社会貢献事業の取り組みについて ·...

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老人福祉施設 大阪府社会福祉協議会 社会貢献 基金 コミュニティソーシャルワーカー 約650人 社会貢献支援員 15人 生活困窮家庭 社会貢献事業の取り組みについて 社会福祉法人 大阪府社会福祉協議会 老人施設部会 社会貢献事業の全体像① 1

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老人福祉施設 大阪府社会福祉協議会

社会貢献基金

コミュニティソーシャルワーカー約650人

社会貢献支援員15人

生活困窮家庭

社会貢献事業の取り組みについて社会福祉法人 大阪府社会福祉協議会

同 老人施設部会

社会貢献事業の全体像①

1

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★約400か所(大阪府内80%以上)の老人福祉施設が協力

○特別養護老人ホーム ○養護老人ホーム○軽費老人ホーム ○ケアハウス

16年度:8,500万円17年度:9,000万円18年度:6,500万円 社会貢献基金19年度:7,000万円 (大阪府社協が管理)20年度:7,000万円21年度:7,000万円 合計:5億2,000万円22年度:7,000万円

★各施設に配置されたコミュニティソーシャルワーカーによる相談支援活動

○相談者に寄り添い、制度の狭間を埋め、既存制度につなぐ

○窮迫した状況に対して経済的援助(現物給付)

○経済的援助の原資を社会貢献基金に拠出

駐在

駐在

駐在

駐在駐在

駐在

駐在

老人福祉施設 大阪府社会福祉協議会

★社会貢献支援員は、府内8ブロックの老人福祉施設に駐在し、地域に密着して活動

★駐在施設を拠点に、コミュニティソーシャルワーカーとともにアウトリーチで対象者に寄り添った総合生活相談活動を展開

★虐待やDVからの避難等、市町村域を超えた広域調整が必要なケースは他ブロックの支援員や関係機関と連携して対応

老人福祉施設と大阪府社会福祉協議会の役割

2駐在

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老人施設部会コミュニティソーシャルワーカー府内全域の特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、ケアハウスが配置府内全域の施設が配置 約400施設・650人

大阪府社会福祉協議会社会貢献支援員

有志社会福祉法人による拠出、人員出向と社会貢献基金で配置

府内全域に大阪府社協が配置 15人

制度や社会のはざまにある生活困窮者◇既存制度では対応ができない方、対応が間に合わない方◇個人の問題解決能力をはるかに超えた困窮状態にある方

本人のパートナーとして相談

機関・制度へのつなぎ

関 係 機 関行政・社協・地域包括支援センター・ケアプランセンター・いきいきネットCSW・民生委員・病院・弁護士・NPO・ホームレス相談員 等

経済的援助10万円まで

ワーカーが支払い代行

拠出

連携情報交換同行支援

連携情報交換同行支援

経済的援助10万円まで

支援員が支払い代行

社会貢献基金大阪府社協に設置、管理

経済的援助の原資 9,000万円/年

社会貢献事業(解決手段を備えた総合生活相談援助)

社会貢献事業の全体像②

※死(自殺・餓死)・犯罪・ホームレス化の防止につながっている3

長所:広域調整長所:地域密着

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社会貢献事業とは

◆「生活困窮」をはじめ「虐待」や「DV」、「障がい」など、複雑で多面的な問題、課題を抱えて制度や社会の狭間で生活困難をきたし支援が必要な方々に対して、大阪府社会福祉協議会老人施設部会の「コミュニティソ-シャルワーカー(CSW)」と大阪府社協の「社会貢献支援員」が訪問して状況を把握し、問題解決に向けてともに方策を模索し、救済を図る総合生活相談(「生活レスキュー」)の取り組みです。

◆急迫した状況には、老人施設部会等が拠出した「社会貢献基金」を活用し、迅速な金銭的援助(現物給付)により問題解決を図ります。

4

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5

背景① 大阪の社会福祉の歴史と大阪府の施策

593年 聖徳太子が大阪に四天王寺を建立

悲田院は日本の社会福祉の原点ともいわれる

1875年 大野唯四郎が孤児救済のため、愛育社を設立

1902年 岩田民次郎が大阪市南区(当時)に大阪養老院を設立

1912年 中村三徳が現在のあいりん地区に大阪自彊館を設立

1918年 大阪府の林市蔵知事が方面委員規程を公布

大阪府の施策

1991年~1999年

在宅介護支援センターに、「在宅サービス供給ステーション」

を立ち上げ、専任ディレクターが高齢者に限定せず在宅福祉

サービスの普及に取り組んだ

2003年9月

大阪府社会福祉審議会から大阪府知事への意見具申で、

「社会福祉法人(施設)を地域福祉の核に」と位置づけた

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6平成12年4月

介護保険スタート

社会福祉法人の公益性

公益性の希薄化↓

イコールフッティング論

新たな公益性の開拓

= 社会貢献事業

営利企業等が著しく介護サービス事業に参入している現在、措置時代のように社会福祉法人が介護サービス事業だけを行っていては、社会福祉法人の公益性は希薄化する一方であり、新たな公益性を示すための取り組みを開拓する必要に迫られ、現社会情勢に合致した社会福祉活動として、社会貢献事業を創設した。

背景② 社会福祉法人の公益性の明示

社会福祉法人による介護サービス事業

営利企業等による介護サービス事業

平成16年4月社会貢献事業スタート

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7

社会貢献事業 理念

社会福祉法人は社会福祉法に基づく公益法人であり、制度に定められた利用者の利益を守る民間社会福祉事業の担い手として、また非営利法人として地域における社会福祉への貢献及びその推進を図る役割を担って国民の福祉の増進に果してきた実績は高く評価されている。

これは社会福祉法人が公の補完、代替を行うだけでなく、先駆的、開拓的、さらには公共性を保持してきたことに対する社会的信頼である。

しかしながら、長年の措置制度のもとでは行政からの委託事業が中心になり、自主的な地域への福祉の取り組みが、次第に希薄になってきたという批判がある。

介護保険制度によって、この傾向が一層散見されるようになり、また、民間企業等の参入もあり、他の供給主体との違いが不明確になってきている。

社会福祉法人への公的助成、優遇措置は制度固有のものではなく、あくまでも公益活動に対する措置であることから、公益性のある仕事を自ら開拓して展開させるところに社会福祉法人の使命があるといわねばならない。

今、改めて、制度創設の理念に立ち返り、社会福祉法人として、老人福祉施設が社会的に評価されるために開拓的な公益活動に取り組むものである。

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8

要援護状態のキャッチ

住まいを訪問して相談

既存の制度適用の可能性を検討

経済的援助の必要性を検討

継続的な見守り

●行政 ●社協 ●地域包括支援センター●ケアプランセンター ●民生委員・児童委員●病院のMSW ●社会福祉施設●子ども家庭センター ●女性相談センター 等

●生活保護 ●生活福祉資金貸付●介護保険 ●日常生活自立支援事業●成年後見制度 ●無料低額診療事業 等

●食材費 ●光熱水費 ●日用品費●住居設定費 ●医療費 ●介護サービス費●成年後見人申立費 ●就労支援費 等

コミュニティソーシャルワーカー・社会貢献支援員による相談援助のながれ

行って、見て、聞いて状況把握

適切な関係機関につないで終結

コミュニティソーシャルワーカー、社会貢献支援員の判断 施設長の決裁 社会貢献基金

から支払い(現物給付)

本人に寄り添うコミュニティソーシャルワーク

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9

社会貢献事業の経済的援助

社会貢献事業の経済的援助は、相談員であるコミュニティソーシャルワーカー、社会貢献支援員による現状の生活や収支状況等の聞き取りに加え、

①本人のこれからの生活のために必要不可欠であり、経済的援助を行うことによって生活の安定を図る見込みがあるかどうか、

②社会貢献事業として経済的援助をしなければ生命や生活の継続に危険を及ぼす状況であるかどうか、

③他に代替できる手段(例えば行政制度、親類や近隣からの支援)がないかどうか

等を踏まえた上で、各事例によって個別に必要性と援助額を判断しています。決定した場合は概ね10万円までの現物給付で行っており、相談者本人に現金をお渡しすることはなく、例えば食材ならスーパー等で購入して本人にお渡しし、医療費なら医療機関の窓口で支払いを代行します。「どの事例も10万円まで利用できる」ということではなく、各事例に応じて必要最低限の援助金額を見極め、老人福祉施設長の決裁を得た上で決定しています。

社会貢献事業(老人施設部会・大阪府社協)

相談支援活動

経済的援助

経済的援助が目立ちますが、社会貢献事業はあくまでも

総合生活相談であり、経済的援助はその1つの機能です

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10

平成22年度の経済的援助事例の特徴◆経済的援助数 : 706世帯 (平均 58.8世帯/月)

※7年間の相談件数の累計:25,775件(社会貢献支援員分のみ)

※経済的援助数の累計: 3,617世帯

◆1件あたりの平均経済的援助金額 : 約67,000円

男性465件・女性241件/40代の経済的援助対象者が急増

年齢・性別 経済的援助対象者

2760

104 10385

5626

40

5229

35

33

24

6

19

70

20406080

100120140160180

19歳以下

20代

30代

40代

50代

60代

70代

80歳以上

女性

男性

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11

本人または家族の失業を契機に、深刻な生活困窮に陥る世帯が増加

経済的援助を行った世帯の主な特徴(重複カウント)

343

209179

118 9969 51 49 48 48 44 38 33 18 15 12 7

176

9053

050

100150200250300350400

レス

・乳

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12

食材費や住居関係費など、今日、明日の生命、生活の危機を回避するための援助が中心

経済的援助の主な内容(重複カウント)

415

231 224192

89 89

28 26 20 19 11 7 5 18

050

100150200250300350400450

・学

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13

行政からの支援依頼が全体の51.6%を占め、群を抜いている

経済的援助事例の主な紹介経路

365

12272

29 22 13 13 12 11 10 9 8 7 2 20

50100150200250300350400

プラ

C

S

W

い者

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○行政からの支援依頼のうち、生活保護担当課からの依頼が約8割を占める

紹介経路 行政担当課の内訳

生活保護担当課,

288

児童担当課, 22

障がい担当課, 16

女性相談担当課,

10

子ども家庭C, 8

保健所・センター, 7

高齢担当課, 5

貸付担当課, 3

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経済的援助後の生活

支援中止, 3, 0%

生活保護, 322,

50%

その他の制度, 99,

15%

就労, 91, 14%

年金, 75, 12%

施設入所, 18, 3%

家族・親族の支援, 11,

2%

サービス利用, 9, 1%

入院, 8, 1%

支援拒否, 8, 1%

知人の支援, 4, 1%

死亡, 3, 0%

○生活保護 生活保護を受給し、生活の安定を図った

○その他の制度 生活福祉資金貸付、住宅手当等の制度が適用となった事例や、日常生活自立支援事業や成年後見制度申立により、金銭管理体制が整った○就労 本人もしくは家族の就労、仕事増で生活を立て直した○年金 高齢者、障がい者である場合、不慮の事故等で多額出費が重なったために一時的に困窮に陥り、その後は年金受給で安定した○施設入所 在宅生活が困難となり、施設入所によって衣食住の安定を図った○家族・親族の支援 家族や親族からの支援を得られることとなり、生活の安定を図った事例や、反対に家族を分離することによって両者の落ち着きを図った○サービス利用 介護保険サービスや障がい者自立支援サービスの利用につながり、ホームヘルパー等による見守り体制を整えた

「その他の制度」の内訳

貸付, 39, 40%

成年後見, 25, 25%

日常生活自立支援事業, 13, 13%

失業手当, 12, 12%

訓練給付, 6, 6%

傷病手当, 2, 2%労災保険, 2, 2%

15

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16

13

86

1214

20

1

11

28

15

7

19

1

74

8

70

30

9

43

64 5

14

23

19

0

68

43

13

23

34 34

3

26

9

41

17

7 8

1

0

10

20

30

40

50

60

70

80

能勢町

豊能町

箕面市

池田市

豊中市

吹田市

高槻市

島本町

茨木市

摂津市

枚方市

交野市

大東市

四條畷市

寝屋川市

門真市

守口市

東大阪市

八尾市

柏原市

松原市

大阪狭山市

羽曳野市

藤井寺市

太子町

河南町

富田林市

河内長野市

千早赤阪村

大阪市

堺市

高石市

泉大津市

和泉市

岸和田市

忠岡町

貝塚市

熊取町

泉佐野市

泉南市

田尻町

阪南市

岬町

平成22年度 市町村別 経済的援助件数

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17

1

2

0 0

4

8

4

0

2

4

0

4

1

5

0

5

2

0

1

6

1

4

5

9

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

北区

福島区

此花区

西淀川区

淀川区

東淀川区

港区

大正区

西区

中央区

天王寺区

城東区

鶴見区

西成区

浪速区

生野区

東成区

都島区

旭区

阿倍野区

住之江区

住吉区

東住吉区

平野区

平成22年度 大阪市 区別 経済的援助件数

2

5

18

9

3 3 3

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

20

北区

堺区

西区

中区

東区

美原区

南区

平成22年度 堺市 区別 経済的援助件数

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18

コミュニティソーシャルワーカー・社会貢献支援員による相談支援活動 ①住まいを訪問して相談する様子

②支援用物品を施設に貯蔵

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幸南食糧(株)

≪寄贈≫≪緊急支援≫

・大阪府社協・老人福祉施設

幸南食糧株式会社 支援米 「生活困窮者の緊急支援から自立支援へ」

[期間] 平成21年11月~平成23年10月[合計] 720キログラム[対象] 266世帯の生活困窮世帯へ

◆ 1世帯あたり、2~4㎏の緊急支援◆ 月平均で、5~20世帯をサポート

支援対象者の特徴

81

716

510

17 155

43

0102030405060708090

失業

火事

や盗

年金

等の

遺失

刑余

者 DV

家族

問題

(離婚

、虐待

等)

金銭

管理

・生活

管理

依存

生活

保護

申請

(重複を含む)

相談者米の支援が必要な理由

年齢 性別家族人数(本人含)

40代 女性 7 本人は失業し、離婚した娘が孫2人を連れ本人宅へ戻ってきたが、食

糧がない

60代 男性 1 失業し食糧がなくなり、20日間ほどほとんど水だけで生活している

10代 女性 1 児童養護施設を卒業し、寮に入って就職するが当面の食糧がない

70代 男性 2 息子の失業によって困窮に陥り、3日間食べていない

40代 男性 1 派遣切れ、失業保険も切れ、就職決まらず、1週間何も食べていない

70代 男性 複数近所の住民が火事(放火)にあい何人かが生活ができなくなった集合

長屋の世話人の民生委員

70代 男性 1 年金を落として所持金がなくなり、昨日から何も食べていない

50代 男性 1 刑務所から出所、所持金100円。今日明日の食べ物がない

30代 女性 2 DVから緊急避難して生活保護申請中。手元にわずかなお金しかない。

10代 女性 4 父親、実兄から、虐待と搾取を受けて、懸命にアルバイトと勉強に励ん

でいる。

90代 女性 4 預金を息子が管理し本人に渡してもらえず、食材が底をついた。

30代 女性 1 精神疾患で生活費のやりくりができず、困窮に陥ってしまったため

70代 女性 1 認知症で金銭管理、生活管理が困難。生活保護申請中だが、受給日までの食糧がない

50代 女性 3 精神障がいのある息子のギャンブル依存で生活保護費が底をつき食

材がない

20代 男性 2 乳児との父子家庭で、生活保護申請中だが受給日までの食材がなく、バターライスでしのいだが、米も底をついてしまう。

40代 男性 1 総合支援資金を受けられるまでの支援。食べるものがなく、草を食べて

いる 19

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20

相談支援事例(平成24年3月分から抜粋)

No 年齢 性別 相談支援の概要

経済的援助

金額

(申請額)

1 40代 男性

失業して以降、預貯金等で何とか生活してきたが、住宅ローンも返済できず、糖尿病も悪化が

懸念される中、電気、ガスといったライフラインも約半年間停められていて通常の生活ができて

いない状態である。早急にライフラインを回復させるとともに経済的安定を図るために生活保護

申請をサポートし、受給、決定までの食材支援を行う。

50,000

2 30代 女性

本人はうつ病の疑いがあり、中学生の長男との母子家庭である。生活保護廃止によって生活困

窮に陥っている。面接時、手持ち金はゼロ、長男の弁当を作る食材もなく、母親の付き添いで長

男も学校を休んでいる状態。またその上に電気も切られ、早急な経済援助が必要である。電気

代1カ月分、食材費、日用品費など、母子の生活の安定を確保して、生活保護申請を支援し、

長期的な生活安定の確保を図りたい。

43,093

3 60代 男性

認知症の進行により、本人は金銭管理が全くできておらず、布団の訪問販売による契約をして

いることや新聞を4社から購読していることなど問題が判明する。また、多重債務もあり今後の

生活を次の年金だけでは立て直すことが困難な状況であり、生活改善とともに日常生活自立支

援事業や成年後見、法律家による債務整理など専門家による支援が必要と考える。そのため、

当面の生活援助並びに成年後見制度の申立てにかかる費用を援助する。

19,632

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相談支援対象者へのインタビュー(平成21年度社会福祉推進事業)

質問① 社会貢献事業が関わった当時、どのように困られていたか

○死ぬか生きるか、死のうかな、生きていてもつまらないというような状態。

○もう、泣くにも泣けない。

○仕方なく絶食して、このまま死んでもええわと思っていた。

○もう、我慢ができない状態で、死ぬということを考えました。

○元旦から5日まで何も食べずに横になってました。

○結局は電気止められて、アップアップしてましたんや。

○人間は追い込まれてきたら考えることが全然違う。冷静に判断ができなくなる。

○普通にやっていたところから一挙にそういう生活に入ったので大変こたえた。

○ここでくじけたらあかんと思って一生懸命がんばってしんどかった。

○メイドみたいだった。「最低、情けない、できの悪い女」と毎日言われた。

○生きていく自信がなくなるような状況が続きまして。車の生活が続いてたんで。

○殴りながら「お前を死ぬまで殴る」と言って。本当に殺されると思ってました。

○家に帰ると「金、金、金」と別れた嫁に言われ、だんだんおかしくなってきたようや。

○健康保険無しだったので、1週間少し入院した時に働いた分全部なくなった。

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22

質問② 社会貢献事業の相談支援を受けて思うこと

○つらかったことから考えたら、「良かった」の一言です。とにかく手放しで喜べる。

○名前のとおり、随分貢献されてる。まだPRが足りない。役所に任せておけばいい

という人が多い。世の中の人にもっと分かってほしい。

○他に私のように苦しんでおられる方に利用していただきたい。

○社会貢献事業のお三人さんにお世話にならなかったら、死んでたかもしれない。

○いずれはやっぱり働きに行きたい。自分のできることはやっていこうと思っている。

○これまで助けてもらって、一生懸命自分でやるようにしようと思ってますねん。

○社会貢献事業の相談員をどんどん増やしていただきたい。

○相談した中で、一番よい方法をアドバイスしていただいているのが現状です。

○「食材援助の決裁がおりた」と電話をもらった時はうれしかった。

○一番困ってる時に来てもらえたのがすごくうれしかった。

○社会貢献事業の皆さんは命の恩人です。

○今が一番幸せ、ありがたいと思っていて、こんな気持ちで死ねると思うと嬉しい。

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質問③ 社会福祉制度について思うこと(行政に対して言いたいこと)

○いちばん傷つけられたのは、「これはみんなの税金やぞ。税金をおまえらもろて

るんやで。そのお金をちっとずつでも横へよけて貯めとけや」って偉そうに。

○日がたつにつれて、えらい応対が良くなってね。「なんかあったら電話くれたらい

いから」って言ってくれてます。

○普通に生活してきた者は、なかなか制度について知らない。講習会などをしても

らえたら、自分を見直すことができ、救われる人がもっと増えると思う。

○市役所は十分にしてくれた。何かもの足らんということはない。

○障がいで働けない人がたくさんいると思うので、たとえ1,000円か2,000円ぐらいの

補助や減免制度でも、詳しく教えてもらいたいなと思います。

○市役所の人は親身になってくれて、自分も最近の状況をきちんと話しますし。

○加害者となる側の問題解決システムが必要だと思う。DVを加える人は妙な自信

があり、自分から行動を起こさないだろうから、加害者側が相談しやすい、行きや

すい場を作らないといけない。

○ケースワーカーさん、あの人はすごく温厚で「どうですか。ちゃんといけてますか」

と、こないだも来てくれて。すごく親切やし丁寧に色々教えてくれます。

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社会貢献事業の実践に関する考察 (平成22年度社会福祉推進事業)

(1)社会貢献事業がセーフティネットとして機能している理由

①対象者を限定しない、即応性のある柔軟なワンストップ相談支援活動

②資質向上と経験の共有化を図る研修及びスーパービジョンの体制

③積極的なアウトリーチ活動

④コミュニティソーシャルワーカーと社会貢献支援員の機能分

担と協力連携による相乗効果

⑤経済的援助(上限10万円の現物給付)

⑥活動拠点である社会福祉施設の果たす機能

⑦地域を限定しない広域的な生活レスキュー活動

⑧大阪府社会福祉協議会の相談支援活動

(2)活動から見えた課題

①社会貢献事業本来の目的の周知徹底

②事業維持のための財源確保と協力者の拡大

③コミュニティソーシャルワーカーが働きやすい環境作り

④相談支援活動実績から行政施策へのフィードバック

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都道府県内全域のセーフティネット構築に向けたこれからの展開

(平成22年度社会福祉推進事業)

➊都道府県内全域の生活困窮者支援活動モデル

(1)都道府県社協を中心とした広域的なセーフティネットの構築

①広域的な援助機能の発揮

ア 市町村間の枠に捉われない相談支援活動

イ 市町村行政間に生じる格差や制度の狭間へのアプローチ

ウ 調査研究活動に基づく政策提言

②連絡・調整機能の強化

(2)市町村単位でのセーフティネット構築

①社会福祉法人連絡会(地域貢献委員会)の設置

②生活困窮に陥った地域住民への相談支援活動

ア 地域住民として認知されていない人へのアプローチ

イ 自分自身では窮状を訴えることが困難な人へのアプローチ

➋全国展開に向けて

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社会貢献事業、

社会貢献基金に関するお問い合わせは、

社会福祉法人大阪府社会福祉協議会

社会貢献推進室 までお願いいたします。

〒542-0065 大阪市中央区中寺1-1-54TEL:06-6762-9488 FAX:06-6762-9472