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機密性2 0 令和2年3月 石炭開発部 石炭の分類について

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機密性2

0

令和2年3月

石炭開発部

石炭の分類について

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無煙炭 瀝青炭 亜瀝青炭 褐炭 泥炭

石炭化の程度高 低

原料炭

一般炭

コークス製造 → 製鉄

発電燃料、セメント燃料など

①炭素の濃縮の程度:植物がどれだけ石炭化されたか

②用途

粘結炭

非粘結炭

③粘結性

強粘結、弱粘結、微粘結という表現も使われる無煙炭 焼結用炭材、練炭、還元剤、カーバ

イド(CaC2)など

Hard Coal Brown Coal / Lignite Peat

“石炭”の範囲

石炭の分類(1) 1

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石炭の分類(2) 石炭(瀝青炭)は燃料の他に、コークス製造の原料に利用される。こ

の場合、石炭の粘結性が重要な役割を果たす。粘結性の高い石炭は加熱すると溶融して粒子が結合し易くなる特性を有しており、この結合が製鉄高炉用コークスに必要とされる強度を保証する。

石炭は粘結炭と非粘結炭に大別され、粘結炭はさらに強粘結炭と弱粘結炭に分類される。高温乾留によってコークスをつくる際には石炭中の揮発分が追い出されるが、同じ粘結炭でも揮発分が少ないほど強度のある良質のコークスを製造することができる。

石炭の商取引においては石炭の用途から、無煙炭、原料炭、一般炭の3種類に分類する。無煙炭は焼結用炭材、練炭、豆炭の製造などに用いられる。原料炭は、① 製鉄高炉用コークス製造用の粘結性の高い原料と ② 高炉吹込み用のPCI炭※に区分できる。一般炭は、粘結性のない瀝青炭および亜瀝青炭で発電用、ボイラー用の燃料となる。

褐炭は水分が多く、発熱量が低いことから、輸送コストをかけてまで国際間で取引されることは極まれで、生産地の近くで火力発電用の燃料として利用される。

※ PCI = Pulverized Coal Injection(微粉炭吹込み)

出典: JOGMEC平成28年度海外炭開発支援事業 海外炭開発高度化等調査「世界の石炭事情調査 -2017年度-」

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分析値の表示ベース

到着ベース(as received basis – ar) :受け取り時点での分析値

気乾ベース(Air dried basis - adb) :室内で自然乾燥状態での分析値

恒湿ベース(旧JIS基準) :湿分75%の空気中での乾燥状態での分析値

無水無灰ベース(dry ash free basis - daf):水分・灰分を含まないと仮定したときの分析値

無水無灰無鉱物質(純炭)ベース(dry mineral matter free basis - dmmf)

:水分・鉱物質を含まないと仮定したときの分析値(純炭ベース)

※恒湿ベースは1994年のJIS改正で廃止。海外炭の取引では通常気乾ベース(adb)によって行われる。

固定炭素 灰分 水分 付着水分揮発分

全水分鉱物質純石炭

工業分析

ar

adb

dafdmmf

恒湿(湿度75%)

(室温)

3〔石炭分析〕

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4石炭の分類(3)JISによる石炭分類(JIS M–1002)

燃料比: 固定炭素(%)÷ 揮発分(%)で示す値で、石炭化度の目安。燃焼性を評価する場合の指標であり、一般に燃料比 2.5 ~ 3.0 以下の石炭が燃料として望ましい。

・燃料比: 大 ⇒ 石炭化度が進むとともに着火性・燃焼性は低下小 ⇒ 石炭化度は低くなるとともに着火性・燃焼性は増す

・通常、褐炭の燃料比は1 以下、瀝青炭は1~4、無煙炭は4 以上となる。

・JISでは、無煙炭以外のほとんどの石炭を発熱量(補正無水無灰ベース)を基準にして分類する。

A1 豆炭、練炭、カーバイドなどの製造

A2 火山岩の作用で生じたせん石、石灰焼成

B1 8,400以上 1.5以上 主として高炉用コークス製造

B2 (35,160以上) 1.5未満 高炉用および一般用コークス製造、ボイラー用

8,100以上、8,400未満

(33,910以上、35,160未満)

7,800以上、8,100未満)

(32,650以上、33,910未満)

7,300以上、7,800未満

(30,560以上、32,650未満)

6,800以上、7,300未満

(29,470以上、30,560未満)

5,800以上、6,800未満

(24,280以上、29,470未満)

石炭化度

分 類

燃料比 粘結性 備考(用途)

炭質 区分

瀝青炭(B、C)

Bituminous

強粘結

C ─ 粘結

無煙炭(A)

Anthracite─ 4.0以上 非粘結

─ 弱粘結 ボイラー用、 一部ガス発生炉用

E ─ 非粘結

その他熱源用

発熱量:純炭発熱量

(補正無水無炭ベース)

kcal/kg(kJ/kg)

その他熱源用

褐炭(F)

Lignite

F1 ─

非粘結

その他熱源用

低F2 ─

コークス配合用、ガス発生炉用、ボイラー用

亜瀝青炭(D、E)

Subbituminous

D

出典: JOGMEC平成28年度海外炭開発支援事業 海外炭開発高度化等調査「世界の石炭事情調査 -2017年度-」

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5石炭の分類(4)ASTM(American Society for Testing and Material:米国試験材料協会)による石炭分類(ASTM D–388)

・ASTMにおける石炭分類は、最初に揮発分、次に、揮発分>31% の石炭を発熱量で分類する。

- Gross Calorific Value: 総(高位)発熱量

- Agglomerating : 凝集性(粘結性:原料炭特性)

- moisture mmf(moisture mineral matter free basis): 含水無鉱物質ベース

(鉱物質を含まないと仮定したときの分析値)

Fix Carbon

Limits

Volatile

Content

% % Btu/lb MJ/kg

dmmf dmmf moisture mmf moisture mmf

Meta- Anthracite ≥ 98 % < 2 % Non-agglomerating

Anthracite 92 to 98 % 2 to 8 %

Semi-Anthracite (Lean Coal) 86 to 92 % 8 to 14 %

Low Volatile Bituminous 78 to 86 % 14 to 22 % Commonly agglomerating

Medium Volatile Bituminous 69 to 78 % 22 to 31 %

High Volatile A Bituminous < 69 % > 31 % ≥ 14,000 ≥ 32.557

High Volatile B Bituminous < 69 % > 31 % 13,000 to 14,000 30.232 to 32.557

High Volatile C Bituminous < 69 % > 31 % 11,500 to 13,000 26.743 to 30.232

High Volatile C Bituminous > 31 % 10,500 to 11,500 24.418 to 26.743 Agglomerating

Subbituminous A coal 10,500 to 11,500 24.418 to 26.743 Non-agglomerating

Subbituminous B coal 9,500 to 10,500 22.09 to 24.418

Subbituminous C coal 8,300 to 9,500 19.30 to 22.09

Lignite A 6,300 to 8,300 14.65 to 19.30 Non-agglomerating

Lignite B < 6,300 < 14.65

Lignite

(褐炭)

Coal Rank

Gross Calorific Value LimitsAgglomerating

Characteristics

Antracite Class

(無煙炭)

Bituminous

(瀝青炭)

Subbituminous

(亜瀝青炭)

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一般的に使用されている石炭分類 6

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7石炭の代表的銘柄と品位(炭質)

無煙炭、原料炭、PCI炭、及び一般炭の代表的銘柄とその品位(炭質)

一般的な石炭の比重は1.2~1.6であり、岩石(2.2~2.5)よりも軽い。

商品として流通する石炭は通常粒径50mm以下に破砕されるが、破砕されて増積した石炭の見かけ比重は水と同程度となる。

出典: Barlow Jonker,“Coal 2005”等より作成

無煙炭 亜瀝青炭

無煙炭原料炭

(強粘結炭)

原料炭

(非微粘炭)PCI炭 一般炭 一般炭

Hongai 1 GoonyellaBlackwater

Week

Werris Creek

PCI

Newcastel

ThermalEnvirocoal

ベトナム豪州

QLD州

豪州

QLD州

豪州

NSW州

豪州

NSW州

インドネシア

南カリマンタン州

全水分 (%、ar) 9.0 10.0 9.5 11.0 9.0 26.0

揮発分 (%、ar) 3.5 23.8 25.5 31.0 (ad) 32.0 43.0

灰分 (%、ar) 8.5 8.9 9.5 8.0 (ad) 14.0 1.2

固定炭素 (%、ar) 84.5 66.3 63.0 57.5 (ad) 51.5 40.5

全硫黄分 (%、ar) 0.85 0.52 0.50 0.4 (ad) 0.50 0.10

発熱量 (kcal/kg、gar) 6,800 - 6,885 7,100 (ad) 6,420 5,200

燃料比 24.1 2.8 2.5 1.9 1.6 0.9

CSN - 8.0 3.5 2.0 - -

HGI 35 90 68 55 50 50

銘 柄

産 地

石炭化度による分類 瀝青炭

用途による分類

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8参考: 用途による石炭の分類(1)無煙炭(Anthracite)

石炭化度が高く、燃やしても煙の少ない良質の石炭。炭素量は、93~95%。家庭用の燃料やカーバイドの原料に使われる。しかし、揮発分が低いため着火性は悪い。

原料炭(Coking Coal、Metallurgical Coal)

原料炭の主要な用途はコークスまたはガス製造の原料であるが、我が国ではその大部分が製鉄用コークス製造用に使用されている。製鉄におけるコークスの大きな役割は高炉における熱源・還元性・通気性維持の3点であり、コークス強度により出銑量が変わる。コークス用原料炭の適否を判定するものとして、粘結性、コークス化性、流動性、灰分、硫黄含有量、揮発分などがあるが、特に粘結性、コークス化性、流動性の3つが重要な要素である。コークス用原料炭中の灰分は全量がコークス中に残留するので、灰分は低いほど良く、通常は10%以下とされている。最近は成型炭配合コークスの製造技術が進み、一般炭を相当量原料炭に混合して成型コークスを製造している。広義には工業加工原料用の石炭(コークス用、練炭用等)を意味するが、一般にコークス用原料としての粘結炭を指す。

PCI(Pulverized Coal Injection)炭(PCI Coal)

高炉における還元材吹込みの歴史は古く、60年代は重油吹込みが主流となっていたが、80年代には微粉炭の高炉吹込み技術が確立した。重油が不用となるだけでなくPCI炭の吹込みによりコークスの消費量を抑制することができ、広く普及している。PCI炭には高い粘結性が不要なことから、その性状は一般炭に近く、粘結性の高い原料炭よりも安価である。なお、PCI炭は製鉄用原料であることから、広義には原料炭に分類する。

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9参考:用途による石炭の分類(2)一般炭(Thermal Coal、Steam Coal、Steaming Coal)

原料炭に対して、主に発電用ボイラーの燃料となる石炭を意味していたが、近年用途範囲は各種ボイラー・窯業燃料・ガス化・液化の原料などにまで広がっている。ボイラー等で石炭またはコークスを燃焼した時、灰を主体とした各種無機成分が溶融し、これが炉壁伝熱面などに付着・固化してクリンカを生成し、伝熱性・通気性の低下などの障害となる。灰の融点は、このクリンカの生成と密接な関係があり、融点が低いとクリンカを生成しやすい。

用途 鉱物学

無煙炭 無煙炭 分鉱焼結用、コークス配合用、練炭・豆炭製造、セメント・石灰焼結用、その他

一般炭 瀝青炭

亜瀝青炭 ボイラー用(直接燃焼)、ガス化・液化

原料炭 瀝青炭

鉄鋼用原料(コークス製造、粘結性を有する瀝青炭:強粘結炭、弱粘結炭)

コークス製造原料(配合、非微粘炭)、PCI用(高炉吹き込み)

化学工業用原料

用 途分 類

コークス(Coke)

石炭を高温で蒸し焼きにする乾留工程により、硫黄、コールタール、ピッチ、硫酸、アンモニアなどの成分が除去される。製鉄においては、石炭が持つ硫黄分は鉄の品質低下を招き、コールタールやピッチは高炉の高温燃焼を妨げるため、高炉にはコークスの形で石炭が投入される。

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発熱量(Calorific Value) 総発熱量(高位発熱量)=真発熱量(低位発熱量)+潜熱潜熱:水(石炭中の水分と水素が燃焼して生じる水)の気化熱

燃料比:固定炭素(%)÷揮発分(%)で、石炭化度が進むと増加し、着火性・燃焼性は低下全水分(Total Moisture):水分(Inherent moisture )+付着水分工業分析(Proximate Analysis)

水分+灰分+揮発分+固定炭素=100%ここで、固定炭素=100-(水分+灰分+揮発分)

揮発分(Volatile mater)は石炭化度と関係が深く、石炭分類の指標ともされる。瀝青炭は揮発分により、ASTMでは次のように分類される。揮発分が多くなると着火性が容易で燃焼し易く、長焔を発し、燃焼の持続性がなく、ボイラー用に適している。少ないと燃焼の持続性は良くなるが、灰中の未燃分も多くなりボイラー用としては不向きとなり、適正な燃焼炉の設計が必要。

硫黄(Sulfur) 全硫黄=燃焼性硫黄+不燃性硫黄 硫黄はSOxとして大気汚染の原因となることから一般炭の場合には1%以下が望ましい。

低揮発分 14~22

中揮発分 22~30

高揮発分 31以上

(%)

10一般炭の主要な分析項目(1)

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元素分析(Ultimate Analysis) 通常dafで表示し、項目は炭素、水素、酸素、窒素、硫黄(燃焼性硫黄)、灰分。

粉砕性 HGI(Hardgrove Grindability Index ) 粉砕用ミルの設計・能力に影響を及ぼし、指数が大きいほど粉砕しやすい。

灰の成分分析(Ash Analysis) 石炭灰の組成は炭層によって異なるが、シリカ、アルミナが主体。 原料炭の場合、燐は鉄の脆弱性を増すため0.04~0.05以下が要求される。 一般的にSiO2やAl2O3などの酸性成分の多いものは灰の融点が高く、Na2O、 K2O、

Fe2O3などのアルカリ性成分の多いものは灰の融点が低い傾向にある。 灰中アルカリ率(Basic Acid Ratio)は次式で表され、

Fe2O3+CaO+MgO+Na2O+K2O

SiO2+Al2O3+TiO2

この比が高いと低融点の化合物が形成され易く、スラッギング性を起こし易くなる。電力用炭では0.5以下が望ましい。

スラッギング:火炉内で溶融した石炭灰が火炉内及び伝熱管表面に付着して、固化堆積する現象でこれにより熱交換が阻害される。

スラッギング指数:スラッギング性の評価で次式で表される。Base Acid Ratio × S(全硫黄)

スラッギング性は、0.6以下:小 0.6~2.0:中、2.0以上:大 ファウリング指数:ファウリング性の評価で次式で表される。

Basic Acid Ratio × Na2O

ファウリング性は、0.2以下:小、0.2~0.5:中、0.5以上:大ファウリング:石炭灰が過熱器や再加熱器などの対流伝熱部に付着堆積する現象で増大すると過熱器や再加熱器出口の蒸気温度の低下やガス流路の狭さく・閉鎖をおこす。

11一般炭の主要な分析項目(2)

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灰の溶融性試験(Fusibility Test of Ash) 灰の溶融温度(Ash Fusion Temperature)はスラッギング性やファウリング性に大きく影響する。また、ボイラーの火炉の大きさも左右される。

分析条件 ・酸化雰囲気(Oxidizing):JIS通常規格・還元性雰囲気(Reducing):ISO、ASTM規格

①軟化点 (Deformation Temperature)

試験錐の頂部がとけて丸くなり始めた温度。②融点 (Hemisphere Temperature)

試験錐が溶融して、その高さが底部の見掛上の幅のほぼ1/2に等しくなったときの温度。③溶流点 (Flow Temperature)

溶融物が支持台に流れ、融点のときの高さのほぼ1/3の高さになったときの温度。なお、ASTM規格での温度特性の表示はJISと多少異なり、JISの軟化点はASTMのI.D.T.ni相当。また、ASTMのS.T.はJISでは規定していない。

一般に還元雰囲気におけるAFTの各特性温度は酸化雰囲気におけるそれよりも50~200℃程度低い。

JIS ISO ASTM

軟化点 Deformation Temp. Initial Deformation Temp.

Softing Temp.

融点 Hemisphere Temp. Hemisphere Temp.

溶融点 Flow Temp. Flow Temp.

12一般炭の主要な分析項目(3)

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微量元素(Trace Elements:TEs) 有害物質が多く、人の健康に悪影響を及ぼす。 燃焼時のTEs

高揮発性TEs (水銀Hg、塩素Cl、フッ素F、ホウ素B、セレンSe、他)揮発性が高くガス中に残存

中揮発性TEs (ヒ素As、亜鉛Zn、カドミウムCd、鉛Pb、銅Cu、クロムCr他)揮発性はあるが、小さい粒子に凝縮

低揮発性TEs (マンガンMn)揮発性が小さく、大きい粒子に凝縮

存在形態 : 大部分が鉱物質中に存在

人体への影響例 ヒ素As :貧血、胃への障害、腎臓障害、皮膚や肺に対す発癌物質 ホウ素B :呼吸器疾患、発癌物質 カドミウムCd :発癌物質 銅Cu :皮膚炎、毛髪・皮膚の変色 水銀Hg :神経・腎臓障害、心臓血管障害 セレンSe: :胃腸障害、肝臓・脾臓への損傷、貧血等

13一般炭の主要な分析項目(4)

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石炭を加熱すると350~400℃で軟化して、流動性を持つ状態となる。さらに加熱すると膨張し、450~500℃の間で石炭同士が固化する。この性質を「粘結性(Caking Property)」という。

粘結性はコークス用炭に必要な最大の特性であるが、この性質は瀝青炭・亜瀝青炭のみが持つ性質で、無煙炭や褐炭、それに風化(酸化)した瀝青炭はこの性質を示さない。

粘結性の強さにより強粘結炭、弱粘結炭、微粘結炭、非粘結炭に分類される。微粘結炭と非粘結炭を一括して非微粘炭という。

粘結性の高いものが必ずしも強度の高い優良なコークスができるとは限らず、コークス強度を考慮した総合評価をコークス化性(Coking Property)と称する。

また、コークスは多種の石炭の配合により製造される。

原料炭は、粘結性(粘着性、流動性、膨張性)及びコークス化性により評価される。

非微粘炭の用途は;

高炉吹込み用PCI(Pulverized Coal Injection)炭・・・補助燃料としての使用であることか

ら、高発熱量・低灰分・低硫黄分・低揮発分(高炭素分)・燃焼性に優れ、粉砕性の高いもの。

コークス炉向け・・・原料炭への配合用であることから、原料炭の特性(粘結性やコークス化性)を幾分なりとも有し、低灰分・低硫黄分のもの。

製鉄用コークス原料や高炉の燃料等に利用(良質原料炭は賦存地域が限られている)

原料炭(Coking coal/Metallurgical coal)の一般的特性

14原料炭特性と分類

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粘結性試験法

るつぼ膨張試験 (Crucible Swelling Number:CSN 又はFree Swelling Index:FSI)

世界的に最も多く使用されている試験法。試料を所定のるつぼに入れ、ガスバーナーまたは電気炉で加熱し、生成したコークスの形状を標準サンプルと比較して、るつぼ膨張指数(CSN、FSI)を決定する。

15原料炭の評価項目(1)

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流動性試験(Fluidity Test)

コークス用炭混炭用の試験で、加熱時の軟化溶融性を判定する。

試料をるつぼに入れ、規定の昇温速度で加熱し、規定のトルクをかけたかきまぜ棒の回転速度を計測し、1分間当たりの目盛り分割流動度(dial division per minute : ddpm)で表示する。

最高流動度(MF)200ddpm以上

膨張性試験(Dilatation Test)

本試験は軟化溶融特性を判定する試験で、試料を棒状に整形して所定の細管に入れ、その上にピストンを入れた後に規定の昇温速度で加熱し、ピストンの上下の変位を測定する。

収縮率(%)+膨張率(%)=

全膨張率(50~200が標準)

高いと亀裂が入り、コークス強度が弱くなる。

16原料炭の評価項目(2)

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反射率()

反射顕微鏡により、ビトリニットの平均反射率を測定。

平均最大反射率Ro(Mean Maximum Reflectance)は1.15以上が望ましい。

平均最大反射率の値による原料炭の区分は次のとおり。

*この他にも多くの評価項目がある。

強粘結炭 Ro>1.15

準強粘結炭 1.15>Ro>0.95

弱粘結炭 0.95>Ro

17原料炭の評価項目(3)

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熱間反応後強度(CSR)

熱間反応後強度(CSR: Coke Strength after Reaction)(高炉に装入後のコークスの挙動を考慮し、コークスの反応性を含めた強度)

コークス10kgを粉砕、20±1mmに粒度調整された200gのコークス試料を温度1,100℃でCO2

ガスと2時間反応させ、反応後のコークス試料をドラム(内径130mm x 胴長1,700mm)に入れ、通常20rpmで30分間回転(総回転数:600)させた後、9.52mmの篩(ふるい)上に残るコークス重量の、ドラムに投入した反応後のコークス試料重量に対する割合。

CSRは57以上が望ましい。

(出典) Ishikawa, Y. (1982)

18th Iron & Steel Smelting

Research

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高炉で銑鉄1トンを作るのに要する主要原料

出所:(一社)日本鉄鋼連盟 鉄の旅

品 名 数 量

鉄鉱石 1.5~1.7トン

石炭 0.75~0.85トン

石灰石 0.2~0.3トン

電力 10~80kWh

水 30~60トン

出所:(一社)日本鉄鋼連盟HP

コークスの役割

高炉内での鉄鉱石の還元剤、鉱石を溶解する熱源としての使用。

高炉内の通気性保持。

19高炉での石炭使用

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20参考:微粉炭吹き込み(PCI)石炭、重油、天然ガスなどの補助還元材は、溶銑コストを削減する目的で使用される。最もよく使用されているのは石炭で、コークスの使用割合を低下させることでコスト削減を可能にする。石炭の吹き込みを行うと、酸素富化送風の利用により生産性が向上する。

出典: steeluniversity,“http://www.steeluniversity.org/”

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石炭組織 – マセラル区分

日本では、石炭組織分析は「JIS M8816 石炭微細組織成分及び反射率測定法(1992)」で規定

根源物質 マセラル

テリニット

コリニット

デグラディニット

スポリニット

クチニット

アルギニット

レジニット

ミクリニット

マクリニット

スクレロニット

フジニット

スクレロチニット

セミフジニット

不活性成分

イナーチニット主として、植物の木質部及び菌類に由来するマセラル・グループ。

マセラル・グループ(微細組織成分群)

ビトリニット

主として、植物の木質部に由来し、他のマセラル・グループに比べ、より均質で石炭を構成する有機物質の主要部分を占め、ほとんど全ての石炭中に存在するマセラル・グループ。

活性成分 リプチニット

(エクジニット)主として、植物の葉・小枝等の角皮・胞子・花粉・種子・水藻及び樹脂質に由来する。

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以上