取付管更新計画策定に関する調査研究...07 132 0 0.000 1,067 1.7% 62,314 97.4% 155,325...

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2013 年度 下水道新技術研究所年報 1. 背景,研究目的 横浜市の下水道管きょ施設は、昭和 40年代以降の 人口急増期に短期間で多額の投資を行い、整備を進 めてきた結果、老朽化施設が急激に増加することが 見込まれる。中でも第 1 期更新区域(戦前)、第 2 期更新区域(昭和 40 年以降)、布設後 30 年の改良 地区があり膨大なストックを管理しなければならな い。 このような状況の下、老朽管きょの更新を計画的 に進めてきたが、更生工法で更新された下水本管や 既設管利用とした下水本管に接続する取付管は、そ のまま老朽化した取付管として使用されており、布 設後の経過年数が30年を超えると、道路陥没の割合 が顕著に増加する傾向が見られることや、取付管が 原因による道路陥没が7割程度占めていることから、 布設後 30 年以上経過している取付管の改築が急務 となる。 一方、今後膨大な改築更新時期が集中的に発生す ることから、効率的な維持管理と維持管理コストの 平準化が必要になる。このため、区域をさらに小ブ ロックに分割し、優先順位をつけ計画的に更新でき る計画を策定する手法の検討を行った。 2. 研究体制と研究期間 2.1 研究体制 本研究は,横浜市および(公財)日本下水道新技術 機構で共同実施した。 2.2 研究期間 平成 24 年 7 月~平成 26 年 3 月 (9 ヵ月) 3. 研究手順 本研究での調査項目は以下のとおりである。 3.1 取付管更新計画の策定検討 (1)対象地区 横浜市で老朽化施設が最も多い第 1 期更新区域 の現況を整理する。 (2)事前調査 事前調査の考え方について整理する。スクリー ニング技術の現状、道路陥没に影響する因子の基 礎調査、現地調査(空洞化、TVカメラ)の実施、 空洞化調査の有効性の検証を行い、台帳システム や既存調査データを使用した机上スクリーニング 調査を実施する。 (3)取付管優先更新対象区域 他自治体における取付管更新計画の実態アン ケート調査を実施し、社会的影響度を考慮した重 み付けについて検討する。第 1 期更新区域は幹線 区域を基にブロック分割を行う。 (4)横浜市型更新対策計画の方針 予防保全型維持管理計画の考え方を整理し、第 1 期更新地区の計画のシナリオを作成する。また、 第 2 期更新地区以降の更新計画の方針を設定する。 3.2 更生工法の情報整理 現在実施されている更生工法の情報を整理す 取付管更新計画策定に関する調査研究

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Page 1: 取付管更新計画策定に関する調査研究...07 132 0 0.000 1,067 1.7% 62,314 97.4% 155,325 707 3,145 8,076 08 59 1 0.017 12,808 51.9% 21,935 88.9% 0 109 1,504 404 09 61 0

2013 年度 下水道新技術研究所年報

1. 背景,研究目的

横浜市の下水道管きょ施設は、昭和 40 年代以降の

人口急増期に短期間で多額の投資を行い、整備を進

めてきた結果、老朽化施設が急激に増加することが

見込まれる。中でも第 1 期更新区域(戦前)、第 2

期更新区域(昭和 40 年以降)、布設後 30 年の改良

地区があり膨大なストックを管理しなければならな

い。

このような状況の下、老朽管きょの更新を計画的

に進めてきたが、更生工法で更新された下水本管や

既設管利用とした下水本管に接続する取付管は、そ

のまま老朽化した取付管として使用されており、布

設後の経過年数が 30 年を超えると、道路陥没の割合

が顕著に増加する傾向が見られることや、取付管が

原因による道路陥没が7割程度占めていることから、

布設後 30 年以上経過している取付管の改築が急務

となる。

一方、今後膨大な改築更新時期が集中的に発生す

ることから、効率的な維持管理と維持管理コストの

平準化が必要になる。このため、区域をさらに小ブ

ロックに分割し、優先順位をつけ計画的に更新でき

る計画を策定する手法の検討を行った。

2. 研究体制と研究期間

2.1 研究体制

本研究は,横浜市および(公財)日本下水道新技術

機構で共同実施した。

2.2 研究期間

平成 24 年 7 月~平成 26 年 3 月 (9ヵ月)

3. 研究手順

本研究での調査項目は以下のとおりである。

3.1 取付管更新計画の策定検討

(1)対象地区

横浜市で老朽化施設が も多い第 1 期更新区域

の現況を整理する。

(2)事前調査

事前調査の考え方について整理する。スクリー

ニング技術の現状、道路陥没に影響する因子の基

礎調査、現地調査(空洞化、TVカメラ)の実施、

空洞化調査の有効性の検証を行い、台帳システム

や既存調査データを使用した机上スクリーニング

調査を実施する。

(3)取付管優先更新対象区域

他自治体における取付管更新計画の実態アン

ケート調査を実施し、社会的影響度を考慮した重

み付けについて検討する。第 1 期更新区域は幹線

区域を基にブロック分割を行う。

(4)横浜市型更新対策計画の方針

予防保全型維持管理計画の考え方を整理し、第

1 期更新地区の計画のシナリオを作成する。また、

第 2期更新地区以降の更新計画の方針を設定する。

3.2 更生工法の情報整理

現在実施されている更生工法の情報を整理す

取付管更新計画策定に関する調査研究

Page 2: 取付管更新計画策定に関する調査研究...07 132 0 0.000 1,067 1.7% 62,314 97.4% 155,325 707 3,145 8,076 08 59 1 0.017 12,808 51.9% 21,935 88.9% 0 109 1,504 404 09 61 0

2013 年度 下水道新技術研究所年報

る。

3.3 取付管更新計画

ブロック毎の整備優先順位を設定し、年次別取

付管の更新計画を策定する。

3.4 モデル地区概算設計

市が予定する予算を踏まえ、モデル地区に係わ

る取付管更新事業計画を策定する。

4. 調査結果

4.1 取付管更新計画の策定検討

(1)対象地区

第1期更新区域は、昭和 20 年以前に管きょを布設

した市中心部や臨海部などの市街地の区域面積

1,910ha のエリアである。

第1期更新区域に布設された管きょの管種は、図

1 に示すようにコンクリート・鉄筋コンクリート管

が全体の約1/4を占めている。また、陶管も全体

の約1/5と占める割合が大きい。

コンクリート・鉄筋コンク

リート管

26%

塩ビ管

11%

シールド管(セグメント)

5%

陶管

19%

その他

1%

不明

38%

図-1 管きょの布設状況

(2)事前調査

事前調査は更新を行うエリアとその優先順位を設

定することを目的に行うものである。

横浜市は膨大な管きょのストックを抱えており、

従来の TV カメラ調査に基づく維持管理では、時間と

コストの観点からも維持管理がきわめて困難な状況

に陥ることが想定される。

したがって、スピードアップのためのスクリーニ

ング手法なども取り入れながら、更新整備を進めて

いく必要がある。事前調査で振り分けられる事項と

して、台帳情報から抽出できる布設年次、管種(特

に陶管、硬質瀝青管)や、TV カメラによる詳細調査

を行わずとも広域的かつ即効性のある調査手法とし

て、スクリーニング調査の概念を導入し、整備優先

度などの設定根拠とする。

1)現地スクリーニングの種類

現地スクリーニング調査手法としては、管内撮影

(管口カメラ、浮流式カメラ、ミラー方式カメラ、

展開広角カメラ、傾斜計、プロファイラ)、地上探

査(地中レーダー)の方法があり、本業務において

空洞化調査として、地上探査である地中レーダーの

有効性を検証する。

2)机上スクリーニング

下水道が原因の道路陥没件数は、年間 4000 件程度

発生しており、その傾向として以下の事項が挙げら

れている。

管きょの経過年数が長いほど陥没件数は増加す

る傾向にある。(特に 30 年以上経過後に急増す

る)

施設毎に分類すると、取付管由来の道路陥没が

多い傾向にある。

管種毎の分類では、陶管に由来する道路陥没が

多い。

これらの傾向を踏まえると、取付管の更新は道路

陥没の原因対策として重要であり、早期に取付管の

状態を確認し更新を行う必要がある。

したがって、『土被りが浅く、本管の管種が陶管

でかつ、経過年数が長い管きょ』の布設状況を把握

するため、管材別告示年度別延長の情報収集したデ

ータのうち、以下の管きょ情報について整理した。

告示年度(≒経過年数の把握)

管材(≒陶管の布設状況の把握)

土被り(≒空洞化調査の有効範囲の把握)

また、管きょ情報より、

管材別告示年度別延長

1500m500 0 500 1000

Ⅰ期更新区域

凡例 延長(m)

1961 ~ 1965 120,589.2

1966 ~ 1977 622,105.7

1978 ~ 1986 158,167.4

1987 ~ 11,845.2

1,941.8

914,649.3計

不明

告示年度

図-2 年度別布設状況(第 1 期更新区域)

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2013 年度 下水道新技術研究所年報

土被り別管材別延長

土被り別告示年度別延長

を整理した結果、第 1 期更新区域には、『土被りが

浅く、本管の管種が陶管でかつ、経過年数が長い管

きょ』が数多く存在することが明らかになった。

3)空洞化調査の有効性の検証

空洞化調査を実施し、異常信号が発生した箇所に

対してTVカメラ調査を実施し、空洞化調査の有効

性を検証する。その結果、異常信号箇所全体(13 箇

所)に対してTVカメラ調査結果による異常箇所(9

箇所)の発生率は 69%となる。さらに、空洞化調査

時に空洞の可能性が大きいと判定された箇所(7 箇

所)に対してTVカメラ調査結果による異常箇所(5

箇所)の発生率は 71%である。

本区域は、第 1 期更新区域であり管路施設そのも

のが老朽化しているものの、空洞化調査によるスク

リーニングは有効性が高いと考える。

(3)取付管優先更新対象の検討

1)ブロック分割

第 1 期更新区域における更新時期が今後集中的に

発生してくることが想定される。ここでは、維持管

理コストの平準化を目的とし、第 1 期更新区域をさ

らに小ブロックに分割し、各ブロックに優先順位を

つけ、計画的に更新できる計画を策定するものとす

る。

第 1 期更新区域を幹線系統毎にブロック分割を実

施する。ブロック分割に際し、空洞探査車による現

地スクリーニング調査が数日で完了可能な範囲

(100ha 程度)を目安とした。

2)社会的影響度を考慮した重み付け

20 ブロックに分割した区域に対して、下表項目に

より社会的影響度を考慮した重み付けを行う。

表-1 社会的影響度の評価に使用する項目

No 項目 目的

1 管種下水管のうち陥没事例が多い陶管の布設状況を把握するため選定

2 布設年度管渠布設後の経過年数を把握するため選定

3 陥没道路陥没の一因である下水道施設による破損数を評価するため選定

4 施設昼間人が集中する箇所として商業施設を選定

5 駅別乗降者 昼間人が集中する箇所として選定

6 バスルート

道路振動(大型車両[バス])によるに下水道施設への影響が大きいと考えられること、事故等の影響度を考慮して選定

7 緊急輸送道路緊急時に人的被害の影響を考慮して選定

表-2 ブロック別状況(第 1 期更新区域)

駅乗降者数 商業施設

発生個所数

割合(箇所/面積)

総延長割合

(陶管/全体)

総延長割合

(陶管/全体)

駅乗降者数 設数数バスルー

ト緊急輸送

道路

ha 個所数 個所/ha m % m m 人/日 箇所数 m m

01 103 4 0.039 9,600 17.3% 55,390 99.9% 0 124 1,273 746

02 182 12 0.066 15,376 18.7% 75,129 91.4% 0 328 2,098 4,925

03 97 1 0.010 12,084 19.6% 60,682 98.3% 1,757,224 296 5,102 3,095

04 94 0 0.000 10,097 22.7% 37,357 84.1% 0 220 1,709 1,697

05 90 0 0.000 17,291 31.1% 17,138 30.8% 0 185 4,162 4,268

06 134 5 0.037 8,959 13.0% 68,099 98.9% 95,967 722 4,681 3,194

07 132 0 0.000 1,067 1.7% 62,314 97.4% 155,325 707 3,145 8,076

08 59 1 0.017 12,808 51.9% 21,935 88.9% 0 109 1,504 404

09 61 0 0.000 3,187 9.9% 32,260 99.7% 0 172 1,082 3,811

10 74 1 0.014 7,947 25.3% 31,216 99.4% 0 105 243 537

11 157 3 0.019 12,040 16.3% 73,693 99.5% 0 256 3,037 5,813

12 109 1 0.009 10,635 22.6% 46,511 98.9% 0 142 2,780 2,039

13 55 2 0.036 4,078 15.2% 25,973 97.0% 209,681 147 1,673 1,566

14 88 4 0.045 14,695 27.4% 52,779 98.5% 0 107 1,247 688

15 74 0 0.000 6,853 12.6% 54,179 100.0% 0 167 0 366

16 139 7 0.050 9,933 17.2% 53,305 92.3% 0 133 2,128 2,393

17 86 2 0.023 7,848 18.5% 42,024 99.3% 0 66 0 2,564

18 52 4 0.077 3,417 16.3% 20,079 95.6% 0 24 0 0

19 55 1 0.018 5,837 23.7% 21,202 85.9% 0 20 410 0

20 69 1 0.014 2,900 9.4% 30,035 97.6% 0 71 1,980 2,235

平均 2.5 0.024 8,833 19.5% 44,065 92.7% 110,910 205 1,913 2,421

最大 182 12 0 17,291 1 75,129 1 1,757,224 722 5,102 8,076

最小 52 0 0 1,067 0 17,138 0 0 20 0 0

ブロック名

80年以前陶管

③社会的要因①管種 ②布設年次

道路延長道路陥没

面積

当計画においては、AHP 法に基づき一対比較のア

ンケートを行い、各事象に対する重み付けを設定し

01

14

12

13

20

08 06 07

11 15

09

10

02

18

04

05

1917

16

03

蒔田

弘明寺

鶴見市場

神奈川

鶴見小野弁天橋

屏風浦

横浜

天王町

桜木町

石川町

山手

日本大通り

平沼橋

港南中央

高島町

西横浜

戸部

日ノ出町

馬車道

黄金町

関内

井土ケ谷

弘明寺

磯子

根岸

南太田

元町・中華街

みなとみらい

浅野

上大岡

保土ケ谷

阪東橋吉野町

新高島

1500m500 0 500 1000

図-3 幹線区域によるブロック分割

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2013 年度 下水道新技術研究所年報

た。

各々のアンケート結果毎に重み付けを算出し、デ

ータの整合性を検定し、それらについての平均値を

持って係数を設定した。主要項目について重み付け

を決定し、次にサブの項目として、②状態要因、③

社会的要因の各項目について、内訳となる重み付け

を設定した。

表-3 アンケート項目

サブ項目Ⅰ サブ項目Ⅱ(状態要因) (社会的要因)

a.道路陥没 a.管種 a.駅b.管渠の状態 b.布設年次 b.商業施設c.社会的要因 c.緊急輸送路

d.バスルート

主要項目

重み付けの算定結果を以下に示す。

表-4 主要項目重み付け

横浜市 機構 合計

サンプル数 37 18 55

道路陥没 0.427 0.541 0.464

管渠の状態 0.243 0.190 0.226

社会的条件 0.330 0.269 0.310

表-5 サブ項目Ⅰ、Ⅱ重み付け

(4)横浜市型更新計画の方針

1)予防保全型維持管理計画の考え方

取付管の更新計画フレームの設定にあたり、事業

量の算定のよりどころとする、取付管別の更新対象

の考え方を以下に示す。

①陶管⇒100%更新

道路陥没等の原因の多くは取付管との調査結果も

あり、さらに陶管の割合が非常に高いことを踏まえ、

陶管であることが確認できる管については、劣化調

査等の実施可否とその結果に係らず更新する方針と

する。

②硬質瀝青管⇒100%更新

硬質瀝青管は瀝青材を紙に浸透させて製作した軽

量・安価・加工性が良好な管路である。材質が紙で

あることから、劣化が早いとされており、実際に水

分含有による膨張による閉塞や、劣化による崩壊等

が確認されている。所定の強度を有さないことが明

らかであり、100%更新の対象とする。

③その他管渠

本管と同年代に布設されたものと想定し、本管の

管きょ劣化予測式により、布設年次別に健全率を設

定し、その割合で年次別の作業量を設定する。

算定した結果から、第 1 期更新地区においてはす

べての取付管が陶管であるものとして計画する。

2)第 1 期更新区域シナリオ

整備年代や社会背景から、ほぼ全域の取付管が陶

管であることが判明しており、すべての取付管を更

新の対象とする。

当地区の本管の再整備は、布設替え、更生、既設

管利用、未判定の 4 つに分類でき、これらの各々に

ついて取付管の対応を定める。

このうち、更生管と既設管利用に対して、平成 26

~29 年度の 4 年間で重点的に取付管の更新を行い、

その間に、未判定路線の整理および、判定を完了す

る。

4.2 取付管更生工法の情報整理

(1)更生工法の分類

管路の改築および修繕工法のうち、取付管に係わ

る更生工法は表-6のように分類できる。

表-6 取付管更生工法の分類

※着色されている工法は本管側からの施工が可能

(2)更新費用の単価設定

取付管更生単価は、取付管更生工法協会の見積単

価(11 工法)の平均値である 189 千円/箇所で設定

した。また、布設替え工法単価は、積み上げ値であ

る 81 千円/箇所で設定した。

4.3 取付管更新計画

(1)更新計画の流れ

取付管の更新を効率的に実施することを目指し、

更新計画を「事前調査→詳細調査→更新工事→定期

点検」の一連で行うこととし定期点検以降のフェー

横浜市 機構 合計

サンプル数 47 24 71

管種 0.621 0.733 0.659

布設年次 0.379 0.267 0.341

横浜市 機構 合計

サンプル数 32 19 51

駅 0.170 0.190 0.178

商業施設 0.181 0.238 0.202

緊急輸送路 0.277 0.209 0.251

バスルート 0.372 0.363 0.369

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ズについては、随時定期的な点検調査により不具合

箇所を発見次第、改築ないし、修繕を行う。

(2)ブロックごとの整備優先順位の設定

ブロックごとの整備優先順位の設定は表-1 に示

す項目を抽出した。

これらの項目について、基礎評点を算出し、これ

に社会的影響度を考慮した重み付けで設定した重み

付け係数を考慮し、総合順位を算出した。

基礎点の算出にあたっては、平均値による方法と

標準偏差による方法について試算した。両方法とも

結果に大きな差が生じていないが、標準偏差による

方法の場合、平均値からの偏差を算出する際に平均

以下では負の数値が算出される項目があることから、

数表をわかりにくくする要因となる。したがって、

本計画では平均値による方法を採用した。

表-7の基礎評点に対して、AHPにより設定し

た重み付けにしたがい、各項目について評点を算出

し、総合得点により優先順位を設定した。主項目と

サブ項目について以下に整理し、 終的な重み付け

係数を算出した。

表-7 重み付け係数の設定

掛け合わせ 係数 端数補正後 個別 合計

c=a×b d e=d/c e' f=d×e' Σ(f)

道路陥没 0.464 道路陥没 1.000 0.464 4.9 9.47 9.5 46.6

管種 0.659 0.149 2 7.44 7.4 14.8

布設年次 0.341 0.077 1.7 4.53 4.5 7.7

駅 0.178 0.055 15.8 0.35 0.4 6.3

商業施設 0.202 0.063 3.5 1.79 1.8 6.3

緊急輸送路 0.251 0.078 2.7 2.89 2.9 7.8

バスルート 0.369 0.114 3.3 3.47 3.5 11.6

101.0

基礎点最大値第1期

更新地区

0.310

管渠の状態

社会的条件

最大評点

0.226

重み付け係数優先度

a b

サブ指標メイン指標

優先度は一対評価法に基づくAHPにより重み付

けを算出し、これに対して基礎点の 大値を設定し、

大値の時に 大評点となるように設定した。

1 ブロックあたりの取付管更新箇所数は、約 4,400

箇所である。上位 5位に入るブロックは、ブロック

面積も大きいため、取付管更新箇所数は、ブロック

No.3 を除いて 5,000 箇所以上であるため、より効率

的・効果的な更新を行う必要がある。

表-8 ブロック別更新優先順位の設定

①管種 ②布設年次

陶管 80年以前 駅乗降者数 商業施設

発生個所数

総延長 総延長 駅乗降者数 施設数 バスルート緊急輸送道路

重み付け 9.5 7.4 4.5 0.4 1.8 2.9 3.5

01 15.2 8.1 5.9 0.0 1.1 2.0 1.1 33.4 7

02 46.6 12.6 7.7 0.0 2.9 3.2 7.0 79.9 1

03 3.8 10.4 6.3 6.3 2.5 7.8 4.6 41.7 5

04 0.0 8.1 3.6 0.0 2.0 2.6 2.5 18.8 15

05 0.0 14.8 1.8 0.0 1.6 6.4 6.3 30.9 8

06 19.0 7.4 6.8 0.4 6.3 7.0 4.6 51.3 2

07 0.0 0.7 6.3 0.6 6.1 4.6 11.6 29.9 9

08 3.8 11.1 2.3 0.0 0.9 2.3 0.7 21.1 12

09 0.0 3.0 3.2 0.0 1.4 1.7 5.6 14.9 18

10 3.8 6.7 3.2 0.0 0.9 0.3 0.7 15.5 17

11 11.4 10.4 7.7 0.0 2.2 4.6 8.4 44.6 4

12 3.8 8.9 5.0 0.0 1.3 4.4 2.8 26.0 10

13 7.6 3.7 2.7 0.8 1.3 2.6 2.1 20.7 13

14 15.2 12.6 5.4 0.0 0.9 2.0 1.1 37.2 6

15 0.0 5.9 5.4 0.0 1.4 0.0 0.7 13.5 19

16 27.6 8.1 5.4 0.0 1.1 3.2 3.5 48.9 3

17 7.6 6.7 4.5 0.0 0.5 0.0 3.9 23.2 11

18 15.2 3.0 2.3 0.0 0.2 0.0 0.0 20.6 14

19 3.8 5.2 2.3 0.0 0.2 0.6 0.0 12.0 20

20 3.8 2.2 3.2 0.0 0.5 2.9 3.2 15.8 16

道路延長

評価項目

重み付け後評点合計

基礎評点×重み付け

係数

基礎評点×重み付け係数

重み付け後評点

基礎評点×重み付け係数

基礎評点×重み付け

係数

基礎評点×重み付け係数

道路陥没③社会的要因

基礎評点×重み付け係数

備考

判定

優先順位

基礎評点×重み付け係数

4.4 モデル地区概算設計

(1)対象モデル地区

取付管更新に係る市が設定する予算を踏まえ、2

ブロックをモデル地区として、ブロック内の更新案

を次ページに示すように立案する。年あたりの事業

量は表-6に示すとおりである。

上記の事業量ベースで、区画割に基づき、取付管

(更生、既設利用、未判定)の本数を踏まえてエリ

アを分割し、面積当たりの道路陥没箇所を考慮して

年次別の更新エリアを設定した。

なお、本検討において対象とした取付管は、更生、

既設利用、未判定である。

(2)年次別事業量の算定

モデル地区においては個別の取付管の情報を拾い

上げることができることから、3.5 に基づき、以下

に示すよう単価を設定した。未判定管については、

更 生 : 既 設 活 用 = 3 : 4 と 設 定 し 、 平 均 で

(18.9×3+8.7×4)/7=13.071≒14 万円/箇所とて事

業量を算出した。

○更生工法 189,000 円→19 万円/箇所

○布設替え工法 81,000 円→9万円/箇所

○未判定 130,710 円→14 万円/箇所

Page 6: 取付管更新計画策定に関する調査研究...07 132 0 0.000 1,067 1.7% 62,314 97.4% 155,325 707 3,145 8,076 08 59 1 0.017 12,808 51.9% 21,935 88.9% 0 109 1,504 404 09 61 0

2013 年度 下水道新技術研究所年報

5. 自治体への取付管更新計画の 実態アンケート

(1)目的

全国の政令指定都市を対象に取付管の更新計画に

ついて各都市の対応状況および方針をヒア

リングし、効果的なスクリーニング技術、調査結果

の判定手法、更新計画等を整理し、各都市の方針を

横浜市型更新計画の参考とする。 (2)アンケート結果

アンケートの結果、道路陥没が生じた際、ほぼ全

都市で TV カメラ調査を実施している。道路陥没予防

として空洞化調査を実施しているのは 3 自治体であ

るが、いずれも道路部局が主体であり、下水単体で

は実施していない。そのため、具体的に道路陥没予

防を主眼とし、取付管のスクリーニングを目的に空

洞化調査を実施している自治体はなかった。

取付管の更新対象の把握は状態監視の傾向が強く、

本管と比較して取付管更新計画の立案や実施を行っ

ている自治体は少ない。また、基本的に取付管は開

削による布設替えが多数であり、開削困難な場所を

除き、更新は行っていないケースが多い結果を得た。

6. まとめ

道路陥没等は社会的影響が大きく,下水道もその

要因となる場合がある。本計画では,市民の安全な

生活を守っていくために下水道部局が戦略的に道路

陥没に対して対策を行っていくことに独自性があり,

今回の知見は今後膨大な老朽化ストックの管理を迎

える自治体が,効率的な対策を行っていくために大

きな貢献が図られるものと考えられる。今回、空洞

化調査を実施している箇所について,陶管による取

付管の異常個所の発生率が高いことを踏まえ調査の

継続が必要であると考えている。また,レーダー探

査が困難な深い位置の空洞などについても,管きょ

内から行う空洞化調査などの新技術を開発していく

ことが重要である。

●この研究を行ったのは ●この研究に関するお問い合わせは

研究第一部長 井上 茂治 研究第一部長 三宮 武

研究第一部副部長 城間 菊次 研究第一部副部長 小塚 俊秀

研究第一部主任研究員 森谷 敦人 研究第一部主任研究員 森谷 敦人

研究第一部研究員 西村 泰宏 研究第一部研究員 西村 泰宏

【問い合わせ先 TEL 03-5228-6597】