希望する者及びその関係者

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禁止事項

● 特に教職員が気を付けなければならない禁止事項は,以下の4点です。

実態を伴わない虚偽の書類を作成し,実態があったものとして大学に書類を提出

し,不正に研究費を支出させるこれらの行為は,たとえ私的流用がなくても研究費

の不正使用になります。

《カラ発注(預け金)及び書類の書き換え》

◆ 研究費が余ったため架空の発注を行い,支払われた研究費を業者に預け金とし

て管理させ,翌年度以降に実験用消耗品等を納品させた。

◆ 研究費が不足して業者への支払いができないことを知りながら,業者に物品等

を納品させ,後日,架空取引を指示し,当該物品等の代金を支払った。

◆ 当該経費では執行できない什器類の購入や施設改修工事費用に充当するため,

業者に取引実態と異なる虚偽の書類作成を指示し,大学に経費を支払わせた。

《カラ給与》

◆ 研究協力者や学生等に支払う給与について,実際より多い作業時間を出勤簿に

記入して大学に請求し,研究費を不正に支出させた。

◆ 学生等に実態を伴わない給与を支出し,これを返還させ研究室の管理・運営に

必要な経費に使用した。

《カラ謝金》

◆ 実態を伴わない謝金を大学に支出させた。

《カラ出張及び出張旅費の水増し請求》

◆ 実態を伴わない旅費を大学に支出させた。

◆ 他の機関から旅費の支給を受けたにも関わらず,大学に同じ旅行の旅費を請求

し,二重に旅費を受領した。

◆ 予定を変更して日帰りしたが,予定通り1泊2日の旅費を受領した。

◆ 出張を取りやめたにも関わらず,偽りの出張報告をして不正に旅費を受領し,

当該研究目的以外の出張に流用した。

◆ 私的な旅行(帰省,ゼミ旅行等)にも関わらず,大学に旅費を請求して受領し

た。

◆ エコノミークラスの格安航空券を購入したにも関わらず,業者に正規運賃の見

積書及び請求書の作成を依頼して外国旅費を水増し請求し,大学院生等の国内学

会出席等に使用した。

(2)禁止事項と不正使用事案

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不正使用事案

● 「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」(平成

19年2月15日文部科学大臣決定・平成26年2月18日改正)の対象経費又は

申請及び参加資格制限措置の対象経費に係る不正使用事案について,不正使用の態

様を把握することによる不正使用の抑止や不正使用が発覚した場合の対応に活用す

ることを目的として,ガイドラインの改正に基づく体制整備に係る経過措置期間が

終了した平成27年4月以降の研究機関から配分機関への最終報告の概要を掲載し

ています。

以下の不正使用事案は,文部科学省ホームページで公表されている不正使用事案

から抜粋したものです。

【概 要】

元教授は,元秘書及び業者と共謀して虚偽の会計書類を作成し,大学から業者に

支払わせることにより,長期にわたって多額の「預け金」を作っていたものであり,

検収は行われているものの,預け金処理がなされているものは,検収後に物品を持

ち帰ることによる納品物の反復使用により行われていた。

さらに「預け金」の一部は現金で還流を受けるなど私的に流用していた。

平成20度以降の取引については見積書,納品書,請求書の証憑類を保有し,平

成16年度~平成19年度は証憑類を破棄しているものの業者への支出が記録され

た電子データを保有していたので,これら証憑類及び公判記録等で確認した結果,

平成16年度以降,「預け金」がなされていたと認定した。

【研究機関が行った措置】

・元教授に対し,「懲戒解雇相当」(退職手当の返納命令)の措置を講じた。

・本事案については,研究機関のホームページで公表している。

【配分機関が行った措置】

5年(平成28年度~平成32年度)の参加資格制限等の措置を講じた。

《研究機関における不正使用事案及び不正受給事案について(文部科学省)》

http://www.mext.go.jp/a_menu/kansa/houkoku/1364866.htm トップ → 科学技術・学術 → 研究費、研究開発評価

→ 研究機関における公的研究費の管理・監査

→ 研究機関における不正使用事案及び不正受給事案について

事案1(カラ発注(預け金))

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【概 要】

当該教授は,多人数のアルバイト従事者への謝金(人件費)支払処理手続きが面

倒であると考え,1名の学生に説明をした上で,カラ勤務の依頼をした。

実際の作業を遂行した学生に,謝金(人件費)として一括請求することを依頼し,

依頼を受けた学生は,勤務者としてカラ勤務の書類を作成した。

カラ謝金を受けとった実態があったことを確認したが,使途については,一部に

私的流用が疑われるものの,その使途が全て明らかにならず,確証を得られなかっ

たため,私的流用があったと断定することは出来ないとした。

カラ謝金を受け取った実態があったこと,カラ勤務の事実を認めたこと,カラ謝

金から支払われた協力者が存在したことにより,不正使用と判断した。

【研究機関が行った措置】

・当該教授に対しては,就業規則に基づき,減給とした。

・本事案については,研究機関のホームページで公表している。

【配分機関が行った措置】

1年(平成28年度)の参加資格制限等の措置を講じた。

【概 要】

当該教授は学会での企業共催セミナーにおいて,セミナー等を主催した企業から

当該教授に対し旅費が支給されていたにも拘わらず,これを秘匿して大学に対して

も請求を行なっていたことから,故意による旅費の二重請求と認定した。

【研究機関が行った措置】

・当該教授の懲戒解雇の措置を講じた。

・調査開始後に,交付中又は委託契約中の公的研究費の使用停止を行なった。

・本事案については,研究機関のホームページで公表している。

【配分機関が行った措置】

10年(平成28年度~平成37年度)の参加資格制限等の措置を講じた。

事案2(カラ謝金)

事案3(カラ出張)

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● 研究費は,大きく分類して以下の3種類があります。

外部資金

① 国及び独立行政法人等から配分

される研究資金(競争的資金等)

補助金(科研費等)

受託研究費(NEDO等)

共同研究費

② 財団法人及び民間企業等からの

研究資金

受託研究費

共同研究費

寄附金(寄附講座,助成金等(※))

大学自己資金 ③ 運営費交付金(文部科学省)等

(※)教育研究等の助成を目的とした寄附金の個人経理は禁止されており,大学に寄附しなけれ

ばなりません。

詳細は,会計業務マニュアル(学内限定)「6-3 寄附金」を参照してください。

https://north.finance.hokudai.ac.jp/~zaimu/ 北海道大学HP→教職員向け→学内限定情報・システム→共通事務処理マニュアル→マニュアル→会計→6-3

【参考】競争的資金制度一覧(平成30年度)

上記①のうち,特に内閣府より「競争的資金」として定められている制度です。

競争的資金制度:https://www8.cao.go.jp/cstp/compefund/

府省名 担当機関 制度名

内閣府 食品安全委員会事務局 食品健康影響評価技術研究

戦略的情報通信研究開発推進事業

ICTイノベーション創出チャレンジプログラム

デジタル・ディバイド解消に向けた技術等研究開発

消防庁 消防防災科学技術研究推進制度

本省/日本医療研究開発機構(AMED) 国家課題対応型研究開発推進事業

本省/日本学術振興会(JSPS)科学研究費助成事業(科学研究費補助金,学術研究助成基金助成金)

科学技術振興機構(JST) 未来社会創造事業

戦略的創造研究推進事業

研究成果展開事業

国際科学技術共同研究推進事業

本省 厚生労働科学研究費補助金

医療研究開発推進事業費補助金

保健衛生医療調査等推進事業費補助金

農林水産省 農業・食品産業技術総合研究機構(NARO) イノベーション創出強化研究推進事業

経済産業省 本省戦略的基盤技術高度化・連携支援事業(戦略的基盤技術高度化支援事業)

建設技術研究開発助成制度

交通運輸技術開発推進制度

環境再生保全機構(ERCA) 環境研究総合推進費

原子力規制庁 放射線安全規制研究戦略的推進事業費

防衛省 防衛装備庁 安全保障技術研究推進制度

国土交通省 本省

環境省

総務省本省

文部科学省

JST/AMED

厚生労働省AMED

(3)研究費の種類

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【参考】ある競争的資金についてのフロー

● 概算払いと額の確定 競争的資金等は,交付決定後,研究計画に基づいて積算された額を交付請求することが

できますが,こうして受け入れた資金はあくまでも「概算払い」であり,事業年度の終了

後に交付元機関から使用内容のチェックを受けなければなりません(「額の確定」)。

「額の確定」の結果,事業対象外とみなされた経費が発生した場合には,当該使用額を

交付元機関に返還しなければなりません。また,悪質な不正使用事案が判明した場合には,

厳しい処分が科せられる(「4 不正行為・不正使用・不正受給に対する処分」を参照)た

め,課題が採択された時点で安心せず,後日チェックを受けることを念頭において適切に

経費を使用することが重要です。

※ 経費の使用にあたって迷う事案がありましたら,所属部局等の事務へ相談してください。

公的研究費に関する相談窓口 https://www.hokudai.ac.jp/research/josei/soudan/ 北海道大学HP→研究・産学連携→補助金・助成金→競争的資金(公的研究費)に関する相談窓口

● 使用が制限されるものとは

競争的資金等は国民の税金を財源としていますので,その使用に当たっては,公正かつ

最小の費用で最大の効果を目指さなければなりません。制度は異なっても,この根本的な

考え方は同じです。

しかしながら,細かい使用ルールは制度ごとに定められていて,実際には根本的な考え

方の解釈に温度差があるため,一概には使用の可否を論じることができない部分もありま

す。そのため,経費の使用に当たっては,該当制度の最新の交付要領・交付条件・Q&A等

を確認してください。

次頁では,参考までに競争的資金等(直接経費)の主な使用制限と,各制度の使用ルー

ル掲載先URLの一部を例示します。

8月 額の確定調査

1月 応募

4月 交付内定

5月 交付決定

5月 実績報告

12月 額の確定

1月 返還手続き

交付元機関の担当者が調査に本学

を訪れ,伝票等を全件確認する事

業もあります。

研究事業期間終了後,関連手続きが

全て終了するまで半年以上かかる

ことも!

(4)競争的資金等の制度等

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競争的資金制度の使用ルールの掲載先の例

○科学研究費助成事業使用ルール・様式集-独立行政法人日本学術振興会-

https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/16_rule/rule.html ○厚生労働科学研究費補助金等事務処理要領-厚生労働省-

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10600000-Daijinkanboukouseikagakuka/kitei2_5.pdf

○研究費の機能的運用について-国立研究開発法人日本医療研究開発機構-

https://www.amed.go.jp/aboutus/kenkyu_unyo.html

競争的資金等(直接経費)の主な使用制限の例

① 他の経費との混同(合算)使用

明確に各事業の負担額を切り分けることができる場合は,当該事業分の経費負担が認め

られますが,切り分けをせずに複数の競争的資金等を混同(合算)して使用することは,

原則できません。

ただし,研究費の種類によっては,一定の条件を満たすことで合算使用が可能となる場

合もあります。

② 目的外使用

競争的資金等で使用できる経費は,研究課題の遂行に直接必要な経費及び研究成果の取

りまとめに必要な経費のみです。例えば,非常勤職員等を競争的資金等で雇用した場合,

当該事業以外の業務に従事させることはできません。

③ 研究期間外の使用

競争的資金等は,補助金の交付内定日や受託研究の研究期間の開始日等,それぞれのル

ールで定められた日以降から使用可能となります。それ以前に使用(発注)した経費に充

てることはできません。また,年度末(研究期間の最終日)までに納品・検収が行われ,

事業のために使用したものでなければ経費として認められません。

仮に年度末までに納品・検収がされていたとしても,研究期間内に使用しきれないと思

われる大量の消耗品の購入等は「予算消化のための購入」とみなされ,補助対象経費とし

て認められません。従って,年度末に集中しないよう計画的な経費の使用に努めてくださ

い。

また,事業期間終了後も資産価値が長期間に渡って残存するもの(不動産の取得,建物

等施設の建設・改修)については,使用が認められません。

④ その他

酒・たばこ等の嗜好品は購入できません。また,間接経費で支出することが適切なもの

には支出できません。なお,制度ごとに対応は異なりますが,採択された研究の遂行上,

必要となる文房具類・事務用機器類・什器類等について,購入できる場合もあります。

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● 間接経費とは

間接経費は,競争的資金を研究者が獲得したことに伴って,直接経費の一定割合

が研究機関に対して措置されるものであり,研究者が研究費として使用するために

措置される経費ではありません。

これは,研究者が研究機関において競争的資金で研究を行う場合に,所属する研

究機関において様々な負担が生じたり,研究機関としての研究環境の整備が必要と

されるなどの事情があることから,これらに適切に対応するための経費を措置する

とともに,これによって,直接経費による研究をより円滑に行うことにつなげると

いったねらいもあります。

間接経費の主な使途は,「競争的資金の間接経費の執行に係る共通指針」におい

て次のとおり例示されており,本学においても当該例示を参考に間接経費の執行を

行なっています。

(1)管理部門に係る経費

(ア)管理施設・設備の整備,維持及び運営経費

(イ)管理事務の必要経費

など

(2)研究部門に係る経費

(ウ)共通的に使用される物品等に係る経費

(エ)当該研究の応用等による研究活動の推進に係る必要経費

(オ)特許関連経費

(カ)研究棟の整備,維持及び運営経費

(キ)実験動物管理施設の整備,維持及び運営経費

(ク)研究者交流施設の整備,維持及び運営経費

(ケ)設備の整備,維持及び運営経費

(コ)ネットワークの整備,維持及び運営経費

(サ)大型計算機(スパコンを含む)の整備,維持及び運営経費

(シ)大型計算機棟の整備,維持及び運営経費

(ス)図書館の整備,維持及び運営経費

(セ)ほ場の整備,維持及び運営経費

など

(3)その他の関連する事業部門に係る経費

(ソ)研究成果展開事業に係る経費

(タ)広報事業に係る経費

など

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● 外部資金においては,研究(事業)期間開始時に研究費が交付(入金)されてい

ないことがあります。このような時でも,研究や事業が円滑に実施できるように,

一時的に本学が資金を立て替えすることで,経費使用ができる制度を設けています。

研究費の交付前使用に係る立替を利用したい場合は,所属部局等の会計等の担当

に依頼してください。

(5)研究費の交付前使用に係る立替

立替 交付された研究費

研究(事業)期間

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月

期間中の物品購入,非常勤職員雇用,旅費支給等が可能!

交付(入金)

【外部資金全般の留意点】

・相手方が民間企業の場合には,原則として立替はできません。

・立替を行った研究費が交付されなかった場合は,本学が立て替えた金額を,本学

に返済していただきます。

【科学研究費助成事業(科研費)の立替の留意点】

・新規の研究課題は,科学研究費補助金(補助金分),学術研究助成基金助成金(基

金分)ともに内定通知日から立替ができます。ただし,国際共同研究加速基金の

うち,以下の課題については,本学が交付申請書を提出した日からの立替となり

ます。

①国際共同研究強化(平成 29年度以前採択分)

②国際共同研究強化(A)(平成 30年度以降採択分)

③帰国発展研究

・継続の研究課題の補助金分は,4月1日から立替ができます。

・当該年度に提出しなければならない「研究成果報告書」又は「研究経過報告書」

を提出期限までに提出しなかった場合は,当該年度の立替を停止します。

研究(事業)開始

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● 科学研究費助成事業(科研費)には,「科学研究費補助金(補助金分)」と「学術

研究助成基金助成金(基金分)」の2つの制度があり,それぞれの制度で以下のよ

うにルールが異なります。

(6)科研費の制度等(繰越・返還・間接経費)

■調整金 研究費の未使用額全額を上限として,次年度の研究費に加えて使用可能(次頁参照)

研究上の必要に応じて,研究費の前倒し使用が可能 ※補助事業期間の短縮不可,申請書

提出後から立替使用可能

研究費の

前倒し使用

補助事業期間内であれば,年度をまたいだ物品の調達が可能

年度をまたいだ

物品の調達

研究上の必要に応じて,「調整金」にて前倒し使用が可能 ※研究期間の短縮不可,変更交付決定後から立替使用可能

補助金分 基金分

単年度ごとの交付決定 研究期間全体を通じた複数年度の交付決定

交付決定

<毎年度> 交付決定後に毎年度,当該年度分の研究費を受入

物品の納入は,年度末の3月31日までに終了しなければならず,年度をまたいだ研究費の使用は不可

■繰越 <理由> 事前に予想し得なかった,やむを得ない理由のみ <手続> 事前の繰越手続が必要(次頁参照) <次年度の研究費との合算> 繰越が認められても,次年度の研究費との合算使用は不可

■繰越 <理由> 理由を限定せずに次年度使用が可能 <手続> 事前の繰越手続は不要(年度ごとに研究費の使用状況を事後報告) ※補助事業期間を延長する場合は事前

の手続が必要 <次年度の研究費との合算> 次年度の研究費との合算使用が可能

研究費の次年度使用

<初年度> 交付決定後に,初年度分の研究費のみ受入 <2年度目以降> 年度当初に,当該年度分の研究費を受入

研究費の受入

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- 28 -

● 繰越申請による科研費(補助金分)の繰越

科研費(補助金分)について,交付決定時には予想し得なかったやむを得ない事

由により,当初の研究計画を変更して,研究期間を次年度まで延長する場合は,文

部科学省を通じて繰越申請を行い,財務大臣の承認を得た上で,研究費を次年度に

繰り越すことができます。

次年度に繰り越すことができるのは,計画の変更に伴い,次年度に使用する必要

がある研究費です。なお,研究終了後に余った研究費(余剰金)や,誠実に補助事

業を遂行しなかった結果,年度内に執行できなかったことが明らかな場合等は,繰

越の対象にはなりません。

※科研費(補助金分)の繰越申請において,研究代表者が作成する書類は,基本的に

様式C-26「繰越を必要とする理由書」の1枚だけですが,その内容について日

本学術振興会又は文部科学省から詳細を確認される場合があります。

① 研究に際しての事前調査の困難 想定外の事由により,事前調査の見直しなどが必要な場合

② 研究方式の決定の困難 想定外の事由により,新たな研究方式を採用することが必要となった場合

③ 計画に関する諸条件 予期せぬ問題が発生し,解決するまで,研究の延期が必要となった場合

例:研究協力者(機関)の事情,学会等の事情,印刷社・出版社の事情,装置の開発遅延,

機器の故障,研究代表者・研究分担者の怪我・病気等

④ 資材の入手難 予期せぬ外的要因により,計画通りに研究用資材を入手できなくなった場合

⑤ 相手国の事情

研究に関係する相手国における想定外の事情により,当初計画を延期又は中断することが必

要となった場合

⑥ 気象の関係 豪雨や豪雪などの例年とは異なる気象条件により当初計画を延期又は中断することが必要と

なった場合

科研費(補助金分)の繰越事由

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● 調整金による科研費(補助金分)の次年度使用

今年度が研究期間最終年度ではない科研費(補助金分)について,繰越制度の要

件に合致せず繰越できない研究費の未使用額(経費の節約により生じた未使用額な

ど)が5万円以上あった場合,所定の申請書を提出し,未使用額全額を上限として

次年度の研究費に加えて使用することができます。

なお,科研費(補助金分)の未使用額について,調整金制度を活用し次年度へ繰

り越して使用する場合は,実績報告書において未使用額と計上し,額の確定後に返

還する必要があります。

○ 未使用額の多寡にかかわらず,返還してください。

○ 科研費(補助金分)については,条件に合致する場合,調整金による次年度使

用を行うことができます。

○ 返還に当たっては,「実績報告書」の提出以外に特別な手続は必要ありません。

○ 未使用額を返還しても,その後の科研費の審査において不利益が生じることは

ありません。

補助事業期間終了時点で未使用額が生じている場合

・繰越申請を行う場合は,交付決定後の事由に基づいて申請してください。

・研究期間の初年度や最終年度であっても,繰越事由に該当すれば,繰越は可能で

す。

・次年度に繰り越して使用する際,一旦,返納する必要があります。なお,研究分

担者の分担金についても,研究代表者が所属する研究機関から返納を行う必要が

あります。

・同一の研究課題であっても,前年度から繰越が認められた研究費と当該年度の研

究費は,別々の補助事業であるため,両者を合算して使用することはできません。

・翌年度に繰り越された研究費を翌々年度に繰り越すことはできません。

科研費(補助金分)の繰越の留意事項

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● 科研費における間接経費について

① 所属研究機関への譲渡

科学研究費助成事業(科研費)は研究代表者等の研究者個人に交付される競争的

資金であり,直接経費と併せて間接経費も研究者宛に交付されますが,間接経費は

科研費の交付を受ける研究者が所属する研究機関のための経費であることから,科

研費の交付を受けた研究者は速やかに間接経費を所属する研究機関に譲渡しなけ

ればならないこととされています。

【参考】科研費における間接経費の譲渡事務の流れ

※文部科学省研究振興局・独立行政法人日本学術振興会発行科研費ハンドブックより

② 使用における留意点

間接経費は,直接経費の対象となっている研究課題の研究費としての使用(直接

経費との合算使用を含む。)はできません。

また,経費の執行に当たっては,全く同一の物品の購入であっても,「補助事業

の遂行に必要なものとして購入する場合」は「直接経費」により支出し,「補助事

業の遂行に関連して間接的に必要なものとして購入する場合」は「間接経費」によ

り支出することになっていますので,いずれの経費で支出するかは,「どのような

目的で使用するのか」といった観点から判断する必要があります。

【例】「パソコン」を購入する場合

・科研費の交付を受けた研究課題のデータの分析のために必要なPC ⇒ 直接経費で支出

・科研費の経理事務処理のために事務室に設置するPC ⇒ 間接経費で支出

研究代表者

研究代表者の

所属研究機関

日本学術振興会

研究分担者

研究分担者の

所属研究機関

①間接経費の送金 ②間接経費を受領した旨の連絡

③間接経費の譲渡

④間接経費の送金

⑤間接経費を受領した旨の連絡

⑥間接経費の譲渡

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- 31 -

● 本学の財務及び会計に関する業務は,規則上,総長が統括しており,業務ごとに

総長から教職員へ権限が委任されています。

受任者は,これらの業務に係る責任を負うことを認識し,確実に遂行しなければ

なりません。

● 教員に対して委任されている主な業務として,契約,検査があります。

○ 契約…教員発注可能な範囲(「3(8)契約(発注)制度」参照)のものに限

り,教員が発注することを認めています。

○ 検査…発注した内容に適合しているかについて,当該教員が仕様書等の関係書

類に基づき確認を行います。

関係規則・規程

<国立大学法人北海道大学会計規則>

第4条(財務及び会計の統括)

本学の財務及び会計に関する業務は,総長が統括する。

第5条(職務権限の委任)

総長は,本学の財務及び会計に関する業務について,その処理に係る職務権

限を本学の理事又は職員に委任することができる。

<国立大学法人北海道大学における財務及び会計に関する職務権限規程>

第3条(職務権限の委任)

財務及び会計に関する職務権限の委任については,別表第1(※)のとおり

とする。

第4条(職務権限及び責任)

前条の規定により委任された者(以下「受任者」という。)は,自らの職務権

限の行使又は不行使の結果について責任を負わなければならないことを十分

に認識し,確実にその職務を遂行しなければならない。

(※)別表第1において,業務ごとの権限者を定めており,教員については,「契約」「検査」

についての権限が委任されています。

(7)教員の会計職務の権限

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● 本学が行う契約

● 契約方式

本学における契約は競争を原則としています。ただし,例外的に随意契約が認め

られる場合があります。(例:契約見込額が500万円未満のもの 等)

※ 随意契約する場合でも,価格が適正であるか市場調査等をする必要があります。

※ 受け入れる外部資金によっては,取扱いが異なることがあります。

● 教員発注について

発注は本来,契約担当部署で行うのが原則ですが,教育研究上迅速に手配しなくては支障が

ある場合は,1件の契約金額が100万円未満で,指定された取引先に限り,教員による発注

を認めております。

また,他の教員発注の方法として,電子購買システム(EPS)による発注があります。当

サイトでは,事務用品・生活用品・電化製品・理化学実験用品の他,試薬・書籍・電子部品等

のカタログから商品を選択し,執行可能な予算情報を入力の上,発注することができます。な

お,地方施設の教職員については,当分の間,利用できません。

※ 詳細は,教職員向け調達情報(学内限定)の「教員等発注」を参照してください。

https://north.finance.hokudai.ac.jp/~chotatsu/gakunai/index02.html 北海道大学HP→教職員向け→教職員向け調達情報→教員等発注

● 教員発注する場合の留意点

・故意に100万円未満に分割して発注することはできません。

(100万円以上の契約案件は必ず所属部局等の事務へ相談してください。)

・特定の業者に偏った発注はしないでください。

・年度末に大量の消耗品を購入することは避けてください。

※ いずれも過去の額の確定調査等で指摘された事項で,場合によっては返還を求められます。

【金銭の支払が伴う契約】 【金銭の収入が伴う契約】

【支払も収入も伴わない契約】

物品購入

役務提供 etc

受託研究・共同研究

売払い etc

物品の寄附(贈与)

使用貸借 etc

※特に『金銭の支払が伴う契約』に

ついて注意してください。

(8)契約(発注)制度

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● 本学の教職員が教育研究等の業務遂行のため,1件の契約金額が50万円未満で,

緊急に店頭等で物品の購入,借入,その他の契約を行い,代金を支払った場合は,

その代金を請求することができます。

○ 立替払は業務上やむを得ない場合のみの手段

※ 安易に店頭購入やWEBサイトでの購入はしない。

○ 立替払後,速やかに立替払請求書等を提出

○ 掛売り(代金を後払いで売ること)での取引が可能な業者への利用は不可 ※ 他にも様々なルールがあります。詳細は,教職員向け調達情報(学内限定)「立替払等」を参照

してください。 https://north.finance.hokudai.ac.jp/~chotatsu/gakunai/index02.html 北海道大学HP→教職員向け→教職員向け調達情報→立替払等

!!注意!!

○学会等の参加費に食事代・宿泊費等が含まれて

いる場合

【部局等事務室及び財務部調達課】

研究者

店舗

②立替払請求 【提出書類】

・購入依頼書

・立替払請求書兼

コーポレートカード精算書

・内訳のわかる領収書又はレシート

※物品の納品書には第三者確認

※立替払後,速やかに

立替払請求の流れ・手順

①立替払で購入

③支払

・提出書類のチェック

・支払手続き

金額が明記されているか?

参加費から食事代・宿

泊費等を差し引いた額

を請求

参加費全額を請求

※旅費(日当・宿泊料)で

調整(減額)が必要

財務会計

システムによる

特に注意しなければならない遵守事項

(9)立替払

・領収書は,宛名,日付入りのものを徴取

・カードによる支払ができる場合はコーポレート

カード(「3(10)コーポレートカードの活用」参

照)を使用

YES NO

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財務会計

システムによる

● 本学では,「立替払による一時的な個人負担の軽減」,「立替払請求者及び取引先

に支払う際に生じていた振込手数料の削減」,「大学債務の早期認識」を図るため,

コーポレートカードを導入しています。

○ 外部資金等(執行期限に定めのある経費)での利用についての利用制限

※ 3月末までに支払を終了させなければならない経費のカード利用期限

→1月末日(支払期限が異なる経費の場合は,カード利用期限も異なるので注意!)

※ 執行期限に定めのない経費でのカード利用については,3月末日までに経費精算請求

○ 掛売り(代金を後払いで売ること)での取引が可能な業者への利用は不可 ※ 他にも様々なルールがあります。詳細は,教職員向け調達情報(学内限定)「立替払等」を参照

してください。 https://north.finance.hokudai.ac.jp/~chotatsu/gakunai/index02.html 北海道大学HP→教職員向け→教職員向け調達情報→立替払等

店舗

(VISA 又は Master加盟店)

研究者

③経費精算請求 【提出書類】

・購入依頼書

・立替払請求書兼コーポレートカード精算書

・請求仕訳サービスの「公費処理分」画面を

印刷したもの

・利用控・領収書

・関係証拠書類

※物品の納品書には第三者確認

※カード利用後,速やかに

コーポレートカード利用の流れ・手順

①コーポレートカードで購入

②仕訳処理

・公費利用分 !!注意!! ○利用明細請求仕訳を忘れずに!

(利用明細請求仕訳サービスから公私

の仕訳可能通知がメールにより届きま

すので,公費利用分と私費利用分の仕

訳処理を正確に行ってください。)

利用明細請求仕訳サービスにより,下記

期日までに仕訳処理を行わなかった場

合は,カード利用代金の全額が私費利用

分として処理されます。

【仕訳処理期限】

・月の初日~10日までのカード利用

→翌月末日

・月の 11日~末日までのカード利用

→翌々月の末日

特に注意しなければならない遵守事項

(10)コーポレートカードの活用

カード会社

【部局等事務室及び財務部調達課】

・提出書類のチェック

・支払手続き

④支払

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- 35 -

● 取引先より本学に納品される物品等は原則,納品検収センターで現物照合及び検

査(検収)を行います。

なお,納品検収センターを経由しない納品物品(宅配便によるメーカー等からの

直送,店舗購入,立替払,コーポレートカード払及び電子購買システムによる発注

分)については,発注した教員が現物照合及び検査(検収)を行います。

研究費の不正使用防止に係る納品物品の確認体制強化のため,以下の取組を実施

しています。

○ 納品検収センターを経由しない納品物品(宅配便によるメーカ-等からの直

送,店舗購入,立替払,コーポレートカード払及び電子購買システムによる発

注分)は,発注した教員と異なる第三者の教職員が現物を確認し,納品書に押

印等をすることを義務付け

○ 納品検収センターにおける納品物品へのマーキング

○ 資産管理対象物品のシリアル番号による管理

○ 調達課職員による納品時の抜き打ち検査

○ 調達課職員による納品物品の事後検査

納品物品の使用状況確認のため,調達課職員が研究室等にお伺いする場合がありますので,

ご協力をお願いいたします。

納品物品等の内部牽制

(11)納品物品の検査(検収)

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● 本学には様々な職種の職員がいますが,ここでは研究補助者のうち季節的・臨時

的な業務に従事する短期支援員の雇用について説明します。

なお,短期支援員との間には雇用契約に基づく使用従属関係が発生します(短期

支援員には雇用契約に基づき給与が支給されます)。

○ 研究補助者(短期支援員)に対する業務内容・期間・単価等の説明,及び業

務への従事意思の確認

○ 雇用申請書等の採用時必要書類の事前提出

○ 労働条件通知書に記載の業務以外は禁止

○ 勤務実態の把握・確認(※)及び業務終了後の出勤簿提出

(12)研究補助者の雇用

【部局等事務室】

④業務実施

・勤務実態の把握・確認

・出勤簿に押印

研究補助者

給与支給の流れ・手順

従事者 ①業務内容等の説明及び従事意思確認

・出勤簿チェック

・給与支給手続き

研究者

事業実施者

②雇用申請書等

の事前提出

特に注意しなければならない遵守事項

・雇用申請書等,採用時提出書類のチェック

・発令及び労働条件通知書作成

・研究者(事業実施者)

は,研究補助者(従

事者)の勤務日時を

把握し,出勤簿との

整合性を確認してく

ださい。

③発令及び

労働条件

通知書の

交付

⑤出勤簿提出 ※遅くても勤務月の翌月

1日を目途に提出 (提出期限は所属部局等の事務

へ確認してください。)

⑥給与支給

※給与は勤務月

の翌月に支給

※ 実際に職員の就業を確認した教職員が行うこととし、出張等で不在としている教職員

が就業の確認を行うことがないようにすること。

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○ 業務実施者に対する業務内容・期間・単価等の説明,及び意思確認

○ 謝金支給事前届出書等の事前提出

○ 業務の監督・確認及び業務終了後の謝金支給依頼書等の提出

【部局等事務室

及び財務部経理課】

研究者

・謝金支給事前届出書等,提出書類のチェック

※ 詳細は,会計業務マニュアル(学内限定)「6-2 謝金」を参照してください。

https://north.finance.hokudai.ac.jp/~zaimu/ 北海道大学HP→教職員向け→学内限定情報・システム→共通事務処理マニュアル→マニュアル→会計→6-2

● 謝金:雇用契約を結ぶ必要がない場合に支払われる報酬(使用従属関係なし)

※ 講演,会議出席,指導・助言,原稿執筆,通訳,翻訳等があげられるが,指揮命令関係が生

じる等,使用従属関係がある場合は,研究補助者等として雇用(「3(12)研究補助者の雇用」

参照)し,雇用契約を結ぶ必要があります。

特に注意しなければならない遵守事項

(13)謝金

謝金支給の流れ・手順

業務依頼者 業務実施者 ①業務を依頼し,業務実施の意思を確認

②謝金支給事前届出書

等の提出 ※業務実施の1週間前

③業務実施

・業務の監督・確認

・謝金支給依頼書等の作成

④謝金支給依頼書

等の提出 ※業務終了後,速やかに

・謝金支給依頼書等,提出

書類のチェック

・謝金支給手続き

⑤謝金支給 ※謝金支給依頼書提出後,

おおよそ2~3週間後に

支給

業務の確認(適宜)

【財務部経理課】

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● 教職員の出張について,本学の経費から旅費を受領する場合や,他機関から旅費

を受領する場合がありますが,ここでは本学の経費から旅費を受領する場合の手続き

について説明します。

○ 事前の出張申請

○ 旅行完了報告による旅行完了の証明

○ 証拠書類による旅行実態の証明

※ 詳細は,会計業務マニュアル(学内限定)「6-1 旅費」を参照してください。

https://north.finance.hokudai.ac.jp/~zaimu/ 北海道大学HP→教職員向け→学内限定情報・システム→共通事務処理マニュアル→マニュアル→会計→6-1

(14)旅費

・旅費システムに出張日,用

務先,用務内容,面談者,宿

泊先等の必要事項を記載

・出張日,用務先,用務内容

がわかる資料(学会・会議等

の案内,インビテーションレ

ター,訪問相手先へのアポイ

ントメールの写し等のいずれ

か1つ)を提出

・旅費システムへの記載事項が正

確に記載されているかを確認

・用務内容,旅行計画の適正性を

提出書類により確認

電子決裁により旅行命令者

(部局の長等)の承認を得る

【財務部経理課】

・事後抽出による旅行実態の確認調査を実施

※旅費システムを使用※

「支払等を証明する証拠書類」を提

出(領収書・搭乗半券等)

旅費システム上で

「出張申請」 (事前に申請)

旅費システム上で

「旅行完了報告」 (出張終了後,速やかに)

出張の

事実

旅費

受領

旅費受領の流れ・手順(精算払いの場合) !!注意!!

○出張の際に会議等で食事の提供を受けた場

合や,学会等の参加費に食事代が含まれている

場合は,『二重の利益享受』にならないよう,

旅費の調整が必要になります(「3(9)立替

払」参照)。

○他機関から旅費を受領する等,旅費支給元が

複数ある場合は,『旅費の二重受領』にならな

いよう,十分注意してください。

特に注意しなければならない遵守事項

出張者

・「支払等を証明する証拠書類」による旅行実

態の確認を行い,旅費計算を行う

・用務内容は具体的に記入してください。 例1:○○学会に参加し(○/○~○/○),[研究

課題]に関する情報収集を行う。

例2:△△大学△△学部■■ ■■教授と…についての研究打合せを行う(○/○)。

・旅費業務を委託している JTB に航空券の手配

を依頼した場合,領収書の提出は不要ですが,

利用する航空会社の種類等によっては,半券の

提出が必要な場合があります。

① ②

部局等事務室

研究者

旅費業務センター(JTB)

財務部経理課

重要!

・外部資金等の取扱いにより,書面での出張報告が求められている場合は,旅費システム

から「出張報告書」を作成してください。

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● 物品の使用者は,研究費による購入,寄附受又は他機関からの異動に伴う無償譲

渡等により本学が取得した物品について,善良な管理者の注意をもって,物品を使

用する義務を負います。

物品の所有権は,本学又は研究費の交付元(例えば文部科学省等)に帰属するこ

とになりますので,これらは個人の所有物ではありません。なお,本学に所有権が

ある物品については,管理番号を付し,これを標示するため「ラベル」を貼付して

います。

物品を廃棄・処分する場合や他者へ譲渡・貸与する場合は,事前に管理者である

各部局等の事務(部)長の許可又は研究費の交付元の承諾を得る必要があります。

● 物品が適正に使用・管理されているかを確認するため,毎年度,所属部局等の事

務により,物品の照合調査(実査)が行われます。実査は,高額な研究機器だけで

はなく,財産価値のある消耗品(例えばパソコン,タブレット端末機,デジタルカ

メラ,ビデオカメラ等)も対象としています。特に換金性の高い物品は,不当に売

却等されることが無いよう所在の確認をしています。

● 以下の禁止事項を確認の上,許可が必要な事項については,事前に所属部局等の

事務へ相談してください。

○ 物品の私的利用,退職後に自宅等へ持ち出すこと(許可の有無によらず禁止)

○ 物品を許可なく廃棄,又は処分すること

○ 物品を許可なく他者へ譲渡,又は貸付すること

○ 物品を許可なく異動先へ持ち出すこと

○ 物品の使用者や設置場所を許可なく変更すること

○ 学外者の物品を許可なく借入(※1),寄附受(※2),又は異動元から

持ち込むこと

(※1) デモンストレーションによる借入を含む

(※2) 試供品等の提供を含む

(15)物品管理

禁止事項

※ 禁止事項に違反した場合,国立大学法人北海道大学職員就業規則及び国立大学

法人北海道大学役職員倫理規程違反として処分の対象となることがあります。

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納品検収センター

● 図書の購入と管理についても,物品等と同様に本学の会計ルールに基づき取り扱

います。ただし,物品等とは異なる点もあります。詳しくは,附属図書館ホームペー

ジの「図書・雑誌の購入」及び「図書・雑誌購入マニュアル」を参照してください。 https://www.lib.hokudai.ac.jp/web/book-order-help/ 北海道大学附属図書館HP → 図書館 Webサービス → 図書・雑誌の購入

【図書の購入の流れ】

● 雑誌の定期購読については,図書の購入と扱いが異なります。詳細は,図書・雑

誌購入マニュアル「7 雑誌の定期購読」を参照してください。

● 各研究室等に所蔵されている図書が適正に管理されていることを確認するため,

蔵書点検を実施していますので,ご協力をお願いいたします。

書店 教員

消耗品は

書店が研究室へ納品

附属図書館

管理課

図書受入担当

①教員発注(主要取引先のみ)

①図書館 WEB サービスで 図書購入依頼

(主要取引先・一般取引先)

購入依頼を受けた図書を

附属図書館が発注

備品は 図書館経由で

研究室へ納品

(16)図書の購入

②納品

※図書館からの発注の場合は,消耗品も図書館経由の納品となります。

※教員発注及び図書購入依頼の際には,備品・消耗品の区別を正確に伝えてください。

備品とする図書の判断基準 「取得時又は製本時における使用予定期間が 1年以上のもの」 (「国立大学法人北海道大学固定資産管理規程」より抜粋)

納品検収センターで

検収

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- 41 -

● 研究活動上の不正行為及び研究費の不正使用があった場合,「個人」に対する処

分だけでなく,「研究機関」が交付元機関から処分を受けることがあります。

【学内の処分】

本学就業規則に基づき,懲戒(解雇,停職,出勤停止,減給,戒告)の処分,又は訓告・

厳重注意を受けることがあります。

(「国立大学法人北海道大学における研究活動上の不正行為に関する規程」及び「国立大学法

人北海道大学における研究費の不正使用に関する規程」に基づき,不正行為・不正使用があ

った場合,合理的な理由のため公表を控える必要があると認めた場合を除き,速やかに調査

結果を公表するものとします。この場合において,公表する内容は,不正行為・不正使用に

関与した者の所属及び氏名,不正行為・不正使用の内容,公表時までに行った措置の内容,

調査委員の所属及び氏名並びに調査の方法及び手順とすることを基本とし,その他の情報に

ついても特に公表を控える必要があると認められる場合を除き,公表することになっていま

す。)

【交付元機関からの処分】

競争的資金には,それぞれ制度ごとに応募資格停止,加算金を含めた資金返還等のペナル

ティが設けられています。詳細は,各競争的資金制度を確認してください。

(競争的資金の不正行為に係る応募制限)

不正行為の程度 応募制限期間

10年

当該分野の研究の進展への影響や社会的影響が大きく,又は行為の悪質性が高いと判断されるもの

5~7年

当該分野の研究の進展への影響や社会的影響が小さく,又は行為の悪質性が低いと判断されるもの

3~5年

上記以外の著者 2~3年

2~3年

当該分野の研究の進展への影響や社会的影響が大きく,又は行為の悪質性が高いと判断されるもの

2~3年

当該分野の研究の進展への影響や社会的影響が小さく,又は行為の悪質性が低いと判断されるもの

1~2年

不正行為に関与していないものの,不正行為のあった研究に係る論文等の責任を負う著者(監修責任者,代表執筆者又はこれらの者と同等の責任を負うと認定された者)

不正行為に係る応募制限の対象者

不正行為に関与した者

1.研究の当初から不正行為を行うことを意図していた場合など,特に悪質な者

2. 不正行為があった研究に係る論文等の著者

当該論文等の責任を負う著者(監修責任者,代表執筆者又はこれらの者と同等の責任を負うと認定された者)

3.1.及び2.を除く不正行為に関与した者

個人が受ける処分

4 不正行為・不正使用・不正受給に対する処分

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(競争的資金の不正使用に係る応募制限)

(競争的資金の不正受給に係る応募制限)

〈事 例〉

大学教授が別の研究者のIDやPASSを無断で使用し,独立行政法人日本学術振興会

に補助金を申請し,補助金を不正に受け取った。

【法律上の処分】

本学又は交付元機関から民事又は刑事告訴を受けることがあります。

研究機関に対して,次のペナルティが科せられることがあります。

① 不正行為が確認された研究活動に係る競争的資金において,事案に応じて,交付決定の

取消し等,また,当該競争的資金の一部または全部の返還。

② 不正使用があった競争的資金において,事案に応じて,交付決定の取消し等,また,当

該競争的資金の一部または全部の返還。

不正使用に係る応募制限の対象者

応募制限期間

10年

① 社会への影響が大きく,行為の悪質性も高いと判断されるもの

5年

② 社会への影響が小さく,行為の悪質性も低いと判断されるもの

1年

③ ①及び②以外のもの 2~4年

不正使用に直接関与していないが善管注意義務に違反して使用を行った研究者

善管注意義務を有する研究者の義務違反の程度に応じ,上限2年,下限1年

不正使用の程度

不正使用を行った研究者及びそれに共謀した研究者

1.個人の利益を得るための私的流用

2.1.以外

応募制限期間

5年偽りその他不正な手段により競争的資金を受給した研究者及びそれに共謀した研究者

不正受給に係る応募制限の対象者

研究機関が受ける処分

善管注意義務違反とは?

自ら不正使用に関与していない場合でも,研究資金の管理責任者としての責務を全う

しなかった場合のこと。

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● 本学では,以下のとおり研究活動上の不正行為及び研究費の不正使用に係る告発

窓口を設置しています。

名称:坂本・松田法律事務所

住所:〒060-0042

札幌市中央区大通西13丁目4番地レジディア大通公園3階

電話:011-251-3116

F A X:011-251-3118

面談受付時間:平日10:00~17:00

【告発の方法】

告発は,氏名,住所,連絡先を明らかにして,告発書を【面談(窓口へ持参)・

郵送・FAX】のうちいずれかの方法で告発窓口に提出してください。匿名の告発

は原則として受け付けません。

ただし,告発窓口は,科学的かつ合理的理由及び根拠に基づく告発に限り,これ

を受け付けます。

【告発に係る留意事項】

・告発を行う前に,告発の是非等について相談することができます。

・告発又は相談をしたことを理由として,告発者又は相談者が不利益な取扱いを受

けることはありません。

・調査に当たっては,告発者に協力を求めることがあります。

・調査の結果,告発が悪意に基づくものであると認定した場合,告発者の所属及び

氏名等の公表,懲戒処分,刑事告発を行うことがあります。 ・研究費の不正使用に係る告発については,「研究費の不正使用に係る告発窓口」

に別途告発してください。研究活動上の不正行為と研究費の不正使用が混在した

内容の告発があった場合,内容を分けて再度提出をお願いする場合があります。

5 告発窓口

研究活動上の不正行為に係る告発窓口

告発窓口:https://www.hokudai.ac.jp/research/injustice/indictment/ 北海道大学HP → 研究・産学連携→ 研究活動上の不正行為及び研究費の不正使用への対応

→ 研究活動上の不正行為に係る告発窓口

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名称:坂本・松田法律事務所

住所:〒060-0042

札幌市中央区大通西13丁目4番地レジディア大通公園3階

電話:011-251-3116

F A X:011-251-3118

面談受付時間:平日10:00~17:00

【告発の方法】

告発は,氏名,住所,連絡先を明らかにして,告発書を【面談(窓口へ持参)・

郵送・FAX】のうちいずれかの方法で告発窓口に提出してください。匿名の告発

は原則として受け付けません。

ただし,当該告発窓口は,客観的で合理的根拠に基づく告発に限り,これを受け

付けます。

【告発に係る留意事項】

・告発をしたことを理由として,告発者が不利益な取扱いを受けることはありませ

ん。

・調査に当たっては,告発者に協力を求めることがあります。

・調査の結果,告発が悪意に基づくものであると認定した場合,告発者の所属及び

氏名等の公表,懲戒処分,刑事告発を行うことがあります。 ・研究活動上の不正行為に係る告発については,「研究活動上の不正行為に係る告

発窓口」に別途告発してください。研究活動上の不正行為と研究費の不正使用が

混在した内容の告発があった場合,内容を分けて再度提出をお願いする場合が

あります。

研究費の不正使用に係る告発窓口

告発窓口:https://www.hokudai.ac.jp/research/injustice/contact/ 北海道大学HP → 研究・産学連携 → 研究活動上の不正行為及び研究費の不正使用への対応

→ 研究費の不正使用に係る告発窓口

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研究活動上のルールを理解することは,教職員の研究活動をより良いものとするた

めであり,また,研究費の適正な執行・管理は,教職員の研究資金を守るために必要

です。

このハンドブックは,研究過程で不正行為を行わないこと及び教職員が大切な研究

資金を適正に使用できることを目的に作成したものですが,内容については改正され

ることがあります。

【ハンドブックに関する問い合わせ先】

国立大学法人北海道大学

研究推進部研究振興企画課研究企画担当

電 話:011-706-2163

E-Mail:[email protected]

北海道大学 研究戦略室

「研究活動上の不正行為」,「研究費の不正使用・不正受給」は,

学術研究に対する国民の信頼を損なうものです。