中小企業の生産性向上のための投資戦 - mof.go.jp · 2017-05-27 · 第. 10. 章...

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10章 中小企業の生産性向上のための投資戦略 奥 愛 1 髙橋 秀行 2 【要旨】 日本でも多い中小企業の生産性が向上するための方策を検討する。中小企業の設備投資 スタンスをみると、近年の人工知能などデータを活用した動きが活発になる中において も、企業の「情報化投資」へのスタンスは過去 10 年間緩やかな低下が続き、その一方で 「維持更新」だけが上昇傾向にある。日本企業の実態をみると、中小企業を中心に人手不 足の実感がある企業は全体の約 6 割にのぼる。企業が生産性を高めて人手不足も解消し ていくためには、情報化資産への投資や、人への投資を増やして一人ひとりの生産性を高 めていくことが欠かせない。 全国にある財務省財務局がヒアリングした中小企業の事例を用いて、投資に積極的な企 業を分析したところ、情報化投資を進めるとともに人的投資を重視していることや、研究 開発においても大学との共同研究を行っていること、企業の拡大に人的ネットワークを有 効に活用していることがわかった。日本の企業が生産性を高めるための情報化投資や研究 開発投資は、人への投資や組織への投資といった補完的な投資を伴うことで効果を上げる という研究成果とも整合的である。生産性を上げるための手段として、用途が広がってい る人工知能の活用は非常に有望である。新たな技術を取り込むとともに人的資本も高め、 生産性の向上につなげる企業のチャレンジが期待される。 1. 日本経済の拡大に欠かせない中小企業の経済成長 中小企業が生産性を向上し、成長していくための方策を検討する。中小企業は日本の企 業数の大半を占め、雇用の約7割を支えており、日本経済の基盤となっている。日本が経済 を拡大していくためには、中小企業が成長していくための方策の検討は欠かせない。中小 企業の経済活動がさらに拡大するための取組みは、これまでも官民共に行われてきている が、その効果はまだ十分あらわれていないと思われる。 近年は、中小企業を中心に企業の人手不足感が強まっており、企業の生産活動にも影響 を及ぼし始めている。こうした状況を解消していくために、今、中小企業にも求められて いるのが生産性の向上である。例えば、労働生産性の国際比較をみると、必ずしも中小企 業に特化したものではないものの、 2015年に日本はOECD加盟国35ヵ国中22位(時間当たり 本章を執筆するにあたり、2016 年全国財務局長会議の報告を活用している。事例として取り上げた各企 業に御礼を申し上げる。 1 財務総合政策研究所総括主任研究官 2 財務総合政策研究所研究員

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Page 1: 中小企業の生産性向上のための投資戦 - mof.go.jp · 2017-05-27 · 第. 10. 章 中小企業の生産性向上のための投資戦略. . 奥. 愛. 1. 髙橋. 秀行

第10章 中小企業の生産性向上のための投資戦略

奥 愛1

髙橋 秀行2

【要旨】

日本でも多い中小企業の生産性が向上するための方策を検討する。中小企業の設備投資

スタンスをみると、近年の人工知能などデータを活用した動きが活発になる中において

も、企業の「情報化投資」へのスタンスは過去 10 年間緩やかな低下が続き、その一方で

「維持更新」だけが上昇傾向にある。日本企業の実態をみると、中小企業を中心に人手不

足の実感がある企業は全体の約 6 割にのぼる。企業が生産性を高めて人手不足も解消し

ていくためには、情報化資産への投資や、人への投資を増やして一人ひとりの生産性を高

めていくことが欠かせない。

全国にある財務省財務局がヒアリングした中小企業の事例を用いて、投資に積極的な企

業を分析したところ、情報化投資を進めるとともに人的投資を重視していることや、研究

開発においても大学との共同研究を行っていること、企業の拡大に人的ネットワークを有

効に活用していることがわかった。日本の企業が生産性を高めるための情報化投資や研究

開発投資は、人への投資や組織への投資といった補完的な投資を伴うことで効果を上げる

という研究成果とも整合的である。生産性を上げるための手段として、用途が広がってい

る人工知能の活用は非常に有望である。新たな技術を取り込むとともに人的資本も高め、

生産性の向上につなげる企業のチャレンジが期待される。

1. 日本経済の拡大に欠かせない中小企業の経済成長

中小企業が生産性を向上し、成長していくための方策を検討する。中小企業は日本の企

業数の大半を占め、雇用の約7割を支えており、日本経済の基盤となっている。日本が経済

を拡大していくためには、中小企業が成長していくための方策の検討は欠かせない。中小

企業の経済活動がさらに拡大するための取組みは、これまでも官民共に行われてきている

が、その効果はまだ十分あらわれていないと思われる。

近年は、中小企業を中心に企業の人手不足感が強まっており、企業の生産活動にも影響

を及ぼし始めている。こうした状況を解消していくために、今、中小企業にも求められて

いるのが生産性の向上である。例えば、労働生産性の国際比較をみると、必ずしも中小企

業に特化したものではないものの、2015年に日本はOECD加盟国35ヵ国中22位(時間当たり

本章を執筆するにあたり、2016 年全国財務局長会議の報告を活用している。事例として取り上げた各企

業に御礼を申し上げる。 1財務総合政策研究所総括主任研究官

2財務総合政策研究所研究員

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の労働生産性は20位)となっており3、改善の余地がかなりある。そこで本章では、企業ア

ンケートやヒアリング調査結果等を用いて中小企業の実態を踏まえながら、中小企業が生

産性を向上し成長していくためには、どのような方策が有効なのかについて、先行研究を

踏まえながら事例を活用しつつ分析する。

本章の構成は以下のとおりである。第2節で中小企業を含めた日本企業の投資の状況と人

手不足の実態を確認する。第3節で企業の実態を踏まえた上で生産性を高めるために必要と

される点について、これまでの研究を確認する。第4節では第2節、第3節を受けて中小企業

の具体的事例を紹介する。第5節で生産性を高める上で期待されるAIの中小企業での活用に

ついて議論する。第6節はまとめである。

2.企業の現状-投資の状況と人手不足

(1) 企業の設備投資スタンス

まず、法人企業景気予測調査4を用いて、企業の設備投資スタンス5を確認する。本調査は、企

業に当該年度の設備投資について聞いたものであるが、選択回答は国内有形固定資産への投資、

「研究開発」に加え、IT やソフトウェアといった「情報化への対応」、「海外投資」など、投資

項目を幅広く聞いている(図表1)。

中小企業の設備投資スタンスの調査結果をみると、製造業では「生産(販売)能力の拡大」が

かろうじて上位だが「維持更新」も高水準となっている。非製造業は、「維持更新」の回答が一

番多く、しかも年々増加傾向にある。「維持更新」が多い理由について、「昨年度に実施した店舗

改装の反動により減少の見通し」(北陸、娯楽、中小)といったように、前年度投資の反動のた

めという回答が多い。投資の不可逆性という性質もあるが、投資が持続的になされていない。

中小企業のうち、「情報化への対応」の設備投資スタンスは、製造業よりも非製造業の方の割

合が高い。近年、人口知能(AI:Artificial Intelligence)や IoT(Internet of Things)をはじめ、デ

ータをより積極的に活用していく動きが急速に広まっている。しかし、「情報化への対応」に対

する企業の設備投資スタンスは、製造業・非製造業とも、ここ 10 年間は低下傾向にある。

中小企業に限らないものの、日本企業の特徴として、業務効率化やコスト削減の観点から IT

投資を行うことが多い傾向がある(図表2・一番右)。その傾向を踏まえ、再度、図表 1 の「省

力化合理化」の項目を確認すると、やはりここ数年は減少傾向にあることがわかる 。さらに、

「研究開発」、「新規事業への進出」、「海外投資」の設備投資スタンスは、非常に弱い。その代わ

3 公益財団法人日本生産性本部(2016a)

4 本章では、分析に用いている法人企業景気予測調査の分類に従い、中小企業を資本金 1 千万円以上 1 億

円未満の企業とする。なお同分類では、中堅企業は資本金 1 億円以上 10 億円未満の企業、大企業は資本金

10 億円以上の企業としている。なお、中小企業庁(2016)では、中小企業基本法上の定義により、日本企

業の 99.7%が中小企業であるとしている。 5 法人企業景気予測調査では、毎年度 7-9 月期に設備投資のスタンスについて調査結果を公表している。

具体的には、企業が当該年度の設備投資について、10 項目の選択肢(①生産(販売)能力の拡大、②製(商)

品・サービスの質的向上、③情報化への対応、④省力化合理化、⑤環境対応、⑥海外投資、⑦研究開発、

⑧新事業への進出、⑨維持更新、⑩その他)から 3 項目以内で重要度の高い順に回答した結果である。

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り、「維持更新」だけが上昇傾向にあるという状況になっている。

図表 1 中小企業の設備投資に対するスタンス

(出所)内閣府・財務省「法人企業景気予測調査(各年度)」より作成。

図表2 ITに対する期待(IT予算が増える理由)に関する日米企業比較

0

10

20

30

40

50

60

70

2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016

(%)

(年度)

製造業

①生産(販売)能力の拡大 ②製(商)品・サービスの質的向上 ③情報化への対応 ④省力化合理化 ⑤環境対策

0

10

20

30

40

50

60

70

2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016

(%)

(年度)

非製造業

⑥海外投資 ⑦研究開発 ⑧新事業への進出 ⑨維持更新 ⑩その他

0%

10%

20%

30%

40%

50%

ITによる製品/サービス開発強化

ITを活用したビジネスモデル変革

ITによる顧客行動/市場分析強化

新たな技術/製品/サービス利用

事業内容/製品ライン拡大による

利益が増えているから

法規制対応のため

売上が増えているから

会社規模が拡大したため

モバイルテクノロジーへの投資

市場や顧客の変化への迅速な対応

プライベートクラウドの導入のため

定期的なシステム更新サイクル

未IT化業務プロセスのIT化のため

ITによる業務効率化/コスト削減

日本(n=85) アメリカ(n=156)

(出所)一般社団法人 電子情報技術産業協会 JEITA/IDC Japan㈱ 「ITを活用した経営に対する日米企業の相違分析」(2013)調査結果を基に作成。

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情報化投資に関し、改めて図表2をみると、日本企業は全般的にITに対する期待として、

「業務効率化/コスト削減」(図表2・一番右)が48.2%と突出しているのに対し、アメリカ

は16.7%しかなく(差は31.5%ポイント)、日本企業はITを著しく「業務効率化/コスト削減」

の観点で捉えていることがわかる6。

アメリカ企業と日本企業の回答割合の差が次に大きいものとして「新たな技術/製品/

サービス利用」(図表2・左から4つ目)があり、アメリカ企業は26.9%であるのに対し、日

本企業はわずか1.2%しかない(差は25.7%ポイント)。アメリカ企業の新たな技術や製品、

サービスを積極的に利用していく意識の高さは、時代の変化に即した人材への需要や企業

の新陳代謝の促進にも貢献していると思われる。裏返せば、日本企業は、アメリカ企業が

持ち得るこれらの強みが少ない可能性がある。

参考として、企業規模別のソフトウェア投資額を確認すると、製造業、非製造業とも中

小・中堅企業のソフトウェア投資額が非常に少ないことがわかる(図表3)。

図表 3 企業規模別ソフトウェア投資額(2016年)

(注)無形固定資産に新規に計上(又は予定)したソフトウェアの額。

(出所)内閣府・財務省「法人企業景気予測調査(2016年 10-12月期調査)」より作成。

(2) 企業の人的資本の状況-企業が直面している人手不足

次に、企業における労働力の状況を確認する。全国にある財務省財務局が2016年8~10月

に行った企業ヒアリング調査(大企業も含む)によれば、ヒアリング対象企業約1,400社の

うち、6割強の企業が人手不足となっている7。そこで、法人企業景気予測調査を用いて企業

規模別に人手不足感をみたものが図表4である。これをみると、中小・中堅企業の人手不足

6 なお、本調査は対象企業を中小企業に限っていない。

7 2016 年第 3 回全国財務局長会議の報告テーマ「管内における人手不足の現状及びその対応策について」

に向けてヒアリングした 1,366 社が対象。

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感が大きいことがわかる。さらに、図表5は中小企業の人手不足感を業種別にみたものであ

るが、多種多様な業種で人手不足感が生じているのが確認できる。

図表4 企業規模別の人手不足の状況(2016年12月末)

(注)従業員数判断BSI(Business Survey Index)=期末時点での「不足気味」-「過剰気味」。

数値が高いほど人手不足感が強いことを示している。

(出所)内閣府・財務省「法人企業景気予測調査(2016年10-12月期調査)」より作成。

図表5 中小企業の業種別の人手不足の状況(2016年12月末)

(注)従業員数判断BSI(Business Survey Index)=期末時点での「不足気味」-「過剰気味」。

数値が高いほど人手不足感が強いことを示している。

(出所)内閣府・財務省「法人企業景気予測調査(2016年10-12月期調査)」より作成。

人手不足により、どのような弊害が生じているのか。先の財務局による企業ヒアリング

結果では、人手不足に面している企業の半数以上が、従業員への負担増(出勤・超過勤務

の増加等)で対応していると回答している(図表6)。さらに深刻なのは、人手不足の弊害

として、事業機会の喪失(投資・新規事業・イベントの見送り等)を挙げている企業が一

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定割合存在していることである。

では、人手不足の解消に向けて、企業はどのような取組みをしているのか。人手不足の

対応策として、「業務の自動化など設備投資」や「業務プロセスの見直し」に取り組む企業

が多いことが確認できる(図表7)。他方で、回答数は少ないものの「事業規模の縮小(部

門の廃止等による業務減)」と回答している企業もあり、看過できない状況となりつつある。

図表6 人手不足による弊害

(注)人手不足の実感があると回答した863社。

(出所)財務省 2016 年第 3 回全国財務局長会議資料より作成。

図表7 人手不足の解消に向けて行っている取組み

(注)人手不足の実感があると回答した 863社が最大 2項目まで回答。特段対応なし等は省略。

(出所)財務省 2016年第3回全国財務局長会議資料より作成。

56.1%

12.9% 10.5% 9.6% 5.8%

2.9% 2.2% 0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

従業員の負担増

(出勤・超過勤務の増加等)

事業機会の喪失

(投資・新規事業(新規出店、海外進

出等)・イベントの見送り等)

企業におけるコスト増

(時間外手当増等)

特になし

技術力の低下

供給制約

(稼働日数の減少、休業の増加等)

その他

218 194

100

34 14

44

0

50

100

150

200

250

業務の自動化など設備投資

業務プロセスの見直し

一部事業のアウトソーシング

他社との業務提携、連携の強化

事業規模の縮小

(部門の廃止等による業務減)

その他

(社)

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3. 生産性の向上に向けた取組み-無形資産投資の有効性

(1) 現状低い生産性

日本は人口減少が続く見込みであり、企業の人手不足は今後も続く。人手不足を解消す

るためには、従業員を増やし生産を拡大することが考えられる。先ほどの財務局のヒアリ

ング調査によれば、実際に、人手不足を感じている企業のうち49.8%の企業が新規採用活動

の促進を行い、30.7%の企業が人材確保のために既存従業員の賃金の引き上げを行っている

と回答している。しかしながら、問題は解決されていないのである。その背景には、企業

の生産性8が低いため十分な収益を上げられず、雇用を確保できないという状況が考えられ

る。

生産性を示す指標の一つとして用いられる労働生産性をみると、日本企業全般の労働生

産性水準(1時間あたりの付加価値)をアメリカと比較した場合、製造業ではアメリカの7

割、サービス産業では5割しかないという調査結果がある9。また、生産性を示す別の指標で

ある全要素生産性(TFP:Total Factor Productivity)をみると、日本は1990年代以降にTFP上

昇率が低迷している一方で、アメリカはTFPの伸びが加速しているとの分析がある10。アメ

リカ企業と比べたこれらの結果を踏まえると、日本企業にはもっと生産性を引き上げられ

る余地がある。

日本企業の海外投資の弱さも生産性に関係しているという分析がある。Kimura and Kiyota

(2006)は、金融や保険等の一部の業種を除くデータをもとに分析した結果、生産性の高

い企業ほど海外進出を行い、生産性の低い企業ほど国内にとどまる傾向があると指摘して

いる11。この分析結果は日本企業全般のものであることを踏まえつつ、改めて図表1を見る

と、中小企業の海外投資に対するスタンスは低く(製造業:2.2%、非製造業:1.7%)、ま

た図表では示していないが、大企業(製造業9.5%、非製造業6.8%)、中堅企業(製造業3.4%、

非製造業3.2%)も高くない。

(2) 生産性を引き上げるための方策

生産性を上げるためには、どうすればよいか。日本企業に多い有形固定資産への投資に

加えて、それらを補完する無形資産への投資が重要であるとの研究成果が蓄積されつつあ

8 独立行政法人経済産業研究所の「生産性 Q&A」では、生産性とは「ある一定期間に生み出された生産量

と、生産に使用した労働や機械設備(資本)などの投入量の比率で、生産活動の効率性を示す指標」と説

明している。http://www.rieti.go.jp/jp/database/d05_ans.html#Q1 また、公益財団法人日本生産性本部では「「生

産性(Productivity)」とは、投入量と産出量の比率をいいます。投入量に対して産出量の割合が大きいほど

生産性が高い」と説明している。http://www.jpc-net.jp/movement/productivity.html 9 滝澤(2016)また、公益財団法人日本生産性本部(2016b)によれば、2015 年度の日本の実質労働生産性

上昇率は+0.4%。 10

金(2017) 11

Kimura and Kiyota(2006)は、回帰分析の結果、生産性が高い順番は、海外直接投資と輸出の両方を行

う企業、海外直接投資のみを行う企業、輸出のみを行う企業、どちらも行わない企業の順だと指摘してい

る。

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る12。無形資産には、ソフトウェアやデータベース、研究開発、著作権・ライセンス、デザ

イン、ブランド資産、企業固有の人的資本形成、組織改編等が含まれている13。

日本は、ソフトウェア等のIT関連である情報化資産への投資と職場外教育訓練(OFF-JT)

をはじめとする人的資本への投資が弱いため、「情報化資産」、「人的資本」への投資を増加

させることが課題であることが指摘されている14。実際、企業の情報化投資へのスタンスの

弱さや投資額が少ないことは図表1及び図表3でも確認したとおりである。また、人的資本

への投資も、日本はそもそも無形資産投資が少ないが、さらに無形資産投資に占める人的

投資割合は、アメリカの11.7%、ドイツの14.7%に比べ、日本はわずか1.3%しかない15。

宮川他(2016)では、日本がこれまでITを推進してきたにも関わらず生産性向上につなが

らない背景には、補完的な役割を果たす無形資産の蓄積不足があり、無形資産の中でも、

1990年代から急減している人材への投資が重要であるとしている16。日本企業が生産性を高

めるためには、情報化資産への投資を進めて生産性の向上を目指すほか、人への投資を増

やして一人ひとりの生産性を高めていくことが重要になる。そこで、実際の中小企業はど

のように進めていくことができるのかを以下で検討する。

4. 投資を通じて生産性の向上を目指した中小企業から引き出せる要素

中小企業のうち、生産性の向上を目指して情報化投資や人への投資を積極化させ、さら

にこうしたチャレンジ姿勢が人を引き付けるといった良い循環を生み出している企業もあ

る。以下では、どのような投資が生産性の向上に結びついているのかについて、全国にあ

る財務省財務局の企業ヒアリングの中から具体的事例を用いて、企業がいっそう成長する

上で有効と示された先行研究での指摘の当てはまりに着目しつつ分析する。

事例の選定にあたっては、金(2017)が「ICT や研究開発が生み出す知識は、単体として

企業内で役割を果たすのではなく、労働者や組織への投資、ブランドの構築などの補完的

な投資と一緒になったとき、十分な役割を果たす性質が強い」と指摘していることを踏ま

え、中小企業を中心に情報化投資や研究開発投資を行うことで効果を上げている企業に着

目し、どのような補完的な投資が行われたのかを分析した。

12 金(2017)に無形資産投資に関する先行研究も含め、無形資産投資の重要性が指摘されている。OECD

(2013)は、非物質的資産を合わせたものを知識資本(Knowledge-based Capital)と称し、企業の知識資本

向け投資は、成長を後押しし、生産性を向上させると指摘している。 13

無形資産は Corrado, Hulten and Sichel(2009)が分類しており、これらの無形資産の分類に関する説明は

宮川他(2016)が詳しい。なお、本章における無形資産の項目記載については宮川他(2016)を参考に主

な項目を記載している。 14

厚生労働省(2016) 15

厚生労働省(2015) 16

この点については、宮川・金(2011)でも「本来情報化投資は、それによって業務の方法をより効率化

するために行われ、この投資とともに組織の改編や人材教育のための投資がなされるのだが、日本の場合

多くは、従来の仕事のスタイルを変えないようソフトウェアに手を加えるケースが多いため、必ずしも情

報化投資が企業パフォーマンスの向上につながるとは考えられないのである。」と指摘されている。

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(1) 情報化投資で生産性を上げている企業

まず、情報化投資で生産性を上げている企業の事例を分析する。日本企業全般とアメリ

カ企業全般の労働生産性を産業別に比較すると、アメリカとの格差が一番大きい産業は農

林水産業であり、2010年から2012年におけるアメリカの農林水産業の労働生産性水準(1時

間当たり付加価値額)を100とした場合、日本は4.7しかない17。そこで農業分野の中小企業

の事例を取り上げ、生産性を向上させている企業は情報化投資の結果、どのような成果を

上げているかに着目し分析する。

① 後継者不足を背景にクラウドの活用で生産性を向上させ人材も引き付けた投資

従来のように経験や勘に頼らずに常に高品質の生産ができるよう、生産過程を数値化し

てデータに基づく生産へ切り替え、ICT の中でもクラウドサービスの導入を行った結果、高

品質の農産物の生産量が増え、さらに技術承継が容易になるといった効果が得られた企業

がある(図表 8)。

図表 8

金・権(2015)は、クラウドの導入は、ソフトウェアや ICT サービスの貢献とは別に、

企業の生産性を大きく上昇させる可能性があることを実証分析で明らかにしている。本企

業をみると、クラウドを活用した結果、高品質のみかんの出荷割合が約 2 倍になった。ま

た、通常より短い期間(2~3 年)で技術伝承が可能となる見込みであり、後継者育成につ

ながると考えられている。社員も生産管理をデータで行うようになり、クラウドの導入が

きっかけで社員の成長も見込めるという。

また、同業者が後継者不足に悩む中でも、生産性の向上に向けた積極的な取組み姿勢が

評価されて若い世代の人材を引き付けているという。新たな技術の取り込みを通じて働く

17

滝澤(2016)。

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環境も変えていく企業に人が集まるといった循環が生じていることがわかる。

② 経験や勘に頼らず数値による管理で品質向上を目指すための投資と人材投資、海外展開

品質向上を目指し、ベテランの勘・経験に頼らず数値管理できるものは機械化を進めつ

つ、最後は人が一番重要な役割を担っていると考えるからこそ、若手人材の育成に積極的

に取り組んでいる企業がある(図表 9)。

図表9

柳川・新井・大内(2016)は、AIを例にしながら、これからの労働者は、機械がやるよ

うな定型的な労働とは異なる領域で能力を発揮することが重要と指摘している。本企業は、

ベテランの勘に頼らず、データを重視した品質の向上を目指した際に、仕事内容を「機械

に任せる数値管理のもの」と「人が介する必要のあるもの」とに切り分けて、最後は人が

一番重要な役割を担っていることから、人に投資をすることは大切との考えで人材投資を

行っているという。こうした仕事の切り分けと人への投資が生産性の向上を生み出してい

ると考えられる。

また本企業は、酒米の生産量を増加させるための取組みとして、クラウドを活用して得

た栽培情報データを基に生産農家を支援している。データを活用した生産を可能とした背

景には、データ収集に必要となる計測機器類が低価格化し、データ収集が容易に行えるよ

うになった点が挙げられるという。金(2017)が、ICT投資が割高であれば小規模企業は躊

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躇すると指摘しているように、中小企業にICT投資が広がるためには、ICT投入が割高にな

らないような環境になっていくことが必要であることが裏付けられる。

さらに本企業は商品のブランド力により、インバウンド需要をつかみ、さらに海外進出

にもつなげており18、ブランドの構築は重要な投資戦略の一つであることがわかる。

(2) 研究開発を促進させ、事業を拡大している企業

次に、研究開発を促進させ、事業を拡大している企業の事例を分析する。以下では、既

存企業とベンチャー企業に分けて取り上げ、研究開発を促進させ、事業を拡大させていく

中で、どのような取り組みを行い、成果を上げているのかに着目する。

① 人手不足を背景にロボットやドローンの研究開発を行い優秀な人材確保を狙う投資

まず、既存企業の事例を取り上げる。労働集約型の企業が抱える人手不足の課題を克服

するため、ロボット開発やドローンの活用に向けた研究開発を進め、人材投資も重視して

いる企業がある(図表10)。

図表10

戸堂(2017)は、これまでの技術分野の垣根を超えた協業がイノベーションにおいて重

要となってきているため、今後は多くの資源を海外の企業や研究機関との共同研究に投入

する必要があると指摘している。本企業は、業務に必要となる多様な動きが可能な新たな

ロボットの開発を目指してアメリカの大学と共同研究を進めており、海外との共同研究ネ

18

宮崎(2017)が指摘しているように、現在、外国人客のインバウンド需要が非常に大きく伸びているこ

とから、インバウンド需要を取り込み、さらに海外に進出していく手立てにつなげることも期待できる。

外国人旅行客の動向を分析するツールとして、政府が提供して誰でもがアクセスできる「地域経済分析シ

ステム(RESAS)」がある(https://resas.go.jp/)。外国人旅行客の国籍別訪問先分析・滞在状況分析・消費額

分析などが可能となっており、ビックデータを活用することができる。

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ットワークを構築して新しい知識を得る取組みを行っている。それに加えて、既存のロボ

ットをさらに改良するための専門の人材の採用も行うなど、人への投資も行っている。さ

らに本企業は、作業工程の管理の効率化を目指して、高所部分でも稼働状況をリアルタイ

ムに死角なく確認するため、ドローンを活用する研究を行っており、すでに工程管理の数

値化を始めている。

本企業は、ロボット開発を進めることの意義を、人手不足の克服や作業の効率化だけに

求めるのではなく、「夢のある工場」にすることで優秀な人材を確保することも狙いとし、

人材教育を重視して、人への投資を続けているという。人手不足がまん延している中で、

優秀な人材を確保するためには、企業でも新たな技術を取り込み、同時に人への投資も進

める姿勢が重要であることがわかる。

② ベンチャー企業における人的資本・ネットワークの重要性と資金調達のスムーズ化の必要性

次に、ベンチャー企業の事例をみる。大学発のベンチャー企業で、若手研究者に地元企

業出身のベテラン技術者が加わり、海外で需要が見込まれるロボットを開発して海外進出

を果たしている企業がある(図表11)。

図表11

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岡室(2017)は、新規開業企業のイノベーションの創出には、産学官連携を含む共同研

究開発への参加といった、ネットワーク形成が重要であると指摘している。本企業は大学

発ベンチャー企業であるが、複数の人のつながり(企業技術者・研究所・海外進出してい

る大手メーカー等)を介していったことがきっかけとなって、需要の強い海外市場へ進出

でき、さらに、JETROから派遣を受けた大手商社OBが同行し、海外での契約・交渉に関わっ

たことが営業活動の力になっているという。本事例からも、ネットワークの重要性が確認

できるとともに、企業支援としてネットワーク形成支援が有効であることも確認できる。

さらに本企業の組織をみると、若手研究者に地元企業OBの複数のベテランが社員として

加わることで、ベテラン社員が持つ豊富な人脈と経験、知識が活かされる組織となってい

る。

ベンチャー企業が抱える問題としては、創業時の資金調達の難しさがある。本企業は新

エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から事業化支援を受けるとともに、事業拡大

の具体的なノウハウを持つベンチャーキャピタルから資金調達し事業を円滑にしていった。

岡室(2017)が新規開業企業に関して公的支援の重要性を指摘し、主体として地方自治体

や地域金融機関、商工会議所を挙げているように、ベンチャー企業を多く創出していくた

めには、貸し手が多様に広がっていくことが必要である。

以上、本節では4つの事例を取り上げ分析した。この4つの事例に共通していることは、

それぞれの企業が行っている情報化投資や研究開発投資は、人への投資や組織への投資と

いった補完的な投資を伴うことで効果を上げていることである。これらの事例を踏まえる

と、繰り返しになるが、金(2017)がいう「ICTや研究開発が生み出す知識は、単体として

企業内で役割を果たすのではなく、労働者や組織への投資、ブランドの構築などの補完的

な投資と一緒になったとき、十分な役割を果たす性質が強い」という指摘が当てはまるこ

とが確認できる。

5. AIで解決できる領域の広がり

上記ではICTやロボットなどを活用する中小企業を中心とした企業の事例を確認したが、

今後さらに中小企業の生産性を向上させるためには、身近に利用可能になったAIは非常に

有望である。松尾(2017)は、深層学習(ディープラーニング)技術のAIである「眼をも

つ機械」の進展により、これまでの技術では困難であった分野(警備・防犯、医療・介護、

家事等)での機械化・自動化が可能になってきており、農業や建設、食品加工、医療・介

護、製造をはじめとするさまざまな産業分野で付加価値の高い製品を作ることができると

指摘している。しかし、そもそもAIをどう活用したら良いかがわからなければ、企業はAI

を導入するインセンティブを感じにくい。実際、AIを活用している日本の企業はまだまだ

少ない。中小企業であればさらにAIの活用に至るまで時間を要すると考えられる。

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AIを活用する企業が増え、さらに中小企業にもAIの導入が広がるためには、どうすれば

いいか。例えば、企業が解決したいと考えている身近な問題をAIで解決できることを示す

ことから始めるやり方があるだろう。多くの企業が直面する課題である人手不足の解消は、

AIを導入する一つのきっかけになり得る。図表12の左側は、全国にある財務省財務局が企

業ヒアリングで聞いた、中小企業を中心とする人手不足の声を業種ごとに分けたものであ

る。これに松尾(2016)が指摘する今のAIのディープラーニング技術で対応可能な領域を

対応させると(図表12右側)、AIが人手不足という企業の課題解決に直結する技術であるこ

とがわかる。

図表12 企業の人手不足の声とAI活用可能領域

(注)表中の人手不足の声にある( )は、ヒアリングをした財務局名と企業規模を記載。

(出所)財務省2016年第3回全国財務局長会議資料及び松尾(2016)を基に作成。

しかし、AIでの人手不足の解消はあくまできっかけである。図表2で確認したように、日

本企業に多くみられる、人をなるべく必要としない「省力化投資」という観点で投資を行

うのではなく、新たな技術やサービスを積極的に用いることで企業の生産性を高め、付加

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価値を生み出し、さらに新たな雇用を生み出すための投資としていくことが強く期待され

る。AIを活用していくからこそ、人への投資がますます重要になってこよう。

AIが役に立つ技術だと理解しても、それでもAIを導入するのに躊躇する企業は多いと思

われる。柳川・新井・大内(2016)は、「AIを使わず人を活用している場合、当然のことな

がら、より効率的にAIを活用して、より低コストで生産やサービス提供を行う外国企業等

に競争で負けてしまう。」と指摘している。日本国内だけをみるのではなく、世界の変化へ

の対応の速さを意識していくことが企業の規模に関係なく必要だろう。AIを活用していく

ためには、松尾(2017)も指摘しているように人材投資が欠かせない。技術への投資と人

への投資が組み合わさってこそ生産性が高まる。この点は、上記第4節の事例でも確認した

とおりである。

カプラン(2016)は「AI技術をたったひとつ応用するだけで、なにもかもが変わるのだ」

という。本節では、AIを使うきっかけとして、多くの企業が直面している課題の一つであ

る人手不足の解消を例に挙げた。AIはこうした企業の課題解決や生産性の向上に役立つほ

か、AIの使い方次第で事業の領域は拡大していくだろう。

6. まとめ

低収益のまま人手不足を従業員の負担増でしのいでいる企業は持続的ではない。これは

人手不足感が強い中小企業のみならず、大企業にも当てはまる。悪循環を断ち切るのが、

生産性を向上させるための投資であり、これは企業の将来の成長に向けた投資といえる。

生産性を上げるには、情報化投資等をはじめとする無形資産投資が必要とされているが、

そこに人への投資等といった補完的な投資が伴うことでその効果が上がることが事例から

も確認できた。

企業が利益を上げ、働く人の賃金が上昇し、さらに企業活動が拡大していく循環を生み

出すことが必要である。この広がりが大企業のみならず、中小企業にももっと行き渡る必

要がある。そのためには、新たな技術を積極的に取り込み、人材育成のための投資もしっ

かりと行うことで人的資本を高めて生産性を上げていくことが、これまで以上に中小企業

にも求められる。

チャレンジする企業は、人を引き付ける。一人ひとりの意欲を伸ばし、持てる能力を発

揮させることができる企業は、生産性の向上が期待できるだろう。チャレンジの積み重ね

が企業の成長の源泉になりうる。中小企業はより機動的にチャレンジをしていけるのでは

ないだろうか。中小企業の生産性の向上に向けた取組みが広がり、生産性の高い分野でさ

らに雇用が拡大していけば、地域経済の活性化、さらに日本経済の拡大にもつながるだろ

う。

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