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病院等栄養管理の基本と実際 栄養関連診療報酬2017.2一部抜粋版 公益社団法人 福 岡 県 栄 養 士 会

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病院等栄養管理の基本と実際

栄養関連診療報酬(2017.2) 一部抜粋版

公益社団法人 福岡県栄養士会

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病院等栄養管理の基本と実際

第15版改訂(平成28年6月) P77~92

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栄養関連診療報酬

〔入院料における栄養管理体制と栄養サポートチーム加算〕

1 導入の背景と経緯

①平成24年4月改定前まで

近年、適切な栄養管理の効果として、低栄養状態の改善や褥瘡の予防・改善、在院日数の短縮、薬剤

使用量の減少、院内感染等の感染症の減少などの効果が報告されている。栄養管理は、すべての患者に

とって生命を維持するとともに、疾病の治療の基本となるものである。

平成17年10月には、介護保険制度において、食べることを通じて栄養状態を改善し、入所者の自立支

援及び自己実現を理念とし、栄養ケア・マネジメントが導入された。栄養ケア・マネジメントは、「ヘ

ルスケア・サービスの一環として、個々人に最適な栄養ケアを行い、その実務遂行の機能や方法、手順

を効率よく行うための体制」と定義されており、栄養スクリーニング、アセスメント、計画(栄養補給、

栄養食事相談、多職種協働による課題解決)、実施・チェック、モニタリング、評価及び継続的な品質

改善からなる。栄養ケア・マネジメントにおいては、これらのプロセスを管理栄養士をはじめとする、

医師、介護支援専門員、看護職員等の多職種協働により推進することとされている。

平成18年4月の診療報酬改定においても、これらの栄養管理の重要性の高まりから、入院料に栄養管

理実施加算が新設された。これまで食事の提供が中心だった栄養管理から、病棟における患者中心の栄

養管理に理念の転換がされており、患者の個別の栄養状態の把握、それに基づく栄養管理計画の策定、

計画に基づく栄養管理の実施、評価という一連のマネジメントの考え方を導入したものである。

これらのマネジメントの考え方を導入した栄養管理の実施にあたっては、病棟における医師、管理栄

養士、看護師等といった職種間の連携に加え、病棟部門と食事療養部門、薬剤部門との連携といった院

内の組織全体の体制の構築が必要とされた。

さらに、平成22年4月の診療報酬改定においては、急性期の入院医療を行う一般病棟において、栄養

障害を生じている患者又は栄養障害を生じるリスクの高い患者に対して、医師、看護師、薬剤師及び管

理栄養士などからなるチームを編成し、栄養状態改善の取組が行われた場合の評価が、栄養サポートチ

ーム加算として新設された。これは、急性期入院医療において、手厚い人員体制を確保することで、多

職種が連携し、より質の高い医療を提供するとともに、病院勤務医の負担軽減にもつながることを、試

行的に評価したものであった。

②平成24年4月改定における見直し

栄養管理実施加算はすでに多くの医療機関で算定されており、診療報酬項目の簡素化の観点から平成

24年改定において、この加算の要件を入院基本料、特定入院料の算定要件として包括して評価すること

となった。なお、栄養管理体制の整備に一定の時間がかかると考えられるため、平成24年3月31日に栄

養管理実施加算の届出を行っていない医療機関については、平成26年3月31日までの間は経過措置を設

け、栄養管理体制の整備に資する計画を策定する等の要件を課した上で、栄養管理体制を満たしている

ものとされた。

栄養サポートチーム加算については、算定対象が拡大されたほか、「医療提供しているが、医療資源

の少ない地域」に配慮した専従要件を緩和した評価が新設された。

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③平成26年4月改定における見直し、

入院料の算定要件としての栄養管理体制の基準は、前述のように経過措置が設けられていたが、一部

の病院で常勤の管理栄養士を確保できない実態を踏まえ、平成26年改定において再度見直しが行われた

(ⅰ 経過措置を平成26年6月30日まで延長/ⅱ 平成26年7月1日以降、常勤の管理栄養士は確保でき

ないが、非常勤の管理栄養士あるいは常勤の栄養士が確保されている場合には入院基本料等の減算を40

点に留める)。また、有床診療所については、非常勤であっても管理栄養士の確保が難しい実態を踏ま

え、栄養管理について、入院料への包括化を見直し、栄養管理に関する評価として栄養管理実施加算が

再度設けられた。

栄養サポートチーム加算については、「医療提供しているが、医療資源の少ない地域」における要件

緩和が拡大され、各職種とも専任でなくてもよいとされた。

2 栄養管理体制

①栄養管理体制の要件

〇当該病院である保険医療機関(特別入院基本料等を算定する病棟のみを有するものを除く。)内に、

常勤の管理栄養士が1名以上配置されていること。

〇管理栄養士をはじめとして、医師、看護師、その他医療従事者が共同して栄養管理を行う体制を

整備し、あらかじめ栄養管理手順(栄養スクリーニングを含む栄養状態の評価、栄養管理計画、

定期的な評価等)を作成すること。 (平28.3.4 保医発0304第1号別添2第1 5(1)(2))

【解説】

栄養管理を実施するにあたっては、常勤の管理栄養士(病院に限る)を配置し、医師、看護師等の医

療従事者が連携する体制整備を行うとともに、病棟部門と食事療養部門、薬剤部門との連携体制を構築

する。

また、あらかじめ施設における体制と手順等を明確にするため、栄養スクリーニング、栄養アセスメ

ント、栄養管理計画、定期的な評価等に関する手順を作成する。これにより施設内における栄養管理の

手順が標準化されることにより質の管理を行うことができる。

なお、平成24年3月31日において栄養管理実施加算の届出を行っていない保険医療機関における管理

栄養士の配置については平成26年6月30日まで経過措置が規定されていた。この経過措置の対象となっ

ていた病院である保険医療機関は、平成26年7月1日以降、非常勤の管理栄養士または常勤の栄養士を

配置している場合は、入院基本料等を40点減算して算定することとされている。また、管理栄養士の離

職又は長期欠勤のため、管理栄養士の配置要件を満たせなくなった場合の入院料等の算定について、特

例が置かれている。これらの詳細については、「基本診療科(入院・看護関連)の施設基準等と診療報

酬編」を参照されたい(→97頁)。

②栄養管理の実施

〇入院時に患者の栄養状態を医師、看護職員、管理栄養士が共同して確認し、特別な栄養管理の必

要性の有無について入院診療計画書に記載していること。

〇(3)〔前記〕において、特別な栄養管理が必要と医学的に判断される患者について、栄養状態の評

価を行い、医師、管理栄養士、看護師その他の医療従事者が共同して、当該患者ごとの栄養状態、

摂食機能及び食形態を考慮した栄養管理計画(別添6の別紙23又はこれに準じた様式とする。)を

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作成していること。なお、救急患者や休日に入院した患者など、入院日に策定できない場合の栄

養管理計画は、入院後7日以内に策定する。

〇栄養管理計画には、栄養補給に関する事項(栄養補給量、補給方法、特別食の有無等)、栄養食事

相談に関する事項(入院時栄養食事指導、退院時の指導の計画等)、その他栄養管理上の課題に関

する事項、栄養状態の評価の間隔等を記載すること。また、当該計画書又はその写しを診療録に

貼付すること。

〇当該患者について、栄養管理計画に基づいた栄養管理を行うとともに、栄養状態を定期的に記録

していること。

〇当該患者の栄養状態を定期的に評価し、必要に応じて栄養管理計画を見直していること。

(平28.3.4 保医発0304第1号別添2第1 5(3)~(7))

【解説】

栄養管理は、栄養スクリーニング、栄養状態の評価(栄養アセスメント)、栄養管理計画の作成、栄

養管理の実施、栄養状態の定期的な評価と計画の見直しからなり、いわゆるPDCAのマネジメントサ

イクルが導入されている。

栄養管理計画の様式は、別紙23(→次頁)又はこれに準じたものを活用する。なお、入院診療計画書

の様式については、106頁を参照されたい。

・栄養スクリーニング

入院患者ごとの栄養状態に関するリスクを入院時に把握する。このスクリーニングにより、リス

クの高い患者を把握し早期に集中的な栄養管理の提供を効率的に行うことができる。

・栄養状態の評価(栄養アセスメント)

栄養状態のリスクがある者の改善指標やその程度を把握するとともに、その関連要因を明らかにす

る。具体的には、身体計測、臨床診査、臨床検査項目、食習慣の把握やアレルギー等の把握を行う。

・栄養管理計画の作成

対象者の栄養管理に関わる医師、管理栄養士、看護職員等が協議し決定した内容を文章化する。

栄養改善上の目標を明確化するとともに、栄養補給に関する事項、栄養食事相談に関する事項、そ

の他栄養管理上の課題に関する事項、栄養状態の評価の間隔などについて記載する。

栄養補給に関する事項は、対象者の栄養状態、摂食・嚥下の状況などから、エネルギー、たんぱ

く質などの補給量を決定するとともに、経口摂取、経腸栄養、静脈栄養等の補給方法、食事の内容

(特別食の有無、食形態、禁忌食品など)その他留意事項を記載する。

栄養食事相談に関する事項は、医師の指示により入院時栄養食事指導が必要な場合には記載して

おく。それ以外で栄養食事相談が必要な場合は、退院に向け在宅での栄養食事に関する指導が必要

な場合などは適宜記載する。

その他栄養管理上解決すべき課題については、栄養状態には、患者の身体的、精神的問題、社会

的問題等が大きく関わることから、栄養補給及び栄養食事相談以外で解決すべき課題がある場合に

は必要に応じて記載する。

栄養状態の評価の間隔については、患者の栄養状態の程度や評価指標によっても異なるため、そ

れぞれの評価指標に応じた間隔を記載する。

・栄養管理の実施、定期的な評価

栄養管理計画に基づき、栄養管理を実施する。また、計画に基づき患者の栄養状態を定期的に把

握し記録する。さらに、評価に基づき計画の見直しが必要な場合には速やかに計画の見直しを行う。

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別紙23

栄養管理計画書

計画作成日 . .

フリガナ

氏 名 殿(男・女) 病 棟

明・大・昭・平 年 月 日生( 歳) 担 当 医 師 名

入院日; 担当管理栄養士名

入院時栄養状態に関するリスク

栄養状態の評価と課題

栄養管理計画

目標

栄養補給に関する事項

栄養補給量

・エネルギー kcal ・たんぱく質 g

・水分 ・

・ ・

栄養補給方法 □経口 □経腸栄養 □静脈栄養

食事内容

留意事項

栄養食事相談に関する事項

入院時栄養食事指導の必要性 □なし □あり(内容 実施予定日: 月 日)

栄養食事相談の必要性 □なし □あり(内容 実施予定日: 月 日)

退院時の指導の必要性 □なし □あり(内容 実施予定日: 月 日)

備考

その他栄養管理上解決すべき課題に関する事項

栄養状態の再評価の時期 実施予定日: 月 日

退院時及び終了時の総合的評価

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〇栄養管理体制に関する事務連絡

(問)特別な栄養管理の必要性の有無について、入院診療計画作成時に必要ないと判断した患者が、

治療途中に栄養管理が必要となった場合、改めて入院診療計画を作成し、栄養管理計画書を作

成する必要があるのか。 (平24.3.30 医療課事務連絡 問17)

答 特別な栄養管理が必要になった時点で、栄養管理計画書を作成すればよく、改めて入院診療計画書

を作成する必要はない。

3 栄養サポートチーム加算

①栄養サポートチームの構成

〇栄養管理に係る診療を行うにつき十分な体制が整備されていること。

(平20.3.5 厚生労働省告示第62号)

(平22.3.5 厚生労働省告示第72号・追加)

〇当該保険医療機関内に、以下から構成される栄養管理に係るチーム(以下「栄養サポートチーム」

という。)が設置されていること。また、以下のうちのいずれか1人は専従であること。

ア 栄養管理に係る所定の研修を修了した専任の常勤医師

イ 栄養管理に係る所定の研修を修了した専任の常勤看護師

ウ 栄養管理に係る所定の研修を修了した専任の常勤薬剤師

エ 栄養管理に係る所定の研修を修了した専任の常勤管理栄養士

なお、アからエまでのほか、歯科医師、歯科衛生士、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、

社会福祉士、言語聴覚士が配置されていることが望ましい。

注2に規定する点数を算定する場合は、以下から構成される栄養サポートチームにより、栄養管

理に係る専門的な診療が行われていること。〔医療資源の少ない地域の特例〕

ア 栄養管理に係る所定の研修を修了した常勤医師

イ 栄養管理に係る所定の研修を修了した看護師

ウ 栄養管理に係る所定の研修を修了した薬剤師

エ 栄養管理に係る所定の研修を修了した管理栄養士

〇当該保険医療機関において、栄養サポートチームが組織上明確に位置づけられていること。

〇算定対象となる病棟の見やすい場所に栄養サポートチームによる診療が行われている旨の掲示を

するなど、患者に対して必要な情報提供がなされていること。

(平28.3.4 保医発0304第1号別添3第19(1)(4)(5))

【解説】

栄養サポートチームは、栄養管理に係る専門的知識を有した多職種からなるチームであるが、医師、

看護師、薬剤師および管理栄養士の必置4職種については、「専任」「常勤」「研修修了」の要件があり、

さらにいずれか1人が専従とされている。

また、チームに配置されているのが望ましい職種として、歯科医師、歯科衛生士、臨床検査技師、理

学療法士、作業療法士、社会福祉士、言語聴覚士が挙げられている。

なお、自己完結した医療提供をしており、医療従事者の確保等が困難な地域の医療機関についての人

員配置については、要件が一部緩和されている。

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・研修(医師)

医師向けの栄養管理に係る所定の研修とは、医療関係団体等が実施する栄養管理のための専門的な知

識・技術を有する医師の養成を目的とした10時間以上を要する研修をいう。当該研修には、次の内容が

含まれる。

① 栄養不良がもたらす影響

② 栄養評価法と栄養スクリーニング

③ 栄養補給ルートの選択と栄養管理プランニング

④ 中心静脈栄養法の実施と合併症及びその対策

⑤ 末梢静脈栄養法の実施と合併症及びその対策

⑥ 経腸栄養法の実施と合併症及びその対策

⑦ 栄養サポートチームの運営方法と活動の実際

・研修(看護師、薬剤師、管理栄養士)

看護師、薬剤師、管理栄養士向けの栄養管理に係る所定の研修とは、医療関係団体等が認定する教育

施設において実施され、40時間以上を要し、当該団体より修了証が交付される研修である。栄養管理の

ための専門的な知識・技術を有する看護師、薬剤師、管理栄養士等の養成を目的とし、次の内容が含ま

れる。

① 栄養障害例の抽出・早期対応(スクリーニング法)

② 栄養薬剤・栄養剤・食品の選択・適正使用法の指導

③ 経静脈栄養剤の側管投与法・薬剤配合変化の指摘

④ 経静脈輸液適正調剤法の取得

⑤ 経静脈栄養のプランニングとモニタリング

⑥ 経腸栄養剤の衛生管理・適正調剤法の指導

⑦ 経腸栄養・経口栄養のプランニングとモニタリング

⑧ 簡易懸濁法の実施と有用性の理解

⑨ 栄養療法に関する合併症の予防・発症時の対応

⑩ 栄養療法に関する問題点・リスクの抽出

⑪ 栄養管理についての患者・家族への説明・指導

⑫ 在宅栄養・院外施設での栄養管理法の指導

②栄養サポートチームの診療

〇栄養サポートチーム加算の対象患者

栄養障害の状態にある患者又は栄養管理を行わなければ栄養障害の状態になることが見込まれる

患者であって、栄養管理計画が策定されているものであること。

〇当該加算の対象患者について栄養治療実施計画を作成するとともに、当該患者に対して当該計画

が文書により交付され、説明がなされるものであること。

〇当該患者の栄養管理に係る診療の終了時に栄養治療実施報告書を作成するとともに、当該患者に

対して当該報告書が文書により交付され、説明がなされるものであること。

(平20.3.5 厚生労働省告示第62号)

(平22.3.5 厚生労働省告示第72号・追加)

(平24.3.5 厚生労働省告示第77号一部改正)

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【解説】

栄養サポートチーム加算は、栄養障害の状態にある患者や栄養管理をしなければ栄養障害の状態にな

ることが見込まれる患者に対し、患者の生活の質の向上、原疾患の治癒促進及び感染症等の合併症予防

等を目的として、栄養管理に係る専門的知識を有した多職種からなる栄養サポートチームが診療するこ

とを評価したものである。

・対象となる患者

栄養管理計画を策定している患者のうち、次のいずれかに該当する者が算定対象患者となる。

① 栄養管理計画の策定に係る栄養スクリーニングの結果、血中アルブミン値が3.0g/dL以下であって、

栄養障害を有すると判定された患者

② 経口摂取又は経腸栄養への移行を目的として、現に静脈栄養法を実施している患者

③ 経口摂取への移行を目的として、現に経腸栄養法を実施している患者

④ 栄養サポートチームが、栄養治療により改善が見込めると判断した患者

なお、1日当たりの算定患者数は、1チームにつき概ね30人以内とする。ただし、要件が一部緩和さ

れた医療機関の場合、1日当たりの算定患者数は、1チームにつき概ね15人以内とする。

また、療養病棟においては本加算は入院日から起算して180日以内に限り算定可能とされているが、

180日を超えても定期的に栄養サポートチームによる栄養管理を行うことが望ましい。

・栄養サポートチームが行う診療内容

以下の診療を通じ、栄養状態を改善させ、また、必要に応じて経口摂取への円滑な移行を促進するこ

とが必要である。

① 栄養状態の改善に係るカンファレンス及び回診が週1回程度開催されており、栄養サポートチーム

の構成員及び必要に応じて、当該患者の診療を担当する保険医、看護師等が参加している。

② カンファレンス及び回診の結果を踏まえて、当該患者の診療を担当する保険医、看護師等と共同の

上で、別紙様式5(→次頁)又はこれに準じた栄養治療実施計画を作成し、その内容を患者等に説明

の上交付するとともに、その写しを診療録に添付する。

③ 栄養治療実施計画に基づいて適切な治療を実施し、適宜フォローアップを行う。

④ 治療終了時又は退院・転院時に、治療結果の評価を行い、それを踏まえてチームで終了時指導又は

退院時等指導を行い、その内容を別紙様式5又はこれに準じた栄養治療実施報告書として記録し、そ

の写しを患者等に交付するとともに診療録に添付する。

⑤ 当該患者の退院・転院時に、紹介先保険医療機関等に対して診療情報提供書を作成した場合は、当

該報告書を添付する。

・栄養管理体制の充実と様々なチーム医療との連携

栄養サポートチームは、以下の診療を通じ、当該保険医療機関における栄養管理体制を充実させると

ともに、当該保険医療機関において展開されている様々なチーム医療の連携を図ることが必要である。

① 現に当該加算の算定対象となっていない患者の診療を担当する保険医、看護師等からの相談に速や

かに応じ、必要に応じて栄養評価等を実施する。

② 褥瘡対策チーム、感染対策チーム、緩和ケアチーム、摂食・嚥下対策チーム等、当該保険医療機関

において活動している他チームとの合同カンファレンスを、必要に応じて開催し、患者に対する治療

及びケアの連携に努める。

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(別紙様式5)

栄養治療実施計画 兼 栄養治療実施報告書

患者氏名 患者 ID 性 : 男・女 年齢 歳 入院日 年 月 日

病棟 主治医 NST 患者

担当者 初回回診日 年 月 日

NST 回診

実施者名 医師 看護師 薬剤師 管理栄養士

NST 回診

実施者名

歯科医師

歯科衛生士 臨床検査技師

PT・OT・ST

MSW ほか

NST 専従者

氏名

現疾患 褥瘡 なし

あり( ) 嚥下障害

なし

あり( ) 前回回診日 年 月 日

その他の

合併疾患※1

感染症

なし

あり( )

社会的

問題点

なし

あり( ) 回診日 年 月 日

身長 cm

現体重 浮腫 有 □ 無 □

kg BMI

標準体重

(BMI=22) kg 通常時体重

kg

栄養評価

主観的

栄養評価

アルブミン

(g/dL)

リンパ球数

( /mm3)

ヘモグロビン

(g/dL)

中性脂肪

(mg/dL)

トランスサイレチン

(TTR:プレアルブミン)

(mg/dL)

総合評価

(栄養障害の程度)

良・普通・悪 検査日 月 日 検査日 月 日 検査日 月 日 検査日 月 日 検査日 月 日 検査日 月 日

良・軽度・中等度・高度

前回との比較 改善・不変・増悪 改善・不変・増悪 改善・不変・増悪 改善・不変・増悪 改善・不変・増悪 改善・不変・増悪 改善・不変・増悪 改善・不変・増悪

栄養管理法

経口栄養

□ 普通食 □ 該当無し

□ 咀嚼困難食

□ 嚥下障害食

(濃厚流動食・経腸栄養剤)

経腸栄養※2

□ 該当無し

□ 経鼻( )

□ 胃瘻( )

□ 腸瘻( )

経静脈栄養

□ 末梢静脈栄養 □ 該当無し

□ 中心静脈栄養

(鎖骨下・ソケイ部・PICC・リザーバー)

栄養投与法の推移(前回との比較)

(例:経腸栄養→経口栄養、経口栄養→中心静脈栄養)

□ 無

( ) → ( )

投与組成・投与量(該当無しの場合□にチェックを入れること) 水分量

(ml/日)

エネルギー

(kcal/日)

たんぱく質・

アミノ酸(g/日)

前回栄養

管理プラン※3

□ 無 □ 無 □ 無 □ 無 □ 無 □ 無 □ 無 □ 無

実投与量 □ 無 □ 無 □ 無 □ 無 □ 無 □ 無 □ 無 □ 無

投与

バランス※4

□ 無 □ 無 □ 無 □ 無 □ 無 □ 無 □ 無 □ 無

新規栄養

管理プラン

□ 無 □ 無 □ 無 □ 無 □ 無 □ 無 □ 無 □ 無

栄養管理上の

注意点・特徴 ※5

活動状況・評価 他チームとの

連携状況

嚥下障害チーム

(あり なし)

褥瘡対策チーム

(あり なし)

感染対策チーム

(あり なし)

緩和ケアチーム

(あり なし)

その他のチーム

( チーム)

治療法の

総合評価※6

【 】

①改善

②不変

③増悪

【評価項目】※7

1.身体的栄養評価: 改善度 5・4・3・2・1(改善項目: )

2.血液学的栄養評価: 改善度 5・4・3・2・1(改善項目: )

3.摂食・嚥下状態: 改善度 5・4・3・2・1

4.褥瘡: 改善度 5・4・3・2・1

5.感染・免疫力: 改善度 5・4・3・2・1

6.

7.

コメント※8 【入院中・転院・退院】

※1:褥瘡・嚥下障害・感染症以外で、栄養管理に際して重要と思われる疾患を優先的に記載すること。

※2:投与速度と形状(半固形化の有無など)を含めて記載すること。

※3:初回時には記載を要しない。

※4:必要に応じ患者及び家族等に確認し、提供している食事・薬剤のみではなく、間食等の状況を把握した上で、体内へ入った栄養量を記載する

よう努めること。

※5:栄養管理の上で特に注意を要する点や特徴的な点を記載すること。

※6:栄養療法による効果判定を総合的に行うこと。【 】内には、①~③のいずれかを記載すること。

※7:評価項目中変化があった項目を選択し、程度を「5:極めて改善」「4:改善」「3:不変」「2:やや悪化」「1:悪化」の5段階で記載すること。また、

改善項目の詳細も記載すること。なお、必要に応じて項目を追加しても構わない。

※8:治療評価時の状況として「入院中」「転院」「退院」のうちいずれか一つを選択し、栄養治療の効果についての補足事項や詳細を記載するこ

と。特に、「転院」又は「退院」の場合にあっては、患者及び家族に対して今後の栄養管理の留意点等(在宅での献立を含む。)について丁寧

な説明を記載するとともに、転院先又は退院先で当該患者の栄養管理を担当する医師等に対し、治療継続の観点から情報提供すべき事項

について記載すること。

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〔栄養食事指導〕

●診療報酬の算定方法(抄)

(平20.3.5 厚生労働省告示第59号)

(改正;平28.3.4 厚生労働省告示第52号)

B001 特定疾患治療管理料

9 外来栄養食事指導料

イ 初回 260点

ロ 2回目以降 200点

注 別に厚生労働大臣が定める基準を満たす保険医療機関において、入院中の患者以外の患者で

あって、別に厚生労働大臣が定めるものに対して、医師の指示に基づき管理栄養士が具体的な

献立等によって指導を行った場合に、初回の指導を行った月にあっては月2回に限り、その他

の月にあっては月1回に限り算定する。

10 入院栄養食事指導料(週1回)

イ 入院栄養食事指導料1

(1) 初回 260点

(2) 2回目 200点

ロ 入院栄養食事指導料2

(1) 初回 250点

(2) 2回目 190点

注1 イについては、別に厚生労働大臣が定める基準を満たす保険医療機関において、入院中の

患者であって、別に厚生労働大臣が定めるものに対して、医師の指示に基づき管理栄養士が

具体的な献立等によって指導を行った場合に、入院中2回を限度として算定する。

2 ロについては、別に厚生労働大臣が定める基準を満たす保険医療機関(診療所に限る。)

において、入院中の患者であって、別に厚生労働大臣が定めるものに対して、当該保険医療

機関の医師の指示に基づき当該保険医療機関以外の管理栄養士が具体的な献立等によって

指導を行った場合に、入院中2回を限度として算定する。

11 集団栄養食事指導料 80点

注 別に厚生労働大臣が定める基準を満たす保険医療機関において、別に厚生労働大臣が定める

特別食を必要とする複数の患者に対して、医師の指示に基づき管理栄養士が栄養指導を行った

場合に、患者1人につき月1回に限り算定する。

C009 在宅患者訪問栄養食事指導料

1 同一建物居住者以外の場合 530点

2 同一建物居住者の場合 450点

注1 1については、在宅で療養を行っており通院が困難な患者(当該患者と同一の建物に居住

する他の患者に対して当該保険医療機関が同一日に訪問栄養食事指導を行う場合の当該患

者(以下この区分番号において「同一建物居住者」という。)を除く。)であって、別に厚生

労働大臣が定めるものに対して、2については、在宅で療養を行っており通院が困難な患者

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(同一建物居住者に限る。)であって、別に厚生労働大臣が定めるものに対して、診療に基

づき計画的な医学管理を継続して行い、かつ、管理栄養士が訪問して具体的な献立等によっ

てに栄養管理に係る指導を行った場合に、1と2を合わせて月2回に限り算定する。

2 在宅患者訪問栄養食事指導に要した交通費は、患家の負担とする。

●特掲診療料の施設基準等(抄)

(平20.3.5 厚生労働省告示第63号)

(改正;平28.3.4 厚生労働省告示第54号)

診療報酬の算定方法(平成20年厚生労働省告示第59号)の規定に基づき、特掲診療料の施設基準等を

次のように定め、平成20年4月1日から適用し、特掲診療料の施設基準等(平成18年厚生労働省告示第

94号)は、平成20年3月31日限り廃止する。

第三 医学管理等

二 特定疾患治療管理料に規定する施設基準等

(6) 外来栄養食事指導料、入院栄養食事指導料及び集団栄養食事指導料に規定する基準

当該保険医療機関の屋内において喫煙が禁止されていること。

(6)の2 外来栄養食事指導料及び入院栄養食事指導料の対象患者

疾病治療の直接手段として、医師の発行する食事箋に基づき提供された適切な栄養量及び内容

を有する別表第三に掲げる特別食を必要とする患者、がん患者、摂食機能若しくは嚥下機能が低

下した患者又は低栄養状態にある患者

(6)の3 集団栄養食事指導料に規定する特別食

疾病治療の直接手段として、医師の発行する食事箋に基づき提供された適切な栄養量及び内容

を有する別表第三に掲げる特別食

第四 在宅医療

五 在宅患者訪問栄養食事指導料に規定する別に厚生労働大臣が定める患者

疾病治療の直接手段として、医師の発行する食事箋に基づき提供された適切な栄養量及び内容を

有する別表第三に掲げる特別食を必要とする患者、がん患者、摂食機能若しくは嚥下機能が低下し

た患者又は低栄養状態にある患者

別表第三 外来栄養食事指導料、入院栄養食事指導料、集団栄養食事指導料及び在宅患者訪問栄養食

事指導料に規定する特別食

腎臓食

肝臓食

糖尿食

胃潰瘍食

貧血食

膵臓食

脂質異常症食

痛風食

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てんかん食

フェニールケトン尿症食

楓糖尿症食

ホモシスチン尿症食

ガラクトース血症食

治療乳

無菌食

小児食物アレルギー食(外来栄養食事指導料及び入院栄養食事指導料に限る。)

特別な場合の検査食(単なる流動食及び軟食を除く。)

〔通 知〕

診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(抄)

(平28.3.4 保医発0304第3号)

〈医学管理等〉

B001 特定疾患治療管理料

9 外来栄養食事指導料

(1) 外来栄養食事指導料は、入院中の患者以外の患者であって、別に厚生労働大臣が定める特別

食を医師が必要と認めた者又は次のいずれかに該当する者に対し、当該保険医療機関の管理栄

養士が医師の指示に基づき、患者ごとにその生活条件、し好を勘案した食事計画案等を必要に

応じて交付し、初回にあっては概ね30分以上、2回目以降にあっては概ね20分以上、療養のた

め必要な栄養の指導を行った場合に算定する。

ア がん患者

イ 摂食機能又は嚥下機能が低下した患者

ウ 低栄養状態にある患者

(2) 管理栄養士への指示事項は、当該患者ごとに適切なものとし、熱量・熱量構成、蛋白質、脂

質その他の栄養素の量、病態に応じた食事の形態等に係る情報のうち医師が必要と認めるもの

に関する具体的な指示を含まなければならない。

(3) 管理栄養士は常勤である必要はなく、要件に適合した指導が行われていれば算定できる。

(4) 外来栄養食事指導料は初回の指導を行った月にあっては1月に2回を限度として、その他の

月にあっては1月に1回を限度として算定する。ただし、初回の指導を行った月の翌月に2回

指導を行った場合であって、初回と2回目の指導の間隔が30日以内の場合は、初回の指導を行

った翌月に2回算定することができる。

(5) 特別食には、心臓疾患及び妊娠高血圧症候群等の患者に対する減塩食、十二指腸潰瘍の患者

に対する潰瘍食、侵襲の大きな消化管手術後の患者に対する潰瘍食、クローン病及び潰瘍性大

腸炎等により腸管の機能が低下している患者に対する低残渣食、高度肥満症(肥満度が+40%

以上又はBMIが30以上)の患者に対する治療食並びにてんかん食(難治性てんかん(外傷性

のものを含む。)、グルコーストランスポーター1欠損症又はミトコンドリア脳筋症の患者に対

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する治療食であって、グルコースに代わりケトン体を熱量源として供給することを目的に炭水

化物量の制限と脂質量の増加が厳格に行われたものに限る。)を含む。ただし、高血圧症の患

者に対する減塩食(塩分の総量が6g未満のものに限る。)及び小児食物アレルギー患者(食物

アレルギー検査の結果(他の保険医療機関から提供を受けた食物アレルギー検査の結果を含

む。)、食物アレルギーを持つことが明らかな9歳未満の小児に限る。)に対する小児食物アレ

ルギー食については、入院時食事療養(Ⅰ)又は入院時生活療養(Ⅰ)の特別食加算の場合と

異なり、特別食に含まれる。なお、妊娠高血圧症候群の患者に対する減塩食は、日本高血圧学

会、日本妊娠高血圧学会等の基準に準じていること。

(6) 摂食機能又は嚥下機能が低下した患者とは、医師が、硬さ、付着性、凝集性などに配慮した

嚥下調整食(日本摂食嚥下リハビリテーション学会の分類に基づく。)に相当する食事を要す

ると判断した患者をいう。

(7) 低栄養状態にある患者とは、次のいずれかを満たす患者をいう。

ア 血中アルブミンが3.0g/dL以下である患者

イ 医師が栄養管理により低栄養状態の改善を要すると判断した患者

(8) 医師は、診療録に管理栄養士への指示事項を記載する。また、管理栄養士は、患者ごとに栄

養指導記録を作成するとともに、指導内容の要点及び指導時間を記載する。

10 入院栄養食事指導料

(1) 入院栄養食事指導料1は、入院中の患者であって、別に厚生労働大臣が定める特別食を医師

が必要と認めた者又は次のいずれかに該当する者に対し、当該保険医療機関の管理栄養士が医

師の指示に基づき、患者ごとにその生活条件、し好を勘案した食事計画案等を必要に応じて交

付し、初回にあっては概ね30分以上、2回目にあっては概ね20分以上、療養のため必要な栄養

の指導を行った場合に入院中2回を限度として算定する。ただし、1週間に1回を限度とする。

また、入院栄養食事指導料2は、有床診療所において、当該診療所以外(栄養ケア・ステーシ

ョン及び他の保険医療機関に限る。)の管理栄養士が当該診療所の医師の指示に基づき、指導

(対面に限る。)を行った場合に算定する。

ア がん患者

イ 摂食機能又は嚥下機能が低下した患者

ウ 低栄養状態にある患者

(2) 入院栄養食事指導料を算定するに当たって、上記以外の事項は区分番号「B001」の9外来

栄養食事指導料における留意事項の(2)、(3)(入院栄養食事指導料1に限る。)、(5)から(8)ま

での例による。

11 集団栄養食事指導料

(1) 集団栄養食事指導料は、別に厚生労働大臣が定める特別食を医師が必要と認めた者に対し、

当該保険医療機関の管理栄養士が医師の指示に基づき、複数の患者を対象に指導を行った場合

に患者1人につき月1回に限り所定点数を算定する。

(2) 集団栄養食事指導料は、入院中の患者については、入院期間が2か月を超える場合であって

も、入院期間中に2回を限度として算定する。

(3) 入院中の患者と入院中の患者以外の患者が混在して指導が行われた場合であっても算定で

きる。

(4) 1回の指導における患者の人数は15人以下を標準とする。

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(5) 1回の指導時間は40分を超えるものとする。

(6) それぞれの算定要件を満たしていれば、区分番号「B001」の「11」集団栄養食事指導料と

区分番号「B001」の「9」外来栄養食事指導料又は区分番号「B001」の「10」入院栄養食事

指導料を同一日に併せて算定することができる。

(7) 集団栄養食事指導料を算定する医療機関にあっては、集団による指導を行うのに十分なスペ

ースを持つ指導室を備えるものとする。ただし、指導室が専用であることを要しない。

(8) 医師は、診療録に管理栄養士への指示事項を記載する。また、管理栄養士は、患者ごとに栄

養指導記録を作成するとともに、指導内容の要点及び指導時間を記載する。

(9) 集団栄養食事指導料を算定するに当たって、上記以外の事項は区分番号「B001」の「9」

外来栄養食事指導料における留意事項の(2)、(3)及び(5)の例による。ただし、同留意事項の

(5)の小児食物アレルギー患者(9歳未満の小児に限る。)に対する特別食の取扱いを除く。

〈在宅医療〉

C009 在宅患者訪問栄養食事指導料

(1) 在宅患者訪問栄養食事指導料は、在宅での療養を行っている患者であって、疾病、負傷のた

めに通院による療養が困難な者について、医師が当該患者に特掲診療料の施設基準等に規定す

る特別食を提供する必要性を認めた場合又は次のいずれかに該当するものとして医師が栄養

管理の必要性を認めた場合であって、当該医師の指示に基づき、管理栄養士が患家を訪問し、

患者の生活条件、し好等を勘案した食品構成に基づく食事計画案又は具体的な献立等を示した

栄養食事指導せんを患者又はその家族等に対して交付するとともに、当該指導せんに従い、食

事の用意や摂取等に関する具体的な指導を30分以上行った場合に算定する。

ア がん患者

イ 摂食機能又は嚥下機能が低下した患者

ウ 低栄養状態にある患者

(2) 在宅患者訪問栄養食事指導料の「1」は、在宅での療養を行っている患者(同一建物居住者

であるものを除く。)に対して、「2」は同一建物居住者に対して必要な訪問栄養食事指導を行

った場合に算定する。

(3) 「注2」に規定する交通費は実費とする。

(4) 上記以外の点に関しては、区分番号「B001」の「9」外来栄養食事指導料における留意事

項の例による。

〇栄養食事指導に関する事務連絡

【外来栄養食事指導料】

(問)食事計画案等を必要に応じて交付すればよいこととされているが、計画等を全く交付せずに

同指導料を算定することはできるのか。

(答)初回の食事指導や食事計画を変更する場合等においては、患者の食事指導に係る理解のために

食事計画等を必ず交付する必要がある。 (平24.4.20 医療課事務連絡 問31)

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(問)同一の保険医療機関において、ある疾病に係る治療食の外来栄養食事指導を継続的に実施し

ている患者について、医師の指示により、他の疾病の治療食に係る外来栄養食事指導を実施す

ることとなった場合、「初回」の指導料を新たに算定できるか。

(答)算定できない。同一の保険医療機関において診療を継続している患者については、他の疾病に

係るものであるかにかかわらず、「初回」の外来栄養食事指導料を算定できるのは1回に限られる。

なお、当該保険医療機関における診療(複数の疾病について診療を受けている場合はその全て

の診療)が終了した後に、他の疾病の診療を開始し、当該疾病に係る外来栄養食事指導を実施し

た場合には、「初回」の指導料を新たに算定することができる。

(平28.3.31 医療課事務連絡 問184)

(問)入院栄養食事指導を実施した患者が退院し、同一の保険医療機関において外来栄養食事指導

を実施することとなった場合、その最初の外来指導時に「初回」の指導料を算定することはで

きるか。

(答)外来栄養食事指導の実施が初めてであれば、「初回」の指導料を算定できる。

(平28.3.31 医療課事務連絡 問185)

(問)平成28年3月31日付け事務連絡「疑義解釈資料の送付について(その1)」の別添1の問184

の答において「当該保険医療機関における診療(複数の疾病について診療を受けている場合は

その全ての診療)が終了した後に、他の疾病の診療を開始し、当該疾病に係る外来栄養食事指

導を実施した場合には、「初回」の指導料を新たに算定することができる。」とあるが、外来患

者が自ら診療を中止した後に数か月以上にわたり受診せず、新たに別の疾病で診療を開始し、

当該疾病に係る外来栄養食事指導を実施した場合も、「初回」の指導料を新たに算定できるか。

(答)このような事例についても、当該保険医療機関における診療(複数の疾病について診療を受け

ていた場合はその全ての診療)が終了したと医師が判断し、医師の指示により新たな疾病につい

てのみ外来栄養食事指導を行う場合は、「初回」の指導料を算定できる。

(平28.6.14 医療課事務連絡 問17)

【入院栄養食事指導料】

(問)入院時生活療養の支給対象患者について、B001の10入院栄養食事指導料は算定できないのか。

(答)算定できる。 (平20.12.26 医療課事務連絡 問10)

(問)入院栄養食事指導料の算定にあたり、クリティカルパス等により入院栄養食事指導に関する

医師の指示が明確に示されており、医師により特別食の食事せんが作成されている場合につい

ては、改めて医師の指示を確認する必要はないと考えてよいか。

(答)その通り。 (平22.12.6 医療課事務連絡 問1)

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(問)栄養サポートチーム加算と入院栄養食事指導料は同一週に算定できるか。

(答)算定できない。 (平28.3.31 医療課事務連絡 問題186)

(問)最初の入院時に栄養食事指導を行い、退院後数日で同一傷病により再入院した患者に対し栄

養食事指導を行う場合、「初回」の入院栄養食事指導料を再度算定できるか。

(答)「初回」の入院栄養食事指導料は、前回入院時と入院起算日が変わらない再入院の場合、算定で

きない。 (平28.4.25 医療課事務連絡 問11)。

(問)最初の入院時に入院栄養食事指導料を2回算定し、退院後数日で再入院した患者に対し栄養

食事指導を行う場合、入院栄養食事指導料を再度算定できるか。

(答)入院起算日が同じ入院の場合には再度算定できない。入院起算日が異なる入院の場合に限り、

改めて入院栄養食事指導料を2回まで算定できる。 (平28.6.14 医療課事務連絡 問18)

【集団栄養食事指導料】

(問)集団栄養食事指導料の算定にあたり、クリティカルパス等により集団栄養食事指導に関する

医師の指示が明確に示されているのであれば、入院時に医師が作成した特別食の食事せんをも

って、指示を受けたと考えてよろしいか。

(答)その通り。 (平22.12.6 医療課事務連絡 問2)