沖縄県における 農林水産業の現状と課題 1.沖縄振...

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沖縄県における 農林水産業の現状と課題 1.沖縄振興計画に おける位置付け 2.農業の現状 3.林業の現状 4.水産業の現状 5.課題

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沖縄県における

農林水産業の現状と課題

1.沖縄振興計画における位置付け

2.農業の現状

3.林業の現状

4.水産業の現状

5.課題

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第3章 振興施策の展開

1 自立型経済の構築に向けた産業の振興

(3) 亜熱帯性気候等の地域特性を生かした農林水産業の振興

第3章 振興施策の展開

1 自立型経済の構築に向けた産業の振興

(3) 亜熱帯性気候等の地域特性を生かした農林水産業の振興

ア 沖縄ブランドの確立と生産供給体制の強化

イ 流通・販売・加工対策の強化

ウ 担い手の育成と農林水産技術の開発・普及

エ 亜熱帯・島しょ性に適合した農林水産業の基盤整備

オ 環境と調和した農林水産業の推進

沖縄振興計画における「農林水産業」

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1,140

1,0691,0791,0491,0521,0091,022

959985

944 953

902 910922 931

900

0

200

400

600

800

1,000

1,200

H元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16年

総額(億円)

0

100

200

300

400

500

600

部門別(億円)

総産出額

さとうきび

野菜

花き

果実

畜産

うち豚

うち肉用牛

農業産出額の推移

総産出額は、減少傾向にはあるものの、近年900億円前半で推移している。

なお、部門別には、畜産、花きが安定的に推移する一方で、さとうきび、野菜は減少傾向で推移している。

資料:沖縄総合事務局「生産農業所得統計」

肉用牛 151(16.8)

さとうきび 137(15.2)

花き 132(14.7)

豚 131(14.6)

野菜 116(12.9)

果実 54(6)

畜産 385(42.8)

※( )内は総産出額に占める割合

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31,588 31,100 30,410 29,99029,240

27,08826,300 26,300 26,200 26,100

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

H7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 年

総農家数

さとうきび

野菜

花き

畜産

資料:農林水産省「農業構造動態調査」「農業センサス」

農家数の推移

減少傾向で推移しているが、近年では2万6千戸台で推移している。産出額では4割を占める畜産は総農家数の1割に満たない一方で、産出額の2割を占めるさとうきびは総農家数の7割を占めている。

さとうきび 18,110(69.4)

花き 1,620(6.2)

野菜 1,570(6.0)

畜産 1,280(4.9)

※( )内は総農家数に占める割合

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農業就業人口の推移

6,7113,911

28,439

22,343

14,584

10,2868,553

8,253

7,996

7,408

5,158

3,079

14,267

15,941

15,974

16,572

15,253

2,397 1,989 1,3390

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

昭和60 平成2 7 12 17 年

65歳以上

60~64歳

30~59歳

15~29歳

販売農家※の農業就業人口は減少が続いており、また、65歳以上の高齢者が占める割合が拡大し、平成17年では54%となっている。

資料:農林水産省「農業センサス」

※販売農家:経営耕地面積が30a以上または農産物販売金額が50万円以上の農家

57,670

50,191

40,363

34,005

28,224

(24.7)

(31.8)

(39.6)

(48.7)

(54.0)

注:( )内は全体に占める比率(%)

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39,300

31,000

1,990

5,450

877

19,700

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

45,000

50,000

昭和55 60 平成2 7 12 17 年

ha合計

普通畑

樹園地

牧草地

さとうきび作付面積

資料:沖縄総合事務局「沖縄農林水産統計年報」

耕地面積の推移

耕地面積は農業生産基盤整備に伴い拡大してきたが、都市化の進展、耕作放棄地の増加等により近年は減少傾向で推移している。

なお、さとうきびは全耕地面積の半分を占めている。

(78.9%)

(13.9%)

(5.1%)

(2.2%)

(50.1%)

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耕作放棄地面積の状況

4.8

1.0

8.1

6.2

耕作放棄地面積割合

26,5181,274沖 縄

967,519

2,627,984

9,582

213,365

北海道

都府県

3,595,503222,947全 国

経営耕地総面積耕作放棄地面積

単位:ha、%

注:耕作放棄地面積割合は、耕作放棄地面積/経営耕地総面積

資料:農業センサス

耕作放棄地は、離島における不在地主の増加等により増加傾向にあり、全耕地面積に占める割合は平成17年で5%に達している。

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林業の現状①

資料:林野庁「森林・林業統計要覧」

沖縄県「沖縄の森林・林業」

沖縄県の土地面積に対する森林の割合(森林率)は46%であり、全国の67%に比べると低い状況となっている。

また、民有林についてみると、森林面積では市町村有林が58%と高い比率を占めており、森林資源量では、天然林の比率が87%と高いことが特徴的である。

民有林の資源量(平成17年)

天然林

7,227千m3

(87%)

人工林

1,089千m3

(13%)

広葉樹

6,296千m3

(76%)

針葉樹

2,019千m3

(24%)

総蓄積

8,136千m3

森林面積(平成17年)

民有林73,774ha(70%)

市町村有林42,507ha(40%)

県有林5,499ha(5%)

国有林31,263ha(30%)

私有林25,769ha(25%)

総森林面積105,037ha

(注):全国は平成14年の数値である。

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林業の現状②

特用林産物の生産については、平成14年に今帰仁村でえのきたけ生産施設が完成したことに伴い、飛躍的に急増している。

35

149

4

13

81

9

48

10

10

39

11

15

41

96

19

1633

377

16

837

345

18

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

500

H2 H7 H12 H13 H14 H15 H16

きのこ生産量の推移

その他きのこ

えのきたけ

ひらたけ類

生しいたけ

(トン)

(注):「ひらたけ類」は、くろあわびたけ、ひらたけ、うすひらたけ、たもぎだけ、エリンギ。

「その他きのこ」は、きくらげ、アガリクスタケ、におうしめじ。

資料:沖縄県「沖縄の森林・林業」

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水産業の現状①

沿岸漁業と海面養殖業が中心の生産構造となっており、海面養殖業における生産量はモズクが最も高い。

漁業種類別及び養殖魚種別生産量

0

10000

20000

30000

40000

50000

60000

H元 H2 H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16

0

5000

10000

15000

20000

25000

遠洋・沖合漁業 沿岸漁業

海面養殖業 クルマエビ

モズク その他

(養殖魚種別)(漁業種類別)

資料:沖縄総合事務局(沖縄農林水産統計年報)

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生産額においても沿岸漁業及び海面養殖業で全体の約7割を占め、海面養殖業にあっては、クルマエビが最も高くなっている。

漁業種類別及び養殖魚種別生産額

0

5000

10000

15000

20000

25000

30000

H元 H2 H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16

100万円

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

100万円

遠洋・沖合漁業 沿岸漁業

海面養殖業 クルマエビ

モズク その他

(養殖魚種別)(漁業種類別)

資料:沖縄総合事務局(沖縄農林水産統計年報)

水産業の現状②

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沖縄県農林水産業の課題

こうした現状等を踏まえ、自立型経済の構築に向け、沖縄県農林水産業においては以下の諸課題の解決が必要。

1 安定的生産供給体制の確立

2 担い手の育成

3 地産地消の推進

5 耕畜連携の推進

4 農業用水の確保対策

6 食と農との連携強化

7 つくり育てる漁業及び資源管理型漁業の推進

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沖縄県産農林水産物の中には、九州各県等他産地との競争が激化する中、出荷量・

品質・規格に安定性を欠き、市場の評価で他産地が先行している例(ゴーヤー、マンゴーなど)もあることから、生産技術の高位平準化や農協系統組織などによる計画生産・出荷、品質統一のための選別の強化が必要。

一方で、肉用牛(子牛)は、草地造成を推進するとともに、優良系統の育成及び飼養管理技術の向上により、花きは冬春期の温暖な気象条件と電照栽培技術、農作物被害防止施設の整備等により、全国シェアも伸びており、引き続き現在の取組を着実に実施。

資料:農林水産省

「特産果樹生産動態等調査」

「花き生産出荷統計」

「地域特産野菜の生産状況」

「畜産物流通統計」

39.0 40.0 40.0

80.072.0 75.0

69.061.0

5.9 6.0 6.5 6.5 6.6

35.0 32.0

38.0

38.0

47.0

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

H12年産 H13 H14 H15 H16

マンゴー

小ギク

子牛

ゴーヤー

振興計画

初年度

1 安定的生産供給体制の確立

ゴーヤー、マンゴー、子牛、小ギクの全国における沖縄県のシェア(出荷量)

注:マンゴーについては平成12年に調査を実施していないことから、平成11年産の数値を置いた。

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マンゴー出荷量の県別シェアの推移

0%

20%

40%

60%

80%

100%

その他 1 1 1 1 1

C県 1 3 0 2 2

B県 14 18 18 21 26

A県 5 6 6 7 10

沖縄県 80 72 75 69 61

H11 13 14 15 16

ゴーヤー出荷量の県別シェアの推移

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

その他 4 8 9

F県 0 2 2

E県 1 2 4

D県 3 5 5

C県 11 11 10

B県 13 16 20

A県 22 21 18

沖縄県 47 35 32

H12 14 16

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消費者への情報発信の必要性

沖縄の農林水産物の消費者を確保、消費を拡大するには、

①調理方法(食べ方)

②効能

③他地域産との違い

の情報発信が重要

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①パパイヤを2つに割って種をスプーンで取りだし、皮をむいて下ろし金で下ろして、水につけ、あく抜きをして水気を切っておきます。また、にんじんも同様に下ろし金で下ろしておきます。

②豚の三枚肉を短冊切りにしておきます(豚肉がなければシーチキンで代用します。)

③鍋を熱し油を入れ、豚の三枚肉を最初に炒め、①で下ろしたパパイヤとにんじんを入れて炒めます。

④少量の鰹だし汁と少々の塩・醤油で味付けをして軽く炒めて出来上がりです。

パパイヤイリチーの作り方

沖縄総合事務局農林水産部HPよりhttp://ogb.go.jp/nousui/okinawan_made/index.html

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2 担い手の育成①

沖縄県の担い手(認定農業者等)の状況について、 認定農業者の営農類型別(専業)で見ると、野菜や花き、畜産については担い手の確保が進んでいるが、沖縄県の基幹作物であるさとうきびについては、他品目に比べ高齢化が進み、担い手確保が進んでいない状況。このため、認定農業者の育成と併せて生産組織や農作業受託組織の育成を図っていくことが必要。

また、不在地主の増加等に伴い耕作放棄地が増加傾向にあることから、地域の話し合いにより担い手への農地の流動化等を図っていくことが必要。

※認定農業者:自らの経営の改善を目指す意欲と能力のある農業者。5年後の経営目標と達成に向けた方策を記載した「農業経営改善計画」を市町村が認定し、その取組を関係機関・団体が支援を行う仕組み。

077

668

9081,019

1,070 1,117

785721820

907 952 918

0

200

400

600

800

1000

1200

H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18

認定農業者の認定状況の推移(各年3月末現在)

認定農業者の営農類型別内訳(平成18年3月末現在)

67 37 9145

138114

116

野菜 花き 畜産 葉たばこ

さとうきび 果樹 その他

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2 担い手の育成②

○ 対策

2 元気な地域づくり交付金の利用

(遊休農地解消のための土地条件の整備等)

3 中山間地域等直接支払交付金の利用

4 放牧・市民農園の利用 等

1 担い手への農地集積・新規参入の促進

平成12年から土地持ち非農家の遊休地を含む注)

資料:農業センサス

9131,109

1,629

3,2393,410

24

4744

3

20

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

S60年 H2 7 12 17

沖縄県ha

05101520253035404550

与那国町ha

沖縄県 与那国町

○ 離島における耕作放棄地の現状

(例:与那国島)

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3 地産地消の推進①

年間550万人に達する観光客もターゲットに、輸送コストを大幅に削減できる地産地消を推進することが必要。このため、直売所の整備及びネットワークの構築を図り、空港等で直売所マップを配布する等PR活動により、観光客にも地場産農林水産物の消費を促し、新たな市場開拓に資する。

地産地消の事例:ファーマーズマーケットいとまん

(来客数:29千人/月)

糸満市西崎在のJAおきなわ「ファーマーズマーケットいとまん」は平成14年11月にオープンし、主として生産者と消費者との交流活動、地場農産物の利用促進に取り組み、地域における「顔が見え、話ができる」地産地消推進の核としての役割を担っている。

1.取り扱い品目及び金額

品目:伝統野菜(島野菜)、熱帯フルーツ、花き等多種多様

金額:474百万円

2.課 題

夏場における高温、台風襲来等による品薄。

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沖縄県における食料自給率は29%(カロリーベース、平成16年概算値)で、全国(40%)と比べて著しく低い。このため、「さとうきび増産プロジェクト」を確実に推進するとともに、気候の影響で供給が減少する夏場野菜の対策が必要。

特に離島については、移入ものに地場産が代替することで、所得の島外流出を防止することが期待される。

【離島における島外への所得流出額の試算】【石垣市】

島内の推定野菜消費額 ① 12.3億円(住民10.2億円、旅行客2.1億円)

島内の野菜産出額 ② 5.6億円

野菜産出額のうち、島内消費推定額 ③=②×30%(0.3)=1.7億円

①-③=10.6億円の野菜が、家庭菜園と島外からの移入により賄われている。

10.6億円のうち、石垣市での家庭菜園からの推定産出額は5.6億円であることから、

残りの5.0億円が島外からの移入野菜と推定され、島外へ所得が流出していると見ることができる。

独立行政法人 国際農林水産業研究センター沖縄支所「離島の農業振興-「島野菜」の安定供給方策等検討調査」報告書」(平成17年3月)〈平成16年度沖縄総合事務局委託調査〉より抜粋

3 地産地消の推進②

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4 農業用水の確保について

干ばつ等を防止し、安定的に農業用水を供給するため、地下ダムやかんがい施設等の計画的整備を今後とも着実に推進する。

実証ほ場:具志頭村年 度:平成15年度品 種:農林10号

※地域平均は、平成15年度県糖業農産課データの具志頭村の生産実績(株出)によるものです。

7.5

13.4

0

5

10

15

地域平均 かん水ほ場

単収(

トン)

資料:「かん水でさとうきびの収量アップ」

(国営沖縄本島南部地区推進部会))

○基幹作物であるさとうきびについては、かんがい施設を整備し、農業用水を利用することにより大幅な増収が見込まれる。

○安定的に農業用水を供給することで野菜や花卉等の安定的な生産が可能になる。

○かんがい施設整備率は約3割と遅れており、用水確保、かんがい施設整備を推進し、沖縄農業の振興を図ることが必要。

○農業用水の利用により、野菜や熱帯果樹などの高収益な農業への転換が可能になる。

さとうきびへの散水 マンゴーの栽培

農業農村整備事業の整備率の推移

54.5

47.9

21.1

0.1

32.8

21.4

10.3

4.8

60.8

51.2

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

昭46まで 一次振計

(昭56)まで

二次振計

(平3)まで

三次振計

(平13)まで

平16まで 振興計画

(平23)目標

整備率(%)

農業用水源整備

かんがい施設整備

0 20 40 60 80 100

昭60

平13

(%)

さとうきび

たばこ

飼料作物

野菜

果樹

花卉

その他

(ダム・地下ダム・ため池等)

(用排水路・スプリンクラー等)

沖縄県における作付面積割合の変化

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5 耕畜連携の推進

畜産農家による良質なたい肥の生産と、その有効利用が課題となっている一方、耕種農家においては、土づくりを通じた環境保全型農業の取組の強化が求められている。

固体排水

固液分離

養豚農家(豚舎)

浄化施設

さとうきび生産法人

(さとうきびほ場)

固体

土壌改良

製糖工場

たい肥舎(たい肥化)

液肥浄化・放流後に残る汚泥+汚水

たい肥

水分補給

肥料成分

液体

生産物

さとうきびの増産

処理費用の低減

畜産農家 耕種農家

(取組事例)

①たい肥は、耕種農家に有償で販売。連携相手のさとうきび生産法人には、液肥処理に貢献してもらっているため、値引きして販売。

②液肥は畜産農家からさとうきび生産法人に無償で提供され、さとうきび生産法人は畜産農家所有のバキュームカーを使用し、ほ場に散布。

さとうきびの増産

処理費用の低減

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6 食と農の連携強化

沖縄県の農林水産物・食品については、県内外から健康によいとの評価を受けているものが多いが、食品に使用される原材料のほとんどが輸入されている例もあることから、県産品の積極的な使用が必要。

【県産品100%使用食品事例】

A社では、廃棄処分されていたシークヮーサーの圧搾かすを、独自技術により微粉末化し、菓子・飲料・機能性食品の素材として開発。現在、本部町の農業生産法人から原料供給を受け、果汁100%の新商品を製造し、同法人と共同販売している。

資料:「健康食品関係業者等懇談会」資料

ウコンの生産量と輸入量

0

50

100

150

200

250

300

350

400

H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14

年次

生産量(沖縄県) 輸入量(那覇港)

「沖縄県で加工されるウコン製品に含まれる沖縄県産原料は平成11年に40%だったのが平成14年次点で13%まで低下していると推定される。」

【沖縄県におけるウコンの供給状況】

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7 つくり育てる漁業及び資源管理型漁業の推進①

漁獲量が低迷する中、つくり育てる漁業及び資源管理型漁業を推進することが重要となっている。

○ つくり育てる漁業の推進

地域の重要な魚種であるシラヒゲウニ、ハマフエフキ(タマン)等について、漁協、自治体等により種苗放流を実施。

シロクラベラ(地方名:マクブ)

資源が減少していた沖縄の高級魚種であるシロクラベラについては、試験的種苗放流を行っており、将来の高度利用に向けた資源管理を推進。

同じく高級魚種であるスジアラについても基礎的種苗生産技術を開発したところであり、新たな種苗放流対象魚種として期待。 スジアラ(地方名:アカジン)

*沖縄の三大高級魚種:シロクラベラ(地方名:マクブ)、スジアラ(地方名:アカジン)、ハマダイ(地方名:アカマチ)

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○今後は、離島の多様な水産物を県内外の消費地へ効率的に供給する体制の確立、観光と連携した沖縄特産魚介類の地産地消を推進することが重要。

7 つくり育てる漁業及び資源管理型漁業の推進②

○資源管理型漁業の推進

ハマダイ(マチ類の一種、地方名:アカマチ)

(保護区の位置)

沖ノ中ノソネ

南西諸島マチ類資源回復計画において、2カ所の保護区を設定し、沖縄における重要な水産資源であるマチ類の資源管理に取り組んでいる。

また、資源回復計画が適切に実施されるよう、保護区において、外国漁船に対する取締を強化している。